Takaのエンタメ街道

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<週刊興行批評>春休みの定番・ドラえもんが夏休みに公開…ドラえもんで観客を呼び戻せるのか?

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先週末は「ドラえもん のび太の新恐竜」が公開。今週は本作の興行分析をしていきたいと思う。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。土日2日間で動員33万4000人、興収4億1300万円をあげ、初日から8月10日(月・祝)までの4日間の累計では動員63万人、興収7億6100万円を超える好スタートをきった。

2位は「今日から俺は!!劇場版」。土日2日間で動員16万7000人、興収2億1800万円をあげ、累計では動員262万人、興収33億円を突破した。

3位は「コンフィデンスマンJP プリンセス編」。土日2日間で動員12万6000人、興収1億8000万円をあげ、累計では動員153万人、興収20億円を突破している。

4位は初登場ぐらんぶる初日から3日間の累計興収は1億1000万円をあげた。

5位は初登場劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス」。初日から3日間の累計興収は5360万円をあげた。

6位は初登場3年目のデビュー」。初日から3日間の累計興収は4690万円をあげた。

7位は「もののけ姫」。累計で動員73万人、興収8億2000万円を突破。

8位は「千と千尋の神隠し」。累計で動員74万人、興収8億2500万円を突破。

9位は「風の谷のナウシカ」。累計で動員61万人、興収6億8300万円を突破。

10位は初登場EYES ON ME:The Movie」。初日から3日間の累計興収は2830万円をあげた。

少女☆歌劇レヴュー・スタァライト 再生産総集編 ロンド・ロンド・ロンド」は、全国28スクリーンで公開され、11位スタートとなった。

 

2.興収チェック!「ドラえもん のび太の新恐竜」

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先週末初登場1位にランクインしたのは「ドラえもん のび太の新恐竜」。「ドラえもん」の連載50周年、長編映画40作目という記念すべき作品。シリーズ最高の興収(53.7億円)を打ち立てた「のび太の宝島」の監督・今井一暁×脚本・川村元気が再びタッグを組み、長編映画シリーズ第1作となった「のび太の恐竜」を新たなるストーリーで描いていく。

ドラえもん」と言えば春休み映画の定番作品であり、本作も元々は3月6日に公開予定だった。しかし、コロナウイルスの感染拡大、特にメインターゲットとなっている学生の休校要請が取られていただけに公開1週間前に延期が発表された。

そして、公開日を「STAND BY ME ドラえもん2」の公開予定日であった8月7日に延期した(「STAND〜」は現在も公開日未定)。

また、本作はコロナ禍の映画館を救うキャンペーンの一環としてドラえもんのキャラたちが観客にマスク着用などの鑑賞マナーや映画館の換気の安全性を訴えて、映画館への入場を待っていた。

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春休みの定番だった映画が夏休みにスライドする異常事態とも言えるこの状況、果たしてどういう成績となったのか?

結果としては土日2日間で動員33万4000人、興収4億1300万円をあげた。これだけ見ても観客制限をかけた映画館としては上出来と言える成績だったように思える。しかし、今年の夏休み映画や過去のドラえもん映画と比べてみると少し状況は変わってくる。

今日から俺は!!劇場版」のオープニング成績(動員48万6000人、興収6億3100万円)との動員比69%、興収比65%、「コンフィデンスマンJP プリンセス編」のオープニング成績(動員28万6000人、興収4億500万円)との動員比117%、興収比102%と競合2作をあまり大きく引き離すことができなかった。

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また、近年のドラえもん映画と比較すると、前作「のび太の月面探査記」はおろか、声優陣を入れ替えた2006年以降でもかなり低い数字であることが明らかだ。観客制限が敷かれていることを加味しても、アニバーサリー作品として華々しいスタートとは言えないだろう。

原因は複合的であると思う。感染状況が深刻化してきたこと(ファミリー層をメインターゲットとしている本作ではどの作品以上に注視するべき点だ)、先ほど挙げた今日俺やコンフィデンスマンJPの競合2作が想像以上に手強いこともあるが、やはり宣伝不足というのも挙げられるのではないか?木村拓哉のゲスト声優参加やMr.Childrenの主題歌をもう少し推し出すべきだったように思える。ただ、この2つに関しては公開延期前についてもイマイチ推し出しが弱いとは感じていた点である(ミスチルの媒体露出は難しいにしても、キムタクの宣伝活動は出来なかったのだろうか?)。また、2つの定着がしていないこともあげるべきだろう。1つ目は先ほどから書いているように春休みから夏休みに移行したこと。しかも、今回は子供たちの夏休みの中盤で公開したため、春休み直前に公開して稼いでいく通常公開のときよりも稼ぎ期の期間が短いように思える。そして、2つ目はテレビアニメのレギュラー放送が金曜夜7時から土曜午後5時に引っ越したことだ。2018年10月 - 2019年9月の平均視聴率は7.04%だったが、引っ越した2019年10月 - 2020年現在までの平均視聴率は4.3%となっている。改編発表の際には土曜夕方帯のほうがファミリー層に楽しんでくれるのではないのかという理由を公表したが、視聴率自体では逆効果となっている(おかげで今年4月からBS朝日にて金曜夜7時より再放送枠が組まれるという事態も発生している)。また、こうした改編は映画宣伝にとっても悪手となった。というのも改編以前なら、映画公開前後にはクレヨンしんちゃんとの合同特番でしんちゃんのアニメを放送した後に前年の映画を放送して金曜夜の3時間を確保できたわけだが、移動したことにより、土曜夜の7時から9時という金曜夜よりも安定とは言えない時間帯での放送を強いられた*1。こうした点からテレビで映画を宣伝するというパワーを最大限に発揮出来ていなかったのではないかとも感じる。

結論として、今回のドラえもん映画は華々しいスタートとはいかなかったとするなら、そこには定着がしきれなかったことはあるように思える。ただ、4億円超えのスタートをこの状況を加味してどう捉えるかは考え所だ。ただ、こうした時期の定番映画であるアニメ映画シリーズが新たな時期に公開する是非については少し考える必要がありそうだ。9月公開のクレヨンしんちゃん、12月公開のポケモン…それぞれGW、夏休みの定番がズレることでどういった効果を生み出すのか。そして、来年以降、こうした定番アニメ映画は時期の軌道修正を行う事はできるのだろうか。

 

さて、ここまでドラえもん映画としての興収分析を行なったが、先週末のランキングを改めてご覧いただきたい。1位から10位までの中に洋画が入っていないのだ。「EYES ON ME」に関しては韓国製作、日本製作か映画サイトでも曖昧なため、今回は邦画区分で見るとしよう。ここ最近指摘している通り、洋画の公開不足がここにきて顕著化し始めてきたところだ。しかし、この見えない洋画の公開不足に対して、邦画が頑張ってくれるしかないだろう。そう思うと、今回のドラえもんのオープニング成績もいいように思えるし、きっと、ドラえもんも観客を呼び戻せているはずだ。

 

3.今週の注目作

インセプション」(8月14日公開)

ダークナイト」のクリストファー・ノーラン監督が、オリジナル脚本で描くSFアクション大作。

人が眠っている間にその潜在意識に侵入し、他人のアイデアを盗みだすという犯罪分野のスペシャリストのコブは、その才能ゆえに最愛の者を失い、国際指名手配犯となってしまう。そんな彼に、人生を取り戻す唯一のチャンス「インセプション」という最高難度のミッションが与えられる。

主人公コブにレオナルド・ディカプリオ、共演に渡辺謙、ジョセフ・ゴードン=レビット、マリオン・コティヤールエレン・ペイジほか。第83回アカデミー賞では作品賞をはじめ8部門にノミネートされ、撮影賞、視覚効果賞、音響編集賞、音響録音賞 と技術系の4部門を受賞した。ノーラン監督最新作「TENET テネット」の公開にあわせて、IMAX、4Dでリバイバル公開。

思い、思われ、ふり、ふられ」(8月14日公開)

ストロボ・エッジ」「アオハライド」で人気の漫画家・咲坂伊緒による人気青春恋愛コミックを浜辺美波北村匠海福本莉子赤楚衛二のキャストで実写映画化。

恋愛には積極的で社交的だが不器用な性格の朱里。夢見がちで恋愛には消極的、自分に自信が持てない由奈。そして、朱里の義理の弟の理央と由奈の幼なじみの和臣。同じ学校に通う高校1年生の4人は同じマンションに暮らしていた。憧れ、片思い、ある秘密……4人の四者四様のさまざまな思いがすれ違いながら交差していく。

「君の膵臓をたべたい」や「HELLO WORLD」でも共演してきた浜辺美波北村匠海が朱里役と理央役を務め、由奈役を福本莉子、和臣役を赤楚衛二がそれぞれ演じる。監督は「アオハライド」「フォルトゥナの瞳」など数々の青春・恋愛映画を手がける三木孝浩。

弱虫ペダル」(8月14日公開)

コミックス累計発行部数2500万部を突破し、アニメ版や舞台版も人気のスポーツ青春漫画「弱虫ペダル」を実写映画化。

運動が苦手で友達がいないアニメ好きの高校生・小野田坂道。ひょんなことから高校の自転車競技部に入った彼は、自転車選手として思わぬ才能を発揮する。そして初めてできた仲間のために、自分の限界や壁を越えてともに走る喜びを見いだしていく。

「King&Prince」の永瀬廉が「うちの執事が言うことには」に続き主演を務め、主人公の良きライバル・今泉俊輔を伊藤健太郎自転車競技部のマネージャー・寒咲幹を橋本環奈がそれぞれ演じる。監督は「旅猫リポート」「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」の三木康一郎

ディヴァイン・フューリー 使者」(8月14日公開)

ミッドナイト・ランナー」の主演パク・ソジュンとキム・ジュファン監督が再びタッグを組み、悪魔祓いをテーマに、若き格闘家とベテラン神父が悪に立ち向かう姿を描いたアクション。

幼少期に事故で父を亡くし、そのせいで神への信仰を失ったまま育った総合格闘技の若き世界チャンピオンのヨンフ。ある日、彼は右手に見覚えのない傷ができていることに気づく。傷について調べるうち、何かに導かれるかのようにバチカンから派遣されたエクソシストのアン神父と出会ったヨンフは、自身の内に秘められた正義の力の存在を知り……。

ジェクシー!  スマホを変えただけなのに」(8月14日公開) (PG12)

スマホに搭載されたある機能により、スマホにストーキングされてしまう男を描いたコメディ。監督、脚本は「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」の脚本家コンビ、ジョン・ルーカスとスコット・ムーア。

子どもの頃からスマホ依存症で、恋人も友だちもいないフィルが、スマホを機種変更した。新しいスマホにはすべての個人情報を把握し、生活すべてをコーチングする機能「ジェクシー」が搭載されていた。うだつの上がらないフィルの生活のすべてを一方的にコーチングするジェクシーに、フィルは振り回されるが、やがてジェクシーのおかげで恋人ができ、生活は劇的に変化していく。しかし、ジェフに恋人ができた途端に嫉妬に狂ったジェクシーが豹変し……。

人気コメディアンのアダム・ディバインがフィル役を演じるほか、アレクサンドラ・シップ、マイケル・ペーニャらが脇を固める。ジェクシーの声は「ピーターラビット」シリーズのローズ・バーンが担当した。吹替版も同時公開され、ジェクシー役に花澤香菜、フィル役に杉田智和のほか、竹達彩奈関智一小野大輔朴璐美木村昴が担当している。

ゆきゆきて、神軍」(8月14日公開)

ドキュメンタリー映画監督の原一男が、過激な手段で戦争責任を追及し続けるアナーキスト奥崎謙三の活動を追った傑作ドキュメンタリー。

神戸市で妻とバッテリー商を営む奥崎謙三は、自らを「神軍平等兵」と名乗り、「神軍」の旗たなびく車に乗って日本列島を疾駆する。ある日、自身がかつて所属していた独立工兵第36連隊で、終戦後23日も経ってから敵前逃亡の罪で2人の兵士が処刑されていたことを知った奥崎は、その遺族らとともに真相究明に乗り出す。時には暴力も辞さない奥崎の執拗な追及により、元兵士たちの口から事件の驚くべき真実と戦争の実態が明かされていく。

1987年の初公開時は単館上映ながら大ヒットを記録。第37回ベルリン国際映画祭カリガリ映画賞を受賞するなど、国内外で高く評価された。戦後75年、奥崎謙三生誕100周年となる今年、全国のミニシアターでリバイバル公開。

劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel] III. spring song」(8月15日公開)

TYPE-MOONの大ヒットPCゲーム「Fate/stay night」をアニメ映画化し、原作ゲームでヒロインのひとりである間桐桜を通して「聖杯戦争」の真実に迫るシナリオルート「Heaven's Feel」を描く3部作の第3章。

魔術師(マスター)と英霊(サーヴァント)が万能の願望機「聖杯」をめぐって繰り広げる「聖杯戦争」。間桐桜は自らが犯した罪とともに、闇に溺れてしまう。彼女を守ると誓った衛宮士郎遠坂凛と共闘し、聖杯戦争を終わらせるべく過酷な戦いに身を投じる。一方、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンは闘争の真実を知る者としてその運命と向き合い、間桐臓硯は桜を利用して自らの悲願をかなえようとする。

アニメーション制作はufotable、数々のTYPE-MOON作品のアニメ化を手掛けてきた須藤友徳が前2作に引き続き監督を務める。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

*1:実際問題、2019年は8.4%、2020年は5.2%と落ちている