Takaのエンタメ街道

一生を映画に捧ぐと決めたTakaが主に映画・テレビ・音楽について書くブログです。

<週刊興行批評>いよいよ「鬼滅の刃」が公開!オープニング興収20億円の壁は超えられるか?

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今回はいよいよ昨日より公開される「鬼滅の刃 無限列車編」について書いていきます。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「TENET テネット」。土日2日間で動員10万1000人、興収1億7000万円をあげ、累計では動員124万人、興収20億円を突破している。

2位は「浅田家!」。土日2日間で動員8万6000人、興収1億1500万円をあげ、累計では動員100万人、興収16億円を突破している。

3位は「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。累計で動員89万人、興収12億円を突破した。

4位は初登場望み」。初日からの3日間で動員6万9300人、興収8900万円をあげた。

5位は「映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者累計で動員84万人、興収10億円を突破。

6位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。累計で動員267万人、興収32億円を突破。

7位は「事故物件 恐い間取り」。累計で動員169万人、興収22億円を突破。

8位は「ミッドナイトスワン」。累計興収は3億7900万円を突破。

9位は「トロールズ ミュージック★パワー」。累計で動員7万8600人、興収9700万円を突破。

10位は初登場星の子」。初日からの3日間で動員2万9000人、興収3800万円をあげた。

82年生まれ、キム・ジヨン」は、初日からの3日間で動員2万9400人、興収4000万円をあげ、11位スタートとなった。

 

2.いよいよ「鬼滅の刃 無限列車編」が公開!

f:id:ot20503:20201016104029j:imageいよいよ昨日より「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」が公開。累計発行部数は1億部を突破、今年5月に人気絶頂の最中で完結を迎えた吾峠呼世晴週刊少年ジャンプで連載された「鬼滅の刃」。2019年4月〜9月にかけて放送されたテレビアニメのその後の話が描かれている。

今や子供から大人まで「鬼滅の刃」を知らない人のほうが少ないと抱かせるほどの社会現象ぶりで、先日映画を記念して放送された総集編「兄妹の絆」が視聴率16.7%と高視聴率を記録(なお、今週土曜日にも「那田蜘蛛山編」が放送されるため、こちらにも期待したい)。

この社会現象の熱が頂点になりつつある今、劇場版の公開が始まるわけだから、それ相応の興行収入が出る期待もある。今回は本作の公開体制について見ていき、初週末でどこまで稼ぐことが出来るのかを考えていきます。

・この3日間でどれだけ上映される?

まず、そもそも金曜日から日曜日までどれだけ上映されるのか。東宝の上映劇場一覧に載せられてる劇場すべての上映スケジュールを調べてみました。

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上映館数は365館。これはTVアニメ放送前に上映された「兄妹の絆」の33倍(11館)、同じくアニプレックス配給、ufotable制作の「劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」の2.3倍(156館)であり、近作だと「今日から俺は!!劇場版」(359館)、「TENET テネット」(362館)に匹敵する館数だ。

また、上映回数だと、金曜日に7960回、土曜日に7860回、日曜日に7700回で3日間で合計で23500回以上も上映される。これだけ聞いてもピンと来ないだろうが、1館あたり平均で3日間で64.4回、1日あたり21.5回も上映されるという計算だ。もちろん、1スクリーンあたりで1日に21回も上映ができるわけがないので(頑張っても6〜7回である)、ほとんどの劇場では複数のスクリーンで鬼滅の刃が上映されるという展開を図っている。ちなみに初日の朝7時の朝一の最速上映を行っている劇場が83館、土曜日の朝8時40分より行われる舞台挨拶のライブビューイングが含まれた回を上映する劇場は202館に及ぶ。どちらもイベント性が含まれたこうした上映回は特にチケットの完売率は都市・田舎関係なく高かった印象だ。

合計回数が100回以上を超えている映画館はTOHOシネマズ新宿*1、TOHOシネマズららぽーと横浜*2横浜ブルク13*3イオンシネマ港北ニュータウン*4、TOHOシネマズ流山おおたかの森*5、TOHOシネマズ柏*6、中川コロナシネマワールド*7、小牧コロナシネマワールド*8、TOHOシネマズモレラ岐阜*9、TOHOシネマズ岡南*10、T・ジョイ博多*11、TOHOシネマズ熊本サクラマチ*12、TOHOシネマズ与次郎*13の13館にも及び、特にTOHOシネマズ新宿の初日の42回を12スクリーン中11スクリーンで、初回の朝7時上映を9スクリーンで上映されることはネットメディアでも大きな話題となった。

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ここまで上映回数が多いとまるで時刻表みたいだと…Twitter上でも話題になっていましたが、確かにそれは言えてます(笑)。

・ここまで大規模で上映できる理由

では、なぜここまでの大規模の上映が可能になったのか。また、なぜそこまでして多くのスクリーンで上映するのかを考えていきます。まず、本作は製作にソニー・ミュージック・エンタテインメントのアニプレックスが関わっていました。劇場版自体もアニメの評判の高さから決定し、放送の中盤までにはキャスト陣にも周知されていたという。しかし、ここまでの現象化をしてしまうとアニプレックス単体で配給をしてもどこまで規模を確保できるのか。先ほど書いた「Fate/stay night」でも150館規模であります。これでは需要に応えることは可能だろうか。そこで本作に共同配給で名を連ねているのは東宝です。東宝は今や日本一の配給会社、製作会社として有名でもありますし、シネコンチェーンであるTOHOシネマズも展開しているので配給としてこの上ない最高のパートナーです。結果として、ここまでの規模を展開できたわけでありますが、東宝としてもこの話は非常に美味しいところであります。これまで週刊少年ジャンプのアニメ映画の配給としては「ドラゴンボール」、「ワンピース」の東映がドル箱化しているイメージが強かったです。もちろん、東宝もこれまでNARUTOやヒロアカを配給してきましたが、興収としては10〜20億円とドル箱とまではいかなかったところではあります。そんな中で舞い込んできた「鬼滅の刃」の劇場版の配給。現時点ではアニプレックスさんとの繋がりを持つこと(来年2月には共同配給で「夏への扉」を公開予定済みである)や配給のお手伝いをした側面もありますが、大ヒットした暁には、東宝も潤い、今後のメディア展開にも関われるチャンスを掴んだも同然というわけです。東宝としても先日、行われた2021年2月期の第二四半期の決算資料の表紙に推すほど。それだけ、本作に対しての期待度は大きいと読んでいるのでしょう。

多いところでは1日40回以上と劇場のスクリーンをほぼフル活用して鬼滅の刃を上映する劇場もあるようですが、そこまでするのはなぜ?と感じる人も少なくはないでしょう。それだけ社会現象だからだと片付けることも可能ですが、だとしても、過去のメガヒット作品でもそこまでのスクリーンを確保してまでやるほどではありませんでした。

と考えると、それはコロナ禍でいかに観客を密にせずに分散させるかという理由もあるでしょう。これだけのメガヒットが期待される作品、多くの観客が入場し、その中には劇場に普段足を運ばない人もいるかもしれない。そうした中で劇場としての安全・衛生確保の観点からも複数のスクリーンに跨って、並行上映させてほうがいいというのは良いアイデアでもあるように思えます。コロナとこれから長く付き合うことを考えてもこの策がどう作用するのか。もしかしたら、今後、メガヒット作品にはこうした対応がスタンダードになるかもしれません。

・コロナ禍で大規模上映をする是非

さて、こうした大規模上映をすることは一概に良い!と言い切れないというのもあります。それは2つありまして、1つは競合作の勢いを弱らせてしまうこと。現在、公開されている「浅田家!」や「TENET」といった作品をはじめ、同週末に公開されるヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した「スパイの妻」、幸福の科学映画「夜明けを信じて。」などのパワーを弱らせ、それが翌週以降もしばらくつづくことは他作品からしたら辛い面でもあります。しかし、それはこれまでもメガヒット作品の最中で公開された作品のどれにも言えるので仕方がありません。むしろ、考えなきゃいけないのが2つ目です。

これは初日の劇場内のロビー、入場口。かなり混雑しているのが伺えます。劇場としてはここまで活気してくれるのはありがたい反面、これで感染者が出てしまったら、元も子もありません。検温、マスクをしていればコロナを完全に防げるわけでもないですし、座席緩和したことにより、感染リスクは高まる心配をするお客さんもいるでしょう。これまで映画館で感染者が出たという報道は出ていませんが、1人でも出てしまえば、全国的に大きく報道されることは間違いないでしょうし、風評被害も避けられない可能性があります。これは映画館スタッフが努力すれば済む話でもないし、入場口が一つしかない映画館ならではな問題でもあるような気がします。まずは観客自身と映画館それぞれの感染対策の徹底化をするしかないでしょう。回数を減らせば良いという問題でもないように需要の面から思います。

・「鬼滅の刃」の劇場版は映画館を救うのか?

さて、あれこれ考えていきましたが、このような規模からも「鬼滅の刃」の劇場版に対しての配給、映画館の期待と熱意が伺えますし、ここまで再開以降、順調に持ち直しつつある映画館にとってついに正念場とも言える場面ではないでしょうか。本作のヒットによって、映画館の熱気は正常に戻るのか、次のヒットに繋がっていくのか。現状の熱気から映画館を救ってくれると願うしかない。洋画の大作が少ない今こそ邦画のヒットする(ここでは良い意味で)ガラパゴスさを出してくれることに期待しよう。

・オープニング興収は20億円の壁を超えるのか?

最後に。 オープニング興収を予想していきます。参考データとしてジャンプアニメ映画と2010年代のオープニング成績のトップ10を出しておきます。

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まず、目指すべきは「ワンピース」や「ドラゴンボール」だ。どれも興収が10億円台を記録している。これらを超えてきたら、ジャンプの覇権を取ったという見解がアニメでも証明されたことになる。

つづいて、目指すべきはコナンや妖怪ウォッチだ。こちらは土日2日間で動員100万人、興収も10億円後半を超えてきたら、もはや最終興収が100億円も夢じゃないと考えて良い。こうして見ると「妖怪ウォッチ」ってとてつもない社会現象だったなと改めて感じる(そこからの減速が強すぎただけだが…)。今の鬼滅現象がそれだけすごいんだ!と言えるかが試されます。

今の状況なら、この2つの目標は軽く突破していきそうな勢いも感じるのだが、そこで考えたのが、オープニング興収で20億円の壁を超えることが出来るか?だ。そこで言いたいのが、土日2日間、ましてや初日3日間で興収20億円を超えた映画は日本に存在しないということ。

メディアではオープニング興収の日本記録は2003年に公開された「マトリックス リローテッド」で土日2日間で動員148万6743人、興収22億2285万4550円となっている。だが、これは先行上映を含めたした記録であることを加味しないといけない。今は世界同時公開が増えたが、一昔前は先行上映で溢れており、オープニング興収では先行上映の成績を含まれているのが当たり前だった。しかし、先行上映が減りつつある現代において、比較するときに先行上映を加えたデータを日本記録と表記することはよろしくはないと個人的には思う。

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オープニング成績の日本記録として挙げられる主な作品を先行上映の記録を抜いて計算をしてみた結果は上記のとおり。興収20億円超えでも先行の数日分があるとかなり減ったりする。この計算から現時点で日本記録として打ち出せるのは2007年の「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」の世界同時公開された初日からの3日間で19億3869万7200円である。あのパイレーツさえも20億円の壁は超えられなかったのだ。鬼滅が3日間で20億円の壁を打破できるのかは興行収入を追ってる身としてかなり注目しておきたいことなのだ。

とりあえず、まとめておくと…

・2日間で8〜10億円超えなら、ドラゴンボール、ワンピースレベル(ジャンプ覇権の仲間入り)

・2日間で10億〜15億円台なら、コナン、2014年の妖怪ウォッチレベル(149万人、16億2900万円を超えるとその時点で邦画のオープニング新記録)

・3日間で19億円なら、アナ雪2、パイレーツ・オブ・カリビアンレベル

・3日間で20億円を超えると正真正銘の日本新記録

 

この4つの壁に鬼滅の刃がどこまで立ち向かえるのか。まずは3日間の行方に自分は全集中しておきたいところだ。

 

3.今週末の注目作

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」(10月16日公開) (PG12)

吾峠呼世晴の大ヒット漫画を原作としたアニメ「鬼滅の刃」の劇場版。炭治郎らが無限列車に乗り込む場面で終了したテレビアニメ版「竈門炭治郎 立志編」最終話のその後の物語が描かれる。

大正時代の日本。鬼に家族を皆殺しにされ、生き残った妹の禰󠄀豆子も鬼に変貌してしまった炭治郎は、妹を人間に戻し、家族を殺した鬼を討つため、鬼狩りの道を進む決意をする。蝶屋敷での修業を終えた炭治郎たちは、短期間のうちに40人以上もの人が行方不明になっているという無限列車に到着する。炭治郎、禰󠄀豆子、善逸、伊之助は、鬼殺隊最強の剣士の1人、煉獄杏寿郎と合流し、無限列車の中で鬼と立ち向かう。

スパイの妻 劇場版」(10月16日公開)

2020年6月にNHK BS8Kで放送された黒沢清監督、蒼井優主演の同名ドラマをスクリーンサイズや色調を新たにした劇場版として劇場公開。

1940年の満州。恐ろしい国家機密を偶然知ってしまった優作は、正義のためにその顛末を世に知らしめようとする。夫が反逆者と疑われる中、妻の聡子はスパイの妻と罵られようとも、愛する夫を信じて、ともに生きることを心に誓う。そんな2人の運命を太平洋戦争開戦間近の日本という時代の大きな荒波が飲み込んでいく。

蒼井と高橋一生が「ロマンスドール」に続いて夫婦役を演じたほか、東出昌大笹野高史らが顔をそろえる。「ハッピーアワー」の濱口竜介と野原位が黒沢とともに脚本を担当。「ペトロールズ」「東京事変」で活躍するミュージシャンの長岡亮介が音楽を担当。第77回ヴェネツィア国際映画祭黒沢清監督が銀獅子賞を受賞した。

博士と狂人」(10月16日公開)

初版の発行まで70年を費やし、世界最高峰と称される「オックスフォード英語大辞典」の誕生秘話を、メル・ギブソンショーン・ペンの初共演で映画化。

貧しい家庭に生まれ、学士号を持たない異端の学者マレー。エリートでありながら、精神を病んだアメリカ人の元軍医で殺人犯のマイナー。2人の天才は、辞典作りという壮大なロマンを共有し、固い絆で結ばれていく。しかし、犯罪者が大英帝国の威信をかけた辞典作りに協力していることが明るみとなり、時の内務大臣ウィンストン・チャーチルや王室をも巻き込んだ事態へと発展してしまう。

マレー博士役をメル・ギブソン、マイナー役をショーン・ペンがそれぞれ演じるほか、ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のナタリー・ドーマー、「おみおくりの作法」のエディ・マーサンらが脇を固める。

みをつくし料理帖」(10月16日公開)

映画プロデューサーとして「犬神家の一族」「セーラー服と機関銃」など数々のヒット作を手がけ、「天と地と」「汚れた英雄」などでは自ら監督としてメガホンを取った角川春樹の8作目となる監督作品。ドラマ化もされた高田郁による同名人気時代小説を、テレビドラマ版「この世界の片隅に」の松本穂香主演で映画化。

享和二年の大坂、仲の良い幼なじみだった8歳の澪と野江を大洪水が襲う。数年後、大洪水で両親を亡くし、野江とも離れ離れになってしまった澪は江戸に暮らしていた。蕎麦処「つる家」の店主に助けられ、天性の料理の才能を見いだされた澪は女料理人として働き、さまざまな困難に立ち向かいながらも店の看板料理を生み出していった。その味が江戸中の評判になっていったある日、吉原・翁屋の又次がつる家にやってきた。又次の用件は、吉原で頂点を極めるあさひ太夫のために澪の看板料理を作ってほしいというものだった。

澪役を松本穂香、野江役を「ハルカの陶」の奈緒、又次役を中村獅童がそれぞれ演じる。

夜明けを信じて。」(10月16日公開)

宗教家の大川隆法による原作・製作総指揮で、2018年に公開された「さらば青春、されど青春。」をキャストやキャラクターを一新してリメイク。

幼いころから勉学に励み、東京の有名大学に進学した一条悟だったが、恋愛や就職活動など、思うようにいかないことが多かった。そんなある時、突然、霊的な存在とのコンタクトが可能になった悟は、大手商社に就職し、異例のスピード出世を果たす。恋愛も順調になり、公私ともに順風満帆の人生を歩む悟だったが、次第に「自分の思想を世の中に説く」という使命感に目覚めていく。しかし、そのためにはこれまで築いた社会的地位も大切な人と過ごす未来の生活も捨てなければならない。将来の幸せか、自身の使命に従うかで迷う悟は、ある決断を下す。

前作にも出演した千眼美子が再びヒロインを演じる。

ウィッカーマン final cut」(10月17日公開)

「ミッドサマー」のアリ・アスター監督もその影響を公言しているなど、一部で熱狂的に支持され、ニコラス・ケイジ主演でリメイクもされた「ウィッカーマン」のファイナルカット版。

公開された1973年当時、完成した作品を映画会社のトップが気に入らず、監督が編集した102分バージョンでなく88分の短縮版で公開された。ネガフィルムも紛失し、長らく行方不明の状態が続いていたが、製作40周年記念となる2013年にフィルムが見つかり、ロビン・ハーディ監督自らが再編集をした94分のファイナルカット版が日本初公開となる。

行方不明の少女捜索のためスコットランドの孤島に上陸したハウィー警部は捜査に取り掛かるのだが、島はサマーアイル卿が統治するケルト神話に支配された禁断の地だった。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

*1:金曜日42回、土曜日41回、日曜日35回の計118回

*2:金曜日42回、土曜日41回、日曜日41回の計124回

*3:金曜日42回、土曜日32回、日曜日32回の計106回

*4:金曜日40回、土曜日39回、日曜日40回の計119回

*5:金曜日39回、土曜日37回、日曜日36回の計112回

*6:金曜日36回、土曜日34回、日曜日31回の計101回

*7:金曜日36回、土曜日36回、日曜日33回の計105回

*8:金曜日38回、土曜日38回、日曜日28回の計104回

*9:金曜日39回、土曜日39回、日曜日39回の計117回

*10:金曜日34回、土曜日33回、日曜日34回の計101回

*11:金曜日37回、土曜日35回、日曜日29回の計101回

*12:金曜日35回、土曜日33回、日曜日33回の計101回

*13:金曜日37回、土曜日36回、日曜日35回の計108回

<週刊興行批評>007の延期、モンハンの前倒し、ピクサー新作の劇場スルー…メジャー洋画の波乱はつづく

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今回は「浅田家!」についてと最近のニュースからメジャー洋画の行方を考えていきたいと思います。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は初登場浅田家!」。土日2日間で動員12万6000人、興収1億7200万円をあげ、幅広い層の女性を集客し、初日から3日間の累計では動員20万人、興収2億8000万円をあげるヒットスタートを切った。

2位は「TENET テネット」。土日2日間で動員12万2000人、興収2億1000万円をあげ興収では「浅田家!」を上回った。累計では動員100万人、興収16億円を突破している。

10月10日からは入場者特典の配布も開始しており、リピーターの入場でさらなるヒットとなりそうだ。

3位は「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。土日2日間で動員8万7000人、興収1億2900万円をあげ、前週比-2.5%と落ちの少ない好調な興行を続けている。累計では動員78万人、興収11億円を突破した。

4位は「映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」。累計で動員78万4300人、興収9億5800万円を突破した。

5位は「事故物件 恐い間取り10月2日より4D上映も始まり、累計で動員163万人、興収21億円を突破。

6位は初登場トロールズ ミュージック★パワー」。初日から3日間で動員3万8900人、興収4900万円をあげた。

7位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。累計で動員263万人を突破し、興収は間もなく32億円に届く。

8位は「ミッドナイトスワン」。累計興収は2億7600万円を突破。

9位は「」。累計は動員158万人、興収20億円を突破している。

10位は「映像研には手をだすな!」。

 

2.興収チェック!「浅田家!」

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先週末、初登場1位にランクインしたのは「浅田家!」。様々なシチュエーションでコスプレして撮影するユニークな家族写真で注目を集めた写真家・浅田政志の実話を「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太監督、二宮和也主演で描いた人間ドラマ。

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近年の二宮和也出演の映画作品と比較すると「検察側の罪人」の動員比40%、興収比41%、「ラストレシピ」の動員比118%、興収比125%とまずまずのオープニング成績。 最終興収は10億円に届くかどうかだが、平日の動員次第ではさらなる好成績も見込めそうだ。

 

3.メジャー洋画の波乱はつづく

先週末の洋画でトップ10にランクインしているのは「TENET」と「トロールズ」の2作品のみだ。本来なら、今週末には「ワンダーウーマン 1984」が公開予定だったが、12月25日に延期となった。日本ではコロナの感染者数も一時期に比べれば落ち着いてはきているが、欧米に目を向けるとまだまだ感染者数は収まる気配はない。アメリカでは今でも1日あたり4〜5万人の新規感染者を出し、スペインやフランス、イギリス、イタリアでもここ数日感染者数が急増している事態となっており、まだまだ油断が許されない状況だ。

そして、こうした状況からも欧米の劇場が平常に戻るのはまだ茨の道状態であり、それは作品にも見事に影響が出ている。

11月に公開を予定していた「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」は来年4月に公開を延期。その玉突きでワイスピの新作は来年4月から5月に延期。

ワーナーはドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「DUNE/デューン 砂の惑星」を12月から来年10月に大幅延期。その影響で「ザ・バットマン」は2021年10月から2022年3月に延期になるなど公開スケジュールの見直しが相次いだ。

そして、ディズニーは11月に公開予定だった「ブラック・ウィドウ」を来年4月に延期。今月23日に公開予定だった「ナイル殺人事件」は2ヶ月後の12月、12月に公開予定だったスピルバーグ監督の「ウエスト・サイド・ストーリー」は1年後に延期となった。

さらには、ディズニーはピクサーの新作として日本でも12月に公開予定だった「ソウルフル・ワールド」を自社の映像配信サービス「Disney+」で配信することを決めた。なお、「ムーラン」のように別途課金する形ではなく、配信とともに見放題として視聴可能となるようだ。

というように現時点で年内に公開できるメジャー洋画もほぼないに等しい状態になっている。この状況はいつまでつづくかも分からず、年を越えても延期が続く可能性もある。また、感染者が出て、撮影を中断するパターンもあり、1〜2年では留まらない状態になることも考慮しないといけない。

こうした状態から再び映画館を閉館する動きも出てきている。アメリカ・イギリスの大手映画館チェーン・Cineworld/Regal Cinemasは10月8日(米国時間)から再休業に突入した。アメリカ国内にあるRegal Cinemasの536館、イギリスにあるCineworld/Picturehouseの127館を一斉に休業し、4万5,000人の従業員に影響が生じるという。

「TENET」などが公開され、一時は開館することはできたが、大都市であるニューヨークとロサンゼルスの開館をするところまではいかず、「TENET」は全米興収だけ見ると4510万ドル(世界興収は3億7700万ドル)と苦戦を強いられている。「TENET」がコロナ禍の映画館を救ってくれるのではないかという声も次に繋がる作品の登場がない状態では叶わずじまいとなってしまった。

このまま、映画館が廃れていくのか、そんな危機感がまだ渦巻いているが、悲報だけではない。ここに来て、公開を前倒しする作品が登場している。「マトリックス」の新作は22年4月から21年12月に前倒し。

また、「バイオハザード」シリーズのポール・W・S・アンダーソン監督×ミラ・ジョヴォヴィッチ主演の「モンスターハンター」は来年4月公開から今年の12月公開に前倒した。年末のメジャー映画不足の中ではとてもありがたいところであるだろう。なお、製作には東宝も絡んでいるため、日本ではアメリカよりも早く観られる可能性もあり(国産ゲームの実写化なので最速公開の宣伝が出来たほうがいい)、正月映画の目玉となる期待はあるだろう。

延期に配信スルー、さらには前倒しという手も出てきたメジャー洋画であるが、今後、邦画の話題作公開や単館系での洋画上映で凌げている日本においてもじわじわと影響を感じることになる可能性は否定できない。まずは年末に向けての欧米の映画館の開館、メジャー洋画の公開に向けて動き出し、映画館も雇用も作品たちも死なないことを願うばかりだ。

 

4.今週末の注目作

望み」(10月9日公開)

堤幸彦監督と堤真一が初タッグを組み、雫井脩介の同名ベストセラー小説を映画化したサスペンスドラマ。

一級建築士の石川一登と校正者の妻・貴代美は、高校生の息子・規士や中学生の娘・雅とともに、スタイリッシュな高級邸宅で平和に暮らしていた。規士は怪我でサッカー部を辞めて以来、遊び仲間が増え無断外泊することが多くなっていた。ある日、規士が家を出たきり帰ってこなくなり、連絡すら途絶えてしまう。やがて、規士の同級生が殺害されたニュースが流れる。警察によると、規士が事件に関与している可能性が高いという。行方不明となっているのは3人で、そのうち犯人と見られる逃走中の少年は2人。規士が犯人なのか被害者なのかわからない中、犯人であっても息子に生きていてほしい貴代美と、被害者であっても彼の無実を信じたい一登だったが……。

貴代美役に「マチネの終わりに」の石田ゆり子。「八日目の蝉」の奥寺佐渡子が脚本を手がけた。

82年生まれ、キム・ジヨン」(10月9日公開)

平凡な女性の人生を通して韓国の現代女性が担う重圧と生きづらさを描き、日本でも話題を集めたチョ・ナムジュのベストセラー小説を、「トガニ 幼き瞳の告発」「新感染 ファイナル・エクスプレス」のチョン・ユミとコン・ユの共演で映画化。

結婚を機に仕事を辞め、育児と家事に追われるジヨンは、母として妻として生活を続ける中で、時に閉じ込められているような感覚におそわれるようになる。単に疲れているだけと自分に言い聞かせてきたジヨンだったが、ある日から、まるで他人が乗り移ったような言動をするようになってしまう。そして、ジヨンにはその時の記憶はすっぽりと抜け落ちていた。そんな心が壊れてしまった妻を前に、夫のデヒョンは真実を告げられずに精神科医に相談に行くが、医師からは本人が来ないことには何も改善することはできないと言われてしまう。

監督は短編映画で注目され、本作が長編デビュー作となるキム・ドヨン。

星の子」(10月9日公開)

子役から成長した芦田愛菜が2014年公開の「円卓 こっこ、ひと夏のイマジン」以来の実写映画主演を果たし、第157回芥川賞候補にもなった今村夏子の同名小説を映画化。

大好きなお父さんとお母さんから愛情たっぷりに育てられたちひろだが、その両親は、病弱だった幼少期のちひろを治したという、あやしい宗教に深い信仰を抱いていた。中学3年になったちひろは、一目ぼれした新任の先生に、夜の公園で奇妙な儀式をする両親を見られてしまう。そして、そんな彼女の心を大きく揺さぶる事件が起き、ちひろは家族とともに過ごす自分の世界を疑いはじめる。

監督は、「さよなら渓谷」「日日是好日」の大森立嗣。

異端の鳥」(10月9日公開) (R15+)

ナチスホロコーストから逃れるために田舎に疎開した少年が差別に抗いながら強く生き抜く姿と、ごく普通の人々が異物である少年を徹底的に攻撃する姿を描き、第76回ベネチア国際映画祭ユニセフ賞を受賞した作品。ポーランドの作家イェジー・コシンスキが1965年に発表した同名小説を原作に、チェコ出身のバーツラフ・マルホウル監督が11年の歳月をかけて映像化した。

東欧のどこか。ホロコーストを逃れて疎開した少年は、預かり先である1人暮らしの叔母が病死して行き場を失い、たった1人で旅に出ることに。行く先々で彼を異物とみなす人間たちからひどい仕打ちを受けながらも、なんとか生き延びようと必死でもがき続けるが……。

新人俳優ペトル・コラールが主演を務め、ステラン・スカルスガルド、ハーベイ・カイテルらベテラン俳優陣が脇を固める。 

ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ」(10月9日公開) (PG12)

サンフランシスコを舞台に、都市開発により取り残されてしまった人たちのリアルな姿を描いたドラマ。主人公を実名で演じた主演のジミー・フェイルズが10代の頃に体験した自伝的物語で、フェイルズの幼なじみでもあるジョー・タルボット監督が長編初メガホンをとり映画化。サンダンス映画祭の監督賞、審査員特別賞を受賞した。

IT関連企業とベンチャー企業の発展により、多くの富裕層が暮らす街となったサンフランシスコ。この街で生まれ育ったジミーは、祖父が建て、家族との思い出が詰まったビクトリアン様式の美しい家を愛していた。しかし、地区の景観とともに観光名所にもなっていたその家を現在の家主が手放すことになり、家は売りに出されてしまう。ジミーは再びこの家を手に入れるために奔走し、そんなジミーの切実な思いを友人であるモントは静かに支えていた。

本気のしるし 劇場版」(10月9日公開)

「淵に立つ」「よこがお」の深田晃司監督が星里もちるの同名コミックを連続ドラマ化し、2019年放送された作品を劇場作品として再編集したサスペンス。

退屈な日常を送っていた会社員の辻一路。ある夜、辻は踏み切りで立ち往生していた葉山浮世の命を救う。不思議な雰囲気を持ち、分別のない行動をとる浮世。そんな彼女を放っておけない辻は、浮世を追ってさらなる深みへとはまっていく。

辻役を「レディ・プレイヤー1」「蜜蜂と遠雷」の森崎ウィン、浮世役をドラマ「3年A組 今から皆さんは、人質です」「連続テレビ小説 べっぴんさん」の土村芳がそれぞれ演じ、宇野祥平石橋けい、福永朱梨、忍成修吾北村有起哉らが脇を固める。2020年・第73回カンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクション「カンヌレーベル」に選出。

シカゴ7裁判」(10月9日公開)

ソーシャル・ネットワーク」でアカデミー脚色賞を受賞し、「マネーボール」や自身の監督作「モリーズ・ゲーム」でも同賞にノミネートされたアーロン・ソーキンがメガホンをとったNetflixオリジナル映画で、ベトナム戦争の抗議運動から逮捕・起訴された7人の男の裁判の行方を描いた実録ドラマ。キャストには、「ファンタスティック・ビースト」シリーズのエディ・レッドメインをはじめ、ジョセフ・ゴードン=レビット、サシャ・バロン・コーエンマイケル・キートンマーク・ライランス、ジェレミー・ストロングら豪華俳優陣が集結した。

1968年、シカゴで開かれた民主党全国大会の会場近くに、ベトナム戦争に反対する市民や活動家たちが抗議デモのために集まった。当初は平和的に実施されるはずだったデモは徐々に激化し、警察との間で激しい衝突が起こる。デモの首謀者とされたアビー・ホフマン、トム・ヘイデンら7人の男(シカゴ・セブン)は、暴動をあおった罪で起訴され、裁判にかけられる。その裁判は陪審員の買収や盗聴などが相次ぎ、後に歴史に悪名を残す裁判となるが、男たちは信念を曲げずに立ち向かっていく。

NETFLIXで10月16日から配信に先立ち、一部の映画館で劇場公開。

わたしは金正男を殺してない」(10月10日公開)

2017年にマレーシアのクアラルンプール国際空港で起こった、北朝鮮朝鮮労働党委員長・金正恩の実兄・金正男暗殺事件。この事件の闇と真相に迫ったドキュメンタリー。

白昼のマレーシアの空港で、金正男が神経猛毒剤「VX」を顔に塗られ、殺害された。彼を殺したのはベトナム人インドネシア人の2人のごく普通の若い女性だった。彼女たちはなぜ金正男を暗殺したのか。事件を追う中で、それぞれの明るい人生を夢見る貧しい彼女たちにつけ込んだ、北朝鮮工作員たちの姿が明らかとなっていく。

監督は「おしえて!ドクター・ルース」「ジェンダー・マリアージュ 全米を揺るがした同性婚裁判」などのドキュメンタリーを手がけたライアン・ホワイト。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>「ミッドナイトスワン」のランクインは日本でどういう道を作るのか?

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今回は「ミッドナイトスワン」について書いております。興行的視点と作品の内容にも触れた長い文章になってしまいましたが、よろしければご覧ください。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「TENET テネット」。土日2日間で動員14万5000人、興収2億4600万円をあげ、累計では動員74万人、興収12億円を突破している。

2位は「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。土日2日間で動員8万8000人、興収1億3200万円をあげ、累計では動員56万人、興収8億円を突破した。

3位は「映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」。土日2日間で動員8万2000人、興収1億200万円をあげ、累計で動員69万人、興収8億4000万円を突破した。

4位は「事故物件 恐い間取り」。累計で動員154万人、興収20億円を突破した。

5位は初登場映像研には手をだすな!」。

6位は初登場ミッドナイトスワン」。初日から3日間で動員8万3500人、興収1億2000万円をあげた。

7位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。累計で動員258万人、興収31億円を突破。

8位は「」。累計で動員150万人を突破し、興収は間もなく20億円に届く。

9位は「劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」。累計興収は18億円を突破した。

10位は初登場アダムス・ファミリー」。

 

2.興収チェック!「ミッドナイトスワン」

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初登場6位にランクインしたのは「ミッドナイトスワン」。草彅剛演じるトランスジェンダーの主人公と親の愛情を知らない少女の擬似親子的な愛の姿を描いたドラマで、草彅剛がトランスジェンダーを演じる点が大きな話題を呼んでいた作品だ。

ジャニーズ事務所を退所して、新しい地図としての活動も既に3年が経過してる中で、草彅をはじめ、香取慎吾稲垣吾郎が挑んできたフィールドは音楽活動やCMはもちろんのこと、SNSやブログ、動画配信といったソーシャルメディア活動とともに"映画"があったことは間違いないだろう。

彼らが独立してから半年となる2018年4月、3人が主演したオムニバス映画「クソ野郎と美しき世界」を公開。その後、稲垣吾郎主演の「半世界」(2019年2月)、香取慎吾主演の「凪待ち」(2019年6月)、草彅剛主演の「台風家族」(2019年9月)がそれぞれ公開され(以上に挙げた4作品は配給に「ミッドナイトスワン」と同じく木下グループのキノフィルムズが関わっている)、キネマ旬報ベスト・テンなどでも高い評価を得てきた。着実に演技力に磨きを続けてきたのもこの3年の大きなトピックだろう。

さて、本作だ。2020年は個人的に3年間、彼らが積み上げた物事が世間により見える形で実を結んでいるように思える年に思えるが、映画という観点でおそらくこれからターニングポイントとなる作品であることは間違いない。本作の公開規模は「クソ野郎と美しき世界」の77館、「半世界」の69館、「凪待ち」の72館、「台風家族」の81館に対して、本作は127館*1と最大規模だ。国内最大級のシネコンチェーンのイオンシネマが全体の3分の1に当たる30館、TOHOシネマズに至っては全72館中の67館が上映しているのだ。TOHOシネマズは公開を記念して、先ほど挙げた「クソ野郎〜」以外の3作品の特集上映や一夜限りの先行上映を開催したりとプロモーションに積極的だった。配給会社が違うとはいえ、東宝グループのシネコンがここまでの対応を見せてくれたことにも驚きだ。

本作の評判に加え、以上のような歩みがあり、本作は100館規模の公開ながら、6位にランクインする快挙を成し遂げた。

さて、作品自体にもここで触れていこうと思う。自分は先週の水曜日、すなわちレディースデイで女性の観客が多かった回で観てきた(その効果があってか、デイリーランキングで3位の快挙を成し遂げている)。感想自体はfilmarksにも投稿しているのでそちらを読んでいただきたいが、話の構造自体はよく出来ている作品で、草彅剛と服部樹咲の演技力の高さ、邦画にしてはよく出来た画作りと悪くない一作ではあったが、作品のオチへの収束の歯切れがよくなく、それはネット上でも賛否渦巻いている。それはトランスジェンダーの扱い方自体にも抵触することでもあるし、個人的には様々な映画を観ている身として、こうした結末を作るのが今の日本映画で精一杯なのだろうかと鑑賞後に思った次第ではあった。

なぜそんなことを書いたかといえば、この作品がヒットし、評価をされるのならば、それはこれからの日本映画、娯楽にしっかりと結びついて欲しいと願うからだ。自分は昨年、同じコーナーで「新聞記者」について扱った際にも「メッセージを汲み取るのみに完結をしたりするようではこの映画の姿勢は果たせても、意義を果たしているのかは疑問です。」と書きました。

「ミッドナイト〜」の監督を務めた内田英治監督は「自分の映画を社会的にはしない。これは娯楽。娯楽映画で問題の第一歩を感じれればいい。社会問題は誰も見ない。」とツイートしたように単に社会問題を取り扱うだけでは映画として成立しない場合もあります(その後のインテリ気取りという言葉は言い過ぎだとは思いますが)。自分は映画に社会背景をいかに混ぜ込むかを楽しみにしている側面があります。その当時に都市の背景、社会がどう動き、人々の会話に何が生まれるか。映画はそれを残す素晴らしい発明だと思うんです。では、「ミッドナイトスワン」を観終わった後、観客は何を思い、社会をどう見つめるのだろうか。僕はこの映画が数年後改めて観たときに「草彅剛さんがこんな役をやってくれたからこそこうした問題に触れる人が増えて、社会は少し変わったよね」とか「こうした映画が2020年に出来たけど、あれからLGBTの役者が当事者として演じることができたり、普通の愛し愛されふりふられるラブストーリーや日常生活を描けて、幸せな結末を迎える映画が増えたよね」そう日本にいても思えるように結びつけていきたいと今、書きながら強く思います(現に海外に目を向けるとこうした動きが始まっているわけだからこそ余計にということはありますが)。

こうした結末を作るのが今の日本映画で精一杯なのだろうかと書きましたが、言い換えればこれが次へと繋がるのであれば、それは意味が少しあるのかなとも思うのです。この映画がどれだけヒットし、どれだけ作品やキャストの演技力が評価され、どれだけ社会を次へと進めていくのか。様々なことが試されている作品だと自分は思うし、それだけの力がある作品だと思います(だからここまで長い文章を書いているわけですが)。数年後、この作品がターニングポイントになったとき、その地図に良い道が出来たなと思えることを祈って。

 

3.今週末の注目作

「今週末の注目作」と書きながら、もう今週末終わってるやないか!となりますが、そこは大目に見てください。以後気をつけます…

浅田家!」(10月2日公開)

様々なシチュエーションでコスプレして撮影するユニークな家族写真で注目を集めた写真家・浅田政志の実話をもとに、二宮和也妻夫木聡の共演、「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太監督のメガホンで描いた人間ドラマ。4人家族の次男坊として育ち写真家になった主人公・政志を二宮和也、やんちゃな弟をあたたかく見守る兄・幸宏を妻夫木聡が演じ、家族の“愛の絆”や“過去と今”をオリジナル要素を加えつつ描き出す。

浅田家の次男・政志は、幼い頃から写真を撮ることが好きだった。写真専門学校に進学した政志は、卒業制作の被写体に家族を選び、浅田家の思い出のシーンを本人たちがコスプレして再現する写真を撮影。その作品は見事、学校長賞を受賞する。卒業後、地元でパチスロ三昧の3年間を送った後、再び写真と向き合うことを決意した政志が被写体に選んだのは、やはり家族だった。様々なシチュエーションを設定しては家族でコスプレして撮影した写真で個展を開催したところ、気に入った出版社が写真集を出版。プロの写真家として歩み始める政志だったが、全国の家族写真の撮影を引き受けるようになり、その家族ならではの写真を模索・撮影するうちに、戸惑いを感じ始める。そんなある日、東日本大震災が起こり……。

フェアウェル」(10月2日公開)

中国で生まれアメリカで育ったルル・ワン監督が自身の体験に基づき描いた物語で、祖国を離れて海外で暮らしていた親戚一同が、余命わずかな祖母のために帰郷し、それぞれが祖母のためを思い、時にぶつかり、励まし合うながら過ごす日々を描いたハートウォーミングドラマ。

ニューヨークに暮らすビリーは、中国にいる祖母が末期がんで余命数週間と知らされる。この事態に、アメリカや日本など世界各国で暮らしていた家族が帰郷し、親戚一同が久しぶりに顔をそろえる。アメリカ育ちのビリーは、大好きなおばあちゃんが残り少ない人生を後悔なく過ごせるよう、病状を本人に打ち明けるべきだと主張するが、中国に住む大叔母がビリーの意見に反対する。中国では助からない病は本人に告げないという伝統があり、ほかの親戚も大叔母に賛同。ビリーと意見が分かれてしまうが……。

オーシャンズ8」「クレイジー・リッチ!」のオークワフィナが祖母思いの孫娘ビリーを演じる。

小説の神様 君としか描けない物語」(10月2日公開)

 相沢沙呼による小説「小説の神様」を、佐藤大樹EXILE/FANTASTICS)と橋本環奈のダブル主演で映画化。

中学生で作家デビューしたものの、発表した作品を酷評され売上も伸びないナイーブな高校生作家・千谷一也。一方、同じクラスの人気者であるドSな性格の小余綾詩凪は、高校生作家としてヒット作を連発していた。性格もクラスでの立ち位置も作家としての注目度も正反対の彼らだったが、編集者に勧められ、小説を共作してベストセラーを目指すことに。反発しあいながらも物語を一緒に生み出していくうちに、一也は詩凪が抱える意外な秘密を知る。

監督は「HiGH&LOW」シリーズの久保茂昭

BURN THE WITCH」(10月2日公開)

BLEACH」の久保帯人によるファンタジーアクション漫画「BURN THE WITCH」を劇場中編アニメーションとして映像化。

普通の人は見ることのできない異形の存在・ドラゴン。ロンドンでは遥か昔から、全死因の72%にドラゴンが関わっていた。その姿を見ることができるのは、ロンドンの裏側に広がる「リバース・ロンドン」の住人だけ。その中でも選ばれし者たちがウィッチ(魔女)やウィザード(魔法使い)となり、ドラゴンに直接接触する資格を与えられている。自然ドラゴン保護管理機関「ウイング・バインド」に所属する魔女コンビ・新橋のえるとニニー・スパンコールは、ドラゴンに接触できない人々に代わってドラゴンたちを保護・管理するべく、任務に励む日々を送っていたが……。

監督は「PSYCHO-PASS サイコパス 2」の作画監督や「甲鉄城のカバネリ」のアクショ ン作画監督を務めた川野達朗。

オン・ザ・ロック」(10月2日公開)

ソフィア・コッポラが監督・脚本を手がけ、「ロスト・イン・トランスレーション」のビル・マーレイと「セレステジェシー」のラシダ・ジョーンズが父娘役で共演。

ニューヨークで暮らすローラは順風満帆な人生を送っていると思っていたが、夫ディーンが新しい同僚と残業を繰り返すようになり、結婚生活に疑いを抱き始める。そこでローラは、プレイボーイで男女の問題に精通している父フェリックスに相談を持ち掛ける。フェリックスはこの事態を調査するべきだとアドバイスし、父娘2人でディーンを尾行することに。アップタウンのパーティやダウンタウンホットスポットを一緒に巡る内に2人は距離を近づけていき、自分たち父娘の関係についてある発見をする。

ある画家の数奇な運命」(10月2日公開) (R15+)

長編監督デビュー作「善き人のためのソナタ」でアカデミー外国語映画賞を受賞したフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督が、現代美術界の巨匠ゲルハルト・リヒターをモデルに、ドイツの激動の時代を生きた芸術家の半生を描いた人間ドラマ。

ナチ党政権下のドイツ。叔母の影響で幼い頃から芸術に親しむ日々を送っていたクルトは、終戦後に東ドイツの美術学校に進学し、エリーと恋に落ちる。エリーの父親は、精神のバランスを崩して強制入院し、安楽死政策によって命を奪われた叔母を死に追いやったナチ党の元高官だった。しかし、誰もそのことに気づかぬまま、2人は結婚する。やがて、東のアート界に疑問を抱いたクルトは、エリーと⻄ドイツへ逃亡し、創作に没頭するが……。

主人公クルト役を「コーヒーをめぐる冒険」のトム・シリングが演じた。第91回アカデミー賞では外国語映画賞と撮影賞にノミネートされた。

ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ」(10月2日公開)

質素な暮らしぶりで「世界で最も貧しい大統領」とも言われた第40代ウルグアイ大統領ホセ・ムヒカと日本の知られざる関係を描いたドキュメンタリー。

2012年にブラジルのリオデジャネイロで開かれた国連会議で、先進国の大量消費社会を優しい口調ながら痛烈に批判したムヒカ大統領。その感動的なスピーチ映像は世界中に広まり、日本でも大きな話題を呼んだ。当時ディレクターを務めていたテレビ番組でムヒカ大統領を取材した田部井一真監督は、ムヒカ大統領が日本の歴史や文化にとても詳しく、尊敬していることに驚かされる。その後も田部井監督は大統領退任後のムヒカに取材を重ね、多くの日本人に彼の言葉を聞いて欲しいと願うように。ムヒカも訪日を熱望し、16年に初来日を果たす。

トロールズ ミュージック★パワー」(10月2日公開)

ボス・ベイビー」「ヒックとドラゴン」のドリームワークス・アニメーションによるミュージカルアドベンチャーアニメ「トロールズ」のシリーズ第2弾。

歌と踊りとハグが大好きな妖精トロールズが暮らすポップ村で、元気いっぱいなみんなの女王として日々を過ごすポピー。実はトロールズの村はかつて王国として繁栄していたが、音楽のジャンルごとに6つに分裂した過去があった。自分たちとは違うジャンルの歌や踊るをするトロールズがいることに興味を抱いたポピーだったが、ロック村の女王バーブが、ほかの村を乗っ取ろうとしていることを知る。ポピーは世界を守るために仲間とともに旅に出るが……。

監督は前作「トロールズ」で共同監督を務めたウォルト・ドーン。ポピー役は「ピッチ・パーフェクト」シリーズなどで歌声を披露してきたアナ・ケンドリック。ブランチ役を務めるジャスティン・ティンバーレイクが、音楽プロデューサーも担当している。日本語吹き替えキャストは上白石萌音ウエンツ瑛士のほか、仲里依紗、兄弟お笑いコンビ「ミキ」の昴生亜生らが務める。

生きちゃった」(10月3日公開) (R15+)

舟を編む」「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」「町田くんの世界」の石井裕也監督が自身のオリジナル脚本を仲野太賀、若葉竜也大島優子のキャストで映画化。

高校時代から仲のよい幼なじみの山田厚久と山田奈津美、そして武田。厚久と奈津美は結婚し、5歳になる娘がいる。なにげない日常を送っていたある日、厚久が奈津美の浮気を知ってしまう。突然のことに、厚久は奈津美に怒ることもできず、悲しむこともできずにいた。感情に蓋をすることしかできない厚久、そして奈津美、武田の3人の関係はこの日を境に次第にゆがんでいく。

厚久役を仲野太賀、武田役を若葉竜也、奈津美役を大島優子がそれぞれ演じる。

 

4.今回の更新

今週は3週分の記事を同時更新しました。ひとつは「クレヨンしんちゃん」、もうひとつは「TENET テネット」「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」について書いております。よろしければご覧ください。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

*1:館数はすべて興行収入を見守りたい!さんのそれぞれの公開初日の(独立系を含む)デイリー合算ランキングから参照。

<週刊興行批評>4連休と座席緩和で「TENET テネット」、「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」が幸先良い初登場!

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今回は「TENET テネット」、「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」について考えたいくわけだが、ひとつの朗報がもたらされた。それは9月19日から飲食なしという条件つきではあるのだが、全席での販売が可能になった。何よりその週は4連休のシルバーウィークの効果もあり2作品のオープニング成績にも大きな弾みとなった。今回はそんな2作品について書いていきます。

 

 

1.ランキング

まずは、ランキングを見てみましょう。

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1位は初登場TENET テネット」。土日2日間で動員20万人、興収3億2700万円をあげ、初日から22日までの5日間の累計では動員46万8000人、興収7億5000万円を超えるヒットスタートとなっている。

2位は初登場劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。土日2日間で動員17万5000人、興収2億5200万円をあげ、累計では動員39万2000人、興収5億6000万円をあげる好スタート。さらにスクリーンアベレージは160万円を超える圧倒的な強さとなっている。

3位は「映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」。土日2日間で動員14万人、興収1億7000万円をあげ、累計で動員59万人、興収7億2000万円を突破した。

4位は「事故物件 恐い間取り」。累計で動員143万人を突破、興収は間もなく19億円を超える。

5位は「」。累計で動員141万人、興収18億円を突破。

6位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。累計で動員253万人、興収30億円を突破。

7位は「窮鼠はチーズの夢を見る」。累計興収は3億6500万円を突破。

8位は「劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」。累計で動員106万人、興収17億円を突破。

9位は「BREAK THE SILENCE:THE MOVIE」。

10位は「今日から俺は!!劇場版」。累計で動員412万人、興収52億円を突破した

 

2.興収チェック!「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン

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初登場2位にランクインしたのは「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。2018年に放送された京都アニメーションによる人気アニメの完全新作劇場版だ。本作は元々1月10日に世界同時公開が予定されていたが、昨年7月に発生した京都アニメーションの放火事件により、公開は延期。そして、4月24日に日を改めるも新型コロナウイルス感染症の影響で再び延期。ファンとしてはようやくの公開となった。

蓋を開ければ、土日2日間で動員17万5000人、興収2億5200万円をあげた。これは同じく京都アニメーション作品「映画 聲の形」(初週末の動員20万人、興収2億8300万円、最終興収23.0億円)の動員比88%、興収比89%のオープニング成績となった。なお、昨年9月に公開された「外伝 -永遠と自動手記人形-」(最終興収8.31億円)の初週末3日間の興行収入対比では176.4%となっており、最終興収10〜20億円を見込めるだろう。

3.興収チェック!「TENET テネット」

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初登場1位にランクインしたのは「TENET テネット」。「ダークナイト」や「インセプション」、「インターステラー」などで全世界の映画ファンを驚かせてきたクリストファー・ノーラン監督の最新作だ。時間の逆行を描いたショットが公開前から話題となっていた。

本作はノーラン監督の最新作となるだけに2020年最大の注目作とも言われていたが、コロナウイルスの影響でハリウッド映画が軒並みの延期、配信スルーを余儀なくされており、本作もその危機に瀕していた。しかし、本コーナーでも追ってきたとおり、ノーラン監督とワーナーは製作費回収の名目ではあるものの、劇場での公開を確約。元々、7月17日のアメリカでの劇場公開を1ヶ月近くの延期で済まし、コロナ禍でのハリウッド大作第一号として大きな注目を集めることとなった。 

日本においては元々の公開日を9月18日に決めており(夏休みはるろ剣が入っている関係上、9月公開となったのだろう)、2ヶ月遅れが数週間の遅れで済んだのはこんな時期に映画ファンとしてはちょっとした幸いではあった。公開まではコロナの公開延期により空きが生じたIMAXや4D上映館にて「ダークナイト」(7/10〜)、「ダンケルク」(7/31〜)、「インセプション」(8/14〜)、「インターステラー」(9/4〜)の4作品を「ノーラン夏祭り」と銘打ちリバイバル上映。公開までの熱を上げてきた。

 

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蓋を開ければ、土日2日間で動員20万人、興収3億2700万円をあげ、ノーラン監督の前作「ダンケルク」の動員比91%、興収比101%とほぼ変わらない成績を叩き出した。日本でもノーラン監督のネームバリューが浸透している証拠でもあるだろう。

そして、この成績は日本、世界的に見ても朗報で、洋画自体が週末のNo.1を記録したのは6月に公開された「ドクター・ドリトル」以来3ヶ月ぶり、さらには国内最大のスクリーンを持つ東京のグランドシネマサンシャインでは、IMAXの上映成績が全世界で1位になった。ノーラン監督はIMAXカメラでの撮影をしており、通常のスクリーンでは黒帯でトリミングされてる画面サイズもIMAXではフルサイズで観れる。しかも、このフルサイズで観れるのは日本では大阪の109シネマズ大阪エキスポシティと本劇場のみ。ともなれば、お客さんが詰めかけるのも納得だ。なお、日本においてはIMAX版が全体の興行の24%を占めているなどノーラン監督の意図を汲み取りたいファンも大勢詰め掛けたと考えていいだろう。

コロナ禍において、洋画大作が公開され、お客さんが足を運ぶこと自体、とても大きな意味があるように思える。そして、想定より早いペースで戻りつつある日本の映画興行において、ノーラン監督の近作とさほど変わらない成績を本作が出せたことも大きい。本作はぜひ、20億円を超える最終興収を叩き出して欲しい。

しかし、油断は禁物だ。「TENET」が世界の興行に真っ向から立ち向かってるのに対し、ハリウッド大作の公開延期は続いている。ディズニーは「キングスマン」や「ブラック・ウィドウ」を来年に延期をした。

まだまだアメリカの映画館の復興は鈍いといったところだろうか?だが、「TENET」の公開は映画に大きな風穴を開けたことは確かだと今回の成績を見て自分は思った。

3.今回の更新

今週は3週分の記事を同時更新しました。ひとつは「クレヨンしんちゃん」、もうひとつは「ミッドナイトスワン」について書いております。よろしければご覧ください。 

 

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>クレヨンしんちゃんが公開延期にも関わらず健闘し、初登場1位!

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3〜4週ぶりの更新です。今回は「映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」を考えたいと思います。

 

 

1.ランキング

まずは、ランキングを見てみましょう。

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1位は初登場映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」。土日2日間で動員21万2000人、興収2億6200万円をあげ、子供たちとその家族のファミリー層を中心に集客し、初日から3日間の累計では、動員23万4000人、興収2億8900万円をあげるヒットスタートを切った。

2位は「事故物件 恐い間取り」。土日2日間で動員15万4000人、興収2億500万円をあげ、累計では、動員109万人、興収14億円を突破するヒットとなっている。

3位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。累計で動員236万人、興収28億円を突破した。

4位は「」。累計で動員116万人、興収15億円を突破している。

5位は初登場窮鼠はチーズの夢を見る」。初日からの3日間で動員10万6500人、興収1億5300万円をあげた。

6位は初登場ミッドウェイ」。初日からの3日間で動員8万6300人、興収1億1400万円をあげた。

7位は初登場BREAK THE SILENCE:THE MOVIE」。

8位は「今日から俺は!!劇場版」。累計で動員401万人、興収50億円を突破。

9位は「劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」。累計興収は15億円を突破。

10位は「2分の1の魔法」。累計で動員51万人、興収7億円を突破した

 

2.興収チェック!「クレヨンしんちゃん 激突! ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」

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初登場1位にランクインしたのは「映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」。人気アニメ「クレヨンしんちゃん」の劇場版28作目。劇場版では21年ぶりとなるぶりぶりざえもんの声付きでの本格的な登場も話題となっている一作だ。本作は元々は4月24日に公開予定だったが、感染予防のために公開を5ヶ月延期していた。

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初週末の土日2日間で動員21万2000人、興収2億6200万円をあげた。これは昨年の「新婚ハリケーン〜失われたひろし〜」に比べて、動員比88%、興収比91%とそこまで変わらないオープニングを記録。コロナ禍、公開延期という状況にも関わらず、ここまでのオープニングを記録したのはかなり健闘したと言って良い。

ただ、今回はGWでの公開ではないので、そこまでの累計興収が見込めないというのも確かだ。累計興収は10億円を突破すれば良いところだ。

 

3.今回の更新

今週は3週分の記事を同時更新しました。ひとつは「TENET テネット」と「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」、もうひとつは「ミッドナイトスワン」について書いております。よろしければご覧ください。 

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>「事故物件」が大ヒット!ホラー映画のコンテンツ力が光る

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2週ぶりの更新です。今回は「事故物件 恐い物件」を考えたいと思います。

 

 

1.先々週末のランキング

まずは、先々週末のランキングを見てみましょう。

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1位は初登場事故物件 恐い間取り」。土日2日間で動員26万3000人、興収3億5800万円をあげた。10代、20代の若者を中心に集客し、初日から3日間の累計では動員34万3000人、興収4億6500万円を超えるヒットスタートを切った。

2位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。土日2日間で動員15万1000人、興収1億8600万円をあげ、累計では動員207万人を突破し、興収25億円突破が目前となっている。

3位は「」。土日2日間で動員13万9000人、興収1億9000万円をあげ、興収では「ドラえもん〜」を上回る2位となっている。累計では動員63万7700人、興収8億4900万円を突破。

4位は「今日から俺は!!劇場版」。土日2日間で動員9万8000人、興収1億2700万円をあげ、累計では、間もなく動員380万人、興収48億円に届く。

5位は「2分の1の魔法」。土日2日間で動員9万3000人、興収1億2700万円をあげ、累計では動員34万人、興収4億6100万円を突破。

6位は「劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」。累計興収は12億1200万円を突破。

7位は「コンフィデンスマンJP プリンセス編」。累計では動員233万人、興収31億円を突破。

8位は初登場青くて痛くて脆い」。初日から3日間で動員7万6300人、興収1億550万円をあげた。

9位は「思い、思われ、ふり、ふられ」。累計では動員46万7800人、興収5億8600万円を突破。

10位は「弱虫ペダル」。累計では動員41万人、興収5億2400万円を突破。

宗教家・大川隆法の企画によるドキュメンタリー作品「奇跡との出会い。-心に寄り添う。3-」は初日から3日間で動員3万4400人、興収4100万円をあげ、11位スタートとなった。

 

2.先週末のランキング

つづいて、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「事故物件 恐い間取り」。土日2日間で動員19万人、興収2億5500万円をあげ、累計では動員78万3000人、興収10億4000万円となっている。

2位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。土日2日間で動員11万1000人、興収1億3900万円をあげ、累計では動員224万人を突破し、興収は間もなく27億円に届く。

3位は「」。土日2日間で動員10万人、興収1億3800万円をあげ、累計では動員95万人、興収12億円を突破した。

4位は「今日から俺は!!劇場版」。土日2日間で動員9万8000人、興収1億2700万円をあげ、累計では、間もなく動員380万人、興収48億円に届く。

5位は「劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」。累計興収は14億2000万円を突破。

6位は初登場僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46」。初日からの3日間で動員8万7100人、興収1億2700万円をあげた。

7位は「2分の1の魔法」。累計興収は6億800万円を突破。

8位は「コンフィデンスマンJP プリンセス編」。累計では動員247万人、興収33億円を突破。

9位は「青くて痛くて脆い」。累計では動員18万人、興収2億4400万円を突破。

10位は初登場特別上映版「はたらく細胞!!」最強の敵、再び。体の中は“腸”大騒ぎ!」。土日2日間で動員3万3500人、興収4820万円をあげた。

 

3.興収チェック!「事故物件 恐い間取り」

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先々週、先週と2週連続で1位にランクインしたのは「事故物件 恐い間取り」。「事故物件住みます芸人」として、実際に9軒の事故物件に住んだ芸人・松原タニシの実体験を記したノンフィクションを「リング」シリーズの中田秀夫監督、亀梨和也主演で映画化。

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初週末の土日2日間で土日2日間で動員26万3000人、興収3億5800万円をあげた。これは昨年公開された「貞子」の動員比223%、興収比218%、今年スマッシュヒットした「犬鳴村」の動員比227%、興収比231%と近年のJホラーの中でも突出するヒットを記録することが出来た。

ここまでヒットしたのは主演が亀梨和也である点やテーマが「事故物件」と明確であったこともあるだろうが、近年、着実に「IT」2部作や「クワイエット・プレイス」、「ヘレディタリー」と着実にホラー映画がヒットする、評判になる下地が整ってきていたこともあるだろう。そして、2020年、コロナ禍の映画館において「犬鳴村」と「ミッドサマー」がスマッシュヒットを記録し、本作に繋がった。

「事故物件」は10〜20代を中心に集客しているようにホラー映画はティーン層の集客が高いコンテンツ。今年の夏休み映画を見てもティーン層が想像よりも早く映画館に戻ってきている印象だ。「事故物件」は9月いっぱいまではパワーを維持してヒットを記録する可能性があり、最終興収も30億円近いヒットとなりそうだ。

 

4.今週の注目作

BREAK THE SILENCE: THE MOVIE」(9月10日公開)

グローバルに活躍する韓国の7人組男性グループ「BTS」のワールドスタジアムツアー「LOVE YOURSELF: SPEAK YOURSELF」に密着したドキュメンタリー。

韓国アーティストで初となるロンドン・ウェンブリースタジアムでの単独公演をはじめ、ロサンゼルス、シカゴ、ニューヨーク、サンパウロ、パリ、大阪、静岡、リヤド、そしてソウルまで、世界の全10都市をめぐったツアーに密着。パワフルで華麗なパフォーマンスを繰り広げるステージ上での姿はもちろんのこと、公演を終えた舞台裏で秘めた思いを語るメンバーの姿などが収められる。

窮鼠はチーズの夢を見る」(9月11日公開) (R15+)

恋に溺れていく2人の男性を描いた水城せとなの人気漫画「窮鼠はチーズの夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」を、行定勲監督のメガホンにより実写映画化。主人公の大伴恭一役を「関ジャニ∞」の大倉忠義、恭一に思いを寄せる今ヶ瀬渉役を成田凌が演じる。

優柔不断な性格から不倫を重ねてきた広告代理店勤務の大伴恭一の前に、卒業以来会う機会のなかった大学の後輩・今ヶ瀬渉が現れる。今ヶ瀬は妻から派遣された浮気調査員として、恭一の不倫を追っていた。不倫の事実を恭一に突きつけた今ヶ瀬は、その事実を隠す条件を提示する。それは「カラダと引き換えに」という耳を疑うものだった。恭一は当然のように拒絶するが、7年間一途に恭一を思い続けてきたという今ヶ瀬のペースに乗せられてしまう。そして、恭一は今ヶ瀬との2人の時間が次第に心地よくなっていく。

ミッドウェイ」(9月11日公開)

インデペンデンス・デイ」「ホワイトハウス・ダウン」のローランド・エメリッヒ監督が、第2次世界大戦(太平洋戦争)のターニングポイントとなったミッドウェイ海戦を描いた戦争ドラマ。

1941年12月7日、日本軍は戦争の早期終結を狙う連合艦隊司令官・山本五十六の命により、真珠湾アメリカ艦隊に攻撃を仕掛ける。大打撃を受けたアメリカ海軍は、兵士の士気高揚に長けたチェスター・ニミッツを新たな太平洋艦隊司令長官に任命。日米の攻防が激化する中、本土攻撃の脅威に焦る日本軍は、大戦力を投入した次なる戦いを計画する。真珠湾の反省から情報戦に注力するアメリカ軍は、その目的地をハワイ諸島北西のミッドウェイ島と分析し、全戦力を集中した逆襲に勝負をかける。そしてついに、空中・海上・海中のすべてが戦場となる3日間の壮絶な戦いが幕を開ける。

キャストにはエド・スクレイン、ウッディ・ハレルソン、デニス・クエイド豊川悦司浅野忠信國村隼ら実力派が海を越えて集結。

喜劇 愛妻物語」(9月11日公開) (PG12)

「百円の恋」の脚本家・足立紳が2016年に発表した自伝的小説「乳房に蚊」を、自ら脚本・監督を務めて映画化。

売れない脚本家・豪太は、妻チカや娘アキと3人で暮らしている。倦怠期でセックスレスに悩む豪太はチカの機嫌を取ろうとするが、チカはろくな稼ぎのない夫に冷たい。そんなある日、豪太のもとに「ものすごい速さでうどんを打つ女子高生」の物語を脚本にするという話が舞い込む。豪太はこの企画を実現させるため、そしてあわよくば夫婦仲を取り戻すため、チカを説得して家族で香川県へ取材旅行に行くことに。しかし、取材対象の女子高生はすでに映画化が決まっていることが判明。出発早々、旅の目的を失ってしまう3人だったが……。

夫・豪太を「決算!忠臣蔵」の濱田岳、妻・チカを「後妻業の女」の水川あさみ、娘・アキを「駅までの道をおしえて」の新津ちせがそれぞれ演じる。第32回東京国際映画祭コンペティション部門で最優秀脚本賞を受賞した。

映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」(9月11日公開)

人気アニメ「クレヨンしんちゃん」の劇場版28作目。「ラブライブ!」「宝石の国」などの話題のアニメを送り出してきた京極尚彦が監督を務め、脚本を「婚前特急」「そこのみにて光輝く」などの実写映画を手がけてきた高田亮が担当する。

地上の落書きをエネルギーに浮かぶ王国「ラクガキングダム」は、時代の流れで地上から落書きがめっきり減ったことで崩壊の危機に直面。人間たちに無理やり落書きをさせる「ウキウキカキカキ作戦」を決行し、地上への進撃を開始する。一方、ラクガキキングダムのお姫様は、描いたものが動き出すという王国の秘宝「ミラクルクレヨン」を持ち出し、決死の覚悟で地上に託す。ミラクルクレヨンを手にしたしんのすけは、実体化した落書きたちと力をあわせて平和のために立ち上がるが……。

海辺のエトランゼ」(9月11日公開)

紀伊カンナの同名BLコミックを原作に、沖縄の離島で出会った小説家の卵と少年の初々しい恋を描いた劇場アニメ。

小説家の卵・橋本駿は、ある事情で実家を飛び出し、離島の民宿に身を寄せている。ある日、海辺で物憂げに佇む少年・知花実央のことが気になった彼は、軽い気持ちで声をかける。若くして両親を亡くし親戚の家に預けられていた実央は、ひとりの人間としての自分を見つめてくれる駿に好意を抱いていく。

2016年発売のドラマCD版に続き、駿役を村田太志、実央役を松岡禎丞が担当。原作者の紀伊カンナが自ら監修とキャラクターデザインを手がける。BLアニメレーベル「BLUE LYNX」の1作。

スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話」(9月11日公開)

最強のふたり」のエリック・トレダノオリビエ・ナカシュ監督がケア施設に働く2人の男たちの実話を、ユーモアを交えて描いたヒューマンドラマ。

自閉症児をケアする施設「正義の声」を経営するブリュノ。他の施設などで見放された子どもたちも断らずに受け入れる彼の施設には、さまざまな問題を抱えた子どもたちであふれていた。この施設では、ブリュノの友人のマリクに教育されたドロップアウトした若者たちが働いている。社会からはじかれた子どもたちをまとめて救おうとしていたブリュノとマリクだったが、無認可で赤字経営の「正義の声」に監査が入ることになり、施設閉鎖の危機に迫られる。

ブリュノ役を「ブラック・スワン」「ジェイソン・ボーン」のヴァンサン・カッセル、マリク役を「アランフエスの麗しき日々」「世界の涯ての鼓動」のレダ・カティブがそれぞれ演じるほか、本物の介護者と自閉症の若者、その家族たちが多数キャスティングされている。

チィファの手紙」(9月11日公開)

岩井俊二監督が松たか子福山雅治らを迎えて手がけた「ラストレター」の前に、同じ自身の小説を原作に中国で製作した、もうひとつの「ラストレター」。岩井監督にとっては初の中国映画で、「ラストレター」同様の過去と現在の2つの世代を通してつむがれるラブストーリーが描れる。

亡くなった姉のチーナン宛に同窓会の招待状が届き、妹のチィファは姉の死を知らせるために同窓会に参加するが、姉の同級生たちに姉本人と勘違いされてしまう。さらに、そこで初恋相手の先輩チャンと再会したチィファは、姉ではないことを言い出せないまま、チャンと文通することになる。姉のふりをして始めた文通が、やがて初恋の思い出を浮かび上がらせていき……。

出演は中国4大女優に数えられるジョウ・シュン、「空海 KU-KAI 美しき王妃の謎」にも出演したチョウ・シュンら。

れいわ一揆」(9月11日公開)

ゆきゆきて、神軍」「全身小説家」などで知られるドキュメンタリーの鬼才・原一男監督が、2019年の参議院選挙で注目を集めた「れいわ新選組」の候補者を追ったドキュメンタリー。

令和元年夏、参議院選挙でさまざまな候補者を擁立したことも話題となったれいわ新選組から、女性装の東大教授として知られる安冨歩比例代表候補として参院選に出馬した。「子どもを守り未来を守る」のスローガンを掲げて、全国遊説の旅に出た安冨を中心に10人の個性豊かな候補者たちの姿に原監督のカメラが鋭く迫っていく。

TENET テネット」(9月18日公開)

ダークナイト」3部作や「インセプション」「インターステラー」など数々の話題作を送り出してきた鬼才クリストファー・ノーラン監督によるオリジナル脚本のアクションサスペンス超大作。

「現在から未来に進む“時間のルール”から脱出する」というミッションを課せられた主人公が、第3次世界大戦に伴う人類滅亡の危機に立ち向かう姿を描く。

主演は名優デンゼル・ワシントンの息子で、スパイク・リー監督がアカデミー脚色賞を受賞した「ブラック・クランズマン」で映画初主演を務めたジョン・デヴィッド・ワシントン。共演はロバート・パティンソンエリザベス・デビッキアーロン・テイラー=ジョンソンのほか、「ダンケルク」に続いてノーラン作品に参加となったケネス・ブラナー、そしてノーラン作品に欠かせないマイケル・ケインら。撮影のホイテ・ヴァン・ホイテマ、美術のネイサン・クローリーなど、スタッフも過去にノーラン作品に参加してきた実力派が集い、音楽は「ブラックパンサー」でアカデミー賞を受賞したルドウィグ・ゴランソンがノーラン作品に初参加。

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」(9月18日公開)

2018年にテレビ放送された京都アニメーションによる人気アニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の完全新作劇場版。

戦時中に兵士として育てられ、愛を知らずにいた少女ヴァイオレット・エヴァーガーデンが、「自動手記人形」と呼ばれる手紙の代筆業を通じて、さまざまな愛のかたちを知っていく姿を描く。人々に深い傷を残した戦争が終結して数年、世界は少しずつ平穏を取り戻していた。新しい技術の開発によって生活も変わり、人々は前を向いて歩み始めた。ヴァイオレットも大切な人への思いを抱え、その人がいない世界を生きていこうとしいてた。しかし、そんなある日、一通の手紙が届く。

監督は、テレビシリーズに引き続き石立太一が務めた。

思い、思われ、ふり、ふられ」(9月18日公開)

ストロボ・エッジ」「アオハライド」で人気の漫画家・咲坂伊緒による青春恋愛コミックをアニメーション映画化。

偶然出会ったタイプの全く違う朱里と由奈。朱里の義理の弟の理央と由奈の幼なじみの和臣。4人は同じマンションに住み、同じ学校に通う高校1年生だ。由奈は理央に憧れ、理央は朱里に言えない思いを抱き、朱里は秘密を抱え、和臣はある秘密を目撃してしまう。それぞれの思いが複雑に絡み合い、相手を思えば思うほどにすれ違っていき……。

監督はテレビアニメ「舟を編む」を手がけた黒柳トシマサ。脚本に「ヒロイン失格」の吉田恵里香。アニメーション制作はA-1 Picturesが担当。声の出演は潘めぐみ島崎信長斉藤壮馬という人気声優陣と、新人の鈴木毬花。実写映画版「思い、思われ、ふり、ふられ」キャストの浜辺美波北村匠海福本莉子赤楚衛二も文化祭に来ている男女生徒役などで声優としてカメオ出演している。

プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵」(9月18日公開)

ハリー・ポッター」シリーズ、「スイス・アーミー・マン」のダニエル・ラドクリフ主演による、実際にあった脱獄劇をもとに描くスリラー。

南アフリカ人のティム・ジェンキンは、白人でありながら反アパルトヘイト組織「アフリカ民族会議」の隠密作戦をおこなった罪のより、同胞のスティーブン・リーとともにプレトリア刑務所に投獄される。ティム、スティーブンたちは、自由と平等を手にするため、最高警備を誇る刑務所からの脱獄を決意する。さまざまな脱獄方法を模索した結果、ティムたちが最後に選んだ手段は木片を集めた鍵を使った脱獄だった。鍵を作っては解錠を繰り返し、徐々に出口までの鍵が完成していった。投獄から18カ月、彼らは木鍵による鉄製扉の突破を試みる。

メイキング・オブ・モータウン」(9月18日公開)

スティービー・ワンダーマービン・ゲイジャクソン5などを輩出し、2019年に創設60周年を迎えた音楽レーベル「モータウン」の正史を描いたドキュメンタリー。

創設者ベリー・ゴーディにより1959年にその歴史をスタートさせたモータウン・レーベルは、ソウルやR&Bの数多くのヒットを連発し、数多くのスターを世界に送り出した。本作では創設者ベリー・ゴーディが初めて密着を許可した取材映像、関係者や所属アーティストの回想や証言など貴重な映像群から構成。ゴーディの親友で戦友でもあるスモーキー・ロビンソンと旧交を温めながら、コーディの一代記とともにモータウンの60年にわたる歴史、そしてレーベルの魅力を解き明かしていく。

マーティン・エデン」(9月18日公開)

ハリソン・フォード主演で映画化された冒険小説「野性の呼び声」などで知られるアメリカの作家ジャック・ロンドンの自伝的小説を、イタリアを舞台に映画化。

イタリア・ナポリの労働者地区に生まれた貧しい船乗りの青年マーティンは、上流階級の娘エレナと出会って恋に落ちたことをきっかけに、文学の世界に目覚める。独学で作家を志すようになったマーティンは、夢に向かい一心不乱に文学にのめり込むが、生活は困窮し、エレナの理解も得られることはなかった。それでも、さまざまな障壁と挫折を乗り越え、マーティンは名声と富を手にするまでになるが……。

2019年ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に出品され、主人公マーティンを演じたルカ・マリネッリが男優賞を受賞。そのほか、イタリアのアカデミー賞と言われるダビッド・デ・ドナテッロ賞で脚色賞を受賞するなど高い評価を獲得した。

ブリング・ミー・ホーム 尋ね人」(9月18日公開) (PG12)

大ヒットドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」のイ・ヨンエが、「親切なクムジャさん」以来14年ぶりの映画出演を果たしたサスペンス。

看護師として働くジョンヨンと夫のミョングクは、6年前に行方不明となった息子のユンスを探し続けていた。捜索途中に悲劇的な事故に遭い、憔悴しきった彼女の元に「ユンスに似た子を、郊外の漁村で見た」という情報が寄せられる。その情報をもとにジョンヨンは漁村へと向かうが、彼女の前に立ちはだかったのは、釣り場を営む怪しげな一家だった。

主人公ジョンヨン役をイ・ヨンエが演じるほか、「風水師 王の運命を決めた男」、ドラマ「梨泰院クラス」のユ・ジェミョン、「The NET 網に囚われた男」のイ・ウォングン、「毒戦 BELIEVER」のパク・ヘジュンらが脇を固める。監督は本作が長編劇映画デビュー作となるキム・スンウ

Daughters」(9月18日公開)

ルームシェア生活を送る2人の女性が、妊娠、シングルマザーという人生の選択を経て、現実と向き合いながら生きていく10カ月を描いたヒューマンドラマ。「ダンスウィズミー」「犬鳴村」の三吉彩花と「ソローキンの見た桜」「海を駆ける」の阿部純子が主人公の2人の女性を演じる。

中目黒の桜が並ぶ川沿いのマンションの1室で暮らす小春と彩乃。ライフスタイルの似ている27歳の2人は、仕事に遊びに充実したルームシェア生活を送っていた。しかし、彩乃からの突然の妊娠の告白から、2人の生活に変化が訪れる。そして彩乃は父親のわからない子どもを産む決意をする。

小春役を三吉彩花、彩乃役を阿部純子がそれぞれ演じる。監督・脚本は、同作が初⻑編作品となるファッションイベント演出家、映像作家の津田肇。

悪魔はいつもそこに」(9月16日NETFLIXにて配信)

ドナルド・レイ・ポロックの同名小説を基に、「スパイダーマン」シリーズのトム・ホランド、「TENET テネット」や「ザ・バットマン」のロバート・パティンソン、「キャプテン・アメリカ」シリーズのウィンター・ソルジャー役のセバスチャン・スタン主演で第二次世界大戦からベトナム戦争までを時代背景として“正と悪の相克”を描くサスペンス。

オハイオ州の田舎町ノッケンスティフ。妻の死が間近に迫ったウィラード・ラッセルは、日々祈りつづけ、ついには自らの身体をも捧げてしまった。学校でいじめを受けていた息子のアーヴィンは、父の形見である銃を受け取り、やがて行動を起こし始める。愛する人々を守ろうともがくアーヴィンの周囲には、罪深い牧師、謎を抱えた夫婦、悪徳保安官ら邪悪な者たちの思惑が渦を巻いていた。そして、20年にわたるノッケンスティフの物語が明らかになっていく。

主人公アーヴィンをトム・ホランド、父ウィラードを「IT/イット」のペニーワイズ役のビル・スカルスガルド、神父プレストン・ティーガーディンにロバート・パティンソン、保安官役にセバスチャン・スタン、謎の夫婦に「アンダー・ザ・シルバーレイク」のライリー・キーオと「ファースト・マンジェイソン・クラークが演じているほかに「マグニフィセント・セブン」のヘイリー・ベネット、「アリス・イン・ワンダーランド」シリーズのミア・ワシコウスカ、「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」のエリザ・スカンレンらが豪華競演する。

脚本・監督は新鋭アントニオ・カンポス。プロデューサーとしてジェイク・ギレンホールも参加している。

映像研には手を出すな!」(9月25日公開)

アニメ制作を志す女子高生3人組の青春を描き、2020年1月からは湯浅政明監督によるテレビアニメ版もNHKで放送された大童澄瞳の同名コミックを、人気アイドルグループ「乃木坂46」の齋藤飛鳥山下美月梅澤美波の共演で実写映画化。

湖に面した芝浜高校。人見知りだが監督としてすぐれた素質をもつ浅草みどり、カリスマ読者モデルでアニメーターの水崎ツバメ、金もうけが好きなプロデューサー気質の金森さやかは、「映像研究同好会」を結成し、自分たちが思い描く“最強の世界”を描くためアニメーション制作を開始する。

「アニメは設定が命!」が信条の主人公・浅草みどりを齋藤飛鳥、俳優である両親に反対されながらもアニメーターを目指すお嬢様・水崎ツバメを山下美月、2人の才能をまとめ、管理し、金もうけをしようとするプロデューサータイプの金森さやか梅澤美波が演じる。そのほか、小西桜子、福本莉子桜田ひより浜辺美波ら人気の若手女優も共演する。監督は「乃木坂46」とは映画「あさひなぐ」でもタッグを組んだ英勉

ミッドナイトスワン」(9月25日公開)

草彅剛演じるトランスジェンダーの主人公と親の愛情を知らない少女の擬似親子的な愛の姿を描いた、「下衆の愛」の内田英治監督オリジナル脚本によるドラマ。

故郷を離れ、新宿のニューハーフショークラブのステージに立つ、トランスジェンダーの凪沙。ある日、凪沙は養育費目当てで、少女・一果を預かることになる。常に社会の片隅に追いやられてきた凪沙、実の親の育児放棄によって孤独の中で生きてきた一果。そんな2人にかつてなかった感情が芽生え始める。

草彅剛が主人公・凪沙役を、オーディションで抜擢された新人の服部樹咲が一果役を演じるほか、水川あさみ真飛聖田口トモロヲらが脇を固める。

アダムス・ファミリー」(9月25日公開)

アメリカの漫画家チャールズ・アダムスが生んだ名作コミックで、1990年代には映画化され世界的ヒットを記録した「アダムス・ファミリー」をアニメ化。

人里離れた山奥で結婚式を挙げたモンスターのゴメズとモーティシアは人間たちに故郷を追われ、丘の上の荒れ果てた屋敷にたどり着く。時は流れ、夫婦は長女ウエンズデーと長男パグズリー、執事ラーチとともに平穏な日々を過ごしていた。そんな中、パグズリーが一族にとって重要な儀式である「セイバー・マズルカ」を親戚たちの前で披露する日が近づいてきて……。

字幕版ではオスカー・アイザックシャーリーズ・セロンクロエ・グレース・モレッツ、フィン・ウルフハードら、吹替版では生瀬勝久、杏、二階堂ふみ秋山竜次(ロバート)、LiLiCoら豪華キャストが一家の声を演じる。

マティアス&マキシム」(9月25日公開) (PG12)

たかが世界の終わり」などで高く評価されるカナダの若き俊英グザヴィエ・ドランが、友情と恋心の狭間で揺れる青年2人の葛藤を描いた青春ラブストーリー。

幼なじみである30歳のマティアスとマキシムは、友人の短編映画で男性同士のキスシーンを演じたことをきっかけに、心の底に眠っていた互いへの気持ちに気づき始める。婚約者のいるマティアスは、親友に芽生えた感情に戸惑いを隠しきれない。一方、マキシムは友情の崩壊を恐れ、思いを告げぬままオーストラリアへ旅立つ準備をしていた。別れが目前に迫る中、本当の思いを確かめようとするマティアスとマキシムだったが……。

グザヴィエ・ドラン監督が「トム・アット・ザ・ファーム」以来6年ぶりに自身の監督作に出演し、主人公の1人マキシムを演じた。共演に「Mommy マミー」のアンヌ・ドルバル、「キングスマン ファースト・エージェント」のハリス・ディキンソン。

甘いお酒でうがい」(9月25日公開)

お笑いコンビ「シソンヌ」のじろうが長年コントで演じてきたキャラクター、中年OLの川嶋佳子を主人公に、平凡な40代女性の日常や悲哀を日記風につづった、じろうによる小説を映画化。じろう自身が脚本を執筆し、「美人が婚活してみたら」でもじろう脚本作品を手がけた大九明子監督が、今作でもメガホンをとった。

とある会社で派遣社員として働く40代独身の川嶋佳子は、毎日日記をつけている。そこには、撤去された自転車との再会したことなど、日々の小さな喜びがつづられていた。そんな佳子にとって、会社の同僚である年下の若林ちゃんと過ごす時間が何よりの幸せだったが、ある時、ふた周り年下の岡本くんとの恋が訪れ……。

松雪泰子が主人公の佳子に扮し、若林ちゃんを黒木華、佳子が好意を寄せる岡本くんを清水尋也が演じる。

鵞鳥湖の夜」(9月25日公開) (PG12)

「薄氷の殺人」で第64回ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞した中国の気鋭ディアオ・イーナン監督が、中国社会の底辺で生きる人間たちの現実を鮮烈な映像で描いたノワールサスペンス。

2012年、中国南部。再開発から取り残された鵞鳥湖(がちょうこ)周辺の地区で、ギャングたちの縄張り争いが激化していた。刑務所を出て古巣のバイク窃盗団に戻った男チョウは、対立組織との争いに巻き込まれ、逃走中に誤って警官を射殺してしまう。全国に指名手配された彼は、自身にかけられた報奨金30万元を妻子に残すべく画策。そんな彼の前に、見知らぬ女アイアイが妻の代理としてやって来る。鵞鳥湖の水辺で娼婦として生きる彼女と行動をともにするチョウだったが、警察や報奨金強奪を狙う窃盗団に追われ、後戻りのできない袋小路へと追い詰められていく。

「1911」のフー・ゴーが主演を務め、「薄氷の殺人」のグイ・ルンメイ、リャオ・ファンが共演。

リアム・ギャラガー アズ・イット・ワズ」(9月25日公開)

イギリスの伝説的ロックバンド「オアシス」の元メンバー、リアム・ギャラガーの成功と挫折、ソロアーティストとしての復活までを描いたドキュメンタリー。

1991年に結成されたオアシスのフロントマンとしてスターダムにのしあがったリアムは、その一方で破天荒な言動を繰り返し、メディアからたびたびバッシングを受けていた。やがてバンドメンバーの兄ノエルとの確執が表面化し、2009年には解散状態に。新たに結成したバンド「ビーディ・アイ」も軌道に乗らず解散。失意の中、自らの力だけで音楽の世界を生き抜くことを決意したリアムは、再起をかけてソロデビューアルバム「アズ・ユー・ワー」をリリースする。

コナー・マクレガー:ノートリアス」のギャビン・フィッツジェラルドと、本作のために10年以上にわたってリアムを撮影してきたチャーリー・ライトニングが共同監督を務めた。

エノーラ・ホームズの事件簿」(9月23日NETFLIXにて配信)

名探偵シャーロック・ホームズに妹がいたという設定で描かれ人気を集める、アメリカの作家ナンシー・スプリンガーの小説シリーズを、Netflixが映画化したミステリーアドベンチャーNetflixドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のイレブン役でブレイクしたミリー・ボビー・ブラウンが主演・製作。兄シャーロックとマイクロフトを「マン・オブ・スティール」のヘンリー・カヴィルと「世界一キライなあなたに」のサム・クラフリン、母を「アリス・イン・ワンダーランド」のヘレナ・ボナム・カーターが演じる。

1884年、イギリス。16歳の誕生日を迎えたエノーラが目を覚ますと、母が謎めいた暗号を残して行方不明になっていた。母を探しに単身ロンドンへ向かったエノーラは、思いがけず青年貴族の失踪事件に関わったことをきっかけに、恐ろしい陰謀と巨大な謎に巻き込まれていく。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>「2分の1の魔法」の苦戦と「ムーラン」が日本でも配信スルー…ディズニーの決断をどう見る?

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先週末は「糸」と「2分の1の魔法」が公開。今回は本作の興行分析とディズニーの動向を考えたいと思います。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は初登場」。土日2日間で動員17万1000人、興収2億3400万円をあげ、先行上映が行われた8月12日と初日を合わせた4日間の累計では、動員27万8000人、興収3億7300万円をあげる好スタートを切った。

2位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。土日2日間で動員16万4000人、興収2億300万円をあげ、累計では動員183万人、興収21億円を突破した。

3位は「劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」。累計で動員58万人、興収9億6000万円を突破した。

4位は初登場2分の1の魔法」。土日2日間で動員11万9000人、興収1億6300万円をあげた。初日からの3日間の累計では動員15万9500人、興収2億1600万円をあげた。

5位は「今日から俺は!!劇場版」。累計で動員358万人、興収45億円を突破。

6位は「コンフィデンスマンJP プリンセス編」。累計で動員215万人、興収29億円を突破。

7位は「思い、思われ、ふり、ふられ」。累計で動員35万人、興収4億4700万円を突破。

8位は「弱虫ペダル」。累計で動員33万人、興収4億2300万円を突破。

9位は初登場映画 ギヴン」。土日2日間で動員2万2100人、興収3700万円をあげた。

10位は「ぐらんぶる」。累計興収は3億6900万円を突破した。

 

2.興収チェック!「糸」

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先週、初登場1位にランクインしたのは「」。1998年にリリースされた中島みゆきの「糸」をモチーフに瀬々敬久監督、菅田将暉×小松菜奈主演で平成元年に生まれた男女の18年間を平成史とともに描いていく。元々は4月24日に公開予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大防止により公開が4ヶ月延期されていた。

蓋を開ければ、土日2日間で動員17万1000人、興収2億3400万円をあげた。10年前の同時期に公開された同じくTBS製作による曲の映画化である「ハナミズキ」(初週末の動員30万1300人、興収3億9900万円、最終興収28.3億円)と比較すると動員比57%、興収比59%、1年前に公開された「雪の華」(初週末の動員15万1000人、興収1億9900万円、最終興収11.2億円)と比較すると動員比113%、興収比118%のスタートとなっている。最終興収は10〜15億円近くとなるだろう。

3.興収チェック!「2分の1の魔法」

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先週、初登場4位にランクインしたのは「2分の1の魔法」。亡くなった父親にもう一度会いたいと願う兄弟が、魔法によって半分だけ復活した父親を完全によみがえらせるため奮闘する姿を描くピクサーの最新作。元々は3月13日に公開予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大防止により公開が5ヶ月延期されていた。

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蓋を開ければ、土日2日間で動員16万4000人、興収2億300万円をあげたが、これは昨年の「トイ・ストーリー4」と比較すると動員比17%、興収比15%となった。なお、これではオープニング成績が桁違いのためあまり比較にならない。オープニング成績が近い作品で比較すると「メリダとおそろしの森」と比較すると動員比155%、興収比145%、「アーロと少年」と比較すると動員比86%、興収比88%となっている。最終興収も10億円近くとなるだろうが、ピクサー作品としては今一つという結果となりそうだ。

これは今年の夏休み映画の総括となるが、「今日俺」や「コンフィデンスマンJP」、「Fate」、今週末1位にランクインした「糸」はヒットを記録したものの、ドラえもんや本作のようなファミリー映画は苦戦を強いられたことになる。まだまだ映画館に家族で行こうとするのは少しハードルがあるようだ。

さあ、ここからは違うトピックスを取り上げて、本作の興収分析をさらに考える。「ムーラン」の日本での公開展開についてだ。日本でもアメリカやヨーロッパと同様に9/4(もともとこの日は日本の劇場公開予定日でもあった)にDisney+で配信されることが明らかとなった。この報道はネット上でも大きな反響を持って迎えられた。

料金は米国とほぼ同じの2980円(税抜)。ただ、これは米国の4K配信ではなく、日本ではFull HDで2chサラウンドと品質は劣っても同じ価格となる。2020年において4K配信はおろか、5.1chサラウンドでの配信もできないで3000円もの料金を払うのはぼったくりと言っても良い。確かに親子、カップル2人分だとしたら同じ料金ではあるが、果たしてこの価格設定で良かったのだろうか?と疑問を抱かずにはいられない。

米国での配信の際に書いた記事で劇場公開や劇場との並行公開される可能性にも触れたが、残念ながら日本でも配信スルーされることとなった。 

これまで劇場公開されることを告知する広告やグッズの準備もしたのに全てがなくなり、前売り券は使えなくなり、劇場は金が入らずに配信作品を広告したことになる。これは個人的に残念でならない。「ムーラン」が劇場公開すれば、コロナ前に比べれば落ちはするだろうが、それでも劇場を支えてくれる柱になり得たかもしれないからだ。あくまでもディズニーは「ムーラン」の配信スルーは実験的側面があるとしているが、大作なだけに成功する可能性もあり、今後のディズニー作品の配信スルーの可能性も十分にあり得る。とある海外の調査ではMCUの新作「ブラック・ウィドウ」を劇場で観たいと答えた人よりも家で観たいと答えた人の方が多かった。

もちろん、配信へ切り替えることを全面的に否定しているわけではないが、映画館が死にかけるような状況でさらに力を蓄えないで欲しいとは思う。映画館があり、配信がある構図が理想的だ。何なら、配信で公開されてる作品が劇場でも流れるのはアリなのではないか?日本では劇場が元気を取り戻してる状況なだけに劇場での展開も視野に入れて欲しかったという気持ちがある。だが、「2分の1の魔法」の成績を見るとネズミから「いや、劇場でやっても想定した客は来ないよ。だったら自分とこのサービス強化したほうがいいね」と言われそうだ。

 

4.今週の注目作

青くて痛くて脆い」(8月28日公開)

「君の膵臓をたべたい」の住野よるの同名青春サスペンス小説を、吉沢亮杉咲花主演で映画化。

コミュニケーションが苦手で他人と距離を置いてしまう田端楓と、理想を目指すあまり空気の読めない発言を連発して周囲から浮いている秋好寿乃。ひとりぼっち同士の大学生2人は「世界を変える」という大それた目標を掲げる秘密結社サークル「モアイ」を立ち上げるが、秋好は「この世界」からいなくなってしまった。その後のモアイは、当初の理想とはかけ離れた、コネ作りや企業への媚売りを目的とした意識高い系の就活サークルへ成り下がってしまう。そして、取り残されてしまった田端の怒りや憎しみが暴走する。どんな手段を使ってもモアイを破壊し、秋好がかなえたかった夢を取り戻すため、田端は親友や後輩と手を組んで「モアイ奪還計画」を企てる。

監督は「映画 妖怪人間ベム」の狩山俊輔。

事故物件 恐い間取り」(8月28日公開)

「事故物件住みます芸人」として、実際に9軒の事故物件に住んだ芸人・松原タニシの実体験を記したノンフィクション「事故物件怪談 恐い間取り」を亀梨和也主演で映画化。監督は、「スマホを落としただけなのに」「貞子」の中田秀夫が務めた。

売れない芸人・山野ヤマメは「テレビに出してやるから事故物件に住んでみろ」と先輩から無茶ぶりされ、テレビ出演と家賃の安さから殺人事件が起きた物件に引っ越す。その部屋は一見普通の部屋だったが、部屋を撮影した映像には謎の白いものが映り込み、音声が乱れるなどといった現象が起こった。ヤマメの出演した番組は盛り上がり、ヤマメは新たなネタを求めて事故物件を転々とする。住む部屋、住む部屋でさまざまな怪奇現象に遭遇したヤマメは「事故物件住みます芸人」として大ブレークするが……。

オフィシャル・シークレット」(8月28日公開)

イラク戦争開戦前夜に英米政府を揺るがせた告発事件を、キーラ・ナイトレイ主演で映画化したポリティカルサスペンス。

2003年、イギリスの諜報機関GCHQで働くキャサリン・ガンは、アメリカの諜報機関NSAから驚きのメールを受け取る。イラクを攻撃するための違法な工作活動を要請するその内容に強い憤りを感じた彼女は、マスコミへのリークを決意。2週間後、オブザーバー紙の記者マーティン・ブライトにより、メールの内容が記事化される。キャサリンは自分がリークしたことを名乗り出るが、告発も空しくイラク侵攻は開始され、彼女は起訴されてしまう。キャサリンを救うため、人権派弁護士ベン・エマーソンらが立ち上がるが……。

弁護士エマーソン役に名優レイフ・ファインズ、記者ブライト役にテレビシリーズ「ドクター・フー」のマット・スミス。監督は「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」のギャビン・フッド。

ようこそ映画音響の世界へ」(8月28日公開)

ハリウッドの映画音響にスポットをあてたドキュメンタリー。1927年に初のトーキー映画「ジャズシンガー」が誕生して以来、常に進化を続けている映画音響。本作では「キング・コング(1933)」「市民ケーン」「ROMA ローマ」など、新旧名作群の映像を使用し、映画音響の世界を紹介。ジョージ・ルーカススティーブン・スピルバーグデビッド・リンチクリストファー・ノーランら監督陣、「スター・ウォーズ」のベン・バート、「地獄の黙示録」のウォルター・マーチ、「ジュラシック・パーク」のゲイリー・ライドストロームといった映画音響界のレジェンドたちのインタビューを盛り込み、映画における「音」の効果と重要性に迫っていく。

幸せへのまわり道」(8月28日公開)

トム・ハンクスが、アメリカで1968年から2001年にわたって放送された長寿子ども向け番組の司会者フレッド・ロジャースに扮し、アカデミー助演男優賞にノミネートされたヒューマンドラマ。雑誌「エスクァイア」に掲載された新聞記者ロイド・ボーゲルによる記事の映画化で、ボーゲル役を「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」でもハンクスと共演したマシュー・リスが演じた。

雑誌記者として華々しいキャリアを築いてきたロイド・ボーゲルは、姉の結婚式に招待され、そこで長らく絶縁していた父ジェリーと再会する。家庭を顧みず自分たち姉弟を捨てた父を、ロイドはいまだ許せずにいた。数日後、仕事で子ども向け番組の司会者として人気のフレッド・ロジャースを取材することになったロイド。フレッドは、会って間もないロイドが抱えている家族の問題や心のわだかまりを見抜き、ロイドもそんなフレッドの不思議な人柄にひかれていく。やがて2人は公私ともに交流を深めていくが……。

監督は「ある女流作家の罪と罰」「ミニー・ゲッツの秘密」のマリエル・ヘラー。

ソワレ」(8月28日公開) (PG12)

「燦燦 さんさん」の外山文治監督が、村上虹郎と芋生悠演じる若い男女の切ない逃避行を描いたドラマ。豊原功補小泉今日子、外山監督らが立ち上げた映画制作会社・新世界合同会社の第1回プロデュース作品。

俳優を目指して上京した翔太は、俳優では芽が出ずに今ではオレオレ詐欺に加担してなんとか食い扶持をつないでいる。ある夏、翔太は故郷の和歌山にある高齢者施設で演劇を教えることになり、その施設で働くタカラと出会う。数日後、祭りに誘うためにタカラの家を訪れた翔太が目撃したのは、刑務所帰りの父親から激しい暴行を受けるタカラの姿だった。とっさに止めに入る翔太、そして逃げ場のない現実に絶望してたたずむタカラ。翔太はタカラの手を取り、夏の街の中へと駆け出していく。

ブルータル・ジャスティス」(8月28日公開) (R15+)

 

トマホーク ガンマンvs食人族」「デンジャラス・プリズン 牢獄の処刑人」などでカルト的人気を集める気鋭の監督S・クレイグ・ザラーが手がけたバイオレンスアクション。

ベテラン刑事のブレットと相棒のトニーは、強引な逮捕が原因で6週間の無給の停職処分を受けてしまう。どうしても大金を必要としていたブレットは、犯罪者たちを監視し、彼らが取引した金を強奪するという計画を練る。ブレットはトニーを誘って計画を実行に移し、ボーゲルマンという男の監視を開始する。そしてある朝、動き始めたボーゲルマンとその仲間を尾行するが……。

ブレット役をメル・ギブソンが演じ、トニー役は「デンジャラス・プリズン 牢獄の処刑人」でもザラー監督とタッグを組んだビンス・ボーンが務めた。そのほか「戦場のピアニスト」「タクシー運転手 約束は海を越えて」のトーマス・クレッチマンが出演し、極悪非道の強盗犯を演じている。

マロナの幻想的な物語り」(8月29日公開)

ハート型の鼻を持つミックス犬マロナの生涯を、手書きをベースとした独特なアニメーション表現で描いた長編アニメ。

血統書付きの母と少し乱暴な父との間に生まれたミックス犬マロナは、同時に生まれた9匹の末っ子であることから「ナイン」と呼ばれる。彼女は生まれてすぐに曲芸師マノールの手に渡り、「アナ」と名付けられる。アナは大好きなマノールと幸せな日々を送るが、マノールの新たな仕事が“犬禁止”だと知り、彼のもとを去ることを決意。寂しく通りをさまよっていた彼女は、エンジニアのイストヴァンに拾われ、「サラ」という新しい名前をもらう。イストヴァンからはかわいがられたものの、彼の家族からひどい扱いを受けたサラは家を逃げ出し、公園で少女ソランジュと出会う。新たな名前はマロナ。持ち前の愛くるしさで家族全員を魅了し、絆を深めていくマロナだったが……。

京アニメーションアワードフェスティバル2020で長編グランプリを受賞。日本語吹き替え版では、主人公の犬マロナの声を「この世界の片隅に」ののんが担当する。

インターステラー」(9月4日公開)

ダークナイト」「インセプション」のクリストファー・ノーラン監督によるオリジナル作品。

世界的な飢饉や地球環境の変化によって人類の滅亡が迫る近未来を舞台に、家族や人類の未来を守るため、未知の宇宙へと旅立っていく元エンジニアの男の姿を描く。

主演は、「ダラス・バイヤーズクラブ」でアカデミー主演男優賞を受賞したマシュー・マコノヒー。共演にアン・ハサウェイジェシカ・チャステイン、ノーラン作品常連のマイケル・ケインほか。

クリストファー・ノーラン監督の「TENET テネット」公開にあわせたノーラン監督作のリバイバル上映企画「ノーラン夏祭り」の第4弾としてIMAX版でリバイバル公開。

mid90s ミッドナインティーズ」(9月4日公開) (PG12)

ウルフ・オブ・ウォールストリート」などの俳優ジョナ・ヒルが初監督・脚本を手がけ、自身が少年時代を過ごした1990年代のロサンゼルスを舞台に、13歳の少年の成長を描いた青春ドラマ。

シングルマザーの家庭で育った13歳の少年スティーヴィーは力の強い兄に負けてばかりで、早く大きくなって見返してやりたいと願っていた。そんなある日、街のスケートボードショップに出入りする少年たちと知り合ったスティーヴィーは、驚くほど自由で格好良い彼らに憧れを抱き、近づこうとするが……。

ルイスと不思議の時計」のサニー・スリッチが主演を務め、母を「ファンタスティック・ビースト」シリーズのキャサリン・ウォーターストン、兄を「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のルーカス・ヘッジズがそれぞれ演じる。

宇宙でいちばんあかるい屋根」(9月4日公開)

作家・野中ともその同名人気小説を映画化し、「愛唄 約束のナクヒト」の清原果耶が映画初主演を果たしたファンタジードラマ。

14歳のつばめは、隣人の大学生・亨にひそかに恋心を抱くごく普通の女の子。両親と3人で幸せな生活を送っているように見えたが、父と、血の繋がらない母との間に子どもができることを知り、どこか疎外感を感じていた。誰にも話せない思いを抱える彼女にとって、通っている書道教室の屋上は唯一の憩いの場だった。ある夜、いつものように屋上を訪れたつばめの前に、ド派手な装いの見知らぬ老婆が現れる。その老婆「星ばあ」がキックボードに乗って空を飛ぶ姿に驚きながらも、不思議な雰囲気を漂わせる彼女に次第に心を開き、恋や家族の悩みを相談するつばめだったが……。

監督・脚本は日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞作「新聞記者」や、清原も出演した「デイアンドナイト」を手がけた藤井道人

行き止まりの世界に生まれて」(9月4日公開)

閉塞感に満ちた小さな町で必死にもがく若者3人の12年間を描き、第91回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートされた作品。

かつて栄えていた産業が衰退し、アメリカの繁栄から取り残された「ラストベルト(錆びついた工業地帯)」に位置するイリノイ州ロックフォード。キアー、ザック、ビンの3人は、それぞれ貧しく暴力的な家庭から逃れるようにスケートボードに熱中していく。スケート仲間は彼らにとって唯一の居場所であり、もうひとつの家族だった。そんな彼らも成長するにつれ様々な現実に直面し、少しずつ道を違えていく。低賃金の仕事を始めたキアー、父親になったザック、そして映画監督になったビン。幼い頃からスケートビデオを撮りためてきたビンのカメラは、明るく見える3人の悲惨な過去や葛藤、思わぬ一面を浮かび上がらせていく。そんな彼らの姿を通して、親子、男女、貧困、人種といった様々な分断を見つめ、アメリカの知られざる現実を映し出す。

ファナティック ハリウッドの狂愛者」(9月4日公開) (PG12)

ジョン・トラボルタが映画オタクのストーカーを演じるスリラー。

ハリウッド大通りでパフォーマーをしながら、さえない毎日を送っている映画オタクのムース。そんな彼の夢は、熱狂的なファンである人気俳優ハンター・ダンバーからサインをもらうことだった。しかし、ようやく念願かなって参加したサイン会でダンバーから冷たくあしらわれたことから、ムースの愛情が歪みはじめる。ダンバーの豪邸を突き止めたムースは何度も彼に接触を試みるが、ムースを気味悪がるダンバーから激しく拒絶されてしまう。そして、ムースのダンバーへの行動が次第に暴走していき……。

監督は「奇跡のロングショット」のフレッド・ダースト。

人数の町」(9月4日公開)

中村倫也の主演で、衣食住が保証され快楽をむさぼることができる謎の町を舞台に描くディストピアミステリー。映画配給会社キノフィルムズを擁する木下グループが、映画業界の新たな才能発掘を目的に2017年に開催した第1回木下グループ新人監督賞の準グランプリ受賞作品を映画化した。

借金で首が回らなくなり、借金取りから暴行を受けていた蒼山は、黄色いツナギを着たヒゲ面の男に助けられる。蒼山のことを「デュード」と呼ぶその男は、蒼山に「居場所」を用意してやるという。蒼山が男に誘われ、たどり着いたのは、出入りは自由だがけっして離れることができない、ある奇妙な町だった。

蒼山役を中村倫也が演じるほか、石橋静河、本作が映画初出演となる立花恵理、山中聡らが顔をそろえる。監督・脚本は、松本人志出演による「タウンワーク」のCMやMVなどを多数手がけ、本作が初長編監督作品となる荒木伸二。

僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46」(9月4日公開)

人気アイドルグループ「欅坂46」の初のドキュメンタリー映画。「乃木坂46」に続く「坂道シリーズ」第2弾のグループとして2015年に結成され、16年にデビューした欅坂46は、アイドルという枠を超えた圧倒的なライブパフォーマンスと独創的な世界観でファンを魅了。NHK紅白歌合戦出場や全国での大規模アリーナツアー、異例のロックフェス参戦などを実現させ、破竹の勢いで坂道を駆け上がっていく。デビューから約3年半となる19年9月には2日間の東京ドーム公演を成功させるが、20年1月、絶対的センターだった平手友梨奈が突然脱退する。そして、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって活動自粛を余儀なくされるなか、同年7月に無観客配信ライブ「KEYAKIZAKA46 Live Online,but with YOU!」を開催。その場で、20年10月開催のライブをもって欅坂46としての5年間に幕を閉じ、グループ名を改めて再出発することを発表する。激動の5年間の活動の中で、メンバーたちは胸の内にどんな思いを抱いていたのか。メンバーやスタッフの証言をはじめ、初公開となる貴重な記録映像の数々、そして再編集されたライブパフォーマンスの映像などを交え、欅坂46の5年間を映し出す。

監督は「AKB48」や「THE YELLOW MONKEY」のミュージックビデオ、ドキュメンタリーなどを多数手がけてきたことで知られる高橋栄樹

Reframe THEATER EXPERIENCE with you」(9月4日公開)

国内外で人気を誇る3人組テクノポップユニット「Perfume」の20年間にわたる全歴史を再構築したコンセプトライブ「Reframe 2019」を劇場公開。

2020年9月に結成20年&メジャーデビュー15周年を迎えるPerfume。19年10月、LINE CUBE SHIBUYA(旧・渋谷公会堂)のこけら落としとして開催された「Reframe 2019」では、これまでもPerfumeのライブを手がけてきた演出振付家MIKIKOや、真鍋大度を中心とするクリエイティブ集団「ライゾマティクス」とともに、デジタル技術を駆使したアートな表現に挑戦。楽曲、音声、ダンスパフォーマンス、写真、映像といったノーマル素材から、モーションキャプチャーや3Dスキャンといった特殊素材まで、様々なデータを最先端の技術と独創的な演出アイデアで再構築した。Perfumeの「過去・現在・未来」を地続きで表現する壮大な試みを実現した同公演を、劇場の大スクリーンと高音質で再現する。

「はたらく細胞!!」最強の敵、再び。体の中は“腸”大騒ぎ!」(9月5日公開)

清水茜による人気漫画をアニメ化し、擬人化された細胞たちが人間の体を健康に保つため奮闘する姿を描く「はたらく細胞」のテレビシリーズ第2期「はたらく細胞!!」の特別先行上映版。2021年1月から放送のテレビシリーズ第2期で描かれる、原作コミックス第5巻のエピソードを上映。

たくさんの細胞たちが働く人間の体の中。ある時、白血球(好中球)と赤血球は、迷子の乳酸菌を保護した一般細胞と出会う。乳酸菌を仲間のもとに送り届けるため、白血球(好中球)と一般細胞は腸へと向かうが、そこでは最強の敵であるがん細胞が待ち受けていた。がん細胞と悪玉菌により腸内環境は荒らされ、体内はかつてないピンチに陥る。

声の出演は、赤血球役の花澤香菜、白血球(好中球)役の前野智昭ら。ショートアニメ「血小板 映画館へ行く」が同時上映。

東京事変2020.7.24閏vision特番ニュースフラッシュ」(9月5日公開)

シンガーシングライターの椎名林檎を中心とした人気バンド「東京事変」が2020年7月24日に無観客で行ったライブの記録映像。

20年1月1日、8年ぶりの活動再開を発表し、“再生”を果たした東京事変。2月から4月にかけて全国ツアー「Live Tour 2020 ニュースフラッシュ」を開催する予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ほとんどの公演の開催を断念。そして、東京オリンピックの開会式が開催されるはずだった同年7月24日、東京・渋谷のNHKホールでバンドメンバーやスタッフが集結し、無観客の中で「Live Tour 2020 ニュースフラッシュ」の演目を披露。その模様を余すことなく映像収録した。

20年9月5日からPIA LIVE STREAM、ZAIKO、WOWOWメンバーズオンデマンドで配信されるほか、9月5、12、13、14日の4日間限定で劇場上映。

もう終わりにしよう。‬」(9月4日NETFLIXにて配信)

イアン・リードが手掛けた小説を「マルコヴィッチの穴」や「エターナル・サンシャイン」の脚本を手掛けた鬼才チャーリー・カウフマン監督により映画化。

主人公の女性は、付き合い始めたばかりの恋人ジェイクとの別れを考えていた。ところが、打ち明けられないまま彼女は、彼の実家が営む農場へと訪問することに。猛吹雪により身動きが取れなくなってしまった彼女は、両親と時間を過ごす内に、恋人のこと、自分自身のこと、そして世界の全てに対する疑問を抱き始めていく……。

主人公の女性役に「ワイルド・ローズ」のジェシー・バックレイ、ジェイク役に「アイリッシュマン」のジェシー・プレモンス、母親役に「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」のトニ・コレット、父親役に「ワンダーウーマン」のデヴィッド・シューリスなどが名を連ねている。

‪ムーラン‬」(9月4日Disney+にて配信)

美女と野獣」「アラジン」など往年の名作アニメの実写化を次々と成功させているディズニーが、愛する父の身代わりとなり、兵士として国の運命をかけた戦いに身を投じるヒロインを描いた1998年のディズニー・アニメ「ムーラン」を実写化。

ヒロインのムーラン役には、「ザ・レジェンド」や「ドラゴン・キングダム」のリウ・イーフェイが抜てきされた。「ハンニバル・ライジング」「マイアミ・バイス」のコン・リー、「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」のドニー・イェン、「エクスペンダブルズ」シリーズのジェット・リーら、それぞれハリウッドでも活躍するアジア圏のスター俳優が共演。監督は、「クジラの島の少女」「スタンドアップ」などで知られるニュージーランド出身の女性監督ニキ・カーロ。Disney+にて追加料金が必要なプレミアアクセスで配信。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。