今週は2020年の夏休み映画の展開を考えていきます。
1.先週末のランキング
まずは、先週末のランキングを見てみましょう。
1位は「千と千尋の神隠し」。累計興収は3億1330万円となっている。
2位は「もののけ姫」。累計興収は3億120万円となっている。
3位は「風の谷のナウシカ」。
4位は「ランボー ラスト・ブラッド」。累計興収は2億9840万円を突破。
5位は「ドクター・ドリトル」。累計興収は4億2520万円を突破。
6位は初登場「MOTHER マザー」。初日から3日間の累計は動員3万4630人、興収4740万円となっている。
7位は「ソニック・ザ・ムービー」。累計興収は1億1210万円を突破。
8位は「ゲド戦記」。累計興収は5130万円を突破。
9位は「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」。累計興収は2億5510万円を突破。
10位は「水曜日が消えた」。累計興収は1億4950万円を突破。
2.2020年夏休み映画を考える
さて、今週は夏休み映画について考えていこうと思うわけだが、何せこのご時世、例年のような盛り上がりとはいかない状況だ。だが、今年の春休みやGWと違い、映画館の灯りを消さないように作品は用意されてる状況である。現時点で予定されているヒットしそうな作品をピックアップしていこう。
まず、7月17日に公開されるのが「今日から俺は!! 劇場版」。
2018年10月期に日テレで放送された西森博之の代表作を福田雄一監督、賀来賢人、伊藤健太郎といった豪華キャストで実写化されたドラマの劇場版だ。最終回での視聴率が12.3%を獲得し、反響も大きかった作品なだけにヒットが予想される。
7月23日に公開されるのが「コンフィデンスマンJP プリンセス編」。
昨年、「ロマンス編」が公開され29.7億円というヒットを記録した長澤まさみ、小日向文世、東出昌大主演のドラマの劇場版第2弾。前作ほどとまではいかないかもしれないが、十分にヒットする見込みはある。
8月7日に公開されるのが「ドラえもん のび太の新恐竜」。
「ドラえもん」連載50周年、映画シリーズ40作記念作品。シリーズ最大のヒットとなった2018年の「のび太の宝島」チーム(監督・今村一暁×脚本・川村元気)により、「のび太の恐竜」が新たなるストーリーとして登場する。春休みの定番となっていたドラえもんシリーズが「STAND BY ME ドラえもん2」が公開予定だった夏休みにスライドイン。ファミリー層がどれだけ来てくれるのだろうか?安定のブランド力が試される。
同じく、8月7日に公開されるのが「ぐらんぶる」。
スキューバダイビングクラブを舞台にした青春コメディ漫画を実写映画化。竜星涼、犬飼貴丈らが原作通りの裸の熱演に公開前から注目されていた。5月の公開予定から「るろうに剣心 最終章」が公開予定だった8月のスライドインにより、さらに季節にあった映画となりそうだ。
8月14日に公開されるのが「思い、思われ、ふり、ふられ」。
「アオハライド」、「ストロボ・エッジ」の咲坂伊緒のマンガを三木孝浩監督、浜辺美波×北村匠海×福本莉子×赤楚衛二で実写映画化。夏休みの青春映画としてヒットの可能性はある。
同じく、8月14日に公開されるのが「弱虫ペダル」。
アニメ版もヒットしているスポーツ青春マンガを永瀬廉、伊藤健太郎、橋本環奈主演で実写映画化。原作の力は発揮できるのか否か?
8月15日に公開されるのが「Fate/stay night [Heaven's Feel] III. spring song」。
同名PCゲームをアニメ映画化し、原作ゲームでヒロインのひとりである間桐桜を通して「聖杯戦争」の真実に迫るシナリオルート「Heaven's Feel」を描く3部作の最終章。前2作がどちらも10億円を超えるヒットを生み出し、固定ファン層が離れないことからほぼ同じようなヒットを生み出しそうだ。
8月21日に公開されるのが「2分の1の魔法」。
亡くなった父親にもう一度会いたいと願う兄弟が、魔法によって半分だけ復活した父親を完全によみがえらせるため奮闘する姿を描くピクサー最新作。ピクサー作品は安定してヒットを記録する作品が多いため、夏休み映画としても期待できる。
同じく、8月21日に公開されるのが「糸」。
中島みゆきの「糸」をベースに男女のラブストーリーを平成史を交えて描いていく。菅田将暉、小松菜奈ら今の日本映画を代表するキャストが集結した作品なだけにヒットが期待される。
8月28日に公開されるのが「青くて痛くて脆い」。
「君の膵臓でたべたい」で知られる住野よる原作による青春サスペンスを吉沢亮、杉咲花主演で映画化。キミスイがヒットしたが、こちらは果たして?
同じく、8月28日に公開されるのが「事故物件 恐い間取り」。
実際に9軒の事故物件に住んだ事故物件住みます芸人・松原タニシの実体験を記したノンフィクションを亀梨和也主演、中田秀夫監督で映画化。今年の夏休みのホラーはこれに任されたようなものだが、Jホラー、今度こそヒットなるか?
以上のようなラインアップとなっている。今後、さらに追加されるかもしれないが、メジャー作品がこれ以上の新作を今から発表するのも宣伝期間が短くなってしまうのでないだろう。ということで、この夏休みはやはりファミリー層とティーン層という今の映画館においては欠かせないお客さんをどこまで呼び戻せるかにかかっている。この夏休みで50〜100億の作品がすぐ出るところまでは無理かもしれないが、まずは10億円を突破する作品が生まれること、出来れば30億円クラスの作品が何本か出れば今回の夏休み映画商戦は成功といって良いのではないか?観客制限が敷かれた中での夏休みの映画館…どうかたまに観に来ていた人がふとしたきっかけで、1日の遊びの一つでも良いから、戻ってきますように。
3.今週の注目作
「ダークナイト」(7月10日公開)
DCコミックスの人気ヒーロー、バットマンの誕生を、クリストファー・ノーラン監督&クリスチャン・ベール主演で描いた「バットマン ビギンズ」の続編。
ゴッサム・シティに現れた史上最悪の犯罪者ジョーカー。バットマン=ブルース・ウェインは、協力するゴードン警部補や新任地方検事ハービー・デントらとともにジョーカーに立ち向かうが……。
2008年に製作・公開され、全米で当時歴代2位となる5億ドルを超える興行収入を記録し、全世界興収も10億ドルの大ヒットを記録。重厚かつ圧倒的なリアリティで支持を集め、第81回アカデミー賞にも8部門にノミネートされるなどコミック原作映画の歴史を塗り替えた一作。なかでも「悪のカリスマ」と呼ばれるジョーカーを演じたヒース・レジャーは撮影直後に急逝するが、本作が公開されるとその演技が絶賛され、アカデミー助演男優賞を受賞した。
クリストファー・ノーラン監督の「TENET テネット」公開にあわせ、IMAX版と4D版でリバイバル公開。
「WAVES ウェイブス」(7月10日公開) (PG12)
「イット・カムズ・アット・ナイト」のトレイ・エドワード・シュルツが監督・脚本を手がけた青春ドラマ。
ある夜を境に幸せな日常を失った兄妹の姿を通し、青春の挫折、恋愛、親子問題、家族の絆といった普遍的なテーマを描く。フロリダで暮らす高校生タイラーは、成績優秀でレスリング部のスター選手、さらに美しい恋人もいる。厳格な父との間に距離を感じながらも、何不自由のない毎日を送っていた。しかし肩の負傷により大切な試合への出場を禁じられ、そこへ追い打ちをかけるように恋人の妊娠が判明。人生の歯車が狂い始めた彼は自分を見失い、やがて決定的な悲劇が起こる。1年後、心を閉ざした妹エミリーの前に、すべての事情を知りながらも彼女に好意を寄せるルークが現れる。
主人公タイラーを「イット・カムズ・アット・ナイト」のケルビン・ハリソン・Jr.、ルークを「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のルーカス・ヘッジズがそれぞれ演じる。
「透明人間」(7月10日公開) (PG12)
「ソウ」シリーズの脚本家リー・ワネルが監督・脚本を手がけ、透明人間の恐怖をサスペンスフルに描いたサイコスリラー。
富豪の天才科学者エイドリアンに束縛される生活を送るセシリアは、ある夜、計画的に脱出を図る。悲しみに暮れるエイドリアンは手首を切って自殺し、莫大な財産の一部を彼女に残す。しかし、セシリアは彼の死を疑っていた。やがて彼女の周囲で不可解な出来事が次々と起こり、命まで脅かされるように。見えない何かに襲われていることを証明しようとするセシリアだったが……。
主演は、テレビドラマ「ハンドメイズ・テイル 侍女の物語」のエリザベス・モス。
「エレファント・マン 4K修復版」(7月10日公開)
19世紀末のロンドンを舞台に実在した奇形の青年ジョン・メリックの悲劇の人生を、「イレーザーヘッド」のデヴィッド・リンチ監督が描き、鬼才リンチの名を世界にとどろかせた名作。
見世物小屋で「エレファント・マン」として暮らしていた青年メリックの前に、ある日、外科医のトリーヴスという男が現れる。メリックの特異な容姿に興味を持ったトリーヴスは、メリックを研究材料にするため、自分が勤める病院に連れ帰ることに。何も話さず怯え続けるメリックを、周囲は知能が低いと思っていた。しかしある時、メリックが知性にあふれた優しい性格であることが判明するが……。
本国公開から40年を迎えた今年、4K修復版でリバイバル公開される。
「私がモテてどうすんだ」(7月10日公開)
第40回講談社漫画賞・少女部門を受賞し、2016年にテレビアニメ化もされた同名人気コミックを実写映画化。
アニメキャラやクラスのイケメン男子たちのBLを妄想するのが大好きな女子高生・芹沼花依は、大好きなアニメキャラが死んだショックで1週間寝込んだことで激ヤセし、誰もが振り向く美女に変身する。そんな彼女に、スーパーイケメン男子高生の六見遊馬、五十嵐祐輔、七島希、四ノ宮隼人が熱烈なアプローチを開始。彼らをBL目線で妄想してしまうのをこらえ、真剣に向き合おうとする花依だったが……。
「THE RAMPAGE from EXILE TRIBE」の吉野北人が遊馬役で初主演を果し、ヒロインの花依役は激ヤセ後を「E-girls」の山口乃々華、それ以前を「ブスの瞳に恋してる2019」「ソロモンの偽証」の富田望生が演じる。監督は「HiGH&LOW」シリーズの脚本を手がけた平沼紀久。
「オールド・ガード」(7月10日NETFLIXにて配信)
「スーパーマン」「ワンダーウーマン」「ウルヴァリン」などのアメリカンコミックライター、グレッグ・ルッカによる同名グラフィックノベルを、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」「アトミック・ブロンド」のシャーリーズ・セロン主演で実写化したアクション。
兵士アンディ率いる秘密の特殊部隊「オールド・ガード」。永遠の命を持つ不死身の傭兵たちで構成されるその部隊は、何世紀にもわたり、歴史の影で暗躍し、誰にも知られることなく人類を守り続けてきた。ある日、彼女たちの特別な能力が何者かによって暴かれてしまう。ある陰謀のためにその能力の複製を企む強大な謎の組織の手段を選ばない脅威がアンディたちを襲う。
アンディ役をシャーリーズ・セロンが演じるほか、キキ・レイン、マーワン・ケンザリ、ハリー・メリング、ベロニカ・グゥらが顔をそろえる。監督は「リリィ、はちみつ色の秘密」「ワン・オン・ワン ファイナル・ゲーム」のジーナ・プリンス=バイスウッド。
「スパイ in デンジャー」(7月10日Disney+にて配信)
「メイ・イン・ブラック」「アラジン」のウィル・スミスと、「スパイダーマン」「アベンジャーズ」シリーズのトム・ホランドが声優を務め、「アイス・エイジ」「ブルー 初めての空へ」のブルースカイ・スタジオが手がけたスパイアクションアニメ。
どんな危険なミッションもクールにこなすスパイのランス・スターリングは、ある任務で押収した最新鋭の武器を横流ししたという濡れ衣を着せられ、追われる身になってしまう。事の真相を追求するうちに、世界の平和を脅かす恐ろしい陰謀を知ったランスは、同じく情報局をクビになったばかりの若き発明家ウォルター・ベケットを頼ることに。ウォルターの開発した「透明になる薬」を飲んでピンチを乗り切ろうとしたランスだったが、手違いでハトの姿に変身してしまい……。
監督はこれが長編初作品となるトロイ・クアネ&ニック・ブルーノ。
「今日から俺は!!劇場版」(7月17日公開)
西森博之の人気漫画を賀来賢人と伊藤健太郎の共演、福田雄一監督の演出・脚本で新たに実写化し、2018年に放送されて人気を博したテレビドラマの映画版。賀来、伊藤、清野菜名、橋本環奈らドラマ版キャストに加え、柳楽優弥、山本舞香らが出演し、原作でも人気の高いエピソード「北根壊(ほくねい)編」が描かれる。
1980年代の軟葉高校。転校を機につっぱりデビューした2年生の三橋貴志と同じ日に転校してきたトゲトゲ頭の伊藤真司は、コンビを組んで次々とやってくる強敵を返り討ちにしていく毎日を送っていた。3年になったある日、かつて壮絶な戦いを繰り広げた不良の巣窟・開久高校の一角を隣町の北根壊高校が間借りすることになった。極悪高校で名の通った北根壊の番長・柳鋭次と大嶽重弘は、智司と相良という「頭」を失った開久の生徒たち相手に妙な商売を始める。一方その頃、怪しいスケバン・涼子が今井に近づこうとしていた。
「劇場」(7月17日公開)
「火花」で芥川賞を受賞した又吉直樹の2作目となる同名小説を、主演・山崎賢人、ヒロイン・松岡茉優、行定勲監督のメガホンで映画化。
中学からの友人と立ち上げた劇団で脚本家兼演出家を担う永田。しかし、永田の作り上げる前衛的な作風は酷評され、客足も伸びず、ついに劇団員たちも永田を見放し、劇団は解散状態となってしまう。厳しい現実と理想とする演劇のはざまで悩む永田は、言いようのない孤独と戦っていた。そんなある日、永田は自分と同じスニーカーを履いている沙希を見かけ、彼女に声をかける。沙希は女優になる夢を抱いて上京し、服飾の大学に通っている学生だった。こうして2人の恋ははじまり、お金のない永田が沙希の部屋に転がり込む形で2人の生活がスタートする。沙希は自分の夢を重ねるかのように永田を応援し、永田も自分を理解し支えてくれる沙希を大切に思いながら、理想と現実と間を埋めるかのようにますます演劇にのめりこんでいく。
「ステップ」(7月17日公開)
妻に先立たれて男手ひとつで娘を育てるシングルファーザーと、母親を亡くし父と2人で人生を歩む娘の10年間の足跡を描いた重松清の同名小説を、山田孝之主演で映画化。
結婚3年目、30歳という若さで妻の朋子に先立たれた健一。妻の父母から1人娘の美紀を引き取ろうかと声をかけてもらったが、健一は妻と時間をともにした妻の気配が漂うこの家で、娘と天国にいる妻との新しい生活を始めることを決める。娘の美紀の保育園から小学校卒業までの10年間、さまざまな壁にぶつかりながらも、亡き妻を思いながら、健一はゆっくりと歩みを進めていく。
山田孝之が自身初のシングルファーザー役を演じるほか、國村隼、余貴美子、広末涼子、伊藤沙莉、川栄李奈らが顔をそろえる。監督は「虹色デイズ」「大人ドロップ」の飯塚健。
「悪人伝」(7月17日公開)
「新感染 ファイナル・エクスプレス」で一躍トップスターとなり、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品「エターナルズ」でハリウッド進出を果たすマ・ドンソク主演のバイオレンスアクション。
凶悪なヤクザの組長チャン・ドンスが、ある夜何者かによってめった刺しにされた。奇跡的に一命をとりとめたドンスは、対立する組織の犯行を疑い、犯人捜しに動き出す。一方、警察サイドで捜査にあたるチョン刑事は暴力的な手段も辞さない荒くれ者として、署内でも問題刑事として知られていた。まだ世間の誰も気づいていない連続無差別殺人鬼がこの事件の犯人であると確信したチョン刑事は、その手がかりを求めてドンスにつきまとう。ドンスとチョン刑事は互いに敵意をむき出しにするが、狡猾な殺人鬼を突き止めるには互いの情報が必要であると悟り、共闘して犯人を追い詰めてゆく。
「パブリック 図書館の奇跡」(7月17日公開)
「ブレックファスト・クラブ」「レポマン」などで知られる俳優で、「ボビー」「星の旅人たち」など映画監督としても活動するエミリオ・エステベスが製作、監督、脚本、主演を務めたヒューマンドラマ。
オハイオ州シンシナティの公共図書館のワンフロアが約70人のホームレスたちに占拠された。記録的な大寒波の影響により、市の緊急シェルターがいっぱいで彼らの行き場がなくなってしまったのだ。彼らの苦境を察した図書館員スチュアートは図書館の出入り口を封鎖するなどし、立てこもったホームレスたちと行動をともにする。スチュアートにとってそれは、避難場所を求める平和的なデモのつもりだった。しかし、政治的イメージアップをねらう検察官やメディアのセンセーショナルな報道により、スチュアートは心に問題を抱えた危険な容疑者に仕立てられてしまう。
エミリオ・エステベスが主人公のスチュアート役を演じるほか、アレック・ボールドウィン、クリスチャン・スレイター、ジェフリー・ライト、ジェナ・マローン、テイラー・シリングらが顔をそろえる。
「ブリット=マリーの幸せなひとりだち」(7月17日公開)
「幸せなひとりぼっち」の原作者フレドリック・バックマンによる小説「ブリット=マリーはここにいた」を映画化したスウェーデン発のヒューマンドラマ。
結婚して40年になる専業主婦ブリット=マリーは、仕事で忙しい夫のために毎日食事を作り、家の中を奇麗に整えておくことが自分の役割だと信じ続けてきた。そんなある日、ひょんなことから夫の長年の愛人の存在を知った彼女は、これまでの生活を変えるべくスーツケースひとつで家を出る。しかし働いた経験などほとんどない63歳の彼女にまともな職は見つからず、ようやくありついたのは、小さな田舎町ボリのユースセンターの管理人兼、地域の子どもたちのサッカーチームのコーチという仕事だった。
主演は「愛の風景」のペルニラ・アウグスト。「ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男」などの女優ツバ・ノボトニーが監督を務めた。
「リトル・ジョー」(7月17日公開)
幸せになる香りを放つという新種の植物がもたらす不安を描き、主演のエミリー・ビーチャムが第72回カンヌ国際映画祭で主演女優賞を受賞した異色のスリラー。
幸せになる香りを放つ新種の植物「リトル・ジョー」を開発した研究者でシングルマザーのアリスは、ワーカホリックで息子のジョーときちんと向き合えていないことに罪悪感を抱きながら、日々の研究にいそしんでいた。息子のジョーへの贈り物として、彼女にとってもう1人の息子であるリトル・ジョーを自宅に持ち帰る。しかし、リトル・ジョーの香りを嗅いだジョーが奇妙な行動をとり、花粉を吸い込んだアリスの助手クリスもいつもとは違う様子を見せ始める。
監督はミヒャエル・ハネケの助手を務め、「ルルドの泉で」で注目された気鋭の女性監督ジェシカ・ハウスナー。
「グレース・オブ・ゴッド 告発の時」(7月17日公開)
「8人の女たち」「2重螺旋の恋人」のフランソワ・オゾン監督がフランスで実際に起こった神父による児童への性的虐待事件を描き、第69回ベルリン国際映画祭で審査員グランプリ(銀熊賞)を受賞した作品。
妻と子どもたちとともにリヨンに暮らすアレクサンドルは、幼少期にプレナ神父から性的虐待を受けた過去を抱えていた。アレクサンドルは、プレナ神父が現在も子どもたちに聖書を教えていることを知り、家族を守るために過去の出来事の告発を決意する。彼と同様に神父の被害に遭い、傷を抱えてきた男たちの輪が徐々に広がっていく中、教会側はプレナの罪を認めながらも、責任を巧みにかわそうとする。信仰と告発の狭間で葛藤するアレクサンドルたち。彼らは沈黙を破った代償として社会や家族との軋轢とも戦うこととなる。
「「進撃の巨人」クロニクル」(7月17日公開)
諫山創の大ヒットコミック「進撃の巨人」のテレビアニメシリーズ第1~3期の再編集版。テレビシリーズの完結編となる「The Final Season」の放送を前に、2013年のSeason1、17年のSeason2、そして18年から19年にかけて放送されたSeason3の全3シーズン、59話で描かれた物語を振り返る構成で、巨人の侵攻によって人類を守る壁が壊された日から、すべての巨人を駆逐すると誓った少年エレン・イェーガーの戦いと成長の軌跡を追う。
主人公エレン役の梶裕貴、ミカサ・アッカーマン役の石川由依、アルミン・アルレルト役の井上麻里奈がナレーションも務める。
というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。