Takaのエンタメ街道

一生を映画に捧ぐと決めたTakaが主に映画・テレビ・音楽について書くブログです。

<週刊興行批評>「ラーヤと龍の王国」の劇場/配信の並行公開の是非、シン・エヴァは初日8億スタート!!

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今週は「太陽は動かない」、「ラーヤと龍の王国」の2作品を取り上げ、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の初日の興収の情報が出たため、そちらについても取り上げたいと思います。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「花束みたいな恋をした」。土日2日間で動員11万4000人、興収1億5600万円をあげ、前週比は動員、興収ともに-11.2%と腰の強い興行を続けている。累計では動員196万人、興収26億円を突破した。

2位は「劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」。土日2日間で動員9万7000人、興収1億6300万円をあげ、公開から21週目を迎えてもなお、興収では前週比+4.5%、1位の『花束〜』を上回るという怪物ぶりを見せている。累計では動員2787万人、興収384億円を突破しており、400億円突破まであと16億円足らずである。

3位は初登場太陽は動かない」。土日2日間で動員7万9000人、興収1億900万円をあげ、初日からの3日間で動員10万7400人、興収1億4500万円をあげた。

4位は「名探偵コナン 緋色の不在証明」。累計で動員65万1500人、興収9億1600万円を突破。

5位は「ライアー×ライアー」。累計興収は5億8400万円を突破。

6位は初登場ラーヤと龍の王国」。初日からの3日間で動員5万5400人、興収7000万円をあげた。

7位は「劇場版ポケットモンスター ココ」。累計で動員147万人、興収17億円を突破。

8位は「樹海村」。累計興収は6億400万円を突破。

9位は「映画 えんとつ町のプペル」。累計で動員168万人、興収23億円を突破した。

10位は初登場ARIA The CREPUSCOLO」。

 

2.興収チェック!「太陽は動かない」

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先週末初登場3位にランクインしたのは「太陽は動かない」。「怒り」「悪人」などで知られる吉田修一のスパイアクション小説を藤原竜也竹内涼真出演、羽住英一郎監督で映画化。当初は昨年5月15日に公開予定だったが、新型コロナウイルスで公開延期をしており、ようやくの公開となった。

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藤原竜也出演作品で興収比較してみたが、「Dinner ダイナー」に対して動員比60%、興収比57%と少々物足りない結果に。最終興収も5〜7億円程度となるだろう。

 

3.興収チェック!「ラーヤと龍の王国」

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先週末初登場6位にランクインしたのは「ラーヤと龍の王国」。龍の王国を舞台に少女の戦いと成長を描くディズニーの長編アニメーション。

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ディズニー作品の興収比較をしてみたが、「モアナと伝説の海」との動員比9.7%、興収比9.8%、コロナ禍の影響を受けた「2分の1の魔法」との動員比35%、興収比33%とディズニー作品としてはかなり低調なスタートとなっている。この勢いだと、最終興収も2〜3億円あたりとなりそうだ。

というのも、本作はディズニーの配信サービスである「Disney+」でプレミアアクセスとして追加料金を設けた上での同時公開をしていたためであり、公開館数も従来のディズニー作品よりも規模を縮小して行われていることが原因である。大手シネコンチェーンではイオンシネマは全館で上映しているのに対し、TOHOシネマズは本作においては全館で公開をしていないという異例の公開形態となった。

2010年代のディズニー無双が一転し、2020年代に入り、日本にもDisney+の普及が始まり、コロナウイルスによる公開延期を余儀なくされたことから劇場公開予定だった「ムーラン」や「ソウルフル・ワールド」は配信に移行した。そして、今回、日本のメジャー洋画としては初めて、劇場と配信での並行公開が始まった。配信でどれだけ視聴されているかは不明だが、それ相応の再生数は記録してるだろう。ただ、ディズニー側も通常の劇場公開の映画に比べると宣伝の力もそこまで発揮をしていないのも事実であり、まだ手探り状態であることは明らかだ。劇場側としてもディズニーの新作を配信と並行公開されることを危惧してる側面もあり、双方が納得するまでにはまだ時間は要しそうだ。ただ、本作のオープニング興収だけを読み取ると、本来なら、ディズニーの新たな物語を大きく向かい入れたいところなのに、この数字は物足りなさすぎるのではないだろうか?と思う節がある。本作がディズニー、はたまたハリウッド作品の日本公開にどう影響を受けるか。配信という選択肢の利点が増えてきた今、避けて通れない事態である。良い方向性に向くことを期待したいところだ。

ただ、まず、日本はDisney+をアメリカと同様の仕様(ラインナップの多様さ、4K、5.1chサラウンド配信など)に持っていくことから始めないとさらに遅れを取ることになると考える。

 

4.「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の初日は8億円スタート!!

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さて、今週月曜日、3月8日、ついに公開が始まった「シン・エヴァンゲリオン劇場版」。2007年から始まった「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズ全4部作、ならびに25年に渡って続いた「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズの完結編とあって公開前から大きな話題となっていた。度重なる延期によって、ファンの期待値もさらに挙げていたことだろう。公開日発表が公開から僅か10日前、初日が平日の月曜日と異例の興行形態で客入りはどの程度のものかと期待していたが、蓋を開ければ、初日だけで観客動員数53万9623人、興収8億277万4200円というスタートを切った。

これは前作「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」(動員44万3408人、興収6億4838万3550円)の動員比121.7%、興収比123.8%である。

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また、これがどれほどのスタートなのか。近年のメガヒット作品の初日興収と比較してみよう。同じく庵野秀明総監督の「シン・ゴジラ」の動員比354.9%、興収比381.1%、新海誠監督の「天気の子」の動員比164%、興収比174.9%と80〜100億円クラスの作品の初日興収を上回っているのだ。流石に「鬼滅の刃」に比べると動員比59.2%、興収比63.3%と下回るものの、「シン・エヴァ」以外はすべて金曜日公開での成績である。多くの人が勤勉に勤しむ平日の月曜日を初日としたときの成績としては「鬼滅の刃」並みの数字を叩き出したという解釈をするほうが良いだろう。まさか、個人的にもここまでの数字を叩き出すとは思いもしなかった(前回の予想で初日5億、1週間で15〜20億円と予想したのが恥ずかしくなるくらいには)。

鬼滅の刃」並みの数字と表現したが、熱気でもそれに匹敵する、あるいはそれを上回ると解釈することも出来る。鬼滅は原作もあり、既にオチを知って鑑賞することも出来た。しかし、本作はこれまでと同様、情報をほとんど出すこともなく、しかもシリーズ最終作としてどういう結末を迎えるかを観客は何も知らずに鑑賞をする。もはや、初日に観にいくことが一種のイベントと化していたのだ。そして、Twitter上ではファンはネタバレに気をつけながら感想を呟くユーザーが多数いた(初日のトレンドに「ネタバレ」が入るほどに)。

鬼滅の刃」とあまり比較して語るのも良くないのでここまでとするが、とにかく「シン・エヴァ」が前作「Q」の50億円を上回ることはほぼ確実であり、100億円突破も夢じゃないと考えている。むしろ、本作を観た身としてはそれくらい稼がないと製作費の回収が難しいんじゃないかというくらいには詰め込まれているからだ(エンドロールがハリウッド作品並みに長かったこともありますし)。

既に20億円を突破しているという情報も入っており、おそらく初めての週末を迎える今週末も平日を耐えてきた初めての方や初日を見て平日は勤勉し再び観に行くリピーターの方の両方で多くの観客が押し寄せることは予想できる。興収も30億円は突破できるのではないかと予想する。

ここまで来るとすごいことになってきましたね。来週はさらにエヴァの宣伝手法、ブランド化していったことを踏まえながら、週末興収を見ていこうと思います。

 

5.今週末の注目作

ブレイブ 群青戦記」(3月12日公開) (PG12)

集英社週刊ヤングジャンプ」で連載された笠原真樹原作の人気コミック「群青戦記」を、「踊る大捜査線」シリーズの本広克行監督が実写映画化。新田真剣佑が単独初主演を飾るほか、三浦春馬松山ケンイチら実力派キャストが集う。

スポーツ名門校で弓道部に所属する西野蒼は目立つことが苦手で、弓道場で練習に打ち込むばかりの日々を送っていた。幼なじみの瀬野遥は、そんな蒼のことを心配している。ある日、1本の雷が校庭に落ちた直後、突如として校庭の向こうに城が出現、校内には刀を持った野武士たちがなだれ込んでくる。全校生徒がパニックに陥る中、歴史マニアの蒼は、学校がまるごと戦国時代、しかも“桶狭間の戦い”の直前にタイムスリップしてしまったことに気づく。織田信長の軍勢に友人たちを連れ去られた蒼は、後に徳川家康となって天下統一を果たす松平元康と手を組み、野球部やアメフト部の選抜メンバーたちと共に立ち上がるが……。

主人公を導く松平元康(後の徳川家康)を三浦春馬、彼らの前に立ちはだかる織田信長松山ケンイチがそれぞれ演じる。

ビバリウム」(3月12日公開) (R15+)

不動産屋に紹介された住宅地から抜け出せなくなったカップルの運命を描いたサスペンススリラー。

新居を探すトムとジェマのカップルは、ふと足を踏み入れた不動産屋で、全く同じ家が建ち並ぶ住宅地「Yonder」を紹介される。内見を終えて帰ろうとすると、すぐ近くにいたはずの不動産屋の姿が見当たらない。2人で帰路につこうと車を走らせるが、周囲の景色は一向に変わらない。住宅地から抜け出せなくなり戸惑う彼らのもとに、段ボール箱が届く。中には誰の子かわからない赤ん坊が入っており、2人は訳も分からないまま世話をすることに。追い詰められた2人の精神は次第に崩壊していき……。

ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグと「グリーンルーム」のイモージェン・プーツが主人公カップルを演じる。プーツは第52回シッチェス・カタロニア国際映画祭で最優秀女優賞を受賞。

フィールズ・グッド・マン」(3月12日公開)

 

アメリカのアンダーグラウンドコミック界の人気アーティスト、マット・フューリーが生み出したキャラクターがたどることとなった数奇な運命と現在のアメリカ社会を、アニメーションを織り交ぜて描いたドキュメンタリー。

カルト的な人気を博したマット・フューリーの漫画「Boy’s Club」。主人公ペペが放った「feels good man(気持ちいいぜ)」のセリフとともにネットミームとして改変されたペペが、マットの意思とは裏腹に掲示板やSNSで一人歩きしてしまう。2016年アメリカ大統領選時には、匿名掲示板でオルタナ右翼たちが人種差別的なイメージとともにペペを拡散し、ADL(名誉毀損防止同盟)からヘイトシンボルとして認定。さらにペペの乱用は加速し、トランプ大統領の誕生に一役買うまでになってしまう。この事態にマットはペペのイメージ奪還に乗り出す。

すくってごらん」(3月12日公開)

エリート銀行マンが左遷先で出会った金魚すくいを通じて成長していく姿を描いた、大谷紀子の同名人気コミックを実写映画化。これが映画初主演となる歌舞伎俳優の尾上松也と「ももいろクローバーZ」の百田夏菜子が共演する。

些細なことにより左遷され、東京本社から片田舎の町へやってきた大手メガバンクのエリート銀行マン・香芝誠。荒んだ気持ちを抱えていた香芝は、左遷初日に金魚すくいの店を営む美女・吉乃と運命的な出会いを果たし、彼女に一目ぼれをする。生来のネガティブな性格と左遷のショックから心を閉ざし、仕事だけを生きがいに生きていくことを心に決めていた香芝だったが、吉乃のことがなかなか頭から離れず、なんとか彼女と仲良くなろうとするが……。

監督は「ボクは坊さん。」「ラスト・ホールド!」の真壁幸紀。ヒロインの吉乃を演じる百田夏菜子が、役名の生駒吉乃として主題歌を歌っている。

奥様は、取り扱い注意」(3月19日公開)

綾瀬はるか西島秀俊が元特殊工作員と公安エリートの夫婦を演じた人気ドラマの劇場版。

特殊工作員だった過去を持つ専業主婦の伊佐山菜美と、現役の公安警察であることを隠しながら菜美を監視するやさしい夫・伊佐山勇輝。半年前、ある出来事により菜美は記憶喪失になってしまい、2人は桜井久実と裕司に名前を変えて、小さな地方都市で新しい生活を始めていた。2人が新生活を送る珠海市では、新エネルギー源「メタンハイドレード」の発掘をめぐり、開発反対派と推進派の争いが激化していた。そんな中、新エネルギー源開発の裏でロシアと結託した国家レベルの陰謀が潜んでいる事実を公安が突き止める。勇輝が公安の協力者になるか特殊工作員だった妻を殺すかの選択を迫られる中、菜美は大きな事件へと巻き込まれていく。

菜美役を綾瀬はるか、勇輝役を西島秀俊が演じるほか、岡田健史、前田敦子鈴木浩介小日向文世らが脇を固める。監督は「カイジ ファイナルゲーム」の佐藤東弥

ミナリ」(3月19日公開)

1980年代のアメリカ南部を舞台に、韓国出身の移民一家が理不尽な運命に翻弄されながらもたくましく生きる姿を描いた家族映画。2020年・第36回サンダンス映画祭でグランプリと観客賞をダブル受賞した。

農業での成功を目指し、家族を連れてアーカンソー州の高原に移住して来た韓国系移民ジェイコブ。荒れた土地とボロボロのトレーラーハウスを目にした妻モニカは不安を抱くが、しっかり者の長女アンと心臓を患う好奇心旺盛な弟デビッドは、新天地に希望を見いだす。やがて毒舌で破天荒な祖母スンジャも加わり、デビッドと奇妙な絆で結ばれていく。しかし、農業が思うように上手くいかず追い詰められた一家に、思わぬ事態が降りかかり……。

父ジェイコブを「バーニング 劇場版」のスティーブン・ユァン、母モニカを「海にかかる霧」のハン・イェリ、祖母スンジャを「ハウスメイド」のユン・ヨジョンが演じた。韓国系アメリカ人のリー・アイザック・チョンが監督・脚本を手がけた。 

トムとジェリー」(3月19日公開)

多才だがお調子者でドジなネコのトムと、見た目はかわいらしいがずる賢く容赦ないネズミのジェリーが繰り広げるドタバタを描き、1940年の誕生から80周年を迎えた「トムとジェリー」を実写映画化。アニメーションで描かれるトムとジェリーが実写映像に融合し、クロエ・グレース・モレッツをはじめとした俳優陣と共演する。

ニューヨークの高級ホテルに引っ越してきたジェリーと、そんなジェリーを相変わらず追いかけるトム。新人ホテルスタッフのケイラが働くそのホテルでは、世界が注目するセレブカップルのウェディングパーティが行われようとしていたが、トムとジェリーのせいで台無しになってしまう。汚名返上のためタッグを組むことになったトムとジェリーが、世界一素敵なウェディングパーティを開こうと奮闘する。

ケイラ役のクロエ・グレース・モレッツほか、「アントマン」シリーズのマイケル・ペーニャ、「デッドプール2」のロブ・ディレイニー、「ハングオーバー!」シリーズのケン・チョンらが共演。「ファンタスティック・フォー 超能力ユニット」のティム・ストーリーがメガホンをとった。

まともじゃないのは君も一緒」(3月19日公開)

婚前特急」の監督・前田弘二と脚本・高田亮が再タッグを組み、成田凌と清原果耶がダブル主演を務めた恋愛ドラマ。人とのコミュニケーションが苦手で、数学ひと筋で生きてきた予備校講師の大野。今の生活に不満はないが、このままずっと1人でいることに漠然とした不安を抱えている。世間知らずで「普通」が何かわからない彼は、女の子とデートをしてもどこかピントがずれているような空気を感じる。教え子の香住は、そんな大野を「普通じゃない」と指摘してくれる唯一の相手だ。恋愛経験はないが恋愛雑学だけは豊富な香住に、「普通」を教えてほしいと頼み込む大野だったが……。

映画ヒーリングっど♥プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!」(3月20日公開)

人気アニメ「プリキュア」劇場版シリーズの通算29作目。「思いやり」と「絆」をテーマに2020年2月~21年2月に放送されたシリーズ17作目「ヒーリングっど♥プリキュア」の劇場版。

のどかたちが身に着ける「ゆめペンダント」の力で心の中に思い描いた夢を映し出す「ゆめアール」体験が流行している東京。みんなの夢があふれる街で、のどかたちは不思議な力をもった少女カグヤと出会う。そこへ夢を狙う謎の敵が現れて……。

プリキュア」シリーズ4作目「Yes!プリキュア5」と、その続編でシリーズ5作目「Yes!プリキュアGoGo!」のプリキュアたちも登場し、「ヒーリングっど・プリキュア」のプリキュアたちと共闘する。短編アニメ「映画トロピカル~ジュ!プリキュア プチ とびこめ!コラボ・ダンスパーティ!」が同時上映。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>10日前に公開日発表をしたシン・エヴァ、緊急事態宣言下で公開された邦画の効果ありか?

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お久しぶりです。5ヶ月も間が空いてしまいました。私情でブログの更新ペースを途絶える形となりました。毎週あるべき(自分のルーティンとしていた)このコーナーも今週から再開できそうです。

さて、まずそもそも前回は「鬼滅の刃」が初登場1位にランクインしたところで更新を途絶えてしまいました。そして、ご存知のように「鬼滅の刃」は日本の歴代興収で1位を取ってしまいました…まさかとは思いましたが、取ったという事実に変わりありません。他にも「STAND BY ME ドラえもん2」が前作の反動からか30億円近くしか稼げなかったり、「新解釈・三國志」は福田雄一監督のネームバリューが健在であることを示し、「ワンダーウーマン 1984」はアメリカでは配信サービスとの並行公開も展開されました。「えんとつ町のプペル」の宣伝展開に関しては少々疑問の声が挙がったり、「銀魂 THE FINAL」の入場者特典には相変わらずの作品の力に笑わされたりもしました。また、2度目の緊急事態宣言が1月から発出されたことにより、「ザ・スイッチ」、「シン・エヴァ」、「ザ・ファブル」の続編、「ドラえもん」の新作、「キネマの神様」などが相次いで延期をする事態となり、作品不足、夜8時までの時短営業に追い込まれた形となりました(閉館ではなく時短であることに止まらない安心はありますが、補償がないとかあったり)。これがここ5ヶ月のざっくりとした興行の展開です。あと、リバイバル上映に出会す回数も増えたとかありましたね(これもまた違う機会に書いていければ良いかな…と思います)。

さて、今回は5週連続1位の「花束みたいな恋をした」といよいよあと2日後に公開される「シン・エヴァンゲリオン劇場版」について書いていきます。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「花束みたいな恋をした」。土日2日間で動員12万8000人、興収1億7600万円をあげ、前週比は動員で-4.2%、興収で-6.5%と、変わらず落ちの少ない興行となっており、累計では動員167万人、興収22億円を突破した。

2位は「劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」。土日2日間で動員10万人、興収1億5600万円をあげ、前週比は動員で+5.5%、興収で+3.3%と公開から20週目を迎えたとは思えない驚きの数値となっており、累計では動員2768万人、興収381億円を突破。

3位は「名探偵コナン 緋色の不在証明」。累計では動員51万人、興収7億3800万円を突破した。

4位は「ライアー×ライアー」。累計興収は4億3100万円を突破。

5位は「銀魂 THE FINAL」。累計で動員125万人、興収17億円を突破。

6位は「樹海村」。累計興収は5億4200万円を突破。

7位は「映画 えんとつ町のプペル」。累計で動員163万人、興収22億円を突破。

8位は「ファーストラヴ」。累計興収は4億8500万円を突破。

9位は「劇場版ポケットモンスター ココ」。累計で動員144万人、興収16億円を突破。

10位は「すばらしき世界」。累計で動員29万人、興収3億9100万円を突破。

 

2.興収チェック!「花束みたいな恋をした」

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先週末1位に輝いたのが「花束みたいな恋をした」。先週末を含めて5週連続での1位となった。「東京ラブストーリー」や「カルテット」などを手がけてきた坂元裕二によるオリジナル脚本を菅田将暉有村架純の主演で映画化した作品。

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5週連続で1位を獲得した本作は週末興収の落ちが少なく、累計興収は20億円を突破した。なお、本作の配給をしているのは東京テアトルリトルモアという東宝などのメジャー配給ではない小中規模の映画会社である。こうした小中規模の配給会社の作品が20億円を突破したのは2018年の「万引き家族」(ギャガ)と「カメラを止めるな!」(アスミック・エース/ENBUゼミナール)以来となる。

本作でも劇中歌やストーリーの要素の一つまでをも担うことになったAwesome City Clubはインスパイアソング「勿忘」がストリーミングサービスなどで話題となり、「CDTV ライブ!ライブ!」や「ミュージックステーション」にそれぞれ初出演を果たすなど世に知れ渡ることになったりとちょっとした社会現象も生み出すほどにヒットを記録している。

ここまでのヒットを記録したのは純粋に作品の素晴らしさ、面白さ(筆者も観たが、今年ベスト級です…)でのクチコミヒットもあるが、緊急事態宣言によって、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」や「ザ・ファブル 第2章」といった競合作が延期をしたことも要因として挙げられる。競合作がない状況で本作が大ヒットし、映画館としても上映スクリーンの座席数をさらに多いところに移すなどの対応も見られ、緊急事態宣言下でありながらも興収20億を記録するヒットを生み出したのはこうした要因があってこそだと思う。もちろん、菅田将暉有村架純両名のネームバリューあってこそでもある。この勢いも今週末までだと思われる。というのも、今週末を潜り抜けるとついにあの作品の公開が始まるからである。

 

3.「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の公開日が3月8日に決定!

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この一報が流れたときは驚かれた方も多かったのではないだろうか。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの最終章にして、「エヴァンゲリオン」シリーズの最終作とも言われている「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の公開日が3月8日に決定したのだ。

本作は元々2020年6月27日の公開を予定していたが、1度目の緊急事態宣言により、4月に延期を発表。10月に2021年1月23日の公開を発表したが、2度目の緊急事態宣言により、公開9日前にして公開延期を発表していた。そして、現在の公開日に落ち着いたわけでありますが、今回の一報で驚く点が2つありました。

1つ目が公開日から10日前に発表をした点。現在の公開日を発表したのが2月26日(金)。これは公開日10日前という急転直下での発表だ。普段なら、宣伝の兼ね合いや公開劇場の準備などを考えて、2〜3ヶ月くらいはあるものなのだが、公開劇場の準備がギリギリできる10日前の発表はファンにとっては心の準備も儘ならない状態に陥ったのではないだろうか。

2つ目が公開初日が月曜日だという点。映画の公開日は金曜日か土曜日であることが通例だが、本作は月曜日を選択。というのも、実はこの3月8日というのは緊急事態宣言が全国的に解除される予定日であったからだ。その日に選択をして、全国的に朝から晩まで上映しようという配給側の目論見があったのだろう。もちろん、こうした大作が月曜日で祝日でもない平日を公開初日にすることなど異例中の異例だ。ただ、この目論見は1都3県の緊急事態宣言の延長によって少々潰れたところもある。

本作を再延期しても(あるいはそんな宣言明けてすぐに公開しなくても)良いじゃないかという声もあるだろうが、本来その週末に公開される予定だった東宝配給のドラえもんの新作が延期され春休みの目玉がなかったこと、映画館側も鬼滅の威力が尽きてきてラインナップの強力さがなくなってきたことも考えると早く上映したい、これ以上の延期はよろしくないという考えも分からなくはない。そして、何よりも本作の公開日決定の公式アナウンスには「継続的に各劇場にて有効な感染対策がなされていること、さらに感染リスクを軽減する新たな鑑賞マナーの定着」と書かれており、劇場や観客自身の感染対策(映画館がクラスターになった実例が報告されていないこと)への評価もなされており、これならば、公開しても大丈夫だろう、たとえ緊急事態宣言が再延長されても問題はないだろうということもあったのではないのだろうか。個人的にはそれらに加えて、緊急事態宣言下でも映画館側は作品の供給を続けてきており、花束みたいな恋をしたや鬼滅の刃が引き続き大ヒットしたことも評価したのではないのだろうかと考える。

という異例の公開日発表により、いよいよ公開が迫ってしまった本作(エヴァの宣伝展開の素晴らしさはまた後日書いていきたい)。ここからはどういった上映規模になるのか、はたまたどういった興収を叩き出すのかを考えていきたい。

シン・エヴァの公開規模は鬼滅並み?

今回も鬼滅の刃での調査と同様に東宝の上映劇場一覧に載せられてる劇場すべての初日の上映スケジュールを調べてみました。

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本作の上映館数は346館。鬼滅が365館でしたので少し少ない状況です。初日の上映回数も5722回。鬼滅に比べると7割くらいといったところ*1。これは前述したように緊急事態宣言によって、鬼滅では42回と爆走したTOHOシネマズ新宿も本作は半分の21回での上映となるようにレイトショーまでの上映が首都圏に関しては出来ないということや上映時間が155分と長めなため、頑張っても1スクリーンで4回程度しか回せないという理由が挙げられる。

だが、本作では、IMAX上映に加えて、4D上映も同時公開を始めたり、朝7時の初回上映をする劇場が鬼滅の刃(83館)より増えている(96館)という好都合も働いている面もある。さらには複数のスクリーンに跨っての上映を敢行する劇場がほとんどで、公開スタイルは「鬼滅の刃」の成功例を活かした形となっている。これらが上手く活用できれば…良い結果が生まれるのか?

「シン・エヴァ」の初週の興収は?

さて、エヴァシリーズ初となる東宝配給*2によりここまでの規模での上映が行えること、「ヱヴァQ」での波乱、「シン・ゴジラ」のメガヒット、エヴァのブランド化によって認知の拡大がされていること、数年前から劇場の予告などで大々的に告知がされていること、そして、何より「エヴァンゲリオン」シリーズがついに完結を迎えるということもあり、大ヒットが見込めるのは間違いない。

ちなみに前3作と「シン・ゴジラ」のデータがこちら。

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こうしたデータを元に自分自身も予想をしたいが、これに限っては予測不能だ。というのも、先ほど挙げたように初日が土曜日といった週末ではなく、月曜日という平日であることでどのように興収発表されるかが分からないところだ。金曜日から開始された予約状況の熱気を見る限りは初日で5億円はいきそうであり、1週間で15〜20億円という記録を出すと予想する。初日と初週末にどう記録していくかにまずは注目であり、興行通信社や配給はデータを公表していったほうが良いと思う。最終的には「Q」超えを目指していきたいが、こればかりはコロナと競合作のぶつかり合いを見ていくしかないだろう。

さて、ファンが待ちに待ち望んだ(来てほしくない現実を願った)作品の到来、異例の興行形態が幕を開ける。次回(来週)は初日のデータが出れば、そちらを書いていこうかと。本格的に書くのは再来週だと思います。とりあえず、自分は初日と2日目で4回、既に予約して臨む姿勢だ。

 

4.今週末の注目作

太陽は動かない」(3月5日公開)

「怒り」「悪人」などで知られる吉田修一のスパイアクション小説「太陽は動かない」「森は知っている」を藤原竜也主演で映画化。

謎の秘密組織AN通信。この組織に属するエージェントは心臓に爆弾が埋め込まれ、24時間ごとに死の危険が迫まるという。エージェントの鷹野は相棒の田岡とともに、死の危険を抱えながら「全人類の未来を決める次世代エネルギー」の極秘情報をめぐって、各国のエージェントたちとの命がけの頭脳戦を繰り広げる。

鷹野役の藤原竜也、田岡役の竹内涼真のほか、ハン・ヒョジュ、ピョン・ヨハン、佐藤浩市市原隼人南沙良、日向亘、加藤清史郎らが脇を固める。監督は「海猿」「暗殺教室」「MOZU」など数多くのヒットシリーズを手がける羽住英一郎

ラーヤと龍の王国」(3月5日公開)

龍の王国を舞台に少女の戦いと成長を描くディズニーの長編アニメーション。

聖なる龍たちに守られた王国。人びとが平和に暮らすその王国を邪悪な悪魔が襲った。龍たちは自らを犠牲に王国を守ったが、残された人びとは信じる心を失っていった。500年の時が経ち、王国をふたたび魔物が襲う。聖なる龍の力が宿るという「龍の石」の守護者一族の娘ラーヤは、王国に平和を取り戻すため、姿を消した最後の龍の力をよみがえらせる旅に出る。

監督はアカデミー長編アニメーション賞を受賞したディズニーアニメ「ベイマックス」のドン・ホールと、実写映画「ブラインドスポッティング」のカルロス・ロペス・エストラーダ。劇場公開と同時にDisney+でも配信(追加料金が必要なプレミアアクセスで公開)。

キンキーブーツ」(3月5日公開)

実話を元にしたイギリスの同名映画を、ハーベイ・ファイアスタインの脚本とシンディ・ローパーの作詞・作曲で舞台化し、ブロードウェイでも上演されてトニー賞を受賞したミュージカル。日本でも小池徹平三浦春馬の主演で上演された大ヒットミュージカルのオリジナル版の模様を映像に収め、スクリーン上映。

自分の意思に反して、倒産しそうな靴工場の跡継ぎとなったチャーリーは経営困難に苦しんでいた。そんな中、チャーリーは外見も振る舞いも違うドラァグクィーンのローラと仲間たちに出会う。そんな2人には思いがけない共通点があった。

ニューヨーク・ブロードウェイの傑作舞台を映画館で上映する「松竹ブロードウェイシネマ」シリーズの1作。

サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス」(3月5日公開) (PG12)

自らを土星生まれと語り、フリージャズのカテゴリーに括りきれないアバンギャルドな作品を数多く発表した作曲家サン・ラーが脚本、音楽、主演を務めたSF映画

地球から姿を消した大宇宙議会・銀河間領域の大使サン・ラーは、音楽を燃料に大宇宙を航行していた。ついに地球と異なる理想の惑星を発見し、地球に戻ったサン・ラーはジャズのソウル・パワーによる同位体瞬間移動を用いて、アメリカにいる黒人のブラザーたちの移送を計画する。しかし、その技術を盗もうとするNASAアメリカ航空宇宙局)の魔の手が迫っていた。

1974年に製作された81分のオリジナル版を2021年に日本初公開。

野球少女」(3月5日公開)

韓国ドラマ「梨泰院クラス」で注目を集めたイ・ジュヨンが主演を務め、プロ野球選手を目指す女子高生の奮闘を描いた青春スポーツ映画。

豪速球とボールの回転力が強みの女子高生チュ・スインは、高校卒業後はプロ野球選手の道へ進むべく練習に励んでいた。しかし女性というだけで正当な評価をされず、プロテストすら受けられない。さらに、友人や家族からも反対されてしまう。そんな折、プロ野球選手の夢に破れた新人コーチのチェ・ジンテが赴任してきたことで、彼女の運命は大きく動き出す。

主人公を支えるコーチを「僕の中のあいつ」のイ・ジュニョク、母親を「無垢なる証人」のヨム・ヘランが演じる。

ARIA The CREPUSCOLO」(3月5日公開)

 

2005年から放送された人気テレビアニメ「ARIA」シリーズの劇場版。原作者・天野こずえが描き下ろしたコミックをもとに、テレビ版の監督を務めた佐藤順一が総監督・脚本を手がけた。

水の星アクアの観光都ネオ・ヴェネツィア。水先案内店「オレンジぷらねっと」で修行の日々を送るウンディーネ(水先案内人)のアーニャには、気掛かりなことがあった。それは、先輩のアリスとアテナが、互いに多忙なためずっと会えていないこと。そのせいで元気がないアテナに対し、アリスはなぜか会うのを避けている様子だった。友人のアイやあずさにも協力してもらい、先輩たちが会える方法を探すアーニャだったが……。

キャストにはアリス役の広橋涼、アーニャ役の茅野愛衣らおなじみの声優陣に加え、アテナ役で佐藤利奈、劇場版オリジナルキャラクターのアレッタ役で安野希世乃が新たに参加。

レイダース 失われたアーク《聖櫃》4Kリマスター版4DX」(3月5日公開)

インディ・ジョーンズ」シリーズの記念すべき第1作で、「スター・ウォーズ」のジョージ・ルーカスと「ジョーズ」「未知との遭遇」のスティーブン・スピルバーグが初タッグを組み、1981年に製作した冒険活劇。主演ハリソン・フォードの代表作のひとつとして広く知られ、以降もシリーズ作品が大ヒットを重ねた映画史に残る名作アクションアドベンチャー

第2次世界大戦前夜の1936年を舞台に、旧約聖書に記されている十戒が刻まれた石板が収められ、神秘の力を宿しているという契約の箱(=聖櫃)を巡って、ナチスドイツとアメリカの考古学者インディ・ジョーンズハリソン・フォード)が争奪戦を展開する。

原案はルーカスとフィリップ・カウフマン。脚本は「スター・ウォーズ 帝国の逆襲」のローレンス・カスダン。1981年の初公開から40周年を記念して2021年、体感型上映システム「4DX」で4Kリマスター版を上映。

星の王子ニューヨークへ行く 2」(3月5日Amazon プライム・ビデオにて配信)

1988年に公開された「星の王子 ニューヨークへ行く」がエディ・マーフィらオリジナルキャストが再結集して描かれる33年ぶりの続編。

緑豊かな王国ザムンダを舞台に、新たに戴冠した国王アキームと、彼の親友であるセミが、アフリカからニューヨーク・クイーンズを目指し、全く新しい陽気な冒険を繰り広げることになる。

アキーム役のエディ・マーフィセミ役のアーセニオ・ホールの他、父親ジャファ役のジェームズ・アール・ジョーンズ、執事オーハ役のポール・ベイツ、クイーン・リサ役のシャリー・ヘッドリー、クレオマクダウェル役のジョン・エイモス、モーリス役のルーイ・ アンダーソンや、前作に登場したお馴染みの床屋の店員など、オリジナルキャストが再結集し、人気ラッパーのリック・ロス、「ビール・ストリートの恋人たち」のキキ・レイン、「ブレイド」シリーズのウェズリー・スナイプス、「ゴーストバスターズ」のレスリー・ジョーンズ、「コップ・アウト ~刑事した奴ら~」のトレイシー・モーガン、「ホワイト・ボイス」のジャーメイン・ファウラー、エディ・マーフィーの実娘・女優のベラ・マーフィーなど新キャストも参加している。監督はエディが出演した「ルディ・レイ・ムーア」のクレイグ・ブリュワー

シン・エヴァンゲリオン劇場版」(3月8日公開)

庵野秀明監督による大ヒットアニメ「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの完結編。

1995~96年に放送されて社会現象を巻き起こしたテレビアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」を再構築し、4部作で新たな物語を描く「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズ。2007年に公開された第1作「エヴァンゲリオン新劇場版:序」、09年の第2作「エヴァンゲリオン新劇場版:破」、12年の第3作「エヴァンゲリオン新劇場版:Q」に続く今作は、庵野総監督の下、テレビシリーズから新劇場版までシリーズに深く携わってきた鶴巻和哉と、新劇場版シリーズで副監督など務めてきた中山勝一が監督を担当し、新たな結末が描かれる。テーマソングは、これまでの新劇場版シリーズも担当した宇多田ヒカルが引き続き手がけた。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

*1:鬼滅の初日は7960回。鬼滅と重なる劇場では1956回少ない。

*2:なお、本作は東宝東映・カラーの共同配給だ。東宝東映がタッグを組むのも史上初のこと。映画史に刻まれる事件が実は起こっている。

#2020年映画ベスト10 を考えてみる

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時は、2020年。この1年、世界はコロナで一変。それはもちろん、映画を鑑賞するという行為においても同じだ。期待していた映画の公開延期、席を空けた鑑賞とマスクの常時着用、飲食の規制とこれまでの映画館鑑賞とは離れていく様、配信映画の躍進と公開延期作の配信移行による賛否両論の加熱論争…etc。2020年が映画においてもここまで冷たく、でも劇的に変わっていくとは思わなかった。この激動の年を生き抜き、映画を追ってきた、そんな年のベスト10、当ブログに載せたいと思う。

今年観た新作映画は43本。昨年よりは少し減った感じですかね…↓からベスト10を決めていきます。

 

 

1.勝手にあげたいで賞

さて、せっかくブログに書くのだから、なんか勝手にあげる賞を作ってもいいんじゃないかということで「勝手にあげたいで賞」なるものを作成。まあ、とりあえず見てってくださいな。

・ベスト・アクター

「透明人間」エリザベス・モス

「ミッドナイトスワン」草彅剛

「スパイの妻」「おらおらでひとりいぐも」蒼井優

「私をくいとめて」のん

よく、ベスト・ガイ、ベスト・ガールと区分けされがちですが、勝手にあげるので、もはやそんな性別に分けなくて良くね?ということでアクター(俳優)で一括りで。

まず、エリザベス・モスは恐怖を現し、復讐を果たしていく演技は映画の面白さを上げさせた。草彅剛(ご結婚おめでとうございます…)に関してはトランスジェンダーという役所を成し遂げ、演技の幅を広げると同時に日本においてトランスジェンダーの存在認知にも成功させたのではないだろうか(映画きっかけで良き方向に向くことを願うばかり…)。蒼井優の今年の2作品での演技はもはや名女優の看板を背負ってもおかしくない領域。「スパイの妻」に関しては最初から最後まで昭和の名女優そのものでお見事!のんの妄想相手と話すあの演技、すなわちひとり芝居に関しても褒めたほうがいいに決まってる。ということで以上の4人に勝手にあげます。

・ベスト・サポート

「1917 命をかけた伝令」コリン・ファースベネディクト・カンバーバッチ

「シカゴ7裁判」ジョセフ・ゴードン=レヴィット、マーク・ライランスマイケル・キートン

この2作品に関してはそこまで情報を知らずに見たので、あれ?あの俳優出てるの!?という驚きとそこからの良い演技してんな…という納得で。こういう助役があることで映画はより引き立つのです。

・ベスト・アンサンブル

「パラサイト 半地下の家族」

「初恋」

「シカゴ7裁判」

ベスト・アクターで一括りにしてもそれは個人でしか評価できない。映画は演技の総合体で面白いと思うときもある。ベスト・アンサンブルはそれで勝手にあげます。

「パラサイト」のキム家とパク家の関係性、「初恋」のヤクザと警察と主人公のボクサーのぶつかり合い、「シカゴ7裁判」の裁判の掛け合い…どれも非常に良かった。

・ベスト・ニューカマー

ジョジョ・ラビット」ローマン・グリフィス・デイヴィス、トーマシン・マッケンジー、アーチー・イェーツ

「はちどり」キム・ボラ監督

「ミッドナイトスワン」服部樹咲

新人賞、今年はこの3人に。「ジョジョ〜」の主人公とユダヤ人の少女エルサ、親友ヨーキーの子供の成長を感じる演技、キム・ボラ監督は長編初監督、服部樹咲は初出演でここまでの表現力を魅せたことに大きな期待を込めて勝手にあげます。

・ベスト・コンビ

「フォードvsフェラーリ」キャロル・シェルビー(マット・デイモン)&ケン・マイルズ(クリスチャン・ベール)

「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」エイミー(ケイトリン・ディーヴァー)&モリー(ビーニー・フェルドスタイン)

「TENET テネット」名も無き男(ジョン・デヴィッド・ワシントン)&ニール(ロバート・パティンソン)

「燃ゆる女の肖像」マリアンヌ(ノエミ・メルラン)&エロイーズ(アデル・エネル)

今年は非常にブロマンス映画やシスターフッド映画に出会う機会がとても多かったように感じます。「フォード〜」のマット・デイモンクリスチャン・ベールの友情、「ブックスマート」の冴えない2人の駆け抜ける一夜、「TENET」の時間や世界と戦う中で明かされる運命、「燃ゆる女〜」の芽生えていく愛…どれも非常に素敵な仲を見せてくれたように思います。

・ベスト・ディレクター

「パラサイト 半地下の家族」ポン・ジュノ監督

「TENET テネット」クリストファー・ノーラン監督

ポン・ジュノ監督のモチーフの捉えることのうまさはオスカーでも監督賞を獲るまでに評価され、ノーラン監督はもはやハリウッドにおいて、ここまでオリジナリティで世界をアッと驚かせることを証明していることのある種の恐ろしさ…そこを評価し、勝手にあげます。

・ベスト・リバイバル

AKIRA IMAX版」

ガメラ 大怪獣空中決戦 4K HDR」(ドルビーシネマ)

今年はコロナの関係で新作映画の延期が相次いだことにより、リバイバル上映の規模が大きな作品が多かったのも印象的。そんな中でもこの2作品は特に印象に残ってます。「AKIRA」は何より2020年を舞台にしたことにより現実とリンクさせて鑑賞してしまったこと、「ガメラ〜」はドルビーシネマで鑑賞できることの幸福さを感じました。やはり、映画館で観る映画の興奮ってものは大事にしていきたい…と感じた一年でした。

・ベスト・ソング

「パラサイト 半地下の家族」「Soju One Glass」

「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」「Bitter Sweet Symphony」

「TENET テネット」「The Plan」

「おらおらでひとりいぐも」「賑やかな日々」

「私をくいとめて」「君は天然色

君は天然色

君は天然色

  • 大滝 詠一
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

選びすぎだろうか…いや、これ以上は絞れん。「パラサイト」のエンディングであの音楽で締められるあの感覚、「ジョン〜」のエンディングで流れるザ・ヴァーヴのあの曲でそっと押される清々しさ、「TENET」のトラヴィス・スコット×ルドウィグ・ゴランソンタッグの曲は鬼リピしたし、「おらおら〜」のハナレグミは作品とマッチしてたし、「私をくいとめて」の大瀧詠一の使い方もお見事だった。

・ベスト・サントラ

「パラサイト 半地下の家族」

「TENET テネット」

印象的なサントラはこの2つ。どちらも映画の興奮をさらに上げさせてくれたと思います。思わずライブラリに入れてしまいました。あと、サントラではないけど、「ブックスマート」のSpotifyの公式プレイリストはとても有能だと思いましたね…

・ベスト・オープニング

ジョジョ・ラビット」

レ・ミゼラブル

ジョジョ〜」のビートルズの「抱きしめたい」をBGMに「ハイル、ヒトラー!」というオープニングは良かったし、ラジ・リ監督版のレミゼ(こう説明しないといけないの大変ですけどもしょうがない…)は2018年のワールドカップで優勝し歓喜に沸くフランスを写したこのオープニングも良かった。エンディングを思うとまた色々と感じることがあったり…

・ベスト・シーン

「パラサイト 半地下の家族」パク家の家政婦・ムングァンをなんとかしてパク家から離れさせるシーン、チャパグリ作るシーン

「1917 命をかけた伝令」攻撃中止を告げるためにウィルが戦地を走り抜けていくシーン

ワンダーウーマン 1984」ダイアナが真実の投げ縄を使って人々に説くシーン

「パラサイト」のこの2つのシーンは構図が完璧と言えるし、「1917」は音楽やこれまでのシーンと相まって、ウィルのことを自然と応援している自分がいたことに感動し、「ワンダーウーマン」は2020年にこのシーンを公開できて良かった…と思った。

・ベスト・エンディング

「パラサイト 半地下の家族」

ジョジョ・ラビット」

レ・ミゼラブル

「透明人間」

「mid90s ミッドナインティーズ」

「燃ゆる女の肖像」

「パラサイト」のモールス信号、「ジョジョ〜」の平和の祈念を込めたデヴィッド・ボウイの「ヒーローズ」をBGMにして踊る2人、レミゼの少年のあの眼差し、透明人間の見事なオチ、「mid90s」の青春タイムカプセル、「燃ゆる女の肖像」のヴィヴァルディの「「四季」協奏曲第2番 ト短調 RV 315「夏」」の猛烈な響き…6作品も選んだけど、どれも良くてだな…絞れません。

・ベスト・フード

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」エッグサンド

今年、本当に美味そうだったの、これ。食べたい(自分で作れ)…「パラサイト」のチャパグリも良いよね。

・ベスト・映画ニュース

「パラサイト 半地下の家族」がアカデミー賞で外国語映画として初の作品賞を受賞!

鬼滅の刃 無限列車編」が「千と千尋の神隠し」の興行収入を超え歴代No.1に!

ディズニー、「ムーラン」、「ソウルフル・ワールド」の劇場公開見送り

ワーナー、「ワンダーウーマン 1984」以降劇場/配信の並行公開を実施

映画ニュースにも賞を。「パラサイト」のオスカーの快挙も今年なんて随分遠い出来事にも思えてきますが、やはりあの快挙はアメリカ映画の賞で外国映画でも受賞できるんだという希望が明確になったのはとても大きいと思います。 「鬼滅の刃」が歴代1位になる日が来るとは…ある意味、このコロナ禍で劇場の空きを埋めたこと、自粛中に認知を増やしたことがあっての快挙でもあるように思えます。後半の2つのニュースは今後の映画界を見守る上でも重要なトピック。メジャー映画でも自社の配信サービスの手を借りなければならないほどもう映画館を救うにはそれしかない状況にあるってのは堪えますね…

・ベスト・トレイラー

「TENET テネット」

ザ・バットマン

 

モンスターハンター

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」

今年公開された予告から5作品。「TENET」のフォートナイトでの予告解禁イベントの斬新さ、「ザ・バットマン」はわずかな撮影ながらもここまで興奮する予告を公開したこと、「モンスターハンター」の「英雄の証」を流すだけで興奮を覚える不思議さは評価したいし、「シン・エヴァ」はもはや楽しみでしかない(事前告知なしで劇場で予告解禁するイベント性はすごく良い)。

・ベスト・パンフレット

「ミッドサマー」

「ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」

「TENET テネット」

「ミッドサマー」、「ブックスマート」の他にも「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」、「マティアス&マキシム」と今年は大島依提亜がデザインするパンフレットはどれも良かった。「ブックスマート」がモリーとエイミーで選べる表紙だったり、現代コメディ映画の相関図と各大学を卒業したキャラを網羅したMCU(Movie Campus Universe)は読み物として抜群だった。

「TENET」は物理学視点からの解説は鑑賞後には持ってこいな内容でベスト解説。

・ナイス宣伝賞

「アングスト/不安」犬の安否を伝える宣伝

 

「パラサイト 半地下の家族」 アカデミー賞受賞時のトランプ大統領による発言に対しての配給会社・NEONの対応

今年の素晴らしい宣伝をしたところにも勝手に賞を。まずは日本から「アングスト」。あの「ギャスパー・ノエ監督が60回以上観た」という宣伝文句などでただならぬ狂気を放っていた本作で犬が無事と敢えてネタバレするというのはナイス宣伝。結構犬猫が殺されないか心配する人っているのでそこの声を上手く拾って面白かったです。そして、海外からは「パラサイト」。アカデミー賞の快挙にも関わらず、トランプ大統領韓国映画が受賞したことに怒りを覚え、「『風と共に去りぬ』にしよう。」と発言。これに対してアメリカでの配給を請け負っていたNEONが「そうね。彼は字が読めないから。」と皮肉混じりの引用RTを行ったことは大きな話題となった。その気概にあっぱれということで賞を。

2.次点

さて、ここからはランキング…といきたいところですが、まずは次点を。今年は本当に傑作が多くて…ってなわけで惜しくもトップ10には入らなかったものの、次点として挙げたい作品を10作品。順不同でまずはお届け。リンクは自分のfilmarksのレビューです。宜しければご覧ください。

初恋

三池崇史監督の久々の傑作ではないだろうか。ガンで余命わずかと宣告されたボクサーがある出会いをきっかけにヤクザとの抗争に巻き込まれていく濃密な一夜を描いた作品。人生一度きりならこんな一夜も悪くないと走り抜けていく様、タイトルや俳優、はたまたヤクザ映画として観てもことごとく良い意味で裏切られるこの映画は非常に面白かった。

ジョン・F・ドノヴァンの死と生

グザヴィエ・ドラン監督作。人気俳優、ジョン・F・ドノヴァンと11歳の少年ルパートは手紙で交流しているのだが、ジョンは若くして死んでしまう。そこには何が…?今年は俳優の若くしての訃報が相次いで届き、そのたびにこの映画を思い出していました。映画に関しては誰もが持つ孤独と秘密を文通を通して描かれていき、ラストは2000年代と2010年代の時代の寛容さを現してるように感じた。次作「マティアス&マキシム」を前に私小説的作品を出せたのはなかなか良い。

はちどり

1994年の韓国を舞台にして描かれる14歳の思春期と韓国の社会背景…じっくりと反芻していく展開と1994年と2020年が橋で繋がること。キム・ボラ監督がこれで長編映画初監督作品と聴いて、これからが期待できると感じた一作。

mid90s ミッドナインティーズ

アメリカ・ロサンゼルスの90年代を生きた少年少女たちを描いた作品。90年代が好きってのもあるが、物語が90年代ノスタルジーとしてすごく青春の刹那をうまく捉えてるなと感心しました。本当、今年はスケボーに乗ってみたいと思うことが多かった1年に思えます。

・スパイの妻

黒沢清監督がヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞したことでも話題となった一作。監督のホラー的演出が見事に戦争へと向かう日本の恐ろしさをも描いているという面白さ…蒼井優高橋一生東出昌大の演技が良い。東出昌大の今年の出演作を見てると下手に自粛しろとは個人的に言えなかったかな…

・おらおらでひとりいぐも

 

歳をとることをこんなにファンタジックに描くこともできる…これまでの生涯の重みもまだ生きていけるその希望もすべてをまとめて今ここ、地球で生きていけるとミニマムだけど、壮大に描かれた面白い一作。田中裕子がもう日本のおばあちゃん代表でいける歳になってきてるのかな…とも(彼女、まだ65歳ですけどね)。

ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒

「KUBO」などを生み出しているスタジオライカの新作。ストップモーションアニメとしてのクオリティはもちろんのこと、物語も分かりやすく冒険譚を仕掛けており、本当はもっとたくさんの人が見て欲しいな…なんて思ったりも。

・バクラウ 地図から消された村

カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した作品。予告からカンヌで…?なんて思っても観ればとても納得する一作。格差を血と暴力で描かれていく怪作…拡大公開するなりしたほうがいいっすよ。

・燃ゆる女の肖像

2人の心の距離が徐々に縮まっていく様はただひたすらに美しい。そしてその美しさがエンディングのヴィヴァルディの「「四季」協奏曲第2番 ト短調 RV 315「夏」」でどう展開していくのか。たまらなかった…

・Mank/マンク

デヴィッド・フィンチャー監督の最新作。父・ジャックの脚本もあって描かれるのは「市民ケーン」が作られていく過程を脚本のハーマン・マンキウィッツの視点を通して作られた作品。1930年代ハリウッドの光影が白黒を通して描かれていく。劇中に現代の世論を作り上げていく過程にも見えたシーンがあったのが現代とのトンネルは続いたままなんだな…と。2010年代がフィンチャーの「ソーシャル・ネットワーク」で始まったとするならば、2020年代は本作を持ってして始まるのかな…と。NETFLIX映画のさらなる加速、映画の宝箱の無限大さ。

 

というわけで、以上、次点の10作品でした。

 

3.2020年映画ベスト10

お待たせしました。いよいよトップ10の発表。果たしてどんな作品をトップにしたのか…

ちなみに過去のトップ10の一覧はご覧の通り…

第10位

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY

DCユニバース最大の収穫、ハーレイ・クインの躍進がヴィラン映画とガールズチーム映画で傑作を生み出した。ジョーカーが病みきった今はハーレイ・クインしか勝たん。ここ数年のアメコミ映画の総括的一本。

第9位

私をくいとめて

のんの一人芝居が光る一作。おひとりさまが何ら不思議ではない現代において、人との距離感をどう掴めばいいのか葛藤する様…今年、人との距離感について色々と考えたこともあり、余計にいい作品だと思えた作品。

第8位

ブックスマート 卒業前夜のスマートデビュー

 

これは青春映画の新時代の到来である。スクールカーストも人種も性別ももうここまで来てるんだと感じるとともに目まぐるしい卒業前夜を駆け巡る2人の青春冒険が最高な映画。この友情があるからこそ、この一夜はより強固なものになっていく…

第7位

シカゴ7裁判

人種差別についてこれまで以上に考えた2020年に放り込まれた一作。あの猿ぐつわに言葉を失い、ラストシーンに目頭が熱くなる。2時間で裁判を描き切るアーロン・ソーキンの脚本力はやはり素晴らしいとしか言えない。

第6位

レ・ミゼラブル

あのレミゼの舞台で描かれる移民と貧困という現代問題…やがて怒りは暴動を生み出し、若者たちは将来そっちのけでその怒りを増幅させ、取り返しのつかない領域に持っていく。誰がそうさせたのか、もはや自業自得や因果応報では済まない正義がこの世にたくさん存在することに絶望感を抱かずにいられない一作。

第5位

透明人間

2020年に透明人間を描くことはこれまで描いていたことは絶対に出来ないという課題がある中でDV、モラハラに襲われる彼女の恐怖と復讐を描くことで現代において恐怖を描くこととは?という課題すらクリアしていくスリラー映画の大傑作。そして、ラストに提示されるのは「The Invisible "Man"」であることへの疑問…お見事。

第4位

1917 命をかけた伝令

映画を鑑賞することで得られる体験の一つに時代を体感することができるというのがある。本作はそれを突き詰めてカットほぼなしで描かれていく。そう、戦争を生き抜くということはリテイクもカットも許されない一度きりの物語だからだ。編集力も見事な一作。

第3位

ジョジョ・ラビット

タイカ・ワイティティ監督がヒトラーをイマジナリーフレンドにすることで描かれる愛と平和への祈念。ユダヤ人少女と出会うことで始まるジョジョの成長。ラストのあのダンスこそが愛であり、平和であり、最強なのだ。

第2位

TENET テネット

クリストファー・ノーラン監督が仕掛ける時間軸の再解釈。時間を巻き戻す行為にちゃんとその地まで逆行することの過酷さを足した。もはやタイムトラベル映画は下手に作れなくなった。もう、ハリウッドはノーラン監督の脳内に教条(テネット)するしかないのか?コロナ禍でなかなか見られなかったハリウッドメジャー映画であるということも加点ポイント。

第1位

パラサイト 半地下の家族

もう、今年は年明けからこの映画がずっと1位でした。ていうか、自分の中で「パラサイト基準」というのが出来上がっており、どんな映画を観ても、ここのリズムがな…ここの描写は…なんて考えてるうちにパラサイトを上回るものは現れなかった。この映画、格差社会というテーマをここまでのエンターテイメントに落とし込んだ一級品であると同時に無駄のないリズムと描写が展開されていく。この世が解決できない問題があの家の中にずっと蝕むこと…世は残酷でしかない。

 

ということでトップ10はこのようになりました。いかがでしょうか?

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRD OF PREY

⑨私をくいとめて

⑧ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー

⑦シカゴ7裁判

レ・ミゼラブル

⑤透明人間

④1917 命をかけた伝令

ジョジョ・ラビット

②TENET テネット

①パラサイト 半地下の家族

 

4.総評と来年の映画

ということで今年のベスト10を出したところで総括を。今年はコロナ禍で4月〜6月あたりはまともに映画を観に行けず仕舞いで、配信映画の躍進にもまだまだ乗り切れてないところもあったり(配信だとこれを観ようと出かける行為がなくなるので後回しになりやすい性格が災いを生んじゃう…)と色々なことがあった1年でしたが、今年を振り返るに当たって、2020年の映画は個人的に2つあったと思うんです。

1つ目は女性の活躍や性・国籍の多様性を描いた映画が多かったこと。ベスト10にも複数、女性が主人公だったり、活躍する映画を入れてますが、これはLGBTだったり、地位向上が映画にも現れてきた証拠でもあるように感じます。もはや、増えたとかそんなこと言わなくても良い時代がすぐそこに来てるのかなとも。これからのクリエイティブに期待したいところ。

2つ目は子供たちが活躍する映画がとても多かったこと。ジョジョ・ラビット、レミゼ、ブックスマートやmid90s、ベストには入れなかったものの「アルプススタンドのはしの方」も子供たち(若者たち)が主人公の映画でしょう。2020年はZ世代という言葉も多く聞かれたように若者たちの力がより強くなってきたのではないか?という一年でした。それは映画でも現されたと思います。

この2つは2020年の映画を観てきたうえでとても感じた一年でした。2019年は時代の変容さにもう明るいだけじゃ生きていけないことについて思った一年だったのですが、まさに2020年がその通りになってしまって。映画は総じて警告を発していたんだなって改めて思いもしましたが、今年に関してはその落ち込みからまだこの世にはやれることはあると闘う希望がたくさんあふれた作品に実は出会えた一年じゃないかなと自分は思っています。

さて、来年の映画は年明けから早々に「新感染半島」が公開、その後は「シン・エヴァ」というビッグイベントが待ち受けており、坂元裕二脚本の「花束みたいな恋をした」や「ノマドランド」も気になるところ。さらにはるろ剣やシン・ウルトラマン細田守監督や湯浅政明監督×野木亜紀子脚本、ウェス・アンダーソン監督の新作、「孤狼の血ll」、「ゴジラVSキングコング」の大型ビッグマッチ、アメコミ映画もMCUはディズニー+にも作品展開を始め、DCもジェームズ・ガン監督のスースクがいよいよ公開。配信勢もNetflixからはゼンデイヤ×ジョン・デヴィッド・ワシントンやザック・スナイダー監督の新作、Amazonからは「あの夜、マイアミで」も楽しみだし、Apple TV+のルッソ兄弟×トムホの新作も楽しみ。あとはHBO Maxが日本に来るのか(ザック版ジャスティスリーグが待機中)とか2020年公開延期勢も控えていたりと現状では空白の2020年を埋めるべく新作が待機している状態だ。そのうちのどれだけが来年に出会えるのかはまだまだ不安な世の中ではあるが、来年の今頃にはこれまでの盛り上がりを映画としては取り戻して欲しいと願うばかりだ。

 

最後に。当ブログは興行を語る「週刊興行批評」を展開しておりましたが、この数ヶ月更新が途絶えてしまったことをお詫びします。なかなか私的に忙しく、書く時間がなかったです。そうしてるうちに鬼滅が歴代トップまで登り詰めてしまい…書くべきだったな。年が開ければ書けるように整えますので来年もよろしくお願いします。ここまで読んでくださってありがとうございました。それでは良いお年をお迎えください。

<週刊興行批評>「鬼滅の刃」が3日で46億というオープニング成績の日本新記録達成!

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とうとうとてつもない記録が出てしまいましたね…今回は「鬼滅の刃 無限列車編」について考えていきたいと思います。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は初登場劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」。土日2日間で動員251万人、興収33億5400万円というこれまでの土日2日間の動員・興収歴代記録のおよそ2倍という歴史的記録を打ち立てた。初日から3日間の累計では動員342万人、興収46億円を突破した。

2位は初登場夜明けを信じて。」。初日からの3日間で動員14万8600人、興収1億8600万円をあげた。

3位は「TENET テネット」。累計では動員140万人、興収22億円を突破した。

4位は「浅田家!」。累計では動員60万5400人、興収8億円を突破。

5位は「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。累計興収は14億5400万円を突破。

6位は初登場スパイの妻」。初日からの3日間で動員3万6300人、興収4740万円をあげた。

7位は「映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」。累計で動員88万8300人、興収10億8000万円を突破。

8位は初登場みをつくし料理帖」。

9位は「望み」。累計興収は2億円を突破。

10位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。累計で動員269万人、興収32億5000万円を突破した。

 

2.興行チェック!「鬼滅の刃 無限列車編」

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先週末、初登場1位にランクインしたのは「劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」。もはや説明することもないだろう。公開3日間で観客動員約342万人、興行収入約46億2300万円を突破するメガヒットスタートとなった。

映画の公開前後で鬼滅の刃に関する話題もたくさん出ており、映画が動員、興収が日本新記録を出して以降は新聞やワイドショー、はたまた公共放送・NHKでも話題になるなど今、この社会現象は最高潮に到達してるのは間違いないだろう。自分が購読している中日新聞の朝刊にも2回一面に掲載されてましたね。映画が一面を飾るなんていつぶりだろう…「万引き家族」がカンヌでパルムドール獲って以来じゃないですかね。スゴいことです。

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(中日新聞・2020年10月20日朝刊より)
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(中日新聞・2020年10月22日朝刊より)

今回はそんな「鬼滅の刃」の特大ヒットスタートを考えていきたいと思います。

・「鬼滅の刃」のオープニング成績はどれだけスゴいのか?

改めて、本作のオープニング成績を振り返ろう。初日16日は動員91万507人、興収12億6872万4700円。17日は動員127万234人、興収17億172万3350円。18日は動員123万9752人、興収16億5266万9400円である。土日2日間では動員250万9986人、興収33億5439万2750円、金曜日からの3日間では動員342万493人、興収46億2311万7450円を記録した。

この興収46億円はどれくらいスゴいのか。まず今年大ヒットした「パラサイト 半地下の家族」の最終興収が47億円であるし、「今日から俺は!! 劇場版」でも46億円には7週間かかった。それをわずか3日で突破したのだからスゴいとしか言いようがない。

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ちなみに歴代オープニング成績をランキングしてみた。なお、備考に書いたとおり、条件は平等ではない。だが、これまで日本記録とされてきたオープニング成績でも20億円いくのがやっとだった。本作はその倍をいくという圧倒的なオープニング成績を叩き出した。これを打ち破るのはもはや永久に来ないのではないかと思えてくる。

また、この成績は日本国内だけでなく、海外でも大きく報道されており、「ニューヨーク・タイムズ」ではその週で日本以外の全世界の国々の興行収入の合計よりも本作の46億円のほうが稼いでいるという報道も出ている。

これはアメリカなどがまだまだ映画を本格的に上映できない環境にあるという故の現象ではあるが、それだけ本作の歴史的オープニング成績を出した日本は世界的に見れば、コロナの中でも映画業界の復興は早く、且つ羨ましいという見方なのだろう。

・「鬼滅の刃」が大ヒットすれば日本の映画界自体は良いのか?

さて、本作のオープニング成績のすごさは分かったと思うが、なぜここまでヒットしたのか。炭治郎や禰豆子、善逸、伊之助といったキャラ描写やジャンプマンガとしては良くできた戦闘描写とギャグの緩急の上手さという作品そのものの良さ(往年のジャンプらしさへの打破も要因としては否定できない)、マンガの完結が潔かったことやアニメがまだ26話しか出ていないこと(マンガなら8巻まで読めば本作に追いつく)から予習する環境としてはとても取っ付きやすかった点、「進撃の巨人」との類似点もある(ここではパクリとかではなく、キャラ配置、ストーリーの組み立て方がこの2作品は現代人にとてもウケるアルゴリズムを持っているということである*1。)といった様々な理由を挙げることが出来るが、こうした分析は他でたくさんやってるだろうからこれ以上書かなくて良いだろう。

ここではこのヒットを受けて日本の映画界として良いのか?を書いていきたい。良いのか?と疑問符を書いているということは全面的に良いとは言い切れないということでもある。まず、良い点を挙げるとするならば、映画館としては救いになる点だ。特に今、この状況はハリウッドの大作もほぼないに等しい状態であるということも加えてだ。前回のブログでは「コロナ禍でいかに観客を密にせずに分散させるかという理由から劇場としての安全・衛生確保のために複数のスクリーンに跨って、並行上映させる」という考えを書きました。確かにそれもあると思いますが、もう一つあるのではないか?と公開した後に思いました。

「大作にはそれくらいのスクリーンが割かれるべき」ということです。むしろ、そっちの理由のほうが大きいと今回の混雑具合、オープニング成績を見て感じました。本作に対する需要、コロナ禍で大作が延期や配信へのシフトで少なかった映画館による供給が合致したからこそあそこまでヒットしたのはあります。しかも、コロナ禍の2020年でそれを達成してしまったし、むしろ2020年のこの状況だからこそ実現したヒットでもあると思います。これからこうした大作が複数のスクリーンを占拠する形がスタンダードになってくる可能性もあるでしょう。ただ、これはリスキーなことでもあるので、需要を見極められるかがより重要になってきそうです。まあ、そんなことは映画館、配給側が一番分かってるだろうし、やるとしても一年に一回あるかないかぐらいでしょうけど。

この形が成功した暁には大きな恵みが与えられることは今回のヒットからも分かりますが、では、1作品がメガヒットしたからといって、映画界が元気づくかというと思ってるよりかはないのではないかと思います。むしろ、大事なのはその1作品を観にきた観客を次に繋げていけるかどうかだと思います。それは次のメガヒット作品を生み出すこともそうだし、日本の鑑賞頻度、鑑賞態度の向上にも関わってくることだと思うのです。先週末のランキング、1位の「鬼滅の刃」につづく2位がどんな映画だったか、分かるだろうか?「夜明けを信じて。」。幸福の科学映画である。唯一のハリウッド大作「TENET テネット」(3位)やヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞した「スパイの妻」(6位)を上回ったのが宗教映画であるということ。むしろ、そっちのほうが個人的に問題であると思うのだ。日本ではもっと儲からなければいけない作品は山とあると自分は思う。だからこそ、一本の作品を観にきた観客を次に観たい作品に繋げていかなければならない。その作品以上の感動と興奮に出会わせる予感を味わわせるきっかけを与えなければならない。これは当ブログで再三書いていることではあるが、コロナ禍で想像以上に復興のペースが早い今だからこそ改めて書きたかったのである。

せっかく、「鬼滅の刃」がここまでヒットしてるのだからこのチャンス、映画界全体、いや、日本の娯楽全体で逃したくないじゃないですか。本作の公開を前後して「鬼滅の刃」の実写化や「タレントなんかつけなくても映画はヒットするんだぜ?」みたいな話題が昇りましたけど(テレビアニメと地続きで製作してる劇場版であり、むしろ鬼滅レベルのコンテンツでないとそれが無理だと考えると絶望的に感じないか?)、そんなことでとやかく言ってる暇なんてないのです。このチャンスを逃さないためにも業界は大きな鉈を振るわなければならないのです。

鬼滅の刃」1作品で経済的には大きな潤いを与え、活気はつくでしょう。でも、本当に業界として元気を出すのならば、次にどう繋げていくのかだし、それはこれまでのメガヒット作品から日本は何を学んだのかがハッキリしていないというふうに自分は思うということです。

・「鬼滅の刃」の大ヒットは今後の映画に繋がってゆくのか?

さて、そこまで書いてきて、今後の映画にどう繋がっていくか。近作で見ると、まず、11月20日に「STAND BY ME ドラえもん2」が公開され、12月には冬休みシーズンでポケモンが公開される。新年、2021年には1月に「シン・エヴァ」、春に今年公開できなかったコナンが控えている。もし、このままのスケジュールでいけば、ハリウッドの大作も再び公開され、夏にはあの活気が戻る可能性もあるだろうし、この中から鬼滅のような複数スクリーン展開が生まれてくる可能性もある。また、長期的な目で見れば、鬼滅のヒットにより、様々な企画が浮上するだろう。多種多様な作品に出会えることを期待しよう。

日本映画界で年間興収が最高記録を叩き出した2019年。なぜ、そこまでの多種多様なヒット作を出せたか。それは新海誠やコナンといったアニメの劇場版の増加、ディズニー、アメコミ映画の量産、そして、ネットのクチコミが多くの人に浸透したからに他ならない。

その地盤があったからこそ、復興が想像以上に早いペースで進んでいるとも言える。今、多種多様な映画をヒットさせる基盤は十分にあるのだ。ぜひ、そのヒットをヒットのまま走り去ってはほしくないところだ。

・「鬼滅の刃」は最終興収でどこまで行く?

さて、ここまでヒットして最終的に興収はどこまでいくのだろうかと考える人も少なからずいるはずですが、この勢いなら100億円を超えるのは間違いないでしょう。むしろ、そこからです。歴代興収の上位にいる作品はどれも息長くロングランした作品です。本作もいかにリピーターを作るかにかかっています。4D上映であったり、新たなる入場者特典を仕掛けてくる可能性は十分にあるでしょう。このご時世、応援上映といったイベント性の上映会は難しいでしょうけど、本作の熱気をきっかけに観てみようかなという人もたくさんいるでしょうから、そうした人を取り込むためにも年内、年越しを見越して稼働をできる限り抑えなければ自ずと150億〜200億も見えてくるはずです。今週末の数字もかなり気になるところであります。

 

3.今週末の注目作

更新できなかった分、こちらで注目作を毎週更新しております。近日中に新作記事を出しますのでご了承ください。
 

きみの瞳が問いかけている」(10月23日公開)

吉高由里子横浜流星がダブル主演を務めた純愛映画。チャールズ・チャップリンの名作「街の灯」にインスパイアされて製作された2011年の韓国映画「ただ君だけ」を、「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」「僕等がいた」の三木孝浩監督のメガホンでリメイクした。

不慮の事故で視力と家族を失った明香里は、小さな楽しみを糧に毎日を明るく生きていた。ある日、明香里は管理人の男性と間違えて塁という青年に話しかけてしまう。彼はかつてキックボクサーとして将来を有望視されていたが、ある事件をきっかけに心を閉ざし、現在は日雇いのアルバイトで食いつなぐ日々を送っていた。その後も時々やって来ては屈託なく話しかけてくる明香里に、塁は次第に心を開いていく。やがて塁は自分の過去が明香里の失明した事件と接点があったことを知り、彼女の目の手術代を稼ぐため、不法な賭博試合のリングに立つことを決意する。

朝が来る」(10月23日公開)

直木賞本屋大賞受賞作家・辻村深月のヒューマンミステリー小説で、テレビドラマ化もされた「朝が来る」を、「あん」「光」の河瀬直美監督のメガホンで映画化。

栗原清和と佐都子の夫婦は一度は子どもを持つことを諦めるが、特別養子縁組により男の子を迎え入れる。朝斗と名付けられた男の子との幸せな生活がスタートしてから6年後、朝斗の産みの母親「片倉ひかり」を名乗る女性から「子どもを返してほしいんです。それが駄目ならお金をください」という電話が突然かかってくる。当時14歳で出産した子を、清和と佐都子のもとへ養子に出すことになったひかりは、生まれた子どもへの手紙を佐都子に託す、心やさしい少女だった。しかし、訪ねて来たその若い女からは、6年前のひかりの面影をまったく感じることができず……。

栗原佐都子役を永作博美、栗原清和役を井浦新、片倉ひかり役を蒔田彩珠、栗原夫婦とひかりを引き合わせる浅見静恵役を浅田美代子がそれぞれ演じる。第73回カンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクション「カンヌレーベル」に選出されている。

空に住む」(10月23日公開)

EUREKA ユリイカ」の青山真治監督が7年ぶりに長編映画のメガホンをとり、多部未華子と初タッグを組んだ人間ドラマ。作詞家・小竹正人の同名小説と、原作とともに誕生した「三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE」の楽曲「空に住む Living in your sky」の世界観を基に、現実と夢の間で葛藤しながらも新たな人生を見いだしていく女性たちを描く。

郊外の小さな出版社に勤める直実は、両親の急死を受け止めきれないまま、叔父夫婦の計らいでタワーマンションの高層階で暮らし始める。長年の相棒である黒猫ハルや、気心の知れた職場の仲間に囲まれながらも、喪失感を抱え浮遊するように生きる毎日。そんなある日、彼女は同じマンションに住む人気俳優・時戸森則と出会う。彼との夢のような逢瀬に溺れていく直実は、仕事と人生、そして愛の狭間で揺れ動き、葛藤の末にある決断を下す。

直実の後輩・愛子を「愛がなんだ」の岸井ゆきの、直実の叔母・明日子を「彼らが本気で編むときは、」の美村里江、人気俳優・時戸を「EXILE」「三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE」の岩田剛典がそれぞれ演じる。

キーパー ある兵士の奇跡」(10月23日公開)

イギリスの国民的英雄となった元ナチス兵のサッカー選手バート・トラウトマンの実話を基に描いたヒューマンドラマ。

1945年、イギリスの捕虜となったナチス兵トラウトマンは、収容所でサッカーをしていた折に地元チームの監督にスカウトされる。その後、名門サッカークラブのマンチェスター・シティFCゴールキーパーとして入団するが、元ナチス兵という経歴から想像を絶する誹謗中傷を浴びせられてしまう。それでもトラウトマンはゴールを守り抜き、やがてイギリスの国民的英雄として敬愛されるように。そんな彼には、誰にも打ち明けられない、秘密の過去があった。

主人公トラウトマンを「愛を読むひと」のデビッド・クロス、妻マーガレットを「サンシャイン 歌声が響く街」のフレイア・メーバーがそれぞれ演じた。

どうにかなる日々」(10月23日公開) (PG12)

放浪息子」「青い花」などの青春漫画の名手・志村貴子が、さまざまな恋模様を淡く繊細に描いたオムニバス漫画をアニメーション映画化。

同性からモテモテだった女性・百合の高校時代の彼女えっちゃんと短大時代の彼女あやさんがひかれ合う「えっちゃんとあやさん」をはじめ、教え子の突然の告白に翻弄される男子校教師を描いた「澤先生と矢ヶ崎くん」、思春期を迎える幼なじみ2人の距離感ともどかしさを連作で描いた「しんちゃんと小夜子」「みかちゃんとしんちゃん」という4つのエピソードで構成される。

監督は「あさがおと加瀬さん。」「フラグタイム」や「STEINS;GATE」で知られる佐藤卓哉。キャストには花澤香菜小松未可子櫻井孝宏ら人気声優陣が集う。

ストレイ・ドッグ」(10月23日公開) (PG12)

オスカー女優のニコール・キッドマンが刑事役に初挑戦し、過去の出来事で心をむしばまれた女性刑事が忌まわし過去と向き合う姿を描いたサスペンスノワール

ロサンゼルス市警の女性刑事エリン・ベルは、酒におぼれ、同僚や別れた夫、16歳の娘からも疎まれる人生を送っている。17年前、FBI捜査官クリスとともに犯罪組織に潜入捜査をしていたエリンは、そこで取り返しのつかない過ちを犯して捜査に失敗し、その罪悪感にいまも彼女は苛まれていた。そんな彼女のもとに、ある日、差出人不明の封筒が届く。中には紫色に染まった1ドル紙幣が入っており、それは行方をくらませた17年前の事件の主犯からの挑戦状だった。

ニコール・キッドマンが酒浸りの中年女性刑事という荒んだ役どころを熱演し、ゴールデングローブ賞の主演女優賞にノミネート。監督は「ガール・ファイト」「ジェニファーズ・ボディ」のカリン・クサマ

スタートアップ!」(10月23日公開) (PG12)

新感染 ファイナル・エクスプレス」「悪人伝」のマ・ドンソクが、おかっぱ頭の料理人という強烈なビジュアルのキャラクターを演じたコメディドラマ。

学校も勉強も家も嫌いで、親に反抗しては毎日ビンタを食らっている少年テギル。ある日、親友のサンピルが早く自分でお金を稼ぎたいと社会に飛び込んでいく。そんな親友の姿を見たテギルもあてもなく家を飛び出し、偶然入った飯店でただならぬオーラを放つ厨房長のコソクと出会う。初対面時の激しいやりとりでコソクとは人生最大の敵同士になったテギルだったが、コソクをはじめとする飯店の奇想天外な人々との出会いを通じ、テギルも社会を学んでいく。

コソク役をマ・ドンソクが演じ、テギル役は「それだけが、僕の世界」のパク・ジョンミン、サンピル役はドラマ「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」のチョン・ヘイン。監督は「グローリーデイ」のチェ・ジョンヨル。

リトル・サブカル・ウォーズ ヴィレヴァン!の逆襲」(10月23日公開)

書店でありながら、雑貨やCD、食品などさまざまなカルチャーを縦横無尽に取り扱う「ヴィレッジヴァンガード」。実在するこの書店を舞台に岡山天音演じるバイトの大学生・杉下と仲間たちの青春の日々を描いた、メ〜テレで放送された深夜ドラマ「ヴィレヴァン!」の劇場版。

「空っぽ」を自称する大学生の杉下啓三は、変わり者のバイト仲間とともにヴィレッジヴァンガードのバイトとして刺激的な毎日を送っていた。バイトをスタートしてから1年、杉下は日常に何かが決定的に足りていないことに気づく。なんと、この世から「サブカル」がなくなっていたのだ。仲間の店員やお客さんたちの生気はなくなり、すべてが監視され、コントロールされた世界。あのバカバカしくも楽しい日々、そしてカルチャーそのものを取り戻すため、杉下の想像を絶するバトルが幕を開ける。

岡山天音森川葵平田満滝藤賢一らドラマ版のレギュラー陣に加え、萩原聖人安達祐実らが顔をそろえる。

オレたち応援屋!!」(10月23日公開)

人気アイドルグループ「A.B.C-Z」の5人が映画初主演を果たした青春コメディ。彼らが座長を務める舞台「ABC座」の第5作「ABC座 2016 株式会社応援屋!! OH&YEAH!!」を原案に、キャラクター設定などを一新し、新たな物語として描く。

人々を応援することを生業とする「応援屋」の5人は、日々の依頼をこなしながらも、単なる便利屋となってしまっていることに悩んでいた。そんな彼らのもとに、東京の離島・雷神島にある雷神高校の教師から依頼が届く。その内容は、廃校が決定した同校の生徒たちのために、島の伝統行事である「雷神祭り」の復活を手伝って欲しいというものだった。島民たちが恐れる呪いの存在や、復活反対派の生徒たちとの対立など様々な困難に直面しながらも、祭りの復活を目指して奮闘する彼らだったが……。

テレビドラマ「おっさんずラブ」の徳尾浩司が脚本を手がけ、「ホーンテッド・キャンパス」の竹本聡志が監督を務めた。

罪の声」(10月30日公開)

実際にあった昭和最大の未解決事件をモチーフに過去の事件に翻弄される2人の男の姿を描き、第7回山田風太郎賞を受賞するなど高い評価を得た塩田武士のミステリー小説「罪の声」を、小栗旬星野源の初共演で映画化。

平成が終わろうとしている頃、新聞記者の阿久津英士は、昭和最大の未解決事件を追う特別企画班に選ばれ、30年以上前の事件の真相を求めて、残された証拠をもとに取材を重ねる日々を送っていた。その事件では犯行グループが脅迫テープに3人の子どもの声を使用しており、阿久津はそのことがどうしても気になっていた。一方、京都でテーラーを営む曽根俊也は、父の遺品の中にカセットテープを見つける。なんとなく気になりテープを再生してみると、幼いころの自分の声が聞こえてくる。そしてその声は、30年以上前に複数の企業を脅迫して日本中を震撼させた、昭和最大の未解決人で犯行グループが使用した脅迫テープの声と同じものだった。

新聞記者の阿久津を小栗旬、もう1人の主人公となる曽根を星野源が演じる。監督は「麒麟の翼 劇場版・新参者」「映画 ビリギャル」の土井裕泰、脚本はドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」「アンナチュラル」などで知られる野木亜紀子

とんかつDJアゲ太郎」(10月30日公開)

テレビアニメ化もされたイーピャオ、小山ゆうじろうの人気ギャグ漫画を北村匠海主演で実写映画化。

渋谷の老舗とんかつ屋の3代目・アゲ太郎は、弁当の配達で初めて足を運んだクラブで憧れていた苑子に出会う。キャベツの千切りばかりの日々を送っていたアゲ太郎は、音楽でフロアを盛り上げるDJたちのプレイに刺激を受け、これまで味わったことのない高揚感に心を動かされる。苑子のハートを射止めるため、アゲ太郎は、とんかつ屋の仕事もDJも精進し、豚肉もフロアもアゲられる「とんかつDJ」 になることを決意する。

アゲ太郎役の北村匠海のほか、山本舞香伊藤健太郎伊勢谷友介らが顔をそろえる。監督は自主映画「SLUM-POLIS」などで注目された「チワワちゃん」の二宮健。

ザ・ハント」(10月30日公開) (R15+)

富裕層が娯楽として「人間狩り」を行うという過激な設定が全米公開時に物議をかもしたサバイバルアクション。「ゲット・アウト」や「パージ」シリーズなど、数々のホラー、サスペンス作品をヒットさせてきたジェイソン・ブラムが製作。「コンプライアンス 服従の心理」のクレイグ・ゾベルがメガホンをとり、上流階級と庶民階級との格差対立やネット上での陰謀論といった現代的なテーマを盛り込みながら描いた。

広大な森の中で目を覚ました12人の男女。そこがどこなのか、どうやってそこに来たのか、誰にもわからない。目の前には巨大な木箱があり、中には1匹のブタと多数の武器が収められている。すると突然、周囲に銃声が鳴り響く。何者かに命を狙われることがわかった彼らは、目の前の武器を手に取り、逃げ惑う。やがて彼らは、ネット上の噂に過ぎないと思われていた、セレブが娯楽目的で一般市民を狩る「マナーゲート」と呼ばれる“人間狩り計画”が実在することを知る。絶望的な状況の中、狩られる側の人間であるクリステルが思わぬ反撃に出たことで、事態は予想外の方向へと動き始める。そして次第にマナーゲートの全容が明らかになり……。

クリステル役にTVシリーズ「GLOW ゴージャス・レディ・オブ・レスリング」などで活躍するベティ・ギルピン。彼女らを狩る残酷なセレブの女にオスカー女優のヒラリー・スワンク

パピチャ 未来へのランウェイ」(10月30日公開)

1990年代のアルジェリア内戦(暗黒の10年)を背景に、ファッションデザイナーを志す少女の視点を通して、イスラム原理主義による女性弾圧の実態を描いた人間ドラマ。アルジェリアで17歳まで過ごし、これが長編映画監督デビュー作となるムニア・メドゥールが、自身の経験から生み出した。2019年・第72回カンヌ国際映画祭ある視点部門で上映されて称賛を集めるも、本国アルジェリアでは当局によって上映禁止となった。

90年代、アルジェリア。ファッションデザイナーを夢みる大学生のネジャマは、ナイトクラブで自作のドレスを販売していたが、イスラム原理主義の台頭により、首都アルジェでは女性にヒジャブの着用を強要するポスターがいたるところに貼りだされていた。そんな現実に抗うネジュマは、ある悲劇的な出来事をきっかけに、自分たちの自由と未来をつかみ取るため、命がけともいえるファッションショーの開催を決意する。

ザ・グラッジ 死霊の棲む屋敷」(10月30日公開) (R15+)

清水崇監督が生み出したJホラー「呪怨」シリーズを、アメリカで新たに映画化。「死霊のはらわた」「スパイダーマン」のサム・ライミが製作。村上龍の小説を映画化した「ピアッシング」のニコラス・ペッシェ監督がメガホンをとった。

森の中に停まっていた車の中で変死体が発見され、報せを受けた刑事のマルドゥーンとグッドマンが現場に駆け付ける。道路が閉鎖されていたこともあり、死体は何カ月も放置されて腐敗していたが、残された所持品から死体の生前の住所が「レイバーン通り44番地」だったと判明。そこはグッドマン刑事が2年前に担当し、強烈な印象を残している「ランダース事件」の現場だった。過去の事件と今回の死体の関連性を疑ったマルドゥーンは、単身でランダース事件の舞台となった屋敷を訪れるが……。

出演は「オブリビオン」「ナンシー」のアンドレア・ライスボロー、「死霊館のシスター」のデミアン・ビチル

ウルフウォーカー」(10月30日公開)

アイルランドの歴史や神話を題材にした「ブレンダンとケルズの秘密」「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」で連続してアカデミー長編アニメーション部門にノミネートされたトム・ムーア監督とアニメーションスタジオ「カートゥーンサルーン」が、前2作に続くケルト3部作の3作目として手がけた長編アニメーション。

アイルランドのキルケニーで伝えられてきた、眠ると魂が抜けだしオオカミになるという「ウルフウォーカー」を題材に描いた。中世アイルランドの町キルケニー。イングランドからオオカミ退治のためにやって来たハンターを父に持つ少女ロビンは、森の中で出会った少女メーヴと友だちになるが、メーヴは人間とオオカミがひとつの体に共存した「ウルフウォーカー」だった。魔法の力で傷を癒すヒーラーでもあるメーヴと、ある約束を交わしたロビン。それが図らずも父を窮地に陥れることになってしまうが、それでもロビンは勇気を持って自らの信じる道を進もうとする。

映画プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日」(10月31日公開)

人気アニメ「プリキュア」劇場版シリーズの通算28作目。2020年2月放送開始のシリーズ17作目「ヒーリングっど♡プリキュア!」と、前作の「スター☆トゥインクルプリキュア」、前々作の「HUGっと!プリキュア」の3作品から総勢13人のプリキュアが集結し、繰り返される不思議な1日からの脱出しようと奮闘する姿が描かれる。

ある春の土曜日、宿題を済ませて友人のちゆ、ひなたとお花見に行くはずだった花寺のどかだったが、そんな彼女の前に、謎の敵リフレインに追われてきた精霊ミラクルンが現れる。ミラクルンを助けたいと思ったのどかのもとに、「スター☆トゥインクルプリキュア」と「HUGっと!プリキュア」のプリキュアたちも駆けつけるが、「永遠に明日がこない世界」を築こうともくろむリフレインが時間を巻き戻し、同じ毎日を繰り返すことになってしまう。

おらおらでひとりいぐも」(11月6日公開)

第158回芥川賞と第54回文藝賞をダブル受賞した若竹千佐子のベストセラー小説を「横道世之介」「モリのいる場所」の沖田修一監督が映画化し、昭和・平成・令和を生きるひとりの女性を田中裕子と蒼井優が2人1役で演じた人間ドラマ。

75歳の桃子さんは、突然夫に先立たれ、ひとり孤独な日々を送ることに。しかし、毎日本を読みあさり46億年の歴史に関するノートを作るうちに、万事に対してその意味を探求するようになる。すると、彼女の“心の声=寂しさたち”が音楽に乗せて内から外へと沸き上がり、桃子さんの孤独な生活は賑やかな毎日へと変わっていく。

75歳現在の桃子さんを田中裕子、若き日の桃子さんを蒼井優、夫の周造を東出昌大が演じるほか、濱田岳青木崇高宮藤官九郎という個性的なキャストが桃子さんの“心の声”たちに扮する。

461個のおべんとう」(11月6日公開)

TOKYO No.1 SOUL SET」の渡辺俊美によるエッセイ「461個の弁当は、親父と息子の男の約束。」を、「V6」の井ノ原快彦、関西ジャニーズJr.のユニット「なにわ男子」の道枝駿佑の共演で映画化。

長年連れ添った妻との別れを決意した鈴本一樹。息子の虹輝は父と暮らすことを選んでくれたが、15歳という多感な時期を迎える虹輝に対し、一樹は罪悪感を抱いていた。高校受験に失敗した虹輝に、これまで自由に生きてきた一樹は「学校だけがすべてではない。自由に好きに育ってくれたらそれでいい」と思っていたが、虹輝は高校進学の道を選び、翌春に高校合格を果たす。学校の昼食は「父さんのお弁当がいい」と虹輝が言ったことから、一樹はミュージシャンでありながら息子のためにお弁当を作り続けることを決意する。

一樹役を井ノ原快彦、虹輝役を道枝駿佑がそれぞれ演じる。また原作者の渡辺が、一樹のバンドがライブを行うライブハウスのオーナー役でカメオ出演。監督は「キセキ あの日のソビト」の兼重淳。

ストックホルム・ケース」(11月6日公開)

誘拐・監禁事件の被害者が犯人と長い時間をともにすることで、犯人に対し連帯感や好意的な感情を抱いてしまう状態を示す心理学用語「ストックホルム症候群」の語源になった事件を題材に、イーサン・ホーク主演で描くクライムドラマ。

何をやっても上手くいかない悪党のラースは、自由の国アメリカに逃れるためストックホルムの銀行に強盗に入る。ビアンカという女性を含む3人を人質に取り、刑務所に収監されていた仲間のグンナーを釈放させることに成功したラースは、続けて人質と交換に金と逃走車を要求。しかし、警察が彼らを銀行の中に封じ込める作戦に出たことで事態は長期化。次第に犯人と人質の関係だったラースとビアンカたちの間に、不思議な共感が芽生え始めていく。映画の題材となったのは、1973年にスウェーデンストックホルムで起こったノルマルム広場強盗事件。

監督は、イーサン・ホークが伝説のトランペット奏者チェット・ベイカーを演じた「ブルーに生まれついて」のロバート・バドロー。犯罪仲間のグンナー役に「キングスマン」シリーズのマーク・ストロング、人質となるビアンカに「ミレニアム」シリーズのノオミ・ラパス

十二単衣を着た悪魔」(11月6日公開)

女優・黒木瞳の監督第2作で、内館牧子の長編小説「十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞」を映画化。源氏物語の世界に紛れ込んだ現代の青年が、奔放で強い女性に翻弄されながらも成長していく姿を描く。

就職試験に落ちてばかりのフリーター・雷は、京大に合格した弟に対し劣等感を抱いていた。ある日、アルバイトで「源氏物語」の世界を模したイベントの設営をした彼は、帰宅途中に激しい雷雨に襲われて意識を失ってしまう。目を覚ますと、そこは「源氏物語」の世界だった。アルバイト先で配られたあらすじ本のおかげで陰陽師として弘徽殿女御に見いだされた雷は、息子を異母弟・光源氏との帝位争いに勝たせるべく闘う彼女に振り回されながらも次第に触発されていく。自身の境遇と重ねつつ、悪名高い弘徽殿女御に仕えていくことを決意する雷だったが……。

今日から俺は!!」「弱虫ペダル」など話題作が続く伊藤健太郎が主演を務め、「ダンスウィズミー」の三吉彩花が弘徽殿女御を演じる。

ジオラマボーイ・パノラマガール」(11月6日公開) (PG12)

リバーズ・エッジ」などで知られる人気漫画家の岡崎京子が1989年に刊行した同名コミックを実写映画化。

現代の東京を舞台に、未来への不安を抱えながらも「今」を生きる若者たちを描いた。16歳の平凡な高校生・渋谷ハルコは、ある夜、橋の上で倒れていた神奈川ケンイチに一目ぼれする。ハルコは世紀の恋だとはしゃぐが、真面目でおとなしいケンイチは、受験を目前にして衝動的に学校を辞めてしまい、それどころではない。さらにケンイチは、勢いでナンパした危険な香りのする女の子マユミに夢中になっていき、ハルコとケンイチの恋は平行線をたどるが……。

渋谷ハルコ役は映画「小さな恋のうた」などで注目される山田杏奈。神奈川ケンイチ役は、山田とは「小さな恋のうた」でも共演している鈴木仁。監督・脚本は「PARKS パークス」「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」の瀬田なつき

PLAY 25年分のラストシーン」(11月6日公開) (PG12)

ある男性が仲間たちと過ごした25年間を、1990年代から2010年代まで撮り続けたホームビデオの映像をつないで描いた青春ドラマ。

1993年、パリ。13歳の少年マックスは両親から贈られたビデオカメラで家族や友人たちとの日常を撮り始め、それは彼のライフワークとも言える趣味になった。38歳になったマックスは、それまで撮りためた25年分の映像を振り返り、編集する。そこにはいつも一緒にいた4人の仲間たちとの、かけがえのない日々が全て記録されていた。素直になれず大切なものを手放してしまったマックスは、新たに“映画”のラストシーンを準備する。

人気コメディアンのマックス・ブーブリルが主演を務め、盟友アントニーマルシアーノ監督と共同で脚本も手がけた。

モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け」(11月6日公開)

世界累計利用者数が5300万を超えるスマホアプリ「モンスターストライク」のキャラクターを主人公にオムニバス形式のアニメとしてYouTubeで配信し、累計再生数が4億回を突破している通称「モンストアニメ」を映画化。

オラゴンと5人のヒーロー5が天聖イェソドを倒したことで平和を取り戻した「ストライク・ワールド」が、再び戦場となってしまう。そして、駆けつけたオラゴンたちの前に現れたのは、ともに世界を救った仲間のはずのルシファーだった。滅亡を願うルシファーの企みは、オラゴンたちに絶望をもたらすが……。

監督は「名探偵コナン」劇場版シリーズや「シドニアの騎士」、アニメ版「GODZILLA」3部作などを手がけた静野孔文。ルシファー役の日笠陽子をはじめ、高山みなみ水樹奈々内田真礼小倉唯斉藤壮馬福島潤ら人気声優たちが声の出演。

羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来」(11月7日公開)

妖精と人間が共存する世界を舞台に、猫の妖精・羅小黒(ロシャオヘイ)が旅をしながら人間社会を理解していく姿を描いた中国製の劇場アニメ。

この世には妖精が実在し、彼らの中には人間の格好をして社会に溶け込んでいるものもいれば、山の奥で隠れて暮らすものもいた。森で楽しい日々送っていた猫の妖精・羅小黒(ロシャオヘイ)は、人間たちによって森が切り開かれてしまったことから、暮らす場所を探して各地を放浪する。その旅の途中で妖精のフーシー(風息)、人間のムゲン(無限)と出会ったシャオヘイは、彼らとの交流を通じてさまざまなことを学び、成長していきながら、再び安心して暮らせる場所を求めて旅を続ける。

「羅小黒戦記」は、中国で2011年から配信がスタートしたWEBアニメシリーズ。国産アニメとして中国で徐々に人気を博し、2019年に劇場版として本作が製作されると大ヒットを記録。日本でも同年、字幕版が小規模公開され(チームジョイ配給)、映画ファンやアニメファンの間で口コミで評判が広がり、アニプレックスが共同配給につき、花澤香菜宮野真守櫻井孝宏という人気声優陣による日本語吹き替え版として全国公開される。

ドクター・デスの遺産 BLACK FILE」(11月13日公開)

人気作家・中山七里の小説「ドクター・デスの遺産」を映画化したクライムサスペンス。安楽死を手口にする連続殺人犯に挑む刑事役で綾野剛北川景子が共演し、「神様のカルテ」「サグラダリセット」などを手がけてきた深川栄洋監督がメガホンをとった。

終末期の患者ばかりが次々と不審な死を遂げる事件が相次ぎ、捜査に乗り出した刑事の犬養と高千穂は、依頼を受けて患者を安楽死させる「ドクター・デス」と呼ばれる医者の存在にたどり着く。しかし、そんな矢先、重度の腎臓病に苦しんでいる犬養の一人娘の沙耶香が、ドクター・デスに安楽死を依頼してしまい……。

さくら」(11月13日公開)

直木賞作家・西加奈子が家族をテーマにつづった同名ベストセラーを、「三月のライオン」の矢崎仁司監督が映画化。

長谷川家の次男・薫は、年末に実家へと向かう。兄の一(ハジメ)は彼にとって幼い頃から憧れの存在だったが、2年前に事故で他界した。ハジメの死をきっかけにバラバラになってしまった家族をつなぎ止めるかのように、薫は幼い頃の記憶を思い起こしていく。妹・美貴の誕生、愛犬サクラとの出会い、引っ越し、初めての恋と失恋など、長谷川家の5人とサクラが過ごしたかけがえのない日々。そして大みそか、壊れかけた家族をもう1度つなぐ奇跡のような出来事が起こる。

平凡な次男・薫を「君の膵臓をたべたい」の北村匠海、破天荒な長女・美貴を「渇き。」の小松菜奈、人気者の長男・一を「キングダム」の吉沢亮、彼らの両親を寺島しのぶ永瀬正敏がそれぞれ演じる。

魔女見習いをさがして」(11月13日公開)

1999年から4年間にわたって放送され人気を博した魔法少女アニメ「おジャ魔女どれみ」シリーズの20周年を記念し、3人の新たなヒロインが織り成す大人のための魔法の物語を描いた劇場版アニメ。

教員志望の大学生ソラ、帰国子女の会社員ミレ、フリーターのレイカ。年齢も住む場所も悩みも全てが違う3人だったが、不思議な巡り合わせで一緒に旅に出ることに。3人は「どれみ」にゆかりのある様々な土地を巡る旅を通し、大人になって忘れてしまっていたそれぞれの大切なものを見いだしていく。

制作陣には監督の佐藤順一、脚本の栗山緑、キャラクターデザイン・総作画監督馬越嘉彦ら、テレビアニメ版のオリジナルスタッフが再結集。3人のヒロインの声を担当したのは、森川葵松井玲奈百田夏菜子

ホテルローヤル」(11月13日公開) (PG12)

直木賞を受賞した桜木紫乃の自伝的小説を、「百円の恋」「全裸監督」の武正晴監督が映画化。

北海道の釧路湿原を背に建つ小さなラブホテル、ホテルローヤル。経営者家族の一人娘・雅代は美大受験に失敗し、ホテルの仕事を手伝うことに。アダルトグッズ会社の営業・宮川に淡い恋心を抱きながらも何も言い出せず、黙々と仕事をこなすだけの日々。そんな中、ホテルにはひとときの非日常を求めて様々な客が訪れる。ある日、ホテルの一室で心中事件が起こり、雅代たちはマスコミの標的となってしまう。さらに父が病に倒れ家業を継ぐことになった雅代は、初めて自分の人生に向き合うことを決意する。

波瑠が主演を務め、松山ケンイチ安田顕が共演。脚本は「手紙」「イエスタデイズ」の清水友佳子

タイトル、拒絶」(11月13日公開) (R15+)

それぞれ事情を抱えながらも力強く生きるセックスワーカーの女たちを描いた群像劇。劇団「□字ック」主宰の山田佳奈が、2013年初演の同名舞台を自らのメガホンで映画化した。

雑居ビルにあるデリヘルの事務所で、華美な化粧と香水の匂いをさせながらしゃべる女たち。デリヘル嬢たちの世話係をするカノウは、様々な文句を突きつけてくる彼女たちへの対応に右往左往している。やがて、店で一番人気のマヒルが仕事を終えて戻って来る。何があっても楽しそうに笑う彼女がいると、部屋の空気は一変する。ある日、モデルのような体型の若い女が入店したことをきっかけに、店内での人間関係やそれぞれの人生背景が崩れはじめる。

2019年・第32回東京国際映画祭「日本映画スプラッシュ」部門に出品され、主演の伊藤沙莉が東京ジェムストーン賞を受賞した。

ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」(11月13日公開)

KUBO クボ 二本の弦の秘密」や「コララインとボタンの魔女」などで知られるアメーションスタジオのライカが手がけたストップモーションアニメ。

「神話と怪獣研究の第一人者」を自称するライオネル卿は、伝説の生き物を発見して自らの才能を世に示そうと旅に出る。その途上で、人類の遠い祖先である生きた化石ミッシング・リンクと遭遇したライオネル卿は、種族で唯一の生き残りだというミッシング・リンクの親族を探すため、伝説のシャングリラを目指すことになるが……。

ライオネル卿の声をヒュー・ジャックマンが担当したほか、ザック・ガリフィアナキスゾーイ・サルダナエマ・トンプソンらが声優を務めた。監督はライカの「パラノーマン ブライス・ホローの謎」を手がけたクリス・バトラー。第77回ゴールデングローブ賞で最優秀長編アニメーション映画賞を受賞。第92回アカデミー賞の長編アニメーション部門にノミネート。

水上のフライト」(11月13日公開)

不慮の事故で走り高跳び選手としての夢を絶たれた女性が、パラカヌーとの出会いを通して希望を取り戻していく姿を、中条あやみ主演で描いたヒューマンドラマ。

走り高跳びで世界を目指す遥は、事故に遭い歩くことができなくなってしまう。心を閉ざし自暴自棄に陥っていたある日、パラカヌーと出会った彼女は、周囲の人々に支えられながら新たな夢を見いだしていく。

超高速!参勤交代」シリーズの脚本家・土橋章宏が、実在のパラカヌー日本代表選手・瀬立モニカとの交流に着想を得て、オリジナルストーリーとして脚本を執筆。「キセキ あの日のソビト」の兼重淳監督がメガホンをとった。遥を支える仲間・颯太を「居眠り磐音」の杉野遥亮、母・郁子を大塚寧々、コーチ・宮本を小澤征悦がそれぞれ演じる。

日本沈没2020 劇場編集版 シズマヌキボウ」(11月13日公開)

小松左京が1973年に発表し、映画化やドラマ化もされてきた名作SF小説日本沈没」を、「夜明け告げるルーのうた」「DEVILMAN crybaby」の湯浅政明監督が大胆なオリジナル解釈を加えてアニメ化した「日本沈没2020」の劇場版。2020年7月にNetflixで配信開始し、反響を呼んだこのアニメシリーズを湯浅監督自身の手で再編集、再構築した。

2020年、突然の大地震が日本を襲った。東京が壊滅的な状況になる中、武藤家の歩と剛の姉弟は一家4人で東京からの脱出を始める。しかし、行く先々でも巨大な地震が断続的に発生し、彼らを追い詰めていく。生きるために迫られる数々の選択、出会いと別れ、そして残酷にも降りかかる生と死。けっして未来を信じることを忘れない歩と剛は、極限状態でさまざまな局面に立ち向かいながら、懸命に生き抜く強さを身につけていく。

ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌」(11月13日公開) (PG12)

ビューティフル・マインド」「ラッシュ プライドと友情」の名匠ロン・ハワードが手がけたNetflixオリジナル映画のヒューマンドラマ。「アメリカン・ハッスル」のエイミー・アダムスと「天才作家の妻 40年目の真実」のグレン・クローズをキャストに迎えたヒューマンドラマ。J・D・バンスの回顧録ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち」を原作に、3世代にわたる家族の愛と再生の物語を描く。

名門イェール大学に通うバンスは理想の職に就こうとしていたが、家族の問題により、苦い思い出のある故郷へ戻ることに。そこで彼を待ち受けていたのは、薬物依存症に苦しむ母ベブだった。バンスは育ての親である祖母マモーウとの思い出に支えられながら、夢を実現するためには自身のルーツを受け入れなくてはならないと気づく。

共演は「キングス・オブ・サマー」のガブリエル・バッソ、「マグニフィセント・セブン」のヘイリー・ベネット、「スラムドッグ$ミリオネア」のフリーダ・ピントNetflixで2020年11月24日からの配信に先立ち、一部の映画館で劇場公開。

STAND BY ME ドラえもん2」(11月20日公開)

国民的アニメ「ドラえもん」初の3DCGアニメーション映画として2014年に公開され、大ヒットを記録した「STAND BY ME ドラえもん」の続編。前作から引き続き監督を八木竜一、脚本・共同監督を山崎貴が担当し、原作漫画の名エピソード「おばあちゃんのおもいで」にオリジナル要素を加えてストーリーを再構築。前作で描かれた「のび太結婚前夜」の翌日である結婚式当日を舞台に、のび太としずかの結婚式を描く。

ある日、優しかったおばあちゃんとの思い出のつまった古いクマのぬいぐるみを見つけたのび太は、おばあちゃんに会いたいと思い立ち、ドラえもんの反対を押し切りタイムマシンで過去へ向かう。未来から突然やってきたのび太を信じて受け入れてくれたおばあちゃんの「あんたのお嫁さんをひと目見たくなっちゃった」という一言で、のび太はおばあちゃんに未来の結婚式を見せようと決意する。しかし、未来の結婚式当日、新郎のび太はしずかの前から逃げ出してしまい……。

大人になったのび太の声を前作から続いて妻夫木聡が担当し、おばあちゃん役は宮本信子が務めた。

ばるぼら」(11月20日公開) (R15+)

手塚治虫が1970年代に発表した大人向け漫画「ばるぼら」を、稲垣吾郎二階堂ふみのダブル主演で初映像化した実写作品。手塚治虫の実子である手塚眞監督とウォン・カーウァイ作品で知られる撮影監督クリストファー・ドイルがタッグを組み、愛と狂気の寓話を美しい映像で描き出す。

異常性欲に悩まされている耽美派の人気小説家・美倉洋介は、新宿駅の片隅で、酔っ払ったホームレスのような少女ばるぼらと出会い、自宅に連れて帰る。大酒飲みで自堕落なばるぼらだが、美倉は彼女に奇妙な魅力を感じ追い出すことができない。彼女を近くに置いておくと不思議と美倉の手は動き出し、新たな小説を創造する意欲が沸き起こるのだ。あたかも芸術家を守るミューズのような存在のばるぼらだったが……。

泣く子はいねぇが」(11月20日公開)

「ガンバレとかうるせぇ」「歩けない僕らは」などの短編で高い評価を受けてきた佐藤快磨監督の長編劇場デビュー作。是枝裕和監督率いる映像制作者集団「分福」が企画協力し、佐藤監督の地元・秋田の伝統行事「ナマハゲ」を盛り込みながら、大人になっていく20代の若者たちの姿を描く。

秋田県男鹿半島で暮らす、たすくに娘が誕生した。たすくが喜ぶ中、妻のことねは子どもじみていて父になる覚悟が定まらない夫に苛立ちを募らせていた。大みそかの夜、たすくは妻と「酒を飲まずに早く帰る」と約束を交わし、地元の伝統行事「ナマハゲ」に参加する。しかし、酒を断ることができずに泥酔したたすくは、溜め込んだ日頃の鬱憤を晴らすかのように「ナマハゲ」の面を付けたまま全裸で街へと走り出し、その姿がテレビで全国に放送されてしまう。ことねに愛想を尽かされ、地元にもいられなくなったたすくは逃げるように東京へと向かう。それから2年、東京にたすくの居場所はなく、たすくの中に「ことねと娘に会いたい」という思いが強くなっていく。

たすく役を仲野太賀、ことね役を吉岡里帆が演じるほか、寛一郎山中崇余貴美子柳葉敏郎らが顔をそろえる。

エイブのキッチンストーリー」(11月20日公開) (PG12)

異なる文化を背景にもつため対立しがちな家族の絆を、手作り料理でつなげようと奮闘する少年の成長を描いたヒューマンドラマ。

ニューヨーク・ブリックリンに暮らし、イスラエル人の母とパレスチナ人の父を持つ12歳のエイブは、文化や宗教の違いから対立する家族に悩まされるなか、料理を作ることを唯一の心の拠りどころにしていた。そんな自分のことは誰にも理解してもらえないと思っていたエイブは、ある日、世界各地の味を掛け合わせた「フュージョン料理」を作るブラジル人シェフのチコと出会う。フュージョン料理を自身の複雑な背景と重ね合わせたエイブは、自分にしか作れない料理で家族をひとつにしようと決意する。

Netflixの大ヒットシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のウィル役で知られるノア・シュナップが映画初主演を務め、等身大の少年エイブを好演。ブラジル人の映画監督で、YouTuberや雑誌記者などの顔ももつフェルナンド・グロスタイン・アンドラーデが、自身の半生をベースに描いた。

ホモ・サピエンスの涙」(11月20日公開)

「さよなら、人類」などで知られるスウェーデンの奇才ロイ・アンダーソンが、時代も性別も年齢も異なる人々が織りなす悲喜劇を圧倒的映像美で描き、2019年・第76回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した作品。

この世に絶望し信じるものを失った牧師、戦禍に見舞われた街を上空から眺めるカップル、これから愛に出会う青年、陽気な音楽にあわせて踊る若者……。アンダーソン監督が構図・色彩・美術など細部に至るまで徹底的にこだわり抜き、全33シーンをワンシーンワンカットで撮影。「千夜一夜物語」の語り手シェヘラザードを思わせるナレーションに乗せ、悲しみと喜びを繰り返してきた不器用で愛おしい人類の姿を万華鏡のように映し出す。

Mank マンク」(11月20日公開)

ソーシャル・ネットワーク」「ゴーン・ガール」の鬼才デヴィッド・フィンチャーがメガホンをとり、「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」のオスカー俳優ゲイリー・オールドマンが、不朽の名作「市民ケーン」の脚本家ハーマン・J・マンキーウィッツを演じたNetflixオリジナル映画。

1930年代のハリウッド。脚本家マンクはアルコール依存症に苦しみながら、新たな脚本「市民ケーン」の仕上げに追われていた。同作へのオマージュも散りばめつつ、機知と風刺に富んだマンクの視点から、名作誕生の壮絶な舞台裏と、ハリウッド黄金期の光と影を描き出す。

マンマ・ミーア!」のアマンダ・セイフライド、「白雪姫と鏡の女王」のリリー・コリンズ、テレビドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のチャールズ・ダンスら豪華キャストが個性豊かな登場人物たちを演じる。

Netflixで2020年12月4日から配信。それに先立ち一部の映画館で劇場公開。

滑走路」(11月20日公開) (PG12)

32歳で命を絶った夭折の歌人・萩原慎一郎のデビュー作にして遺作となった歌集を原作に、現代をもがき生きる人々の苦悩と希望をオリジナルストーリーで描いた人間ドラマ。

厚生労働省の若手官僚・鷹野は、激務の中で仕事への理想を失い、無力な自分に思い悩んでいた。そんなある日、非正規雇用が原因で自死したとされる人々のリストが、NPO団体によって持ち込まれる。追及を受けた鷹野は、リストの中から自分と同じ25歳で自死した青年に関心を抱き、彼が死を選んだ理由を調べ始める。一方、将来への不安を抱える30代後半の切り絵作家・翠は、子どもを欲する自身の思いを自覚しながらも、夫との関係に違和感を抱いていた。また、幼なじみを助けたためにイジメの標的となった中学2年生の学級委員長は、シングルマザーの母に心配をかけまいと1人で問題を抱え込む。それぞれ悩みを抱える3人の人生は、やがてひとつの道へと繋がっていく。

若手官僚・鷹野を浅香航大、切り絵作家・翠を水川あさみが演じる。

フード・ラック!食運」(11月20日公開)

芸能界屈指の食通として知られる「ダチョウ倶楽部」寺門ジモンの初映画監督作。

下町の人気焼肉店を舞台に、「食」を通じて親子の愛情や人生の悲喜こもごもを描く。下町に店を構える人気焼肉店「根岸苑」を切り盛りする安江。ひとり息子は良人は、母の手料理を食べることが毎日の楽しみだった。しかし、ある事件がきっかけで根岸苑は閉店し、成長した良人も家を飛び出してしまう。うだつがあがらないライターとして自堕落な生活を送っていた良人は、ある日、グルメ情報サイトの立ち上げを任されることに。そして、そんな良人のもとに、家を飛び出して以来、疎遠になっていた母が倒れたとの報せが入る。

主人公・良人役で「EXILE」「三代目J Soul BrothersパフォーマーEXILE NAOTOが主演。物語のキーパーソンとなる新人編集者・静香役で土屋太鳳が共演する。良人の母で「根岸苑」店主の安江をりょうが演じるほか、石黒賢松尾諭寺脇康文、白竜、東ちづる矢柴俊博筧美和子大泉洋大和田伸也竜雷太ら実力派やベテラン俳優が多数出演。

THE CROSSING 香港と大陸をまたぐ少女」(11月20日公開) (PG12)

香港と中国・深圳という隣接する2つの地域を行き来し、それぞれにアイデンティティを持つ少女を主人公に、香港と中国大陸の越境問題や経済、社会情勢、現地の青少年の裏事情など、さまざまな実情をリアルに重ねながら、青春のみずみずしさを描いた中国映画。

香港人の父と中国人の母を持つ16歳の高校生ペイは、深センから香港へ越境通学している。母は家で友達と麻雀に興じてばかりで、父は香港で別の家族を持ち、国境付近でトラック運転手をしている。孤独なペイにとって一番楽しいのは、学校で親友ジョーと過ごす時間だった。2人は日本の北海道へ旅行に行くことを夢見て小遣い稼ぎしているが、ある日、船上パーティでハオという青年に出会う。クールなハオにジョーが好意を抱くなか、ペイはハオからスマートフォンを香港から深センへ持ち出す密輸の仕事を持ち掛けられる。ペイは旅費欲しさに、その裏仕事を引き受けてしまうが……。

ルクス・エテルナ 永遠の光」(11月20日公開)

「CLIMAX クライマックス」「アレックス」などで知られるフランスの鬼才ギャスパー・ノエが、映画への愛と狂気を独特の映像で描いた異色作。

魔女狩りを題材にした映画の撮影現場。女優、監督、プロデューサー、それぞれの思惑や執着が入り乱れ、現場は収拾のつかないカオスな状態に陥っていく。

出演は「アンチクライスト」のシャルロット・ゲンズブール、「ベティ・ブルー」のベアトリス・ダル、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のアビー・リー・カーショウ。

トータル・リコール 4Kデジタルリマスター」(11月27日公開) (R15+)

フィリップ・K・ディックの短編小説「追憶売ります」をもとに、ポール・バーホーベン監督、アーノルド・シュワルツェネッガー主演で描いたSFアクション大作。

西暦2084年、地球の植民地となっていた火星では、エネルギー鉱山の採掘を仕切るコーヘイゲンとそれに対抗する反乱分子の小競り合いが続いていた。一方、地球に暮らす肉体労働者のダニエル・クエイドは、毎晩行ったこともない火星の夢を見てうなされていた。夢が気になるクエイドは「火星旅行の記憶を売る」というリコール社のサービスを受けることに。しかし、それをきっかけに今の自分の記憶が植えつけられた偽物であり、本当の自分はコーヘイゲンの片腕の諜報員ハウザーだったと知る。クエイドは真相を知るため火星に旅立つが、真実を隠匿するコーヘイゲンに命を狙われ……。

公開から30年を経て、4Kデジタルリマスター版でリバイバル公開。

アンダードッグ」(11月27日公開) (R15+)

「百円の恋」の武正晴監督が、「百円の恋」の武正晴監督が、森山未來北村匠海勝地涼をキャストに迎えて描いたボクシング映画。「百円の恋」の足立紳が原作・脚本を手がけ、三者三様の生き様を抱える男たちが人生の再起をかけて戦う姿を描く。

プロボクサーの末永晃はかつて掴みかけたチャンピオンの夢を諦めきれず、現在も“咬ませ犬”としてリングに上がり、ボクシングにしがみつく日々を送っていた。一方、児童養護施設出身で秘密の過去を持つ大村龍太は、ボクシングの才能を認められ将来を期待されている。大物俳優の2世タレントで芸人としても鳴かず飛ばずの宮木瞬は、テレビ番組の企画でボクシングの試合に挑むことに。それぞれの生き様を抱える3人の男たちは、人生の再起をかけて拳を交えるが……。

スターダムに駆け上がる選手たちの陰で“咬ませ犬”として踏み台にされながらも這い上がろうともがく崖っぷちボクサー・末永晃を森山未來児童養護施設で育った経歴を持つ才気あふれる若手ボクサー・大村龍太を北村拓海、テレビ番組の企画でボクシングに挑む売れない芸人ボクサー・宮木瞬を勝地涼がそれぞれ演じる。

3人の男たちを中心に描いた「劇場版」は前後編の2部構成で同日公開。また、3人と彼らを取り巻く人々の群像劇として全8話のシリーズで描く「配信版」もABEMAプレミアムで配信される。

10万分の1」(11月27日公開)

GENERATIONS from EXILE TRIBE」「EXILE」の白濱亜嵐と「ReLIFE リライフ」の平祐奈がダブル主演を務め、宮坂香帆の人気少女漫画を実写映画化。10万分の1の確率でしか起こらない難病という運命が降りかかりながらも、手を取り合って未来に向かっていく高校生の2人の恋愛を描いた。

高校剣道部のマネージャーを務める桜木莉乃は、中学時代からの友人である剣道部の人気者・桐谷蓮に思いを寄せていた。しかし自分に自信が持てない莉乃は、学校中の生徒たちの憧れの的である蓮に気後れしてばかりで、告白して気まずくなるくらいなら友達のままでいようと思っていた。そんなある日、思いがけず蓮の方から告白され、2人は付き合うことに。誰もがうらやむ幸せな日々を送る莉乃と蓮だったが、やがて「10万分の1」の確率でしか起こらない残酷な運命が2人に降りかかる。

旅猫リポート」の三木康一郎監督がメガホンをとり、「きょうのキラ君」の中川千英子が脚本を担当。

佐々木、イン、マイマイン」(11月27日公開)

初監督作品「ヴァニタス」がPFFアワード2016観客賞を受賞し、人気バンド「King Gnu」や平井堅のMVなどを手がける内山拓也監督の青春映画。

俳優になるために上京したものの鳴かず飛ばずで、同棲中のユキとの生活もうまくいかない日々を送って悠二は、高校の同級生の多田と再会をする。悠二は多田との再会で、在学当時にヒーロー的存在だった佐々木との日々を思い起こす。悠二はある舞台出演のため稽古に参加するが、稽古が進むにつれ、舞台の内容が過去と現在にリンクし、悠二の日常が加速していく。そんな矢先、悠二の電話に佐々木から数年ぶりの電話がかかってくる。

主人公・悠二役を「his」の藤原季節が演じるほか、細川岳、萩原みのり、遊屋慎太郎、森優作、小西桜子、河合優実、「King Gnu」の井口理、鈴木卓爾村上虹郎らが脇を固める。

アーニャは、きっと来る」(11月27日公開)

イギリスの児童文学作家マイケル・モーパーゴの同名小説を映画化し、ナチス占領下のフランスを舞台にユダヤ人救出作戦の行方を描いたヒューマンドラマ。

1942年、ピレネー山脈の麓にある小さな村。生活の大半を羊飼いとして過ごす13歳の少年ジョーは、ユダヤ人の男性ベンジャミンと出会う。彼はユダヤ人の子どもたちを安全なスペインへ逃がす計画を企てており、ジョーも手伝うことに。その一方で、ジョーは個人的な悲しみの感情を共有することで、ドイツ軍の下士官と親しくなる。ドイツの労働収容所から帰国したジョーの父親は荒れていたが、ジョーのユダヤ人救出作戦への関与を知ると協力を約束。村人たちが一致団結して子どもたちを逃がす日が迫る中、ベンジャミンが待つ娘アーニャは一向に現れず……。

Netflixドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のノア・シュナップが主演を務め、祖父アンリをジャン・レノ、救出作戦の主導者オルカーダをアンジェリカ・ヒューストンが演じる。

ガメラ 大怪獣空中決戦 4K HDR」(11月27日公開)

大映が手がけた特撮映画「大怪獣ガメラ」を復活させた「平成ガメラ」3部作の第1作で、宇宙の守護神ガメラと超遺伝子獣ギャオスの戦いを描いた特撮怪獣映画。

太平洋上で巨大漂流環礁が発見された。同じ頃、九州の姫神島で住民が消失する事件が発生。住民は消える直前の無線で、鳥の存在を訴えていた。調査のため島を訪れた鳥類学者・長峰の前に、巨大な怪鳥が姿を現す。一方、海上保安庁の米森と保険会社の草薙は、環礁上で発見された石版の碑文を解読。その結果、環礁はガメラ、怪鳥はギャオスという古代怪獣であることが判明する。全国民が震撼する中、2大怪獣の戦いは九州から東京へと舞台を移し、壮絶な空中バトルが幕を開ける。

出演は伊原剛志、「フィスト・オブ・レジェンド」の中山忍、本作が映画初出演の藤谷文子金子修介監督がメガホンをとり、樋口真嗣特技監督を務めた。

「大怪獣ガメラ」の55周年を記念したプロジェクトの一環で平成ガメラシリーズの4Kデジタル修復版のブルーレイが2021年1月29日に発売。これを記念して全国7館のドルビーシネマにて期間限定上映。

ヒトラーに盗られたうさぎ」(11月27日公開)

ドイツの絵本作家ジュディス・カーが少女時代の体験を基につづった自伝的小説「ヒトラーにぬすまれたももいろうさぎ」を、「名もなきアフリカの地で」のカロリーヌ・リンク監督が映画化。

1933年2月。ベルリンで両親や兄と暮らす9歳のアンナは、ある朝突然、「家族でスイスに逃げる」と母から告げられる。新聞やラジオでヒトラーへの痛烈な批判を展開していた演劇批評家でユダヤ人でもある父は、次の選挙でのヒトラーの勝利が現実味を帯びてきたことに身の危険を感じ、密かに亡命の準備を進めていたのだ。持ち物は1つだけと言われたアンナは大好きなピンクのうさぎのぬいぐるみに別れを告げ、過酷な逃亡生活へと踏み出していく。

アンナの父を「帰ってきたヒトラー」のオリバー・マスッチ、母を「ブレードランナー 2049」のカーラ・ジュリ、心優しいユリウスおじさんを「お名前はアドルフ?」のユストゥス・フォン・ドーナニーが演じた。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

*1:この理由はあくまでも個人的な考えではあるが、エヴァ進撃の巨人鬼滅の刃は現象化していく熱気や人々を盛り上げさせるキャラと物語配置があると思う。ぜひ、いろんな人に研究していただきたいところだ。

<週刊興行批評>いよいよ「鬼滅の刃」が公開!オープニング興収20億円の壁は超えられるか?

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今回はいよいよ昨日より公開される「鬼滅の刃 無限列車編」について書いていきます。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「TENET テネット」。土日2日間で動員10万1000人、興収1億7000万円をあげ、累計では動員124万人、興収20億円を突破している。

2位は「浅田家!」。土日2日間で動員8万6000人、興収1億1500万円をあげ、累計では動員100万人、興収16億円を突破している。

3位は「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。累計で動員89万人、興収12億円を突破した。

4位は初登場望み」。初日からの3日間で動員6万9300人、興収8900万円をあげた。

5位は「映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者累計で動員84万人、興収10億円を突破。

6位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。累計で動員267万人、興収32億円を突破。

7位は「事故物件 恐い間取り」。累計で動員169万人、興収22億円を突破。

8位は「ミッドナイトスワン」。累計興収は3億7900万円を突破。

9位は「トロールズ ミュージック★パワー」。累計で動員7万8600人、興収9700万円を突破。

10位は初登場星の子」。初日からの3日間で動員2万9000人、興収3800万円をあげた。

82年生まれ、キム・ジヨン」は、初日からの3日間で動員2万9400人、興収4000万円をあげ、11位スタートとなった。

 

2.いよいよ「鬼滅の刃 無限列車編」が公開!

f:id:ot20503:20201016104029j:imageいよいよ昨日より「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」が公開。累計発行部数は1億部を突破、今年5月に人気絶頂の最中で完結を迎えた吾峠呼世晴週刊少年ジャンプで連載された「鬼滅の刃」。2019年4月〜9月にかけて放送されたテレビアニメのその後の話が描かれている。

今や子供から大人まで「鬼滅の刃」を知らない人のほうが少ないと抱かせるほどの社会現象ぶりで、先日映画を記念して放送された総集編「兄妹の絆」が視聴率16.7%と高視聴率を記録(なお、今週土曜日にも「那田蜘蛛山編」が放送されるため、こちらにも期待したい)。

この社会現象の熱が頂点になりつつある今、劇場版の公開が始まるわけだから、それ相応の興行収入が出る期待もある。今回は本作の公開体制について見ていき、初週末でどこまで稼ぐことが出来るのかを考えていきます。

・この3日間でどれだけ上映される?

まず、そもそも金曜日から日曜日までどれだけ上映されるのか。東宝の上映劇場一覧に載せられてる劇場すべての上映スケジュールを調べてみました。

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上映館数は365館。これはTVアニメ放送前に上映された「兄妹の絆」の33倍(11館)、同じくアニプレックス配給、ufotable制作の「劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」の2.3倍(156館)であり、近作だと「今日から俺は!!劇場版」(359館)、「TENET テネット」(362館)に匹敵する館数だ。

また、上映回数だと、金曜日に7960回、土曜日に7860回、日曜日に7700回で3日間で合計で23500回以上も上映される。これだけ聞いてもピンと来ないだろうが、1館あたり平均で3日間で64.4回、1日あたり21.5回も上映されるという計算だ。もちろん、1スクリーンあたりで1日に21回も上映ができるわけがないので(頑張っても6〜7回である)、ほとんどの劇場では複数のスクリーンで鬼滅の刃が上映されるという展開を図っている。ちなみに初日の朝7時の朝一の最速上映を行っている劇場が83館、土曜日の朝8時40分より行われる舞台挨拶のライブビューイングが含まれた回を上映する劇場は202館に及ぶ。どちらもイベント性が含まれたこうした上映回は特にチケットの完売率は都市・田舎関係なく高かった印象だ。

合計回数が100回以上を超えている映画館はTOHOシネマズ新宿*1、TOHOシネマズららぽーと横浜*2横浜ブルク13*3イオンシネマ港北ニュータウン*4、TOHOシネマズ流山おおたかの森*5、TOHOシネマズ柏*6、中川コロナシネマワールド*7、小牧コロナシネマワールド*8、TOHOシネマズモレラ岐阜*9、TOHOシネマズ岡南*10、T・ジョイ博多*11、TOHOシネマズ熊本サクラマチ*12、TOHOシネマズ与次郎*13の13館にも及び、特にTOHOシネマズ新宿の初日の42回を12スクリーン中11スクリーンで、初回の朝7時上映を9スクリーンで上映されることはネットメディアでも大きな話題となった。

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ここまで上映回数が多いとまるで時刻表みたいだと…Twitter上でも話題になっていましたが、確かにそれは言えてます(笑)。

・ここまで大規模で上映できる理由

では、なぜここまでの大規模の上映が可能になったのか。また、なぜそこまでして多くのスクリーンで上映するのかを考えていきます。まず、本作は製作にソニー・ミュージック・エンタテインメントのアニプレックスが関わっていました。劇場版自体もアニメの評判の高さから決定し、放送の中盤までにはキャスト陣にも周知されていたという。しかし、ここまでの現象化をしてしまうとアニプレックス単体で配給をしてもどこまで規模を確保できるのか。先ほど書いた「Fate/stay night」でも150館規模であります。これでは需要に応えることは可能だろうか。そこで本作に共同配給で名を連ねているのは東宝です。東宝は今や日本一の配給会社、製作会社として有名でもありますし、シネコンチェーンであるTOHOシネマズも展開しているので配給としてこの上ない最高のパートナーです。結果として、ここまでの規模を展開できたわけでありますが、東宝としてもこの話は非常に美味しいところであります。これまで週刊少年ジャンプのアニメ映画の配給としては「ドラゴンボール」、「ワンピース」の東映がドル箱化しているイメージが強かったです。もちろん、東宝もこれまでNARUTOやヒロアカを配給してきましたが、興収としては10〜20億円とドル箱とまではいかなかったところではあります。そんな中で舞い込んできた「鬼滅の刃」の劇場版の配給。現時点ではアニプレックスさんとの繋がりを持つこと(来年2月には共同配給で「夏への扉」を公開予定済みである)や配給のお手伝いをした側面もありますが、大ヒットした暁には、東宝も潤い、今後のメディア展開にも関われるチャンスを掴んだも同然というわけです。東宝としても先日、行われた2021年2月期の第二四半期の決算資料の表紙に推すほど。それだけ、本作に対しての期待度は大きいと読んでいるのでしょう。

多いところでは1日40回以上と劇場のスクリーンをほぼフル活用して鬼滅の刃を上映する劇場もあるようですが、そこまでするのはなぜ?と感じる人も少なくはないでしょう。それだけ社会現象だからだと片付けることも可能ですが、だとしても、過去のメガヒット作品でもそこまでのスクリーンを確保してまでやるほどではありませんでした。

と考えると、それはコロナ禍でいかに観客を密にせずに分散させるかという理由もあるでしょう。これだけのメガヒットが期待される作品、多くの観客が入場し、その中には劇場に普段足を運ばない人もいるかもしれない。そうした中で劇場としての安全・衛生確保の観点からも複数のスクリーンに跨って、並行上映させてほうがいいというのは良いアイデアでもあるように思えます。コロナとこれから長く付き合うことを考えてもこの策がどう作用するのか。もしかしたら、今後、メガヒット作品にはこうした対応がスタンダードになるかもしれません。

・コロナ禍で大規模上映をする是非

さて、こうした大規模上映をすることは一概に良い!と言い切れないというのもあります。それは2つありまして、1つは競合作の勢いを弱らせてしまうこと。現在、公開されている「浅田家!」や「TENET」といった作品をはじめ、同週末に公開されるヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した「スパイの妻」、幸福の科学映画「夜明けを信じて。」などのパワーを弱らせ、それが翌週以降もしばらくつづくことは他作品からしたら辛い面でもあります。しかし、それはこれまでもメガヒット作品の最中で公開された作品のどれにも言えるので仕方がありません。むしろ、考えなきゃいけないのが2つ目です。

これは初日の劇場内のロビー、入場口。かなり混雑しているのが伺えます。劇場としてはここまで活気してくれるのはありがたい反面、これで感染者が出てしまったら、元も子もありません。検温、マスクをしていればコロナを完全に防げるわけでもないですし、座席緩和したことにより、感染リスクは高まる心配をするお客さんもいるでしょう。これまで映画館で感染者が出たという報道は出ていませんが、1人でも出てしまえば、全国的に大きく報道されることは間違いないでしょうし、風評被害も避けられない可能性があります。これは映画館スタッフが努力すれば済む話でもないし、入場口が一つしかない映画館ならではな問題でもあるような気がします。まずは観客自身と映画館それぞれの感染対策の徹底化をするしかないでしょう。回数を減らせば良いという問題でもないように需要の面から思います。

・「鬼滅の刃」の劇場版は映画館を救うのか?

さて、あれこれ考えていきましたが、このような規模からも「鬼滅の刃」の劇場版に対しての配給、映画館の期待と熱意が伺えますし、ここまで再開以降、順調に持ち直しつつある映画館にとってついに正念場とも言える場面ではないでしょうか。本作のヒットによって、映画館の熱気は正常に戻るのか、次のヒットに繋がっていくのか。現状の熱気から映画館を救ってくれると願うしかない。洋画の大作が少ない今こそ邦画のヒットする(ここでは良い意味で)ガラパゴスさを出してくれることに期待しよう。

・オープニング興収は20億円の壁を超えるのか?

最後に。 オープニング興収を予想していきます。参考データとしてジャンプアニメ映画と2010年代のオープニング成績のトップ10を出しておきます。

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まず、目指すべきは「ワンピース」や「ドラゴンボール」だ。どれも興収が10億円台を記録している。これらを超えてきたら、ジャンプの覇権を取ったという見解がアニメでも証明されたことになる。

つづいて、目指すべきはコナンや妖怪ウォッチだ。こちらは土日2日間で動員100万人、興収も10億円後半を超えてきたら、もはや最終興収が100億円も夢じゃないと考えて良い。こうして見ると「妖怪ウォッチ」ってとてつもない社会現象だったなと改めて感じる(そこからの減速が強すぎただけだが…)。今の鬼滅現象がそれだけすごいんだ!と言えるかが試されます。

今の状況なら、この2つの目標は軽く突破していきそうな勢いも感じるのだが、そこで考えたのが、オープニング興収で20億円の壁を超えることが出来るか?だ。そこで言いたいのが、土日2日間、ましてや初日3日間で興収20億円を超えた映画は日本に存在しないということ。

メディアではオープニング興収の日本記録は2003年に公開された「マトリックス リローテッド」で土日2日間で動員148万6743人、興収22億2285万4550円となっている。だが、これは先行上映を含めたした記録であることを加味しないといけない。今は世界同時公開が増えたが、一昔前は先行上映で溢れており、オープニング興収では先行上映の成績を含まれているのが当たり前だった。しかし、先行上映が減りつつある現代において、比較するときに先行上映を加えたデータを日本記録と表記することはよろしくはないと個人的には思う。

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オープニング成績の日本記録として挙げられる主な作品を先行上映の記録を抜いて計算をしてみた結果は上記のとおり。興収20億円超えでも先行の数日分があるとかなり減ったりする。この計算から現時点で日本記録として打ち出せるのは2007年の「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」の世界同時公開された初日からの3日間で19億3869万7200円である。あのパイレーツさえも20億円の壁は超えられなかったのだ。鬼滅が3日間で20億円の壁を打破できるのかは興行収入を追ってる身としてかなり注目しておきたいことなのだ。

とりあえず、まとめておくと…

・2日間で8〜10億円超えなら、ドラゴンボール、ワンピースレベル(ジャンプ覇権の仲間入り)

・2日間で10億〜15億円台なら、コナン、2014年の妖怪ウォッチレベル(149万人、16億2900万円を超えるとその時点で邦画のオープニング新記録)

・3日間で19億円なら、アナ雪2、パイレーツ・オブ・カリビアンレベル

・3日間で20億円を超えると正真正銘の日本新記録

 

この4つの壁に鬼滅の刃がどこまで立ち向かえるのか。まずは3日間の行方に自分は全集中しておきたいところだ。

 

3.今週末の注目作

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」(10月16日公開) (PG12)

吾峠呼世晴の大ヒット漫画を原作としたアニメ「鬼滅の刃」の劇場版。炭治郎らが無限列車に乗り込む場面で終了したテレビアニメ版「竈門炭治郎 立志編」最終話のその後の物語が描かれる。

大正時代の日本。鬼に家族を皆殺しにされ、生き残った妹の禰󠄀豆子も鬼に変貌してしまった炭治郎は、妹を人間に戻し、家族を殺した鬼を討つため、鬼狩りの道を進む決意をする。蝶屋敷での修業を終えた炭治郎たちは、短期間のうちに40人以上もの人が行方不明になっているという無限列車に到着する。炭治郎、禰󠄀豆子、善逸、伊之助は、鬼殺隊最強の剣士の1人、煉獄杏寿郎と合流し、無限列車の中で鬼と立ち向かう。

スパイの妻 劇場版」(10月16日公開)

2020年6月にNHK BS8Kで放送された黒沢清監督、蒼井優主演の同名ドラマをスクリーンサイズや色調を新たにした劇場版として劇場公開。

1940年の満州。恐ろしい国家機密を偶然知ってしまった優作は、正義のためにその顛末を世に知らしめようとする。夫が反逆者と疑われる中、妻の聡子はスパイの妻と罵られようとも、愛する夫を信じて、ともに生きることを心に誓う。そんな2人の運命を太平洋戦争開戦間近の日本という時代の大きな荒波が飲み込んでいく。

蒼井と高橋一生が「ロマンスドール」に続いて夫婦役を演じたほか、東出昌大笹野高史らが顔をそろえる。「ハッピーアワー」の濱口竜介と野原位が黒沢とともに脚本を担当。「ペトロールズ」「東京事変」で活躍するミュージシャンの長岡亮介が音楽を担当。第77回ヴェネツィア国際映画祭黒沢清監督が銀獅子賞を受賞した。

博士と狂人」(10月16日公開)

初版の発行まで70年を費やし、世界最高峰と称される「オックスフォード英語大辞典」の誕生秘話を、メル・ギブソンショーン・ペンの初共演で映画化。

貧しい家庭に生まれ、学士号を持たない異端の学者マレー。エリートでありながら、精神を病んだアメリカ人の元軍医で殺人犯のマイナー。2人の天才は、辞典作りという壮大なロマンを共有し、固い絆で結ばれていく。しかし、犯罪者が大英帝国の威信をかけた辞典作りに協力していることが明るみとなり、時の内務大臣ウィンストン・チャーチルや王室をも巻き込んだ事態へと発展してしまう。

マレー博士役をメル・ギブソン、マイナー役をショーン・ペンがそれぞれ演じるほか、ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のナタリー・ドーマー、「おみおくりの作法」のエディ・マーサンらが脇を固める。

みをつくし料理帖」(10月16日公開)

映画プロデューサーとして「犬神家の一族」「セーラー服と機関銃」など数々のヒット作を手がけ、「天と地と」「汚れた英雄」などでは自ら監督としてメガホンを取った角川春樹の8作目となる監督作品。ドラマ化もされた高田郁による同名人気時代小説を、テレビドラマ版「この世界の片隅に」の松本穂香主演で映画化。

享和二年の大坂、仲の良い幼なじみだった8歳の澪と野江を大洪水が襲う。数年後、大洪水で両親を亡くし、野江とも離れ離れになってしまった澪は江戸に暮らしていた。蕎麦処「つる家」の店主に助けられ、天性の料理の才能を見いだされた澪は女料理人として働き、さまざまな困難に立ち向かいながらも店の看板料理を生み出していった。その味が江戸中の評判になっていったある日、吉原・翁屋の又次がつる家にやってきた。又次の用件は、吉原で頂点を極めるあさひ太夫のために澪の看板料理を作ってほしいというものだった。

澪役を松本穂香、野江役を「ハルカの陶」の奈緒、又次役を中村獅童がそれぞれ演じる。

夜明けを信じて。」(10月16日公開)

宗教家の大川隆法による原作・製作総指揮で、2018年に公開された「さらば青春、されど青春。」をキャストやキャラクターを一新してリメイク。

幼いころから勉学に励み、東京の有名大学に進学した一条悟だったが、恋愛や就職活動など、思うようにいかないことが多かった。そんなある時、突然、霊的な存在とのコンタクトが可能になった悟は、大手商社に就職し、異例のスピード出世を果たす。恋愛も順調になり、公私ともに順風満帆の人生を歩む悟だったが、次第に「自分の思想を世の中に説く」という使命感に目覚めていく。しかし、そのためにはこれまで築いた社会的地位も大切な人と過ごす未来の生活も捨てなければならない。将来の幸せか、自身の使命に従うかで迷う悟は、ある決断を下す。

前作にも出演した千眼美子が再びヒロインを演じる。

ウィッカーマン final cut」(10月17日公開)

「ミッドサマー」のアリ・アスター監督もその影響を公言しているなど、一部で熱狂的に支持され、ニコラス・ケイジ主演でリメイクもされた「ウィッカーマン」のファイナルカット版。

公開された1973年当時、完成した作品を映画会社のトップが気に入らず、監督が編集した102分バージョンでなく88分の短縮版で公開された。ネガフィルムも紛失し、長らく行方不明の状態が続いていたが、製作40周年記念となる2013年にフィルムが見つかり、ロビン・ハーディ監督自らが再編集をした94分のファイナルカット版が日本初公開となる。

行方不明の少女捜索のためスコットランドの孤島に上陸したハウィー警部は捜査に取り掛かるのだが、島はサマーアイル卿が統治するケルト神話に支配された禁断の地だった。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

*1:金曜日42回、土曜日41回、日曜日35回の計118回

*2:金曜日42回、土曜日41回、日曜日41回の計124回

*3:金曜日42回、土曜日32回、日曜日32回の計106回

*4:金曜日40回、土曜日39回、日曜日40回の計119回

*5:金曜日39回、土曜日37回、日曜日36回の計112回

*6:金曜日36回、土曜日34回、日曜日31回の計101回

*7:金曜日36回、土曜日36回、日曜日33回の計105回

*8:金曜日38回、土曜日38回、日曜日28回の計104回

*9:金曜日39回、土曜日39回、日曜日39回の計117回

*10:金曜日34回、土曜日33回、日曜日34回の計101回

*11:金曜日37回、土曜日35回、日曜日29回の計101回

*12:金曜日35回、土曜日33回、日曜日33回の計101回

*13:金曜日37回、土曜日36回、日曜日35回の計108回

<週刊興行批評>007の延期、モンハンの前倒し、ピクサー新作の劇場スルー…メジャー洋画の波乱はつづく

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今回は「浅田家!」についてと最近のニュースからメジャー洋画の行方を考えていきたいと思います。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は初登場浅田家!」。土日2日間で動員12万6000人、興収1億7200万円をあげ、幅広い層の女性を集客し、初日から3日間の累計では動員20万人、興収2億8000万円をあげるヒットスタートを切った。

2位は「TENET テネット」。土日2日間で動員12万2000人、興収2億1000万円をあげ興収では「浅田家!」を上回った。累計では動員100万人、興収16億円を突破している。

10月10日からは入場者特典の配布も開始しており、リピーターの入場でさらなるヒットとなりそうだ。

3位は「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。土日2日間で動員8万7000人、興収1億2900万円をあげ、前週比-2.5%と落ちの少ない好調な興行を続けている。累計では動員78万人、興収11億円を突破した。

4位は「映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」。累計で動員78万4300人、興収9億5800万円を突破した。

5位は「事故物件 恐い間取り10月2日より4D上映も始まり、累計で動員163万人、興収21億円を突破。

6位は初登場トロールズ ミュージック★パワー」。初日から3日間で動員3万8900人、興収4900万円をあげた。

7位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。累計で動員263万人を突破し、興収は間もなく32億円に届く。

8位は「ミッドナイトスワン」。累計興収は2億7600万円を突破。

9位は「」。累計は動員158万人、興収20億円を突破している。

10位は「映像研には手をだすな!」。

 

2.興収チェック!「浅田家!」

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先週末、初登場1位にランクインしたのは「浅田家!」。様々なシチュエーションでコスプレして撮影するユニークな家族写真で注目を集めた写真家・浅田政志の実話を「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太監督、二宮和也主演で描いた人間ドラマ。

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近年の二宮和也出演の映画作品と比較すると「検察側の罪人」の動員比40%、興収比41%、「ラストレシピ」の動員比118%、興収比125%とまずまずのオープニング成績。 最終興収は10億円に届くかどうかだが、平日の動員次第ではさらなる好成績も見込めそうだ。

 

3.メジャー洋画の波乱はつづく

先週末の洋画でトップ10にランクインしているのは「TENET」と「トロールズ」の2作品のみだ。本来なら、今週末には「ワンダーウーマン 1984」が公開予定だったが、12月25日に延期となった。日本ではコロナの感染者数も一時期に比べれば落ち着いてはきているが、欧米に目を向けるとまだまだ感染者数は収まる気配はない。アメリカでは今でも1日あたり4〜5万人の新規感染者を出し、スペインやフランス、イギリス、イタリアでもここ数日感染者数が急増している事態となっており、まだまだ油断が許されない状況だ。

そして、こうした状況からも欧米の劇場が平常に戻るのはまだ茨の道状態であり、それは作品にも見事に影響が出ている。

11月に公開を予定していた「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」は来年4月に公開を延期。その玉突きでワイスピの新作は来年4月から5月に延期。

ワーナーはドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「DUNE/デューン 砂の惑星」を12月から来年10月に大幅延期。その影響で「ザ・バットマン」は2021年10月から2022年3月に延期になるなど公開スケジュールの見直しが相次いだ。

そして、ディズニーは11月に公開予定だった「ブラック・ウィドウ」を来年4月に延期。今月23日に公開予定だった「ナイル殺人事件」は2ヶ月後の12月、12月に公開予定だったスピルバーグ監督の「ウエスト・サイド・ストーリー」は1年後に延期となった。

さらには、ディズニーはピクサーの新作として日本でも12月に公開予定だった「ソウルフル・ワールド」を自社の映像配信サービス「Disney+」で配信することを決めた。なお、「ムーラン」のように別途課金する形ではなく、配信とともに見放題として視聴可能となるようだ。

というように現時点で年内に公開できるメジャー洋画もほぼないに等しい状態になっている。この状況はいつまでつづくかも分からず、年を越えても延期が続く可能性もある。また、感染者が出て、撮影を中断するパターンもあり、1〜2年では留まらない状態になることも考慮しないといけない。

こうした状態から再び映画館を閉館する動きも出てきている。アメリカ・イギリスの大手映画館チェーン・Cineworld/Regal Cinemasは10月8日(米国時間)から再休業に突入した。アメリカ国内にあるRegal Cinemasの536館、イギリスにあるCineworld/Picturehouseの127館を一斉に休業し、4万5,000人の従業員に影響が生じるという。

「TENET」などが公開され、一時は開館することはできたが、大都市であるニューヨークとロサンゼルスの開館をするところまではいかず、「TENET」は全米興収だけ見ると4510万ドル(世界興収は3億7700万ドル)と苦戦を強いられている。「TENET」がコロナ禍の映画館を救ってくれるのではないかという声も次に繋がる作品の登場がない状態では叶わずじまいとなってしまった。

このまま、映画館が廃れていくのか、そんな危機感がまだ渦巻いているが、悲報だけではない。ここに来て、公開を前倒しする作品が登場している。「マトリックス」の新作は22年4月から21年12月に前倒し。

また、「バイオハザード」シリーズのポール・W・S・アンダーソン監督×ミラ・ジョヴォヴィッチ主演の「モンスターハンター」は来年4月公開から今年の12月公開に前倒した。年末のメジャー映画不足の中ではとてもありがたいところであるだろう。なお、製作には東宝も絡んでいるため、日本ではアメリカよりも早く観られる可能性もあり(国産ゲームの実写化なので最速公開の宣伝が出来たほうがいい)、正月映画の目玉となる期待はあるだろう。

延期に配信スルー、さらには前倒しという手も出てきたメジャー洋画であるが、今後、邦画の話題作公開や単館系での洋画上映で凌げている日本においてもじわじわと影響を感じることになる可能性は否定できない。まずは年末に向けての欧米の映画館の開館、メジャー洋画の公開に向けて動き出し、映画館も雇用も作品たちも死なないことを願うばかりだ。

 

4.今週末の注目作

望み」(10月9日公開)

堤幸彦監督と堤真一が初タッグを組み、雫井脩介の同名ベストセラー小説を映画化したサスペンスドラマ。

一級建築士の石川一登と校正者の妻・貴代美は、高校生の息子・規士や中学生の娘・雅とともに、スタイリッシュな高級邸宅で平和に暮らしていた。規士は怪我でサッカー部を辞めて以来、遊び仲間が増え無断外泊することが多くなっていた。ある日、規士が家を出たきり帰ってこなくなり、連絡すら途絶えてしまう。やがて、規士の同級生が殺害されたニュースが流れる。警察によると、規士が事件に関与している可能性が高いという。行方不明となっているのは3人で、そのうち犯人と見られる逃走中の少年は2人。規士が犯人なのか被害者なのかわからない中、犯人であっても息子に生きていてほしい貴代美と、被害者であっても彼の無実を信じたい一登だったが……。

貴代美役に「マチネの終わりに」の石田ゆり子。「八日目の蝉」の奥寺佐渡子が脚本を手がけた。

82年生まれ、キム・ジヨン」(10月9日公開)

平凡な女性の人生を通して韓国の現代女性が担う重圧と生きづらさを描き、日本でも話題を集めたチョ・ナムジュのベストセラー小説を、「トガニ 幼き瞳の告発」「新感染 ファイナル・エクスプレス」のチョン・ユミとコン・ユの共演で映画化。

結婚を機に仕事を辞め、育児と家事に追われるジヨンは、母として妻として生活を続ける中で、時に閉じ込められているような感覚におそわれるようになる。単に疲れているだけと自分に言い聞かせてきたジヨンだったが、ある日から、まるで他人が乗り移ったような言動をするようになってしまう。そして、ジヨンにはその時の記憶はすっぽりと抜け落ちていた。そんな心が壊れてしまった妻を前に、夫のデヒョンは真実を告げられずに精神科医に相談に行くが、医師からは本人が来ないことには何も改善することはできないと言われてしまう。

監督は短編映画で注目され、本作が長編デビュー作となるキム・ドヨン。

星の子」(10月9日公開)

子役から成長した芦田愛菜が2014年公開の「円卓 こっこ、ひと夏のイマジン」以来の実写映画主演を果たし、第157回芥川賞候補にもなった今村夏子の同名小説を映画化。

大好きなお父さんとお母さんから愛情たっぷりに育てられたちひろだが、その両親は、病弱だった幼少期のちひろを治したという、あやしい宗教に深い信仰を抱いていた。中学3年になったちひろは、一目ぼれした新任の先生に、夜の公園で奇妙な儀式をする両親を見られてしまう。そして、そんな彼女の心を大きく揺さぶる事件が起き、ちひろは家族とともに過ごす自分の世界を疑いはじめる。

監督は、「さよなら渓谷」「日日是好日」の大森立嗣。

異端の鳥」(10月9日公開) (R15+)

ナチスホロコーストから逃れるために田舎に疎開した少年が差別に抗いながら強く生き抜く姿と、ごく普通の人々が異物である少年を徹底的に攻撃する姿を描き、第76回ベネチア国際映画祭ユニセフ賞を受賞した作品。ポーランドの作家イェジー・コシンスキが1965年に発表した同名小説を原作に、チェコ出身のバーツラフ・マルホウル監督が11年の歳月をかけて映像化した。

東欧のどこか。ホロコーストを逃れて疎開した少年は、預かり先である1人暮らしの叔母が病死して行き場を失い、たった1人で旅に出ることに。行く先々で彼を異物とみなす人間たちからひどい仕打ちを受けながらも、なんとか生き延びようと必死でもがき続けるが……。

新人俳優ペトル・コラールが主演を務め、ステラン・スカルスガルド、ハーベイ・カイテルらベテラン俳優陣が脇を固める。 

ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ」(10月9日公開) (PG12)

サンフランシスコを舞台に、都市開発により取り残されてしまった人たちのリアルな姿を描いたドラマ。主人公を実名で演じた主演のジミー・フェイルズが10代の頃に体験した自伝的物語で、フェイルズの幼なじみでもあるジョー・タルボット監督が長編初メガホンをとり映画化。サンダンス映画祭の監督賞、審査員特別賞を受賞した。

IT関連企業とベンチャー企業の発展により、多くの富裕層が暮らす街となったサンフランシスコ。この街で生まれ育ったジミーは、祖父が建て、家族との思い出が詰まったビクトリアン様式の美しい家を愛していた。しかし、地区の景観とともに観光名所にもなっていたその家を現在の家主が手放すことになり、家は売りに出されてしまう。ジミーは再びこの家を手に入れるために奔走し、そんなジミーの切実な思いを友人であるモントは静かに支えていた。

本気のしるし 劇場版」(10月9日公開)

「淵に立つ」「よこがお」の深田晃司監督が星里もちるの同名コミックを連続ドラマ化し、2019年放送された作品を劇場作品として再編集したサスペンス。

退屈な日常を送っていた会社員の辻一路。ある夜、辻は踏み切りで立ち往生していた葉山浮世の命を救う。不思議な雰囲気を持ち、分別のない行動をとる浮世。そんな彼女を放っておけない辻は、浮世を追ってさらなる深みへとはまっていく。

辻役を「レディ・プレイヤー1」「蜜蜂と遠雷」の森崎ウィン、浮世役をドラマ「3年A組 今から皆さんは、人質です」「連続テレビ小説 べっぴんさん」の土村芳がそれぞれ演じ、宇野祥平石橋けい、福永朱梨、忍成修吾北村有起哉らが脇を固める。2020年・第73回カンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクション「カンヌレーベル」に選出。

シカゴ7裁判」(10月9日公開)

ソーシャル・ネットワーク」でアカデミー脚色賞を受賞し、「マネーボール」や自身の監督作「モリーズ・ゲーム」でも同賞にノミネートされたアーロン・ソーキンがメガホンをとったNetflixオリジナル映画で、ベトナム戦争の抗議運動から逮捕・起訴された7人の男の裁判の行方を描いた実録ドラマ。キャストには、「ファンタスティック・ビースト」シリーズのエディ・レッドメインをはじめ、ジョセフ・ゴードン=レビット、サシャ・バロン・コーエンマイケル・キートンマーク・ライランス、ジェレミー・ストロングら豪華俳優陣が集結した。

1968年、シカゴで開かれた民主党全国大会の会場近くに、ベトナム戦争に反対する市民や活動家たちが抗議デモのために集まった。当初は平和的に実施されるはずだったデモは徐々に激化し、警察との間で激しい衝突が起こる。デモの首謀者とされたアビー・ホフマン、トム・ヘイデンら7人の男(シカゴ・セブン)は、暴動をあおった罪で起訴され、裁判にかけられる。その裁判は陪審員の買収や盗聴などが相次ぎ、後に歴史に悪名を残す裁判となるが、男たちは信念を曲げずに立ち向かっていく。

NETFLIXで10月16日から配信に先立ち、一部の映画館で劇場公開。

わたしは金正男を殺してない」(10月10日公開)

2017年にマレーシアのクアラルンプール国際空港で起こった、北朝鮮朝鮮労働党委員長・金正恩の実兄・金正男暗殺事件。この事件の闇と真相に迫ったドキュメンタリー。

白昼のマレーシアの空港で、金正男が神経猛毒剤「VX」を顔に塗られ、殺害された。彼を殺したのはベトナム人インドネシア人の2人のごく普通の若い女性だった。彼女たちはなぜ金正男を暗殺したのか。事件を追う中で、それぞれの明るい人生を夢見る貧しい彼女たちにつけ込んだ、北朝鮮工作員たちの姿が明らかとなっていく。

監督は「おしえて!ドクター・ルース」「ジェンダー・マリアージュ 全米を揺るがした同性婚裁判」などのドキュメンタリーを手がけたライアン・ホワイト。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>「ミッドナイトスワン」のランクインは日本でどういう道を作るのか?

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今回は「ミッドナイトスワン」について書いております。興行的視点と作品の内容にも触れた長い文章になってしまいましたが、よろしければご覧ください。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「TENET テネット」。土日2日間で動員14万5000人、興収2億4600万円をあげ、累計では動員74万人、興収12億円を突破している。

2位は「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。土日2日間で動員8万8000人、興収1億3200万円をあげ、累計では動員56万人、興収8億円を突破した。

3位は「映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」。土日2日間で動員8万2000人、興収1億200万円をあげ、累計で動員69万人、興収8億4000万円を突破した。

4位は「事故物件 恐い間取り」。累計で動員154万人、興収20億円を突破した。

5位は初登場映像研には手をだすな!」。

6位は初登場ミッドナイトスワン」。初日から3日間で動員8万3500人、興収1億2000万円をあげた。

7位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。累計で動員258万人、興収31億円を突破。

8位は「」。累計で動員150万人を突破し、興収は間もなく20億円に届く。

9位は「劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」。累計興収は18億円を突破した。

10位は初登場アダムス・ファミリー」。

 

2.興収チェック!「ミッドナイトスワン」

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初登場6位にランクインしたのは「ミッドナイトスワン」。草彅剛演じるトランスジェンダーの主人公と親の愛情を知らない少女の擬似親子的な愛の姿を描いたドラマで、草彅剛がトランスジェンダーを演じる点が大きな話題を呼んでいた作品だ。

ジャニーズ事務所を退所して、新しい地図としての活動も既に3年が経過してる中で、草彅をはじめ、香取慎吾稲垣吾郎が挑んできたフィールドは音楽活動やCMはもちろんのこと、SNSやブログ、動画配信といったソーシャルメディア活動とともに"映画"があったことは間違いないだろう。

彼らが独立してから半年となる2018年4月、3人が主演したオムニバス映画「クソ野郎と美しき世界」を公開。その後、稲垣吾郎主演の「半世界」(2019年2月)、香取慎吾主演の「凪待ち」(2019年6月)、草彅剛主演の「台風家族」(2019年9月)がそれぞれ公開され(以上に挙げた4作品は配給に「ミッドナイトスワン」と同じく木下グループのキノフィルムズが関わっている)、キネマ旬報ベスト・テンなどでも高い評価を得てきた。着実に演技力に磨きを続けてきたのもこの3年の大きなトピックだろう。

さて、本作だ。2020年は個人的に3年間、彼らが積み上げた物事が世間により見える形で実を結んでいるように思える年に思えるが、映画という観点でおそらくこれからターニングポイントとなる作品であることは間違いない。本作の公開規模は「クソ野郎と美しき世界」の77館、「半世界」の69館、「凪待ち」の72館、「台風家族」の81館に対して、本作は127館*1と最大規模だ。国内最大級のシネコンチェーンのイオンシネマが全体の3分の1に当たる30館、TOHOシネマズに至っては全72館中の67館が上映しているのだ。TOHOシネマズは公開を記念して、先ほど挙げた「クソ野郎〜」以外の3作品の特集上映や一夜限りの先行上映を開催したりとプロモーションに積極的だった。配給会社が違うとはいえ、東宝グループのシネコンがここまでの対応を見せてくれたことにも驚きだ。

本作の評判に加え、以上のような歩みがあり、本作は100館規模の公開ながら、6位にランクインする快挙を成し遂げた。

さて、作品自体にもここで触れていこうと思う。自分は先週の水曜日、すなわちレディースデイで女性の観客が多かった回で観てきた(その効果があってか、デイリーランキングで3位の快挙を成し遂げている)。感想自体はfilmarksにも投稿しているのでそちらを読んでいただきたいが、話の構造自体はよく出来ている作品で、草彅剛と服部樹咲の演技力の高さ、邦画にしてはよく出来た画作りと悪くない一作ではあったが、作品のオチへの収束の歯切れがよくなく、それはネット上でも賛否渦巻いている。それはトランスジェンダーの扱い方自体にも抵触することでもあるし、個人的には様々な映画を観ている身として、こうした結末を作るのが今の日本映画で精一杯なのだろうかと鑑賞後に思った次第ではあった。

なぜそんなことを書いたかといえば、この作品がヒットし、評価をされるのならば、それはこれからの日本映画、娯楽にしっかりと結びついて欲しいと願うからだ。自分は昨年、同じコーナーで「新聞記者」について扱った際にも「メッセージを汲み取るのみに完結をしたりするようではこの映画の姿勢は果たせても、意義を果たしているのかは疑問です。」と書きました。

「ミッドナイト〜」の監督を務めた内田英治監督は「自分の映画を社会的にはしない。これは娯楽。娯楽映画で問題の第一歩を感じれればいい。社会問題は誰も見ない。」とツイートしたように単に社会問題を取り扱うだけでは映画として成立しない場合もあります(その後のインテリ気取りという言葉は言い過ぎだとは思いますが)。自分は映画に社会背景をいかに混ぜ込むかを楽しみにしている側面があります。その当時に都市の背景、社会がどう動き、人々の会話に何が生まれるか。映画はそれを残す素晴らしい発明だと思うんです。では、「ミッドナイトスワン」を観終わった後、観客は何を思い、社会をどう見つめるのだろうか。僕はこの映画が数年後改めて観たときに「草彅剛さんがこんな役をやってくれたからこそこうした問題に触れる人が増えて、社会は少し変わったよね」とか「こうした映画が2020年に出来たけど、あれからLGBTの役者が当事者として演じることができたり、普通の愛し愛されふりふられるラブストーリーや日常生活を描けて、幸せな結末を迎える映画が増えたよね」そう日本にいても思えるように結びつけていきたいと今、書きながら強く思います(現に海外に目を向けるとこうした動きが始まっているわけだからこそ余計にということはありますが)。

こうした結末を作るのが今の日本映画で精一杯なのだろうかと書きましたが、言い換えればこれが次へと繋がるのであれば、それは意味が少しあるのかなとも思うのです。この映画がどれだけヒットし、どれだけ作品やキャストの演技力が評価され、どれだけ社会を次へと進めていくのか。様々なことが試されている作品だと自分は思うし、それだけの力がある作品だと思います(だからここまで長い文章を書いているわけですが)。数年後、この作品がターニングポイントになったとき、その地図に良い道が出来たなと思えることを祈って。

 

3.今週末の注目作

「今週末の注目作」と書きながら、もう今週末終わってるやないか!となりますが、そこは大目に見てください。以後気をつけます…

浅田家!」(10月2日公開)

様々なシチュエーションでコスプレして撮影するユニークな家族写真で注目を集めた写真家・浅田政志の実話をもとに、二宮和也妻夫木聡の共演、「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太監督のメガホンで描いた人間ドラマ。4人家族の次男坊として育ち写真家になった主人公・政志を二宮和也、やんちゃな弟をあたたかく見守る兄・幸宏を妻夫木聡が演じ、家族の“愛の絆”や“過去と今”をオリジナル要素を加えつつ描き出す。

浅田家の次男・政志は、幼い頃から写真を撮ることが好きだった。写真専門学校に進学した政志は、卒業制作の被写体に家族を選び、浅田家の思い出のシーンを本人たちがコスプレして再現する写真を撮影。その作品は見事、学校長賞を受賞する。卒業後、地元でパチスロ三昧の3年間を送った後、再び写真と向き合うことを決意した政志が被写体に選んだのは、やはり家族だった。様々なシチュエーションを設定しては家族でコスプレして撮影した写真で個展を開催したところ、気に入った出版社が写真集を出版。プロの写真家として歩み始める政志だったが、全国の家族写真の撮影を引き受けるようになり、その家族ならではの写真を模索・撮影するうちに、戸惑いを感じ始める。そんなある日、東日本大震災が起こり……。

フェアウェル」(10月2日公開)

中国で生まれアメリカで育ったルル・ワン監督が自身の体験に基づき描いた物語で、祖国を離れて海外で暮らしていた親戚一同が、余命わずかな祖母のために帰郷し、それぞれが祖母のためを思い、時にぶつかり、励まし合うながら過ごす日々を描いたハートウォーミングドラマ。

ニューヨークに暮らすビリーは、中国にいる祖母が末期がんで余命数週間と知らされる。この事態に、アメリカや日本など世界各国で暮らしていた家族が帰郷し、親戚一同が久しぶりに顔をそろえる。アメリカ育ちのビリーは、大好きなおばあちゃんが残り少ない人生を後悔なく過ごせるよう、病状を本人に打ち明けるべきだと主張するが、中国に住む大叔母がビリーの意見に反対する。中国では助からない病は本人に告げないという伝統があり、ほかの親戚も大叔母に賛同。ビリーと意見が分かれてしまうが……。

オーシャンズ8」「クレイジー・リッチ!」のオークワフィナが祖母思いの孫娘ビリーを演じる。

小説の神様 君としか描けない物語」(10月2日公開)

 相沢沙呼による小説「小説の神様」を、佐藤大樹EXILE/FANTASTICS)と橋本環奈のダブル主演で映画化。

中学生で作家デビューしたものの、発表した作品を酷評され売上も伸びないナイーブな高校生作家・千谷一也。一方、同じクラスの人気者であるドSな性格の小余綾詩凪は、高校生作家としてヒット作を連発していた。性格もクラスでの立ち位置も作家としての注目度も正反対の彼らだったが、編集者に勧められ、小説を共作してベストセラーを目指すことに。反発しあいながらも物語を一緒に生み出していくうちに、一也は詩凪が抱える意外な秘密を知る。

監督は「HiGH&LOW」シリーズの久保茂昭

BURN THE WITCH」(10月2日公開)

BLEACH」の久保帯人によるファンタジーアクション漫画「BURN THE WITCH」を劇場中編アニメーションとして映像化。

普通の人は見ることのできない異形の存在・ドラゴン。ロンドンでは遥か昔から、全死因の72%にドラゴンが関わっていた。その姿を見ることができるのは、ロンドンの裏側に広がる「リバース・ロンドン」の住人だけ。その中でも選ばれし者たちがウィッチ(魔女)やウィザード(魔法使い)となり、ドラゴンに直接接触する資格を与えられている。自然ドラゴン保護管理機関「ウイング・バインド」に所属する魔女コンビ・新橋のえるとニニー・スパンコールは、ドラゴンに接触できない人々に代わってドラゴンたちを保護・管理するべく、任務に励む日々を送っていたが……。

監督は「PSYCHO-PASS サイコパス 2」の作画監督や「甲鉄城のカバネリ」のアクショ ン作画監督を務めた川野達朗。

オン・ザ・ロック」(10月2日公開)

ソフィア・コッポラが監督・脚本を手がけ、「ロスト・イン・トランスレーション」のビル・マーレイと「セレステジェシー」のラシダ・ジョーンズが父娘役で共演。

ニューヨークで暮らすローラは順風満帆な人生を送っていると思っていたが、夫ディーンが新しい同僚と残業を繰り返すようになり、結婚生活に疑いを抱き始める。そこでローラは、プレイボーイで男女の問題に精通している父フェリックスに相談を持ち掛ける。フェリックスはこの事態を調査するべきだとアドバイスし、父娘2人でディーンを尾行することに。アップタウンのパーティやダウンタウンホットスポットを一緒に巡る内に2人は距離を近づけていき、自分たち父娘の関係についてある発見をする。

ある画家の数奇な運命」(10月2日公開) (R15+)

長編監督デビュー作「善き人のためのソナタ」でアカデミー外国語映画賞を受賞したフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督が、現代美術界の巨匠ゲルハルト・リヒターをモデルに、ドイツの激動の時代を生きた芸術家の半生を描いた人間ドラマ。

ナチ党政権下のドイツ。叔母の影響で幼い頃から芸術に親しむ日々を送っていたクルトは、終戦後に東ドイツの美術学校に進学し、エリーと恋に落ちる。エリーの父親は、精神のバランスを崩して強制入院し、安楽死政策によって命を奪われた叔母を死に追いやったナチ党の元高官だった。しかし、誰もそのことに気づかぬまま、2人は結婚する。やがて、東のアート界に疑問を抱いたクルトは、エリーと⻄ドイツへ逃亡し、創作に没頭するが……。

主人公クルト役を「コーヒーをめぐる冒険」のトム・シリングが演じた。第91回アカデミー賞では外国語映画賞と撮影賞にノミネートされた。

ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ」(10月2日公開)

質素な暮らしぶりで「世界で最も貧しい大統領」とも言われた第40代ウルグアイ大統領ホセ・ムヒカと日本の知られざる関係を描いたドキュメンタリー。

2012年にブラジルのリオデジャネイロで開かれた国連会議で、先進国の大量消費社会を優しい口調ながら痛烈に批判したムヒカ大統領。その感動的なスピーチ映像は世界中に広まり、日本でも大きな話題を呼んだ。当時ディレクターを務めていたテレビ番組でムヒカ大統領を取材した田部井一真監督は、ムヒカ大統領が日本の歴史や文化にとても詳しく、尊敬していることに驚かされる。その後も田部井監督は大統領退任後のムヒカに取材を重ね、多くの日本人に彼の言葉を聞いて欲しいと願うように。ムヒカも訪日を熱望し、16年に初来日を果たす。

トロールズ ミュージック★パワー」(10月2日公開)

ボス・ベイビー」「ヒックとドラゴン」のドリームワークス・アニメーションによるミュージカルアドベンチャーアニメ「トロールズ」のシリーズ第2弾。

歌と踊りとハグが大好きな妖精トロールズが暮らすポップ村で、元気いっぱいなみんなの女王として日々を過ごすポピー。実はトロールズの村はかつて王国として繁栄していたが、音楽のジャンルごとに6つに分裂した過去があった。自分たちとは違うジャンルの歌や踊るをするトロールズがいることに興味を抱いたポピーだったが、ロック村の女王バーブが、ほかの村を乗っ取ろうとしていることを知る。ポピーは世界を守るために仲間とともに旅に出るが……。

監督は前作「トロールズ」で共同監督を務めたウォルト・ドーン。ポピー役は「ピッチ・パーフェクト」シリーズなどで歌声を披露してきたアナ・ケンドリック。ブランチ役を務めるジャスティン・ティンバーレイクが、音楽プロデューサーも担当している。日本語吹き替えキャストは上白石萌音ウエンツ瑛士のほか、仲里依紗、兄弟お笑いコンビ「ミキ」の昴生亜生らが務める。

生きちゃった」(10月3日公開) (R15+)

舟を編む」「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」「町田くんの世界」の石井裕也監督が自身のオリジナル脚本を仲野太賀、若葉竜也大島優子のキャストで映画化。

高校時代から仲のよい幼なじみの山田厚久と山田奈津美、そして武田。厚久と奈津美は結婚し、5歳になる娘がいる。なにげない日常を送っていたある日、厚久が奈津美の浮気を知ってしまう。突然のことに、厚久は奈津美に怒ることもできず、悲しむこともできずにいた。感情に蓋をすることしかできない厚久、そして奈津美、武田の3人の関係はこの日を境に次第にゆがんでいく。

厚久役を仲野太賀、武田役を若葉竜也、奈津美役を大島優子がそれぞれ演じる。

 

4.今回の更新

今週は3週分の記事を同時更新しました。ひとつは「クレヨンしんちゃん」、もうひとつは「TENET テネット」「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」について書いております。よろしければご覧ください。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

*1:館数はすべて興行収入を見守りたい!さんのそれぞれの公開初日の(独立系を含む)デイリー合算ランキングから参照。