Takaのエンタメ街道

一生を映画に捧ぐと決めたTakaが主に映画・テレビ・音楽について書くブログです。

<週刊興行批評>徐々に火が灯される映画たち…公開延期作品が続々と公開へ

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2週ぶりの更新。この2週間で「デッド・ドント・ダイ」、「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」が公開され、3月から4月にかけて公開される予定だった映画作品が続々と公開される運びとなっている。今週はこの2週間の興行を振り返る。

 

 

1.先々週末のランキング

まずは、先々週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「心霊喫茶「エクストラ」の秘密-The Real Exorcist-」。

2位は初登場デッド・ドント・ダイ」。

3位は「パラサイト 半地下の家族」。6月5日から全国230館で「モノクロver.」の公開が始まり、累計では動員336万人、興収46億円を突破し、韓国映画の興収記録を更新し続けている。

4位は「AKIRA 4Kリマスター版4月から公開されたIMAX版に続き、6月5日より4Kリマスター版が劇場公開され、ランクインした。

5位は初登場ANNA/アナ」。

6位は「一度死んでみた」。

7位は「天気の子」。

8位は「アベンジャーズ」。

9位は「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」。

10位は「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」。8位から10位までは6月5日からリバイバル上映されているため、ランクインした。

 

2.先週末のランキング

続いて、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「心霊喫茶「エクストラ」の秘密-The Real Exorcist-」。累計興収は4億6682万4200円を突破。

2位は初登場ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」。全国300館で土日2日間で動員3万464人、興収4121万5140円をあげ、初日から3日間の累計では動員4万210人、興収5415万1340円を記録した。

3位は「パラサイト 半地下の家族」。6月12日から全国36館でIMAX版が公開され、先週と変わらず3位をキープ。

4位は「デッド・ドント・ダイ累計興収は5868万6680円を突破。

5位は「天気の子」。

6位は「一度死んでみた」。累計興収は4億3432万6150円を突破。

7位は「AKIRA 4Kリマスター版」。

8位は初登場ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷」。

9位は「ANNA/アナ」。累計興収は3331万3840円を突破した。

10位は初登場グッド・ボーイズ」。

 

3.徐々に新作映画の火が灯される

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前回の記事から全国の映画館の再開によって、新作映画の公開が徐々に始まっている。先々週からはジム・ジャームッシュ監督の新作「デッド・ドント・ダイ」、先週からはグレタ・ガーウィグ監督の新作で今年のアカデミー賞の作品賞などにノミネートされた「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」が公開され、それぞれ上位にランクインした。

元々、この2作品は3月から4月に向けて公開を予定していた作品だったが、公開延期を決めた。しかし、映画館の営業再開のタイミングで先陣を切って公開に乗り出した。特に「ストーリー・オブ・マイライフ」は当初は全国128館で上映予定だったが、今回の公開決定で倍以上の340館で公開されることとなった。このタイミングで公開することはお客さんがすぐに戻るということではない。しかし、こんなときだからこそ、公開することで映画という火を絶やさないで済む力を持ち合わせている。どちらも現在、興収5000万円とこのご時世を踏まえても健闘していると捉えていいだろう。

日本映画製作者連盟は映画配給大手12社の5月の興行収入総額が前年同月比98.9%減の1億9617万円であり、過去最低だった4月の興収6億8824万円をさらに下回ったことを報告した。

これ以上の下回りはないが、昨年のような勢いに戻すには、1年、2年以上という長期的なスパンを考えなければならない。夏休みの恒例となっているポケモンが冬、GWの恒例となっているコナンが来春と半年〜1年の延期を表明したほか、「コンフィデンスマンJP」が7/23公開となったり、「泣きたい私は猫をかぶる」がNETFLIXへの配信に移行するなど、公開延期作品も様々な対応をしている。

すぐには元に戻らないが、元に戻そうと努力している点は映画界も一緒。映画の灯りを絶やさないように今後も頑張るしかない。まずは夏休みに向けてどういった新作映画が公開されるのかを見つめていこう。

 

4.今週の注目作

泣きたい私は猫をかぶる」(6月18日NETFLIXにて配信)

 

ペンギン・ハイウェイ」を手がけた新進気鋭のアニメーション制作会社、スタジオコロリドの長編アニメーション映画第2作。猫に変身できる不思議なお面を手にした女子中学生の恋を描くオリジナルの青春ファンタジーストーリーで、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「さよならの朝に約束の花をかざろう」の岡田麿里が脚本を担当。「美少女戦士セーラームーン」や「ケロロ軍曹」シリーズなどを手がけてきたベテランの佐藤順一と、「ペンギン・ハイウェイ」で絵コンテなどを担当してきた柴山智隆が共同監督を務めた。

自由奔放でちょっと風変わりな笹木美代は、クラスメイトから「ムゲ(無限大謎人間)」というあだ名で呼ばれ、いつも明るく元気いっぱいな中学2年生。思いを寄せる日之出賢人には毎日のようにアタックするが、全く相手にされていない。それでもめげずにアピールを続ける彼女には、ある秘密があり……。

声の出演は「借りぐらしのアリエッティ」などで声優経験もある志田未来と、「鬼滅の刃」などに出演する人気声優の花江夏樹

ドクター・ドリトル」(6月19日公開)

100年以上にわたり世界中で愛読されているヒュー・ロフティングの児童文学作品で、過去にもエディ・マーフィ主演版などで映画化された「ドリトル先生」シリーズを、「アイアンマン」「シャーロック・ホームズ」のロバート・ダウニー・Jr.主演で新たに映画化したアクションアドベンチャー

名医ではあるが変わり者で、動物と話せるドリトル先生は、世間から遠ざかり、さまざまな動物たちとひっそり暮らしていた。しかし、若き女王が重い病に倒れたことを耳にしたドリトル先生は女王を救うことができる唯一の治療法を求めて、頑固なオウム、臆病なゴリラら個性的な仲間たちと伝説の島へと出発する。冒険を続ける中で、先生の過去、国を揺るがす陰謀など、さまざまな事実が明らかとなっていく。

ロバート・ダウニー・Jr.がドリトル先生を演じるほか、エマ・トンプソンラミ・マレックトム・ホランドら豪華俳優陣が動物たちのボイスキャストとして出演。監督は「トラフィック」でアカデミー脚色賞を受賞したスティーブン・ギャガン。

エジソンズ・ゲーム」(6月19日公開)

明王エジソンとライバルたちがアメリカ初の電力送電システムをめぐって繰り広げたビジネスバトル=電流戦争を映画化。「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」のベネディクト・カンバーバッチトーマス・エジソン、「シェイプ・オブ・ウォーター」のマイケル・シャノンがライバルのカリスマ実業家ジョージ・ウェスティングハウスを演じ、共演にも「女王陛下のお気に入り」のニコラス・ホルト、「スパイダーマン」シリーズのトム・ホランドら豪華キャストがそろった。

19世紀、アメリカは電気の誕生による新時代を迎えようとしていた。白熱電球の事業化を成功させた天才発明家エジソンは、大統領からの仕事も平然と断る傲慢な男だった。実業家ウェスティングハウスが交流式送電の実演会を成功させたというニュースに激怒したエジソンは、ネガティブキャンペーンで世論を誘導。事態は訴訟や駆け引き、裏工作が横行する世紀のビジネスバトルへと発展していく。

監督は「ぼくとアールと彼女のさよなら」のアルフォンソ・ゴメス=レホン。

水曜日が消えた」(6月19日公開)

 

中村倫也が、曜日ごとに入れ替わる7つの人格を持った男を演じた主演作。

幼い頃の交通事故により、曜日ごとに性格も個性も異なる7人が入れ替わる「僕」。彼らは各曜日の名前で呼び合っているが、中でも「火曜日」は一番地味で退屈な存在で、他の曜日から家の掃除など面倒なことを押し付けられる損な役回りだった。しかし、ある時、1日を終えてベッドに入った「火曜日」が、水曜日に目を覚ます。僕の中の「水曜日」が消え、「火曜日」は水曜日を謳歌するが、その日常は徐々に恐怖へと変わっていく。

中村倫也が7つの人格を持つ主人公を演じるほか、石橋菜津美、元「乃木坂46」の深川麻衣、きたろう、中島歩、「ゲスの極み乙女。」の休日課長などが顔をそろえる。MVやCM、短編作などで注目される吉野耕平の初の長編監督作。

ペイン・アンド・グローリー」(6月19日公開) (R15+)

スペインの名匠ペドロ・アルモドバルが長年にわたってタッグを組んできたアントニオ・バンデラスを主演に迎え、自伝的要素を織り交ぜつつ描いた人間ドラマ。

世界的な映画監督サルバドールは、脊椎の痛みから生きがいを見いだせなくなり、心身ともに疲れ果てていた。引退同然の生活を送る彼は、幼少時代と母親、その頃に移り住んだバレンシアの村での出来事、マドリッドでの恋と破局など、自身の過去を回想するように。そんな彼のもとに、32年前に手がけた作品の上映依頼が届く。思わぬ再会が、心を閉ざしていたサルバドールを過去へと翻らせていく。

アントニオ・バンデラスが主人公の映画監督を繊細に演じ、2019年・第72回カンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞。第92回アカデミー賞でも主演男優賞、国際長編映画賞にノミネートされた。アルモドバル作品のミューズ、ペネロペ・クルスが家族を明るく支える母親を演じる。

WASPネットワーク」(6月19日NETFLIXにて配信)

 

パーソナル・ショッパー」、「冬時間のパリ」のオリヴィエ・アサイヤス監督が作家フェルナンド・モライスが実話を題材に執筆した小説を基にしたポリティカル・スリラー。

1990年代のフィデル・カストロ政権下、妻と娘を置いてキューバからアメリカに亡命したパイロットの主人公レネ・ゴンザレスは、反カストロを掲げるテロ集団に立ち向かう組織「WASPネットワーク」に加入することに。そして、キューバで多発するテロ行為を阻止するべく苦闘するが……。

ペネロペ・クルス、アナ・デ・アルマスをはじめ、「ブライト」のエドガー・ラミレス、「ノー・エスケープ 自由への国境」のガエル・ガルシア・ベルナル、「人生スイッチ」のレオナルド・スバラグリア、「ナルコス:メキシコ編」のヴァグネル・モウラなどが名を連ねている。

はちどり」(6月20日公開) (PG12)

1990年代の韓国を舞台に、思春期の少女の揺れ動く思いや家族との関わりを繊細に描いた人間ドラマ。本作が初長編となるキム・ボラ監督が、自身の少女時代の体験をもとに描き、世界各地の映画祭で数々の賞を受賞した。

94年、空前の経済成長を迎えた韓国。14歳の少女ウニは、両親や姉兄とソウルの集合団地で暮らしている。学校になじめない彼女は、別の学校に通う親友と悪さをしたり、男子生徒や後輩の女子とデートをしたりして過ごしていた。小さな餅屋を切り盛りする両親は、子どもたちの心の動きと向き合う余裕がなく、兄はそんな両親の目を盗んでウニに暴力を振るう。ウニは自分に無関心な大人たちに囲まれ、孤独な思いを抱えていた。ある日、ウニが通う漢文塾に、不思議な雰囲気の女性教師ヨンジがやって来る。自分の話に耳を傾けてくれる彼女に、ウニは心を開いていくが……。

一生に一度は、映画館でジブリを。」(6月26日公開)

スタジオジブリ作品「風の谷のナウシカ」(1984)、「もののけ姫」(1997)、「千と千尋の神隠し」(2001)、「ゲド戦記」(2006)が全国372館の劇場で「一生に一度は、映画館でジブリを」という思いが込め、再上映される。

ソニック・ザ・ムービー」(6月26日公開)

世界的人気を誇るセガの人気ゲーム「ソニック」シリーズをハリウッドで実写映画化。

宇宙最速で走るパワーを持つ青いハリネズミソニックが、故郷を離れて遠い地球へとやって来る。ひょんなことから出会った保安官トムとバディを組んだソニックは、マッドサイエンティストのドクター・ロボトニックが企てる陰謀を阻止するべく大冒険を繰り広げる。

主人公ソニックの声を「スター・ウォーズ フォースの覚醒」でBB-8の声を担当したベン・シュワルツが務め、宿敵ドクター・ロボトニックを「マスク」のジム・キャリー、相棒トムを「X-MEN」シリーズのジェームズ・マースデンがそれぞれ演じる。アカデミー賞短編アニメーション部門ノミネートの実績を持つジェフ・ファウラーがメガホンをとった。

ランボー ラスト・ブラッド」(6月26日公開) (R15+)

シルベスター・スタローンの「ロッキー」に並ぶ代表作で、1982年に1作目が製作された人気アクション「ランボー」のシリーズ第5弾。グリーンベレーの戦闘エリートとして活躍していたジョン・ランボーは、いまだベトナム戦争の悪夢にさいなまれていた。ランボーは祖国アメリカへと戻り、故郷のアリゾナの牧場で古い友人のマリア、その孫娘ガブリエラとともに平穏な日々を送っていた。しかし、ガブリエラがメキシコの人身売買カルテルに拉致されたことで、ランボーの穏やかだった日常が急転する。娘のように愛していたガブリエラ救出のため、ランボーグリーンベレーで会得したさまざまなスキルを総動員し、戦闘準備をスタートさせる。監督はメル・ギブソン主演作「キック・オーバー」を手がけたエイドリアン・グランバーグ。

SKIN スキン」(6月26日公開) (R15+)

 

2003年にアメリカで発足したスキンヘッド集団「ヴィンランダーズ」の共同創設者ブライオン・ワイドナーの実話をもとに製作され、第91回アカデミー賞を受賞した短編映画を長編化した社会派ドラマ。

白人至上主義者に育てられ、スキンヘッドに差別主義者の象徴ともいえる無数のタトゥーを入れたブライオン。シングルマザーのジュリーと出会ったブライオンは、これまでの憎悪と暴力に満ちた自身の悪行の数々を悔い、新たな人生を始めようと決意する。しかし、かつての同志たちは脱会を許さず、ブライオンに執拗な脅迫や暴力を浴びせてくる。そして彼らの暴力の矛先はジュリーたちにも向き始める。

ブライオン役を「リトル・ダンサー」「ロケットマン」のジェイミー・ベル、ジュリー役を短編版「SKIN」にも出演したダニエル・マクドナルドがそれぞれ演じる。イスラエル出身のユダヤ人監督ガイ・ナティーブが、短編に続きメガホンをとった。劇場公開時には一部劇場で基になった短編版も上映。

ワイルド・ローズ」(6月26日公開) (PG12)

 

「ジュディ 虹の彼方に」「ドクター・ドリトル」のジェシー・バックリーがカントリー歌手を目指す主人公を演じる音楽ドラマ。

カントリー歌手になることを夢見ているローズ=リン・ハーラン。しかし、2人の子どもを抱えるシングルマザーで、刑務所から出所したばかりの彼女にとっては、夢の舞台は憧れの場所でしかなかった。家政婦としてローズが働き出した資産家のスザンナは、彼女の歌を聞き、その才能に感動し、彼女をサポートしていく。卓越した歌唱力とカリスマ性で夢へと一歩ずつ近付いていくローズ。しかし、彼女は家族とスターへの階段との間で選択を迫られる。

バックリーが見事な歌声で主人公ローズを演じて英国アカデミー賞の主演女優賞にノミネートされるなど、高い評価を獲得。「リトル・ダンサー」のジュリー・ウォルターズ、「ホテル・ルワンダ」のソフィー・オコネドーらが脇を固める。監督は「イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり」のトム・ハーパー。

悪の偶像」(6月26日公開)

 

「シュリ」「ベルリンファイル」のハン・ソッキュ、「オアシス」「殺人者の記憶法」のソル・ギョングという韓国映画界を代表する2人の実力派俳優が共演し、ひき逃げ事件の加害者の父と被害者の父の運命が交錯するさまを描いたサスペンスノワール

息子のヨハンが飲酒運転で人をひき殺してしまったことを知った市議会議員のミョンヒは、事件をもみ消そうとする。しかし、現場に居合わせた被害者の新妻リョナの行方がわからなくなっていることが判明。事実が明るみに出ることを恐れるミョンヒは、リョナの行方を追う。一方、被害者の父親であるジュンシクは、リョナが妊娠していることを知り、なんとかして彼女を捜し出そうとする。それぞれのルートでリョナを追うミョンヒとジュンシクだったが……。

監督・脚本は「ハン・ゴンジュ 17歳の涙」のイ・スジン

ハニーランド 永遠の谷」(6月26日公開)

北マケドニアに暮らす自然養蜂家の女性を追ったドキュメンタリー。第92回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞とあわせて国際映画賞(旧・外国語映画賞)にもノミネートされ、長編ドキュメンタリー賞と国際映画賞(外国語映画賞)に同時にノミネートされた初の作品となった。

北マケドニアの首都スコピエから20キロほど離れた、電気も水道もない谷で、目が不自由で寝たきりの老母と暮らす自然養蜂家の女性は、持続可能な生活と自然を守るため「半分は自分に、半分は蜂に」を信条に、養蜂を続けていた。そんな彼女が暮らす谷に突然やってきた見知らぬ家族や子どもたちとの交流、病気や自然破壊など、3年の歳月をかけた撮影を通して、人間と自然の存在の美しさや希望を描き出していく。

キラーソファ」(6月26日公開)

殺人鬼と化したソファが巻き起こす恐怖を描いたニュージーランド発のB級ホラー。

フランチェスカは行方不明になった知人の1人掛けソファを譲り受けることに。しかしそのソファは呪われており、男たちを魅了するフランチェスカに恋をしてしまう。ソファは彼女の身も心も独占するべく、家を訪れる人間たちを次々と襲撃。ボタンで出来たつぶらな瞳や快適な座り心地からは想像できない残忍な手口と意外な機動性で惨劇を引き起こしていく。

ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜」(6月26日NETFLIXにて配信)

歌手セリーヌ・ディオンを輩出したとされる世界最大級の音楽コンテスト「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」を題材に「俺たちニュースキャスター」シリーズのウィル・フェレル、「ドクター・ストレンジ」のレイチェル・マクアダムスが共演したコメディ。

凸凹ミュージシャンコンビ「ファイア・サーガ」のラーズ・エリックスソンとシグリット・エリックスドッティルは、ユーロビジョン歌合戦での優勝を子どもの頃から夢見てきた。そんな2人は、アイスランド代表としてユーロビジョンに出場する一世一代のチャンスを掴み、無謀とも思える野望に挑むが…。

ラーズをウィル・フェレル、シグリットをレイチェル・マクアダムス、ラーズの父親エリックを『007』シリーズ5代目ジェームズ・ボンドとして知られるピアース・ブロスナンが演じる。監督はウィル・フェレルレイチェル・マクアダムスも出演した「ウェディング・クラッシャーズ」のデヴィッド・ドブキン。

 

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>いよいよ全国の映画館再開…公開延期作品の公開日も続々と決定へ

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2週ぶりの更新です。今週は全国の映画館の営業再開と公開延期作の公開日が続々と決定していることを中心に見ていきたいと思います。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「心霊喫茶「エクストラ」の秘密-The Real Exorcist-」。

2位は「天気の子」。

3位は「一度死んでみた」。

4位は「パラサイト 半地下の家族

5位は初登場ブラッドショット」。配給がイオンエンターテインメントのため、全国のイオンシネマ86館で独占公開された。今月1日には再開された北海道と東京の6館でも上映がされる。

6位は「Fukushima 50」。

7位は「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」。

8位は「君の名は。」。

9位は「弥生、三月 -君を愛した30年-」。

10位は「犬鳴村」。一部劇場で「恐怖回避ばーじょん 劇場版」の上映が始まっており、圏外から再ランクインした。「恐怖回避ばーじょん 劇場版」は今月1日から全国18館で更に公開となり、その後も順次公開される予定だ。

 

2.映画館の再開、公開延期作品の公開日が続々と決定へ

いよいよ全国の映画館が再び灯りが灯される日が近づきつつある。まず、先月22日に愛知、京都、奈良、大阪、兵庫、福岡などの大都市圏で営業が再開され、さらに、先月29日から今月1日にかけて、東京や神奈川、千葉、埼玉、北海道の劇場も順次営業が再開された。

また、首都圏のTOHOシネマズも今週末には営業再開予定でいよいよ全国の映画館が戻ってくることになる。

3月下旬の外出自粛要請から始まった映画館の休業もここに来て落ち着いた形となる。しかし、まだ油断を許されない状況である。第2波を警戒しつつ、細心の注意を払って営業していく必要があるが、やはり映画館の灯りが灯されたまま営業して欲しいというのが映画ファンとしての願いだ。

ようやく全国の映画館の営業が再開されたことで公開を延期していた作品たちの公開日が続々と決定している。

まず、今週末6/5には「ハリエット」、「デッド・ドント・ダイ」、「ポップスター」、「ANNA/アナ」が公開。

6/12には「グッド・ボーイズ」、「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」が公開。

6/19には「ドクター・ドリトル」、「エジソンズ・ゲーム」、6/20には「はちどり」が公開。

6/26には「ソニック ザ・ムービー」の公開が決定した。

春休み映画は夏休みまでお預けかと思いきや、6月に主力作はほとんど公開されるということで楽しみではある。

また、夏休み映画も延期と公開日決定が続々と発表されている。

まず、延期となってしまったのが6/26公開予定だった「子供はわかってあげない」と7/3、8/7に公開予定だった「るろうに剣心 最終章」2部作だ。

るろ剣に関しては監督のコメントからも分かるとおり、コロナ禍の現状で編集作業がストップしてしまったという理由も含まれている。夏休み映画の筆頭になり得た作品もこの状況ではしょうがないとしか言えない…

また、夏休み映画として8/7に「ぐらんぶる」、8/21に「2分の1の魔法」が公開されることが決まった。

公開延期作も徐々に目処がついて来た状態にある作品もある。ぽっかりと空いた穴にどういった新作を加えていくのか。これからも動向を見守っていきたい。

 

映画館の再開と延期作の公開決定…まだまだ映画館が元どおりになったわけではないが、映画館が戻ってきた…そんなあたりまえにまずは喜びたい。

 

3.今週の注目作

 

今週から注目作をピックアップするこのコーナーも再開。新作紹介のお役に立てればと思います。

 

許された子どもたち」(6月1日公開) (PG12)

「先生を流産させる会」「ライチ☆光クラブ」の内藤瑛亮監督が、実際に起きた複数の少年事件をモチーフに、構想に8年の歳月をかけて自主制作映画として完成させたドラマ。

とある地方都市。不良グループのリーダーである中学1年生の市川絆星は、同級生の倉持樹に対するいじめをエスカレートさせ、ついには彼を殺してしまう。警察に犯行を自供する絆星だったが、息子の無罪を信じる母親・真理の説得により否認に転じる。少年審判は無罪に相当する「不処分」の決定を下し絆星は自由を得るが、世間では激しいバッシングが巻き起こる。そんな中、樹の家族は絆星ら不良グループの罪を問う民事訴訟を起こすことを決意する。

デッド・ドント・ダイ」(6月5日公開) (R15+)

鬼才ジム・ジャームッシュビル・マーレイアダム・ドライバーを主演にメガホンをとったゾンビコメディ。

アメリカの田舎町センターヴィルにある警察署に勤務するロバートソン署長とピーターソン巡査、モリソン巡査は、他愛のない住人のトラブルの対応に日々追われていた。しかし、ダイナーで起こった変死事件から事態は一変。墓場から死者が次々とよみがえり、ゾンビが町にあふれかえってしまう。3人は日本刀を片手に救世主のごとく現れた葬儀屋のゼルダとともにゾンビたちと対峙していくが……。

ジャームッシュ作品常連のビル・マーレイ、「パターソン」に続きジャームッシュ組参加となるアダム・ドライバーのほか、ティルダ・スウィントン、クロエ・セビニー、スティーブ・ブシェーミトム・ウェイツ、セレーナ・ゴメス、ダニー・クローバー、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズイギー・ポップらが顔をそろえる。第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。

ハリエット」(6月5日公開)

 

アフリカ系アメリカ人女性として初めて新20ドル紙幣に採用された奴隷解放運動家ハリエット・タブマンの激動の人生を映画化。「プレイヤー 死の祈り」の女性監督ケイシー・レモンズがメガホンをとり、「ホテル・エルロワイヤル」など映画でも活躍するミュージカル女優シンシア・エリボが主演を務め、主題歌も担当。第92回アカデミー賞では主演女優賞と主題歌賞にノミネートされた。

1849年、メリーランド州。ブローダス家が所有する農園の奴隷として幼い頃から過酷な生活を強いられてきたミンティは、いつか自由の身となって家族と一緒に人間らしい生活を送ることを願っていた。ある日、奴隷主エドワードが急死し、借金の返済に迫られたブローダス家はミンティを売ることに。家族との永遠の別れを察知したミンティは脱走を決意し、奴隷制が廃止されたペンシルベニア州を目指して旅立つが……。

共演は「女王陛下のお気に入り」のジョー・アルウィン、「ドリーム」のジャネール・モネイ

ポップスター」(6月5日公開)

ブラック・スワン」のナタリー・ポートマンが主演と製作総指揮を務め、カリスマポップスターの壮絶な生きざまを描いたドラマ。

クラスメイトによる銃乱射事件に巻き込まれ、生死の境をさまよいながらも一命を取り留めた14歳の少女セレステ。皮肉にも姉エレノアと作った追悼曲が大ヒットし、敏腕マネージャーに見初められてスターダムへと駆け上がる。18年後、度重なるスキャンダルでトップスターの座から転落した彼女のカムバックツアー初日を前に、ある事件が起こる。それは、かつて彼女が被害に遭った事件を模倣するものだった。トラウマがよみがえる中、再起をかけてステージへと向かうセレステだったが……。

敏腕マネージャー役をジュード・ロウ、幼少期のセレステと彼女の娘の2役を「トゥモローランド」のラフィー・キャシディが演じる。監督・脚本は「シークレット・オブ・モンスター」のブラディ・コーベット。世界的トップ歌手のシーアが主題歌・劇中歌を担当。第75回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門出品。

ANNA/アナ」(6月5日公開) (PG12)

ニキータ」「レオン」「LUCY ルーシー」など、戦うヒロインを主人公にした作品を数多く手がけてきたリュック・ベッソン監督がロシア出身のスーパーモデル、サッシャ・ルスを主演に迎えてメガホンを取ったアクション。

1990年、ソ連諜報機関KGBによって造り上げられた最強の殺し屋アナ。ファッションモデルやコールガールなどさまざまな顔を持つ彼女の最大の使命は、国家にとって危険な人物を消し去ることだった。アナは明晰な頭脳と身体能力を駆使し、国家間の争いをも左右する一流の暗殺者へと成長していく。そんな中、アメリカCIAの巧妙なワナにはめられ危機に陥ったアナは、さらに覚醒。KGBとCIAがともに脅威する究極の存在へと変貌していく。

アナ役のサッシャ・ルスのほか、オスカー女優のヘレン・ミレン、「ワイルド・スピード」シリーズのルーク・エバンス、「ダークナイト」のキリアン・マーフィらが脇を固める。

ルース・エドガー」(6月5日公開) (PG12)

17歳の高校生ルース・エドガーの知られざる内面に迫り、人間の謎めいた本質とアメリカの現実に鋭く切り込んだサスペンスフルなヒューマンドラマ。

バージニア州アーリントンで白人の養父母と暮らす黒人の少年ルース。アフリカの戦火の国で生まれた過酷なハンデを克服した彼は、文武両道に秀で、様々なルーツを持つ生徒たちの誰からも慕われている。模範的な若者として称賛されるルースだったが、ある課題のレポートをきっかけに、同じアフリカ系の女性教師ウィルソンと対立するように。ルースが危険な思想に染まっているのではというウィルソンの疑惑は、ルースの養父母にも疑念を生じさせていく。

イット・カムズ・アット・ナイト」のケルビン・ハリソン・Jr.が主演を務め、教師ウィルソンを「ドリーム」のオクタヴィア・スペンサー、養父母をティム・ロスナオミ・ワッツがそれぞれ演じる。監督は「クローバーフィールドパラドックス」のジュリアス・オナー。

パラサイト 半地下の家族 モノクロVer.」(6月5日公開) (PG12)

第72回カンヌ国際映画祭韓国映画初となるパルムドールを受賞したほか、第92回アカデミー賞でもアジア映画で初めて作品賞を受賞するという歴史的快挙を成し遂げた「パラサイト 半地下の家族」のモノクロ版。

第72回カンヌ国際映画祭で通常のカラー版がお披露目されるより前に作られたバージョンで、映画がまだモノクロだった時代のクラシック映画にあこがれるポン・ジュノ監督の夢をかなえるために作成された。

「パラサイト 半地下の家族」がアカデミー賞をはじめさまざまな映画賞を席巻し、日本でも2020年1月に劇場公開されると韓国映画史上ナンバーワンとなる大ヒットを記録するなど大きな話題を呼んだことから、モノクロバージョンも劇場公開される。

凱里ブルース」(6月6日公開)

 

「ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ」での3Dのワンシークエンスショットという演出で注目を浴びた中国の新世代監督ビー・ガンが、2015年にメガホンをとった初長編監督作品。監督自身の故郷である凱里で撮影され、出演者の大半が監督の家族や親戚、友人などがキャスティングされている低予算の作品ながら、スイス・ロカルノ国際映画祭の新進監督賞と特別賞、フランス・ナント三大陸映画祭グランプリ、台湾の金馬奨で最優秀新人監督賞など各国の映画祭で多数受賞した。

凱里にある霧に包まれた小さな診療所に勤務し、幽霊のように毎日を送るシェン。刑期を終えて、凱里に帰った時には妻はすでにこの世になく、かわいがっていた甥も何者かによって連れ去られてしまった。シェンは甥と同じ診療所で働く年老いた女医のかつての恋人を捜す旅に出る。その途上で立ち寄ったダンマイという名の村は、過去の記憶、現実、そして夢が混在する不思議な村だった。

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」(6月12日公開)

レディ・バード」のグレタ・ガーウィグ監督とシアーシャ・ローナンが再タッグを組み、ルイザ・メイ・オルコットの名作小説「若草物語」を新たな視点で映画化。

南北戦争時代に力強く生きるマーチ家の4姉妹が織りなす物語を、作家志望の次女ジョーを主人公にみずみずしいタッチで描く。しっかり者の長女メグ、活発で信念を曲げない次女ジョー、内気で繊細な三女ベス、人懐っこく頑固な末っ子エイミー。女性が表現者として成功することが難しい時代に、ジョーは作家になる夢を一途に追い続けていた。性別によって決められてしまう人生を乗り越えようと、思いを寄せる幼なじみローリーからのプロポーズにも応じず、自分が信じる道を突き進むジョーだったが……。

幼なじみローリーを「君の名前で僕を呼んで」のティモシー・シャラメ、長女メグを「美女と野獣」のエマ・ワトソン、末っ子エイミーを「ミッドサマー」のフローレンス・ピュー、ジョーの人生に大きな影響を与えるマーチ叔母をメリル・ストリープがそれぞれ演じる。第92回アカデミー賞では作品賞はじめ計6部門でノミネートされ、衣装デザイン賞を受賞した。

グッド・ボーイズ」(6月12日公開) (PG12)

初めてのキスのため奮闘する小学生たちが思わぬ騒動を巻き起こしてしまうさまを描いたコメディ。主演は「ルーム」のジェイコブ・トレンブレイ。監督は、これが長編デビュー作のジーン・スタプニツキー。製作に「ソーセージ・パーティー」「ネイバーズ」などのコメディ作品を手がける俳優のセス・ローゲン

小学6年生のマックス、ルーカス、ソーの3人組は女子たちから「初キス・パーティ」に誘われるが、キスの仕方が分からないので早速リサーチを開始。オトナの世界に好奇心が止まらない3人だったが、そんな中、マックスの父親の大事なドローンが壊れてしまう事件が発生。父親が仕事から戻る前に、遠く離れた隣町のショッピングモールまで行って新品のドローンを手に入れなければならなくなってしまい……。

その手に触れるまで」(6月12日公開)

「ある子供」「ロルナの祈り」「少年と自転車」などカンヌ国際映画祭で受賞を重ねてきたベルギーのダルデンヌ兄弟が、過激な宗教思想にのめりこみ教師を殺害しようと試みた少年の姿を描き、2019年の同映画祭で監督賞を受賞した人間ドラマ。

13歳のアメッドはどこにでもいるゲーム好きな普通の少年だったが、尊敬するイスラム指導者に感化され、次第に過激な思想にのめりこんでいく。やがて学校の先生をイスラムの敵だと考えはじめたアメッドは、先生を抹殺しようと企むが……。

これまでにカンヌ国際映画祭で2度のパルムドール(「ロゼッタ」「ある子供」)と脚本賞(「ロルナの祈り」)、グランプリ(「少年と自転車」)を受賞してきたダルデンヌ兄弟にとって、初のカンヌ監督賞受賞作となった。

ホドロフスキーのサイコマジック」(6月12日公開) (PG12)

「エル・トポ」「ホーリー・マウンテン」の鬼才アレハンドロ・ホドロフスキー監督がこれまで作り上げた映像表現を自ら解き明かす集大成的作品。

ドイツの精神分析学者エーリッヒ・フロムとともに精神分析を学んだホドロフスキーは、自身が考案したが考案した心理療法「サイコマジック」を「科学を基礎とする精神分析的なセラピーではなく、アートとしてのアプローチから生まれたセラピーである」と語る。ホドロフスキーのもとに悩み相談に訪れた10組の人びとが出演し、「サイコマジック」がどのように実践され、作用しているのかが描かれる。そして、自身の映像表現に「サイコマジック」がどう作用しているかを過去作やさまざまな実験的な映像を用いて実証していく。

コリーニ事件」(6月12日公開)

ドイツの現役弁護士作家フェルディナント・フォン・シーラッハの世界的ベストセラー小説を映画化した社会派サスペンス。

新米弁護士カスパー・ライネンは、ある殺人事件の国選弁護人を担当することに。それは、ドイツで30年以上にわたり模範的市民として働いてきた67歳のイタリア人コリーニが、ベルリンのホテルで経済界の大物実業家を殺害した事件で、被害者はライネンの少年時代の恩人だった。調査を続ける中で、ライネンは自身の過去やドイツ史上最大の司法スキャンダル、そして驚くべき真実と向き合うことになる。

主人公ライネンを「ピエロがお前を嘲笑う」のエリアス・ムバレク、被告人コリーニを「続・荒野の用心棒」の名優フランコ・ネロが演じる。監督は「クラバート 闇の魔法学校」のマルコ・クロイツパイントナー。

15年後のラブソング」(6月12日公開)

アバウト・ア・ボーイ」「ハイ・フィデリティ」などで知られるイギリスの人気作家ニック・ホーンビィの同名小説を実写映画化したラブストーリー。

イギリスの港町サンドクリフ。博物館で働く30代後半の女性アニーは、長年一緒に暮らす腐れ縁の恋人ダンカンと平穏な毎日を送っていた。そんなある日、彼女のもとに1通のメールが届く。送り主はダンカンが心酔するミュージシャンで、90年代に表舞台から姿を消した伝説のロックスター、タッカー・クロウだった。

伝説のミュージシャンを「恋人までの距離」のイーサン・ホーク、ヒロインのアニーを「ピーターラビット」シリーズのローズ・バーン、アニーの恋人ダンカンを「ソウルガールズ」のクリス・オダウドがそれぞれ演じる。

なぜ君は総理大臣になれないのか」(6月13日公開)

 

2019年の国会で不正会計疑惑を質す姿が注目を集めた政治家の小川淳也を17年にわたり追いかけたドキュメンタリー。

2003年、当時32歳で民主党から衆議院選挙に初出馬した小川は、その時は落選するも、05年の衆議院選挙において比例復活で初当選。09年に政権交代が起こると「日本の政治は変わる」と目を輝かせる。しかし、いかに気高い政治思想があろうとも、党利党益に貢献しないと出世はできないのが現実で、敗者復活の比例当選を繰り返していたことからも発言権が弱く、権力への欲望が足りない小川は、家族からも「政治家に向いていないのでは」と言われてしまう。17年の総選挙では希望の党に合流した前原誠司の側近として翻弄され、小池百合子代表への不信感から無所属での出馬も考えた小川だったが、前原や地元の盟友・玉木雄一郎への仁義というジレンマに悩まされ、背水の陣で総選挙にのぞむ。

映画では「シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録」「園子温という生きもの」、テレビでは「情熱大陸」「ザ・ノンフィクション」など、数多くのドキュメンタリーを手がけてきた大島新監督が、17年間追い続けた小川の姿を通して、日本政治の未来を問いかけていく。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>1ヶ月の映画館の休業と新作公開のない日々…そして、再開。コロナ禍による映画興行の振り返りと未来

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お久しぶりです…1ヶ月以上週刊興行批評を更新してませんでした。理由は単純で取り扱うことがなくなったことと書く意欲が失ってたことです。まあ、別にこれを仕事にはせずに趣味の範囲でやってるんでこれくらいの気まぐれはまあ、許していただきたい。そして、映画館で映画を観ない日々が2ヶ月近く続いていて、早く日常が戻って欲しいと思う日々です。そんな今回はこの1ヶ月の振り返り、今週末のランキングからこれからの映画興行をまた、考えていきたいと思います。

 

 

1.この1ヶ月の映画興行の振り返り

まずは前回のブログからの1ヶ月に起きたことをおさらいしておきましょう。

そもそも、前回のブログ時には東京などの首都圏に外出自粛要請が出ている段階でのことでした。それからは皆さんもお分かりのとおり、まず、東京や大阪での緊急事態宣言、そして翌週に緊急事態宣言は全国に広がりました。そうしたことで何が起きたのか。映画館の休業です。

TOHOシネマズを始めとするシネコンはもちろんのこと、ミニシアターも休館に追い込まれてしまいました。そうなると映画を公開しても映画館がやってないのでお客さんは来ません。そもそもこの状況下で映画を封切りしてもリスクは高まります。ですので、多くの映画は延期となり、ついには4月17日の週からは新作映画が一切公開されない事態となりました。このような状況は史上初と言っても良いと思います。

以上のような状況がコロナ禍で起きた日本の映画興行の影響です。ざっくりではありますが。では、このままで良いのか。といえばそうもいかないと声を挙げたところがたくさんありました。それはミニシアターです。ニュースでも大きく取り上げられたりとコロナによって危機的な状況と呼ばれてる一つとなっていました。

そこでミニシアター自らがクラウドファンディングやグッズの通信販売に乗り出しました。

また、著名人らが呼びかけて、署名運動やクラウドファンディングを設立しました。

結果的には署名運動「Save the CINEMA」には87000人以上、クラウドファンディング「ミニシアター・エイド基金」は3億3000万円以上を集めることに成功しました。

今の時代は一人一人が気軽に声を挙げれる時代でもあり、映画ファンの思いがこうした結果を生んだこともあるでしょう。ミニシアターはなくてはならない存在です。「カメラを止めるな!」も「この世界の片隅に」がここまでのヒットを歩んだのにはミニシアターの支えがあったからこそでもあるのです。こうした活動で集まった想いが一つでも多くのミニシアターへの救済、そして閉館を免れることを祈ります。

 

2.いよいよ再開!映画館の再開と未来

さて、映画館の休館が続いてはいましたが、先週から流れが変わってきました。5月14日に39県での緊急事態宣言解除を皮切りに映画館が再開され始めました。

先週末には5週ぶりにランキングも再開。そのランキングを見ながら、これからの興行を考えていくことにしよう。

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1位は初登場心霊喫茶「エクストラ」の秘密-The Real Exorcist-」。先週末唯一公開された新作映画で、幸福の科学映画である。

2位は「天気の子」。

3位は「パラサイト 半地下の家族」。

4位は「一度死んでみた

5位は「君の名は。」。

6位は「シン・ゴジラ」。

7位は「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」。

8位は「弥生、三月 -君を愛した30年-」。

9位は「AKIRA IMAX」。

10位は「ミッドサマー」。

以上のような結果となった。1位となった「心霊喫茶「エクストラ」の秘密」以外は「パラサイト」や「一度死んでみた。」、「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」、「弥生、三月」、「AKIRA IMAX版」、「ミッドサマー」といった休業前に上映されていた映画がロングランでランクインしているが、「天気の子」、「君の名は。」、「シン・ゴジラ」といったリバイバル上映(この3作品ってのが今の状況らしい作品)がランクインするこの状況は今だからこそ見れるランキングとなった。

 

さて、このようにランキングに旧作がランクインしている今の状況はあと1ヶ月は最低続くことになるだろう。6月までは「シン・エヴァ」などの主力作は軒並み延期になってしまい、最短で大作に出会うのは7月3日の「るろうに剣心 最終章」に現段階ではなっている。以降、7月17日に「今日から俺は!! 劇場版」、8月7日に「ドラえもん のび太の新恐竜」へと続いていく。

現段階で夏休み作品が無事に公開できるかはコロナの第2波次第となってきそうだが、無事であって欲しいと祈るばかりだ。そして、個人的には春休みに公開予定だった映画に関しては夏休みのうちに解消しておいたほうが良いように思える。どちらにせよ公開はするべきなので踏み切れるかも夏休みがポイントになる。秋以降に関しても延期作品をどのタイミングで放てるかがポイントとなりそうだ。特に東宝とワーナーの動きが左右しそうな気がすると思うし、どの配給会社もどのタイミングで作品を放つかに頭を抱えてることだろう。

また、日本映画製作者連盟は、3月の主要12社の興行収入の合計が前年同月比で7割減の56億円*1、4月は2000年以降で最低の6億8824万円となった。過去最高の2611億円を記録した昨年があるだけにこの数字に戻るのも長い道のりになるかもしれない。

まだまだ先行きが見えないコロナウイルス、そして映画興行…だが、今言えることは映画館は再会の一途を辿っている。コロナの感染予防のために細心の取り組みに努めているだろう。

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映画館は作品を待っている。これからどういったタイミングでどう作品を投下するか。そこに映画の未来が見えてくるかもしれない。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

*1:これは東日本大震災の影響があった2011年3月の半分ほどの水準。

<週刊興行批評>コロナウイルス状況下の日本の映画配給とストリーミングについて考えること

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先週末は東京都を中心に新型コロナウイルスによる外出自粛要請を受け、東京、神奈川、埼玉を中心に、約100もの劇場が営業を中止。新作の上映もほぼなくなり、映画ランキングも上位の興収データが発表できない状態に。その状態は今週以降も続くことになりそうだ。そこで今週もコロナウイルスの影響を受けた映画界について書いていきます。今週は配給会社とストリーミングについて自分が思うことを中心に書いていきます。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「一度死んでみた」。映画.comによると週末2日間の成績は前週比55%近くの減ということで、動員が3万6850人、興収が4730万円あたりとなる。累計で動員24万8000人、興収3億500万円を突破した。

2位は「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」。映画.comによると週末2日間の成績は前週比66%近くの減ということで、興収が8100万円あたりとなる。興収は「一度死んでみた」を上回ってるという。累計で動員26万4900人&興収3億8900万円を突破した。

3位は「仮面病棟」。累計では動員52万7400人、興収6億6500万円を突破した。

4位は「パラサイト 半地下の家族

5位は「Fukushima 50」。累計で動員55万8000人、興収7億2800万円を突破。

6位は「弥生、三月 -君を愛した30年-」。累計で動員11万6700人、興収1億5000万円を突破。

7位は「犬鳴村」。累計で動員106万人、興収13億円を突破。

8位は初登場PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR」。

9位は「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」。累計で動員86万人、興収11億円を突破。

10位は「ミッドサマー」。

2.コロナウイルス状況下の日本の映画配給とストリーミングについて考えること

先週末から始まった都を中心とした週末の自粛要請。その効果は映画界にも及び、東京、神奈川、埼玉の劇場が相次いで営業を中止。それに伴い、先週末は「fate」などか急遽公開延期に。今週末以降も注目作が続々と延期する事態となった。

この状況はしばらく続くことになることは明白だが、ハリウッドの公開延期作もある程度目処がついてる様子だ。今現在は「ワンダーウーマン 1984」や「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」、「クワイエット・プレイス PARTll」、「トップガン マーベリック」は延期はするものの年内公開の予定だが、「ワイルド・スピード ジェットブレイク」や「ミニオンズ フィーバー」、「ゴーストバスターズ アフターライフ」、「モービウス」、「ピーターラビット2」は年を越して1年単位での延期が発表されている。恐らく他の作品も2020年の秋or冬〜2021年に向けて延期がされていくことが予想される。

つまりはこの春だけでなく、夏もガラ空きな状態が今の映画界のスケジュール。つまり、一番の稼ぎ期であるアメリカなら4月下旬〜8月、日本だと7〜8月がこのままだとすっぽりと穴が開く、いわば主力作がない状態が出てくることになる。そう考えるとかなり深刻な事態となっている。ただでさえ、やりくりしている日本の映画館もこれではあまりにも先行き不透明ではある。

さあ、ここで本題となる。日本の配給会社とストリーミングだ。

配給会社

ここではまず、配給会社をメジャーと単館系と分けて考えていきたい。

まずはメジャー映画会社。ここでは東宝東映ワーナー・ブラザース、ディズニーなどを指すことにしよう。GWや夏休みの映画スケジュールを見直す必要性があるだろう。これは先週も書いたが、まずはGWの「名探偵コナン」をいかに延期するかで方向性は変わる。何ヶ月程度か、どのシーズンにぶつけるか。この方向性が見えてくると各映画会社も右向け右でそこに向けて進路が取れるだろう。「名探偵コナン」という今や90億円を稼ぎ出す映画の延期をしかも東宝という日本一の映画会社の判断によってどう動くか。

これが見えてくるだけでも見る目は大分変わるだろう。とりあえずは4月17日という公開日を一旦白紙には戻すべきだろう(4月に入った今の時点でCMが打ててないのは相当迷っているということではあると思う)。他にも「シン・エヴァ」や「るろうに剣心」あたりも見直す必要性がないとは言い切れない。こちらも動かし方には注視だ。

洋画に関しては本国の公開日が出ない限りはなんとも言えないが、出来る限り本国とのスパンは短くして欲しいというのが筆者の個人的な願いだが、こればかりは他国とのコロナウイルスの足並みを見ない限りは難しい。ただ、本国がそれらを呑み込んで1年近い延期を用意したのでまだ良いだろう。問題は他国で既に公開された「ドクター・ドリトル」や「ソニック  ザ・ムービー」などの対応だ。頭を悩ませるところだろう。これらについてはストリーミングの項目でまた書いていくことにしよう。

次は単館系だ。今回の公開延期はメジャー映画ばかりではない。ミニシアターで上映されているような映画も次々と延期している。これで一番最悪なパターンが配給会社が倒産してしまうこと。今現在はまだそうした状況に陥る可能性は多くはないが、長期化すると最悪な道もなくはない。そうならないことを願うしかないが、今でもシネコン、ミニシアター関係なしに映画館に客が来ない状態で映画館側が潰れて、契約が消えるということも考える。最悪な事態に陥らないためにもお金は落としたいところ…だが、難しいというのが現状だ。

ストリーミング

続いて、日本のストリーミングについて思うことを書いていく。ここでのストリーミングはNETFLIXAmazonプライム・ビデオ、huluなどのいわゆる定額制(SVOD方式)とiTunesなどでレンタルや購入をするTVOD方式について書いていく。思うことは2つだ。

1つ目は果たして、このようにコロナウイルスのような状況下になったとしても、日本にストリーミングサービスは普及するのかどうか?これに関して、今がチャンスなのではないか?と考える人もいるだろう。が、個人的にその考えには疑問が浮かぶ。確かにストリーミングサービスがもっと普及すれば、日本のエンタメも面白いことになるかもしれない。しかし、日本の社会構造とストリーミングサービスが肌に合っているのかどうかは正直疑問なのだ。金を払い、それなりに時間を設けてというハードルをどうも踏み越えれない人がたくさんいるように思える。日本のTwitterトレンド1位が「#再放送希望ドラマ」だったことからもオンデマンドで見るというよりもテレビで見たいのほうがまだ勝ってるように思える。

ただ、普及はしているので是非とも引き続きアピールはしていく気概は充分にあるとは思います。まだあたりまえになってないだけです。

2つ目は日本のストリーミングサービスが延期に陥った映画の救済に乗り出すのもありなんじゃないか?ということ。先ほど、メジャー映画に関しては既に他国で公開された映画の対応について、また、単館系でも最悪な事態が来る可能性は0ではないことを書いたのですが、そこにストリーミングサービスが手を差し伸べるというのは大いにありなのではないかと感じます。既にアメリカでは「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」などがダウンロード販売を前倒し、「2分の1の魔法」に関してはダウンロード販売だけでなく、既にディズニーが所有している定額制サービス「Disney+」で配信が開始されることが発表されていたりする対応が取られている。

日本でもこうした対応をストリーミングサービス側からやってみるのも良いかもしれない。個人的に今の日本のストリーミングサービスはオリジナルを作ろうと固めている印象が強くあるのでここで手を差し伸べたりしたら、業界自体もかなり活性化したりするんじゃないか?とも思ったりしますが、これに関しては前途多難。でも、やったらかなり面白いことだと思います。

 

というわけで、配給会社とストリーミングサービスについて思うことを書きました。上記に触れた以外にも配給会社は過去作を劇場やテレビ局に向けで販売を強化したりなんかするのもありだと思います。今回、書いたのは個人的に思ったことで恐らく書かなくても既に動いていることはたくさんあるでしょう。そして、それに頭を抱えていることでしょう。しかし、娯楽が未来を閉じ込めさせることはありません。これまでも困難がありながらも娯楽は未来を開いてきました。今だからこそ、未来を開くために今までやってないことをやるのもありじゃない?なんて思いながら、娯楽が再び、未来を切り開いてくれることを願い、今回の記事を締めさせていただきます。あとは補償を…というのはどこぞの話やらレベルになってきましたが、ボチボチはやってるみたいですね。他国に比べたらあれですけど……

 

(今週も「今週の注目作」の紹介をしたところで自粛要請への逆効果を生み出す観点から紹介はなしにしておきます。)

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>ハーレイ・クインの華麗にはいかない初登場とこれからの映画館興行について思うこと

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お久しぶりの更新です。3週ぶりになります。コロナウイルスによる公開延期の連続で特に興行を主に語る当記事のネタもなかったため更新が途絶えてしまったわけでありますが、先週末は「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」が初登場したのでそちらも語っていきますが、今週もコロナウイルスについて色々と話していきたいと思います。

 

 

1.先週末のランキング

3月7日〜8日(http://www.kogyotsushin.com/archives/weekend/202003/08000000.php)、3月14日〜15日(http://www.kogyotsushin.com/archives/weekend/202003/15000000.php)については割愛します。

それでは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は初登場ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」。土日2日間で動員8万1000人、興収1億2300万円をあげ、初日からの3日間の累計では動員13万6000人、興収2億300万円をあげた。

2位は初登場一度死んでみた」。土日2日間で動員6万7000人、興収8600万円をあげ、初日からの3日間の累計では動員10万9000人、興収1億3700万円のスタートとなっている。

3位は「Fukushima 50」。累計では動員49万人、興収6億4700万円を突破した。

4位は「パラサイト 半地下の家族累計では動員322万人、興収44億円を突破した。

5位は「仮面病棟」。累計で動員44万人、興収5億6600万円を突破。

6位は初登場弥生、三月 -君を愛した30年-」。初日からの3日間の累計では動員5万4900人、興収7200万円をあげた。

7位は初登場三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」。初日からの3日間の累計では動員3万3100人、興収4600万円をあげた。

8位は「ミッドサマー」。累計では動員39万人、興収5億8500万円を突破した。

9位は「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」。累計で動員82万人、興収10億円を突破。

10位は「犬鳴村」。累計で動員100万人を突破し、興収13億円目前となっている。

2.興行チェック!「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY

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今週初登場1位にランクインしたのは「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」。「スーサイド・スクワッド」に登場して世界的に人気を集めたマーゴット・ロビー演じるハーレイ・クインを主役にした映画だ。

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日本でも「スーサイド・スクワッド」が大ヒットし、DCのキャラクターとしても定着させることに成功した(邦題では原題の「バーズ・オブ・プレイ」よりも強調されている)ハーレイ・クインを主人公にした作品だけにヒットを期待した作品だったが、時期が本当に悪かったとしか言えない。「スーサイド・スクワッド」の動員比33%、興収比32%、「シャザム!」の動員比70%、興収比74%というスタートとなった。この勢いだと最終興収は10億円に届かず、5億円程度に落ち着きそうだ。本当に時期が惜しかった。作品自体は傑作なだけに余計に惜しく思う。

3.今後1ヶ月のコロナウイルスによる映画館への影響を考える 

さて、前回の記事でもコロナウイルスの影響を受ける映画興行について書きましたが、事態はさらに深刻になっています。

日本の公開作品に関しては前回の更新時に比べるとややトーンダウンしてきたように思いますが、世界的に公開される作品の公開延期が前回の更新から増加しました。「ムーラン」、「ピーターラビット2」、「ブラック・ウィドウ」、「ワイルド・スピード/ジェットブレイク」、「ワンダーウーマン 1984」、「ミニオンズ フィーバー」と大作が軒並み延期に。世界的にこの状況が長引くことを映画の公開延期でも感じることができます。

それにより、映画館側もかなり厳しい対応が迫られています。アメリカでは既に5000館以上が休業、先週末の興行収入が発表されないという異例の事態となっています。

日本でも東京都が25日に外出自粛要請を発表したことにより、今週末の東京都・神奈川県・埼玉県の映画館が休業する事態に。また、全国的にはレイトショーの休止による営業時間の短縮や公開延期による穴埋めによる過去作の再上映をしている劇場も増えてきました。

というわけでまずは前回更新以降の情報を羅列したわけでありますが、とりあえず、この数週間はさらに映画館興行は深刻化することは間違いなく、一つの書き入れ時とも言える春休み興行ももはや絶望的と言えます。

アメリカのようにデジタル配信での対応も日本ではそこまで整っていない状況で乗り出すのもビジネス的にも良い結果は得られないでしょう。

なかなか希望の光を見ることが難しい中で映画興行として次に考えなければならないのがGWです。昨年は10連休も相まって、コナン、アベンジャーズ、キングダムがそれぞれ50億円の大台を突破したことからもこちらも一つの書き入れ時だということが分かるだろう。

今年は前述したように「ムーラン」と「ブラック・ウィドウ」が延期したことにより、ハリウッドの大作はほぼなしの状態、現在のところ、「名探偵コナン」、「クレヨンしんちゃん」といった毎年恒例のシリーズ、菅田将暉×小松菜奈による「糸」、昨年も映画が公開され大ヒットした「コンフィデンスマンJP プリンセス編」がGWの主力作となるでしょう。

ただ、それまでに事態が軽く治ってる事はないと考えます。むしろ、今からがより制裁が加わると感じます。全国的に映画館の閉鎖があってもおかしくない状況です。

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特に「名探偵コナン」に関してはここ数年は日本映画を左右する立場になりつつあり、「緋色の弾丸」の対応が今年の日本映画の状況を大きく左右するのは間違いないでしょう。個人的意見としては今の状況では公開延期が妥当に思います。コナンは集客がかなり高いため、最悪のパターンとして感染する、ガチの"事件"が起きてしまいかねないですし、予定通り公開されたところでいつもどおりのヒットになることも難しいでしょう。

といったことからただでさえ雰囲気も暗くなりつつある映画興行はむしろこれからが本番ではないかと今の日本のコロナウイルスを取り巻く状況から個人的には感じます。

最後に。色々と今後は延期をするべきと書きましたが、娯楽が止まることがないようにはするべきで、政府や自治体から娯楽産業への補償が何も出ていないのは正直、この国の娯楽水準が高くはないことを改めて痛感しています。色々と難しいかもしれないが、目を向けて見て欲しい。俺たちのそばには映画や音楽といった娯楽がいることを。

 

(今週は「今週の注目作」の紹介をしたところで自粛要請への逆効果を生み出す観点から紹介はなしにしておきます。これを機会にNETFLIXやAmzaon プライム・ビデオにご加入してみるのもありじゃないですか?)

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>コロナウイルスの影響を受けた映画館興行について考えること

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こんにちは。連日のように報道されている新型コロナウイルス。感染拡大を抑制するべく、イベントの休止や延期、レジャー施設の休業や営業時間の短縮が行われているのは周知の事実だと思うのですが、映画館での興行もこの影響に直面し、休業、はたまた公開作品の延期が相次いでいます。今週はいつものように作品を取り上げるのではなく、コロナウイルスの影響による映画館興行の状況について、筆者自身が考えていることを書いてみたいと思います。

 

 

1.先週末のランキング

まずは先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「パラサイト 半地下の家族」。土日2日間で動員12万8000人、興収1億6600万円をあげ、累計では動員272万人、興収37億円を突破している。

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2位は「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」。土日2日間で動員9万人、興収1億1200万円をあげ、累計では動員48万人、興収6億3200万円を突破している。

3位は初登場劇場版 SHIROBAKO」。土日2日間で動員8万4000人、興収1億1500万円をあげ、興収ではスマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」を上回る好スタートを切った。

4位は「犬鳴村累計では動員78万人、興収10億円を突破。

5位は初登場野性の呼び声」。初日から3日間で動員6万3500人、興収7700万円をあげた。

6位は「ミッドサマー」。累計興収は2億4400万円を突破。

7位は「ヲタクに恋は難しい」。累計は動員86万人、興収は11億円を突破。

8位は「1917 命をかけた伝令」。累計興収は6億8800万円を突破。

9位は「デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆」。累計興収は1億9600万円を突破した。

10位は初登場スケアリーストーリーズ 怖い本」。

2.コロナウイルスの影響を受けた映画館興行について考えること

さて、連日のようにコロナウイルスのニュースがテレビやネット上を錯綜する日々を我々は過ごしており、他人事では済まない日常生活にも影響をきたすレベルにきております。 

コロナウイルスの影響は映画界にも及んでおります。↓のサイトでまとめられていますが、各劇場が対応を迫られています。劇場の休館、チケットの払い戻し、チケットの先行販売の中止、小中高生を対象とした入場制限、1席ずつ間隔を空けてのチケット販売(これに関しては市松模様や縦1ブロック丸ごと空ける対応を見せて欲しい)などを実施している。

また、「映画しまじろう しまじろうと そらとぶふね」、「映画ドラえもん のび太の新恐竜」、「劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス」、「2分の1の魔法」、「ドクター・ドリトル」、「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」、「ソニック・ザ・ムービー」、「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」、「ムーラン」が公開延期の決断をした。特に「007」は世界的に11月に延期と今後、日本だけでなく、海外でも公開延期の決断が増えるかもしれない。日本に限って言えば、このままの状況だと、春休みやGWの主力作が軒並み延期になったことで例年のようなムーブメントになることはないと思われます。

以上のような打撃を受けてしまった映画界。映画ではないが、ライブハウスでのクラスター感染が問題化するなど、これまでの震災のような自粛とは違い、密集する空間での安全性が問題視されてしまうのはもどかしいところではある。確かに映画館(だけでなく密集する娯楽空間)で感染はないと断言できることは無理だ。実際問題、既に下関市での映画館で感染者が映画を鑑賞していたという情報も出ている。

だが、だからといって娯楽を止めるというのは少し考えたほうがいいように思う。娯楽に限った話ではない。社会は回らなければならない。そして、それを潤す一つは娯楽であると感じる。命を守るために映画館を閉館することも一つの手であろう。だが、こんなときだからこそ映画館を開けるという決断もある。どんな決断を下そうとも明日への道を切り開くために頑張るのならば、自分はそれで良いと思う。

そう考えたところで今週以降は映画館がどういう動きを見せるのか。以上に挙げた対応を貫くことと公開作品の延期による穴埋めが必要になるだろう。その上で先週末のランキングは色々な意味を持ちそうだ。まず、3週連続を1位を記録した「パラサイト 半地下の家族」は春休みの競合作が軒並み延期になったことにより、さらなるロングランヒットになりそうだ。また、4週目現在もトップ5にランクインし続ける「犬鳴村」や今週ワンランクアップした「ミッドサマー」もサプライズとも言える好調を記録するだろう(「ミッドサマー」に関してはR18+指定のディレクターズ・カット版の全国公開が決定しておりさらなる上映館拡大が見込める)。この3作品はティーン層に徐々に広がっている(実際に友人のインスタを見るとパラサイトを観たという人が何人かいた)ことから期待できる。さらに、今週末から公開される「Fukushima 50」などもヒットするのではないかと思われる。また、ヒットに絡んでくるかは不明だが、「バーフバリ」の再上映など延期作品の代替にも注目だ。

とりあえず、今日までに出ている情報を基にコロナウイルス影響下の映画興行について考えていることについて話した。何度も言うが、密集する空間、映画館で感染しない保証はない。しかし、今日も映画館が開かれているのならば、映画を観れる環境があるのならば、自分はそうした場所も応援していきたい。

最後に。映画館に限った話というか、逸れた話になるのですが、今回の影響でイベントが中止になり、損害を被っているしかも多額の損額を被っている娯楽の人がいるかもしれません。先日、野田秀樹さんが声明を出したときに多少の批判が挙がりましたが、僕はこうした声が娯楽の人から出てくるのも無理はないと感じました。全面的な同意が出来なくとも、突如として決定したこの自粛によって娯楽を奪われた者の叫びは心の中へと沁み込むようでした。それでも、良き明日がくることを信じ、それぞれの対応を練り、動き出すエンターテイナーがいることは確かです。エンタメ団体が声明文を発表した今日この頃、損害を被った娯楽に携わる者がたくさん救われてる明日を願って、今週の当記事を締めたいと思う。

3.今週の注目作

Fukushima 50」(3月6日公開)

2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故で、未曾有の事態を防ごうと現場に留まり奮闘し続けた人々の知られざる姿を描いたヒューマンドラマ。

2011年3月11日午後2時46分、マグニチュード9.0、最大震度7という日本の観測史上最大となる地震が起こり、太平洋沿岸に押し寄せた巨大津波に飲み込まれた福島第一原発は全電源を喪失する。このままでは原子炉の冷却装置が動かず、炉心溶融メルトダウン)によって想像を絶する被害がもたらされることは明らかで、それを防ごうと、伊崎利夫をはじめとする現場作業員や所長の吉田昌郎らは奔走するが……。

現場の最前線で指揮をとる伊崎に佐藤浩市、吉田所長に渡辺謙という日本映画界を代表する2人の俳優を筆頭に、吉岡秀隆、安田成美ら豪華俳優陣が結集。「沈まぬ太陽」「空母いぶき」などの大作を手がけてきた若松節朗監督がメガホンをとった。

ジュディ 虹の彼方に」(3月6日公開)

オズの魔法使」で知られるハリウッド黄金期のミュージカル女優ジュディ・ガーランドが、47歳の若さで急逝する半年前の1968年冬に行ったロンドン公演の日々を鮮烈に描いた伝記ドラマ。

ブリジット・ジョーンズの日記」シリーズのレニー・ゼルウィガーが、ジュディの奔放で愛すべき女性像と、その圧倒的なカリスマ性で人々を惹きつける姿を見事に演じきり、第92回アカデミー賞をはじめ、ゴールデングローブ賞など数多くの映画賞で主演女優賞を受賞した。

1968年。かつてミュージカル映画の大スターとしてハリウッドに君臨したジュディは、度重なる遅刻や無断欠勤によって映画出演のオファーが途絶え、巡業ショーで生計を立てる日々を送っていた。住む家もなく借金も膨らむばかりの彼女は、幼い娘や息子との幸せな生活のため、起死回生をかけてロンドン公演へと旅立つ。

共演に「マネー・ショート 華麗なる大逆転」のフィン・ウィットロック、テレビドラマ「チェルノブイリ」のジェシー・バックリー、「ハリー・ポッター」シリーズのマイケル・ガンボン。「トゥルー・ストーリー」のルパート・グールド監督がメガホンをとった。

仮面病棟」(3月6日公開)

現役医師で作家の知念実希人によるベストセラー小説を、坂口健太郎永野芽郁の共演で映画化。

ピエロの仮面をかぶる凶悪犯に占拠され、鉄格子で閉ざされた空間となった病院を舞台に、残された医師らによる決死の脱出劇が繰り広げられる。先輩医師から頼まれて一夜限りの当直をすることになった速水だったが、その夜、ピエロの仮面をつけた凶悪犯が病院に立てこもり、速水らは病院に閉じ込められてしまう。犯人に銃で撃たれて傷を負った女子大生の瞳を治療した速水は、瞳とともに脱出を試みるが、かたくなに通報を拒む院長や、院長とともに何かを隠している様子の看護師、さらには身元不明の入院患者や隠された最新鋭の手術室など、次々と不可解な事態に直面する。

映画単独初主演となる坂口健太郎が速水に扮し、ヒロインとなる瞳を永野芽郁が演じる。監督は「任侠学園」「屍人荘の殺人」の木村ひさし。

星屑の町」(3月6日公開)

地方回りの売れないムード歌謡コーラスグループ「山田修とハローナイツ」の悲哀を描く人気舞台「星屑の町」シリーズを映画化。

大手レコード会社の元社員・山田修をリーダーに、歌好きの飲み仲間や売れない歌手が集まって結成された「山田修とハローナイツ」。結成から十数年が経つ彼らだったが、これといったヒット曲もなく、ベテラン女性歌手のキティ岩城らと地方を回りながら細々と活動を続けていた。ある日、彼らは修の生まれ故郷である東北の田舎町へ巡業に訪れる。そこには修との間に遺恨を抱える弟・英二が待っていた。一方、英二の息子の幼なじみである愛は、母が営むスナックを手伝いながら歌手になることを夢見ていた。そんな彼女がハローナイツに入りたいと言い出したことから、思わぬ騒動が巻き起こる。

メンバーには大平サブローラサール石井小宮孝泰ら舞台版でおなじみのキャストが集結。「この世界の片隅に」の声優も好評だったのんがヒロインの愛を演じ、「海月姫」以来約6年ぶりに実写映画に出演した。監督は「の・ようなもの のようなもの」の杉山泰一。

酔うと化け物になる父がつらい」(3月6日公開)

アルコールにおぼれる父を持った菊池真理子の実体験に基づいたコミックエッセイを松本穂香、渋川清彦主演で実写映画化。

毎日アルコールにおぼれる父、新興宗教信者の母という一風変わった家庭環境で育ったサキは、普段はおとなしいのに酔うと化け物のように豹変する父の行動に悩まされ、いつしか自分の心にフタをして過ごすようになっていた。そんな自分とは正反対に明るく活発な妹や、学生時代からの親友に支えられながら、サキは家族の崩壊を漫画として笑い話に昇華することでなんとか毎日を生きていた。そんなある日、父に病気が見つかってしまい……。

主人公のサキ役を松本穂香、父・トシフミ役を渋川清彦が演じるほか、ともさかりえ今泉佑唯恒松祐里濱正悟、浜野謙太らが脇を固める。監督は「ルームロンダリング」、ドラマ「きのう何食べた?」の片桐健滋

劇場版 おいしい給食 Final Battle」(3月6日公開)

市原隼人演じる給食マニアの中学教師が主人公のコメディドラマ「おいしい給食」の劇場版。

1984年のとある中学校。給食を愛しすぎるゆえに、給食を愛せないヤツを許せない「給食絶対主義者」である給食マニアの教師・甘利田幸男は、学校から給食がなくなるという信じがたい報せに衝撃を受ける。一方、甘利田最大のライバルで「どちらがよりおいしく給食を食べるか」という超絶給食バトルを繰り広げている生徒の神野ゴウは、「給食革命」を目指して生徒会選挙への出馬を宣言。愛する給食を守るため、甘利田は奮闘するが……。

甘利田役を市原隼人が演じるほか、ヒロインの女性教師・御園ひとみ役を武田玲奈、神野ゴウ役を佐藤大志がそれぞれ演じる。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>「ミッドサマー」の初登場から見る修正入りのR15+指定にする意義

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今週は7週目に突入した「パラサイト 半地下の家族」、初登場した「ミッドサマー」の興収を分析したいと思います。

 

 

1.先週末のランキング

それでは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「パラサイト 半地下の家族」。土日2日間で動員20万4000人、興収2億9400万円をあげ、累計では動員242万人、興収33億円となっており、韓国映画の歴代記録を「私の頭の中の消しゴム」以来15年ぶりに更新した。

2位は初登場スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」。土日2日間で動員14万3000人、興収1億9700万円をあげ、初日から4日間の累計では、動員26万9000人、興収3億6000万円をあげた。前作「スマホを落としただけなのに」(最終興収:19.6億円)とは動員比85%、興収比84%となっており、15億円程度の最終興収が予想される。

3位は「犬鳴村」。土日2日間で動員8万3000人、興収1億600万円をあげ、累計では動員67万5000人、興収8億6600万円を突破した。

4位は「ヲタクに恋は難しい累計では動員77万人、興収10億円を突破。

5位は「1917 命をかけた伝令」。累計興収は5億3000万円を突破。

6位は初登場デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆」。初日から4日間で動員7万8400人、興収1億2800万円をあげた。

7位は初登場ミッドサマー」。初日から4日間で動員7万7100人、興収1億1500万円をあげた。

8位は初登場チャーリーズ・エンジェル」。初日から4日間で動員7万6600人、興収9990万円をあげた。

9位は初登場スキャンダル」。初日から4日間で動員7万5200人、興収9870万円をあげた。

10位は「AI崩壊」。累計興収は8億8500万円を突破した。

2.興行チェック!「パラサイト 半地下の家族」

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今週も1位にランクインした「パラサイト 半地下の家族」。

先週末は公開館数を34館増やし、300館規模にまで拡大され、これまで韓国映画で最高成績だった「私の頭の中の消しゴム」の30億円を超えて、累計興収が33億円を突破するなど勢いが止まることはない。

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自分も先週末、再度映画館で鑑賞してきたが、規模が一番大きいスクリーンを充てても満席という盛況っぷりで、改めて評判の高さが拡まっていることを感じました。

また、ポン・ジュノ監督と主演のソン・ガンホが昨年末に引き続き、再来日したことも話題となりました。

日本でのパラサイト現象、まだまだ勢いが止まることを知らない…そういった状況となっています。

3.興行チェック!「ミッドサマー」

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今週、初登場7位にランクインしたのは「ミッドサマー」。

「ヘレディタリー/継承」がホラー映画としての完成度も高く、人々を恐怖の淵に追いやったアリ・アスター監督の新作ということもあって、日本公開が決まるや否や、公式のツイートが1万RT、トレンド入り(公開初日にもトレンド入りしている)、Twitter運営が公式でモーメント化し情報発信をするなど公開前から話題になっていた作品だ。

蓋を開けてみると100館規模での公開ながら7位と大健闘。24日までに動員7万7100人、興収1億1500万円を突破しており、「ヘレディタリー/継承」の最終興収1億3000万円に迫る結果を公開4日間で果たす快挙を成し遂げている。

そんな話題作「ミッドサマー」はR15+指定での公開となっているわけだが、これは"修正"つきのR15+指定での公開だ。残念なことにとあるシーンでボカシがかけられた上でな公開となった。

このことについては公開されるにあたり公式からも情報を発せられており、知っている方も多いと思うが、せっかくの映画を海外と同じ趣で見れないことに残念な声が挙がっているのも事実である。

では、なぜR18+指定ではなく、R15+指定での公開に踏み切ったのか。「ミッドサマー」と同じようなケースを踏み切った作品を取り上げて考えていくことにしよう。

それは2018年に日本公開されたギレルモ・デル・トロ監督作で第90回アカデミー賞で作品賞など4部門を受賞した「シェイプ・オブ・ウォーター」だ。

この作品は↓のような感じで一箇所モザイクをかけてR18+指定からR15+指定に引き下げて劇場公開に踏み切った経緯がある(DVD版ではモザイクは消されてR18+指定となっている)。

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つまり、どういうことか?R15+指定ではSEXシーンの際に腰を上下に動かすショットが明確に写ったり、全裸になっていたりすると引っかかってしまう。「ミッドサマー」もこのケースに引っかかっており、二箇所の修正を余儀なくされたのです。

特に本作においては終盤へ向けての重要シーンの一つだけにモザイクをかけるなという声は強いふうに感じます。

しかし、上述した公開前の期待の高まりやR18+指定になることにより宣伝や公開規模の縮小が余儀なくされることから修正してまでR15+指定の公開に踏み切るのはやむを得なかったように思えます。実際問題、現在公開されている劇場の半分がTOHOシネマズと単館でというよりはシネコンでかけていることが多いこと*1を考えるとR15+指定にしてまで公開する意義はあり、その結果が100館規模ながらも初登場7位に現れているように思います。

自分が観た回もかなり混雑していて、学生も多かったんです。確かにモザイクはないほうが良い。でも、たくさんの人に劇場で観て欲しいとなるとこの判断はしょうがないと自分は捉えています。R18+指定にして公開拡大が一向にメドが立たなくなる未来が出るよりかはマシだと思います。あの2箇所にモザイクがあっても(映倫の判断に頭抱えた配給会社の顔が思い浮かぶ…)。

そして、R18+指定で観たい方に朗報。3/6にTOHOシネマズ六本木とTOHOシネマズ梅田の2ヶ所で18:30からの1回限りのR18+指定版での公開が決定。しかも、本編が20分追加されたディレクターズ・カット版での上映だ。2/27よりリクエスト上映サービスの「ドリパス」を使ってのチケット販売が開始されるのでチェックしてみては?

まあ、そうなるといずれかBlu-rayでお目にかかる日も来るのかな?

あと、最後に。「ミッドサマー」に修正はかけられていますが、2箇所ともエロ関連でグロ描写は全く修正されていません。普通のR15+指定にあるようなグロ描写よりもグロいと感じる可能性があります。その点は注意して鑑賞を勧めたいと思います。とりあえず、「ミッドサマー」、想像以上に盛り上がりそうです。

4.今週の注目作

初恋」(2月28日公開) (PG12)

三池崇史監督が窪田正孝を主演にメガホンを取った自身初の恋愛映画。

天涯孤独の身で類まれな才能を持つ天才ボクサーの葛城レオは、試合でまさかのKO負けを喫し病院へとかつぎこまれた。医師から自分の余命がわずかであるという事実を突きつけられ、自暴自棄になりながら歌舞伎町の街を歩くレオの目に男に追われる少女モニカの姿が飛び込んでくる。ただごとではない様子からレオが反射的にパンチを食らわせた男は、ヤクザと裏で手を組む悪徳刑事・大伴だった。モニカは親の虐待から逃れるため歌舞伎町に流れ着き、ヤクザにとらわれていたという。レオは彼女を救うことを決意するが、その選択はレオがヤクザと大伴から追われる身となることを意味していた。

レオ役を窪田正孝、大伴役を大森南朋、モニカ役をオーディションで選ばれた新人の小西桜子がそれぞれ演じるほか、内野聖陽染谷将太ベッキー村上淳滝藤賢一ベンガル塩見三省らが顔をそろえる。

レ・ミゼラブル」(2月28日公開)

ビクトル・ユゴーの小説「レ・ミゼラブル」で知られ、現在は犯罪多発地区の一部となっているパリ郊外のモンフェルメイユを舞台に、現代社会が抱えている闇をリアルに描いたドラマ。

モンフェルメイユ出身で現在もその地に暮らすラジ・リの初長編監督作品で、2019年・第72回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞。第92回アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートもされた。

パリ郊外に位置するモンフェルメイユの警察署。地方出身のステファンが犯罪防止班に新しく加わることとなった。知的で自制心のあるステファンは、未成年に対して粗暴な言動をとる気性の荒いクリス、警官である自分の力を信じて疑わないグワダとともにパトロールを開始する。そんな中、ステファンたちは複数のグループが緊張関係にあることを察知するが、イッサという名の少年が引き起こした些細な出来事から、事態は取り返しのつかない大きな騒動へと発展してしまう。

黒い司法 0%からの奇跡」(2月28日公開)

冤罪の死刑囚たちのために奮闘する弁護士ブライアン・スティーブンソンの実話を、「クリード チャンプを継ぐ男」「ブラックパンサー」のマイケル・B・ジョーダン主演で映画化したヒューマンドラマ。

黒人への差別が根強い1980年代の米アラバマ州。犯してもいない罪で死刑宣告された黒人の被告人ウォルターを助けるため、新人弁護士のブライアンが立ち上がるが、仕組まれた証言や白人の陪審員たち、証人や弁護士たちへの脅迫など、数々の困難に直面する。

監督は「ショート・ターム」「ガラスの城の約束」のデスティン・ダニエル・クレットン。主人公の弁護士ブライアンをマイケル・B・ジョーダンが演じるほか、ブライアンが救おうとする被告人ウォルター役をオスカー俳優のジェイミー・フォックス、ブライアンとともに法律事務所で働くエバ役を、クレットン監督とは3度目のタッグとなるブリー・ラーソンが担当した。

スケアリーストーリーズ 怖い本」(2月28日公開)

シェイプ・オブ・ウォーター」でアカデミー賞を受賞したギレルモ・デル・トロが企画・製作を手がけ、恐ろしい内容や挿絵のために全米で学校図書館に置くことに対する論争が巻き起こった児童書シリーズを映画化。

ハロウィンの夜、町外れにある屋敷に忍び込んだ子どもたちが一冊の本を見つける。その本には数々の恐ろしい話がつづられており、本を持ち帰った次の日から、子どもがひとりまたひとりと消えていく。さらに、その「怖い本」には、毎夜ひとりでに新たな物語が追加されていき……。

原作は1981年に第1作が発表されたアルビン・シュワルツによるベストセラー児童書 「スケアリーストーリーズ 怖い本」 シリーズ。「ジェーン・ドウの解剖」「トロール・ハンター」のアンドレ・ウーブレダル監督がメガホンをとった。

野性の呼び声」(2月28日公開)

ハリソン・フォードが主演を務め、アメリカの文豪ジャック・ロンドン1903年に発表し、過去にも映画化されたことのある名作冒険小説を新たに映画化。

地上最後の秘境アラスカで地図にない土地を目指し、ひとり旅する男ソーントンが、犬ぞりの先導犬としてアラスカにやってきた犬のバックと出会う。やがてソーントンとバックの間には友情が生まれ、かけがえのない相棒となっていく。

スター・ウォーズ」シリーズなどで数々のカリスマ的ヒーローを演じてきたハリソン・フォードが、主人公ソーントンに扮した。監督は「リロ&スティッチ」「ヒックとドラゴン」といったアニメーション映画で言葉の壁を越えた友情を描いてきたクリス・サンダース。

架空OL日記」(2月28日公開)

 

お笑い芸人のバカリズムが主演や脚本を務め、2017年に放送された連続ドラマの劇場版。原作は、バカリズムが06年から3年間、銀行勤めのOLのフリをしてネット上につづり、働く女性の心理や日常がリアルに描かれていると話題を集めたブログを書籍化した「架空OL日記」。

憂鬱な月曜日の朝、銀行員OLの“私”は、眠気に耐えながらもメイクし、家を出る。満員電車に揺られ、職場の最寄り駅で仲良しの同期マキと合流。職場社に着つくと、後輩のサエや入社8年目の小峰、10年目の酒木も加わり、いつものように更衣室で就業前のおしゃべりに花を咲かせ……。

“私”をバカリズム自ら演じるほか、マキ役の夏帆をはじめ、同僚OL役の臼田あさ美佐藤玲山田真歩三浦透子がドラマ版から続投。「新聞記者」のシム・ウンギョンや坂井真紀、志田未来石橋菜津美が劇場版の新キャストとして加わった。

地獄の黙示録 ファイナル・カット」(2月28日公開) (PG12)

ゴッドファーザー」のフランシス・フォード・コッポラ監督が1979年に発表し、カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したほか、膨大な製作費や過酷な撮影環境、CGなしの壮大なスケールの映像など、数々の伝説を残した戦争映画の傑作「地獄の黙示録」を、コッポラ監督自身が望むかたちに再編集した最終版。79年のオリジナル版より30分長く、2001年に発表された特別完全版より20分短いバージョンとなり、新たにデジタル修復も施された。

ベトナム戦争が激化する1960年代末。アメリカ陸軍のウィラード大尉は、軍上層部から特殊な任務を与えられる。それは、カンボジア奥地のジャングルで軍規を無視して自らの王国を築いているという、カーツ大佐を暗殺するというものだった。ウィラードは部下を連れてヌン川をさかのぼり、カンボジアの奥地へと踏み込んでいくが、その過程で戦争がもたらす狂気と異様な光景を目の当たりにする。

出演はマーロン・ブランドマーティン・シーンロバート・デュバルローレンス・フィッシュバーンハリソン・フォードデニス・ホッパーほか。

エスケープ・ルーム」(2月28日公開)

体験型エンタテインメントとして人気を集めている「脱出ゲーム」を題材に描いたシチュエーションスリラー。

謎の送り主からの招待状に応じて賞金1万ドルの懸かった体験型脱出ゲームに参加することになった、内気な理系女子大生ゾーイ、冴えないフリーターのベン、元陸軍兵士のアマンダ、裕福な投資家ジェイソン、中年のトラック運転手マイケル、ゲーム愛好家のダニー。6人がシカゴの高層ビルに集まると、外界から隔絶された部屋に閉じ込められ、何の前触れもなく突然ゲームがスタートする。姿の見えないゲームマスターの仕かけた命懸けのゲームに翻弄される6人は、死に物狂いでゲームを進めていくうち、それぞれが過去に大惨事に遭い、その場で唯一の生存者だったという共通した過去を持っていることが明らかになる。

監督は「インシディアス」シリーズ第4作の「インシディアス 最後の鍵」を手がけたアダム・ロビテル。

ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ」(2月28日公開)

初監督作「凱里ブルース」で注目を集めた中国の新世代監督ビー・ガンの第2作。

自分の過去をめぐって迷宮のような世界をさまようことになる男の旅路を描いた。途中に3Dのワンシークエンスショットが入るという演出があり、物語の中盤で主人公が映画館に入り、現実と記憶と夢が交錯する世界に入り込むと同時に、観客も3Dメガネを装着し、その世界を追体験することができる。

父の死をきっかけに、何年も距離を置いていた故郷の凱里へ戻ったルオ・ホンウは、そこで幼なじみである白猫の死を思い起こす。そして同時に、ルオの心をずっと捉えて離れることのなった、ある女性のイメージが付きまとう。香港の有名女優と同じワン・チーウェンと名乗った彼女の面影を追い、ルオは現実と記憶と夢が交わるミステリアスな旅に出る。

劇場版 SHIROBAKO」(2月29日公開)

アニメーション業界の日常や実情、実態を描いて話題を集めたテレビアニメ「SHIROBAKO」の完全新作劇場版。監督は「ガールズ&パンツァー」などの人気作を手がける水島努

いつか必ず一緒にアニメーション作品を作ろうと約束した、上山高校アニメーション同好会の5人。卒業後、アニメ制作会社「武蔵野アニメーション」の制作進行として働く宮森あおいをはじめ、アニメーター、声優、3Dクリエイター、脚本家など、5人はそれぞれの場所や役割でアニメーション制作に携わり、「第三飛行少女隊」で夢に一歩近づくことができた。アニメーションの世界に自分たちの居場所を見つけ、少しだけ成長した5人の前に、新たな苦悩や試練が立ちはだかる。

娘は戦場で生まれた」(2月29日公開)

内戦の続くシリアでスマホで映像を撮り始めた女学生がやがて母となり、娘のために生きた証を残そうとカメラを回し続ける姿を捉え、カンヌ国際映画祭など各国の映画祭で高い評価を得たドキュメンタリー。

ジャーナリストに憧れる学生ワアドは、デモ運動への参加をきっかけにスマホで映像を撮り始める。やがて医師を目指す若者ハムザと出会い、夫婦となった2人の間に、新しい命が誕生する。多くの命が失われる中で生まれた娘に、平和への願いをこめて「空」を意味するサマと名づけたワアド。その願いとは裏腹に内戦は激化し、都市は破壊され、ハムザの病院は街で最後の医療機関となる。明日をも知れぬ身で母となったワアドは、家族や愛する人のために生きた証を映像として残そうと決意する。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

*1:最近のR18+指定で代表的だった「ハウス・ジャック・ビルト」は30館程度だった(こちらはTOHOシネマズなどの国内でも規模が大きいシネコンチェーンでは一切かけられていない)