Takaのエンタメ街道

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<週刊興行批評>「事故物件」が大ヒット!ホラー映画のコンテンツ力が光る

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2週ぶりの更新です。今回は「事故物件 恐い物件」を考えたいと思います。

 

 

1.先々週末のランキング

まずは、先々週末のランキングを見てみましょう。

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1位は初登場事故物件 恐い間取り」。土日2日間で動員26万3000人、興収3億5800万円をあげた。10代、20代の若者を中心に集客し、初日から3日間の累計では動員34万3000人、興収4億6500万円を超えるヒットスタートを切った。

2位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。土日2日間で動員15万1000人、興収1億8600万円をあげ、累計では動員207万人を突破し、興収25億円突破が目前となっている。

3位は「」。土日2日間で動員13万9000人、興収1億9000万円をあげ、興収では「ドラえもん〜」を上回る2位となっている。累計では動員63万7700人、興収8億4900万円を突破。

4位は「今日から俺は!!劇場版」。土日2日間で動員9万8000人、興収1億2700万円をあげ、累計では、間もなく動員380万人、興収48億円に届く。

5位は「2分の1の魔法」。土日2日間で動員9万3000人、興収1億2700万円をあげ、累計では動員34万人、興収4億6100万円を突破。

6位は「劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」。累計興収は12億1200万円を突破。

7位は「コンフィデンスマンJP プリンセス編」。累計では動員233万人、興収31億円を突破。

8位は初登場青くて痛くて脆い」。初日から3日間で動員7万6300人、興収1億550万円をあげた。

9位は「思い、思われ、ふり、ふられ」。累計では動員46万7800人、興収5億8600万円を突破。

10位は「弱虫ペダル」。累計では動員41万人、興収5億2400万円を突破。

宗教家・大川隆法の企画によるドキュメンタリー作品「奇跡との出会い。-心に寄り添う。3-」は初日から3日間で動員3万4400人、興収4100万円をあげ、11位スタートとなった。

 

2.先週末のランキング

つづいて、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「事故物件 恐い間取り」。土日2日間で動員19万人、興収2億5500万円をあげ、累計では動員78万3000人、興収10億4000万円となっている。

2位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。土日2日間で動員11万1000人、興収1億3900万円をあげ、累計では動員224万人を突破し、興収は間もなく27億円に届く。

3位は「」。土日2日間で動員10万人、興収1億3800万円をあげ、累計では動員95万人、興収12億円を突破した。

4位は「今日から俺は!!劇場版」。土日2日間で動員9万8000人、興収1億2700万円をあげ、累計では、間もなく動員380万人、興収48億円に届く。

5位は「劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」。累計興収は14億2000万円を突破。

6位は初登場僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46」。初日からの3日間で動員8万7100人、興収1億2700万円をあげた。

7位は「2分の1の魔法」。累計興収は6億800万円を突破。

8位は「コンフィデンスマンJP プリンセス編」。累計では動員247万人、興収33億円を突破。

9位は「青くて痛くて脆い」。累計では動員18万人、興収2億4400万円を突破。

10位は初登場特別上映版「はたらく細胞!!」最強の敵、再び。体の中は“腸”大騒ぎ!」。土日2日間で動員3万3500人、興収4820万円をあげた。

 

3.興収チェック!「事故物件 恐い間取り」

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先々週、先週と2週連続で1位にランクインしたのは「事故物件 恐い間取り」。「事故物件住みます芸人」として、実際に9軒の事故物件に住んだ芸人・松原タニシの実体験を記したノンフィクションを「リング」シリーズの中田秀夫監督、亀梨和也主演で映画化。

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初週末の土日2日間で土日2日間で動員26万3000人、興収3億5800万円をあげた。これは昨年公開された「貞子」の動員比223%、興収比218%、今年スマッシュヒットした「犬鳴村」の動員比227%、興収比231%と近年のJホラーの中でも突出するヒットを記録することが出来た。

ここまでヒットしたのは主演が亀梨和也である点やテーマが「事故物件」と明確であったこともあるだろうが、近年、着実に「IT」2部作や「クワイエット・プレイス」、「ヘレディタリー」と着実にホラー映画がヒットする、評判になる下地が整ってきていたこともあるだろう。そして、2020年、コロナ禍の映画館において「犬鳴村」と「ミッドサマー」がスマッシュヒットを記録し、本作に繋がった。

「事故物件」は10〜20代を中心に集客しているようにホラー映画はティーン層の集客が高いコンテンツ。今年の夏休み映画を見てもティーン層が想像よりも早く映画館に戻ってきている印象だ。「事故物件」は9月いっぱいまではパワーを維持してヒットを記録する可能性があり、最終興収も30億円近いヒットとなりそうだ。

 

4.今週の注目作

BREAK THE SILENCE: THE MOVIE」(9月10日公開)

グローバルに活躍する韓国の7人組男性グループ「BTS」のワールドスタジアムツアー「LOVE YOURSELF: SPEAK YOURSELF」に密着したドキュメンタリー。

韓国アーティストで初となるロンドン・ウェンブリースタジアムでの単独公演をはじめ、ロサンゼルス、シカゴ、ニューヨーク、サンパウロ、パリ、大阪、静岡、リヤド、そしてソウルまで、世界の全10都市をめぐったツアーに密着。パワフルで華麗なパフォーマンスを繰り広げるステージ上での姿はもちろんのこと、公演を終えた舞台裏で秘めた思いを語るメンバーの姿などが収められる。

窮鼠はチーズの夢を見る」(9月11日公開) (R15+)

恋に溺れていく2人の男性を描いた水城せとなの人気漫画「窮鼠はチーズの夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」を、行定勲監督のメガホンにより実写映画化。主人公の大伴恭一役を「関ジャニ∞」の大倉忠義、恭一に思いを寄せる今ヶ瀬渉役を成田凌が演じる。

優柔不断な性格から不倫を重ねてきた広告代理店勤務の大伴恭一の前に、卒業以来会う機会のなかった大学の後輩・今ヶ瀬渉が現れる。今ヶ瀬は妻から派遣された浮気調査員として、恭一の不倫を追っていた。不倫の事実を恭一に突きつけた今ヶ瀬は、その事実を隠す条件を提示する。それは「カラダと引き換えに」という耳を疑うものだった。恭一は当然のように拒絶するが、7年間一途に恭一を思い続けてきたという今ヶ瀬のペースに乗せられてしまう。そして、恭一は今ヶ瀬との2人の時間が次第に心地よくなっていく。

ミッドウェイ」(9月11日公開)

インデペンデンス・デイ」「ホワイトハウス・ダウン」のローランド・エメリッヒ監督が、第2次世界大戦(太平洋戦争)のターニングポイントとなったミッドウェイ海戦を描いた戦争ドラマ。

1941年12月7日、日本軍は戦争の早期終結を狙う連合艦隊司令官・山本五十六の命により、真珠湾アメリカ艦隊に攻撃を仕掛ける。大打撃を受けたアメリカ海軍は、兵士の士気高揚に長けたチェスター・ニミッツを新たな太平洋艦隊司令長官に任命。日米の攻防が激化する中、本土攻撃の脅威に焦る日本軍は、大戦力を投入した次なる戦いを計画する。真珠湾の反省から情報戦に注力するアメリカ軍は、その目的地をハワイ諸島北西のミッドウェイ島と分析し、全戦力を集中した逆襲に勝負をかける。そしてついに、空中・海上・海中のすべてが戦場となる3日間の壮絶な戦いが幕を開ける。

キャストにはエド・スクレイン、ウッディ・ハレルソン、デニス・クエイド豊川悦司浅野忠信國村隼ら実力派が海を越えて集結。

喜劇 愛妻物語」(9月11日公開) (PG12)

「百円の恋」の脚本家・足立紳が2016年に発表した自伝的小説「乳房に蚊」を、自ら脚本・監督を務めて映画化。

売れない脚本家・豪太は、妻チカや娘アキと3人で暮らしている。倦怠期でセックスレスに悩む豪太はチカの機嫌を取ろうとするが、チカはろくな稼ぎのない夫に冷たい。そんなある日、豪太のもとに「ものすごい速さでうどんを打つ女子高生」の物語を脚本にするという話が舞い込む。豪太はこの企画を実現させるため、そしてあわよくば夫婦仲を取り戻すため、チカを説得して家族で香川県へ取材旅行に行くことに。しかし、取材対象の女子高生はすでに映画化が決まっていることが判明。出発早々、旅の目的を失ってしまう3人だったが……。

夫・豪太を「決算!忠臣蔵」の濱田岳、妻・チカを「後妻業の女」の水川あさみ、娘・アキを「駅までの道をおしえて」の新津ちせがそれぞれ演じる。第32回東京国際映画祭コンペティション部門で最優秀脚本賞を受賞した。

映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」(9月11日公開)

人気アニメ「クレヨンしんちゃん」の劇場版28作目。「ラブライブ!」「宝石の国」などの話題のアニメを送り出してきた京極尚彦が監督を務め、脚本を「婚前特急」「そこのみにて光輝く」などの実写映画を手がけてきた高田亮が担当する。

地上の落書きをエネルギーに浮かぶ王国「ラクガキングダム」は、時代の流れで地上から落書きがめっきり減ったことで崩壊の危機に直面。人間たちに無理やり落書きをさせる「ウキウキカキカキ作戦」を決行し、地上への進撃を開始する。一方、ラクガキキングダムのお姫様は、描いたものが動き出すという王国の秘宝「ミラクルクレヨン」を持ち出し、決死の覚悟で地上に託す。ミラクルクレヨンを手にしたしんのすけは、実体化した落書きたちと力をあわせて平和のために立ち上がるが……。

海辺のエトランゼ」(9月11日公開)

紀伊カンナの同名BLコミックを原作に、沖縄の離島で出会った小説家の卵と少年の初々しい恋を描いた劇場アニメ。

小説家の卵・橋本駿は、ある事情で実家を飛び出し、離島の民宿に身を寄せている。ある日、海辺で物憂げに佇む少年・知花実央のことが気になった彼は、軽い気持ちで声をかける。若くして両親を亡くし親戚の家に預けられていた実央は、ひとりの人間としての自分を見つめてくれる駿に好意を抱いていく。

2016年発売のドラマCD版に続き、駿役を村田太志、実央役を松岡禎丞が担当。原作者の紀伊カンナが自ら監修とキャラクターデザインを手がける。BLアニメレーベル「BLUE LYNX」の1作。

スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話」(9月11日公開)

最強のふたり」のエリック・トレダノオリビエ・ナカシュ監督がケア施設に働く2人の男たちの実話を、ユーモアを交えて描いたヒューマンドラマ。

自閉症児をケアする施設「正義の声」を経営するブリュノ。他の施設などで見放された子どもたちも断らずに受け入れる彼の施設には、さまざまな問題を抱えた子どもたちであふれていた。この施設では、ブリュノの友人のマリクに教育されたドロップアウトした若者たちが働いている。社会からはじかれた子どもたちをまとめて救おうとしていたブリュノとマリクだったが、無認可で赤字経営の「正義の声」に監査が入ることになり、施設閉鎖の危機に迫られる。

ブリュノ役を「ブラック・スワン」「ジェイソン・ボーン」のヴァンサン・カッセル、マリク役を「アランフエスの麗しき日々」「世界の涯ての鼓動」のレダ・カティブがそれぞれ演じるほか、本物の介護者と自閉症の若者、その家族たちが多数キャスティングされている。

チィファの手紙」(9月11日公開)

岩井俊二監督が松たか子福山雅治らを迎えて手がけた「ラストレター」の前に、同じ自身の小説を原作に中国で製作した、もうひとつの「ラストレター」。岩井監督にとっては初の中国映画で、「ラストレター」同様の過去と現在の2つの世代を通してつむがれるラブストーリーが描れる。

亡くなった姉のチーナン宛に同窓会の招待状が届き、妹のチィファは姉の死を知らせるために同窓会に参加するが、姉の同級生たちに姉本人と勘違いされてしまう。さらに、そこで初恋相手の先輩チャンと再会したチィファは、姉ではないことを言い出せないまま、チャンと文通することになる。姉のふりをして始めた文通が、やがて初恋の思い出を浮かび上がらせていき……。

出演は中国4大女優に数えられるジョウ・シュン、「空海 KU-KAI 美しき王妃の謎」にも出演したチョウ・シュンら。

れいわ一揆」(9月11日公開)

ゆきゆきて、神軍」「全身小説家」などで知られるドキュメンタリーの鬼才・原一男監督が、2019年の参議院選挙で注目を集めた「れいわ新選組」の候補者を追ったドキュメンタリー。

令和元年夏、参議院選挙でさまざまな候補者を擁立したことも話題となったれいわ新選組から、女性装の東大教授として知られる安冨歩比例代表候補として参院選に出馬した。「子どもを守り未来を守る」のスローガンを掲げて、全国遊説の旅に出た安冨を中心に10人の個性豊かな候補者たちの姿に原監督のカメラが鋭く迫っていく。

TENET テネット」(9月18日公開)

ダークナイト」3部作や「インセプション」「インターステラー」など数々の話題作を送り出してきた鬼才クリストファー・ノーラン監督によるオリジナル脚本のアクションサスペンス超大作。

「現在から未来に進む“時間のルール”から脱出する」というミッションを課せられた主人公が、第3次世界大戦に伴う人類滅亡の危機に立ち向かう姿を描く。

主演は名優デンゼル・ワシントンの息子で、スパイク・リー監督がアカデミー脚色賞を受賞した「ブラック・クランズマン」で映画初主演を務めたジョン・デヴィッド・ワシントン。共演はロバート・パティンソンエリザベス・デビッキアーロン・テイラー=ジョンソンのほか、「ダンケルク」に続いてノーラン作品に参加となったケネス・ブラナー、そしてノーラン作品に欠かせないマイケル・ケインら。撮影のホイテ・ヴァン・ホイテマ、美術のネイサン・クローリーなど、スタッフも過去にノーラン作品に参加してきた実力派が集い、音楽は「ブラックパンサー」でアカデミー賞を受賞したルドウィグ・ゴランソンがノーラン作品に初参加。

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」(9月18日公開)

2018年にテレビ放送された京都アニメーションによる人気アニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の完全新作劇場版。

戦時中に兵士として育てられ、愛を知らずにいた少女ヴァイオレット・エヴァーガーデンが、「自動手記人形」と呼ばれる手紙の代筆業を通じて、さまざまな愛のかたちを知っていく姿を描く。人々に深い傷を残した戦争が終結して数年、世界は少しずつ平穏を取り戻していた。新しい技術の開発によって生活も変わり、人々は前を向いて歩み始めた。ヴァイオレットも大切な人への思いを抱え、その人がいない世界を生きていこうとしいてた。しかし、そんなある日、一通の手紙が届く。

監督は、テレビシリーズに引き続き石立太一が務めた。

思い、思われ、ふり、ふられ」(9月18日公開)

ストロボ・エッジ」「アオハライド」で人気の漫画家・咲坂伊緒による青春恋愛コミックをアニメーション映画化。

偶然出会ったタイプの全く違う朱里と由奈。朱里の義理の弟の理央と由奈の幼なじみの和臣。4人は同じマンションに住み、同じ学校に通う高校1年生だ。由奈は理央に憧れ、理央は朱里に言えない思いを抱き、朱里は秘密を抱え、和臣はある秘密を目撃してしまう。それぞれの思いが複雑に絡み合い、相手を思えば思うほどにすれ違っていき……。

監督はテレビアニメ「舟を編む」を手がけた黒柳トシマサ。脚本に「ヒロイン失格」の吉田恵里香。アニメーション制作はA-1 Picturesが担当。声の出演は潘めぐみ島崎信長斉藤壮馬という人気声優陣と、新人の鈴木毬花。実写映画版「思い、思われ、ふり、ふられ」キャストの浜辺美波北村匠海福本莉子赤楚衛二も文化祭に来ている男女生徒役などで声優としてカメオ出演している。

プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵」(9月18日公開)

ハリー・ポッター」シリーズ、「スイス・アーミー・マン」のダニエル・ラドクリフ主演による、実際にあった脱獄劇をもとに描くスリラー。

南アフリカ人のティム・ジェンキンは、白人でありながら反アパルトヘイト組織「アフリカ民族会議」の隠密作戦をおこなった罪のより、同胞のスティーブン・リーとともにプレトリア刑務所に投獄される。ティム、スティーブンたちは、自由と平等を手にするため、最高警備を誇る刑務所からの脱獄を決意する。さまざまな脱獄方法を模索した結果、ティムたちが最後に選んだ手段は木片を集めた鍵を使った脱獄だった。鍵を作っては解錠を繰り返し、徐々に出口までの鍵が完成していった。投獄から18カ月、彼らは木鍵による鉄製扉の突破を試みる。

メイキング・オブ・モータウン」(9月18日公開)

スティービー・ワンダーマービン・ゲイジャクソン5などを輩出し、2019年に創設60周年を迎えた音楽レーベル「モータウン」の正史を描いたドキュメンタリー。

創設者ベリー・ゴーディにより1959年にその歴史をスタートさせたモータウン・レーベルは、ソウルやR&Bの数多くのヒットを連発し、数多くのスターを世界に送り出した。本作では創設者ベリー・ゴーディが初めて密着を許可した取材映像、関係者や所属アーティストの回想や証言など貴重な映像群から構成。ゴーディの親友で戦友でもあるスモーキー・ロビンソンと旧交を温めながら、コーディの一代記とともにモータウンの60年にわたる歴史、そしてレーベルの魅力を解き明かしていく。

マーティン・エデン」(9月18日公開)

ハリソン・フォード主演で映画化された冒険小説「野性の呼び声」などで知られるアメリカの作家ジャック・ロンドンの自伝的小説を、イタリアを舞台に映画化。

イタリア・ナポリの労働者地区に生まれた貧しい船乗りの青年マーティンは、上流階級の娘エレナと出会って恋に落ちたことをきっかけに、文学の世界に目覚める。独学で作家を志すようになったマーティンは、夢に向かい一心不乱に文学にのめり込むが、生活は困窮し、エレナの理解も得られることはなかった。それでも、さまざまな障壁と挫折を乗り越え、マーティンは名声と富を手にするまでになるが……。

2019年ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に出品され、主人公マーティンを演じたルカ・マリネッリが男優賞を受賞。そのほか、イタリアのアカデミー賞と言われるダビッド・デ・ドナテッロ賞で脚色賞を受賞するなど高い評価を獲得した。

ブリング・ミー・ホーム 尋ね人」(9月18日公開) (PG12)

大ヒットドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」のイ・ヨンエが、「親切なクムジャさん」以来14年ぶりの映画出演を果たしたサスペンス。

看護師として働くジョンヨンと夫のミョングクは、6年前に行方不明となった息子のユンスを探し続けていた。捜索途中に悲劇的な事故に遭い、憔悴しきった彼女の元に「ユンスに似た子を、郊外の漁村で見た」という情報が寄せられる。その情報をもとにジョンヨンは漁村へと向かうが、彼女の前に立ちはだかったのは、釣り場を営む怪しげな一家だった。

主人公ジョンヨン役をイ・ヨンエが演じるほか、「風水師 王の運命を決めた男」、ドラマ「梨泰院クラス」のユ・ジェミョン、「The NET 網に囚われた男」のイ・ウォングン、「毒戦 BELIEVER」のパク・ヘジュンらが脇を固める。監督は本作が長編劇映画デビュー作となるキム・スンウ

Daughters」(9月18日公開)

ルームシェア生活を送る2人の女性が、妊娠、シングルマザーという人生の選択を経て、現実と向き合いながら生きていく10カ月を描いたヒューマンドラマ。「ダンスウィズミー」「犬鳴村」の三吉彩花と「ソローキンの見た桜」「海を駆ける」の阿部純子が主人公の2人の女性を演じる。

中目黒の桜が並ぶ川沿いのマンションの1室で暮らす小春と彩乃。ライフスタイルの似ている27歳の2人は、仕事に遊びに充実したルームシェア生活を送っていた。しかし、彩乃からの突然の妊娠の告白から、2人の生活に変化が訪れる。そして彩乃は父親のわからない子どもを産む決意をする。

小春役を三吉彩花、彩乃役を阿部純子がそれぞれ演じる。監督・脚本は、同作が初⻑編作品となるファッションイベント演出家、映像作家の津田肇。

悪魔はいつもそこに」(9月16日NETFLIXにて配信)

ドナルド・レイ・ポロックの同名小説を基に、「スパイダーマン」シリーズのトム・ホランド、「TENET テネット」や「ザ・バットマン」のロバート・パティンソン、「キャプテン・アメリカ」シリーズのウィンター・ソルジャー役のセバスチャン・スタン主演で第二次世界大戦からベトナム戦争までを時代背景として“正と悪の相克”を描くサスペンス。

オハイオ州の田舎町ノッケンスティフ。妻の死が間近に迫ったウィラード・ラッセルは、日々祈りつづけ、ついには自らの身体をも捧げてしまった。学校でいじめを受けていた息子のアーヴィンは、父の形見である銃を受け取り、やがて行動を起こし始める。愛する人々を守ろうともがくアーヴィンの周囲には、罪深い牧師、謎を抱えた夫婦、悪徳保安官ら邪悪な者たちの思惑が渦を巻いていた。そして、20年にわたるノッケンスティフの物語が明らかになっていく。

主人公アーヴィンをトム・ホランド、父ウィラードを「IT/イット」のペニーワイズ役のビル・スカルスガルド、神父プレストン・ティーガーディンにロバート・パティンソン、保安官役にセバスチャン・スタン、謎の夫婦に「アンダー・ザ・シルバーレイク」のライリー・キーオと「ファースト・マンジェイソン・クラークが演じているほかに「マグニフィセント・セブン」のヘイリー・ベネット、「アリス・イン・ワンダーランド」シリーズのミア・ワシコウスカ、「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」のエリザ・スカンレンらが豪華競演する。

脚本・監督は新鋭アントニオ・カンポス。プロデューサーとしてジェイク・ギレンホールも参加している。

映像研には手を出すな!」(9月25日公開)

アニメ制作を志す女子高生3人組の青春を描き、2020年1月からは湯浅政明監督によるテレビアニメ版もNHKで放送された大童澄瞳の同名コミックを、人気アイドルグループ「乃木坂46」の齋藤飛鳥山下美月梅澤美波の共演で実写映画化。

湖に面した芝浜高校。人見知りだが監督としてすぐれた素質をもつ浅草みどり、カリスマ読者モデルでアニメーターの水崎ツバメ、金もうけが好きなプロデューサー気質の金森さやかは、「映像研究同好会」を結成し、自分たちが思い描く“最強の世界”を描くためアニメーション制作を開始する。

「アニメは設定が命!」が信条の主人公・浅草みどりを齋藤飛鳥、俳優である両親に反対されながらもアニメーターを目指すお嬢様・水崎ツバメを山下美月、2人の才能をまとめ、管理し、金もうけをしようとするプロデューサータイプの金森さやか梅澤美波が演じる。そのほか、小西桜子、福本莉子桜田ひより浜辺美波ら人気の若手女優も共演する。監督は「乃木坂46」とは映画「あさひなぐ」でもタッグを組んだ英勉

ミッドナイトスワン」(9月25日公開)

草彅剛演じるトランスジェンダーの主人公と親の愛情を知らない少女の擬似親子的な愛の姿を描いた、「下衆の愛」の内田英治監督オリジナル脚本によるドラマ。

故郷を離れ、新宿のニューハーフショークラブのステージに立つ、トランスジェンダーの凪沙。ある日、凪沙は養育費目当てで、少女・一果を預かることになる。常に社会の片隅に追いやられてきた凪沙、実の親の育児放棄によって孤独の中で生きてきた一果。そんな2人にかつてなかった感情が芽生え始める。

草彅剛が主人公・凪沙役を、オーディションで抜擢された新人の服部樹咲が一果役を演じるほか、水川あさみ真飛聖田口トモロヲらが脇を固める。

アダムス・ファミリー」(9月25日公開)

アメリカの漫画家チャールズ・アダムスが生んだ名作コミックで、1990年代には映画化され世界的ヒットを記録した「アダムス・ファミリー」をアニメ化。

人里離れた山奥で結婚式を挙げたモンスターのゴメズとモーティシアは人間たちに故郷を追われ、丘の上の荒れ果てた屋敷にたどり着く。時は流れ、夫婦は長女ウエンズデーと長男パグズリー、執事ラーチとともに平穏な日々を過ごしていた。そんな中、パグズリーが一族にとって重要な儀式である「セイバー・マズルカ」を親戚たちの前で披露する日が近づいてきて……。

字幕版ではオスカー・アイザックシャーリーズ・セロンクロエ・グレース・モレッツ、フィン・ウルフハードら、吹替版では生瀬勝久、杏、二階堂ふみ秋山竜次(ロバート)、LiLiCoら豪華キャストが一家の声を演じる。

マティアス&マキシム」(9月25日公開) (PG12)

たかが世界の終わり」などで高く評価されるカナダの若き俊英グザヴィエ・ドランが、友情と恋心の狭間で揺れる青年2人の葛藤を描いた青春ラブストーリー。

幼なじみである30歳のマティアスとマキシムは、友人の短編映画で男性同士のキスシーンを演じたことをきっかけに、心の底に眠っていた互いへの気持ちに気づき始める。婚約者のいるマティアスは、親友に芽生えた感情に戸惑いを隠しきれない。一方、マキシムは友情の崩壊を恐れ、思いを告げぬままオーストラリアへ旅立つ準備をしていた。別れが目前に迫る中、本当の思いを確かめようとするマティアスとマキシムだったが……。

グザヴィエ・ドラン監督が「トム・アット・ザ・ファーム」以来6年ぶりに自身の監督作に出演し、主人公の1人マキシムを演じた。共演に「Mommy マミー」のアンヌ・ドルバル、「キングスマン ファースト・エージェント」のハリス・ディキンソン。

甘いお酒でうがい」(9月25日公開)

お笑いコンビ「シソンヌ」のじろうが長年コントで演じてきたキャラクター、中年OLの川嶋佳子を主人公に、平凡な40代女性の日常や悲哀を日記風につづった、じろうによる小説を映画化。じろう自身が脚本を執筆し、「美人が婚活してみたら」でもじろう脚本作品を手がけた大九明子監督が、今作でもメガホンをとった。

とある会社で派遣社員として働く40代独身の川嶋佳子は、毎日日記をつけている。そこには、撤去された自転車との再会したことなど、日々の小さな喜びがつづられていた。そんな佳子にとって、会社の同僚である年下の若林ちゃんと過ごす時間が何よりの幸せだったが、ある時、ふた周り年下の岡本くんとの恋が訪れ……。

松雪泰子が主人公の佳子に扮し、若林ちゃんを黒木華、佳子が好意を寄せる岡本くんを清水尋也が演じる。

鵞鳥湖の夜」(9月25日公開) (PG12)

「薄氷の殺人」で第64回ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞した中国の気鋭ディアオ・イーナン監督が、中国社会の底辺で生きる人間たちの現実を鮮烈な映像で描いたノワールサスペンス。

2012年、中国南部。再開発から取り残された鵞鳥湖(がちょうこ)周辺の地区で、ギャングたちの縄張り争いが激化していた。刑務所を出て古巣のバイク窃盗団に戻った男チョウは、対立組織との争いに巻き込まれ、逃走中に誤って警官を射殺してしまう。全国に指名手配された彼は、自身にかけられた報奨金30万元を妻子に残すべく画策。そんな彼の前に、見知らぬ女アイアイが妻の代理としてやって来る。鵞鳥湖の水辺で娼婦として生きる彼女と行動をともにするチョウだったが、警察や報奨金強奪を狙う窃盗団に追われ、後戻りのできない袋小路へと追い詰められていく。

「1911」のフー・ゴーが主演を務め、「薄氷の殺人」のグイ・ルンメイ、リャオ・ファンが共演。

リアム・ギャラガー アズ・イット・ワズ」(9月25日公開)

イギリスの伝説的ロックバンド「オアシス」の元メンバー、リアム・ギャラガーの成功と挫折、ソロアーティストとしての復活までを描いたドキュメンタリー。

1991年に結成されたオアシスのフロントマンとしてスターダムにのしあがったリアムは、その一方で破天荒な言動を繰り返し、メディアからたびたびバッシングを受けていた。やがてバンドメンバーの兄ノエルとの確執が表面化し、2009年には解散状態に。新たに結成したバンド「ビーディ・アイ」も軌道に乗らず解散。失意の中、自らの力だけで音楽の世界を生き抜くことを決意したリアムは、再起をかけてソロデビューアルバム「アズ・ユー・ワー」をリリースする。

コナー・マクレガー:ノートリアス」のギャビン・フィッツジェラルドと、本作のために10年以上にわたってリアムを撮影してきたチャーリー・ライトニングが共同監督を務めた。

エノーラ・ホームズの事件簿」(9月23日NETFLIXにて配信)

名探偵シャーロック・ホームズに妹がいたという設定で描かれ人気を集める、アメリカの作家ナンシー・スプリンガーの小説シリーズを、Netflixが映画化したミステリーアドベンチャーNetflixドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のイレブン役でブレイクしたミリー・ボビー・ブラウンが主演・製作。兄シャーロックとマイクロフトを「マン・オブ・スティール」のヘンリー・カヴィルと「世界一キライなあなたに」のサム・クラフリン、母を「アリス・イン・ワンダーランド」のヘレナ・ボナム・カーターが演じる。

1884年、イギリス。16歳の誕生日を迎えたエノーラが目を覚ますと、母が謎めいた暗号を残して行方不明になっていた。母を探しに単身ロンドンへ向かったエノーラは、思いがけず青年貴族の失踪事件に関わったことをきっかけに、恐ろしい陰謀と巨大な謎に巻き込まれていく。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>「2分の1の魔法」の苦戦と「ムーラン」が日本でも配信スルー…ディズニーの決断をどう見る?

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先週末は「糸」と「2分の1の魔法」が公開。今回は本作の興行分析とディズニーの動向を考えたいと思います。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は初登場」。土日2日間で動員17万1000人、興収2億3400万円をあげ、先行上映が行われた8月12日と初日を合わせた4日間の累計では、動員27万8000人、興収3億7300万円をあげる好スタートを切った。

2位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。土日2日間で動員16万4000人、興収2億300万円をあげ、累計では動員183万人、興収21億円を突破した。

3位は「劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」。累計で動員58万人、興収9億6000万円を突破した。

4位は初登場2分の1の魔法」。土日2日間で動員11万9000人、興収1億6300万円をあげた。初日からの3日間の累計では動員15万9500人、興収2億1600万円をあげた。

5位は「今日から俺は!!劇場版」。累計で動員358万人、興収45億円を突破。

6位は「コンフィデンスマンJP プリンセス編」。累計で動員215万人、興収29億円を突破。

7位は「思い、思われ、ふり、ふられ」。累計で動員35万人、興収4億4700万円を突破。

8位は「弱虫ペダル」。累計で動員33万人、興収4億2300万円を突破。

9位は初登場映画 ギヴン」。土日2日間で動員2万2100人、興収3700万円をあげた。

10位は「ぐらんぶる」。累計興収は3億6900万円を突破した。

 

2.興収チェック!「糸」

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先週、初登場1位にランクインしたのは「」。1998年にリリースされた中島みゆきの「糸」をモチーフに瀬々敬久監督、菅田将暉×小松菜奈主演で平成元年に生まれた男女の18年間を平成史とともに描いていく。元々は4月24日に公開予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大防止により公開が4ヶ月延期されていた。

蓋を開ければ、土日2日間で動員17万1000人、興収2億3400万円をあげた。10年前の同時期に公開された同じくTBS製作による曲の映画化である「ハナミズキ」(初週末の動員30万1300人、興収3億9900万円、最終興収28.3億円)と比較すると動員比57%、興収比59%、1年前に公開された「雪の華」(初週末の動員15万1000人、興収1億9900万円、最終興収11.2億円)と比較すると動員比113%、興収比118%のスタートとなっている。最終興収は10〜15億円近くとなるだろう。

3.興収チェック!「2分の1の魔法」

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先週、初登場4位にランクインしたのは「2分の1の魔法」。亡くなった父親にもう一度会いたいと願う兄弟が、魔法によって半分だけ復活した父親を完全によみがえらせるため奮闘する姿を描くピクサーの最新作。元々は3月13日に公開予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大防止により公開が5ヶ月延期されていた。

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蓋を開ければ、土日2日間で動員16万4000人、興収2億300万円をあげたが、これは昨年の「トイ・ストーリー4」と比較すると動員比17%、興収比15%となった。なお、これではオープニング成績が桁違いのためあまり比較にならない。オープニング成績が近い作品で比較すると「メリダとおそろしの森」と比較すると動員比155%、興収比145%、「アーロと少年」と比較すると動員比86%、興収比88%となっている。最終興収も10億円近くとなるだろうが、ピクサー作品としては今一つという結果となりそうだ。

これは今年の夏休み映画の総括となるが、「今日俺」や「コンフィデンスマンJP」、「Fate」、今週末1位にランクインした「糸」はヒットを記録したものの、ドラえもんや本作のようなファミリー映画は苦戦を強いられたことになる。まだまだ映画館に家族で行こうとするのは少しハードルがあるようだ。

さあ、ここからは違うトピックスを取り上げて、本作の興収分析をさらに考える。「ムーラン」の日本での公開展開についてだ。日本でもアメリカやヨーロッパと同様に9/4(もともとこの日は日本の劇場公開予定日でもあった)にDisney+で配信されることが明らかとなった。この報道はネット上でも大きな反響を持って迎えられた。

料金は米国とほぼ同じの2980円(税抜)。ただ、これは米国の4K配信ではなく、日本ではFull HDで2chサラウンドと品質は劣っても同じ価格となる。2020年において4K配信はおろか、5.1chサラウンドでの配信もできないで3000円もの料金を払うのはぼったくりと言っても良い。確かに親子、カップル2人分だとしたら同じ料金ではあるが、果たしてこの価格設定で良かったのだろうか?と疑問を抱かずにはいられない。

米国での配信の際に書いた記事で劇場公開や劇場との並行公開される可能性にも触れたが、残念ながら日本でも配信スルーされることとなった。 

これまで劇場公開されることを告知する広告やグッズの準備もしたのに全てがなくなり、前売り券は使えなくなり、劇場は金が入らずに配信作品を広告したことになる。これは個人的に残念でならない。「ムーラン」が劇場公開すれば、コロナ前に比べれば落ちはするだろうが、それでも劇場を支えてくれる柱になり得たかもしれないからだ。あくまでもディズニーは「ムーラン」の配信スルーは実験的側面があるとしているが、大作なだけに成功する可能性もあり、今後のディズニー作品の配信スルーの可能性も十分にあり得る。とある海外の調査ではMCUの新作「ブラック・ウィドウ」を劇場で観たいと答えた人よりも家で観たいと答えた人の方が多かった。

もちろん、配信へ切り替えることを全面的に否定しているわけではないが、映画館が死にかけるような状況でさらに力を蓄えないで欲しいとは思う。映画館があり、配信がある構図が理想的だ。何なら、配信で公開されてる作品が劇場でも流れるのはアリなのではないか?日本では劇場が元気を取り戻してる状況なだけに劇場での展開も視野に入れて欲しかったという気持ちがある。だが、「2分の1の魔法」の成績を見るとネズミから「いや、劇場でやっても想定した客は来ないよ。だったら自分とこのサービス強化したほうがいいね」と言われそうだ。

 

4.今週の注目作

青くて痛くて脆い」(8月28日公開)

「君の膵臓をたべたい」の住野よるの同名青春サスペンス小説を、吉沢亮杉咲花主演で映画化。

コミュニケーションが苦手で他人と距離を置いてしまう田端楓と、理想を目指すあまり空気の読めない発言を連発して周囲から浮いている秋好寿乃。ひとりぼっち同士の大学生2人は「世界を変える」という大それた目標を掲げる秘密結社サークル「モアイ」を立ち上げるが、秋好は「この世界」からいなくなってしまった。その後のモアイは、当初の理想とはかけ離れた、コネ作りや企業への媚売りを目的とした意識高い系の就活サークルへ成り下がってしまう。そして、取り残されてしまった田端の怒りや憎しみが暴走する。どんな手段を使ってもモアイを破壊し、秋好がかなえたかった夢を取り戻すため、田端は親友や後輩と手を組んで「モアイ奪還計画」を企てる。

監督は「映画 妖怪人間ベム」の狩山俊輔。

事故物件 恐い間取り」(8月28日公開)

「事故物件住みます芸人」として、実際に9軒の事故物件に住んだ芸人・松原タニシの実体験を記したノンフィクション「事故物件怪談 恐い間取り」を亀梨和也主演で映画化。監督は、「スマホを落としただけなのに」「貞子」の中田秀夫が務めた。

売れない芸人・山野ヤマメは「テレビに出してやるから事故物件に住んでみろ」と先輩から無茶ぶりされ、テレビ出演と家賃の安さから殺人事件が起きた物件に引っ越す。その部屋は一見普通の部屋だったが、部屋を撮影した映像には謎の白いものが映り込み、音声が乱れるなどといった現象が起こった。ヤマメの出演した番組は盛り上がり、ヤマメは新たなネタを求めて事故物件を転々とする。住む部屋、住む部屋でさまざまな怪奇現象に遭遇したヤマメは「事故物件住みます芸人」として大ブレークするが……。

オフィシャル・シークレット」(8月28日公開)

イラク戦争開戦前夜に英米政府を揺るがせた告発事件を、キーラ・ナイトレイ主演で映画化したポリティカルサスペンス。

2003年、イギリスの諜報機関GCHQで働くキャサリン・ガンは、アメリカの諜報機関NSAから驚きのメールを受け取る。イラクを攻撃するための違法な工作活動を要請するその内容に強い憤りを感じた彼女は、マスコミへのリークを決意。2週間後、オブザーバー紙の記者マーティン・ブライトにより、メールの内容が記事化される。キャサリンは自分がリークしたことを名乗り出るが、告発も空しくイラク侵攻は開始され、彼女は起訴されてしまう。キャサリンを救うため、人権派弁護士ベン・エマーソンらが立ち上がるが……。

弁護士エマーソン役に名優レイフ・ファインズ、記者ブライト役にテレビシリーズ「ドクター・フー」のマット・スミス。監督は「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」のギャビン・フッド。

ようこそ映画音響の世界へ」(8月28日公開)

ハリウッドの映画音響にスポットをあてたドキュメンタリー。1927年に初のトーキー映画「ジャズシンガー」が誕生して以来、常に進化を続けている映画音響。本作では「キング・コング(1933)」「市民ケーン」「ROMA ローマ」など、新旧名作群の映像を使用し、映画音響の世界を紹介。ジョージ・ルーカススティーブン・スピルバーグデビッド・リンチクリストファー・ノーランら監督陣、「スター・ウォーズ」のベン・バート、「地獄の黙示録」のウォルター・マーチ、「ジュラシック・パーク」のゲイリー・ライドストロームといった映画音響界のレジェンドたちのインタビューを盛り込み、映画における「音」の効果と重要性に迫っていく。

幸せへのまわり道」(8月28日公開)

トム・ハンクスが、アメリカで1968年から2001年にわたって放送された長寿子ども向け番組の司会者フレッド・ロジャースに扮し、アカデミー助演男優賞にノミネートされたヒューマンドラマ。雑誌「エスクァイア」に掲載された新聞記者ロイド・ボーゲルによる記事の映画化で、ボーゲル役を「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」でもハンクスと共演したマシュー・リスが演じた。

雑誌記者として華々しいキャリアを築いてきたロイド・ボーゲルは、姉の結婚式に招待され、そこで長らく絶縁していた父ジェリーと再会する。家庭を顧みず自分たち姉弟を捨てた父を、ロイドはいまだ許せずにいた。数日後、仕事で子ども向け番組の司会者として人気のフレッド・ロジャースを取材することになったロイド。フレッドは、会って間もないロイドが抱えている家族の問題や心のわだかまりを見抜き、ロイドもそんなフレッドの不思議な人柄にひかれていく。やがて2人は公私ともに交流を深めていくが……。

監督は「ある女流作家の罪と罰」「ミニー・ゲッツの秘密」のマリエル・ヘラー。

ソワレ」(8月28日公開) (PG12)

「燦燦 さんさん」の外山文治監督が、村上虹郎と芋生悠演じる若い男女の切ない逃避行を描いたドラマ。豊原功補小泉今日子、外山監督らが立ち上げた映画制作会社・新世界合同会社の第1回プロデュース作品。

俳優を目指して上京した翔太は、俳優では芽が出ずに今ではオレオレ詐欺に加担してなんとか食い扶持をつないでいる。ある夏、翔太は故郷の和歌山にある高齢者施設で演劇を教えることになり、その施設で働くタカラと出会う。数日後、祭りに誘うためにタカラの家を訪れた翔太が目撃したのは、刑務所帰りの父親から激しい暴行を受けるタカラの姿だった。とっさに止めに入る翔太、そして逃げ場のない現実に絶望してたたずむタカラ。翔太はタカラの手を取り、夏の街の中へと駆け出していく。

ブルータル・ジャスティス」(8月28日公開) (R15+)

 

トマホーク ガンマンvs食人族」「デンジャラス・プリズン 牢獄の処刑人」などでカルト的人気を集める気鋭の監督S・クレイグ・ザラーが手がけたバイオレンスアクション。

ベテラン刑事のブレットと相棒のトニーは、強引な逮捕が原因で6週間の無給の停職処分を受けてしまう。どうしても大金を必要としていたブレットは、犯罪者たちを監視し、彼らが取引した金を強奪するという計画を練る。ブレットはトニーを誘って計画を実行に移し、ボーゲルマンという男の監視を開始する。そしてある朝、動き始めたボーゲルマンとその仲間を尾行するが……。

ブレット役をメル・ギブソンが演じ、トニー役は「デンジャラス・プリズン 牢獄の処刑人」でもザラー監督とタッグを組んだビンス・ボーンが務めた。そのほか「戦場のピアニスト」「タクシー運転手 約束は海を越えて」のトーマス・クレッチマンが出演し、極悪非道の強盗犯を演じている。

マロナの幻想的な物語り」(8月29日公開)

ハート型の鼻を持つミックス犬マロナの生涯を、手書きをベースとした独特なアニメーション表現で描いた長編アニメ。

血統書付きの母と少し乱暴な父との間に生まれたミックス犬マロナは、同時に生まれた9匹の末っ子であることから「ナイン」と呼ばれる。彼女は生まれてすぐに曲芸師マノールの手に渡り、「アナ」と名付けられる。アナは大好きなマノールと幸せな日々を送るが、マノールの新たな仕事が“犬禁止”だと知り、彼のもとを去ることを決意。寂しく通りをさまよっていた彼女は、エンジニアのイストヴァンに拾われ、「サラ」という新しい名前をもらう。イストヴァンからはかわいがられたものの、彼の家族からひどい扱いを受けたサラは家を逃げ出し、公園で少女ソランジュと出会う。新たな名前はマロナ。持ち前の愛くるしさで家族全員を魅了し、絆を深めていくマロナだったが……。

京アニメーションアワードフェスティバル2020で長編グランプリを受賞。日本語吹き替え版では、主人公の犬マロナの声を「この世界の片隅に」ののんが担当する。

インターステラー」(9月4日公開)

ダークナイト」「インセプション」のクリストファー・ノーラン監督によるオリジナル作品。

世界的な飢饉や地球環境の変化によって人類の滅亡が迫る近未来を舞台に、家族や人類の未来を守るため、未知の宇宙へと旅立っていく元エンジニアの男の姿を描く。

主演は、「ダラス・バイヤーズクラブ」でアカデミー主演男優賞を受賞したマシュー・マコノヒー。共演にアン・ハサウェイジェシカ・チャステイン、ノーラン作品常連のマイケル・ケインほか。

クリストファー・ノーラン監督の「TENET テネット」公開にあわせたノーラン監督作のリバイバル上映企画「ノーラン夏祭り」の第4弾としてIMAX版でリバイバル公開。

mid90s ミッドナインティーズ」(9月4日公開) (PG12)

ウルフ・オブ・ウォールストリート」などの俳優ジョナ・ヒルが初監督・脚本を手がけ、自身が少年時代を過ごした1990年代のロサンゼルスを舞台に、13歳の少年の成長を描いた青春ドラマ。

シングルマザーの家庭で育った13歳の少年スティーヴィーは力の強い兄に負けてばかりで、早く大きくなって見返してやりたいと願っていた。そんなある日、街のスケートボードショップに出入りする少年たちと知り合ったスティーヴィーは、驚くほど自由で格好良い彼らに憧れを抱き、近づこうとするが……。

ルイスと不思議の時計」のサニー・スリッチが主演を務め、母を「ファンタスティック・ビースト」シリーズのキャサリン・ウォーターストン、兄を「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のルーカス・ヘッジズがそれぞれ演じる。

宇宙でいちばんあかるい屋根」(9月4日公開)

作家・野中ともその同名人気小説を映画化し、「愛唄 約束のナクヒト」の清原果耶が映画初主演を果たしたファンタジードラマ。

14歳のつばめは、隣人の大学生・亨にひそかに恋心を抱くごく普通の女の子。両親と3人で幸せな生活を送っているように見えたが、父と、血の繋がらない母との間に子どもができることを知り、どこか疎外感を感じていた。誰にも話せない思いを抱える彼女にとって、通っている書道教室の屋上は唯一の憩いの場だった。ある夜、いつものように屋上を訪れたつばめの前に、ド派手な装いの見知らぬ老婆が現れる。その老婆「星ばあ」がキックボードに乗って空を飛ぶ姿に驚きながらも、不思議な雰囲気を漂わせる彼女に次第に心を開き、恋や家族の悩みを相談するつばめだったが……。

監督・脚本は日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞作「新聞記者」や、清原も出演した「デイアンドナイト」を手がけた藤井道人

行き止まりの世界に生まれて」(9月4日公開)

閉塞感に満ちた小さな町で必死にもがく若者3人の12年間を描き、第91回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートされた作品。

かつて栄えていた産業が衰退し、アメリカの繁栄から取り残された「ラストベルト(錆びついた工業地帯)」に位置するイリノイ州ロックフォード。キアー、ザック、ビンの3人は、それぞれ貧しく暴力的な家庭から逃れるようにスケートボードに熱中していく。スケート仲間は彼らにとって唯一の居場所であり、もうひとつの家族だった。そんな彼らも成長するにつれ様々な現実に直面し、少しずつ道を違えていく。低賃金の仕事を始めたキアー、父親になったザック、そして映画監督になったビン。幼い頃からスケートビデオを撮りためてきたビンのカメラは、明るく見える3人の悲惨な過去や葛藤、思わぬ一面を浮かび上がらせていく。そんな彼らの姿を通して、親子、男女、貧困、人種といった様々な分断を見つめ、アメリカの知られざる現実を映し出す。

ファナティック ハリウッドの狂愛者」(9月4日公開) (PG12)

ジョン・トラボルタが映画オタクのストーカーを演じるスリラー。

ハリウッド大通りでパフォーマーをしながら、さえない毎日を送っている映画オタクのムース。そんな彼の夢は、熱狂的なファンである人気俳優ハンター・ダンバーからサインをもらうことだった。しかし、ようやく念願かなって参加したサイン会でダンバーから冷たくあしらわれたことから、ムースの愛情が歪みはじめる。ダンバーの豪邸を突き止めたムースは何度も彼に接触を試みるが、ムースを気味悪がるダンバーから激しく拒絶されてしまう。そして、ムースのダンバーへの行動が次第に暴走していき……。

監督は「奇跡のロングショット」のフレッド・ダースト。

人数の町」(9月4日公開)

中村倫也の主演で、衣食住が保証され快楽をむさぼることができる謎の町を舞台に描くディストピアミステリー。映画配給会社キノフィルムズを擁する木下グループが、映画業界の新たな才能発掘を目的に2017年に開催した第1回木下グループ新人監督賞の準グランプリ受賞作品を映画化した。

借金で首が回らなくなり、借金取りから暴行を受けていた蒼山は、黄色いツナギを着たヒゲ面の男に助けられる。蒼山のことを「デュード」と呼ぶその男は、蒼山に「居場所」を用意してやるという。蒼山が男に誘われ、たどり着いたのは、出入りは自由だがけっして離れることができない、ある奇妙な町だった。

蒼山役を中村倫也が演じるほか、石橋静河、本作が映画初出演となる立花恵理、山中聡らが顔をそろえる。監督・脚本は、松本人志出演による「タウンワーク」のCMやMVなどを多数手がけ、本作が初長編監督作品となる荒木伸二。

僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46」(9月4日公開)

人気アイドルグループ「欅坂46」の初のドキュメンタリー映画。「乃木坂46」に続く「坂道シリーズ」第2弾のグループとして2015年に結成され、16年にデビューした欅坂46は、アイドルという枠を超えた圧倒的なライブパフォーマンスと独創的な世界観でファンを魅了。NHK紅白歌合戦出場や全国での大規模アリーナツアー、異例のロックフェス参戦などを実現させ、破竹の勢いで坂道を駆け上がっていく。デビューから約3年半となる19年9月には2日間の東京ドーム公演を成功させるが、20年1月、絶対的センターだった平手友梨奈が突然脱退する。そして、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって活動自粛を余儀なくされるなか、同年7月に無観客配信ライブ「KEYAKIZAKA46 Live Online,but with YOU!」を開催。その場で、20年10月開催のライブをもって欅坂46としての5年間に幕を閉じ、グループ名を改めて再出発することを発表する。激動の5年間の活動の中で、メンバーたちは胸の内にどんな思いを抱いていたのか。メンバーやスタッフの証言をはじめ、初公開となる貴重な記録映像の数々、そして再編集されたライブパフォーマンスの映像などを交え、欅坂46の5年間を映し出す。

監督は「AKB48」や「THE YELLOW MONKEY」のミュージックビデオ、ドキュメンタリーなどを多数手がけてきたことで知られる高橋栄樹

Reframe THEATER EXPERIENCE with you」(9月4日公開)

国内外で人気を誇る3人組テクノポップユニット「Perfume」の20年間にわたる全歴史を再構築したコンセプトライブ「Reframe 2019」を劇場公開。

2020年9月に結成20年&メジャーデビュー15周年を迎えるPerfume。19年10月、LINE CUBE SHIBUYA(旧・渋谷公会堂)のこけら落としとして開催された「Reframe 2019」では、これまでもPerfumeのライブを手がけてきた演出振付家MIKIKOや、真鍋大度を中心とするクリエイティブ集団「ライゾマティクス」とともに、デジタル技術を駆使したアートな表現に挑戦。楽曲、音声、ダンスパフォーマンス、写真、映像といったノーマル素材から、モーションキャプチャーや3Dスキャンといった特殊素材まで、様々なデータを最先端の技術と独創的な演出アイデアで再構築した。Perfumeの「過去・現在・未来」を地続きで表現する壮大な試みを実現した同公演を、劇場の大スクリーンと高音質で再現する。

「はたらく細胞!!」最強の敵、再び。体の中は“腸”大騒ぎ!」(9月5日公開)

清水茜による人気漫画をアニメ化し、擬人化された細胞たちが人間の体を健康に保つため奮闘する姿を描く「はたらく細胞」のテレビシリーズ第2期「はたらく細胞!!」の特別先行上映版。2021年1月から放送のテレビシリーズ第2期で描かれる、原作コミックス第5巻のエピソードを上映。

たくさんの細胞たちが働く人間の体の中。ある時、白血球(好中球)と赤血球は、迷子の乳酸菌を保護した一般細胞と出会う。乳酸菌を仲間のもとに送り届けるため、白血球(好中球)と一般細胞は腸へと向かうが、そこでは最強の敵であるがん細胞が待ち受けていた。がん細胞と悪玉菌により腸内環境は荒らされ、体内はかつてないピンチに陥る。

声の出演は、赤血球役の花澤香菜、白血球(好中球)役の前野智昭ら。ショートアニメ「血小板 映画館へ行く」が同時上映。

東京事変2020.7.24閏vision特番ニュースフラッシュ」(9月5日公開)

シンガーシングライターの椎名林檎を中心とした人気バンド「東京事変」が2020年7月24日に無観客で行ったライブの記録映像。

20年1月1日、8年ぶりの活動再開を発表し、“再生”を果たした東京事変。2月から4月にかけて全国ツアー「Live Tour 2020 ニュースフラッシュ」を開催する予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ほとんどの公演の開催を断念。そして、東京オリンピックの開会式が開催されるはずだった同年7月24日、東京・渋谷のNHKホールでバンドメンバーやスタッフが集結し、無観客の中で「Live Tour 2020 ニュースフラッシュ」の演目を披露。その模様を余すことなく映像収録した。

20年9月5日からPIA LIVE STREAM、ZAIKO、WOWOWメンバーズオンデマンドで配信されるほか、9月5、12、13、14日の4日間限定で劇場上映。

もう終わりにしよう。‬」(9月4日NETFLIXにて配信)

イアン・リードが手掛けた小説を「マルコヴィッチの穴」や「エターナル・サンシャイン」の脚本を手掛けた鬼才チャーリー・カウフマン監督により映画化。

主人公の女性は、付き合い始めたばかりの恋人ジェイクとの別れを考えていた。ところが、打ち明けられないまま彼女は、彼の実家が営む農場へと訪問することに。猛吹雪により身動きが取れなくなってしまった彼女は、両親と時間を過ごす内に、恋人のこと、自分自身のこと、そして世界の全てに対する疑問を抱き始めていく……。

主人公の女性役に「ワイルド・ローズ」のジェシー・バックレイ、ジェイク役に「アイリッシュマン」のジェシー・プレモンス、母親役に「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」のトニ・コレット、父親役に「ワンダーウーマン」のデヴィッド・シューリスなどが名を連ねている。

‪ムーラン‬」(9月4日Disney+にて配信)

美女と野獣」「アラジン」など往年の名作アニメの実写化を次々と成功させているディズニーが、愛する父の身代わりとなり、兵士として国の運命をかけた戦いに身を投じるヒロインを描いた1998年のディズニー・アニメ「ムーラン」を実写化。

ヒロインのムーラン役には、「ザ・レジェンド」や「ドラゴン・キングダム」のリウ・イーフェイが抜てきされた。「ハンニバル・ライジング」「マイアミ・バイス」のコン・リー、「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」のドニー・イェン、「エクスペンダブルズ」シリーズのジェット・リーら、それぞれハリウッドでも活躍するアジア圏のスター俳優が共演。監督は、「クジラの島の少女」「スタンドアップ」などで知られるニュージーランド出身の女性監督ニキ・カーロ。Disney+にて追加料金が必要なプレミアアクセスで配信。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>「Fate」が初登場1位!「ドラえもん」を上回るオープニング成績を叩き出す!

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先週末は「Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」が公開。今回は本作の興行分析と先週に引き続き、先週末のランキングの状況を考える。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は初登場劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」。土日2日間で動員27万人、興収4億7500万円をあげた。

2位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。土日2日間で動員23万人、興収2億8600万円をあげ、累計では早くも動員138万人、興収16億円を突破している。

3位は「今日から俺は!!劇場版」。土日2日間で動員18万5000人、興収2億3800万円をあげ、累計では動員322万人、興収40億円を突破した。

4位は「コンフィデンスマンJP プリンセス編」。土日2日間で動員11万9000人、興収1億6600万円をあげ、累計では動員191万人、興収26億円を突破した。

5位は初登場弱虫ペダル」。土日2日間で動員10万5000人、興収1億3800万円をあげ、初日から3日間の累計は動員19万5000人、興収2億4800万円をあげた。

6位は初登場思い、思われ、ふり、ふられ」。初日から3日間の累計は動員16万4000人、興収2億円をあげた。

7位は「ぐらんぶる」。累計興収は2億8000万円を突破。

8位は「3年目のデビュー」。累計興収は1億2100万円を突破。

9位は初登場東映まんがまつり 2020」。

10位は初登場インセプション」。クリストファー・ノーラン監督の最新作「TENET テネット」(9/18公開)に合わせて、IMAX、4Dバージョンがリバイバル上映されている。

 

2.興収チェック!「劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」

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先週、初登場1位にランクインしたのは「劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」。TYPE-MOONのPCゲーム「Fate/stay night」をアニメ映画化し、原作ゲームでヒロインのひとりである間桐桜を通して「聖杯戦争」の真実に迫るシナリオルート「Heaven's Feel」を描く3部作の最終章。元々は3月28日から公開予定だったが、公開2日前に新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点や初週末が外出自粛要請が発表されたことから公開を4月25日に延期。その後、政府として緊急事態宣言が発せられて、全国の映画館の営業休止を余儀なくされたことから再び延期。そして、8月15日からようやく公開に踏み切ることができた。

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初週末の土日2日間で動員27万人、興収4億7500万円をあげた。これは前作「II. lost butterfly」(動員27万7000人、興収4億9100万円)に比べて、動員比、興収比ともに97%とほぼ変わらない成績を挙げている。本シリーズは固定客が強いこともあるが、実はこれは現在公開中の「ドラえもん のび太の新恐竜」の成績(動員33万4000人、興収4億1300万円)に比べて、動員比81%、興収比115%と興収が上回っている。しかも、ドラえもんが377スクリーンであるのに対して、Fateは156スクリーンと半分の規模でドラえもんを超えているのだ。いかにFateブランドが強いか、スクリーンで待ち望んでいた客がいたのかが証明された。

 

3.先週末のランキングにも新作洋画はランクインせず…

前回も書いているが、ランキングには洋画がランクインしていない。厳密には10位に「インセプション」がランクインしていたが、本作は2010年製作のため、新作洋画がランクインしていないと書くのが正しいだろう。今週末は「2分の1の魔法」がランクインするのでこのような事態は先週末までとなりそうだが、果たして今後同じような事態となるのだろうか。改めて、主要な洋画の公開スケジュール、アメリカの公開スケジュールを確認しよう。

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いよいよ来週あたりからアメリカでもメジャー作品が劇場公開されるように予定されており、そのうちの何作かは日本でもほぼ間隔を空けずに公開予定だ。どれだけヒットするのだろうか。また、オスカーに向けた作品の中では配信に向けて公開する作品も出てくる。NETFLIXなどの日本上陸されているサービスはまだ良いが、上陸されてないサービスや見放題サービスに入ったない作品の日本上陸はあるのか。日本で劇場公開される洋画の健闘に期待したい。

 

4.今週の注目作

」(8月21日公開)

1998年にリリースされた中島みゆきのヒット曲「糸」をモチーフに、菅田将暉小松菜奈演じる平成元年に生まれた男女の18年間を生活者からの視点から見た平成史とともに描いていく、瀬々敬久監督作品。

平成元年生まれの高橋漣と園田葵。北海道で育ち、13歳の時に出会った2人は初めての恋をするが、葵は母親に連れられて北海道を去ってしまう。8年後、21歳になった漣は、友人の結婚式のため訪れた東京で葵との再会を果たす。しかし、漣は北海道でチーズ職人、葵は東京、沖縄へと自分の世界を広げ、2人は別の人生を歩み始めていた。さらに10年の時が流れた平成最後の年、2人は運命の糸によってふたたびめぐり会うこととなる。

漣役の菅田将暉、葵役の小松菜奈のほか、斎藤工榮倉奈々山本美月倍賞美津子成田凌二階堂ふみ高杉真宙らが顔をそろえる。

2分の1の魔法」(8月21日公開)

リメンバー・ミー」「トイ・ストーリー4」のピクサー・アニメーションによる長編作品。

亡くなった父親にもう一度会いたいと願う兄弟が、魔法によって半分だけ復活した父親を完全によみがえらせるため奮闘する姿を描いた。かつては魔法に満ちていたが、科学技術の進歩にともない魔法が忘れ去られてしまった世界。家族思いで優しいが、なにをやってもうまくいかない少年イアンには、隠れた魔法の才能があった。そんなイアンの願いは、自分が生まれる前に亡くなってしまった父親に一目会うこと。16歳の誕生日に、亡き父が母に託した魔法の杖とともに、「父を24時間だけよみがえらせる魔法」を書かれた手紙を手にしたイアンは、早速その魔法を試すが失敗。父を半分だけの姿で復活させてしまう。イアンは好奇心旺盛な兄バーリーとともに、父を完全によみがえらせる魔法を探す旅に出るが……。

監督は「モンスターズ・ユニバーシティ」を手がけたダン・スキャンロン。主人公の兄弟は弟・イアン役にトム・ホランド(吹替:志尊淳)、兄・バーリー役にクリス・プラット(吹替:城田優)が演じる。

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」(8月21日公開) (PG12)

「リチャード・ジュエル」「トロン:レガシー」などの女優オリヴィア・ワイルドが長編監督デビューを果たし、女子高生2人組が高校最後の一夜に繰り広げる騒動を描いた青春コメディ。

高校卒業を目前にしたエイミーと親友モリーは成績優秀な優等生であることを誇りに思っていたが、遊んでばかりいたはずの同級生もハイレベルな進路を歩むことを知り、自信を失ってしまう。勉強のために犠牲にしてきた時間を一気に取り戻すべく、卒業パーティへ繰り出すことを決意する2人だったが……。

主演は俳優ジョナ・ヒルの妹としても知られる「レディ・バード」のビーニー・フェルドスタインと、「ショート・ターム」のケイトリン・デバー。「俺たち」シリーズのウィル・フェレルとアダム・マッケイが製作総指揮。

海の上のピアニスト 4Kデジタル修復版」(8月21日公開)

ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督と映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネがタッグを組み、船上で生まれ育ち一度も船を降りることがなかったピアニストの生涯を描いたドラマ。

1900年。豪華客船ヴァージニアン号の機関士ダニーは、ダンスホールのピアノの上に置き去りにされた赤ん坊を見つけ、その子に「ナインティーン・ハンドレッド」と名付けて育て始める。船という揺りかごですくすくと成長したナインティーン・ハンドレッド。ある晩、乗客たちは世にも美しいピアノの旋律を耳にする。ダンスホールのピアノに座って弾いていたのは、ナインティーン・ハンドレッドだった。

公開から約20年を経た今年、トルナトーレ監督の監修による4Kデジタル修復版(121分)が公開。また、9月4日からは99年公開時には実現しなかった170分の「イタリア完全版」も初公開される。

グッバイ、リチャード!」(8月21日公開) (R15+)

ジョニー・デップが主演を務め、余命180日の大学教授が残された時間をありのままに生きることで人生の愛おしさを見いだしていく姿をユーモラスに描いたヒューマンドラマ。

美しい妻や素直な娘と何不自由ない暮らしを送る大学教授リチャードは、医師から突然の余命宣告を受ける。追い打ちをかけるように妻から不倫を告白され、死を前に怖いものなしとなった彼は、残りの人生を自分のために謳歌することを決意。ルールや立場に縛られない新しい生き方はこれまでにない喜びをリチャードに与え、そんな彼の自由な言動は周囲にも影響を及ぼしていくが……。

共演は「レイチェルの結婚」のローズマリー・デウィット、「ゾンビランド ダブルタップ」のゾーイ・ドゥイッチ、「ワンダーウーマン」のダニー・ヒューストン

きっと、またあえる」(8月21日公開)

ダンガル きっと、つよくなる」のニテーシュ・ティワーリー監督が、自身の大学時代のエピソードなども盛り込みながら、1990年代インドの工科大学の学生寮を舞台に、主人公と仲間たちの友情を描いた一作。

息子が受験に失敗し、病院に担ぎ込まれたアニ。そこへいまは親世代となった悪友たちが集まり、アニの息子を励ますため学生時代の奮闘記を語り始める。90年代、インドでもトップクラスのボンベイ工科大学に入学したアニだったが、学生寮は負け犬ばかりが集まるといわれるボロボロの4号寮に振り分けられる。アニと4号寮の仲間たちは、寮対抗の競技会で「負け犬寮」の汚名を返上すべく、知恵とやる気と団結力でさまざまな競技を勝ち抜いていくのだが……。

主人公アニ役に「PK」のスシャント・シン・ラージプート、ヒロインとなるマヤ役に「サーホー」のシュラッダー・カプール

狂武蔵」(8月21日公開)

70分以上におよぶワンシーン・ワンカット撮影、400人斬りシーンなどを盛り込んだアクション時代劇。日本映画のアクションシーンを牽引するTAK∴(坂口拓)が主演を務め、初の時代劇映画となる山崎賢人が「キングダム」に続き坂口と共演を果たした。

慶長9年、宮本武蔵による2度の道場破りにより、師範の清十郎とその弟・伝七郎を失った名門・吉岡道場。面目を潰された一門は、まだ9歳の清十郎の嫡男・吉岡又七郎と武蔵との決闘を仕込み、一門全員で武蔵を襲う計略を練る。決闘場のまわりに身を潜める、一門100人と金で雇った他流派300人の前に、突如現れた武蔵が襲いかかる。

2020年の公開よりも9年前に坂口によって撮影されていたが、長らく日の目を見ずに眠っていた作品で、「GANTZ」「キングダム」のアクション監督・下村勇ニが全体の仕上げを担当して完成させた。

映画 ギヴン」(8月22日公開)

キヅナツキの同名BLコミックを原作にフジテレビの「ノイタミナ」で放送されたテレビアニメを、フジテレビによるBLに特化したアニメレーベル「BLUE LYNX」の2作目として劇場アニメ化。

高校生の真冬と立夏の切なく淡い恋を描いたテレビ版に続き、バンドの大人メンバーである春樹、秋彦、雨月の苦く熱い恋を中心に描く。高校生の上ノ山立夏は佐藤真冬の歌声に衝撃を受け、中山春樹、梶秋彦と組んでいるバンドのボーカルとして真冬を加入させる。ライブを成功させ、バンド「ギヴン」として活動を本格始動する中で、立夏は真冬への思いを自覚するようになり、2人は付き合いはじめる。一方、春樹は長年にわたり秋彦に恋心を抱いていたが、秋彦は同居人のバイオリニスト、雨月との関係を続けていた。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>春休みの定番・ドラえもんが夏休みに公開…ドラえもんで観客を呼び戻せるのか?

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先週末は「ドラえもん のび太の新恐竜」が公開。今週は本作の興行分析をしていきたいと思う。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。土日2日間で動員33万4000人、興収4億1300万円をあげ、初日から8月10日(月・祝)までの4日間の累計では動員63万人、興収7億6100万円を超える好スタートをきった。

2位は「今日から俺は!!劇場版」。土日2日間で動員16万7000人、興収2億1800万円をあげ、累計では動員262万人、興収33億円を突破した。

3位は「コンフィデンスマンJP プリンセス編」。土日2日間で動員12万6000人、興収1億8000万円をあげ、累計では動員153万人、興収20億円を突破している。

4位は初登場ぐらんぶる初日から3日間の累計興収は1億1000万円をあげた。

5位は初登場劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス」。初日から3日間の累計興収は5360万円をあげた。

6位は初登場3年目のデビュー」。初日から3日間の累計興収は4690万円をあげた。

7位は「もののけ姫」。累計で動員73万人、興収8億2000万円を突破。

8位は「千と千尋の神隠し」。累計で動員74万人、興収8億2500万円を突破。

9位は「風の谷のナウシカ」。累計で動員61万人、興収6億8300万円を突破。

10位は初登場EYES ON ME:The Movie」。初日から3日間の累計興収は2830万円をあげた。

少女☆歌劇レヴュー・スタァライト 再生産総集編 ロンド・ロンド・ロンド」は、全国28スクリーンで公開され、11位スタートとなった。

 

2.興収チェック!「ドラえもん のび太の新恐竜」

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先週末初登場1位にランクインしたのは「ドラえもん のび太の新恐竜」。「ドラえもん」の連載50周年、長編映画40作目という記念すべき作品。シリーズ最高の興収(53.7億円)を打ち立てた「のび太の宝島」の監督・今井一暁×脚本・川村元気が再びタッグを組み、長編映画シリーズ第1作となった「のび太の恐竜」を新たなるストーリーで描いていく。

ドラえもん」と言えば春休み映画の定番作品であり、本作も元々は3月6日に公開予定だった。しかし、コロナウイルスの感染拡大、特にメインターゲットとなっている学生の休校要請が取られていただけに公開1週間前に延期が発表された。

そして、公開日を「STAND BY ME ドラえもん2」の公開予定日であった8月7日に延期した(「STAND〜」は現在も公開日未定)。

また、本作はコロナ禍の映画館を救うキャンペーンの一環としてドラえもんのキャラたちが観客にマスク着用などの鑑賞マナーや映画館の換気の安全性を訴えて、映画館への入場を待っていた。

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春休みの定番だった映画が夏休みにスライドする異常事態とも言えるこの状況、果たしてどういう成績となったのか?

結果としては土日2日間で動員33万4000人、興収4億1300万円をあげた。これだけ見ても観客制限をかけた映画館としては上出来と言える成績だったように思える。しかし、今年の夏休み映画や過去のドラえもん映画と比べてみると少し状況は変わってくる。

今日から俺は!!劇場版」のオープニング成績(動員48万6000人、興収6億3100万円)との動員比69%、興収比65%、「コンフィデンスマンJP プリンセス編」のオープニング成績(動員28万6000人、興収4億500万円)との動員比117%、興収比102%と競合2作をあまり大きく引き離すことができなかった。

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また、近年のドラえもん映画と比較すると、前作「のび太の月面探査記」はおろか、声優陣を入れ替えた2006年以降でもかなり低い数字であることが明らかだ。観客制限が敷かれていることを加味しても、アニバーサリー作品として華々しいスタートとは言えないだろう。

原因は複合的であると思う。感染状況が深刻化してきたこと(ファミリー層をメインターゲットとしている本作ではどの作品以上に注視するべき点だ)、先ほど挙げた今日俺やコンフィデンスマンJPの競合2作が想像以上に手強いこともあるが、やはり宣伝不足というのも挙げられるのではないか?木村拓哉のゲスト声優参加やMr.Childrenの主題歌をもう少し推し出すべきだったように思える。ただ、この2つに関しては公開延期前についてもイマイチ推し出しが弱いとは感じていた点である(ミスチルの媒体露出は難しいにしても、キムタクの宣伝活動は出来なかったのだろうか?)。また、2つの定着がしていないこともあげるべきだろう。1つ目は先ほどから書いているように春休みから夏休みに移行したこと。しかも、今回は子供たちの夏休みの中盤で公開したため、春休み直前に公開して稼いでいく通常公開のときよりも稼ぎ期の期間が短いように思える。そして、2つ目はテレビアニメのレギュラー放送が金曜夜7時から土曜午後5時に引っ越したことだ。2018年10月 - 2019年9月の平均視聴率は7.04%だったが、引っ越した2019年10月 - 2020年現在までの平均視聴率は4.3%となっている。改編発表の際には土曜夕方帯のほうがファミリー層に楽しんでくれるのではないのかという理由を公表したが、視聴率自体では逆効果となっている(おかげで今年4月からBS朝日にて金曜夜7時より再放送枠が組まれるという事態も発生している)。また、こうした改編は映画宣伝にとっても悪手となった。というのも改編以前なら、映画公開前後にはクレヨンしんちゃんとの合同特番でしんちゃんのアニメを放送した後に前年の映画を放送して金曜夜の3時間を確保できたわけだが、移動したことにより、土曜夜の7時から9時という金曜夜よりも安定とは言えない時間帯での放送を強いられた*1。こうした点からテレビで映画を宣伝するというパワーを最大限に発揮出来ていなかったのではないかとも感じる。

結論として、今回のドラえもん映画は華々しいスタートとはいかなかったとするなら、そこには定着がしきれなかったことはあるように思える。ただ、4億円超えのスタートをこの状況を加味してどう捉えるかは考え所だ。ただ、こうした時期の定番映画であるアニメ映画シリーズが新たな時期に公開する是非については少し考える必要がありそうだ。9月公開のクレヨンしんちゃん、12月公開のポケモン…それぞれGW、夏休みの定番がズレることでどういった効果を生み出すのか。そして、来年以降、こうした定番アニメ映画は時期の軌道修正を行う事はできるのだろうか。

 

さて、ここまでドラえもん映画としての興収分析を行なったが、先週末のランキングを改めてご覧いただきたい。1位から10位までの中に洋画が入っていないのだ。「EYES ON ME」に関しては韓国製作、日本製作か映画サイトでも曖昧なため、今回は邦画区分で見るとしよう。ここ最近指摘している通り、洋画の公開不足がここにきて顕著化し始めてきたところだ。しかし、この見えない洋画の公開不足に対して、邦画が頑張ってくれるしかないだろう。そう思うと、今回のドラえもんのオープニング成績もいいように思えるし、きっと、ドラえもんも観客を呼び戻せているはずだ。

 

3.今週の注目作

インセプション」(8月14日公開)

ダークナイト」のクリストファー・ノーラン監督が、オリジナル脚本で描くSFアクション大作。

人が眠っている間にその潜在意識に侵入し、他人のアイデアを盗みだすという犯罪分野のスペシャリストのコブは、その才能ゆえに最愛の者を失い、国際指名手配犯となってしまう。そんな彼に、人生を取り戻す唯一のチャンス「インセプション」という最高難度のミッションが与えられる。

主人公コブにレオナルド・ディカプリオ、共演に渡辺謙、ジョセフ・ゴードン=レビット、マリオン・コティヤールエレン・ペイジほか。第83回アカデミー賞では作品賞をはじめ8部門にノミネートされ、撮影賞、視覚効果賞、音響編集賞、音響録音賞 と技術系の4部門を受賞した。ノーラン監督最新作「TENET テネット」の公開にあわせて、IMAX、4Dでリバイバル公開。

思い、思われ、ふり、ふられ」(8月14日公開)

ストロボ・エッジ」「アオハライド」で人気の漫画家・咲坂伊緒による人気青春恋愛コミックを浜辺美波北村匠海福本莉子赤楚衛二のキャストで実写映画化。

恋愛には積極的で社交的だが不器用な性格の朱里。夢見がちで恋愛には消極的、自分に自信が持てない由奈。そして、朱里の義理の弟の理央と由奈の幼なじみの和臣。同じ学校に通う高校1年生の4人は同じマンションに暮らしていた。憧れ、片思い、ある秘密……4人の四者四様のさまざまな思いがすれ違いながら交差していく。

「君の膵臓をたべたい」や「HELLO WORLD」でも共演してきた浜辺美波北村匠海が朱里役と理央役を務め、由奈役を福本莉子、和臣役を赤楚衛二がそれぞれ演じる。監督は「アオハライド」「フォルトゥナの瞳」など数々の青春・恋愛映画を手がける三木孝浩。

弱虫ペダル」(8月14日公開)

コミックス累計発行部数2500万部を突破し、アニメ版や舞台版も人気のスポーツ青春漫画「弱虫ペダル」を実写映画化。

運動が苦手で友達がいないアニメ好きの高校生・小野田坂道。ひょんなことから高校の自転車競技部に入った彼は、自転車選手として思わぬ才能を発揮する。そして初めてできた仲間のために、自分の限界や壁を越えてともに走る喜びを見いだしていく。

「King&Prince」の永瀬廉が「うちの執事が言うことには」に続き主演を務め、主人公の良きライバル・今泉俊輔を伊藤健太郎自転車競技部のマネージャー・寒咲幹を橋本環奈がそれぞれ演じる。監督は「旅猫リポート」「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」の三木康一郎

ディヴァイン・フューリー 使者」(8月14日公開)

ミッドナイト・ランナー」の主演パク・ソジュンとキム・ジュファン監督が再びタッグを組み、悪魔祓いをテーマに、若き格闘家とベテラン神父が悪に立ち向かう姿を描いたアクション。

幼少期に事故で父を亡くし、そのせいで神への信仰を失ったまま育った総合格闘技の若き世界チャンピオンのヨンフ。ある日、彼は右手に見覚えのない傷ができていることに気づく。傷について調べるうち、何かに導かれるかのようにバチカンから派遣されたエクソシストのアン神父と出会ったヨンフは、自身の内に秘められた正義の力の存在を知り……。

ジェクシー!  スマホを変えただけなのに」(8月14日公開) (PG12)

スマホに搭載されたある機能により、スマホにストーキングされてしまう男を描いたコメディ。監督、脚本は「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」の脚本家コンビ、ジョン・ルーカスとスコット・ムーア。

子どもの頃からスマホ依存症で、恋人も友だちもいないフィルが、スマホを機種変更した。新しいスマホにはすべての個人情報を把握し、生活すべてをコーチングする機能「ジェクシー」が搭載されていた。うだつの上がらないフィルの生活のすべてを一方的にコーチングするジェクシーに、フィルは振り回されるが、やがてジェクシーのおかげで恋人ができ、生活は劇的に変化していく。しかし、ジェフに恋人ができた途端に嫉妬に狂ったジェクシーが豹変し……。

人気コメディアンのアダム・ディバインがフィル役を演じるほか、アレクサンドラ・シップ、マイケル・ペーニャらが脇を固める。ジェクシーの声は「ピーターラビット」シリーズのローズ・バーンが担当した。吹替版も同時公開され、ジェクシー役に花澤香菜、フィル役に杉田智和のほか、竹達彩奈関智一小野大輔朴璐美木村昴が担当している。

ゆきゆきて、神軍」(8月14日公開)

ドキュメンタリー映画監督の原一男が、過激な手段で戦争責任を追及し続けるアナーキスト奥崎謙三の活動を追った傑作ドキュメンタリー。

神戸市で妻とバッテリー商を営む奥崎謙三は、自らを「神軍平等兵」と名乗り、「神軍」の旗たなびく車に乗って日本列島を疾駆する。ある日、自身がかつて所属していた独立工兵第36連隊で、終戦後23日も経ってから敵前逃亡の罪で2人の兵士が処刑されていたことを知った奥崎は、その遺族らとともに真相究明に乗り出す。時には暴力も辞さない奥崎の執拗な追及により、元兵士たちの口から事件の驚くべき真実と戦争の実態が明かされていく。

1987年の初公開時は単館上映ながら大ヒットを記録。第37回ベルリン国際映画祭カリガリ映画賞を受賞するなど、国内外で高く評価された。戦後75年、奥崎謙三生誕100周年となる今年、全国のミニシアターでリバイバル公開。

劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel] III. spring song」(8月15日公開)

TYPE-MOONの大ヒットPCゲーム「Fate/stay night」をアニメ映画化し、原作ゲームでヒロインのひとりである間桐桜を通して「聖杯戦争」の真実に迫るシナリオルート「Heaven's Feel」を描く3部作の第3章。

魔術師(マスター)と英霊(サーヴァント)が万能の願望機「聖杯」をめぐって繰り広げる「聖杯戦争」。間桐桜は自らが犯した罪とともに、闇に溺れてしまう。彼女を守ると誓った衛宮士郎遠坂凛と共闘し、聖杯戦争を終わらせるべく過酷な戦いに身を投じる。一方、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンは闘争の真実を知る者としてその運命と向き合い、間桐臓硯は桜を利用して自らの悲願をかなえようとする。

アニメーション制作はufotable、数々のTYPE-MOON作品のアニメ化を手掛けてきた須藤友徳が前2作に引き続き監督を務める。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

*1:実際問題、2019年は8.4%、2020年は5.2%と落ちている

<週刊興行批評>「ムーラン」の配信スルーと新作公開後17日での配信解禁…映画館が選ぶ決断と未来

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いよいよ2020年も8月に突入。日本の映画も夏休み商戦に入ってきたわけだが、今年は一味も二味も違う。新型コロナウイルス感染拡大防止のための客席制限、期待作の公開延期、何よりもアメリカの映画館の長期的で先の見えない休館によってメジャー洋画の深刻的な不足が襲う。そして、今週、アメリカでは今後の映画館の行き末を考える上でも大きなトピックスが2つ報じられた。今回はその2つのトピックスを取り上げながら、映画館の未来を考える。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「今日から俺は!!劇場版」。土日2日間で動員23万1000人、興収2億7600万円をあげ、累計では動員208万人、興収26億円を突破している。

2位は「コンフィデンスマンJP プリンセス編」。土日2日間で動員18万9000人、興収2億4000万円をあげ、累計では動員113万人、興収15億円を突破した。

3位は「もののけ姫」。累計興収は7億6600万円を突破。

4位は「千と千尋の神隠し累計興収は7億7500万円を突破。

5位は「風の谷のナウシカ」。累計興収は6億4200万円を突破。

6位は「劇場版 ひみつ×戦士 ファントミラージュ! 〜映画になってちょーだいします〜」。累計興収は9500万円を突破。

7位は「私がモテてどうすんだ」。累計興収は1億7600万円を突破。

8位は「透明人間」。累計興収は1億7400万円を突破。

9位は初登場人体のサバイバル!/がんばれいわ!!ロボコン」。

10位は初登場ダンケルク」。同じくクリストファー・ノーラン監督最新作の「TENET テネット」公開(9/18公開)に合わせて、IMAX、4D、Dolby Cinemaの3形態でリバイバル上映。IMAX版の上映前には「TENET テネット」の6分間のプロローグ映像が流されてる。

 

2.「ムーラン」の配信スルーと新作公開後17日での配信解禁…映画館が選ぶ決断と未来

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先週末も今日俺とコンフィデンスマンJPの週末興収が2億円とコロナ禍の夏休みとしては想像よりも早い回復の兆しを見せている日本の映画興行。しかし、アメリカに視点を置くと、そうはいかない。最大のシネコンチェーン・AMCは8月下旬まで開館しないことを既に発表しており、アメリカとしては最大の稼ぎ期であるサマーシーズンの興行を展開できなくなっている。今も1日あたり5万人前後の感染者を出してるだけにすぐに開館できないとはいえ、この状況は世界の映画業界においては痛手としか言えない。ハリウッド映画の公開が出来ないということでもあるからだ。日本でもメジャー洋画の公開は8月の「2分の1の魔法」、9月の「TENET テネット」、「キングスマン ファースト・エージェント」、10月の「ワンダーウーマン 1984」、「ナイル殺人事件」、11月の「ブラック・ウィドウ」、「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」、12月の「ソウルフル・ワールド」、「ウエスト・サイド・ストーリー」とつづくが、既に春に海外で公開済みの「2分の1の魔法」以外は海外で公開されていないので日付通りに公開ができることは確証されていない

そんな危険な綱渡りの最中、大きなトピックスが2つ入ってきた。

まず、1つ目は映画会社・ユニバーサルがAMCとの間で劇場公開されたユニバーサル作品を公開初日から17日後にオンデマンド配信する契約で合意したことを発表した。

この期間での配信にも驚きだが、そもそもAMCとユニバーサルとはこの契約発表までは対立を見せていた。それは今年の4月、ドリームワークスによるアニメ「トロールズ ミュージック★パワー」(日本でも10/2劇場公開予定)を公開予定日だった4月10日に48時間レンタルで19.99ドル(約2110円)として販売を開始した。これが約3週間で1億ドルの売上を記録を達成し、ユニバーサルのCEOが今後は劇場公開と配信の両フォーマットで作品を出す方針を発表。これにAMCのCEOが激怒。ユニバーサルが劇場と配信の両方を採用するならば、今後、ユニバーサル作品は一切公開しないことを断言していた。こうした対立劇があっただけにこの発表は発表内容も含めて大きな驚きを持って迎えられた。

2つ目はディズニーが「ムーラン」をアメリカ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、西ヨーロッパ諸国では同社が展開している動画配信サービス・Disney+で9/4より配信することを発表した。

元々、「ムーラン」は3/27→7/24→8/21と公開延期を発表していたが、7月には無期限延期を発表したばかりだった。想定よりもDisney+の会員数が早く上昇していることから一部地域で配信スルーを決断。29.99ドル(約3100円)での販売を決断した。なお、日本を含めアジア地域では配信地域に含まれていないが、日本でもサービスを開始しているだけに配信する可能性もあり得るが、日本で展開しているDisney+は4Kに対応していないなど他国とのサービスより劣っていたりするため、配信スルーした暁にはそれ相応の批判が出ることは確実だろう。

 

以上の2つのトピックスはアメリカの長期的な映画館の閉鎖と配信スルーした作品の興行的成功から出てきたものであるが、日本も例外ではない。ユニバーサルやディズニーといったメジャー映画会社が主力作を配信でも公開するということになれば、日本も対応を迫られることになる。そして、その成績次第では配信作品の拡充もあり得るし、配信作品を日本だけ見送ったり、映画館のラインナップが崩れ、先行きが危うくなることもあり得る。

個人的には日本が映画を配信で観る体制がそこまで整っているとは思えないので、最悪の未来としてただでさえ映画の鑑賞回数が少ないといったことが話題に挙がるこの国において、劇場も配信も共倒れ、洋画の公開本数の低下があり得る。これは最悪中の最悪の展開のためそうはあって欲しくないが、日本がすぐにこうした配信作品の対応ができるとは思えない(邦画になれば製作委員会の判断により尚更難しい可能性もある)。だが、数年後には配信の整備も進んでいることだろう。だが、この記事においては数年単位のスパンでの話をすることはしない。

とりあえず、「ムーラン」が日本では劇場公開か配信スルーかあるいは劇場と配信の並行公開かの決断を見守りたいところだ。このコロナ禍によって改めて映画館で映画を観るということが贅沢でありながらも、映画を観るにおいてはパーフェクトな鑑賞体験をさせてくれることを感じた。それはあたりまえであるが、そのあたりまえが崩れてしまうかもしれないことが今、まさに世界の映画業界で起ころうとしているのだ。この夏休み商戦をどう捉え、これからにどう繋げるか。日本においてはそこが重要になる。

最後にこのツイートを貼って締めたいと思う。これはフランスの「Cinépal」のオーナーであるジェラルド・レモイン氏が「ムーラン」の劇場の広報展示物(スタンド)を破壊している様子を捉えた映像だ。

この12秒の映像からあなたは何を考えるだろうか。2020年の映画館、劇場で公開するはずだった作品の一つが配信に奪われてしまい、稼ぎ頭を失ってしまったこと。その悲しみと怒りを映像から自分は感じた。もうこれ以上、こんな光景が生まれないためにも映画館が元気で続けられるストーリーを配給会社は作るべきである。 映画にとって映画館で上映されることこそがゴールであり続けて欲しい。

 

3.今週の注目作

ドラえもん のび太の新恐竜」(8月7日公開)

国民的アニメ「ドラえもん」の長編映画40作目。シリーズ最高の興行収入53.7億円を打ち立てた「ドラえもん のび太の宝島」(2018)の監督・今井一暁×脚本・川村元気が再びタッグを組み、のび太と双子の恐竜の出会いから始まる物語を、長編映画シリーズ第1作「のび太の恐竜」(1980)とは異なるオリジナルストーリーで描く。

ある時、恐竜博の化石発掘体験で化石を見つけたのび太は、それを恐竜のたまごだと信じ、ドラえもんひみつ道具「タイムふろしき」で化石を元の状態に戻す。するとそこから、新種の双子の恐竜が生まれる。2匹をキューとミューと名づけて育てるのび太だったが、やがて限界がきてしまい、2匹を元の時代に返すことに。ドラえもんや仲間たちとともに6600万年前の世界へと旅立ったのび太は、キューとミューの仲間を探す中で謎の島にたどり着き……。

ぐらんぶる」(8月7日公開) (PG12)

キューバダイビングクラブを舞台にしながらも、ほとんどダイビングをしないという型破りな展開で人気を集める青春コメディ漫画「ぐらんぶる」を、人気若手俳優竜星涼と犬飼貴丈のダブル主演で実写映画化。

美しい海に囲まれた大学に入った伊織は、気のあう友人やかわいい女子と送る「キラキラな大学生活」を夢見ていた。しかし、オリエンテーションの朝、伊織はなぜか服も記憶もない状態で大学の講堂にいた。あわてふためく伊織は、同じく全裸で記憶がない、無駄にイケメンなオタクの耕平と出会う。やがて2人は、常識が通用しない、何もかもがぶっとんだダイビングサークルにたどり着くのだが……。

ほぼ全裸のシーンも体当たりで演じた主演の竜星涼と犬飼貴丈のほか、映画初出演の乃木坂46与田祐希がヒロイン役で共演。「映像研には手を出すな!」「東京リベンジャーズ」など監督作が相次ぐ英勉がメガホンをとった。

ハニーボーイ」(8月7日公開) (PG12)

ワンダー 君は太陽」「クワイエット・プレイス」シリーズのノア・ジュプ演じる人気子役の心の成長を描いたヒューマンドラマ。「トランスフォーマー」「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」のシャイア・ラブーフが自らの経験をもとに初めて脚本を手がけ、主人公の父親役で出演もしている。

ハリウッドで人気子役として活躍する12歳のオーティスと、彼のマネージャーを務める父のジェームズ。前科者で無職のジェームズの不器用な愛情表現に、オーティスは常に振り回されていた。そんなオーティスを心配する保護観察官のトム、モーテルに住む隣人の少女、共演する俳優たち。彼らとの交流を経て、オーティスは新たな世界へと踏み出していくが……。

ノア・ジュプが12歳のオーティス、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のルーカス・ヘッジズが10年後のオーティスをそれぞれ演じる。

ディック・ロングはなぜ死んだのか?」(8月7日公開) (PG12)

田舎町で起こったある殺人事件の顛末を描いた、「スイス・アーミー・マン」のダニエル・シャイナート監督によるダークコメディ。

売れないバンド仲間のジーク、アール、ディックは、練習と称してガレージに集まり、いつものようにバカ騒ぎをしていたが、ある原因によってディックが突然死んでしまう。誰もが知り合いの平穏な小さな田舎町では、事件の噂がまたたく間に広がり、人びとの話題はディックの死でもちきりになる。殺人事件として警察が捜査を進める中、ディック死亡の真相を知るジークとアールは、なぜか彼の死因をひた隠しにし、自分たちの痕跡を揉み消そうとする。

ジョーンの秘密」(8月7日公開) (PG12)

スパイ容疑で逮捕された80代の老女の数奇な実話をもとにしたジェニー・ルーニーのベストセラー小説を「恋におちたシェイクスピア」のオスカー女優、ジュディ・デンチ主演で映画化。

夫に先立たれ、仕事も引退し、イギリス郊外で穏やかな一人暮らしを送っていたジョーン・スタンリーが突然訪ねてきたMI5に逮捕されてしまう。彼女にかけられたのは、半世紀以上も前にロシアのKGBに核開発の機密情報を漏えいしていたというスパイ容疑だった。ジョーンは無罪を主張するが、外務事務次官のW・ミッチェル卿の死後に見つかった資料などから、彼女の驚がくの過去が次々と明らかとなる。

ジョーン役をジュディ・デンチ、若かりし頃のジョーン役を「キングスマン」のソフィー・クックソン、ロシア人の恋人レオ役をテレビシリーズ「女王ヴィクトリア」のトム・ヒューズがそれぞれ演じる。監督はジュディ・デンチの舞台作品の演出を数多く手がけたトレバー・ナン。

3年目のデビュー」(8月7日公開)

人気アイドルグループ「日向坂46」のドキュメンタリー映画。前身の「けやき坂46(ひらがなけやき)」からグループ名を改め、2019年3月にデビューシングル「キュン」をリリースし、同年末にはNHK紅白歌合戦にも出場を果たすなど躍進を遂げたデビュー1年目に密着。

先輩グループである「欅坂46」の存在感に圧倒されながら、自分たちのアイデンティティを模索していた「けやき坂46」当時や、改名という大きな変化をきっかけに2度目のスタートを切り、大きな壁を乗り越えようと走り続けるメンバーたちの日々の輝きや苦悩を映し出す。

TBS CSで放送の「セルフ Documentary of 日向坂46」の制作チームが手がけた。

劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス」(8月7日公開)

ウルトラマンタロウの息子ウルトラマンタイガの活躍を描き、2019年7月からテレビ放送の特撮ドラマ「ウルトラマンタイガ」の劇場版。

13年の「ウルトラマンギンガ」以降のウルトラシリーズで活躍したギンガ、ビクトリー、エックス、オーブ、ジード、ロッソ、ブルも登場し、タイガとあわえて8人の新世代ウルトラマンが集結する。

タイガ、タイタス、フーマという3人のウルトラマンに変身する能力を持つ工藤ヒロユキ。数々の戦いを経てヒロユキとタイガたちの絆は深まっていたが、そんなヒロユキを何者かが狙っていた。そのことを知った新世代のウルトラマンたちが、ヒロユキを救うべく続々と集結。そして、タイガの父であるウルトラマンタロウも地球にやってくるが、タロウは息子であるタイガに襲いかかってくる。

少女☆歌劇 レヴュー・スタァライト ロンド・ロンド・ロンド」(8月7日公開)

2018年に放送されたテレビアニメ「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」の総集編劇場版。

未来の舞台女優を目指し、演劇の学び舎「聖翔音楽学園」に通う9人の少女たちが、謎のオーディションに挑み、“輝く星”をつかむべく舞台上で奮闘する姿を描いたテレビシリーズ全12話を再編集した。舞台で生きていくことを夢見て聖翔音楽学園で日々レッスンに励んでいた舞台少女の愛城華恋のもとに、転校生の神楽ひかりがやってくる。彼女こそ、幼い日に別れた華恋の幼なじみで、憧れの舞台「スタァライト」に一緒に立つことを約束した舞台少女だった。

アニメ版と舞台版がリンクするメディアミックスプロジェクトとして展開されており、ミュージカル女優の富田麻帆や声優の三森すずこら、さまざまなジャンルから選ばれた舞台版キャストがアニメ版でも声優を務めた。

EYES ON ME:THE MOVIE」(8月7日公開)

日韓合同グローバルグループとして国内外で活躍する12人組女性アイドル「IZ*ONE(アイズワン)」のコンサートフィルム。

韓国の音楽専門チャンネル「Mnet」のオーディション番組「PRODUCE101」と、日本の人気アイドル「AKB48」グループがコラボレートしたオーディション番組「PRODUCE48」から生まれた、日本人3人と韓国人9人の12人のメンバーで構成される「IZ*ONE」。2018年10年に韓国、19年2月に日本でそれぞれデビューCDを発売すると、瞬く間に人気を集めた同グループが、19年6月から開催した初のアジアコンサートツアー「EYES ON ME」に密着。韓国公演の模様を中心に、迫力のライブ映像やバックステージでのメンバーの様子なども収めた。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>今日俺につづきコンフィデンスマンJPもヒットスタート!夏休み映画はテレビ局映画が救う?

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今週は初登場した「コンフィデンスマンJP プリンセス編」の興収を分析します。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「今日から俺は!!劇場版」。土日2日間で動員38万9000人、興収4億9600万円をあげ、累計では動員161万人、興収20億円を突破している。

2位は初登場コンフィデンスマンJP プリンセス編」。土日2日間で動員28万6000人、興収4億500万円をあげ、初日から4日間の累計では動員64万8000人、興収9億1200万円をあげ、前作を上回るヒットスタートを切った。

3位は「もののけ姫」。累計では動員63万3000人、興収7億200万円をあげた

4位は「千と千尋の神隠し累計では動員65万3000人、興収7億2000万円をあげた

5位は「風の谷のナウシカ」。累計では動員53万8000人、興収6億円をあげ、「ゲド戦記」を加えた4作品で動員192万人、興収21億円を超えるリバイバルとしては異例ともいえるヒットとなっている。

6位は初登場劇場版 ひみつ×戦士 ファントミラージュ! 〜映画になってちょーだいします〜」。

7位は「私がモテてどうすんだ」。累計興収は1億5700万円を突破。

8位は「透明人間」。累計興収は1億5100万円を突破。

9位は初登場海底47m 古代マヤの死の迷宮」。

10位は「ステップ」。累計興収は5780万円を突破している。

 

2.興行チェック!「コンフィデンスマンJP プリンセス編」

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先週末初登場2位にランクインしたのは「コンフィデンスマンJP プリンセス編」。2018年にはフジテレビの月9ドラマ、2019年には映画化もされた長澤まさみ東出昌大小日向文世が主演の劇場版第2弾。前作の「ロマンス編」は29.7億円を記録し、主題歌となったOfficial髭男dismの「Pretender」は流行歌となるなど大ヒットを記録しただけに本作もヒットが期待されていた。

しかし、本作は数多の公開危機を乗り越えてきた。年初めに主演の東出昌大の不倫が発覚し、4月にはコロナウイルスの影響で5月1日の公開日を延期、公開1週間前には出演していた三浦春馬の訃報が入るなど宣伝活動が思うようにいかなかった面もあったが、前作と変わらずフジテレビの宣伝(ドラマの再放送、スピンオフドラマや映画第1作の放送、「めざましテレビ」とのコラボ企画など)は手厚くあったことや前作以上にファンが増えたこともあり、蓋を開ければ、土日2日間で動員28万6000人、興収4億500万円をあげ、初日23日からの4日間の累計は動員64万8000人、興収9億1200万円をあげた。

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前作と比べても動員比100.7%、興収比116%と上回っている。先週も言ったが、客席の制限がかけられた上での結果なのだからこれは好成績と言えるし、最終興収も前作超えの30億円はいけるだろう。

さて、2週連続で1位を記録した「今日から俺は!!劇場版」と本作、週末興収4億円台の作品が2作品も登場し、夏休み商戦に突入した映画館も観客制限をかけられてる中で健闘しているように思える。この2作品の共通点はテレビドラマの劇場版であり、テレビ局が制作に参加しているテレビ局映画であること。今年の夏休み映画は8月7日に「ドラえもん のび太の新恐竜」(テレビ朝日)、8月14日に「弱虫ペダル」(フジテレビ)、8月21日に「糸」(TBS)、8月28日に「青くて痛くて脆い」(日本テレビ)が控えており、例年以上にテレビ局映画が重要になってきそうだ。

何よりも今年の夏休み映画はアメリカ映画がほとんど上映できない状態にあり、日本で公開できるメジャーの洋画は春に海外で公開済みの「2分の1の魔法」のみだ。9月に公開予定だった「ムーラン」や「モンスターハンター」、12月に公開予定だった「トップガン マーベリック」も再び公開延期となる状態。映画の本場・ハリウッドがあるアメリカの映画館が開けられない以上、洋画の公開も少なくなってしまう。さらに邦高洋低が拡大する危惧もあるが、今この状況を救えるのは邦画、テレビ局映画であることは間違いないだろう。

 

3.今週の注目作

海辺の映画館 キネマの玉手箱」(7月31日公開) (PG12)

名匠・大林宣彦監督が20年ぶりに故郷・尾道で撮影し、無声映画、トーキー、アクション、ミュージカルと様々な映画表現で戦争の歴史をたどったドラマ。

尾道の海辺にある映画館「瀬戸内キネマ」が閉館を迎えた。最終日のオールナイト興行「日本の戦争映画大特集」を見ていた3人の若者は、突如として劇場を襲った稲妻の閃光に包まれ、スクリーンの世界にタイムリープする。戊辰戦争日中戦争沖縄戦、そして原爆投下前夜の広島にたどり着いた彼らは、そこで出会った移動劇団「桜隊」の人々を救うため、運命を変えるべく奔走するが……。

主人公の3人の若者役に「転校生 さよならあなた」の厚木拓郎、「GO」の細山田隆人、「武蔵 むさし」の細田善彦。劇場公開を前に大林監督は20年4月10日に他界。本作が遺作となった。

カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇」(7月31日公開)

恐怖小説やSF小説の先駆者H・P・ラブクラフトの「ザ・カラー・アウト・オブ・スペース(宇宙からの色/異次元の色彩)」をニコラス・ケイジ主演で映画化したSFホラー。

ネイサン・ガードナーと妻のテレサは子どもたちとともに大都会の喧噪から逃れるため、閑静な田舎に移住してきた。しかし、前庭に隕石が激突して以来、一家の生活は心と体に影響を及ぼす地球外変異体との戦いに明け暮れ、理想としていた静かな田舎暮らしは悪夢へと変わってしまう。

ニコラス・ケイジがネイサン役を演じるほか、ネイサンの妻テレサ役を「レッド・スパロー」のジョエリー・リチャードソン、長女ラヴィニア役を「ビッグ・アイズ」「好きだった君へ P.S.まだ大好きです」のマデリン・アーサーがそれぞれ演じる。監督は「ハードウェア」「ダスト・デビル」のリチャード・スタンリー。

君が世界のはじまり」(7月31日公開) (PG12)

「おいしい家族」のふくだももこ監督が同作でもタッグを生んだ松本穂香を再び主演に迎え、自身の小説を原作に描いた青春映画。ふくだ監督が執筆した小説「えん」と「ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら」の2作品を、「リンダ リンダ リンダ」「聖の青春」「愚行録」などを手がけてきた脚本家の向井康介がひとつの物語に再編し、閉塞的な地方都市に生きる若者たちの、危うくはかない日々を描いた。

大阪のとある町。深夜の住宅地で、高校生に中年の男が殺害される事件が起こる。町に暮らすの高校2年生のえんは、彼氏をころころ変える親友の琴子と退屈な日々を送っていたが、琴子がサッカー部のナリヒラ君に一目ぼれしたことで、2人は徐々にすれ違うようになっていく。 同じ高校に通うジュンは、母が家を出ていったことを無視し続ける父親に何も言えぬまま、放課後のショッピングモールで時間をつぶしていた。東京から転校してきた伊尾と会ったジュンは、求めるものもわからぬまま伊尾と体を交わすようになるが……。

T-34 レジェンド・オブ・ウォー 最強ディレクターズ・カット版」(7月31日公開)

戦車同士の迫力の戦闘シーンや仲間との友情や絆、国を超えた男と男の戦いなど熱い内容で話題を呼んだロシア製戦争アクション「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」のディレクターズカット版。2019年10月に日本で劇場公開されたインターナショナル版(通常版/113分)、20年2月に公開されたダイナミック完全版(139分)よりさらに長く、本編は3時間11分(191分)に。

ニコライとステパンとの知られざる確執や、アーニャとイェーガーとの秘められた関係、イェーガーの軍人としての資質、そしてT-34の乗務員がどのように選出されたのかなど、戦闘やドラマ部分など新たなシーンが大幅に追加されている。第2次世界大戦下、ナチスドイツの捕虜となってしまったソ連の新米士官イヴシュキンは、収容所で行われる戦車戦演習で、ソ連軍の戦車T-34の操縦を命じられる。しかし、与えられたT-34は実弾も装備されず、演習で敵の砲火の的になることは明らかだった。そんな死の演習を前に、T-34の整備を命じられたイヴシュキンは、収容所の仲間とともに脱出計画を立て、実行に移す。

#ハンド全力」(7月31日公開)

SNSをきっかけによみがえった廃部寸前の高校ハンドボール部を描いたオリジナルの青春映画。

夢中になれるものもなく、無気力な毎日を送っていた熊本在住の高校生・清田マサオ。ある日、マサオは震災で離ればなれになってしまった親友のタイチと仮設住宅前でハンドボールをしていた写真をSNSにアップする。すると、マサオの投稿に続々と熱いコメントがつけられていく。それに気をよくしたマサオが「#ハンド全力」とハッシュタグをつけて投稿すると、全国からさらに大きな反響が寄せられるようになる。マサオと幼なじみの岡本はSNSをさらに盛り上げることだけが目的で、廃部寸前の男子ハンドボール部部長・島田と部の再建に向け奔走するが……。

加藤清史郎が主演を務め、「天気の子」声優で注目された醍醐虎汰朗らが共演。監督は「アフロ田中」「私たちのハァハァ」の松居大悟。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>「今日から俺は!!劇場版」は映画館の勢いを取り戻すのか?

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今週は初登場した「今日から俺は!!劇場版」の興収を分析します。

 

 

1.先々週末のランキング

まずは、先々週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「千と千尋の神隠し」。累計興収は4億9360万円となっている。

2位は「もののけ姫」。累計興収は4億7380万円となっている。

3位は「風の谷のナウシカ」。

4位は初登場私がモテてどうすんだ初日から3日間の累計興収は6450万円となっている。

5位は初登場透明人間」。初日から3日間の累計興収は4610万円となっている。

6位は「ドクター・ドリトル」。累計興収は4億9010万円を突破。

7位は「ランボー ラスト・ブラッド」。累計興収は3億7310万円を突破。

8位は「MOTHER マザー」。累計興収は1億2010万円を突破。

9位は初登場WAVES/ウェイブス」。初日から3日間の累計興収は2220万円となっている。

10位は「ゲド戦記」。累計興収は7810万円を突破。

 

2.先週末のランキング

つづいて、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は初登場今日から俺は!!劇場版」。土日2日間で動員48万6000人、興収6億3100万円を上げ、初日から3日間の累計では動員60万5000人、興収7億8800万円をあげる好スタートを切った。

2位は「千と千尋の神隠し」。累計興収は6億1750万円を突破

3位は「もののけ姫」。累計興収は5億9730万円を突破

4位は「風の谷のナウシカ

5位は「私がモテてどうすんだ」。累計興収は1億1500万円を突破。

6位は「透明人間」。累計興収は1億620万円を突破。

7位は初登場ステップ」。

8位は「ドクター・ドリトル」。累計興収は5億2400万円を突破。

9位は「MOTHER マザー」。累計興収は1億6430万円を突破した。

10位は初登場進撃の巨人」ークロニクルー」。

 

3.興行チェック!「今日から俺は!!劇場版」

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先週末の1位は初登場「今日から俺は!!劇場版」。2018年10月期の日テレ日曜ドラマで放送された西森博之原作のヤンキー漫画の劇場版だ。監督は実写版「銀魂」や「勇者ヨシヒコ」シリーズで知られる福田雄一監督、キャストには賀来賢人伊藤健太郎清野菜名、橋本環奈、仲野太賀、矢本悠馬、若月祐美、柳楽優弥山本舞香鈴木伸之磯村勇斗ムロツヨシ佐藤二朗吉田鋼太郎と今の日本映画を引っ張るキャスト、福田雄一作品常連のキャストが揃った作品となっている。

ドラマ放送時には最終回視聴率が12.3%を獲得するなど反響も高く、劇場版もヒットが期待されていたが、蓋を開ければ土日2日間で動員48万6000人、興収6億3100万円を上げ、初日から3日間の累計では動員60万5000人、興収7億8800万円をあげる好スタートを切った。しかもコロナウイルス感染拡大防止のために客席の制限をされての数字だというからこれは上出来と言ってもいいだろう。

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近年の福田雄一監督作品や漫画実写映画と比較してもこれがどれだけのヒットと言えるかが分かるだろう。あの「銀魂」や「キングダム」の実写版を超えたというのは快挙と言っていいだろう。もう一度言うが、客席制限あっての数字だ。もし、なかったら初週末10億円スタートもあり得たと言うことだ。それだけこの作品を待ち望んでいた客がいたと言えるだろう。

最終興収は30億円以上叩き出す可能性もある。まさか、ここまで早く大ヒット作品が出てくるとは思わなかった。東宝(日テレ)もこの作品を動かさなかったのは見事な采配と言えよう。今週末公開の「コンフィデンスマンJP プリンセス編」を含め徐々に、想像するよりも早く映画館の勢いは取り戻しつつある。ぜひ、こうした作品のヒットが次へと繋がることを祈ろう。これ以上、補償が確実ではない営業休止をしないためにも。

 

4.今週の注目作

コンフィデンスマンJP プリンセス編」(7月23日公開)

長澤まさみ東出昌大小日向文世が共演した人気テレビドラマ「コンフィデンスマンJP」の劇場版第2弾。

世界有数の大富豪フウ家の当主レイモンドが他界した。10兆円とも言われる遺産をめぐりブリジット、クリストファー、アンドリューの3姉弟が火花を散らすが、執事トニーが相続人として発表したのは、誰もその存在を知らない隠し子ミシェルだった。世界中からミシェルを名乗る詐欺師たちが“伝説の島”ランカウイ島に集結する中、ダー子、ボクちゃん、リチャードの3人もフウ家に入り込み、華麗かつ大胆にコンゲームを仕かけるが……。

共演には、劇場版前作「ロマンス編」の竹内結子三浦春馬、テレビドラマ版の広末涼子江口洋介らシリーズでおなじみのキャストに加え、「町田くんの世界」の関水渚、「アクシデンタル・スパイ」のビビアン・スー、「GENERATIONS from EXILE TRIBE」「EXILE」の白濱亜嵐らが新たに参加。

劇場版 ひみつ×戦士 ファントミラージュ!〜映画になってちょーだいします〜」(7月23日公開)

2017年にテレビ東京系で放送開始された特撮ドラマ「ガールズ×戦士」シリーズの第3弾「ひみつ×戦士ファントミラージュ!」の劇場版。

正義の怪盗ファントミラージュのもとに、超有名監督・黒沢ピヨシから映画出演のオファーが届く。しかし逆逆警察のサカサーマによって、監督はファントミの敵イケナイヤーにされてしまい……。

ファントミラージュ役の菱田未渚美、山口綺羅、原田都愛、石井蘭をはじめ、石田ニコル関口メンディー斎藤工らドラマ版のキャストが集結。映画監督・黒沢ピヨシを中尾明慶が演じる。同シリーズの監督・総監督を務めてきた三池崇史がメガホンをとる。

海底47m 古代マヤの死の迷宮」(7月23日公開)

海に沈んだ檻の中で人喰いサメの恐怖と対峙する姉妹の姿を描いた海洋パニックスリラー「海底47m」のシリーズ第2弾。

親同士の再婚で姉妹になったミアとサーシャ。まだどこかぎこちない娘たちの距離を縮めようと考えた父親の提案で、2人は週末に行われる船中からサメを鑑賞するツアーにでかける。当日、現地で偶然友人たちと出会った2人は、マヤ文明の遺跡が眠る海底洞窟を目指すケーブダイビングに誘われ、海に潜ることに。神秘的な海底遺跡に目を奪われる2人だったが、複雑に入り組んだ遺跡を前に迷子になってしまう。そして、そこには盲目の巨大人喰いサメがいた。

監督は前作同様のヨハネス・ロバーツ。主人公の姉妹を演じるのは「やさしい本泥棒」のソフィー・ネリッセと、オスカー俳優ジェイミー・フォックスの娘コリーヌ・フォックス。そのほか、シルベスター・スタローンの娘のシスティーン・スタローンも出演。

プラド美術館 驚異のコレクション」(7月24日公開)

2019年に開館200周年を迎えた、世界最高峰の美術館の1つと評されるスペインのプラド美術館全貌に迫るドキュメンタリー。

15世紀から17世紀にかけて「太陽の沈まぬ国」とも呼ばれたスペイン王国プラド美術館には、歴代の王族が圧倒的な経済力と「知識ではなく心で選んだ」約8700点の美術品が収蔵されている。宮廷画家ディエゴ・ベラスケスフランシスコ・デ・ゴヤエル・グレコなどの傑作群にカメラが接写し、天才たちの筆遣いを紹介。ヒエロニムス・ボスの「快楽の園」、男性中心だった17世紀の美術界に名乗りを上げた女性芸術家クララ・ピーターズの静物画などをミゲル・ファロミール館長やベテラン学芸員が解説するほか、収蔵品の保存や修復、研究をするスタッフの作業風景や、新たなプロジェクトに参加する建築家ノーマン・フォスター卿の声などから、プラド美術館の新たな魅力にも迫っていく。

オスカー俳優ジェレミー・アイアンズがナレーションを務めながら、ナビゲーターとして出演。日本語吹替版では今井翼がナビゲーターを務める。

アルプススタンドのはしの方」(7月24日公開)

第63回全国高等学校演劇大会で最優秀賞となる文部科学大臣賞を受賞し、全国の高校で上演され続けている兵庫県東播磨高校演劇部の名作戯曲を映画化。

夏の甲子園1回戦に出場している母校の応援のため、演劇部員の安田と田宮は野球のルールも知らずにスタンドにやって来た。そこに遅れて、元野球部員の藤野がやって来る。訳あって互いに妙に気を遣う安田と田宮。応援スタンドには帰宅部の宮下の姿もあった。成績優秀な宮下は吹奏楽部部長の久住に成績で学年1位の座を明け渡してしまったばかりだった。それぞれが思いを抱えながら、試合は1点を争う展開へと突入していく。

2019年に浅草九劇で上演された舞台版にも出演した小野莉奈、⻄本まりん、中村守里のほか、平井亜門、黒木ひかり、目次立樹らが顔をそろえる。監督は数々の劇場映画やビデオ作品を手がける城定秀夫。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。