Takaのエンタメ街道

一生を映画に捧ぐと決めたTakaが主に映画・テレビ・音楽について書くブログです。

<週刊映画批評>「ジョーカー」V2に潜む宣伝の強み

f:id:ot20503:20191017015202j:image

台風19号による甚大な被害が出た先週末は各映画館も事前に閉館する対応も見られた。そんな中でも「ジョーカー」がV2を記録。今週は本作の宣伝について見ていくことにする。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

f:id:ot20503:20191017152129j:image

1位は「ジョーカー」。土日2日間で動員21万7000人、興収3億3200万円をあげ、14日までの累計では、動員135万人を突破し、興収20億円に届く勢いだ。

2位は初登場最高の人生の見つけ方」。土日2日間で動員6万1000人、興収7500万円をあげ、初日から4日間の累計では動員16万人、興収1億9300万円をあげた。

3位は「記憶にございません!」。累計で動員242万人、興収31億円を突破。

4位は初登場空の青さを知る人よ」。初日から4日間の累計で動員12万6000人、興収1億6600万円をあげた。

5位は「HiGH&LOW THE WORST」。累計で動員37万人、興収5億4300万円を突破。

6位は「蜜蜂と遠雷」。累計で動員35万人、興収4億5300万円を突破。

7位は初登場エスタデイ」。初日からの4日間の累計で動員9万6500人、興収1億2900万円をあげた。

8位は「天気の子」。累計で動員1022万人、興収136億円を突破。

f:id:ot20503:20191017153119j:image

先週に引き続き、歴代興収は13位のまま。最終興収137億円をあげた歴代12位の「ラスト・サムライ」まであと1億円足らずといった状況だ。

f:id:ot20503:20191017152733j:image

9位は「かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」。累計で動員166万人、興収20億円を突破した。

10位は「ジョン・ウィック:パラベラム」。累計興収は3億3100万円を突破した。

 

2.興収チェック!「ジョーカー」

f:id:ot20503:20191017153919j:image

今週1位となったのは「ジョーカー」。先週に引き続き、V2となった。週末2日間の成績は動員21万7000人、興収3億3200万円。2位の「最高の人生の見つけ方」が動員6万1000人、興収7500万円であることを考えると圧倒的な強さを見せつけた。しかも、10月という夏休みも終わって比較的に閑散ともいえる時期、台風19号により多くの映画館が閉館になったというハンデつきでこの結果だ。

既に累計興収は20億円を突破し*1、アメコミ映画が2週連続で首位に輝くのは2012年の「アメイジングスパイダーマン」以来7年ぶりというから「ジョーカー」の快進撃のすごさが分かる。

先週は2010年代のアメコミ映画やR指定映画の興収を本作と比較して素晴らしいオープニング成績だったことを取り上げたが、今週はなぜこのようなヒットをしたのかという点に迫っていこうと思う。

ヒットの大きな要因となったのはやはり宣伝と言っていいだろう。

まず、本国とほぼ変わらないポスター。

f:id:ot20503:20191019103522j:imagef:id:ot20503:20191019103533j:image

時として大きく変更されると叩かれがちなポスターも本作に関してはほぼ変えなかった。

そして、CMに関しては劇団ひとりを出演させたものがあるものの、ほぼ放送されているのは遠藤憲一ナレーションの「心優しい男はなぜ、悪のカリスマになったのか。本物の悪を観る覚悟はあるか。」などといったCMである。本作に関してはこのCMを見て観にいこうと思った方もいらっしゃるのではなかろうか。15秒で見事に観客の心を掴んだCMに感じた。

 

他にも、吹替版を公開しないといった態勢を作るなど我々、映画ファンからみれば、宣伝に対してここまで問題がないと思える作品もない。

宣伝の強みを感じざるを得ないが、やはりそこには本国の最初の予告で使われた「Smile」に全てはあるように感じる。

 

あの予告は我々の目に留まるものがあり、それは日本の宣伝スタッフもそうだったのではないか。

映画もそうだが、宣伝というのは「1を2にする作業ではなく、0から1にする作業」と思っている。いかにして、人々の目に触れて、覚えてもらえるか。それは洋画をそのまま宣伝していても、1から2にする作業(ファンがさらに盛り上がる)しかできないと思う。だから、日本独自の宣伝は必要だ。

しかし、それは時としてやりすぎると2から1、0から-1にすらなる行為だ。だから、本国のやりたいことといかに距離をとらないか。「ジョーカー」に関しては米国の強烈なまでに惹きつけた宣伝と距離など取る必要はなかったのだ。そのおかげで「ジョーカー」は0から1どころでは収まらない様相を帯び始めた。

アカデミー賞最有力やSNSでの賛否両論などといった熱い盛り上がりとともに今後も「ジョーカー」が大ヒットしていくことは間違いないだろう。

 

3.今週の注目作

マレフィセント2」(10月18日公開)

 

名作ディズニーアニメ「眠れる森の美女」でオーロラ姫に永遠の眠りの呪いをかけたマレフィセントを主人公に、アンジェリーナ・ジョリー主演で実写化した「マレフィセント」の続編。前作に続き、マレフィセントをジョリー、オーロラ姫をエル・ファニングが演じる。

マレフィセントがオーロラ姫との間に、恋愛でも血の繋がりでもない“真実の愛”を見つけてから数年後。オーロラ姫とフィリップ王子は、めでたく結婚することに。しかし婚礼の日、フィリップ王子の母イングリス王妃が仕かけた罠によってマレフィセントとオーロラ姫の絆は引き裂かれ、究極の愛が試されることになる。

イングリス役に「アントマン&ワスプ」のミシェル・ファイファー。「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」のヨアヒム・ローニングが監督を務める。

楽園」(10月18日公開)

「悪人」「怒り」など数々の著作が映画化されてきたベストセラー作家・吉田修一の短編集「犯罪小説集」を、「64 ロクヨン」の瀬々敬久監督が映画化。綾野剛杉咲花佐藤浩市ら豪華キャストが集結し、犯罪をめぐる喪失と再生を描き出す。

ある夏の日、青田に囲まれたY字路で少女誘拐事件が起こる。事件は解決されないまま、直前まで被害者と一緒にいた親友・紡は心に深い傷を負う。それから12年後、かつてと同じY字路で再び少女が行方不明になり、町営住宅で暮らす孤独な男・豪士が犯人として疑われる。追い詰められた豪士は街へと逃れ、そこである行動に出る。さらに1年後、Y字路に続く限界集落で愛犬と暮らす養蜂家の善次郎は、村おこし事業を巡る話のこじれから村八分にされてしまう。追い込まれた善次郎は、ある事件を起こす。

フッド:ザ・ビギニング」(10月18日公開)

 

キングスマン」「ロケットマン」のタロン・エガートンが主演し、これまでにも何度も映画化されてきた、中世イングランドの伝説的英雄ロビン・フッドの誕生秘話を描いたアクション。

イングランドの広大な屋敷に暮らす若き領主ロビン・ロクスリーは、何の苦労も知らずに生きてきた。しかし、十字軍に徴兵され遠い異国で戦い、4年を過ごして帰ってくると、ロビンは戦死したものとして領地も財産も没収されていた。どん底に落ちたロビンだったが、戦地では敵だった最強の戦士ジョンに導かれ、腐敗した政府に対して反逆を開始する。頭巾(フッド)で顔を隠したロビンは、政府から盗んだ金を領主として献上し、次第に権力のトップに近づいていく。そんなロビンは、貧しき者たちの代弁者として民衆の心をつかんでいくのだが……。

共演にオスカー俳優のジェイミー・フォックスら。監督はこれが長編映画初挑戦となるオットー・バサースト。製作にレオナルド・ディカプリオ

ガリーボーイ」(10月18日公開)

インドで活躍するアーティスト・Naezyの実話をもとに、スラムで生まれ育った青年がラップとの出会いによって人生を一変させる姿を描いた青春サクセスストーリー。

ムンバイの貧しい家庭で生まれ育った青年ムラード。両親は彼を大学へ通わせるため一生懸命に働いているが、そんな親の思いを知る由もなく、ムラードは悪友と車上荒らしに手を染め、医者の父を持つ身分違いの彼女と内緒で付き合っている。自分の人生を半ば諦めて生きてきたムラードだったが、大学構内でフリースタイルラップのパフォーマンスをしていた学生MC Sherとの出会いをきっかけに、ラップの世界にのめり込んでいく。親からの反対や友情、恋など様々な葛藤を抱えながらも、フリースタイルラップの大会で優勝を目指すムラードだったが……。

「パドマーワト 女神の誕生」などボリウッドで注目を集めるランビール・シンが主演を務め、「チャンスをつかめ!」のゾーヤー・アクタルがメガホンをとった。作家・クリエイターのいとうせいこうが日本語字幕を監修。

スペシャルアクターズ」(10月18日公開)

 

カメラを止めるな!」で社会現象を巻き起こした上田慎一郎監督の劇場長編第2弾。プロアマ問わず1500人のオーディションから選ばれた15人のキャストが出演し、脚本は「カメ止め」同様に上田監督がキャストたちのあて書きで執筆した。

役者としてまったく芽が出ない和人は数年ぶりに再会した弟から俳優事務所「スペシャル・アクターズ」に誘われる。その事務所は映画やドラマといった仕事以外に、日常で演じることを要求される仕事も請け負う、何でも屋的な側面を持っていた。そんな中、カルト集団から旅館を守ってほしいという依頼がスペアクに飛び込んでくる。スペアクの役者たちは、旅館乗っ取りをもくろむ集団への対策のために計画を練り、演技の練習を重ねていく。和人はこのミッションの中心メンバーとなるが、彼には誰にも話していない秘密があった。それは緊張が極限まで達すると気絶してしまうというものだった。

アダムズ・アップル」(10月18日公開) (PG12)

しあわせな孤独」「真夜中のゆりかご」の脚本家アナス・トーマス・イェンセンが監督・脚本を手がけ、「偽りなき者」のマッツ・ミケルセンが出演したヒューマンドラマ。

旧約聖書の「ヨブ記」とアダムのリンゴの寓話をモチーフに、草原の教会で繰り広げられる奇妙な人間模様をブラックユーモアたっぷりに描く。仮釈放されたスキンヘッドの男アダムが、更生施設を兼ねた田舎の教会へ送り込まれる。ネオナチ思想に染まっている彼は、指導役の聖職者イバンから目標を問われ「庭のリンゴを収穫してアップルケーキを作る」と適当な返事をする。この教会に集まる人々はどこか変で、聖職者のイバンでさえ過酷な現実から逃避し、神を妄信することで自分を守ろうとしていた。イバンの自己欺瞞を執拗に暴こうとするアダムだったが、そんな彼に奇怪な災いが次々と降りかかる。

「未来を生きる君たちへ」のウルリッヒ・トムセンがアダム、マッツ・ミケルセンがイバンを演じる。

世界から希望が消えたなら。」(10月18日公開)

 

宗教家の大川隆法が製作総指揮と原案を手がけた、医師から余命宣告を受けた男が体験した奇跡を描いたドラマ。

ベストセラー作家で、自身で出版社を経営している御祖真(みおやまこと)は、妻と3人の子どもに囲まれ、幸せな日々を送っていた。しかし、彼には誰にも話すことができない秘密があった。ある日の移動中に胸の苦しみを覚えた真は、外の空気を吸うために車から降り、庭園を散歩する。庭園で行われていた結婚式をながめ、娘がいつか着るであろう花嫁姿を思い浮かべた瞬間、激しい心臓発作が真を襲う。その場に倒れ込み、意識を失いかけた真の手に握られていたのはトルストイの小説「復活」だった。緊急搬送された病院で、真は医師から死の宣告を告げられてしまう。

主人公の真役を本作が映画初主演となる竹内久顕が務めるほか、千眼美子さとう珠緒らが脇を固める。

映画スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて」(10月19日公開)

人気アニメ「プリキュア」劇場版シリーズの通算27作目。2019年2月から放送開始され、シリーズ史上初めて宇宙がテーマになった「プリキュア」として話題を集める「スター☆トゥインクルプリキュア」の劇場版。

プリキュアたちのもとにある日、不思議な生き物ユーマがやってくる。言葉が通じないユーマにひかるとララは振り回されてばかりだったが、やがて「うた」でユーマと気持ちを通じ合わせることができるようになり、ひかるたちとユーマは絆を育んでいく。しかし、そこへユーマを狙う謎の宇宙人ハンターが出現。さらに、ユーマとはいずれ離れ離れにならなければならないということを知らされたひかるたちは、ユーマとみんなの思いを守るために立ち上がる。

 

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

*1:各媒体ではDC映画で最高記録を保持したのは「ダークナイト ライジング」(19.8億円)であると書いているが、実際は1978年公開の「スーパーマン」(配給収入:28億円、推定興収:51億円)が最高である。また、「ダークナイト ライジング」は「バットマン」(配給収入:19.08億円、推定興収:34.7億円)、「コンスタンティン」(27.1億円)、本作に続き、日本ではDC映画で歴代5位の記録となる。