先週末も様々な新作が公開。今週は邦画の柱の一つとも云えるテレビ局製作映画について今年はどうなるのかも考えてみたいと思います。
1.先週末のランキング
それでは、先週末のランキングを見てみましょう。
1位は先週に引き続き「マスカレード・ホテル」。土日2日間で動員35万1000人、興収4億7800万円をあげ、累計では動員146万人、興収19億円に迫る勢い。東宝では、興収50億円も見込めるという発表も。2019年の年間ランキングに早くも食い込みそうな成績だ。
2位は初登場「十二人の死にたい子どもたち」。土日2日間で動員20万7000人、興収2億6800万円をあげ、公開から3日間の累計では、動員26万人、興収3億4000万円。中高生のグループや大学生、20代のカップルなど若年層を動員し、ヒットスタートを切った形だ。
3位は「ボヘミアン・ラプソディ」。土日2日間で動員15万9000人、興収2億3600万円をあげ、累計では、動員756万人、興収104億6000万円を超えた。
歴代興収ランキングでは29位まで記録を伸ばしており、アカデミー賞の結果次第ではさらなるロングランも期待される。
4位は「Fate/stay night [Heaven’s Feel] II. lost butterfly」。累計興収は11億6000万円を突破。前作「I.presage flower」の興収(15.1億円)を超えることも出来そうだ。
5位は「シュガー・ラッシュ:オンライン」。累計で動員293万人、興収36億円を突破。
6位は「映画 刀剣乱舞」。累計興収は3億7700万円を突破。
7位は初登場「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1「罪と罰」」。
8位は「ラブライブ!サンシャイン!! The School Idol Movie Over the Rainbow」。累計興収は7億円を突破。10億を超えるかも難しいラインだが?
9位は「ドラゴンボール超 ブロリー」。累計で動員296万人、興収38億円を突破。
10位は初登場「愛唄 −約束のナクヒト−」。前作「キセキ あの日のソビト」(累計興収:14.8億円)と同程度の規模の公開となったが、こちらは同程度のヒットとはならなかった。
2.興行チェック!「十二人の死にたい子供たち」
今週は3本の新作がランクインしたが、「十二人の死にたい子供たち」が2位に初登場した。
公開初日(25日)から3日間の累計では、動員26万人、興収3億4000万円とこの手の若年層を中心に鑑賞される作品*1では上々のスタートとなった。累計興収は15〜20億あたりが妥当といった感じだろう。
3.テレビ局映画情勢2019
今週もフジテレビ製作「マスカレード・ホテル」(1位)と「ドラゴンボール超 ブロリー」(9位)、日本テレビ製作「十二人の死にたい子供たち」(2位)がランクインするなど邦画の重要な柱とも云えるテレビ局が製作に介入している映画。
当記事では昨年(2018年)のテレビ局映画を振り返りながら、今年はどうなっていくかを見ていこうと思う。
↓2018年の興行収入を振り返る記事で触れた物をさらに拡大した感じになりますので、ぜひこちらもご覧いただければ幸いです。(少しばかり追記した箇所がありますので、既読の方もぜひ)↓
日本テレビ
まずは日本テレビ。2017年(18本)に比べるとほぼ変わらない本数を公開(16本)。
「ちはやふる -結び-」や福田雄一監督の「50回目のファーストキス」の日本版、「僕のヒーローアカデミア」、大泉洋主演の「こんな夜更けにバナナかよ」が大ヒット。
特に名探偵コナンの90億超えは目立ったヒットと言えようが、夏休み公開の「未来のミライ」が予想を下回る興収になったのは痛いあたりだ。その他にも当たらなかった作品も少なからずあったり、2017年(約246億円)を下回る結果(約204億円)となった。
今年は現在公開中「十二人の死にたい子供たち」やシティーハンター、EXILEからは「PRINCE OF LEGEND」、GWにはコナンやキングダムなどが公開予定。
TBS
TBSテレビは2017年(6本)に比べるとほぼ変わらない本数を公開(7本)。
「新参者」の映画化第2弾「祈りの幕が下りる時」や「コーヒーが冷めないうちに」、「スマホを落としただけなのに」がヒットした。
2017年(約83億円)を下回る結果(約60億円)となった。
今年はお得意の池井戸潤原作の「七つの会議」以外公開予定が未定となっているが、その他公開作品はあるのだろうか?
テレビ朝日
テレビ朝日は2017年(15本)に比べるとやや下回る本数を公開(11本)。
ドラえもんやしんちゃん、プリキュアに仮面ライダーやスーパー戦隊と年間を通して安定のヒットシリーズがあるテレビ朝日はどのシリーズも大ヒットを記録したが、本数が下回ったため、2017年(約162億円)を下回る結果(約133億円)となった。
今年もドラえもんやしんちゃんなどのシリーズは公開予定。その他にも夏には「おっさんズラブ」の映画化も待機中。どれだけヒットするかに注目だ。
テレビ東京
テレビ東京は2017年(10本)に比べるとほぼ変わらない本数を公開(9本)。
毎年のように公開されているポケモンや妖怪ウォッチはヒットし、漫画の実写化でも銀魂2が見事に大ヒット。「日日是好日」も初週の成績から見れば、着々とヒットを積んだ形だが、実写版BLEACHは期待外れとなってしまった。
2017年(約115億円)を下回る結果(約104億円)となった。
今年もポケモンの新作を用意。「ミュウツーの逆襲」を3DCGでリメイクした作品が公開予定だ。
フジテレビ
フジテレビは2017年(10本)に比べると若干下回る本数を公開(8本)。
が、「万引き家族」や「コード・ブルー」、ドラゴンボールがメガヒットを放ち、2017年(約164億円)を上回る結果(約220億円)となった。
今年は公開中の「マスカレード・ホテル」や「翔んで埼玉」、月9ドラマの映画化「コンフィデンスマンJP」、ワンピースや三谷幸喜の新作が待機中だ。
というわけで、2018年はフジテレビと日テレが強力だったが、今年は?
4.今週の注目作
「メリー・ポピンズ リターンズ」(2月1日公開)
アカデミー賞5部門に輝いた1964年公開の名作ディズニー映画「メリー・ポピンズ」の20年後を描いた続編。
大恐慌時代のロンドン。バンクス家の長男マイケルは今では家庭を持つ父親となり、かつて父や祖父が働いていたロンドンのフィデリティ銀行で臨時の仕事に就いていた。しかし現在のバンクス家に金銭的な余裕はなく、さらにマイケルは妻を亡くしたばかりで家の中も荒れ放題。そこへ追い打ちをかけるように、融資の返済期限切れで家まで失う大ピンチに陥ってしまう。そんな彼らの前に、あの「ほぼ完璧な魔法使い」メリー・ポピンズが風に乗って舞い降りてくる。
主人公メリー・ポピンズを「プラダを着た悪魔」のエミリー・ブラントが演じるほか、共演にも「キングスマン」のコリン・ファース、「マンマ・ミーア!」のメリル・ストリープ、「007 スペクター」のベン・ウィショーら豪華キャストが集結。前作でメリーの親友バートを演じたディック・バン・ダイクも出演する。監督は「シカゴ」「パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉」のロブ・マーシャル。
「七つの会議」(2月1日公開)
池井戸潤の同名企業犯罪小説を映画化。
中堅メーカー・東京建電の営業一課で万年係長の八角民夫は、いわゆる「ぐうたら社員」。トップセールスマンで、八角の年下である課長の坂戸からは、そのなまけぶりを叱責され、営業部長・北川誠が進める結果主義の方針の下、部員たちが必死で働く中、八角はひょうひょうとした毎日を送っていた。そんなある日、社内でパワハラ騒動が問題となり、坂戸に異動処分が下される。坂戸に代わって万年二番手に甘んじてきた原島が新しい課長として一課に着任するが、そこには想像を絶する秘密と闇が隠されていた。
主演には野村萬斎、香川照之、及川光博、片岡愛之助、音尾琢真、立川談春、北大路欣也といった池井戸ドラマ常連俳優が顔をそろえた。監督は「陸王」「下町ロケット」「半沢直樹」など、一連の池井戸ドラマの演出を手がけた福澤克雄。
「雪の華」(2月1日公開)
中島美嘉のヒット曲「雪の華」をモチーフに、登坂広臣&中条あやみ主演で描くラブストーリー。
余命1年を宣告されてしまった平井美雪には、両親が出会ったフィンランドの地でオーロラを見ることと、人生で初めての恋をすることという2つの夢があった。ある日、ひったくりに遭った美雪は、ガラス工芸家を目指す綿引悠輔に助けられる。両親を亡くし、兄弟を1人で養っていた悠輔は、働いている店が危機に陥っていた。そのことを知った美雪は店を助けるために、100万円を支払うことと引き換えに、1カ月限定の恋人になってほしいと悠輔に持ちける。
悠輔役を登坂、美雪役を中条が演じ、田辺誠一、高岡早紀、浜野謙太らが脇を固める。舞台となるフィンランドでもロケを行い、撮影された。監督は「羊と鋼の森」「orange オレンジ」の橋本光二郎。脚本は「いま、会いにゆきます」「8年越しの花嫁 奇跡の実話」の岡田惠和。
「フロントランナー」(2月1日公開)
ヒュー・ジャックマンが、スキャンダルにより失脚した実在の政治家ゲイリー・ハートを演じるドラマ。
1988年アメリカ大統領選挙。ゲイリー・ハート上院議員は、史上最年少の46歳で民主党の大統領候補となり、予備選で最有力候補として一気に躍り出た。その若さからジョン・F・ケネディの再来と称され、大衆からも愛されていたハートの状況を一変させる出来事が起こる。アイアミ・ヘラルド紙の記者が入手したハートに関する「ある疑惑」。このスキャンダルが一斉に報じられたことで、ハートの支持率は急落し、予備選の当落線上から姿を消すことになってしまう。
監督は「マイレージ、マイライフ」「JUNO ジュノ」でアカデミー賞にノミネートされたジェイソン・ライトマン。
「バーニング 劇場版」(2月1日公開) (PG12)
「シークレット・サンシャイン」「オアシス」で知られる名匠イ・チャンドンの8年ぶり監督作で、村上春樹が1983年に発表した短編小説「納屋を焼く」を原作に、物語を大胆にアレンジして描いたミステリードラマ。第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、国際批評家連盟賞を受賞。
アルバイトで生計を立てる小説家志望の青年ジョンスは、幼なじみの女性ヘミと偶然再会し、彼女がアフリカ旅行へ行く間の飼い猫の世話を頼まれる。旅行から戻ったヘミは、アフリカで知り合ったという謎めいた金持ちの男ベンをジョンスに紹介する。ある日、ベンはヘミと一緒にジョンスの自宅を訪れ、「僕は時々ビニールハウスを燃やしています」という秘密を打ち明ける。そして、その日を境にヘミが忽然と姿を消してしまう。ヘミに強く惹かれていたジュンスは、必死で彼女の行方を捜すが……。
「ベテラン」のユ・アインが主演を務め、ベンをテレビシリーズ「ウォーキング・デッド」のスティーブン・ユァン、ヘミをオーディションで選ばれた新人女優チョン・ジョンソがそれぞれ演じた。
「ゴッズ・オウン・カントリー」(2月2日公開) (R15+)
「神の恵みの地」と呼ばれるヨークシャーを舞台に、大自然の中で求め合う2人の孤独な青年の愛の行方を描き、ベルリン国際映画祭をはじめ世界各地の映画祭で高評価を獲得したラブストーリー。
年老いた祖母や病気の父に代わり、家族経営の寂れた牧場を切り盛りする青年ジョニー。孤独な労働の日々を酒と行きずりのセックスで紛らわす彼のもとに、ルーマニア移民の季節労働者ゲオルゲが羊の出産シーズンを手伝いにやってくる。はじめのうちは衝突してばかりの2人だったが、羊に優しく接するゲオルゲに、ジョニーはこれまで感じたことのない恋心を抱きはじめる。
というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。