Takaのエンタメ街道

一生を映画に捧ぐと決めたTakaが主に映画・テレビ・音楽について書くブログです。

<週刊興行批評>「Fate」が初登場1位!「ドラえもん」を上回るオープニング成績を叩き出す!

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先週末は「Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」が公開。今回は本作の興行分析と先週に引き続き、先週末のランキングの状況を考える。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は初登場劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」。土日2日間で動員27万人、興収4億7500万円をあげた。

2位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。土日2日間で動員23万人、興収2億8600万円をあげ、累計では早くも動員138万人、興収16億円を突破している。

3位は「今日から俺は!!劇場版」。土日2日間で動員18万5000人、興収2億3800万円をあげ、累計では動員322万人、興収40億円を突破した。

4位は「コンフィデンスマンJP プリンセス編」。土日2日間で動員11万9000人、興収1億6600万円をあげ、累計では動員191万人、興収26億円を突破した。

5位は初登場弱虫ペダル」。土日2日間で動員10万5000人、興収1億3800万円をあげ、初日から3日間の累計は動員19万5000人、興収2億4800万円をあげた。

6位は初登場思い、思われ、ふり、ふられ」。初日から3日間の累計は動員16万4000人、興収2億円をあげた。

7位は「ぐらんぶる」。累計興収は2億8000万円を突破。

8位は「3年目のデビュー」。累計興収は1億2100万円を突破。

9位は初登場東映まんがまつり 2020」。

10位は初登場インセプション」。クリストファー・ノーラン監督の最新作「TENET テネット」(9/18公開)に合わせて、IMAX、4Dバージョンがリバイバル上映されている。

 

2.興収チェック!「劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」

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先週、初登場1位にランクインしたのは「劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」。TYPE-MOONのPCゲーム「Fate/stay night」をアニメ映画化し、原作ゲームでヒロインのひとりである間桐桜を通して「聖杯戦争」の真実に迫るシナリオルート「Heaven's Feel」を描く3部作の最終章。元々は3月28日から公開予定だったが、公開2日前に新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点や初週末が外出自粛要請が発表されたことから公開を4月25日に延期。その後、政府として緊急事態宣言が発せられて、全国の映画館の営業休止を余儀なくされたことから再び延期。そして、8月15日からようやく公開に踏み切ることができた。

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初週末の土日2日間で動員27万人、興収4億7500万円をあげた。これは前作「II. lost butterfly」(動員27万7000人、興収4億9100万円)に比べて、動員比、興収比ともに97%とほぼ変わらない成績を挙げている。本シリーズは固定客が強いこともあるが、実はこれは現在公開中の「ドラえもん のび太の新恐竜」の成績(動員33万4000人、興収4億1300万円)に比べて、動員比81%、興収比115%と興収が上回っている。しかも、ドラえもんが377スクリーンであるのに対して、Fateは156スクリーンと半分の規模でドラえもんを超えているのだ。いかにFateブランドが強いか、スクリーンで待ち望んでいた客がいたのかが証明された。

 

3.先週末のランキングにも新作洋画はランクインせず…

前回も書いているが、ランキングには洋画がランクインしていない。厳密には10位に「インセプション」がランクインしていたが、本作は2010年製作のため、新作洋画がランクインしていないと書くのが正しいだろう。今週末は「2分の1の魔法」がランクインするのでこのような事態は先週末までとなりそうだが、果たして今後同じような事態となるのだろうか。改めて、主要な洋画の公開スケジュール、アメリカの公開スケジュールを確認しよう。

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いよいよ来週あたりからアメリカでもメジャー作品が劇場公開されるように予定されており、そのうちの何作かは日本でもほぼ間隔を空けずに公開予定だ。どれだけヒットするのだろうか。また、オスカーに向けた作品の中では配信に向けて公開する作品も出てくる。NETFLIXなどの日本上陸されているサービスはまだ良いが、上陸されてないサービスや見放題サービスに入ったない作品の日本上陸はあるのか。日本で劇場公開される洋画の健闘に期待したい。

 

4.今週の注目作

」(8月21日公開)

1998年にリリースされた中島みゆきのヒット曲「糸」をモチーフに、菅田将暉小松菜奈演じる平成元年に生まれた男女の18年間を生活者からの視点から見た平成史とともに描いていく、瀬々敬久監督作品。

平成元年生まれの高橋漣と園田葵。北海道で育ち、13歳の時に出会った2人は初めての恋をするが、葵は母親に連れられて北海道を去ってしまう。8年後、21歳になった漣は、友人の結婚式のため訪れた東京で葵との再会を果たす。しかし、漣は北海道でチーズ職人、葵は東京、沖縄へと自分の世界を広げ、2人は別の人生を歩み始めていた。さらに10年の時が流れた平成最後の年、2人は運命の糸によってふたたびめぐり会うこととなる。

漣役の菅田将暉、葵役の小松菜奈のほか、斎藤工榮倉奈々山本美月倍賞美津子成田凌二階堂ふみ高杉真宙らが顔をそろえる。

2分の1の魔法」(8月21日公開)

リメンバー・ミー」「トイ・ストーリー4」のピクサー・アニメーションによる長編作品。

亡くなった父親にもう一度会いたいと願う兄弟が、魔法によって半分だけ復活した父親を完全によみがえらせるため奮闘する姿を描いた。かつては魔法に満ちていたが、科学技術の進歩にともない魔法が忘れ去られてしまった世界。家族思いで優しいが、なにをやってもうまくいかない少年イアンには、隠れた魔法の才能があった。そんなイアンの願いは、自分が生まれる前に亡くなってしまった父親に一目会うこと。16歳の誕生日に、亡き父が母に託した魔法の杖とともに、「父を24時間だけよみがえらせる魔法」を書かれた手紙を手にしたイアンは、早速その魔法を試すが失敗。父を半分だけの姿で復活させてしまう。イアンは好奇心旺盛な兄バーリーとともに、父を完全によみがえらせる魔法を探す旅に出るが……。

監督は「モンスターズ・ユニバーシティ」を手がけたダン・スキャンロン。主人公の兄弟は弟・イアン役にトム・ホランド(吹替:志尊淳)、兄・バーリー役にクリス・プラット(吹替:城田優)が演じる。

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー」(8月21日公開) (PG12)

「リチャード・ジュエル」「トロン:レガシー」などの女優オリヴィア・ワイルドが長編監督デビューを果たし、女子高生2人組が高校最後の一夜に繰り広げる騒動を描いた青春コメディ。

高校卒業を目前にしたエイミーと親友モリーは成績優秀な優等生であることを誇りに思っていたが、遊んでばかりいたはずの同級生もハイレベルな進路を歩むことを知り、自信を失ってしまう。勉強のために犠牲にしてきた時間を一気に取り戻すべく、卒業パーティへ繰り出すことを決意する2人だったが……。

主演は俳優ジョナ・ヒルの妹としても知られる「レディ・バード」のビーニー・フェルドスタインと、「ショート・ターム」のケイトリン・デバー。「俺たち」シリーズのウィル・フェレルとアダム・マッケイが製作総指揮。

海の上のピアニスト 4Kデジタル修復版」(8月21日公開)

ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督と映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネがタッグを組み、船上で生まれ育ち一度も船を降りることがなかったピアニストの生涯を描いたドラマ。

1900年。豪華客船ヴァージニアン号の機関士ダニーは、ダンスホールのピアノの上に置き去りにされた赤ん坊を見つけ、その子に「ナインティーン・ハンドレッド」と名付けて育て始める。船という揺りかごですくすくと成長したナインティーン・ハンドレッド。ある晩、乗客たちは世にも美しいピアノの旋律を耳にする。ダンスホールのピアノに座って弾いていたのは、ナインティーン・ハンドレッドだった。

公開から約20年を経た今年、トルナトーレ監督の監修による4Kデジタル修復版(121分)が公開。また、9月4日からは99年公開時には実現しなかった170分の「イタリア完全版」も初公開される。

グッバイ、リチャード!」(8月21日公開) (R15+)

ジョニー・デップが主演を務め、余命180日の大学教授が残された時間をありのままに生きることで人生の愛おしさを見いだしていく姿をユーモラスに描いたヒューマンドラマ。

美しい妻や素直な娘と何不自由ない暮らしを送る大学教授リチャードは、医師から突然の余命宣告を受ける。追い打ちをかけるように妻から不倫を告白され、死を前に怖いものなしとなった彼は、残りの人生を自分のために謳歌することを決意。ルールや立場に縛られない新しい生き方はこれまでにない喜びをリチャードに与え、そんな彼の自由な言動は周囲にも影響を及ぼしていくが……。

共演は「レイチェルの結婚」のローズマリー・デウィット、「ゾンビランド ダブルタップ」のゾーイ・ドゥイッチ、「ワンダーウーマン」のダニー・ヒューストン

きっと、またあえる」(8月21日公開)

ダンガル きっと、つよくなる」のニテーシュ・ティワーリー監督が、自身の大学時代のエピソードなども盛り込みながら、1990年代インドの工科大学の学生寮を舞台に、主人公と仲間たちの友情を描いた一作。

息子が受験に失敗し、病院に担ぎ込まれたアニ。そこへいまは親世代となった悪友たちが集まり、アニの息子を励ますため学生時代の奮闘記を語り始める。90年代、インドでもトップクラスのボンベイ工科大学に入学したアニだったが、学生寮は負け犬ばかりが集まるといわれるボロボロの4号寮に振り分けられる。アニと4号寮の仲間たちは、寮対抗の競技会で「負け犬寮」の汚名を返上すべく、知恵とやる気と団結力でさまざまな競技を勝ち抜いていくのだが……。

主人公アニ役に「PK」のスシャント・シン・ラージプート、ヒロインとなるマヤ役に「サーホー」のシュラッダー・カプール

狂武蔵」(8月21日公開)

70分以上におよぶワンシーン・ワンカット撮影、400人斬りシーンなどを盛り込んだアクション時代劇。日本映画のアクションシーンを牽引するTAK∴(坂口拓)が主演を務め、初の時代劇映画となる山崎賢人が「キングダム」に続き坂口と共演を果たした。

慶長9年、宮本武蔵による2度の道場破りにより、師範の清十郎とその弟・伝七郎を失った名門・吉岡道場。面目を潰された一門は、まだ9歳の清十郎の嫡男・吉岡又七郎と武蔵との決闘を仕込み、一門全員で武蔵を襲う計略を練る。決闘場のまわりに身を潜める、一門100人と金で雇った他流派300人の前に、突如現れた武蔵が襲いかかる。

2020年の公開よりも9年前に坂口によって撮影されていたが、長らく日の目を見ずに眠っていた作品で、「GANTZ」「キングダム」のアクション監督・下村勇ニが全体の仕上げを担当して完成させた。

映画 ギヴン」(8月22日公開)

キヅナツキの同名BLコミックを原作にフジテレビの「ノイタミナ」で放送されたテレビアニメを、フジテレビによるBLに特化したアニメレーベル「BLUE LYNX」の2作目として劇場アニメ化。

高校生の真冬と立夏の切なく淡い恋を描いたテレビ版に続き、バンドの大人メンバーである春樹、秋彦、雨月の苦く熱い恋を中心に描く。高校生の上ノ山立夏は佐藤真冬の歌声に衝撃を受け、中山春樹、梶秋彦と組んでいるバンドのボーカルとして真冬を加入させる。ライブを成功させ、バンド「ギヴン」として活動を本格始動する中で、立夏は真冬への思いを自覚するようになり、2人は付き合いはじめる。一方、春樹は長年にわたり秋彦に恋心を抱いていたが、秋彦は同居人のバイオリニスト、雨月との関係を続けていた。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>春休みの定番・ドラえもんが夏休みに公開…ドラえもんで観客を呼び戻せるのか?

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先週末は「ドラえもん のび太の新恐竜」が公開。今週は本作の興行分析をしていきたいと思う。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。土日2日間で動員33万4000人、興収4億1300万円をあげ、初日から8月10日(月・祝)までの4日間の累計では動員63万人、興収7億6100万円を超える好スタートをきった。

2位は「今日から俺は!!劇場版」。土日2日間で動員16万7000人、興収2億1800万円をあげ、累計では動員262万人、興収33億円を突破した。

3位は「コンフィデンスマンJP プリンセス編」。土日2日間で動員12万6000人、興収1億8000万円をあげ、累計では動員153万人、興収20億円を突破している。

4位は初登場ぐらんぶる初日から3日間の累計興収は1億1000万円をあげた。

5位は初登場劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス」。初日から3日間の累計興収は5360万円をあげた。

6位は初登場3年目のデビュー」。初日から3日間の累計興収は4690万円をあげた。

7位は「もののけ姫」。累計で動員73万人、興収8億2000万円を突破。

8位は「千と千尋の神隠し」。累計で動員74万人、興収8億2500万円を突破。

9位は「風の谷のナウシカ」。累計で動員61万人、興収6億8300万円を突破。

10位は初登場EYES ON ME:The Movie」。初日から3日間の累計興収は2830万円をあげた。

少女☆歌劇レヴュー・スタァライト 再生産総集編 ロンド・ロンド・ロンド」は、全国28スクリーンで公開され、11位スタートとなった。

 

2.興収チェック!「ドラえもん のび太の新恐竜」

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先週末初登場1位にランクインしたのは「ドラえもん のび太の新恐竜」。「ドラえもん」の連載50周年、長編映画40作目という記念すべき作品。シリーズ最高の興収(53.7億円)を打ち立てた「のび太の宝島」の監督・今井一暁×脚本・川村元気が再びタッグを組み、長編映画シリーズ第1作となった「のび太の恐竜」を新たなるストーリーで描いていく。

ドラえもん」と言えば春休み映画の定番作品であり、本作も元々は3月6日に公開予定だった。しかし、コロナウイルスの感染拡大、特にメインターゲットとなっている学生の休校要請が取られていただけに公開1週間前に延期が発表された。

そして、公開日を「STAND BY ME ドラえもん2」の公開予定日であった8月7日に延期した(「STAND〜」は現在も公開日未定)。

また、本作はコロナ禍の映画館を救うキャンペーンの一環としてドラえもんのキャラたちが観客にマスク着用などの鑑賞マナーや映画館の換気の安全性を訴えて、映画館への入場を待っていた。

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春休みの定番だった映画が夏休みにスライドする異常事態とも言えるこの状況、果たしてどういう成績となったのか?

結果としては土日2日間で動員33万4000人、興収4億1300万円をあげた。これだけ見ても観客制限をかけた映画館としては上出来と言える成績だったように思える。しかし、今年の夏休み映画や過去のドラえもん映画と比べてみると少し状況は変わってくる。

今日から俺は!!劇場版」のオープニング成績(動員48万6000人、興収6億3100万円)との動員比69%、興収比65%、「コンフィデンスマンJP プリンセス編」のオープニング成績(動員28万6000人、興収4億500万円)との動員比117%、興収比102%と競合2作をあまり大きく引き離すことができなかった。

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また、近年のドラえもん映画と比較すると、前作「のび太の月面探査記」はおろか、声優陣を入れ替えた2006年以降でもかなり低い数字であることが明らかだ。観客制限が敷かれていることを加味しても、アニバーサリー作品として華々しいスタートとは言えないだろう。

原因は複合的であると思う。感染状況が深刻化してきたこと(ファミリー層をメインターゲットとしている本作ではどの作品以上に注視するべき点だ)、先ほど挙げた今日俺やコンフィデンスマンJPの競合2作が想像以上に手強いこともあるが、やはり宣伝不足というのも挙げられるのではないか?木村拓哉のゲスト声優参加やMr.Childrenの主題歌をもう少し推し出すべきだったように思える。ただ、この2つに関しては公開延期前についてもイマイチ推し出しが弱いとは感じていた点である(ミスチルの媒体露出は難しいにしても、キムタクの宣伝活動は出来なかったのだろうか?)。また、2つの定着がしていないこともあげるべきだろう。1つ目は先ほどから書いているように春休みから夏休みに移行したこと。しかも、今回は子供たちの夏休みの中盤で公開したため、春休み直前に公開して稼いでいく通常公開のときよりも稼ぎ期の期間が短いように思える。そして、2つ目はテレビアニメのレギュラー放送が金曜夜7時から土曜午後5時に引っ越したことだ。2018年10月 - 2019年9月の平均視聴率は7.04%だったが、引っ越した2019年10月 - 2020年現在までの平均視聴率は4.3%となっている。改編発表の際には土曜夕方帯のほうがファミリー層に楽しんでくれるのではないのかという理由を公表したが、視聴率自体では逆効果となっている(おかげで今年4月からBS朝日にて金曜夜7時より再放送枠が組まれるという事態も発生している)。また、こうした改編は映画宣伝にとっても悪手となった。というのも改編以前なら、映画公開前後にはクレヨンしんちゃんとの合同特番でしんちゃんのアニメを放送した後に前年の映画を放送して金曜夜の3時間を確保できたわけだが、移動したことにより、土曜夜の7時から9時という金曜夜よりも安定とは言えない時間帯での放送を強いられた*1。こうした点からテレビで映画を宣伝するというパワーを最大限に発揮出来ていなかったのではないかとも感じる。

結論として、今回のドラえもん映画は華々しいスタートとはいかなかったとするなら、そこには定着がしきれなかったことはあるように思える。ただ、4億円超えのスタートをこの状況を加味してどう捉えるかは考え所だ。ただ、こうした時期の定番映画であるアニメ映画シリーズが新たな時期に公開する是非については少し考える必要がありそうだ。9月公開のクレヨンしんちゃん、12月公開のポケモン…それぞれGW、夏休みの定番がズレることでどういった効果を生み出すのか。そして、来年以降、こうした定番アニメ映画は時期の軌道修正を行う事はできるのだろうか。

 

さて、ここまでドラえもん映画としての興収分析を行なったが、先週末のランキングを改めてご覧いただきたい。1位から10位までの中に洋画が入っていないのだ。「EYES ON ME」に関しては韓国製作、日本製作か映画サイトでも曖昧なため、今回は邦画区分で見るとしよう。ここ最近指摘している通り、洋画の公開不足がここにきて顕著化し始めてきたところだ。しかし、この見えない洋画の公開不足に対して、邦画が頑張ってくれるしかないだろう。そう思うと、今回のドラえもんのオープニング成績もいいように思えるし、きっと、ドラえもんも観客を呼び戻せているはずだ。

 

3.今週の注目作

インセプション」(8月14日公開)

ダークナイト」のクリストファー・ノーラン監督が、オリジナル脚本で描くSFアクション大作。

人が眠っている間にその潜在意識に侵入し、他人のアイデアを盗みだすという犯罪分野のスペシャリストのコブは、その才能ゆえに最愛の者を失い、国際指名手配犯となってしまう。そんな彼に、人生を取り戻す唯一のチャンス「インセプション」という最高難度のミッションが与えられる。

主人公コブにレオナルド・ディカプリオ、共演に渡辺謙、ジョセフ・ゴードン=レビット、マリオン・コティヤールエレン・ペイジほか。第83回アカデミー賞では作品賞をはじめ8部門にノミネートされ、撮影賞、視覚効果賞、音響編集賞、音響録音賞 と技術系の4部門を受賞した。ノーラン監督最新作「TENET テネット」の公開にあわせて、IMAX、4Dでリバイバル公開。

思い、思われ、ふり、ふられ」(8月14日公開)

ストロボ・エッジ」「アオハライド」で人気の漫画家・咲坂伊緒による人気青春恋愛コミックを浜辺美波北村匠海福本莉子赤楚衛二のキャストで実写映画化。

恋愛には積極的で社交的だが不器用な性格の朱里。夢見がちで恋愛には消極的、自分に自信が持てない由奈。そして、朱里の義理の弟の理央と由奈の幼なじみの和臣。同じ学校に通う高校1年生の4人は同じマンションに暮らしていた。憧れ、片思い、ある秘密……4人の四者四様のさまざまな思いがすれ違いながら交差していく。

「君の膵臓をたべたい」や「HELLO WORLD」でも共演してきた浜辺美波北村匠海が朱里役と理央役を務め、由奈役を福本莉子、和臣役を赤楚衛二がそれぞれ演じる。監督は「アオハライド」「フォルトゥナの瞳」など数々の青春・恋愛映画を手がける三木孝浩。

弱虫ペダル」(8月14日公開)

コミックス累計発行部数2500万部を突破し、アニメ版や舞台版も人気のスポーツ青春漫画「弱虫ペダル」を実写映画化。

運動が苦手で友達がいないアニメ好きの高校生・小野田坂道。ひょんなことから高校の自転車競技部に入った彼は、自転車選手として思わぬ才能を発揮する。そして初めてできた仲間のために、自分の限界や壁を越えてともに走る喜びを見いだしていく。

「King&Prince」の永瀬廉が「うちの執事が言うことには」に続き主演を務め、主人公の良きライバル・今泉俊輔を伊藤健太郎自転車競技部のマネージャー・寒咲幹を橋本環奈がそれぞれ演じる。監督は「旅猫リポート」「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」の三木康一郎

ディヴァイン・フューリー 使者」(8月14日公開)

ミッドナイト・ランナー」の主演パク・ソジュンとキム・ジュファン監督が再びタッグを組み、悪魔祓いをテーマに、若き格闘家とベテラン神父が悪に立ち向かう姿を描いたアクション。

幼少期に事故で父を亡くし、そのせいで神への信仰を失ったまま育った総合格闘技の若き世界チャンピオンのヨンフ。ある日、彼は右手に見覚えのない傷ができていることに気づく。傷について調べるうち、何かに導かれるかのようにバチカンから派遣されたエクソシストのアン神父と出会ったヨンフは、自身の内に秘められた正義の力の存在を知り……。

ジェクシー!  スマホを変えただけなのに」(8月14日公開) (PG12)

スマホに搭載されたある機能により、スマホにストーキングされてしまう男を描いたコメディ。監督、脚本は「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」の脚本家コンビ、ジョン・ルーカスとスコット・ムーア。

子どもの頃からスマホ依存症で、恋人も友だちもいないフィルが、スマホを機種変更した。新しいスマホにはすべての個人情報を把握し、生活すべてをコーチングする機能「ジェクシー」が搭載されていた。うだつの上がらないフィルの生活のすべてを一方的にコーチングするジェクシーに、フィルは振り回されるが、やがてジェクシーのおかげで恋人ができ、生活は劇的に変化していく。しかし、ジェフに恋人ができた途端に嫉妬に狂ったジェクシーが豹変し……。

人気コメディアンのアダム・ディバインがフィル役を演じるほか、アレクサンドラ・シップ、マイケル・ペーニャらが脇を固める。ジェクシーの声は「ピーターラビット」シリーズのローズ・バーンが担当した。吹替版も同時公開され、ジェクシー役に花澤香菜、フィル役に杉田智和のほか、竹達彩奈関智一小野大輔朴璐美木村昴が担当している。

ゆきゆきて、神軍」(8月14日公開)

ドキュメンタリー映画監督の原一男が、過激な手段で戦争責任を追及し続けるアナーキスト奥崎謙三の活動を追った傑作ドキュメンタリー。

神戸市で妻とバッテリー商を営む奥崎謙三は、自らを「神軍平等兵」と名乗り、「神軍」の旗たなびく車に乗って日本列島を疾駆する。ある日、自身がかつて所属していた独立工兵第36連隊で、終戦後23日も経ってから敵前逃亡の罪で2人の兵士が処刑されていたことを知った奥崎は、その遺族らとともに真相究明に乗り出す。時には暴力も辞さない奥崎の執拗な追及により、元兵士たちの口から事件の驚くべき真実と戦争の実態が明かされていく。

1987年の初公開時は単館上映ながら大ヒットを記録。第37回ベルリン国際映画祭カリガリ映画賞を受賞するなど、国内外で高く評価された。戦後75年、奥崎謙三生誕100周年となる今年、全国のミニシアターでリバイバル公開。

劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel] III. spring song」(8月15日公開)

TYPE-MOONの大ヒットPCゲーム「Fate/stay night」をアニメ映画化し、原作ゲームでヒロインのひとりである間桐桜を通して「聖杯戦争」の真実に迫るシナリオルート「Heaven's Feel」を描く3部作の第3章。

魔術師(マスター)と英霊(サーヴァント)が万能の願望機「聖杯」をめぐって繰り広げる「聖杯戦争」。間桐桜は自らが犯した罪とともに、闇に溺れてしまう。彼女を守ると誓った衛宮士郎遠坂凛と共闘し、聖杯戦争を終わらせるべく過酷な戦いに身を投じる。一方、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンは闘争の真実を知る者としてその運命と向き合い、間桐臓硯は桜を利用して自らの悲願をかなえようとする。

アニメーション制作はufotable、数々のTYPE-MOON作品のアニメ化を手掛けてきた須藤友徳が前2作に引き続き監督を務める。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

*1:実際問題、2019年は8.4%、2020年は5.2%と落ちている

<週刊興行批評>「ムーラン」の配信スルーと新作公開後17日での配信解禁…映画館が選ぶ決断と未来

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いよいよ2020年も8月に突入。日本の映画も夏休み商戦に入ってきたわけだが、今年は一味も二味も違う。新型コロナウイルス感染拡大防止のための客席制限、期待作の公開延期、何よりもアメリカの映画館の長期的で先の見えない休館によってメジャー洋画の深刻的な不足が襲う。そして、今週、アメリカでは今後の映画館の行き末を考える上でも大きなトピックスが2つ報じられた。今回はその2つのトピックスを取り上げながら、映画館の未来を考える。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「今日から俺は!!劇場版」。土日2日間で動員23万1000人、興収2億7600万円をあげ、累計では動員208万人、興収26億円を突破している。

2位は「コンフィデンスマンJP プリンセス編」。土日2日間で動員18万9000人、興収2億4000万円をあげ、累計では動員113万人、興収15億円を突破した。

3位は「もののけ姫」。累計興収は7億6600万円を突破。

4位は「千と千尋の神隠し累計興収は7億7500万円を突破。

5位は「風の谷のナウシカ」。累計興収は6億4200万円を突破。

6位は「劇場版 ひみつ×戦士 ファントミラージュ! 〜映画になってちょーだいします〜」。累計興収は9500万円を突破。

7位は「私がモテてどうすんだ」。累計興収は1億7600万円を突破。

8位は「透明人間」。累計興収は1億7400万円を突破。

9位は初登場人体のサバイバル!/がんばれいわ!!ロボコン」。

10位は初登場ダンケルク」。同じくクリストファー・ノーラン監督最新作の「TENET テネット」公開(9/18公開)に合わせて、IMAX、4D、Dolby Cinemaの3形態でリバイバル上映。IMAX版の上映前には「TENET テネット」の6分間のプロローグ映像が流されてる。

 

2.「ムーラン」の配信スルーと新作公開後17日での配信解禁…映画館が選ぶ決断と未来

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先週末も今日俺とコンフィデンスマンJPの週末興収が2億円とコロナ禍の夏休みとしては想像よりも早い回復の兆しを見せている日本の映画興行。しかし、アメリカに視点を置くと、そうはいかない。最大のシネコンチェーン・AMCは8月下旬まで開館しないことを既に発表しており、アメリカとしては最大の稼ぎ期であるサマーシーズンの興行を展開できなくなっている。今も1日あたり5万人前後の感染者を出してるだけにすぐに開館できないとはいえ、この状況は世界の映画業界においては痛手としか言えない。ハリウッド映画の公開が出来ないということでもあるからだ。日本でもメジャー洋画の公開は8月の「2分の1の魔法」、9月の「TENET テネット」、「キングスマン ファースト・エージェント」、10月の「ワンダーウーマン 1984」、「ナイル殺人事件」、11月の「ブラック・ウィドウ」、「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」、12月の「ソウルフル・ワールド」、「ウエスト・サイド・ストーリー」とつづくが、既に春に海外で公開済みの「2分の1の魔法」以外は海外で公開されていないので日付通りに公開ができることは確証されていない

そんな危険な綱渡りの最中、大きなトピックスが2つ入ってきた。

まず、1つ目は映画会社・ユニバーサルがAMCとの間で劇場公開されたユニバーサル作品を公開初日から17日後にオンデマンド配信する契約で合意したことを発表した。

この期間での配信にも驚きだが、そもそもAMCとユニバーサルとはこの契約発表までは対立を見せていた。それは今年の4月、ドリームワークスによるアニメ「トロールズ ミュージック★パワー」(日本でも10/2劇場公開予定)を公開予定日だった4月10日に48時間レンタルで19.99ドル(約2110円)として販売を開始した。これが約3週間で1億ドルの売上を記録を達成し、ユニバーサルのCEOが今後は劇場公開と配信の両フォーマットで作品を出す方針を発表。これにAMCのCEOが激怒。ユニバーサルが劇場と配信の両方を採用するならば、今後、ユニバーサル作品は一切公開しないことを断言していた。こうした対立劇があっただけにこの発表は発表内容も含めて大きな驚きを持って迎えられた。

2つ目はディズニーが「ムーラン」をアメリカ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、西ヨーロッパ諸国では同社が展開している動画配信サービス・Disney+で9/4より配信することを発表した。

元々、「ムーラン」は3/27→7/24→8/21と公開延期を発表していたが、7月には無期限延期を発表したばかりだった。想定よりもDisney+の会員数が早く上昇していることから一部地域で配信スルーを決断。29.99ドル(約3100円)での販売を決断した。なお、日本を含めアジア地域では配信地域に含まれていないが、日本でもサービスを開始しているだけに配信する可能性もあり得るが、日本で展開しているDisney+は4Kに対応していないなど他国とのサービスより劣っていたりするため、配信スルーした暁にはそれ相応の批判が出ることは確実だろう。

 

以上の2つのトピックスはアメリカの長期的な映画館の閉鎖と配信スルーした作品の興行的成功から出てきたものであるが、日本も例外ではない。ユニバーサルやディズニーといったメジャー映画会社が主力作を配信でも公開するということになれば、日本も対応を迫られることになる。そして、その成績次第では配信作品の拡充もあり得るし、配信作品を日本だけ見送ったり、映画館のラインナップが崩れ、先行きが危うくなることもあり得る。

個人的には日本が映画を配信で観る体制がそこまで整っているとは思えないので、最悪の未来としてただでさえ映画の鑑賞回数が少ないといったことが話題に挙がるこの国において、劇場も配信も共倒れ、洋画の公開本数の低下があり得る。これは最悪中の最悪の展開のためそうはあって欲しくないが、日本がすぐにこうした配信作品の対応ができるとは思えない(邦画になれば製作委員会の判断により尚更難しい可能性もある)。だが、数年後には配信の整備も進んでいることだろう。だが、この記事においては数年単位のスパンでの話をすることはしない。

とりあえず、「ムーラン」が日本では劇場公開か配信スルーかあるいは劇場と配信の並行公開かの決断を見守りたいところだ。このコロナ禍によって改めて映画館で映画を観るということが贅沢でありながらも、映画を観るにおいてはパーフェクトな鑑賞体験をさせてくれることを感じた。それはあたりまえであるが、そのあたりまえが崩れてしまうかもしれないことが今、まさに世界の映画業界で起ころうとしているのだ。この夏休み商戦をどう捉え、これからにどう繋げるか。日本においてはそこが重要になる。

最後にこのツイートを貼って締めたいと思う。これはフランスの「Cinépal」のオーナーであるジェラルド・レモイン氏が「ムーラン」の劇場の広報展示物(スタンド)を破壊している様子を捉えた映像だ。

この12秒の映像からあなたは何を考えるだろうか。2020年の映画館、劇場で公開するはずだった作品の一つが配信に奪われてしまい、稼ぎ頭を失ってしまったこと。その悲しみと怒りを映像から自分は感じた。もうこれ以上、こんな光景が生まれないためにも映画館が元気で続けられるストーリーを配給会社は作るべきである。 映画にとって映画館で上映されることこそがゴールであり続けて欲しい。

 

3.今週の注目作

ドラえもん のび太の新恐竜」(8月7日公開)

国民的アニメ「ドラえもん」の長編映画40作目。シリーズ最高の興行収入53.7億円を打ち立てた「ドラえもん のび太の宝島」(2018)の監督・今井一暁×脚本・川村元気が再びタッグを組み、のび太と双子の恐竜の出会いから始まる物語を、長編映画シリーズ第1作「のび太の恐竜」(1980)とは異なるオリジナルストーリーで描く。

ある時、恐竜博の化石発掘体験で化石を見つけたのび太は、それを恐竜のたまごだと信じ、ドラえもんひみつ道具「タイムふろしき」で化石を元の状態に戻す。するとそこから、新種の双子の恐竜が生まれる。2匹をキューとミューと名づけて育てるのび太だったが、やがて限界がきてしまい、2匹を元の時代に返すことに。ドラえもんや仲間たちとともに6600万年前の世界へと旅立ったのび太は、キューとミューの仲間を探す中で謎の島にたどり着き……。

ぐらんぶる」(8月7日公開) (PG12)

キューバダイビングクラブを舞台にしながらも、ほとんどダイビングをしないという型破りな展開で人気を集める青春コメディ漫画「ぐらんぶる」を、人気若手俳優竜星涼と犬飼貴丈のダブル主演で実写映画化。

美しい海に囲まれた大学に入った伊織は、気のあう友人やかわいい女子と送る「キラキラな大学生活」を夢見ていた。しかし、オリエンテーションの朝、伊織はなぜか服も記憶もない状態で大学の講堂にいた。あわてふためく伊織は、同じく全裸で記憶がない、無駄にイケメンなオタクの耕平と出会う。やがて2人は、常識が通用しない、何もかもがぶっとんだダイビングサークルにたどり着くのだが……。

ほぼ全裸のシーンも体当たりで演じた主演の竜星涼と犬飼貴丈のほか、映画初出演の乃木坂46与田祐希がヒロイン役で共演。「映像研には手を出すな!」「東京リベンジャーズ」など監督作が相次ぐ英勉がメガホンをとった。

ハニーボーイ」(8月7日公開) (PG12)

ワンダー 君は太陽」「クワイエット・プレイス」シリーズのノア・ジュプ演じる人気子役の心の成長を描いたヒューマンドラマ。「トランスフォーマー」「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」のシャイア・ラブーフが自らの経験をもとに初めて脚本を手がけ、主人公の父親役で出演もしている。

ハリウッドで人気子役として活躍する12歳のオーティスと、彼のマネージャーを務める父のジェームズ。前科者で無職のジェームズの不器用な愛情表現に、オーティスは常に振り回されていた。そんなオーティスを心配する保護観察官のトム、モーテルに住む隣人の少女、共演する俳優たち。彼らとの交流を経て、オーティスは新たな世界へと踏み出していくが……。

ノア・ジュプが12歳のオーティス、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のルーカス・ヘッジズが10年後のオーティスをそれぞれ演じる。

ディック・ロングはなぜ死んだのか?」(8月7日公開) (PG12)

田舎町で起こったある殺人事件の顛末を描いた、「スイス・アーミー・マン」のダニエル・シャイナート監督によるダークコメディ。

売れないバンド仲間のジーク、アール、ディックは、練習と称してガレージに集まり、いつものようにバカ騒ぎをしていたが、ある原因によってディックが突然死んでしまう。誰もが知り合いの平穏な小さな田舎町では、事件の噂がまたたく間に広がり、人びとの話題はディックの死でもちきりになる。殺人事件として警察が捜査を進める中、ディック死亡の真相を知るジークとアールは、なぜか彼の死因をひた隠しにし、自分たちの痕跡を揉み消そうとする。

ジョーンの秘密」(8月7日公開) (PG12)

スパイ容疑で逮捕された80代の老女の数奇な実話をもとにしたジェニー・ルーニーのベストセラー小説を「恋におちたシェイクスピア」のオスカー女優、ジュディ・デンチ主演で映画化。

夫に先立たれ、仕事も引退し、イギリス郊外で穏やかな一人暮らしを送っていたジョーン・スタンリーが突然訪ねてきたMI5に逮捕されてしまう。彼女にかけられたのは、半世紀以上も前にロシアのKGBに核開発の機密情報を漏えいしていたというスパイ容疑だった。ジョーンは無罪を主張するが、外務事務次官のW・ミッチェル卿の死後に見つかった資料などから、彼女の驚がくの過去が次々と明らかとなる。

ジョーン役をジュディ・デンチ、若かりし頃のジョーン役を「キングスマン」のソフィー・クックソン、ロシア人の恋人レオ役をテレビシリーズ「女王ヴィクトリア」のトム・ヒューズがそれぞれ演じる。監督はジュディ・デンチの舞台作品の演出を数多く手がけたトレバー・ナン。

3年目のデビュー」(8月7日公開)

人気アイドルグループ「日向坂46」のドキュメンタリー映画。前身の「けやき坂46(ひらがなけやき)」からグループ名を改め、2019年3月にデビューシングル「キュン」をリリースし、同年末にはNHK紅白歌合戦にも出場を果たすなど躍進を遂げたデビュー1年目に密着。

先輩グループである「欅坂46」の存在感に圧倒されながら、自分たちのアイデンティティを模索していた「けやき坂46」当時や、改名という大きな変化をきっかけに2度目のスタートを切り、大きな壁を乗り越えようと走り続けるメンバーたちの日々の輝きや苦悩を映し出す。

TBS CSで放送の「セルフ Documentary of 日向坂46」の制作チームが手がけた。

劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス」(8月7日公開)

ウルトラマンタロウの息子ウルトラマンタイガの活躍を描き、2019年7月からテレビ放送の特撮ドラマ「ウルトラマンタイガ」の劇場版。

13年の「ウルトラマンギンガ」以降のウルトラシリーズで活躍したギンガ、ビクトリー、エックス、オーブ、ジード、ロッソ、ブルも登場し、タイガとあわえて8人の新世代ウルトラマンが集結する。

タイガ、タイタス、フーマという3人のウルトラマンに変身する能力を持つ工藤ヒロユキ。数々の戦いを経てヒロユキとタイガたちの絆は深まっていたが、そんなヒロユキを何者かが狙っていた。そのことを知った新世代のウルトラマンたちが、ヒロユキを救うべく続々と集結。そして、タイガの父であるウルトラマンタロウも地球にやってくるが、タロウは息子であるタイガに襲いかかってくる。

少女☆歌劇 レヴュー・スタァライト ロンド・ロンド・ロンド」(8月7日公開)

2018年に放送されたテレビアニメ「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」の総集編劇場版。

未来の舞台女優を目指し、演劇の学び舎「聖翔音楽学園」に通う9人の少女たちが、謎のオーディションに挑み、“輝く星”をつかむべく舞台上で奮闘する姿を描いたテレビシリーズ全12話を再編集した。舞台で生きていくことを夢見て聖翔音楽学園で日々レッスンに励んでいた舞台少女の愛城華恋のもとに、転校生の神楽ひかりがやってくる。彼女こそ、幼い日に別れた華恋の幼なじみで、憧れの舞台「スタァライト」に一緒に立つことを約束した舞台少女だった。

アニメ版と舞台版がリンクするメディアミックスプロジェクトとして展開されており、ミュージカル女優の富田麻帆や声優の三森すずこら、さまざまなジャンルから選ばれた舞台版キャストがアニメ版でも声優を務めた。

EYES ON ME:THE MOVIE」(8月7日公開)

日韓合同グローバルグループとして国内外で活躍する12人組女性アイドル「IZ*ONE(アイズワン)」のコンサートフィルム。

韓国の音楽専門チャンネル「Mnet」のオーディション番組「PRODUCE101」と、日本の人気アイドル「AKB48」グループがコラボレートしたオーディション番組「PRODUCE48」から生まれた、日本人3人と韓国人9人の12人のメンバーで構成される「IZ*ONE」。2018年10年に韓国、19年2月に日本でそれぞれデビューCDを発売すると、瞬く間に人気を集めた同グループが、19年6月から開催した初のアジアコンサートツアー「EYES ON ME」に密着。韓国公演の模様を中心に、迫力のライブ映像やバックステージでのメンバーの様子なども収めた。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>今日俺につづきコンフィデンスマンJPもヒットスタート!夏休み映画はテレビ局映画が救う?

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今週は初登場した「コンフィデンスマンJP プリンセス編」の興収を分析します。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「今日から俺は!!劇場版」。土日2日間で動員38万9000人、興収4億9600万円をあげ、累計では動員161万人、興収20億円を突破している。

2位は初登場コンフィデンスマンJP プリンセス編」。土日2日間で動員28万6000人、興収4億500万円をあげ、初日から4日間の累計では動員64万8000人、興収9億1200万円をあげ、前作を上回るヒットスタートを切った。

3位は「もののけ姫」。累計では動員63万3000人、興収7億200万円をあげた

4位は「千と千尋の神隠し累計では動員65万3000人、興収7億2000万円をあげた

5位は「風の谷のナウシカ」。累計では動員53万8000人、興収6億円をあげ、「ゲド戦記」を加えた4作品で動員192万人、興収21億円を超えるリバイバルとしては異例ともいえるヒットとなっている。

6位は初登場劇場版 ひみつ×戦士 ファントミラージュ! 〜映画になってちょーだいします〜」。

7位は「私がモテてどうすんだ」。累計興収は1億5700万円を突破。

8位は「透明人間」。累計興収は1億5100万円を突破。

9位は初登場海底47m 古代マヤの死の迷宮」。

10位は「ステップ」。累計興収は5780万円を突破している。

 

2.興行チェック!「コンフィデンスマンJP プリンセス編」

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先週末初登場2位にランクインしたのは「コンフィデンスマンJP プリンセス編」。2018年にはフジテレビの月9ドラマ、2019年には映画化もされた長澤まさみ東出昌大小日向文世が主演の劇場版第2弾。前作の「ロマンス編」は29.7億円を記録し、主題歌となったOfficial髭男dismの「Pretender」は流行歌となるなど大ヒットを記録しただけに本作もヒットが期待されていた。

しかし、本作は数多の公開危機を乗り越えてきた。年初めに主演の東出昌大の不倫が発覚し、4月にはコロナウイルスの影響で5月1日の公開日を延期、公開1週間前には出演していた三浦春馬の訃報が入るなど宣伝活動が思うようにいかなかった面もあったが、前作と変わらずフジテレビの宣伝(ドラマの再放送、スピンオフドラマや映画第1作の放送、「めざましテレビ」とのコラボ企画など)は手厚くあったことや前作以上にファンが増えたこともあり、蓋を開ければ、土日2日間で動員28万6000人、興収4億500万円をあげ、初日23日からの4日間の累計は動員64万8000人、興収9億1200万円をあげた。

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前作と比べても動員比100.7%、興収比116%と上回っている。先週も言ったが、客席の制限がかけられた上での結果なのだからこれは好成績と言えるし、最終興収も前作超えの30億円はいけるだろう。

さて、2週連続で1位を記録した「今日から俺は!!劇場版」と本作、週末興収4億円台の作品が2作品も登場し、夏休み商戦に突入した映画館も観客制限をかけられてる中で健闘しているように思える。この2作品の共通点はテレビドラマの劇場版であり、テレビ局が制作に参加しているテレビ局映画であること。今年の夏休み映画は8月7日に「ドラえもん のび太の新恐竜」(テレビ朝日)、8月14日に「弱虫ペダル」(フジテレビ)、8月21日に「糸」(TBS)、8月28日に「青くて痛くて脆い」(日本テレビ)が控えており、例年以上にテレビ局映画が重要になってきそうだ。

何よりも今年の夏休み映画はアメリカ映画がほとんど上映できない状態にあり、日本で公開できるメジャーの洋画は春に海外で公開済みの「2分の1の魔法」のみだ。9月に公開予定だった「ムーラン」や「モンスターハンター」、12月に公開予定だった「トップガン マーベリック」も再び公開延期となる状態。映画の本場・ハリウッドがあるアメリカの映画館が開けられない以上、洋画の公開も少なくなってしまう。さらに邦高洋低が拡大する危惧もあるが、今この状況を救えるのは邦画、テレビ局映画であることは間違いないだろう。

 

3.今週の注目作

海辺の映画館 キネマの玉手箱」(7月31日公開) (PG12)

名匠・大林宣彦監督が20年ぶりに故郷・尾道で撮影し、無声映画、トーキー、アクション、ミュージカルと様々な映画表現で戦争の歴史をたどったドラマ。

尾道の海辺にある映画館「瀬戸内キネマ」が閉館を迎えた。最終日のオールナイト興行「日本の戦争映画大特集」を見ていた3人の若者は、突如として劇場を襲った稲妻の閃光に包まれ、スクリーンの世界にタイムリープする。戊辰戦争日中戦争沖縄戦、そして原爆投下前夜の広島にたどり着いた彼らは、そこで出会った移動劇団「桜隊」の人々を救うため、運命を変えるべく奔走するが……。

主人公の3人の若者役に「転校生 さよならあなた」の厚木拓郎、「GO」の細山田隆人、「武蔵 むさし」の細田善彦。劇場公開を前に大林監督は20年4月10日に他界。本作が遺作となった。

カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇」(7月31日公開)

恐怖小説やSF小説の先駆者H・P・ラブクラフトの「ザ・カラー・アウト・オブ・スペース(宇宙からの色/異次元の色彩)」をニコラス・ケイジ主演で映画化したSFホラー。

ネイサン・ガードナーと妻のテレサは子どもたちとともに大都会の喧噪から逃れるため、閑静な田舎に移住してきた。しかし、前庭に隕石が激突して以来、一家の生活は心と体に影響を及ぼす地球外変異体との戦いに明け暮れ、理想としていた静かな田舎暮らしは悪夢へと変わってしまう。

ニコラス・ケイジがネイサン役を演じるほか、ネイサンの妻テレサ役を「レッド・スパロー」のジョエリー・リチャードソン、長女ラヴィニア役を「ビッグ・アイズ」「好きだった君へ P.S.まだ大好きです」のマデリン・アーサーがそれぞれ演じる。監督は「ハードウェア」「ダスト・デビル」のリチャード・スタンリー。

君が世界のはじまり」(7月31日公開) (PG12)

「おいしい家族」のふくだももこ監督が同作でもタッグを生んだ松本穂香を再び主演に迎え、自身の小説を原作に描いた青春映画。ふくだ監督が執筆した小説「えん」と「ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら」の2作品を、「リンダ リンダ リンダ」「聖の青春」「愚行録」などを手がけてきた脚本家の向井康介がひとつの物語に再編し、閉塞的な地方都市に生きる若者たちの、危うくはかない日々を描いた。

大阪のとある町。深夜の住宅地で、高校生に中年の男が殺害される事件が起こる。町に暮らすの高校2年生のえんは、彼氏をころころ変える親友の琴子と退屈な日々を送っていたが、琴子がサッカー部のナリヒラ君に一目ぼれしたことで、2人は徐々にすれ違うようになっていく。 同じ高校に通うジュンは、母が家を出ていったことを無視し続ける父親に何も言えぬまま、放課後のショッピングモールで時間をつぶしていた。東京から転校してきた伊尾と会ったジュンは、求めるものもわからぬまま伊尾と体を交わすようになるが……。

T-34 レジェンド・オブ・ウォー 最強ディレクターズ・カット版」(7月31日公開)

戦車同士の迫力の戦闘シーンや仲間との友情や絆、国を超えた男と男の戦いなど熱い内容で話題を呼んだロシア製戦争アクション「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」のディレクターズカット版。2019年10月に日本で劇場公開されたインターナショナル版(通常版/113分)、20年2月に公開されたダイナミック完全版(139分)よりさらに長く、本編は3時間11分(191分)に。

ニコライとステパンとの知られざる確執や、アーニャとイェーガーとの秘められた関係、イェーガーの軍人としての資質、そしてT-34の乗務員がどのように選出されたのかなど、戦闘やドラマ部分など新たなシーンが大幅に追加されている。第2次世界大戦下、ナチスドイツの捕虜となってしまったソ連の新米士官イヴシュキンは、収容所で行われる戦車戦演習で、ソ連軍の戦車T-34の操縦を命じられる。しかし、与えられたT-34は実弾も装備されず、演習で敵の砲火の的になることは明らかだった。そんな死の演習を前に、T-34の整備を命じられたイヴシュキンは、収容所の仲間とともに脱出計画を立て、実行に移す。

#ハンド全力」(7月31日公開)

SNSをきっかけによみがえった廃部寸前の高校ハンドボール部を描いたオリジナルの青春映画。

夢中になれるものもなく、無気力な毎日を送っていた熊本在住の高校生・清田マサオ。ある日、マサオは震災で離ればなれになってしまった親友のタイチと仮設住宅前でハンドボールをしていた写真をSNSにアップする。すると、マサオの投稿に続々と熱いコメントがつけられていく。それに気をよくしたマサオが「#ハンド全力」とハッシュタグをつけて投稿すると、全国からさらに大きな反響が寄せられるようになる。マサオと幼なじみの岡本はSNSをさらに盛り上げることだけが目的で、廃部寸前の男子ハンドボール部部長・島田と部の再建に向け奔走するが……。

加藤清史郎が主演を務め、「天気の子」声優で注目された醍醐虎汰朗らが共演。監督は「アフロ田中」「私たちのハァハァ」の松居大悟。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>「今日から俺は!!劇場版」は映画館の勢いを取り戻すのか?

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今週は初登場した「今日から俺は!!劇場版」の興収を分析します。

 

 

1.先々週末のランキング

まずは、先々週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「千と千尋の神隠し」。累計興収は4億9360万円となっている。

2位は「もののけ姫」。累計興収は4億7380万円となっている。

3位は「風の谷のナウシカ」。

4位は初登場私がモテてどうすんだ初日から3日間の累計興収は6450万円となっている。

5位は初登場透明人間」。初日から3日間の累計興収は4610万円となっている。

6位は「ドクター・ドリトル」。累計興収は4億9010万円を突破。

7位は「ランボー ラスト・ブラッド」。累計興収は3億7310万円を突破。

8位は「MOTHER マザー」。累計興収は1億2010万円を突破。

9位は初登場WAVES/ウェイブス」。初日から3日間の累計興収は2220万円となっている。

10位は「ゲド戦記」。累計興収は7810万円を突破。

 

2.先週末のランキング

つづいて、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は初登場今日から俺は!!劇場版」。土日2日間で動員48万6000人、興収6億3100万円を上げ、初日から3日間の累計では動員60万5000人、興収7億8800万円をあげる好スタートを切った。

2位は「千と千尋の神隠し」。累計興収は6億1750万円を突破

3位は「もののけ姫」。累計興収は5億9730万円を突破

4位は「風の谷のナウシカ

5位は「私がモテてどうすんだ」。累計興収は1億1500万円を突破。

6位は「透明人間」。累計興収は1億620万円を突破。

7位は初登場ステップ」。

8位は「ドクター・ドリトル」。累計興収は5億2400万円を突破。

9位は「MOTHER マザー」。累計興収は1億6430万円を突破した。

10位は初登場進撃の巨人」ークロニクルー」。

 

3.興行チェック!「今日から俺は!!劇場版」

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先週末の1位は初登場「今日から俺は!!劇場版」。2018年10月期の日テレ日曜ドラマで放送された西森博之原作のヤンキー漫画の劇場版だ。監督は実写版「銀魂」や「勇者ヨシヒコ」シリーズで知られる福田雄一監督、キャストには賀来賢人伊藤健太郎清野菜名、橋本環奈、仲野太賀、矢本悠馬、若月祐美、柳楽優弥山本舞香鈴木伸之磯村勇斗ムロツヨシ佐藤二朗吉田鋼太郎と今の日本映画を引っ張るキャスト、福田雄一作品常連のキャストが揃った作品となっている。

ドラマ放送時には最終回視聴率が12.3%を獲得するなど反響も高く、劇場版もヒットが期待されていたが、蓋を開ければ土日2日間で動員48万6000人、興収6億3100万円を上げ、初日から3日間の累計では動員60万5000人、興収7億8800万円をあげる好スタートを切った。しかもコロナウイルス感染拡大防止のために客席の制限をされての数字だというからこれは上出来と言ってもいいだろう。

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近年の福田雄一監督作品や漫画実写映画と比較してもこれがどれだけのヒットと言えるかが分かるだろう。あの「銀魂」や「キングダム」の実写版を超えたというのは快挙と言っていいだろう。もう一度言うが、客席制限あっての数字だ。もし、なかったら初週末10億円スタートもあり得たと言うことだ。それだけこの作品を待ち望んでいた客がいたと言えるだろう。

最終興収は30億円以上叩き出す可能性もある。まさか、ここまで早く大ヒット作品が出てくるとは思わなかった。東宝(日テレ)もこの作品を動かさなかったのは見事な采配と言えよう。今週末公開の「コンフィデンスマンJP プリンセス編」を含め徐々に、想像するよりも早く映画館の勢いは取り戻しつつある。ぜひ、こうした作品のヒットが次へと繋がることを祈ろう。これ以上、補償が確実ではない営業休止をしないためにも。

 

4.今週の注目作

コンフィデンスマンJP プリンセス編」(7月23日公開)

長澤まさみ東出昌大小日向文世が共演した人気テレビドラマ「コンフィデンスマンJP」の劇場版第2弾。

世界有数の大富豪フウ家の当主レイモンドが他界した。10兆円とも言われる遺産をめぐりブリジット、クリストファー、アンドリューの3姉弟が火花を散らすが、執事トニーが相続人として発表したのは、誰もその存在を知らない隠し子ミシェルだった。世界中からミシェルを名乗る詐欺師たちが“伝説の島”ランカウイ島に集結する中、ダー子、ボクちゃん、リチャードの3人もフウ家に入り込み、華麗かつ大胆にコンゲームを仕かけるが……。

共演には、劇場版前作「ロマンス編」の竹内結子三浦春馬、テレビドラマ版の広末涼子江口洋介らシリーズでおなじみのキャストに加え、「町田くんの世界」の関水渚、「アクシデンタル・スパイ」のビビアン・スー、「GENERATIONS from EXILE TRIBE」「EXILE」の白濱亜嵐らが新たに参加。

劇場版 ひみつ×戦士 ファントミラージュ!〜映画になってちょーだいします〜」(7月23日公開)

2017年にテレビ東京系で放送開始された特撮ドラマ「ガールズ×戦士」シリーズの第3弾「ひみつ×戦士ファントミラージュ!」の劇場版。

正義の怪盗ファントミラージュのもとに、超有名監督・黒沢ピヨシから映画出演のオファーが届く。しかし逆逆警察のサカサーマによって、監督はファントミの敵イケナイヤーにされてしまい……。

ファントミラージュ役の菱田未渚美、山口綺羅、原田都愛、石井蘭をはじめ、石田ニコル関口メンディー斎藤工らドラマ版のキャストが集結。映画監督・黒沢ピヨシを中尾明慶が演じる。同シリーズの監督・総監督を務めてきた三池崇史がメガホンをとる。

海底47m 古代マヤの死の迷宮」(7月23日公開)

海に沈んだ檻の中で人喰いサメの恐怖と対峙する姉妹の姿を描いた海洋パニックスリラー「海底47m」のシリーズ第2弾。

親同士の再婚で姉妹になったミアとサーシャ。まだどこかぎこちない娘たちの距離を縮めようと考えた父親の提案で、2人は週末に行われる船中からサメを鑑賞するツアーにでかける。当日、現地で偶然友人たちと出会った2人は、マヤ文明の遺跡が眠る海底洞窟を目指すケーブダイビングに誘われ、海に潜ることに。神秘的な海底遺跡に目を奪われる2人だったが、複雑に入り組んだ遺跡を前に迷子になってしまう。そして、そこには盲目の巨大人喰いサメがいた。

監督は前作同様のヨハネス・ロバーツ。主人公の姉妹を演じるのは「やさしい本泥棒」のソフィー・ネリッセと、オスカー俳優ジェイミー・フォックスの娘コリーヌ・フォックス。そのほか、シルベスター・スタローンの娘のシスティーン・スタローンも出演。

プラド美術館 驚異のコレクション」(7月24日公開)

2019年に開館200周年を迎えた、世界最高峰の美術館の1つと評されるスペインのプラド美術館全貌に迫るドキュメンタリー。

15世紀から17世紀にかけて「太陽の沈まぬ国」とも呼ばれたスペイン王国プラド美術館には、歴代の王族が圧倒的な経済力と「知識ではなく心で選んだ」約8700点の美術品が収蔵されている。宮廷画家ディエゴ・ベラスケスフランシスコ・デ・ゴヤエル・グレコなどの傑作群にカメラが接写し、天才たちの筆遣いを紹介。ヒエロニムス・ボスの「快楽の園」、男性中心だった17世紀の美術界に名乗りを上げた女性芸術家クララ・ピーターズの静物画などをミゲル・ファロミール館長やベテラン学芸員が解説するほか、収蔵品の保存や修復、研究をするスタッフの作業風景や、新たなプロジェクトに参加する建築家ノーマン・フォスター卿の声などから、プラド美術館の新たな魅力にも迫っていく。

オスカー俳優ジェレミー・アイアンズがナレーションを務めながら、ナビゲーターとして出演。日本語吹替版では今井翼がナビゲーターを務める。

アルプススタンドのはしの方」(7月24日公開)

第63回全国高等学校演劇大会で最優秀賞となる文部科学大臣賞を受賞し、全国の高校で上演され続けている兵庫県東播磨高校演劇部の名作戯曲を映画化。

夏の甲子園1回戦に出場している母校の応援のため、演劇部員の安田と田宮は野球のルールも知らずにスタンドにやって来た。そこに遅れて、元野球部員の藤野がやって来る。訳あって互いに妙に気を遣う安田と田宮。応援スタンドには帰宅部の宮下の姿もあった。成績優秀な宮下は吹奏楽部部長の久住に成績で学年1位の座を明け渡してしまったばかりだった。それぞれが思いを抱えながら、試合は1点を争う展開へと突入していく。

2019年に浅草九劇で上演された舞台版にも出演した小野莉奈、⻄本まりん、中村守里のほか、平井亜門、黒木ひかり、目次立樹らが顔をそろえる。監督は数々の劇場映画やビデオ作品を手がける城定秀夫。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>2020年夏休み映画を考える

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今週は2020年の夏休み映画の展開を考えていきます。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「千と千尋の神隠し」。累計興収は3億1330万円となっている。

2位は「もののけ姫」。累計興収は3億120万円となっている。

3位は「風の谷のナウシカ」。

4位は「ランボー ラスト・ブラッド累計興収は2億9840万円を突破。

5位は「ドクター・ドリトル」。累計興収は4億2520万円を突破。

6位は初登場MOTHER マザー」。初日から3日間の累計は動員3万4630人、興収4740万円となっている。

7位は「ソニック・ザ・ムービー」。累計興収は1億1210万円を突破。

8位は「ゲド戦記」。累計興収は5130万円を突破。

9位は「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」。累計興収は2億5510万円を突破。

10位は「水曜日が消えた」。累計興収は1億4950万円を突破。

 

2.2020年夏休み映画を考える

さて、今週は夏休み映画について考えていこうと思うわけだが、何せこのご時世、例年のような盛り上がりとはいかない状況だ。だが、今年の春休みやGWと違い、映画館の灯りを消さないように作品は用意されてる状況である。現時点で予定されているヒットしそうな作品をピックアップしていこう。

まず、7月17日に公開されるのが「今日から俺は!! 劇場版」。

2018年10月期に日テレで放送された西森博之の代表作を福田雄一監督、賀来賢人伊藤健太郎といった豪華キャストで実写化されたドラマの劇場版だ。最終回での視聴率が12.3%を獲得し、反響も大きかった作品なだけにヒットが予想される。

7月23日に公開されるのが「コンフィデンスマンJP プリンセス編」。

昨年、「ロマンス編」が公開され29.7億円というヒットを記録した長澤まさみ小日向文世東出昌大主演のドラマの劇場版第2弾。前作ほどとまではいかないかもしれないが、十分にヒットする見込みはある。

8月7日に公開されるのが「ドラえもん のび太の新恐竜」。

ドラえもん」連載50周年、映画シリーズ40作記念作品。シリーズ最大のヒットとなった2018年の「のび太の宝島」チーム(監督・今村一暁×脚本・川村元気)により、「のび太の恐竜」が新たなるストーリーとして登場する。春休みの定番となっていたドラえもんシリーズが「STAND BY ME ドラえもん2」が公開予定だった夏休みにスライドイン。ファミリー層がどれだけ来てくれるのだろうか?安定のブランド力が試される。

同じく、8月7日に公開されるのが「ぐらんぶる」。

キューバダイビングクラブを舞台にした青春コメディ漫画を実写映画化。竜星涼、犬飼貴丈らが原作通りの裸の熱演に公開前から注目されていた。5月の公開予定から「るろうに剣心 最終章」が公開予定だった8月のスライドインにより、さらに季節にあった映画となりそうだ。

8月14日に公開されるのが「思い、思われ、ふり、ふられ」。

アオハライド」、「ストロボ・エッジ」の咲坂伊緒のマンガを三木孝浩監督、浜辺美波×北村匠海×福本莉子×赤楚衛二で実写映画化。夏休みの青春映画としてヒットの可能性はある。

同じく、8月14日に公開されるのが「弱虫ペダル」。

アニメ版もヒットしているスポーツ青春マンガを永瀬廉、伊藤健太郎、橋本環奈主演で実写映画化。原作の力は発揮できるのか否か?

8月15日に公開されるのが「Fate/stay night [Heaven's Feel] III. spring song」。

同名PCゲームをアニメ映画化し、原作ゲームでヒロインのひとりである間桐桜を通して「聖杯戦争」の真実に迫るシナリオルート「Heaven's Feel」を描く3部作の最終章。前2作がどちらも10億円を超えるヒットを生み出し、固定ファン層が離れないことからほぼ同じようなヒットを生み出しそうだ。

8月21日に公開されるのが「2分の1の魔法」。

亡くなった父親にもう一度会いたいと願う兄弟が、魔法によって半分だけ復活した父親を完全によみがえらせるため奮闘する姿を描くピクサー最新作。ピクサー作品は安定してヒットを記録する作品が多いため、夏休み映画としても期待できる。

同じく、8月21日に公開されるのが「」。

中島みゆきの「糸」をベースに男女のラブストーリーを平成史を交えて描いていく。菅田将暉小松菜奈ら今の日本映画を代表するキャストが集結した作品なだけにヒットが期待される。

8月28日に公開されるのが「青くて痛くて脆い」。

「君の膵臓でたべたい」で知られる住野よる原作による青春サスペンスを吉沢亮杉咲花主演で映画化。キミスイがヒットしたが、こちらは果たして?

同じく、8月28日に公開されるのが「事故物件 恐い間取り」。

実際に9軒の事故物件に住んだ事故物件住みます芸人・松原タニシの実体験を記したノンフィクションを亀梨和也主演、中田秀夫監督で映画化。今年の夏休みのホラーはこれに任されたようなものだが、Jホラー、今度こそヒットなるか?

 

以上のようなラインアップとなっている。今後、さらに追加されるかもしれないが、メジャー作品がこれ以上の新作を今から発表するのも宣伝期間が短くなってしまうのでないだろう。ということで、この夏休みはやはりファミリー層とティーン層という今の映画館においては欠かせないお客さんをどこまで呼び戻せるかにかかっている。この夏休みで50〜100億の作品がすぐ出るところまでは無理かもしれないが、まずは10億円を突破する作品が生まれること、出来れば30億円クラスの作品が何本か出れば今回の夏休み映画商戦は成功といって良いのではないか?観客制限が敷かれた中での夏休みの映画館…どうかたまに観に来ていた人がふとしたきっかけで、1日の遊びの一つでも良いから、戻ってきますように。

 

3.今週の注目作

ダークナイト」(7月10日公開)

DCコミックスの人気ヒーロー、バットマンの誕生を、クリストファー・ノーラン監督&クリスチャン・ベール主演で描いた「バットマン ビギンズ」の続編。

ゴッサム・シティに現れた史上最悪の犯罪者ジョーカー。バットマンブルース・ウェインは、協力するゴードン警部補や新任地方検事ハービー・デントらとともにジョーカーに立ち向かうが……。

2008年に製作・公開され、全米で当時歴代2位となる5億ドルを超える興行収入を記録し、全世界興収も10億ドルの大ヒットを記録。重厚かつ圧倒的なリアリティで支持を集め、第81回アカデミー賞にも8部門にノミネートされるなどコミック原作映画の歴史を塗り替えた一作。なかでも「悪のカリスマ」と呼ばれるジョーカーを演じたヒース・レジャーは撮影直後に急逝するが、本作が公開されるとその演技が絶賛され、アカデミー助演男優賞を受賞した。

クリストファー・ノーラン監督の「TENET テネット」公開にあわせ、IMAX版と4D版でリバイバル公開。

WAVES ウェイブス」(7月10日公開) (PG12)

イット・カムズ・アット・ナイト」のトレイ・エドワード・シュルツが監督・脚本を手がけた青春ドラマ。

ある夜を境に幸せな日常を失った兄妹の姿を通し、青春の挫折、恋愛、親子問題、家族の絆といった普遍的なテーマを描く。フロリダで暮らす高校生タイラーは、成績優秀でレスリング部のスター選手、さらに美しい恋人もいる。厳格な父との間に距離を感じながらも、何不自由のない毎日を送っていた。しかし肩の負傷により大切な試合への出場を禁じられ、そこへ追い打ちをかけるように恋人の妊娠が判明。人生の歯車が狂い始めた彼は自分を見失い、やがて決定的な悲劇が起こる。1年後、心を閉ざした妹エミリーの前に、すべての事情を知りながらも彼女に好意を寄せるルークが現れる。

主人公タイラーを「イット・カムズ・アット・ナイト」のケルビン・ハリソン・Jr.、ルークを「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のルーカス・ヘッジズがそれぞれ演じる。

透明人間」(7月10日公開) (PG12)

「ソウ」シリーズの脚本家リー・ワネルが監督・脚本を手がけ、透明人間の恐怖をサスペンスフルに描いたサイコスリラー。

富豪の天才科学者エイドリアンに束縛される生活を送るセシリアは、ある夜、計画的に脱出を図る。悲しみに暮れるエイドリアンは手首を切って自殺し、莫大な財産の一部を彼女に残す。しかし、セシリアは彼の死を疑っていた。やがて彼女の周囲で不可解な出来事が次々と起こり、命まで脅かされるように。見えない何かに襲われていることを証明しようとするセシリアだったが……。

主演は、テレビドラマ「ハンドメイズ・テイル 侍女の物語」のエリザベス・モス。

エレファント・マン 4K修復版」(7月10日公開)

19世紀末のロンドンを舞台に実在した奇形の青年ジョン・メリックの悲劇の人生を、「イレーザーヘッド」のデヴィッド・リンチ監督が描き、鬼才リンチの名を世界にとどろかせた名作。

見世物小屋で「エレファント・マン」として暮らしていた青年メリックの前に、ある日、外科医のトリーヴスという男が現れる。メリックの特異な容姿に興味を持ったトリーヴスは、メリックを研究材料にするため、自分が勤める病院に連れ帰ることに。何も話さず怯え続けるメリックを、周囲は知能が低いと思っていた。しかしある時、メリックが知性にあふれた優しい性格であることが判明するが……。

本国公開から40年を迎えた今年、4K修復版でリバイバル公開される。

私がモテてどうすんだ」(7月10日公開)

第40回講談社漫画賞・少女部門を受賞し、2016年にテレビアニメ化もされた同名人気コミックを実写映画化。

アニメキャラやクラスのイケメン男子たちのBLを妄想するのが大好きな女子高生・芹沼花依は、大好きなアニメキャラが死んだショックで1週間寝込んだことで激ヤセし、誰もが振り向く美女に変身する。そんな彼女に、スーパーイケメン男子高生の六見遊馬、五十嵐祐輔、七島希、四ノ宮隼人が熱烈なアプローチを開始。彼らをBL目線で妄想してしまうのをこらえ、真剣に向き合おうとする花依だったが……。

「THE RAMPAGE from EXILE TRIBE」の吉野北人が遊馬役で初主演を果し、ヒロインの花依役は激ヤセ後を「E-girls」の山口乃々華、それ以前を「ブスの瞳に恋してる2019」「ソロモンの偽証」の富田望生が演じる。監督は「HiGH&LOW」シリーズの脚本を手がけた平沼紀久

‪オールド・ガード‬」(7月10日NETFLIXにて配信)

「スーパーマン」「ワンダーウーマン」「ウルヴァリン」などのアメリカンコミックライター、グレッグ・ルッカによる同名グラフィックノベルを、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」「アトミック・ブロンド」のシャーリーズ・セロン主演で実写化したアクション。

兵士アンディ率いる秘密の特殊部隊「オールド・ガード」。永遠の命を持つ不死身の傭兵たちで構成されるその部隊は、何世紀にもわたり、歴史の影で暗躍し、誰にも知られることなく人類を守り続けてきた。ある日、彼女たちの特別な能力が何者かによって暴かれてしまう。ある陰謀のためにその能力の複製を企む強大な謎の組織の手段を選ばない脅威がアンディたちを襲う。

アンディ役をシャーリーズ・セロンが演じるほか、キキ・レイン、マーワン・ケンザリ、ハリー・メリング、ベロニカ・グゥらが顔をそろえる。監督は「リリィ、はちみつ色の秘密」「ワン・オン・ワン ファイナル・ゲーム」のジーナ・プリンス=バイスウッド。

スパイ in デンジャー‬」(7月10日Disney+にて配信)

「メイ・イン・ブラック」「アラジン」のウィル・スミスと、「スパイダーマン」「アベンジャーズ」シリーズのトム・ホランドが声優を務め、「アイス・エイジ」「ブルー 初めての空へ」のブルースカイ・スタジオが手がけたスパイアクションアニメ。

どんな危険なミッションもクールにこなすスパイのランス・スターリングは、ある任務で押収した最新鋭の武器を横流ししたという濡れ衣を着せられ、追われる身になってしまう。事の真相を追求するうちに、世界の平和を脅かす恐ろしい陰謀を知ったランスは、同じく情報局をクビになったばかりの若き発明家ウォルター・ベケットを頼ることに。ウォルターの開発した「透明になる薬」を飲んでピンチを乗り切ろうとしたランスだったが、手違いでハトの姿に変身してしまい……。

監督はこれが長編初作品となるトロイ・クアネ&ニック・ブルーノ。

今日から俺は!!劇場版」(7月17日公開)

西森博之の人気漫画を賀来賢人伊藤健太郎の共演、福田雄一監督の演出・脚本で新たに実写化し、2018年に放送されて人気を博したテレビドラマの映画版。賀来、伊藤、清野菜名、橋本環奈らドラマ版キャストに加え、柳楽優弥山本舞香らが出演し、原作でも人気の高いエピソード「北根壊(ほくねい)編」が描かれる。

1980年代の軟葉高校。転校を機につっぱりデビューした2年生の三橋貴志と同じ日に転校してきたトゲトゲ頭の伊藤真司は、コンビを組んで次々とやってくる強敵を返り討ちにしていく毎日を送っていた。3年になったある日、かつて壮絶な戦いを繰り広げた不良の巣窟・開久高校の一角を隣町の北根壊高校が間借りすることになった。極悪高校で名の通った北根壊の番長・柳鋭次と大嶽重弘は、智司と相良という「頭」を失った開久の生徒たち相手に妙な商売を始める。一方その頃、怪しいスケバン・涼子が今井に近づこうとしていた。

劇場」(7月17日公開)

「火花」で芥川賞を受賞した又吉直樹の2作目となる同名小説を、主演・山崎賢人、ヒロイン・松岡茉優行定勲監督のメガホンで映画化。

中学からの友人と立ち上げた劇団で脚本家兼演出家を担う永田。しかし、永田の作り上げる前衛的な作風は酷評され、客足も伸びず、ついに劇団員たちも永田を見放し、劇団は解散状態となってしまう。厳しい現実と理想とする演劇のはざまで悩む永田は、言いようのない孤独と戦っていた。そんなある日、永田は自分と同じスニーカーを履いている沙希を見かけ、彼女に声をかける。沙希は女優になる夢を抱いて上京し、服飾の大学に通っている学生だった。こうして2人の恋ははじまり、お金のない永田が沙希の部屋に転がり込む形で2人の生活がスタートする。沙希は自分の夢を重ねるかのように永田を応援し、永田も自分を理解し支えてくれる沙希を大切に思いながら、理想と現実と間を埋めるかのようにますます演劇にのめりこんでいく。

ステップ」(7月17日公開)

妻に先立たれて男手ひとつで娘を育てるシングルファーザーと、母親を亡くし父と2人で人生を歩む娘の10年間の足跡を描いた重松清の同名小説を、山田孝之主演で映画化。

結婚3年目、30歳という若さで妻の朋子に先立たれた健一。妻の父母から1人娘の美紀を引き取ろうかと声をかけてもらったが、健一は妻と時間をともにした妻の気配が漂うこの家で、娘と天国にいる妻との新しい生活を始めることを決める。娘の美紀の保育園から小学校卒業までの10年間、さまざまな壁にぶつかりながらも、亡き妻を思いながら、健一はゆっくりと歩みを進めていく。

山田孝之が自身初のシングルファーザー役を演じるほか、國村隼余貴美子広末涼子伊藤沙莉川栄李奈らが顔をそろえる。監督は「虹色デイズ」「大人ドロップ」の飯塚健

悪人伝」(7月17日公開)

新感染 ファイナル・エクスプレス」で一躍トップスターとなり、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品「エターナルズ」でハリウッド進出を果たすマ・ドンソク主演のバイオレンスアクション。

凶悪なヤクザの組長チャン・ドンスが、ある夜何者かによってめった刺しにされた。奇跡的に一命をとりとめたドンスは、対立する組織の犯行を疑い、犯人捜しに動き出す。一方、警察サイドで捜査にあたるチョン刑事は暴力的な手段も辞さない荒くれ者として、署内でも問題刑事として知られていた。まだ世間の誰も気づいていない連続無差別殺人鬼がこの事件の犯人であると確信したチョン刑事は、その手がかりを求めてドンスにつきまとう。ドンスとチョン刑事は互いに敵意をむき出しにするが、狡猾な殺人鬼を突き止めるには互いの情報が必要であると悟り、共闘して犯人を追い詰めてゆく。

パブリック 図書館の奇跡」(7月17日公開)

「ブレックファスト・クラブ」「レポマン」などで知られる俳優で、「ボビー」「星の旅人たち」など映画監督としても活動するエミリオ・エステベスが製作、監督、脚本、主演を務めたヒューマンドラマ。

オハイオ州シンシナティ公共図書館のワンフロアが約70人のホームレスたちに占拠された。記録的な大寒波の影響により、市の緊急シェルターがいっぱいで彼らの行き場がなくなってしまったのだ。彼らの苦境を察した図書館員スチュアートは図書館の出入り口を封鎖するなどし、立てこもったホームレスたちと行動をともにする。スチュアートにとってそれは、避難場所を求める平和的なデモのつもりだった。しかし、政治的イメージアップをねらう検察官やメディアのセンセーショナルな報道により、スチュアートは心に問題を抱えた危険な容疑者に仕立てられてしまう。

エミリオ・エステベスが主人公のスチュアート役を演じるほか、アレック・ボールドウィンクリスチャン・スレイタージェフリー・ライトジェナ・マローン、テイラー・シリングらが顔をそろえる。

ブリット=マリーの幸せなひとりだち」(7月17日公開)

「幸せなひとりぼっち」の原作者フレドリック・バックマンによる小説「ブリット=マリーはここにいた」を映画化したスウェーデン発のヒューマンドラマ。

結婚して40年になる専業主婦ブリット=マリーは、仕事で忙しい夫のために毎日食事を作り、家の中を奇麗に整えておくことが自分の役割だと信じ続けてきた。そんなある日、ひょんなことから夫の長年の愛人の存在を知った彼女は、これまでの生活を変えるべくスーツケースひとつで家を出る。しかし働いた経験などほとんどない63歳の彼女にまともな職は見つからず、ようやくありついたのは、小さな田舎町ボリのユースセンターの管理人兼、地域の子どもたちのサッカーチームのコーチという仕事だった。

主演は「愛の風景」のペルニラ・アウグスト。「ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男」などの女優ツバ・ノボトニーが監督を務めた。

リトル・ジョー」(7月17日公開)

幸せになる香りを放つという新種の植物がもたらす不安を描き、主演のエミリー・ビーチャムが第72回カンヌ国際映画祭で主演女優賞を受賞した異色のスリラー。

幸せになる香りを放つ新種の植物「リトル・ジョー」を開発した研究者でシングルマザーのアリスは、ワーカホリックで息子のジョーときちんと向き合えていないことに罪悪感を抱きながら、日々の研究にいそしんでいた。息子のジョーへの贈り物として、彼女にとってもう1人の息子であるリトル・ジョーを自宅に持ち帰る。しかし、リトル・ジョーの香りを嗅いだジョーが奇妙な行動をとり、花粉を吸い込んだアリスの助手クリスもいつもとは違う様子を見せ始める。

監督はミヒャエル・ハネケの助手を務め、「ルルドの泉で」で注目された気鋭の女性監督ジェシカ・ハウスナー。

グレース・オブ・ゴッド 告発の時」(7月17日公開)

8人の女たち」「2重螺旋の恋人」のフランソワ・オゾン監督がフランスで実際に起こった神父による児童への性的虐待事件を描き、第69回ベルリン国際映画祭審査員グランプリ銀熊賞)を受賞した作品。

妻と子どもたちとともにリヨンに暮らすアレクサンドルは、幼少期にプレナ神父から性的虐待を受けた過去を抱えていた。アレクサンドルは、プレナ神父が現在も子どもたちに聖書を教えていることを知り、家族を守るために過去の出来事の告発を決意する。彼と同様に神父の被害に遭い、傷を抱えてきた男たちの輪が徐々に広がっていく中、教会側はプレナの罪を認めながらも、責任を巧みにかわそうとする。信仰と告発の狭間で葛藤するアレクサンドルたち。彼らは沈黙を破った代償として社会や家族との軋轢とも戦うこととなる。

「進撃の巨人」クロニクル」(7月17日公開)

諫山創の大ヒットコミック「進撃の巨人」のテレビアニメシリーズ第1~3期の再編集版。テレビシリーズの完結編となる「The Final Season」の放送を前に、2013年のSeason1、17年のSeason2、そして18年から19年にかけて放送されたSeason3の全3シーズン、59話で描かれた物語を振り返る構成で、巨人の侵攻によって人類を守る壁が壊された日から、すべての巨人を駆逐すると誓った少年エレン・イェーガーの戦いと成長の軌跡を追う。

主人公エレン役の梶裕貴、ミカサ・アッカーマン役の石川由依、アルミン・アルレルト役の井上麻里奈がナレーションも務める。

 

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>「劇場」と「TENET テネット」、ジブリ映画から見る映画館とストリーミングサービスとの距離

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今週は「劇場」と「TENET テネット」の上映展開にまつわるニュース、ジブリの再上映を見ながら、劇場とストリーミングサービスとの距離感を考えていきたいと思います。

 

 

1.先々週末のランキング

まずは、先々週末のランキングを見てみましょう。

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1位は初登場ドクター・ドリトル」。土日2日間で動員8万1500人、興収1億1300万円をあげ、初日から3日間の累計では動員10万7000人、興収1億4800万円となっている。

2位は「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」。累計では動員10万5000人、興収1億3800万円を突破した。

3位は初登場水曜日が消えた」。初日から3日間の累計興収は4041万6400円となっている。

4位は「心霊喫茶「エクストラ」の秘密-The Real Exorcist-累計興収は5億1400万円を突破。

5位は初登場エジソンズ・ゲーム」。初日から3日間の累計興収は2336万9860円となっている。

6位は「パラサイト 半地下の家族」。

7位は「天気の子」。

8位は「一度死んでみた」。累計興収は4億4770万円を突破。

9位は「デッド・ドント・ダイ」。累計興収は7700万円を突破。

10位は「AKIRA 4Kリマスター版」。累計興収は1億630万円を突破した。

2.先週末のランキング

つづいて、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は初登場千と千尋の神隠し」。初日から3日間の累計興収は1億1850万円となっている。

2位は初登場もののけ姫」。初日から3日間の累計興収は1億1020万円となっている。

3位は初登場風の谷のナウシカ」。初日から3日間の累計興収は1億960万円となっている。

4位は初登場ランボー ラスト・ブラッド初日から3日間の累計興収は1億4500万円となっている。

5位は「ドクター・ドリトル」。累計興収は3億2500万円を突破。

6位は初登場ソニック・ザ・ムービー」。初日から3日間の累計では動員4万7400人、興収6290万円となっている。

7位は「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」。累計興収は2億690万円を突破。

8位は「水曜日が消えた」。累計興収は9760万円を突破。

9位は初登場ゲド戦記」。

10位は「心霊喫茶「エクストラ」の秘密-The Real Exorcist-」。

 

3.「劇場」と「TENET テネット」から見る映画館とストリーミングサービスとの距離

ここ2週間で起きた映画トピックを振り返ると大きなトピックが2つあった。

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1つは又吉直樹原作、行定勲監督、山崎賢人松岡茉優主演の「劇場」が7/17に公開が決まった。しかし、この公開決定は他の公開延期からの公開決定とは一味違う。なんと、配給だった松竹とアニプレックスが降り、代わりに吉本興業が担当して、公開規模を縮小してミニシアターを中心に展開。さらには映画館との公開と同日にAmazon Prime Videoにて全世界同時配信を行うと発表したのだ。

これまで「Fukushima 50」がレンタル配信をするなどの形は取られていたが、全世界をターゲットとした見放題映像サービスに日本の新作の実写映画が劇場公開と同時に参入することは初めてと言えるくらいの衝撃なのだ。コロナ禍での決断とはいえ、これからの日本映画の新たなる公開形式になっていくかもしれない。

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もう一つは日本ではなく、アメリカから。全世界が待ち望んでいるクリストファー・ノーラン監督の新作「TENET テネット」の公開延期だ。もともとは7月17日に全米公開だったが、31日に延期し、さらには8月12日に再延期した。また、「ムーラン」に関しても7月24日に延期したものの、8月21日に再延期した。どちらもアメリカの映画館再開が難航したことで1ヶ月近くの延期となった。

しかし、「TENET」に関してはノーラン監督の映画館での体験を守りたいという思いをワーナー側が受け取り、業界の復活に一石投下するべく、先陣を切るといった話があるなど、映画館での公開にこだわっている。

以上の2つのトピックはコロナによって映画館とストリーミングサービスの距離感が近づきつつある中で起きたことに思える。映画館での体験はこれからも廃れることはないと思うが、ストリーミングのあるべき形とは何だろうか。劇場公開とのタイムラグはこれからどうなるのか。劇場公開されずにストリーミング送りされるものがどれだけ生まれるのか。まだまだ読めないところにいる。

 

4.スタジオジブリ映画の再上映はコロナ再開後の映画館を救うのか?

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そして、先週末(6月26日)からは「一生に一度は、映画館でジブリを。」と題して、「千と千尋の神隠し」、「もののけ姫」、「風の谷のナウシカ」、「ゲド戦記」が全国372館で再上映が開始された。

これまでも再上映がされたことはあるが、ここまで全国規模で再上映されるのはジブリとしては初めてのことになるだろう。

そして、さすがは日本一の興行成績を収めているだけある。新作もある中でトップ3を独占。旧作は本来ランクインしない形を取っているが、今回は異例の形となった。そして、3日間で1億円以上を稼ぎだす作品もあった。旧作であるにも関わらずだ。

3.11以降初めて100億円の大台を突破したのは2013年の宮崎駿監督の「風立ちぬ」だった。2016年の「レッドタートル」以降、新作の公開がないにも関わらず、ジブリのブランドが廃れることはなく、集客効果があることを改めて証明したことになる。コロナ再開後の映画館としてはジブリの再上映はありがたいと感じる面もあるだろう。ぜひとも、今後も第2弾と続いても良いのではないのだろうか。コロナ後の映画館を救うのはジブリかもしれない。

 

5.今週の注目作

MOTHER マザー」(7月3日公開) (PG12)

日日是好日」「光」の大森立嗣監督が長澤まさみ阿部サダヲという実力派キャストを迎え、実際に起きた「少年による祖父母殺害事件」に着想を得て描いたヒューマンドラマ。プロデューサーは、「新聞記者」「宮本から君へ」など現代社会のさまざまなテーマを問いかける作品を立て続けに送り出している河村光庸。

男たちと行きずりの関係をもち、その場しのぎで生きてきたシングルマザーの秋子は、息子の周平に異様に執着し、自分に忠実であることを強いてきた。そんな母からの歪んだ愛に翻弄されながらも、母以外に頼るものがない周平は、秋子の要求になんとか応えようともがく。身内からも絶縁され、社会から孤立した母子の間には絆が生まれ、その絆が、17歳に成長した周平をひとつの殺人事件へと向かわせる。

長澤まさみがシングルマザーの秋子、阿部サダヲが内縁の夫を演じる。息子・周平役はオーディションで抜てきされた新人の奥平大兼。

レイニーデイ・イン・ニューヨーク」(7月3日公開) (PG12)

 

巨匠ウディ・アレン監督が、ティモシー・シャラメエル・ファニング、セレーナ・ゴメスら人気若手俳優たちをキャストに迎えメガホンをとったロマンティックコメディ。

大学生のカップル、ギャツビーとアシュレーは、ニューヨークでロマンチックな週末を過ごそうとしていた。そのきっかけとなったのは、アシュレーが学校の課題で有名な映画監督ローランド・ポラードにマンハッタンでインタビューをするチャンスに恵まれたことだった。生粋のニューヨーカーのギャッツビーは、アリゾナ生まれのアシュレーにニューヨークの街を案内するためのさまざまなプランを詰め込む。しかし、その計画は狂い出し、思いもよらないさまざまな出来事が巻き起こってしまう。

カセットテープ・ダイアリーズ」(7月3日公開)

 

1980年代のイギリスを舞台に、パキスタン移民の少年がブルース・スプリングスティーンの音楽に影響を受けながら成長していく姿を描いた青春音楽ドラマ。

87年、イギリスの田舎町ルートン。音楽好きなパキスタン系の高校生ジャベドは、閉鎖的な町の中で受ける人種差別や、保守的な親から価値観を押し付けられることに鬱屈とした思いを抱えていた。しかしある日、ブルース・スプリングスティーンの音楽を知ったことをきっかけに、彼の人生は変わり始める。

出演は「キャプテン・アメリカ」シリーズのヘイリー・アトウェル、「1917 命をかけた伝令」のディーン=チャールズ・チャップマン。監督は「ベッカムに恋して」のグリンダ・チャーダ

イップ・マン 完結」(7月3日公開)

「ムーラン」「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」など、ハリウッドでも活躍するドニー・イェンが、ブルース・リーの師匠として知られる詠春拳の達人イップ・マン(葉問)を演じる伝記アクションシリーズ第4作。

1964年、サンフランシスコに渡ったイップ・マンは、弟子であるブルース・リーとの再会や太極拳の達人ワンとの対立などを経て、アメリカという異国の地で生きる同胞たちが直面している厳しい現実を身をもって知る。そんな中、中国武術を敵視する海兵隊軍曹バートンとの戦いでワンが敗北を喫してしまう。香港に残して来た息子にある思いを伝えたイップ・マンは、宣告された病を隠して、人びとの誇りのために最後の戦いへと挑む。

シリーズ最終作となる本作は、香港電影金像奨で監督賞をはじめとする9部門にノミネートされた。監督は「イップ・マン 序章」「イップ・マン 葉問」「イップ・マン 継承」と、シリーズ全作品を手がけたウィルソン・イップ。

アングスト 不安」(7月3日公開) (R15+)

 

1980年にオーストリアで実際に起こった殺人鬼ベルナー・クニーセクによる一家惨殺事件を映画化した実録スリラー。83年にオーストリアで製作され、日本では88年に「鮮血と絶叫のメロディ 引き裂かれた夜」のタイトルでレンタル用VHSとして発売された作品を2020年に劇場初公開。

刑務所出所後の殺人鬼が感じる不安、プレッシャーによる異様な行動や心理状態、それらを冷酷非情で凶暴なビジュアル、斬新なカメラワークで表現。陰惨な世界観を「U・ボート」「アンダーワールド」のアーウィンレダー演じる殺人鬼のモノローグでつづっていく。音楽を元「タンジェリン・ドリーム」のクラウス・シュルツ、撮影をアカデミー短編アニメ賞を獲得した「タンゴ」やジョン・レノンミック・ジャガーなどのMVを手がけたズビグニェフ・リプチンスキが担当。監督は本作が唯一の監督作品となるジェラルド・カーグル。

一度も撃ってません」(7月3日公開)

 

「半世界」「エルネスト」の阪本順治監督、「野獣死すべし」「探偵物語」の丸山昇一脚本によるハードボイルドコメディ。18年ぶりの映画主演となる石橋蓮司が、冴えない小説家と伝説の殺し屋という2つの顔をもつ主人公を演じる。

ハードボイルドを気取る小説家の市川進。まったく原稿が採用されない時代遅れの作家である市川には伝説の殺し屋・サイレントキラーというもう1つの顔があった。しかし、彼は一度も人を撃ったことがなく、旧友である石田から依頼を受け、標的の行動をリサーチするだけだった。しかし、石田が中国系のヒットマンから命を狙われたことから、市川にも身の危険が迫る。

石橋蓮司のほか、大楠道代岸部一徳桃井かおりと日本映画界を支えるベテラン俳優陣が顔をそろえる。

チア・アップ!」(7月3日公開)

平均年齢72歳のチアリーディングチームの奮闘を描いたダイアン・キートン主演のハートフルドラマ。

のんびりと余生を過ごすためにシニアタウンに越してきたマーサ。「昔、チアリーダーになりたかったの」と、口にしたことから、お節介焼きの隣人シェリルにたき付けられ、チアリーディングクラブを結成することに。オーディションを開催するが、参加したのはチア未経験者どころか、腕が上がらない、膝が痛い、坐骨神経痛持ちの8人。周囲からは絶対に無理とバカにされ、笑われながらも、互いに励ましあいながら練習に打ち込んでいった。特訓を重ねた結果、チア未経験の素人たちが全米チアリーディング大会へのエントリーと進んでいくが……。

主人公マーサ役をダイアン・キートンが演じるほか、「世界にひとつのプレイブック」のジャッキー・ウィーバー、「ジャッキー・ブラウン」のパム・グリアらベテラン女優たちが顔をそろえる。

のぼる小寺さん」(7月3日公開)

 

ボルダリングに夢中な女子高生を描いた珈琲原作の人気青春漫画を「ロボコン」「ホームレス中学生」の古厩智之監督が実写映画化。「けいおん!」「聲の形」「若おかみは小学生!」などのアニメ作品で知られる吉田玲子が脚本を手がけ、「ルパンレンジャーVSパトレンジャーVSキュウレンジャー」で活躍した元「モーニング娘。」の工藤遥が映画初主演を務めた。

ライミング部に所属する女子高生の小寺は壁を見るとウズウズしてしまうほどボルダリングのことばかり考えていた。卓球部に所属する近藤は、隣で練習する小寺からなぜか目が離せずにいた。小寺としゃべれることがうれしい近藤は、次第に彼女に惹かれていった。しかし、そんな小寺を見つめているのは近藤だけではなく……。

小寺役を工藤遥、近藤役を伊藤健太郎が演じるほか、鈴木仁、吉川愛小野花梨らが脇を固める。

‪Homemade/ホームメード‬」(6月30日NETFLIXにて配信)

新型コロナウイルスの感染拡大により多くの人が外出自粛を余儀なくされる中、各国の映画監督が自宅にある機材のみで撮影した短編集。

世界的なパンデミックにありながら持続する映像制作の巧みな技やクリエイティブの力を称揚する目的で、イタリアの映画製作者ロレンツォ・ミエリや「NO」で知られる映画監督のパブロ・ララインらが世界中のクリエイターに参加を呼びかけ。「レ・ミゼラブル」のラジ・リ、「グレート・ビューティー/追憶のローマ」のパオロ・ソレンティーノ、「パーフェクト・センス」のデヴィッド・マッケンジー、「存在のない子供たち」のナディーン・ラバキー、「ナチュラルウーマン」のセバスティアン・レリオ、「カセットテープ・ダイアリーズ」のグリンダ・チャーダ、女優のクリステン・スチュワートマギー・ギレンホール、日本からは河瀬直美ら18人17組が名を連ねた。

‪ハミルトン‬」(7月3日Disney+にて配信)

2015年にオフ・ブロードウェイで初演されるや絶大なる支持を受けてブロードウェイに進出し、「もっともチケットが取れない舞台」といわれる人気を誇り、2016年にはトニー賞の16部門にノミネートされ、最優秀ミュージカル賞を含む11部門を受賞したほか、ピュリッツァー賞の戯曲部門にも輝いたアメリカ合衆国建国の父ともいわれるアレクサンダー・ハミルトンの生涯を、ヒップホップやR&B、ソウルなど多彩な音楽によって綴るミュージカルが映画版として登場する。

映画版は、2016年6月、ブロードウェイのリチャード・ロジャース・シアターにて上演されたオリジナル・キャストによる舞台を撮影・編集した作品となる。出演者は生みの親であるリン=マニュエル・ミランダをはじめ、「ブラインドスポッティング」のダヴィード・ディグス、「オリエント急行殺人事件」のレスリー・オドム・Jr.、「ボクらを見る目」のクリストファー・ジャクソン、「アナと雪の女王」クリストフ役のジョナサン・グロフ、「ルイスと不思議の時計」のレネイ・エリース・ゴールズベリイら、その後の活躍めざましい顔ぶれだ。舞台を演出したトーマス・ケイルが監督を務め、映画のために上演3回分を撮影したほか、無観客での収録も行われている。

本来は2021年10月15日にアメリカで劇場公開の予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ブロードウェイの劇場は2020年3月から閉鎖されており、再開の目処は立っておらず、しばらく「ハミルトン」の実際の上演を観ることはできない状況となっており、公開を大幅に早めて、全世界での配信に踏み切った。なお世界同時配信を実現するため、配信開始のタイミングでは英語音声の映像のみが公開され、日本語字幕版の配信に後日となる。

 

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。