Takaのエンタメ街道

一生を映画に捧ぐと決めたTakaが主に映画・テレビ・音楽について書くブログです。

#2021年映画ベスト10 を考えてみる

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時は2021年、コロナから完全に逃げ切れることもなく、全ての物事において清々しくやりきった感覚もなく、年が過ぎようとしている今日この頃を過ごしている筆者であります…さあ、今年もやってきました。その年に見た映画のベストを(勝手に)発表する企画です。

今年観た新作映画は67本。昨年が43本だったので、かなり増やしましたね…大学生の金銭事情(パンフレットを作品で必ず購入していることも加味すれば)を考えればかなり頑張ったほうだと勝手に思っています。

ただ、今月末に観ようとしていた呪術廻戦やらキングスマンは残念ながら年内に見れず、おそらく個人的に好みでありそうな「プロミシング・ヤング・ウーマン」も観れず、さらにはここ最近さらに熱を帯びている「ドライブ・マイ・カー」も3時間の映画という億劫さを言い訳に年内に観れず…まあ、来年、観れる映画館を知っているので、1月までには同じく濱口竜介監督の「偶然と想像」とセットで観れるかな…とは計画中。あとは「スパイダーマン」の新作に世界中が熱狂の渦にある中で日本は年内に観れないのもなんか悔しいですよね…2021年の映画のベストの枠を空けたいくらいだわ、それくらいの作品でしょ?まあ、ということでここでは2021年12月31日現在のランキングとして出したいと思います。もしかしたら、先程挙げた見逃した作品を1月までに観て、ランキングを変えることもあるかもしれませんが、そこまで大きく変わらないはず…と願い、ランキング発表していくぞ。

 

 

1.勝手にあげたいで賞

今年も開催。個人的にこれ良かったと思うものに勝手にあげるこのコーナー。今回はこうなりました。

 

・ベスト・アクター

「すばらしき世界」役所広司

孤狼の血 LEVEL2」「空白」松坂桃李

孤狼の血 LEVEL2」鈴木亮平

浅草キッド柳楽優弥

「パワー・オブ・ザ・ドッグ」ベネディクト・カンバーバッチ

役所広司鈴木亮平はもうその演技力は安定すぎて作品を食ってしまうような存在だと思ってますが、今回も見事だった。また、松坂桃李は2作品での演技が見事に対照的でありながら、芯がしっかりしている。柳楽優弥ビートたけし降臨芸も見事だったし(日本アカデミー賞には選考対象外なんだろうな…つくづくツイてない)、ベネディクト・カンバーバッチの圧力は物語にのめり込ませる魔力を放っていた。

・ベスト・サポート

「すばらしき世界」「あの頃。」仲野太賀

助演という角度で見ると、今年は仲野太賀の演技が光った年ではなかろうか?「すばらしき世界」、「あの頃。」と連続で銭湯シーンで演じてみせ、「あの頃。」では見事な土下座シーンを魅せた。個人的にはテレビドラマ「コントが始まる」を含めての勝手にあげたいで賞だ。

・ベスト・カメオ

「オールド」M・ナイト・シャマラン

「フリー・ガイ」「ドント・ルック・アップ」クリス・エヴァンス

何の役かは言うとネタバレになるので書けないが、このカメオ出演が面白かった!のはこの2人。「オールド」は監督本人が出て、実は…というメカニズムがいかに“映画”らしいといえる出演だったし、クリス・エヴァンスキャプテン・アメリカというイメージを利用した2作品へのカメオ出演は仕事を分かってらっしゃる…

・ベスト・ニューカマー

「キャラクター」Fukase

「ベイビーわるきゅーれ」阪元裕吾監督

「由宇子の天秤」春本雄二郎監督

SEKAI NO OWARIFukaseさんとは思えない、いや、あれはアーティストだからできる殺人鬼役だったのかな…という演技経験0とは思えない殺人鬼役を見事に演じたことを評価したいし、阪元裕吾監督と春本雄二郎監督は今後の活躍、価値観のアップデートに大いに期待できると思います。

・ベスト・コンビ

「ベイビーわるきゅーれ」ちさと&まひろ(高石あかり、伊澤彩織)

「ラストナイト・イン・ソーホー」エロイーズ&サンディ(トーマシン・マッケンジー、アニャ・テイラー=ジョイ)

今年はこの2作品のコンビが良かった。「ベイビーわるきゅーれ」のアクションはキレキレ/日常のゆるゆるさ、「ラストナイト・イン・ソーホー」の表裏一体さ、見事だった…「ベイビーわるきゅーれ」に関しては続編も決まったらしく、この二面性をまた味わえる日が来ると思うと待ち遠しいものもある。

 

・ベスト・アンサンブル

「パワー・オブ・ザ・ドッグ」

「ドント・ルック・アップ」

アンサンブル演技が見事だったのはNETFLIX映画のこの2作品。豪華キャストを起用しながら、全くその役者たちを無駄にしない、磨き上げられた演技を魅せる作品はこの賞をあげる…そういうことだ。

・ベスト・クリエイティブ

「花束みたいな恋をした」坂元裕二

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」庵野秀明鶴巻和哉中山勝一前田真宏

「イン・ザ・ハイツ」「Tick, tick... BOOM! : チック、チック…ブーン!」「ミラベルと魔法だらけの家」リン=マニュエル・ミラン

クリエイティブを感じたのはこの3人。坂元裕二の脚本力にはやられる。しばらく脚本休止期間に入っていたが、「花束みたいな恋をした」と「大豆田とわ子と三人の元夫」を引っ提げて帰ってきた2021年は最高だったし(恋愛をベタベタしたかったのだろうか…)、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の完結編だからといって妥協をしないエポックメイキングは評価するべきだし、何といっても今年はミュージカル映画の大量生産だった年にリン=マニュエル・ミランダの名をここまで聞くことになろうとは…思ってもいなかったので、今年は勝手にリン=マニュエル・ミランダの年、そう呼びたいくらいでした。

・ベスト・リバイバル

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q EVANGELION:3.333」

「アレックス STRAIGHT CUT」

今年もリバイバル上映を9本ほど観させていただいたが、何よりエヴァの旧劇場版をスクリーンで観る体験をできたことはなかなか大きかったように思う。もちろん、エヴァQのIMAX上映もだ。ギャスパー・ノエの「アレックス」を時間軸を元のルートにした再編集版も現代に訴えかけるものは多かったように思う。

・ベスト・ソング

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」「VOYAGER〜日付のない墓標」「One Last Kiss」 「Beautiful World (Da Capo Version)」

「キャラクター」「character」

シン・エヴァのラストに松任谷由実の「さよならジュピター」のテーマソングを流して完結するとは思わなかったし、さらには宇多田ヒカルの「Beautiful World」をバックに「終結」と出たときは新劇場版というシリーズの重みを感じてしまった。「Da Capo Version」はオリジナル版では表現できない年齢の重み、子の誕生、母の死を経験した宇多田ヒカルの歌声とメロディーだと思うと同時にエヴァの静かなる墓標の礎を築いたと思う。

また、「character」はYaffleのサウンドにRin音とずっと真夜中でいいのに。のACAねのリリックが共鳴する主題歌は近年の邦画主題歌の中でもかなりの出来だと勝手に思ってます。

・ベスト・サントラ

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」

「イン・ザ・ハイツ」

「パワー・オブ・ザ・ドッグ」

鷺巣詩郎エヴァ音楽を評価できるのももうないだろうからここで評価をしておきたい。特にオープニングのあの壮大なメロディーはエヴァに新たな息吹を吹き込んだようにも思った。先ほども書いたようにリン=マニュエル・ミランダの年とも言える今年は「イン・ザ・ハイツ」のサントラで評価を。また、「パワー・オブ・ザ・ドッグ」のジョニー・グリーンウッドの音楽の力は作品の魅力を掻き立たせてくれたように思う。

・ベスト・オープニング

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」

先ほども書いたように↓の曲が流れながらの荒廃した街をシンジ、アスカ、レイがそれぞれ歩くこのオープニングシーンは従来のエヴァの規模を超えるものを提示させる予感を与える良いオープニングだったと思う。

・ベスト・シーン

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」ゲンドウ補完計画/アスカとシンジの別れ

「フリー・ガイ」ガイvsデュード

「シン・エヴァ」からはゲンドウとアスカ、それぞれの独白を選出。やはり、作品としてゲンドウがここまで自身の過去について自らの口で話すような描写があったことに拍手したいし、アスカとあの場所で最後のシーンとするのはなんか救われた…って感じがした。「フリー・ガイ」に関してはディズニーに買収されたことを大いに活かし、皆が興奮したあのシーンを。

・ベスト・エンディング

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」

るろうに剣心 最終章 The Beginning」

「アナザーラウンド」

「由宇子の天秤」

「シン・エヴァ」がエヴァを見事に終焉させたことにこの賞をあげるのはもちろんだが、実写版るろ剣の最後のあの画はもちろんのこと、あそこから第1作へと繋がる円環構造は日本の漫画実写映画がとうとうここまで辿り着いたという密かな勝利でもあった。

「アナザーラウンド」のマッツのダンスも最高だし、「由宇子の天秤」のラストの音楽が何も入らないエンドロールに考えるものもあった。

・ベスト・映画ニュース

「シン・仮面ライダー」制作決定!

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が100億円を突破!

 

今年は庵野秀明関連のニュース2つを。やはり、「シン・エヴァ」の公開から1ヶ月で監督の新作が仮面ライダーでしたとなったときは腰を抜かしそうになったし、再来年の公開に期待を膨らませる。もちろん、「シン・エヴァ」が100億を突破したのも嬉しいニュース。改めて作品の力を実感したものです。

・ベスト・トレイラー

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」

G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ」

 

マトリックス レザレクションズ」

 

今年はこの3作品を。「シン・エヴァ」は相変わらず作品のここを見せる/見せないの采配が上手いし、「G.I.ジョー」のアニメのオープニング風予告は映画館で観ようと思わせてくれた予告でした(じゃなかったら配信でいいや…とかなっていた)。マトリックスは正直、この予告を映画館で何回も観てるときがピークかもしれない…ていうか、インタラクティブ・トレーラーの仕様の方が本作より全然興奮してしまっている自分がいる…

・ベスト・パンフレット

「花束みたいな恋をした」

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」

ガメラ3部作

映画を観た後のパンフレットに必要なことは自分で気づかなかったこと/分からなかったことの補完と後に観たときにその作品の状況を思い出すためにあると思う。その点ではこの3作品のパンフレットは良かったように思う。特に「花束みたいな恋をした」のカルチャー用語解説はかなり網羅されており、副読書としては完璧だ…とは思った。表紙も見事。

・ナイス宣伝賞

「アオラレ」アオってんじゃねぇ!

クソタイトルだとか言われているこの作品もラッセル・クロウ本人が「アオってんじゃねぇ!」と言わせたことは宣伝として面白がすぎるぜ…とは思った。おかげで作品観ましたから。宣伝効果はあった。

・名誉賞

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」庵野秀明

「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」ダニエル・クレイグ

エヴァの完結とダニエル・クレイグジェームズ・ボンドの卒業に餞を。お疲れさまです…

 

2.次点

さて、ランキングに行く前に惜しくもベスト10に入らなかった次点を10本。

KCIA 南山の部長たち

韓国の朴正煕大統領が暗殺された事件を描いたポリティカルサスペンス。イ・ビョンホンの闇深さが良く、まるで織田信長明智光秀による本能寺の変を見せられているような攻防で面白い…他の方もベスト10に入れてる人も多くて、その面白さを再認識。

・騙し絵の牙 

 

大泉洋に当て書きした小説を大泉洋主演で実写映画化した作品。宣伝は「あなたは騙される」というよくある話にしているが、出版業界の仁義なき戦い、策略を描いた作品。狭まる業界の中で何を仕掛けるかの面白さが良い。

唐人街探偵 東京MISSION

これをベスト!って言っている人、なかなかいないと思うんですけど、私はやられた…と思いました。娯楽作品の基礎を出来ずに応用に突っ走る作品もある中でこの作品は基礎の土台を固めに固め、日本の東京という舞台をフルパワーに活かし、事件を解決していくという「世界よ、娯楽はこうやるんだよ。」と見せつける様はやられた…名探偵コナンとかマジでこれ見て、改めてコナンでやるべきことを考えるべきなのでは?とも思った。

イン・ザ・ハイツ

リン=マニュエル・ミランダの年!ということで選んだのはこの作品。ワシントンハイツに暮らす人々の夢を描いたミュージカル。歌の力の凄さを感じた一作だ。

孤狼の血 LEVEL2

 

松坂桃李の狂犬ぶりが倍増する中で放たれる鈴木亮平の暴走。バイオレンスをマシマシに、物語は東映ヤクザものに韓国ノワールを混ぜ合わせ、新時代のヤクザ映画の誕生を高らかに宣言した。

サマー・オブ・ソウル (あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)

 

ウッドストックが開催された1969年の夏に行われたもうひとつの音楽フェスティバル「ハーレム・カルチュラル・フェスティバル」に焦点を当てたドキュメンタリー。1969年という時代の転換点に黒人カルチャーのフェスは何を残したのか。50年の時を経て蘇る映像は見事だった。

アナザーラウンド

「血中アルコール濃度を一定に保つと仕事の効率が良くなり想像力がみなぎる」という理論を証明するために酒を飲みまくる映画。そして、酒によって失うものを描いた映画。そして、マッツ・ミケルセンの気持ち良いダンスを見届ける映画でもある。

DUNE/デューン 砂の惑星

 

様々な作品に影響を与えた「砂の惑星」をドゥニ・ヴィルヌーヴが映像化した作品。その難題でさえもドゥニはまるで軽々と答えを出したかのように映像で魅せてくる。ただ、続編がどうなるかによっては評価が変わるかも…ってことで次点。

・エターナルズ

MCUで「ノマドランド」のクロエ・ジャオ監督がメガホンを取ると聞いて、恐る恐る観に行ったら、すごかった。人類の歴史にエターナルズは関わっており、そのエターナルズが人類の危機のために再び集結する。150分あってもその物語のボリュームが描ききれてないのもまだまだ物語を話す余剰があるのですね…

・パワー・オブ・ザ・ドッグ

ジェーン・カンピオン監督の久々の作品。全編を包み込む緊張感と嫌な微笑みが終始背後から感じる雰囲気が絶妙な一作。

 

というわけで、以上、次点の10作品でした。

 

3.2021年映画ベスト10

さあ、お待たせしました。いよいよトップ10の発表。果たしてどんな作品をトップにしたのか…

ちなみに過去のトップ10の一覧はご覧の通り…

第10位

ドント・ルック・アップ

 

分断、格差、SNS、嘲笑…2021年の社会状況が生み出してしまった彗星衝突に揺れるディザスター映画。最後の最後までめちゃくちゃ笑えて、めちゃくちゃ笑えないアダム・マッケイ監督のシナリオはさらに磨きがかかり、レオナルド・ディカプリオの熱演が光る一作。

第9位

ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結

 

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」もどきを作り大失敗した前作から5年。じゃあ、作ったジェームズ・ガン本人を呼べば面白くなるのでは?という誰もが考えそうなことをワーナーが本気で実現させた結果、前作の何百倍も面白い傑作が誕生した。それぞれのキャラ設定、中心へと攻めるという分かりやすい舞台設定、怪獣の暴走、楽曲のセンス、R指定なのでお構いなしのグロ描写…スーサイド・スクワッドで描かなければならないことをジェームズ・ガンのセンスによって光らせた千載一遇の傑作が誕生した。

第8位

由宇子の天秤

 

女子高生のいじめ自殺事件のドキュメンタリーを担当する由宇子が父の学習塾で起きた事件によって様々な選択を迫られるドラマ。揺らぎ、答えの出ない正義に152分、由宇子も観客も心を頭を掻き回される。

第7位

空白

 

こちらも「由宇子の天秤」と同じく、事件から正義が揺らぐ一作(セットで観て欲しいレベル)。女子中学生の万引きを追いかけた先で起こる交通事故から起こる父親とスーパーの店長の激突、そして、誰も救われない正義の衝突が始まる。「ヒメアノ〜ル」の吉田恵輔監督による終始救われるかハラハラさせる物語に古田新太松坂桃李がぶつかり合う。松坂桃李に関しては「孤狼の血」と同じ役者ですか?という力も相まって本当に素晴らしい…

第6位

アイの歌声を聴かせて

近未来SFアニメ×青春冒険モノ×ミュージカル…吉浦康裕監督の十八番芸にディズニーへのオマージュを含めることで誰もが楽しめるアニメーションが完成した。土屋太鳳、福原遥の声優としての見事と言える一作である。だが、これが映画ファンの中で「ヒットしてない…」と話し草にされてしまう始末…これを機に吉浦康裕監督が評価…されるのだろうか?されて欲しいよね……

第5位

すばらしき世界

刑務所から出所した三上を待ち受ける社会の居づらさ…今年は先程も挙げた「由宇子の天秤」、「空白」など社会に差し伸べられない手、揺らぐ正義を描いた作品は多かったが、この作品のラスト、メッセージ性に敵うものはなかった。役所広司の芝居で作品の力を押し上げた悲喜劇。

第4位

最後の決闘裁判

 

ここまで筆圧の濃いハリウッド映画を久々に観た気がする…カルージュ、ル・グリ、カルージュの妻マルグリットの三者の視点で語られる羅生門スタイルで事件を描き、決闘裁判を観せることで見えてくる序盤とは違う苦み。リドリー・スコットの手腕、ニコール・ホロフセナー、ベン・アフレックマット・デイモンの脚本、マット・デイモンアダム・ドライバー、ジョディ・カマーの演技に唸らされる…同じくリドリー・スコット監督×アダム・ドライバーの「ハウス・オブ・グッチ」にも期待がかかる。

第3位

ラストナイト・イン・ソーホー

60年代への憧れを抱くエロイーズが60年代のサンディと出会うことで始まる楽園に潜む悪夢。トーマシン・マッケンジーとアニャ・テイラー=ジョイを主人公にした見事な映像美、話のミスリード、美術とカメラワークの素晴らしさ…エドガー・ライト監督作の過去作をあまりハマれなかった自分としてはこの作品の出来には監督が遥か先を行く成長を感じた。

第2位

花束みたいな恋をした

2015年から2020年までのカルチャー文脈を活かして描かれる恋の始点から終点。菅田将暉有村架純の恋に興奮したわけじゃない。カルチャーのくっつき、離れで恋を、人間模様を描いたことに猛烈に興奮をしたのだ。そして、何よりこの作品のおかげでAwesome City Clubが紅白出場まで上り詰め(インスパイアソングの普及もあるね…)、この作品のおかげかどうかは知らないが、天竺鼠をよくテレビで見かけるようになった(特に瀬下の体張り芸)。「大豆田とわ子と三人の元夫」といい、坂元裕二の脚本、「コントが始まる」といい、菅田将暉×有村架純の演技力の素晴らしさを改めて知った。

第1位

シン・エヴァンゲリオン劇場版

2021年、それは自分にとってはエヴァ終結を見届けたことが最大のトピックであり、それは同時にエヴァを含め、東京五輪の開閉会式問題、マトリックスの復活と平成、90年代(世紀末)カルチャーの落とし前でもあったのではないか?と感じる。そして、その落とし前、折り合いをつけるためにはエヴァQからは8年、TVシリーズからは四半世紀の時が必要であったということである。

 

ということでトップ10はこのようになりました。いかがでしょうか?

⑩ドント・ルック・アップ

⑨ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結

⑧由宇子の天秤

⑦空白

⑥アイの歌声を聴かせて

⑤すばらしき世界

④最後の決闘裁判

③ラストナイト・イン・ソーホー

②花束みたいな恋をした

①シン・エヴァンゲリオン劇場版

 

4.総評

ということで今年のベスト10を出したところで総括を。今年、映画を観てきて、一番感じたのは邦画の傑作が非常に多いことでした。メジャー、インディーズ問わずにここまで良作が誕生したのはないかもしれない。ベスト10に挙げてないだけでこれも入れたい!と思わせてくれる邦画が多かったことは役者、スタッフの今後のさらなる成長に期待したいな…と思わせてくれる一年でした。また、今年は音楽の力が強い一年でもあったのかな…と思いました。ベスト10に入れた「アイの歌声を聴かせて」はもちろん、次点の「イン・ザ・ハイツ」や「サマー・オブ・ソウル」、選出はしませんでしたが、「アメリカン・ユートピア」や「竜とそばかすの姫」も音楽、ミュージカル映画でした。また、今年公開はされなかったものの、スピルバーグが「ウエスト・サイド・ストーリー」を、レオス・カラックススパークルズで音楽映画を描いたのも印象的でした。様々なクリエイターが音楽の力をいつも以上に活かした年でもあったのかな…と思いました。

さて、来年はどんな映画に出会えるやら。個人的にはサム・ライミMCU参戦も期待したいし、ジュラシック・ワールドがどんな世界を見せてくれるか、スパイダーバースとアバターの続編もありますし、邦画では「大怪獣のあとしまつ」や「シン・ウルトラマン」といった特撮作品もあれば、新海誠湯浅政明の新作も公開予定だから楽しみではあります。来年はストリーミングの作品も観れるようにしていきたい…ってのも目標にしつつ、締めさせていただきます。

 

ここまで読んでくださってありがとうございました。それでは良いお年をお迎えください。