Takaのエンタメ街道

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<週刊興行批評>「ムーラン」の配信スルーと新作公開後17日での配信解禁…映画館が選ぶ決断と未来

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いよいよ2020年も8月に突入。日本の映画も夏休み商戦に入ってきたわけだが、今年は一味も二味も違う。新型コロナウイルス感染拡大防止のための客席制限、期待作の公開延期、何よりもアメリカの映画館の長期的で先の見えない休館によってメジャー洋画の深刻的な不足が襲う。そして、今週、アメリカでは今後の映画館の行き末を考える上でも大きなトピックスが2つ報じられた。今回はその2つのトピックスを取り上げながら、映画館の未来を考える。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「今日から俺は!!劇場版」。土日2日間で動員23万1000人、興収2億7600万円をあげ、累計では動員208万人、興収26億円を突破している。

2位は「コンフィデンスマンJP プリンセス編」。土日2日間で動員18万9000人、興収2億4000万円をあげ、累計では動員113万人、興収15億円を突破した。

3位は「もののけ姫」。累計興収は7億6600万円を突破。

4位は「千と千尋の神隠し累計興収は7億7500万円を突破。

5位は「風の谷のナウシカ」。累計興収は6億4200万円を突破。

6位は「劇場版 ひみつ×戦士 ファントミラージュ! 〜映画になってちょーだいします〜」。累計興収は9500万円を突破。

7位は「私がモテてどうすんだ」。累計興収は1億7600万円を突破。

8位は「透明人間」。累計興収は1億7400万円を突破。

9位は初登場人体のサバイバル!/がんばれいわ!!ロボコン」。

10位は初登場ダンケルク」。同じくクリストファー・ノーラン監督最新作の「TENET テネット」公開(9/18公開)に合わせて、IMAX、4D、Dolby Cinemaの3形態でリバイバル上映。IMAX版の上映前には「TENET テネット」の6分間のプロローグ映像が流されてる。

 

2.「ムーラン」の配信スルーと新作公開後17日での配信解禁…映画館が選ぶ決断と未来

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先週末も今日俺とコンフィデンスマンJPの週末興収が2億円とコロナ禍の夏休みとしては想像よりも早い回復の兆しを見せている日本の映画興行。しかし、アメリカに視点を置くと、そうはいかない。最大のシネコンチェーン・AMCは8月下旬まで開館しないことを既に発表しており、アメリカとしては最大の稼ぎ期であるサマーシーズンの興行を展開できなくなっている。今も1日あたり5万人前後の感染者を出してるだけにすぐに開館できないとはいえ、この状況は世界の映画業界においては痛手としか言えない。ハリウッド映画の公開が出来ないということでもあるからだ。日本でもメジャー洋画の公開は8月の「2分の1の魔法」、9月の「TENET テネット」、「キングスマン ファースト・エージェント」、10月の「ワンダーウーマン 1984」、「ナイル殺人事件」、11月の「ブラック・ウィドウ」、「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」、12月の「ソウルフル・ワールド」、「ウエスト・サイド・ストーリー」とつづくが、既に春に海外で公開済みの「2分の1の魔法」以外は海外で公開されていないので日付通りに公開ができることは確証されていない

そんな危険な綱渡りの最中、大きなトピックスが2つ入ってきた。

まず、1つ目は映画会社・ユニバーサルがAMCとの間で劇場公開されたユニバーサル作品を公開初日から17日後にオンデマンド配信する契約で合意したことを発表した。

この期間での配信にも驚きだが、そもそもAMCとユニバーサルとはこの契約発表までは対立を見せていた。それは今年の4月、ドリームワークスによるアニメ「トロールズ ミュージック★パワー」(日本でも10/2劇場公開予定)を公開予定日だった4月10日に48時間レンタルで19.99ドル(約2110円)として販売を開始した。これが約3週間で1億ドルの売上を記録を達成し、ユニバーサルのCEOが今後は劇場公開と配信の両フォーマットで作品を出す方針を発表。これにAMCのCEOが激怒。ユニバーサルが劇場と配信の両方を採用するならば、今後、ユニバーサル作品は一切公開しないことを断言していた。こうした対立劇があっただけにこの発表は発表内容も含めて大きな驚きを持って迎えられた。

2つ目はディズニーが「ムーラン」をアメリカ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、西ヨーロッパ諸国では同社が展開している動画配信サービス・Disney+で9/4より配信することを発表した。

元々、「ムーラン」は3/27→7/24→8/21と公開延期を発表していたが、7月には無期限延期を発表したばかりだった。想定よりもDisney+の会員数が早く上昇していることから一部地域で配信スルーを決断。29.99ドル(約3100円)での販売を決断した。なお、日本を含めアジア地域では配信地域に含まれていないが、日本でもサービスを開始しているだけに配信する可能性もあり得るが、日本で展開しているDisney+は4Kに対応していないなど他国とのサービスより劣っていたりするため、配信スルーした暁にはそれ相応の批判が出ることは確実だろう。

 

以上の2つのトピックスはアメリカの長期的な映画館の閉鎖と配信スルーした作品の興行的成功から出てきたものであるが、日本も例外ではない。ユニバーサルやディズニーといったメジャー映画会社が主力作を配信でも公開するということになれば、日本も対応を迫られることになる。そして、その成績次第では配信作品の拡充もあり得るし、配信作品を日本だけ見送ったり、映画館のラインナップが崩れ、先行きが危うくなることもあり得る。

個人的には日本が映画を配信で観る体制がそこまで整っているとは思えないので、最悪の未来としてただでさえ映画の鑑賞回数が少ないといったことが話題に挙がるこの国において、劇場も配信も共倒れ、洋画の公開本数の低下があり得る。これは最悪中の最悪の展開のためそうはあって欲しくないが、日本がすぐにこうした配信作品の対応ができるとは思えない(邦画になれば製作委員会の判断により尚更難しい可能性もある)。だが、数年後には配信の整備も進んでいることだろう。だが、この記事においては数年単位のスパンでの話をすることはしない。

とりあえず、「ムーラン」が日本では劇場公開か配信スルーかあるいは劇場と配信の並行公開かの決断を見守りたいところだ。このコロナ禍によって改めて映画館で映画を観るということが贅沢でありながらも、映画を観るにおいてはパーフェクトな鑑賞体験をさせてくれることを感じた。それはあたりまえであるが、そのあたりまえが崩れてしまうかもしれないことが今、まさに世界の映画業界で起ころうとしているのだ。この夏休み商戦をどう捉え、これからにどう繋げるか。日本においてはそこが重要になる。

最後にこのツイートを貼って締めたいと思う。これはフランスの「Cinépal」のオーナーであるジェラルド・レモイン氏が「ムーラン」の劇場の広報展示物(スタンド)を破壊している様子を捉えた映像だ。

この12秒の映像からあなたは何を考えるだろうか。2020年の映画館、劇場で公開するはずだった作品の一つが配信に奪われてしまい、稼ぎ頭を失ってしまったこと。その悲しみと怒りを映像から自分は感じた。もうこれ以上、こんな光景が生まれないためにも映画館が元気で続けられるストーリーを配給会社は作るべきである。 映画にとって映画館で上映されることこそがゴールであり続けて欲しい。

 

3.今週の注目作

ドラえもん のび太の新恐竜」(8月7日公開)

国民的アニメ「ドラえもん」の長編映画40作目。シリーズ最高の興行収入53.7億円を打ち立てた「ドラえもん のび太の宝島」(2018)の監督・今井一暁×脚本・川村元気が再びタッグを組み、のび太と双子の恐竜の出会いから始まる物語を、長編映画シリーズ第1作「のび太の恐竜」(1980)とは異なるオリジナルストーリーで描く。

ある時、恐竜博の化石発掘体験で化石を見つけたのび太は、それを恐竜のたまごだと信じ、ドラえもんひみつ道具「タイムふろしき」で化石を元の状態に戻す。するとそこから、新種の双子の恐竜が生まれる。2匹をキューとミューと名づけて育てるのび太だったが、やがて限界がきてしまい、2匹を元の時代に返すことに。ドラえもんや仲間たちとともに6600万年前の世界へと旅立ったのび太は、キューとミューの仲間を探す中で謎の島にたどり着き……。

ぐらんぶる」(8月7日公開) (PG12)

キューバダイビングクラブを舞台にしながらも、ほとんどダイビングをしないという型破りな展開で人気を集める青春コメディ漫画「ぐらんぶる」を、人気若手俳優竜星涼と犬飼貴丈のダブル主演で実写映画化。

美しい海に囲まれた大学に入った伊織は、気のあう友人やかわいい女子と送る「キラキラな大学生活」を夢見ていた。しかし、オリエンテーションの朝、伊織はなぜか服も記憶もない状態で大学の講堂にいた。あわてふためく伊織は、同じく全裸で記憶がない、無駄にイケメンなオタクの耕平と出会う。やがて2人は、常識が通用しない、何もかもがぶっとんだダイビングサークルにたどり着くのだが……。

ほぼ全裸のシーンも体当たりで演じた主演の竜星涼と犬飼貴丈のほか、映画初出演の乃木坂46与田祐希がヒロイン役で共演。「映像研には手を出すな!」「東京リベンジャーズ」など監督作が相次ぐ英勉がメガホンをとった。

ハニーボーイ」(8月7日公開) (PG12)

ワンダー 君は太陽」「クワイエット・プレイス」シリーズのノア・ジュプ演じる人気子役の心の成長を描いたヒューマンドラマ。「トランスフォーマー」「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」のシャイア・ラブーフが自らの経験をもとに初めて脚本を手がけ、主人公の父親役で出演もしている。

ハリウッドで人気子役として活躍する12歳のオーティスと、彼のマネージャーを務める父のジェームズ。前科者で無職のジェームズの不器用な愛情表現に、オーティスは常に振り回されていた。そんなオーティスを心配する保護観察官のトム、モーテルに住む隣人の少女、共演する俳優たち。彼らとの交流を経て、オーティスは新たな世界へと踏み出していくが……。

ノア・ジュプが12歳のオーティス、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のルーカス・ヘッジズが10年後のオーティスをそれぞれ演じる。

ディック・ロングはなぜ死んだのか?」(8月7日公開) (PG12)

田舎町で起こったある殺人事件の顛末を描いた、「スイス・アーミー・マン」のダニエル・シャイナート監督によるダークコメディ。

売れないバンド仲間のジーク、アール、ディックは、練習と称してガレージに集まり、いつものようにバカ騒ぎをしていたが、ある原因によってディックが突然死んでしまう。誰もが知り合いの平穏な小さな田舎町では、事件の噂がまたたく間に広がり、人びとの話題はディックの死でもちきりになる。殺人事件として警察が捜査を進める中、ディック死亡の真相を知るジークとアールは、なぜか彼の死因をひた隠しにし、自分たちの痕跡を揉み消そうとする。

ジョーンの秘密」(8月7日公開) (PG12)

スパイ容疑で逮捕された80代の老女の数奇な実話をもとにしたジェニー・ルーニーのベストセラー小説を「恋におちたシェイクスピア」のオスカー女優、ジュディ・デンチ主演で映画化。

夫に先立たれ、仕事も引退し、イギリス郊外で穏やかな一人暮らしを送っていたジョーン・スタンリーが突然訪ねてきたMI5に逮捕されてしまう。彼女にかけられたのは、半世紀以上も前にロシアのKGBに核開発の機密情報を漏えいしていたというスパイ容疑だった。ジョーンは無罪を主張するが、外務事務次官のW・ミッチェル卿の死後に見つかった資料などから、彼女の驚がくの過去が次々と明らかとなる。

ジョーン役をジュディ・デンチ、若かりし頃のジョーン役を「キングスマン」のソフィー・クックソン、ロシア人の恋人レオ役をテレビシリーズ「女王ヴィクトリア」のトム・ヒューズがそれぞれ演じる。監督はジュディ・デンチの舞台作品の演出を数多く手がけたトレバー・ナン。

3年目のデビュー」(8月7日公開)

人気アイドルグループ「日向坂46」のドキュメンタリー映画。前身の「けやき坂46(ひらがなけやき)」からグループ名を改め、2019年3月にデビューシングル「キュン」をリリースし、同年末にはNHK紅白歌合戦にも出場を果たすなど躍進を遂げたデビュー1年目に密着。

先輩グループである「欅坂46」の存在感に圧倒されながら、自分たちのアイデンティティを模索していた「けやき坂46」当時や、改名という大きな変化をきっかけに2度目のスタートを切り、大きな壁を乗り越えようと走り続けるメンバーたちの日々の輝きや苦悩を映し出す。

TBS CSで放送の「セルフ Documentary of 日向坂46」の制作チームが手がけた。

劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス」(8月7日公開)

ウルトラマンタロウの息子ウルトラマンタイガの活躍を描き、2019年7月からテレビ放送の特撮ドラマ「ウルトラマンタイガ」の劇場版。

13年の「ウルトラマンギンガ」以降のウルトラシリーズで活躍したギンガ、ビクトリー、エックス、オーブ、ジード、ロッソ、ブルも登場し、タイガとあわえて8人の新世代ウルトラマンが集結する。

タイガ、タイタス、フーマという3人のウルトラマンに変身する能力を持つ工藤ヒロユキ。数々の戦いを経てヒロユキとタイガたちの絆は深まっていたが、そんなヒロユキを何者かが狙っていた。そのことを知った新世代のウルトラマンたちが、ヒロユキを救うべく続々と集結。そして、タイガの父であるウルトラマンタロウも地球にやってくるが、タロウは息子であるタイガに襲いかかってくる。

少女☆歌劇 レヴュー・スタァライト ロンド・ロンド・ロンド」(8月7日公開)

2018年に放送されたテレビアニメ「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」の総集編劇場版。

未来の舞台女優を目指し、演劇の学び舎「聖翔音楽学園」に通う9人の少女たちが、謎のオーディションに挑み、“輝く星”をつかむべく舞台上で奮闘する姿を描いたテレビシリーズ全12話を再編集した。舞台で生きていくことを夢見て聖翔音楽学園で日々レッスンに励んでいた舞台少女の愛城華恋のもとに、転校生の神楽ひかりがやってくる。彼女こそ、幼い日に別れた華恋の幼なじみで、憧れの舞台「スタァライト」に一緒に立つことを約束した舞台少女だった。

アニメ版と舞台版がリンクするメディアミックスプロジェクトとして展開されており、ミュージカル女優の富田麻帆や声優の三森すずこら、さまざまなジャンルから選ばれた舞台版キャストがアニメ版でも声優を務めた。

EYES ON ME:THE MOVIE」(8月7日公開)

日韓合同グローバルグループとして国内外で活躍する12人組女性アイドル「IZ*ONE(アイズワン)」のコンサートフィルム。

韓国の音楽専門チャンネル「Mnet」のオーディション番組「PRODUCE101」と、日本の人気アイドル「AKB48」グループがコラボレートしたオーディション番組「PRODUCE48」から生まれた、日本人3人と韓国人9人の12人のメンバーで構成される「IZ*ONE」。2018年10年に韓国、19年2月に日本でそれぞれデビューCDを発売すると、瞬く間に人気を集めた同グループが、19年6月から開催した初のアジアコンサートツアー「EYES ON ME」に密着。韓国公演の模様を中心に、迫力のライブ映像やバックステージでのメンバーの様子なども収めた。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。