Takaのエンタメ街道

一生を映画に捧ぐと決めたTakaが主に映画・テレビ・音楽について書くブログです。

<週刊興行批評>「アド・アストラ」の宣伝は正解なのか?

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今週は初登場した「アド・アストラ」の興行を見ていきながら、今作の宣伝についても考えていきたいと思います。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「記憶にございません!」。土日2日間で動員28万人、興収3億6900万円をあげ、23日までの累計では動員137万人、興収17憶円を突破している。

2位は「かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」。土日2日間で動員14万3000人、興収1億7500万円をあげ、累計では動員124万人、興収15億円を突破した。

3位は初登場アド・アストラ」。土日2日間で動員12万2000人、興収1億7300万円をあげ、初日から4日間の累計では動員21万人、興収3億円を突破した。

4位は「天気の子」。土日2日間で動員11万2000人、興収1億5000万円をあげた。

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累計では動員982万人、興収130億円を突破しており、ロングランヒットを続け現在興収130.7億円で歴代興収ランキング16位の「ボヘミアン・ラプソディ」を抜くのは確実となった。

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5位は「人間失格 太宰治と3人の女たち」。累計で動員53万人、興収7億1400万円を突破。

6位は初登場HELLO WORLD」。初日から4日間の累計で動員15万6000人、興収2億1200万円をあげている。

7位は「劇場版おっさんずラブ −LOVE or DEAD−」。累計で動員166万人、興収22億円を突破。

8位は「ライオン・キング」。 累計で動員454万人、興収64億円を突破。

9位は初登場見えない目撃者」。

10位は初登場アナベル 死霊博物館」。初日から4日間の累計で動員9万2500人、興収1億3500万円を突破した。

 

2.興行チェック!「アド・アストラ」

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今週3位にランクインしたのが「アド・アストラ」。広大な宇宙を舞台に、太陽系の彼方に消えたトミー・リー・ジョーンズ演じる父の謎をブラッド・ピット演じる宇宙飛行士が追う作品。

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近年のブラッド・ピット出演の作品を興収で比較してみた。

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(映画.comより)

先月末に公開された「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」と比べると公開館数の違いがあるなど「ワンス〜」の余波、ブラッド・ピットの来日宣伝も考えると少々物足りないか?と感じる。

自分は先日、観てきた上でこの成績を改めて見ると実はよく頑張ったほうではないか?という捉え方をしたい。

というのも、この手の映画(この記事では今作を"SF哲学映画"と呼ぶ)がここまでヒットすること自体が偉いと思うのだ。

こんな哲学的な映画がヒットしたのはブラッド・ピットが出演をしていることと宣伝の大きさを挙げたい。

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ポスターやCM等で父親の謎に迫るというミステリー的とも捉えることが出来る要素やSF的面白さを加速させる美味しいところを掻い摘んだ宣伝は実に上手いと感じる。

そんなこともあってか、自分が観た回では宇宙に興味深々そうな子供の観客もいたりとSF映画としての面白さで足を運んだ観客も多いのではないか?と感じた。

これは決して間違いではないので詐欺的とまでは言わないが、CM等で出してる要素で足を運ぶ映画であるかは疑問を浮かべてしまうな…とは思う。しかし、宣伝は客を呼ぶためにする行為。お金を払っていただくためにここまでの規模、ブラッド・ピットが主演ともなれば、この宣伝は正解とも言えるだろう。

賛否両論ある作品(個人的には申し訳ないけど否定派)で、2週目以降の成績が気になるが、まずは10億円に届くかどうかに注目したい。

 

3.今週の注目作

ヘルボーイ」(9月27日公開) (R15+)

2004年にギレルモ・デル・トロ監督で映画化された人気コミックを原作者マイク・ミニョーラの完全監修で再映画化。

地獄で生まれ、地球で育てられた悪魔の子ヘルボーイ。超常現象調査防衛局「B.P.R.D.」のエージェントとして活躍する彼に、イギリスを荒らしまわる巨人退治のミッションが下される。暗黒時代に封印されたブラッドクイーンが1500年の眠りから覚めたことを知ったヘルボーイは、霊媒能力を持つ少女アリス、ベン・ダイミョウ少佐らとともにブラッドクイーンへと近づいていく。しかし、ブラッドクイーンはヘルボーイを王として迎え入れる企てを図り、ヘルボーイは彼女の甘言と魔力によって世界を滅亡させるほどの強大なパワーを手にしてしまう。

ヘルボーイ役をドラマ「ストレンジャー・シングス」のデヴィッド・ハーバー、最強の敵ブラッドクイーン役をミラ・ジョヴォビッチがそれぞれ演じる。監督は大ヒットドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のニール・マーシャル

惡の華」(9月27日公開) (PG12)

累計発行部数300万部を記録し、テレビアニメ化もされた押見修造の同名コミックを、伊藤健太郎玉城ティナの共演で実写映画化。

山に囲まれた地方都市。中学2年生の春日高男は、ボードレールの詩集「惡の華」を心の拠り所に、息苦しい日常をやり過ごしていた。ある日、憧れのクラスメイト・佐伯奈々子の体操着を衝動的に盗んだところをクラスの問題児・仲村佐和に目撃されてしまった彼は、秘密にする代わりに仲村からある“契約”を持ちかけられる。この日から仲村に支配されるようになった春日は、彼女の変態的な要求に翻弄されるうちに絶望を知り、自らのアイデンティティを崩壊させていく。やがて「惡の華」への憧れにも似た魅力を仲村に感じ始めた頃、2人は夏祭りの夜に大事件を起こしてしまう。

片腕マシンガール」の井口昇監督がメガホンをとり、アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の岡田麿里が脚本を担当。

宮本から君へ」(9月27日公開) (R15+)

テレビドラマ化もされた新井英樹の人気漫画を池松壮亮主演、 ヒロイン役を蒼井優のキャストで実写映画化。「ディストラクションベイビーズ」の真利子哲也監督がメガホンをとった。

超不器用人間ながら誰よりも正義感の強い宮本浩は、文具メーカーで営業マンとして働いていた。会社の先輩である神保の仕事仲間、中野靖子と恋に落ちた宮本は、靖子の自宅に招かれるが、そこに靖子の元彼である裕二がやってくる。靖子は裕二を拒むために宮本と寝たことを伝えるが、激怒した裕二は靖子に手を挙げてしまう。そんな裕二に、宮本は「この女は俺が守る」と言い放ったことをきっかけに、宮本と靖子は心から結ばれるが……。

宮本役を池松壮亮、靖子役を蒼井優、神保役を松山ケンイチらドラマ版のキャストが顔をそろえるほか、裕二役を井浦新が演じる。

ホテル・ムンバイ」(9月27日公開) (R15+)

2008年のインド・ムンバイ同時多発テロでテロリストに占拠されたタージマハル・パレス・ホテルでの人質脱出劇を、「LION ライオン 25年目のただいま」「スラムドッグ$ミリオネア」のデブ・パテル主演で映画化。

2008年11月、インドを代表する五つ星ホテルが500人以上の宿泊客と従業員を人質にテロリストによって占拠された。宿泊客を逃がすために、プロとしての誇りをかけてホテルに残ったホテルマンたち。部屋に取り残された赤ちゃんを救出するため、決死の覚悟で銃弾の中へと向かう父と母。テロリストたちに支配される極限の状況下で、特殊部隊の到着まで数日という過酷な現実を前に、人々の誇りと愛に満ちあふれた脱出劇が描かれる。

デブ・パテルが宿泊客を守ろうとするホテルマン役を演じるほか、「君の名前で僕を呼んで」のアーミー・ハマーアメリカ人旅行客役で出演。監督はこれまでも数多くの短編作品を手がけ、本作が長編初監督作となるオーストラリア出身のアンソニー・マラス。

任侠学園」(9月27日公開)

西島秀俊西田敏行がダブル主演を務め、社会奉仕がモットーの地元密着型ヤクザたちの奮闘を描いた今野敏の人気小説「任侠」シリーズを映画化したコメディ。

義理と人情に厚すぎるヤクザ・阿岐本組。社会奉仕に目のない組長は次から次へと厄介事を引き受けてしまい、ナンー2の日村はいつも振り回されてばかりだった。そんな彼らが、今度は経営不振の高校の建て直しに協力することに。学校には嫌な思い出しかない日村は子分たちを連れて仕方なく学園へ向かうが、そこで彼らを待ち受けていたのは、無気力・無関心な高校生と事なかれ主義の先生たちだった。それでも義理人情の正義を貫こうとする阿岐本組の情熱に、学園内の空気は徐々に変わっていくが……。

共演に「フィッシュストーリー」の伊藤淳史、「サバイバルファミリー」の葵わかな、「きょうのキラ君」の葉山奨之

ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち」(9月27日公開)

株取引で年間500億円以上の儲けを確実に手にするため、あるプロジェクトを実現させた男たちを描いた実話をもとにしたドラマ。

ニューヨークで株の高頻度取引を進めるトレス・サッチャー社で働くヴィンセントと、従兄弟のアントン。株の取引はミリ秒単位の差で莫大な損得が発生するため、彼らの会社もその遅延を減らすべく、システム構築に必死に取り組んでいた。ヴィンセントは、カンザス州にあるデータセンターとニュージャージー州にあるニューヨーク証券取引所のサーバーまでの直線距離1600キロに光ケーブルを敷くプロジェクトを思いつく。これによりアクセス時間が1ミリ秒の短縮となり年間500億円以上の収益が見込めると確信したヴィンセントは、アントンとともにプロジェクト実現のために走り出すが……。

ヴィンセント役を「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグ、アントン役を「ターザン: REBORN」のアレクサンダー・スカルスガルドがそれぞれ演じる。

ライリー・ノース 復讐の女神」(9月27日公開) (R15+)

ごく普通の妻であり母であった女性が、家族を奪われたことから自らを殺人マシーンとして鍛え上げ、壮絶な復讐戦に身を投じていく姿を描いたアクション。「96時間」のピエール・モレル監督がメガホンをとり、「エレクトラ」やテレビシリーズ「エイリアス」などで知られるジェニファー・ガーナーが主演を務めた。

ロサンゼルスの郊外で夫と娘と3人、平凡ながらも幸せに暮らしていたライリー・ノース。しかし、ある日、麻薬組織の犯行によって家族の命を奪われた彼女は、どこへともなく姿を消す。それから5年後、復讐のため再びロスの街に舞い戻ってきたライリーは、警察やメディアも巻き込み、麻薬組織と一大決戦を繰り広げる。

大脱出3」(9月27日公開) (R15+)

シルベスター・スタローン主演によるサスペンスアクションシリーズ第3弾。

世界的ハイテク企業ジャン社の社長令嬢ダヤが何者かに誘拐された。かつてダヤの身辺警護を務めていたローは、世界で唯一の脱獄のプロフェッショナルであるブレスリンを訪ね、ダヤが「悪魔砦」に囚われているとの情報を入手する。悪魔砦は、すべてが謎に包まれ、これまで出たものは誰もいないという秘密監獄だった。ブレスリンは、ローたちとともにダヤ救出に動くが、ブレスリンのパートナーであるアビゲイルが何者かによって悪魔砦に拉致されてしまう。

レスリン役をシルベスター・スタローン、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のデイブ・バウティスタが前作に引き続きスタローンの相棒デローサ役を演じるほか、ロー役を「イップ・マン外伝 マスターZ」「パシフィック・リム アップライジング」のマックス・チャンが演じる。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト」(9月27日公開)

マカロニ・ウエスタンで知られるイタリアの巨匠セルジオ・レオーネが1968年に手がけた作品で、日本では当時「ウエスタン」の邦題で短縮版が公開された一作。「荒野の用心棒」(64)、「夕陽のガンマン」(65)、「続・夕陽のガンマン 地獄の決斗」(66)で3年連続イタリア年間興行収入ナンバーワンを記録したレオーネが、方向性を大きく変え、自らの作家性を強く打ち出した野心作。

大陸横断鉄道の敷設により新たな文明の波が押し寄せていた西部開拓期を舞台に、女性主人公の目を通して、移り変わる時代とともに滅びゆくガンマンたちの落日を描いた。ニューオーリンズから西部に嫁いできた元高級娼婦のジルは、何者かに家族全員を殺され、広大な荒地の相続人となる。そして、莫大な価値を秘めたその土地の利権をめぐり、殺し屋や強盗団、謎のガンマンらが繰り広げる争いに巻き込まれていく。初公開当時、ヨーロッパでは高い評価を得たが、アメリカでは理解されずにオリジナル版から20分短縮されて興行的にも惨敗。

日本ではアメリカ版からさらにカットされた2時間21分の短縮版が「ウエスタン」の邦題で公開された。初公開から50年を経た、レオーネ生誕90年・没後30年にもあたる2019年、原題の英訳「Once Upon a Time in the West」をそのまま訳した「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト」に邦題をあらため、2時間45分のオリジナル版が劇場初公開される。

銀河英雄伝説 Die Neue These 星乱 第一章」(9月27日公開)

ベストセラー作家・田中芳樹による大長編SF小説で、過去にアニメ化もされた「銀河英雄伝説」を、新たにProduction I.Gの制作でアニメ化した「銀河英雄伝説 Die Neue These(ディ・ノイエ・テーゼ)」のセカンドシーズン第1章。2018年に放送されたファーストシーズン「邂逅」(第1~12話)に続くセカンドシーズン「星乱」(第13~24話)は、全12話を4話ずつ全3章にわけて劇場上映する。

宇宙暦796年(帝国暦487年)、3000万人の将兵を動員した自由惑星同盟の遠征軍は、銀河帝国宇宙艦隊副司令長官となったラインハルト率いる大艦隊と交戦し、大きな被害を受けるも、残存戦力を集結させて戦闘を継続。後に「アムリッツァ星域会戦」と呼称される戦いが幕を開ける。そしてその翌年、銀河帝国皇帝フリードリヒ四世が後継者を指名しないまま急死。帝国内で門閥貴族による権力闘争が始まる。一方、自由惑星同盟内では大規模な軍事クーデターが勃発し……。

WEEKEND ウィークエンド」(9月27日公開) (R15+)

「荒野にて」「さざなみ」のアンドリュー・ヘイ監督が2011年に手がけた男性同士の恋愛を描いたラブストーリー。

金曜の夜、友人たちとのパーティのあと、ラッセルは一夜限りのパートナーを求めて立ち寄ったクラブでグレンを誘い出すことに成功し、2人はともに週末を過ごす。ライフガードとして働く孤児のラッセル、アーティストを目指す皮肉屋のグレン。2人だけの時間を過ごす中で、ラッセルとグレンはお互いのこだわり、切実さを学んでいった。そんな2人だけの週末が終わろうとする中、ラッセルはグレンからある事実を知らされる。

劇場版 そして、生きる」(9月27日公開)

有村架純&坂口健太郎主演のWOWOWオリジナルドラマ「そして、生きる」を再編集して劇場公開。

日本の東北と東京、そしてフィリピンを舞台に、東日本大震災後のボランティア活動で出会った主人公の瞳子と清隆の2人が、運命に翻弄されながらも生き抜く姿を描いた。3歳のときに交通事故で両親を亡くした生田瞳子は、盛岡で理髪店を営む伯父に引き取られ、天真爛漫な少女へと成長していく。やがて女優を志すようになった瞳子は、東京で開催されるオーディションに挑もうとするが、その前日の2011年3月11日、東日本大震災が発生。震災後、ボランティア活動に参加した彼女は、そこで学生ボランティアの大学生・清水清隆と出会うが……。

映画「8年越しの花嫁」やNHK連続テレビ小説ひよっこ」などヒューマンドラマの名手として知られる脚本家の岡田惠和によるオリジナルストーリーで、「君の膵臓をたべたい」「君は月夜に光り輝く」の月川翔監督がメガホンをとった。テレビドラマでは放送されなかった未公開シーンを追加している。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>「記憶にございません!」が初登場No.1!

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今週は初登場した「記憶にございません!」と「人間失格 太宰治と3人の女たち」の興行を見ていきます。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は初登場記憶にございません!」。土日2日間で動員35万7000人、興収4億5800万円をあげ、初日から16日までの4日間の累計では動員64万6000人、興収8億1900万円をあげる大ヒットスタートとなった。

2位は「かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」。土日2日間で動員20万2000人、興収2億4200万円をあげ、累計では動員89万人、興収11億円を突破した。

3位は「天気の子」。土日2日間で動員16万2000人、興収2億1200万円をあげた。

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累計では、動員955万人、興収は127億円を突破し、「スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス」を抜いて、歴代興収ランキング18位となっている。

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4位は初登場人間失格 太宰治と3人の女たち」。土日2日間で動員12万3000人、興収1億6900万円をあげ、初日から4日間の累計では動員24万1000人、興収3億2600万円をあげる好スタートを切った。

5位は「ライオン・キング」。累計で動員441万人、興収62億円を突破。

6位は「劇場版おっさんずラブ −LOVE or DEAD−」。累計で動員150万人、興収20億円を突破。

7位は初登場僕のワンダフル・ジャーニー」。初日からの4日間で動員12万7500人、興収1億6200万円をあげた。前作「僕のワンダフル・ライフ」(初週末2日間で動員13万9000人、興収1億6300万円/最終興収:9.15億円)並みのスタートとなった。

8位は「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 −永遠と自動手記人形−」。 

9位は「ONE PIECE STAMPEDE」。累計で動員397万人、興収52億円を突破。

10位は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」。累計で動員65万人、興収9億270万円を突破した。

 

2.興行チェック!「記憶にございません!」

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今週初登場1位にランクインしたのは「記憶にございません!」。

三谷幸喜監督最新作。中井貴一演じる記憶をなくした総理大臣が主人公の政界コメディだ。

三谷幸喜監督といえば、「THE 有頂天ホテル」の60億円という大ヒット以降日本のヒットメーカーとして力を発揮している一人であるが、映画は2015年の「ギャラクシー街道」以来4年ぶり。久々の映画監督作となった。

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2015年の「ギャラクシー街道」は三谷監督作の中でも酷評ムードが目立ったのはもちろんのこと、三谷作品を観てきた今の40〜50代の世代の好みに合わなかったのか、13億円とコケてしまったわけだが*1、今作は蓋を開けてみれば、「清須会議」並みのヒットスタートとなった。

今作でも過去作同様、三谷監督自らフジテレビなどで宣伝に走った。

ここ最近のフジテレビ映画の好調は三谷幸喜監督の新作でも実を結んだ形となった。最終興収30億円以上に到達するかに注目だ。

 

3.興行チェック!「人間失格 太宰治と3人の女たち」

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つづいて、初登場4位にランクインしたのが「人間失格 太宰治と3人の女たち」。

小説「人間失格」の誕生秘話を蜷川実花監督が手がけたオリジナル作品。太宰治小栗旬が演じ、太宰を取り巻く3人の女性たちを宮沢りえ沢尻エリカ二階堂ふみが演じた。

蜷川実花監督といえば、7月に「Diner ダイナー」が公開されていたが、今年2本目の新作となった。

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「Diner ダイナー」をわずかに下回るスタートとなったが、10億円を超えるか否かといったところだろうか。

 

4.今週の注目作

アド・アストラ」(9月20日公開)

ブラッド・ピットが宇宙飛行士に扮し、トミー・リー・ジョーンズと父子役で共演した主演作。

広大な宇宙を舞台に、太陽系の彼方に消えた父の謎を追う姿を描く。地球外生命体の探求に人生をささげ、宇宙で活躍する父の姿を見て育ったロイは、自身も宇宙で働く仕事を選ぶ。しかし、その父は地球外生命体の探索に旅立ってから16年後、地球から43億キロ離れた太陽系の彼方で行方不明となってしまう。時が流れ、エリート宇宙飛行士として活躍するロイに、軍上層部から「君の父親は生きている」という驚くべき事実がもたらされる。さらに、尊敬する父が太陽系を滅ぼしかねない「リマ計画」にかかわっているという。危険な実験を抱えたまま姿を消した父を捜すため、ロイも宇宙へと旅立つが……。

ブラッド・ピットトミー・リー・ジョーンズのほかリブ・タイラー、ルース・ネッガ、ドナルド・サザーランドが共演。監督は「エヴァの告白」のジェームズ・グレイ

アイネクライネナハトムジーク」(9月20日公開)

ベストセラー作家・伊坂幸太郎による小説を、三浦春馬多部未華子の共演、「愛がなんだ」の今泉力哉監督のメガホンで映画化した恋愛群像劇。

仙台駅前で街頭アンケートを集めていた会社員の佐藤は、ふとしたきっかけでアンケートに応えてくれた女性・紗季と出会い、付き合うようになる。そして10年後、佐藤は意を決して紗季にプロポーズするが……。佐藤と紗季を中心に、美人の同級生・由美と結婚し幸せな家庭を築いている佐藤の親友・一真や、妻子に逃げられて途方にくれる佐藤の上司・藤間、由美の友人で声しか知らない男に恋する美容師の美奈子など周囲の人々を交えながら、不器用でも愛すべき人々のめぐり合いの連鎖を10年の歳月にわたって描き出す。

映画の中でもキーとなる主題歌「小さな夜」と劇中音楽を、シンガーソングライターの斉藤和義が担当した。

HELLO WORLD」(9月20日公開)

人気アニメ「ソードアート・オンライン」シリーズの伊藤智彦監督が、近未来の京都を舞台に描いたオリジナルのSF青春ラブストーリー。

2027年、京都。内気な男子高校生・直実の前に、10年後の自分だという人物・ナオミが現れる。ナオミによると、直実はクラスメイトの瑠璃と結ばれるが、その後彼女は事故で命を落としてしまうのだという。直実は瑠璃を救うため、大人になった自分自身とバディを組んで未来を変えようと奔走する。しかしその中で、瑠璃に迫る運命やナオミの真の目的、そしてこの現実世界に隠された秘密を知り……。

「君の膵臓をたべたい」の北村匠海が主人公・直実の声で声優に初挑戦。10年後からやって来たナオミの声を松坂桃李、ヒロイン・瑠璃の声を浜辺美波がそれぞれ演じる。「正解するカド」の野崎まどが脚本、「けいおん!」の堀口悠紀子がキャラクターデザインを担当。

見えない目撃者」(9月20日公開) (R15+)

2011年の韓国映画「ブラインド」を日本でリメイクし、吉岡里帆が視力を失った元警察官役を演じるサスペンススリラー。

警察学校の卒業式の夜、自らの過失で弟を事故死させてしまった浜中なつめ。自身も失明し警察官の道を諦めた彼女は、事故から3年経った現在も弟の死を乗り越えられずにいた。そんなある日、車の接触事故に遭遇したなつめは、車中から助けを求める少女の声が聞こえてくることに気づき、誘拐事件の可能性を訴える。視覚以外の感覚から感じ取った“目撃”情報を警察に提示するなつめだったが、警察は目の見えない彼女を目撃者と認めず捜査を打ち切ってしまう。なつめは少女を救うべく奔走し、事故現場で車に接触したスケボー少年を探し出す。やがて女子高生失踪が関連づけられ、連続誘拐事件の存在が判明。なつめは事件の闇へと切り込んでいくうちに、弟の死とも向き合うことになる。

監督は「重力ピエロ」「リトル・フォレスト」の森淳一。

アナベル 死霊博物館」(9月20日公開)

死霊館」シリーズに登場した呪いの人形アナベルが巻き起こす恐怖を描くホラー映画「アナベル」シリーズの3作目。

超常現象研究家ウォーレン夫妻の家に、強烈な呪いを持つ人形アナベルが運び込まれ、地下の“博物館”に厳重に封印される。ある日、夫妻が仕事で家を空けることになり、娘のジュディはシッターとしてやって来た年上の少女メアリーやダニエラと3人で一夜を過ごすことに。ところが、ダニエラが勝手に博物館へ入り込み、アナベルの封印を解いてしまう。アナベルは同じく博物館に封印されていた数々の悪霊たちを呼び覚まし、少女たちに襲いかかる。

「gifted ギフテッド」「キャプテン・マーベル」などで注目の子役マッケンナ・グレイスがジュディ役で主演を務め、「死霊館」シリーズでおなじみのウォーレン夫妻をパトリック・ウィルソンとベラ・ファーミガが引き続き演じる。「死霊館」「インシディアス」シリーズのジェームズ・ワン製作のもと、「IT イット “それ”が見えたら、終わり。」の脚本家ゲイリー・ドーベルマンが監督・脚本を手がけた。

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ」(9月20日公開)

生まれたときからウェブサイトやSNSが存在する“ジェネレーションZ世代”のティーンたちのリアルな葛藤や恋、家族との関係を描き、全米で評判を集めた青春ドラマ。

中学校生活最後の1週間を迎えたケイラは、“クラスで最も無口な子”に選ばれてしまう。待ち受ける高校生活に不安を抱える彼女は、SNSを駆使して不器用な自分を変えようとするが、なかなか上手くいかない。高校生活が始まる前に、憧れの男の子や人気者の女の子たちに近付こうと奮闘するケイラだったが……。

「怪盗グルーのミニオン危機一発」で主要キャラクター・アグネスの声を務めたエルシー・フィッシャーが主演を務め、第76回ゴールデングローブ賞の主演女優賞(コメディ/ミュージカル部門)にノミネートされた。YouTuber出身という異色の経歴を持つ人気コメディアンで、「ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ」などで俳優としても活躍するボー・バーナムが自身の経験をもとに脚本を執筆し、メガホンをとった。

葬式の名人」(9月20日公開)

日本人初のノーベル文学賞作家・川端康成の作品群をモチーフに、前田敦子高良健吾が主演を務めて描いた青春群像ファンタジー。川端が幼児期から旧制茨木中学校(現・府立茨木高等学校)を卒業するまで暮らした大阪府茨木市が市制70周年記念事業として全面協力し、少年時代をもとにした「十六歳の日記」をはじめとするさまざまな川端作品の要素がちりばめられている。

簡素な木造アパートで小学生の息子と2人で暮らすシングルマザーの雪子。ある日、高校時代の同級生の訃報が届いた雪子は通夜の席に足を運ぶ。高校卒業から10年、久しぶりに顔を合わせた雪子と同級生たち。雪子たちが参列したその通夜は、これまで誰も体験したことのない奇想天外なお通夜だった。

前田敦子高良健吾のほか、白洲迅有馬稲子、尾上寛之、中西美帆、奥野瑛太、佐藤都輝子、樋井明日香らが顔をそろえる。閉館した銀座シネパトスを題材にした「インターミッション」で初メガホンをとった映画評論家・樋口尚文の監督第2作。

帰ってきたムッソリーニ」(9月20日公開)

映画化もされたドイツのベストセラー小説「帰ってきたヒトラー」をベースに、舞台をイタリアに置き換え、現代によみがえった独裁者ムッソリーニが巻き起こすドタバタを描いたブラックコメディ。

現代のローマに突如よみがえったムッソリーニ。その姿を偶然にカメラに収めた売れない映像作家は、一発逆転をかけてムッソリーニのドキュメンタリー作品の制作を思い立ち、2人でイタリア全土の撮影旅行がスタートする。そっくりさんだと思った若者がスマホを向け、戸惑いながらも撮影に応じた写真がネットで拡散し、テレビ出演でのカリスマ的な演説が人々のハートをつかむなど、ムッソリーニの人気は絶大なものとなっていく。そしてムッソリーニはふたたび国を征服する野望を抱くが……。

3人の信長」(9月20日公開)

EXILE TAKAHIRO、市原隼人岡田義徳がそれぞれ織田信長を演じ、自分こそが本物だと主張する3人の信長と、あだ討ちに燃える元今川軍の侍たちとの攻防を描いたオリジナルの時代劇エンタテインメント。

永禄13年、かつて主君である今川義元を討たれたことへの復讐に燃える蒲原氏徳ら元今川軍の侍たちが、金ヶ崎の戦いに敗れて逃走中の織田信長を捕らえることに成功する。しかし、彼らが捕らえた信長は3人もいた。万が一、影武者の首を討ち取ってしまっては、今川家は笑いものになってしまう。蒲原らはあの手この手で本物をあぶりだそうとするが、3人の信長たちも本物を守るため「我こそが信長だ」と猛アピール。3人の信長と元今川軍の侍たちは、翻弄し、翻弄される謀略合戦を繰り広げる。

おいしい家族」(9月20日公開)

映画監督のほか小説家としても活躍する新鋭ふくだももこ監督が、かつて自身が手がけた短編映画「父の結婚」を長編化。妻を亡くした父親が再婚するまでの親子の日々を描いた原作短編映画から、舞台を離島に移し、エピソードやキャラクターを追加して家族の絆とそれに向き合う主人公の心境をより深く描き出した。

銀座のコスメショップで働く橙花は、母の三回忌に実家のある離島へ帰るが、そこでなぜか父・青治が母の服を着て生活している姿を目撃する。驚く娘を意に介さず、青治は「この人と家族になる」と居候の男性・和生を紹介する。

テレビドラマ版「この世界の片隅に」やauのCMなどで注目を集める松本穂香が主人公の橙花に扮し、長編映画で初主演を飾った。父・青治役は原作短編映画でも同じ役どころを演じた板尾創路、青治のパートナーでお調子者の居候・和生を「在日ファンク」のボーカルで個性派俳優としても活躍する浜野謙太が演じる。

初恋ロスタイム」(9月20日公開)

ボーカルダンスユニット「M!LK」として活動するかたわら、映画「ソロモンの偽証」や「ホットギミック」などで若手俳優としても活躍する板垣瑞生が主演を務め、仁科裕貴の同名小説を映画化。

浪人生の相葉孝司は幼い頃に病で母親を亡くしたことから、「世の中にはがんばっても無駄なことがある」と、あきらめグセのついた無気力な毎日を送っていた。ある日の12時15分、孝司は自分以外のすべてのものが突然静止するという不思議な現象に遭遇する。周囲が静止する中、孝司は自分と同じように動くことができる少女・篠宮時音と出会う。2人は毎日12時15分に1時間だけ訪れる不思議なこの時間を「ロスタイム」と名付け、2人だけの時間を楽しむようになっていくが、この「ロスタイム」には、ある秘密が隠されていた。

主人公の孝司役を板垣瑞生、時音役を本作が映画デビュー作となる吉柳咲良、不思議なの現象の真実を知る医師・浅見一生役を竹内涼真がそれぞれ演じる。監督は「チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話」の河合勇人

乱反射」(9月21日公開)

第63回日本推理作家協会賞を受賞し、第141回直木賞候補にもなった貫井徳郎の同名小説を、「舟を編む」の石井裕也監督のメガホンで映像化。メ~テレ開局55周年記念ドラマとして製作され、2018年9月にテレビ朝日系列で放送されたテレビドラマを、劇場版ディレクターズカットとして劇場公開。妻夫木聡井上真央が主演を務め、責任の所在が曖昧な現代日本社会の縮図を描く。

幸せな家庭を営んでいた新聞記者の加山聡と妻の光恵は、ある日、公園の木が倒れる事故で最愛の息子・翔太を失ってしまう。被害者でもある聡は、新聞記者として息子の死の真相を突き止めようとするが、出会う人の誰もが謝罪せず、責任を認めず、他人のせいにする。自分の責任を認めない人たちのなかで、聡の怒りと悲しみの矛先は、次第に自分自身に向けざるを得なくなってくる。

妻夫木聡が主人公の聡、井上真央が妻の光恵を演じるほか、萩原聖人北村有起哉光石研三浦貴大筒井真理子田山涼成鶴見辰吾ら豪華キャストが集結。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

*1:今回の宣伝での地上波での過去作放送は「ステキな金縛り」や「清須会議」で「ギャラクシー〜」の放送はされないなどもはや黒歴史的扱いとでも言える

<週刊興行批評>「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝」が初登場6位と快挙!

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今週は初登場した「かぐや様は告らせたい 〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」と「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 −永遠と自動手記人形−」の興行を見ていきます。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は初登場かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」。土日2日間で動員25万5000人、興収3億1500万円をあげ、初日から3日間の累計では動員36万人、興収4億6000万円をあげる好スタートを切った。

2位は「天気の子」。土日2日間で動員19万人、興収2億5300万円をあげた。

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累計では動員914万人、興収121.8億円を突破。歴代興収ランキングで「アラジン」(121.2億円)を抜いて20位となり、今年No.1を獲得した。

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3位は「ライオン・キング」。土日2日間で動員13万1000人、興収1億8900万円をあげ、累計では動員415万人、興収59億円を突破した。

4位は「劇場版おっさんずラブ −LOVE or DEAD−」。累計で動員122万人、興収16億円を突破した。

5位は「ONE PIECE STAMPEDE」。累計で興収50億円を突破。

6位は初登場ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 −永遠と自動手記人形−」。

7位は「引っ越し大名!」。累計で動員54万4000人、興収6億6700万円を突破した。

8位は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」。 累計で動員46万6000人、興収6億4100万円を突破した。

9位は「映画 この素晴らしい世界に祝福を! 紅伝説」。

10位は「トイ・ストーリー4」。累計で動員763万人、興収98億円を突破し、歴代興収ランキングで35位に。

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草彅剛主演の「台風家族」は初登場11位でスタートを切った。

 

2.興行チェック!「かぐや様は告らせたい 〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」

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今週初登場1位にランクインしたのは「かぐや様は告らせたい 〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」。

テレビアニメ化もされた赤坂アカの同名ラブコメ漫画をKing & Princeの平野紫耀と橋本環奈が主演で実写映画化した作品だ。

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平野紫耀、橋本環奈両者の出演作品での興収を比較してみた。両者ともに着実に人気を重ねてきた中での今作。土日2日間で3億円を超えるヒットスタートとなった。

2週目以降の動向に注目したいところだが、このペースでいけば、最終興収20億超えもあり得るだろう。

 

3.興行チェック!「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 −永遠と自動手記人形−」

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つづいて、初登場6位にランクインしたのが「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 −永遠と自動手記人形−」。

2018年にテレビ放送され話題となった「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の新たな物語を描く外伝。

ご存知の方も多いと思われるが、製作は京都アニメーション。今年7月に発生した放火事件以降初めてとなる製作作品の公開となった。

事件の前日に完成。全スタッフが参加しており、エンドロールには京都アニメーション全スタッフの名前が記載されている。

全国で83館という規模としてそこまで大きくない中、初登場6位というのは快挙と言っていいだろう。

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京都アニメーションの作品は評価も高く、今回の事件が起きていなくても、たくさんの方が観に来ていたであろう。

京都アニメーションのために何かをしたいという思いは募金や支援といった形があるが、製作した作品を鑑賞することも一つの支援と言える。

そうした観客一人一人の思いが未来へと繋がることを願うばかりである。

予定としては外伝の公開後、来年の1月10日に完全新作の長編劇場版を公開であったが、無期限の延期に。無理をせずに満足のゆくクオリティの劇場版を製作していただければと感じる。

外伝については9月26日までの3週間限定公開。鑑賞を予定されてる方はお早めに。

 

4.今週の注目作

人間失格 太宰治と3人の女たち」(9月13日公開) (R15+)

小栗旬が文豪・太宰治を演じ、小説「人間失格」の誕生秘話を、太宰を取り巻く3人の女性たちとの関係とともに描いたオリジナル作品。「ヘルタースケルター」「Diner ダイナー」の蜷川実花がメガホンをとり、脚本を「紙の月」の早船歌江子が手がけた。

1964年、人気作家として活躍していた太宰治は、身重の妻・美知子と2人の子どもがいながら、自分の支持者である静子と関係を持ち、彼女がつけていた日記をもとに「斜陽」を生み出す。「斜陽」はベストセラーとなり社会現象を巻き起こすが、文壇からは内容を批判され、太宰は“本当の傑作”を追求することに。そんなある日、未帰還の夫を待つ身の美容師・富栄と知り合った太宰は、彼女との関係にも溺れていく。身体は結核に蝕まれ、酒と女に溺れる自堕落な生活を続ける太宰を、妻の美知子は忍耐強く支え、やがて彼女の言葉が太宰を「人間失格」執筆へと駆り立てていく。

太宰を取り巻く3人の女たちを演じるのは、正妻・美知子役の宮沢りえ、静子役の沢尻エリカ、富栄役の二階堂ふみ。そのほか坂口安吾役の藤原竜也三島由紀夫役の高良健吾成田凌千葉雄大瀬戸康史ら豪華キャストが集う。

記憶にございません!」(9月13日公開)

三谷幸喜長編映画監督8作目で、記憶をなくした総理大臣が主人公の政界コメディ。史上最低の支持率を叩き出した総理大臣を中井貴一が演じるほか、ディーン・フジオカ石田ゆり子草刈正雄佐藤浩市ら豪華キャストが顔をそろえる。

国民からは史上最悪のダメ総理と呼ばれた総理大臣の黒田啓介は、演説中に一般市民の投げた石が頭にあたり、一切の記憶をなくしてしまう。各大臣の顔や名前はもちろん、国会議事堂の本会議室の場所、自分の息子の名前すらもわからなくなってしまった啓介は、金と権力に目がくらんだ悪徳政治家から善良な普通のおじさんに変貌してしまった。国政の混乱を避けるため、啓介が記憶を失ったことは国民には隠され、啓介は秘書官たちのサポートにより、なんとか日々の公務をこなしていった。結果的にあらゆるしがらみから解放されて、真摯に政治と向き合うこととなった啓介は、本気でこの国を変えたいと思いはじめようになり……。

僕のワンダフル・ジャーニー」(9月13日公開)

愛する飼い主に再び会うため転生を繰り返す犬の姿を描いた「僕のワンダフル・ライフ」の続編。前作で50年で3度生まれ変わり、最愛の飼い主イーサンとの再会を果たした犬のベイリーがたどる、さらなる生まれ変わりの旅路を描く。

イーサンと再会したベイリーは、イーサンと彼の妻ハンナらとともに農場で幸せな日々を送っていた。しかし、ある時、イーサンの孫娘CJが、母親のグロリアに連れられて農場を出て行ってしまう。悲しむイーサンとハンナの姿を見たベイリーは、次の生まれ変わりでCJを見つけ出し、どんな犠牲を払っても彼女を守ることを誓う。

前作のラッセ・ハルストレム監督は今作では製作総指揮を務め、テレビシリーズ「モダン・ファミリー」などを手がけたゲイル・マンキューソが新たにメガホンをとった。

プライベート・ウォー」(9月13日公開)

レバノン内戦や湾岸戦争など世界中の戦地を取材した実在の女性記者メリー・コルビンの半生を、「ゴーン・ガール」のロザムンド・パイク主演、「カルテル・ランド」「ラッカは静かに虐殺されている」など骨太なドキュメンタリーを手がけてきたマシュー・ハイネマンの初劇映画監督作品として映画化。

イギリスのサンデー・タイムズ紙の戦争特派員として活躍するアメリカ人ジャーナリスト、メリー・コルビンは、2001年のスリランカ内戦取材中に銃撃戦に巻き込まれて、左目を失明してしまう。黒い眼帯を着用し、PTSD心的外傷後ストレス障害)に苦しみながらも、人びとの関心を世界の紛争地域に向けたいという彼女の思いは強まっていく。2012年、シリアの過酷な状況下にいる市民の現状を全世界に伝えるため、砲弾の音が鳴り響く中での過酷なライブ中継がスタートする。

コルビン役をパイクが演じるほか、ジェイミー・ドーナントム・ホランダースタンリー・トゥッチらが脇を固める。

ある船頭の話」(9月13日公開) (PG12)

オダギリジョー長編映画初監督作品で、柄本明が演じる船頭を通して本当の人間らしい生き方を描いた。

橋の建設が進むある山村。川岸の小屋に暮らし、村と町を繋ぐため船頭を続けるトイチは、村人の源三が遊びにやってくる時以外は黙々と渡し舟を漕ぐ毎日を送っていた。そんないつもと変わらない日常を送るトイチの前に、ある1人の少女が現れたことをきっかけに、トイチの人生は大きく変わっていく。

主人公のトイチ役を「石内尋常高等小学校 花は散れども」以来11年ぶりの映画主演となる柄本が演じ、源三には村上虹郎が扮した。「ブエノスアイレス」「恋する惑星」などで知られるクリストファー・ドイルが撮影監督を務め、黒澤明監督の「乱」でオスカーに輝いたワダエミが衣装デザインを担当。音楽を映画音楽初挑戦となるアルメニア出身のジャズピアニスト、ティグラン・ハマシアンが手がける。

サタンタンゴ」(9月13日公開)

2011年の「ニーチェの馬」を最後に56歳で映画監督からの引退を表明したハンガリーを代表する巨匠タル・ベーラ監督が1994年に発表した作品で、4年の歳月をかけて完成させた7時間18分におよぶ長編大作。

ハンガリーのある田舎町。シュミットはクラーネルと組んで村人たちの貯金を持ち逃げする計画を企てていた。その話をシュミットが彼の女房に話しているところを盗み聞きしていたフタキは、自分もその話に乗ることを思いつく。その時、家にやって来た女は「1年半前に死んだはずのイリミアーシュが帰ってきた」と、にわかに信じられないことを口にする。イリミアーシュが帰ってくることを耳にした村人たちは、酒場に集まり議論するが、やがてその場は酒宴となり、いつものように夜が更けていった。そして翌日、女の言葉通りにイリミアーシュが村に帰ってきた。

日本では映画祭などでの上映のみだったが、2019年にベルリン国際映画祭フォーラム部門で初披露された「4K デジタル・レストア版」で19年10月に劇場初公開される。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」が初登場!日本の興行とタランティーノ映画…

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今週は初登場した「引っ越し大名!」と「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」の興行を見ていきます。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「天気の子」。土日2日間で動員34万7000人、興収4億1700万円をあげた。9月1日が映画サービスデーということもあり、前週対比で動員は113.7%、興収は99.1%という勢いだ。累計では動員875万人、興収116億円を突破し、歴代興収ランキングで「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」を抜き23位となった。

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2位は「ライオン・キング」。土日2日間で動員26万4000人、興収3億4400万円をあげ、累計では間もなく動員390万人、興収55億円に届く。

3位は「劇場版おっさんずラブ −LOVE or DEAD−」。土日2日間で動員20万5000人、興収2億5900万円をあげ、累計では動員92万人、興収12億円を突破している。

4位は「ONE PIECE STAMPEDE」。土日2日間で動員20万人、興収2億5200万円をあげ、累計は動員358万人、興収47億円を突破した。

5位は初登場引っ越し大名!」。土日2日間で19万9000人、興収2億3800万円をあげ、初日からの3日間で動員27万人、興収3億3500万円を突破した。

6位は初登場ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」。土日2日間で動員17万人、興収2億2600万円をあげ、初日からの3日間で動員22万人、興収3億円を突破した。

7位は「トイ・ストーリー4」。累計で動員753万人、興収96億円を突破し、歴代興収37位に。

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8位は初登場映画 この素晴らしい世界に祝福を! 紅伝説」。 初日からの3日間で動員15万人、興収2億500万円を突破した。

9位は「ロケットマン」。累計興収は4億500万円を突破。

10位は「二ノ国」。累計興収は3億300万円を突破。

 

2.「トイ・ストーリー4」と「天気の子」の行方は?

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今週も「トイ・ストーリー4」と「天気の子」について分析をしていきます。

先週末までに「トイ・ストーリー4」は96億円、「天気の子」は116億円をそれぞれ突破している。

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「天気の子」と「君の名は。」の成績。先々週末につづき、「天気の子」が首位をキープ。夏休み以降の成績にも注目だ。

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続いて、「トイ・ストーリー4」と「アラジン」の比較。夏休み終わりまでの100億は届かなかったが、100億を稼ぐことにはなりそうだ。メガヒットである。ただ、オープニング成績の際に期待した「アラジン」超えは難しくなっている。

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3.興行チェック!「引っ越し大名!」

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初登場5位を記録したのが「引っ越し大名!」。

超高速!参勤交代」シリーズを手がけた土橋章宏の小説「引っ越し大名三千里」を星野源主演、高橋一生高畑充希の共演で映画化さはた作品だ。

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星野源の映画出演は近年はアニメの声優に絞っており、実写映画への出演は2015年の「ラブ&ピース」以来となる*1。ここ近年の星野源の国民的歌手化されてからは初の実写映画出演と言ってもいいだろう。2億円とヒットスタートとなった。

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土橋章宏原作の映画で比較するとご覧の通り。「超高速!参勤交代」シリーズを上回るスタートを切っており、最終興収も15〜20億円となるだろう。

こうした時代劇コメディは増えてきており、今年は同じく松竹配給で「殿、利息でござる!」の中村義洋監督による「決算!忠臣蔵」が冬に公開される。時代劇コメディの需要はこれからさらに増えていきそうだ。

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4.興行チェック!「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

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つづいて、初登場6位を記録したのが「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」。クエンティン・タランティーノの9作目となる監督作で、レオナルド・ディカプリオブラッド・ピットの2大スターが初共演で話題となっている一作だ。

プロモーションでクエンティン・タランティーノレオナルド・ディカプリオが来日。連日、テレビやラジオ、ネットなどのインタビューに応じる姿を見た人も多いだろう。

そんな、タランティーノ監督の新作ともなれば、映画ファンは足を運び、ブラピとレオ様の共演ともなれば、映画ファン以外でも足を運ぶ方もいらっしゃるだろう。どういうスタートダッシュを切ったか見て行こう。

まずは主演のレオナルド・ディカプリオブラッド・ピットの近年の出演作で比較。

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どちらも近年の出演作品としては幸先の良いスタートを切っている。ここ近年、両者は出演よりも製作などに手を回すようになり、一時期ほど出演する作品も減ってきた中で日本でもまだまだスターとして名前が通るほどの価値があるのは素晴らしいことと言えるだろう。

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さて、お次はクエンティン・タランティーノ監督作品での比較。

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クエンティン・タランティーノ監督の名は映画ファンのみならずCMなどの出演や彼自身の映画への知識量から日本でも有名ではあるのだが、監督作品としてはヒットに連発するような監督とは言えない。

特に前作「ヘイトフル・エイト」はR18+による宣伝露出の減少*2や公開館数の少なさから2億円程度しか稼ぐことができなかった。

しかし、今回の「ワンス〜」はタランティーノ監督としては珍しくPG12という子供でも保護者と同伴なら観れるという一応、間口の広がった年齢制限の作品となった。まあ、これはあまり功を奏したようには感じないが、レオ様とブラピが出るということも相まって「イングロリアス・バスターズ」並みのヒットを記録した。

タランティーノ監督とヒットを結びつけるのは半ば強引に感じるかもしれないが、日本での興行とタランティーノ監督との関係性はこういう感じだということだ。

「ワンス〜」に関しては、最終興収10億円に届くか届かないかといった形だ。上映時間が161分と長尺で回数も少なくなる中で、ブラピとディカプリオ、タランティーノ監督というネームバリューでここまでの数字は頑張ったほうなのではないか?と感じるが…今後の推移に注目だ。

 

5.今週の注目作

マトリックス」(9月6日公開)

キアヌ・リーブス主演で、仮想現実空間を舞台に人類とコンピュータの戦いを描いたSFアクション。

プログラマとしてソフト会社に勤務するトーマス・アンダーソンは、ネオという名で知られた凄腕ハッカーでもあった。ある日、トリニティと名乗る美女から接触を受けたネオは、彼を探していたという男、モーフィアスと会う。モーフィアスは、人類が現実だと思っている世界が実はコンピュータにより作り出された「マトリックス」と呼ばれる仮想世界であり、本当の現実世界でネオをはじめとした人間たちはコンピュータに支配され、眠らされているという驚きの真実を明かす。モーフィアスの誘いに乗り、本当の現実世界で目を覚ましたネオは、ネオこそが世界を救う救世主だと信じるモーフィアスやトリニティとともに、コンピュータが支配する世界から人類を救うため戦いに乗り出すが……。

香港アクション界の雄、ユエン・ウーピンをアクション指導に招いて取り入れたワイヤーアクションや、バレットタイムと呼ばれる撮影法により革新的なアクションシーンを生み出し、世界的大ヒットを記録した。監督は「バウンド」のウォシャウスキー兄弟。

製作20周年を迎え、4D(体感型上映システム)で2週間限定上映。

ブレードランナー ファイナル・カット」(9月6日公開)

SF映画の金字塔「ブレードランナー」を、初公開から25年を迎えた2007年にリドリー・スコット監督自らが再編集とデジタル修正を施してよみがえらせたファイナルカット版。

酸性雨で荒廃した2019年のロサンゼルス。人間にそっくりな外見を持つ人造人間「レプリカント」たちが植民地惑星から逃亡してきた。レプリカント専門の捜査官「ブレードランナー」のデッカードが追跡を開始するが……。

今回はIMAXシアターで2週間限定で劇場公開される。

アス」(9月6日公開) (R15+)

ゲット・アウト」がアカデミー賞にノミネートされ、脚本賞を受賞するなど大きな話題を集めたジョーダン・ピール監督が、自分たちとそっくりの謎の存在と対峙する一家の恐怖を描いたサスペンススリラー。

夫のゲイブ、娘のゾーラ、息子のジェイソンとともに夏休みを過ごすため、幼少期に住んでいたカリフォルニア州サンタクルーズの家を訪れたアデレードは、不気味な偶然に見舞われたことで過去のトラウマがフラッシュバックするようになってしまう。そして、家族の身に何か恐ろしいことが起こるという妄想を次第に強めていく彼女の前に、自分たちとそっくりな“わたしたち”が現れ……。

ゲット・アウト」に続き、数々のホラー/スリラー作品を大ヒットさせてきたジェイソン・ブラムが製作。主演には「それでも夜は明ける」でアカデミー助演女優賞を受賞し、「ブラックパンサー」などで活躍するルピタ・ニョンゴを迎えた。

かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」(9月6日公開)

テレビアニメ化もされた赤坂アカの同名人気ラブコメ漫画を「King & Prince」の平野紫耀と橋本環奈の共演で実写映画化。

将来を嘱望されたエリートたちが集まる私立・秀知院学園。全国模試上位常連の頭脳明晰な生徒会会長・白銀御行と、文武両道の大財閥令嬢で容姿端麗容姿端麗な生徒会副会長・四宮かぐやは互いに惹かれ合いながらも、高すぎるプライドが邪魔をして、それぞれが思いを告げることができずにいた。やがて、告白したほうが「負け」という謎の思考にとらわれるようになった御行とかぐやは、いかにして相手から告白されるかだけを考えるようになり、天才であることが邪魔をして恋愛に不器用な2人による高度な恋愛頭脳戦が展開する。

監督は「俺物語!!」「ニセコイ」の河合勇人。ドラマ「海月姫」や映画「翔んで埼玉」の徳永友一が脚本を担当する。

いなくなれ、群青」(9月6日公開)

大学文芸員が選ぶ第8回大学読書人大賞や、「読書メーター」 読みたい本ランキング第1位などを獲得した河野裕の同名ミステリー小説を横浜流星、飯豊まりえ主演で映画化。

七草は人口2000人程度の階段島にやって来た。階段島は捨てられた人たちの島で、島の人たちは誰もが自分がなぜこの島に来たかを知らない。特に疑問を抱くことがなかった七草の島での高校生活は平穏な時間だったが、幼なじみの真辺由宇との再会により状況は一変する。「納得できない」と憤慨し、島から出るために島にまつわる謎を解き明かそうとする真辺。七草と周囲の人々は真辺に巻き込まれていく。

七草役を横浜、真辺役を飯豊がそれぞれ演じる。監督はアメリカの高校在学中にバッカイフィルムフェスティバルのオハイオ州優秀賞を受賞した柳明菜。

ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形-」(9月6日公開)

京都アニメーション制作の人気アニメで、2018年にテレビ放送およびNetflixで世界配信された「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の新たな物語を描く外伝。

愛すること、愛されることを知らずに育った主人公のヴァイオレット・エヴァーガーデンが、「自動手記人形」と呼ばれる代筆業に就き、さまざまな依頼人からの思いを手紙にしたためていく中で、次第に愛を知っていく姿を描く。外伝となる本作では、良家の子女のみが通うことを許される女学園を舞台に、未来への希望や期待を失っていた大貴族の跡取り娘イザベラ・ヨークと、彼女のもとへ派遣されてきたヴァイオレットとの出会いから生まれる物語を描く。

監督はテレビシリーズで演出を担当した藤田春香。新登場キャラクターのイザベラ・ヨーク役に寿美菜子、テイラー・バートレット役に悠木碧

タロウのバカ」(9月6日公開) (R15+)

「さよなら渓谷」「日日是好日」の大森立嗣が監督・脚本を手がけ、刹那的に生きる3人の少年の過激な日常を描いた青春ドラマ。主人公タロウ役には、本作が俳優デビューとなるモデルのYOSHIを抜てきし、タロウと行動をともにするエージを菅田将暉、スギオを仲野太賀がそれぞれ演じる。

戸籍も持たず、一度も学校に通ったことのない少年タロウには、エージとスギオという高校生の仲間がいる。エージとスギオはそれぞれ悩みを抱えていたが、タロウとつるんでいる時だけはなぜか心を解き放たれるのだった。空虚なほどだだっ広い町をあてどなく走り回り、その奔放な日々に自由を感じる3人だったが、偶然にも1丁の拳銃を手に入れたことから、それまで目を背けてきた過酷な現実に向き合うこととなる。

台風家族」(9月6日公開) (PG12)

「箱入り息子の恋」の市井昌秀監督のオリジナル脚本で、草彅剛、MEGUMI中村倫也尾野真千子藤竜也らが演じるひとクセある家族たちの姿を、ブラックユーモアを交えて描いたコメディドラマ。

鈴木一鉄と妻の光子は銀行から2000万円もの大金を強奪し、行方がわからくなっていた。事件から10年たったある日、いまだに所在がわからない両親の仮想葬儀で財産分与をおこなうため、鈴木家の子どもたちが集まる。どんな仕事も長続きしない長男の小鉄は妻の美代子、娘のユズキとともに10年ぶりに実家へ訪れ、長女の麗奈、次男の京介とともに、空の棺おけを2つ並べた見せかけだけの葬儀を始める。葬儀が終わった頃にインターホンが鳴り、間に合わなかった末っ子の千尋がようやく到着したかに思われたが、ドアの外に立っていたのは千尋ではない、チャラチャラした男だった。

長男役の草彅、長男の妻役の尾野、父親役の藤のほか、MEGUMI中村倫也榊原るみらが顔をそろえる。

フリーソロ」(9月6日公開)

ロープや安全装置を一切使わずに山や絶壁を登る「フリーソロ」と呼ばれるクライミングスタイルで世界的に知られるクライマー、アレックス・オノルドの緊迫感迫るクライミングに密着したドキュメンタリー。

ナショナル・ジオグラフィック誌の表紙を飾るなど、世界で著名なクライマーの1人として活躍するアレックス・オノルドには、1つの夢があった。それは、世界屈指の危険な断崖絶壁であり、これまで誰もフリーソロで登りきった者はいない、米カリフォルニア州ヨセミテ国立公園にそびえる巨岩エル・キャピタンに挑むこと。この前人未到のフリーソロのために幾度の失敗と練習を重ねてきたオノルドは、2017年6月3日、ついにエル・キャピタンへの挑戦を開始する。

オノルドが登攀する様子を臨場感あふれるカメラワークで収め、第91回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞。監督は、山岳ドキュメンタリー「MERU メルー」も高い評価を得たエリザベス・チャイ・バサルヘリィ&ジミー・チン

荒野の誓い」(9月6日公開)

ファーナス 訣別の朝」でもタッグを組んだクリスチャン・ベールスコット・クーパー監督による、産業革命後の開拓地を舞台にした西部劇。

1892年、産業革命によって急速に開拓地や街へと変貌を遂げつつあるアメリカ・ニューメキシコ州。インディアン戦争の英雄で、現在は看守を務めるジョー・ブロッカーは、かつて宿敵関係にあったシャイアン族の酋長イエロー・ホークとその家族をモンタナ州へ護送する任務に就く。その道中でコマンチ族の虐殺によって家族を失った過去を持つロザリーと出会い、彼女も旅に加わることとなる。一行はなんとか厳しい辺境地を乗り越えたが、ある地点で互いの協力なしでは生きていけない危機的な状況に陥ってしまう。

ブロッカー役をベール、ロザリー役を「ゴーン・ガール」のロザムンド・パイク、イエロー・ホーク役を「ジェロニモ」「アバター」のウェス・ステューディがそれぞれ演じる。

SHADOW/影武者」(9月6日公開) (PG12)

中国を代表する巨匠チャン・イーモウ監督が「HERO」「LOVERS」の主要スタッフと再び組み、「三国志」のエピソード「荊州争奪戦」を大胆にアレンジして描いた武侠アクション。

戦国時代、沛(ペイ)国が敵の炎国に領土を奪われて20年の時が流れた。炎国との休戦同盟により平和な時間が続いていたが、若くしてトップの座を継いだ沛国の王は屈辱的な日々に甘んじていた。領土奪還を願う男たちを束ねる同国の重臣・都督は、敵の将軍で最強の戦士としても知られる楊蒼に、手合わせを申し込む。王は都督の勝手な行動に怒りをあらわにするが、王の前にいる都督は影武者だった。本物の都督は、影武者に対して自由と引き換えに敵地での大軍との戦いを命じていたが……。

「戦場のレクイエム」「人魚姫」のダン・チャオが都督と影武者の2役を演じるほか、都督の妻役を私生活でも夫婦であるスン・リーが演じる。

帰れない二人」(9月6日公開)

「長江哀歌」「罪の手ざわり」などで知られる中国の名匠ジャ・ジャンクーが、ひと組の男女がたどる2001年から18年間の物語を、変わりゆく中国を背景に描いた人間ドラマ。

山西省大同。裏社会で生きる男ビンの恋人チャオは、敵対組織に襲われたビンを助けるために銃を発砲する。5年後、刑期を終えて釈放されたチャオは、ビンを捜して長江を訪れるが、かつてのビンの姿はそこにはなく……。

ジャ・ジャンクー監督の公私にわたるパートナーであるチャオ・タオが主人公チャオ、「薄氷の殺人」のリャオ・ファンが恋人ビンを演じた。第54回シカゴ国際映画祭で監督賞と女優賞を受賞。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

*1:こちらも声の出演であるため、厳密に星野源本人が映画で芝居をやるのは2013年の「地獄でなぜ悪い」以来となる

*2:18禁ともなれば、CMなどはほぼ不可能に近い状態になる

<週刊興行批評>「劇場版おっさんずラブ −LOVE or DEAD−」の初登場と近年のテレビドラマの映画化

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「週刊興行批評」2週ぶりの更新です。今週は「劇場版おっさんずラブ −LOVE or DEAD−」の興行を見ながら、近年のテレビドラマの映画化作品を見ていきます。

 

 

1.先々週末のランキング

まずは、先々週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「ライオン・キング」。 土日2日間で動員42万4000人、興収6億2800万円をあげ、3連休でお盆休みでもあった先週土日と比較しても、動員比で85.3%、興収比で86.2%と落ちの少ない興行を続けており、累計では動員236万人、興収33億円を突破している。

2位は「天気の子」。土日2日間で動員38万4000人、興収5億3300万円をあげ、累計では動員717万人、興収96億円を突破しており「ジュラシック・ワールド」を抜いて歴代興収ランキング38位まで記録を伸ばしている。

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3位は「ONE PIECE STAMPEDE」。土日2日間で動員32万3000人、興収4億5000万円をあげ、累計では間もなく動員250万人、興収33億円に達する勢いだ。

4位は「トイ・ストーリー4」。土日2日間で動員20万人、興収2億6200万円をあげ、累計では動員679万人、興収87億円を突破し、歴代興収ランキング56位まで順位をあげている。

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5位は「ワイルド・スピード/スーパーコンボ」。土日2日間で動員13万8000人、興収2億700万円をあげ、累計では動員164万人、興収23億円を突破した。

6位は「ペット2」。累計で動員140万人、興収16億円を突破した。

7位は「アルキメデスの大戦」。累計で動員124万人、興収15億円を突破した。

8位は「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」。 累計で動員216万人、興収26億円を突破している。

9位は「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」。

10位は初登場ダンスウィズミー」。初日から3日間で動員7万人、興収1億200万円を突破した。

過去の矢口史靖監督作で比較すると「WOOD JOB!」や「サバイバルファミリー」を下回るスタート。最終興収は5億円あたりとなりそうだ。

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2.先週末のランキング

つづいて、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「天気の子」。 土日2日間で動員30万5000人、興収4億2100万円をあげ、2週ぶりの首位へと返り咲いた。累計では動員800万人、興収107億円を突破し、歴代興収ランキング30位にランクインしている。

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2位は「ライオン・キング」。土日2日間で動員29万人、興収4億6700万円をあげ、興収では「天気の子」を上回った。累計では動員322万人、興収46億円を突破した。

3位は初登場劇場版おっさんずラブ −LOVE or DEAD−」。土日2日間で動員23万9000人、興収3億4300万円をあげ、3日間の累計では動員38万9000人、興収5億5400万円を突破する好スタートを切った。

4位は「ONE PIECE STAMPEDE」。累計で興収41億円を突破した。

5位は「トイ・ストーリー4」。累計で動員723万人、興収93億円を突破し、歴代興収では45位となった。

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6位は初登場ロケットマン」。土日2日間で動員9万6000人、興収1億3200万円をあげ、初日からの3日間では動員13万人、興収1億8200万円を突破した。

7位は初登場二ノ国」。初日からの3日間では動員11万人、興収1億4400万円を突破した。

8位は「ワイルド・スピード/スーパーコンボ」。 累計興収は27億円を突破した。

9位は「ペット2」。累計興収は19億円を突破した。

10位は「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」。累計で動員227万人、興収27億円を突破している。

 

3.「トイ・ストーリー4」と「天気の子」の行方は?

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今週も「トイ・ストーリー4」と「天気の子」について分析をしていきたい。

先週末までに「トイ・ストーリー4」は93億円、「天気の子」は107億円をそれぞれ突破している。

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「天気の子」と「君の名は。」の成績。先週末は「天気の子」が首位に返り咲いた。「君の名は。」が夏休みを終えてもヒットが持続したが、「天気の子」も夏休み以降も息の強さは発揮してくれそうだ。

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先日、アカデミー賞の国際長編映画賞部門(旧外国語映画賞)の日本代表に決まったことも明らかにされ、もし、アカデミー賞にノミネートや受賞されたら、アカデミー賞シーズンまでのロングランとなるが、まずは秋先までのロングランに向けて頑張っていただきたいところだ。

続いて、「トイ・ストーリー4」と「アラジン」の比較。「トイ・ストーリー4」は先週末の興収が発表されなかったが、累計で93億円。夏休み終わりまでには100億を行くとは思うのだが、前作の「3」を超えるか否かは暗雲が立ち込めてきた。

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4.興行チェック!「劇場版おっさんずラブ −LOVE or DEAD−」

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今週初登場3位となったのは「劇場版おっさんずラブ −LOVE or DEAD−」。田中圭吉田鋼太郎林遣都の共演で3人の男たちの恋愛を描いたテレビドラマ「おっさんずラブ」の劇場版だ。視聴率は4.0%と深夜ドラマとしては決して高いと言える数字ではないものの、Twitterでの世界トレンド1位や2018年の新語・流行語大賞トップテンに選出されるなど社会現象となったのは記憶に新しいところだ。

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ここ2年のテレビドラマを映画化した作品の興収を見ていこう。「おっさんずラブ」は同じく今年公開された「コンフィデンスマンJP」とほぼ同等の成績を収めている。

一時期に比べるとテレビドラマの映画化というのもあまり聞かなくなった。確かにテレビドラマの映画化はドラマで一旦閉めた扉を再度開ける行為なのだから難しいし、近年は視聴率などの観点からテレビドラマの映画化というのも厳しくなったこともあるだろう。

ただ、今年公開された「コンフィデンスマンJP」と「おっさんずラブ」に関しては視聴率が高ければというよりも続きを充分に描けれる土台があったということとファンの根強い支持があったことが大きな点だろう。今後のテレビドラマの映画化は視聴率での人気云々よりもファンの根強い支持がより重要視される時代かもしれないと感じる。

また、「おっさんずラブ」は応援上映も予定されていたりとファンの複数鑑賞を狙った運びもあり、最終興収も30億近くはいくのではないか?と予想。

↓「おっさんずラブ」の盛り上がりに関してはこちらの記事も参考になるのでシェアしときます。↓

 

5.今週の注目作

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(8月30日公開) (PG12)

クエンティン・タランティーノの9作目となる長編監督作。レオナルド・ディカプリオブラッド・ピットという2大スターを初共演させ、落ち目の俳優とそのスタントマンの2人の友情と絆を軸に、1969年ハリウッド黄金時代の光と闇を描いた。

テレビ俳優として人気のピークを過ぎ、映画スターへの転身を目指すリック・ダルトンと、リックを支える付き人でスタントマンのクリス・ブース。目まぐるしく変化するエンタテインメント業界で生き抜くことに神経をすり減らすリックと、対照的にいつも自分らしさを失わないクリフだったが、2人は固い友情で結ばれていた。そんなある日、リックの暮らす家の隣に、時代の寵児ロマン・ポランスキー監督と、その妻で新進女優のシャロン・テートが引っ越してくる。今まさに光り輝いているポランスキー夫妻を目の当たりにしたリックは、自分も俳優として再び輝くため、イタリアでマカロニ・ウエスタン映画に出演することを決意する。やがて1969年8月9日、彼らの人生を巻き込み映画史を塗り替える事件が発生する。

引っ越し大名!」(8月30日公開)

超高速!参勤交代」シリーズを手がけた土橋章宏の時代小説「引っ越し大名三千里」を、星野源主演、高橋一生高畑充希の共演、「のぼうの城」の犬童一心監督のメガホンで映画化。

姫路藩書庫番の片桐春之介は人と接するのが苦手で、いつも書庫にこもり書物にあたっていた。幕府から豊後(大分県)の日田への国替を言い渡された藩主の松平直矩は、度重なる国替からの借金と、これまでにない遠方への引越し、さらに減棒と、国の存亡が危うくなるほどのピンチに頭をかかえていた。この国難を乗り切れるかは、国替えを仕切る引っ越し奉行の腕にかかっていたが、前任者は激務が原因ですでに亡くなり、国替のノウハウも失われていた。そんな中で、書物好きなら博識だろうという理由から、春之介が引っ越し奉行に任命されてしまう。

星野が春之介役を演じ、春之介の幼なじみで武芸の達人である鷹村源右衛門役を高橋、前任の引っ越し奉行の娘・於蘭役を高畑が演じる。

この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説」(8月30日公開)

異世界に転生した主人公の珍道中を描いた人気ライトノベルを原作に、テレビアニメが第2期まで放送されたファンタジーコメディ「この素晴らしい世界に祝福を!」の劇場版。

交通事故によりあっけなく人生を終えたはずの引きこもり高校生・佐藤和馬(カズマ)は、ひょんなことから女神アクアを道連れに異世界に転生。何かとトラブルを引き起こすダメ女神のアクアと、中二病をこじらせた魔法使いのめぐみん、妄想が止まらない女騎士ダグラスの3人とパーティを組み、波乱万丈の冒険を繰り広げていた。そんなある日、彼らの前に紅魔女の少女ゆんゆんが現れ、彼女の故郷である「紅魔の里」の危機を訴える。生まれ故郷を救うため旅立ったゆんゆんを追い、カズマたちも紅魔の里へ向かうが……。

監督の金崎貴臣、脚本の上江洲誠ら主要スタッフはテレビシリーズから続投。アニメーション制作を新たにJ.C.STAFFが手がける。

トールキン 旅のはじまり」(8月30日公開) (PG12)

冒険ファンタジー映画「ロード・オブ・ザ・リング」「ホビット」3部作の原作者J・R・R・トールキンの前半生を、「女王陛下のお気に入り」や「X-MEN」シリーズで知られるニコラス・ホルト主演で描いた伝記ドラマ。

3歳で父を失くし、イギリスの田園で母と弟と暮らしていたトールキンは、母親の急死により12歳で孤児となってしまうが、母親の友人で後見人となってくれたモーガン神父のサポートにより、名門キング・エドワード校への入学を果たす。そこでトールキンは3人の仲間と出会い、「芸術で世界を変えよう」と互いに誓い合う。16歳になったトールキンは年上の女性エディスと恋に落ちるが、神父からその交際を厳しく禁じられてしまう。そしてぼっ発した第1世界大戦がトールキンと仲間たちの運命を大きく変えていく。

ホルトがトールキン役、「あと1センチの恋」のリリー・コリンズがエディス役をそれぞれ演じる。監督は「トム・オブ・フィンランド」のドメ・カルコスキ。

ブルー・ダイヤモンド」(8月30日公開) (R15+)

マトリックス」「ジョン・ウィック」シリーズのキアヌ・リーブスが、ロシア美女とマフィアに翻弄される宝石ディーラーに扮した主演作。

宝石商のルーカス・ヒルは希少な最高純度のブルー・ダイヤモンドの取引をするためロシア・サンクトペテルブルクの地を訪れた。しかし、ダイヤを所持していたはずのビジネスパートナーであるピョートルとの連絡が途絶えてしまい、ルーカスは伝言を便りにピョートルを追ってシベリアに向かう。シベリアに到着したルーカスはカフェの女主人カティアと親密になり、彼女を巻き込みながらもなんとかダイヤを見つけることになんとか成功する。しかし、ルーカスが手にしたそのダイヤは巧妙に作られた模造品だった。

ガーンジー島の読書会の秘密」(8月30日公開)

第2次世界大戦直後のイギリスの島を舞台に、ある作家が魅了された読書会をめぐるミステリー。

第2次世界大戦中、イギリスで唯一ナチスドイツに占領されたチャンネル諸島の1つであるガーンジー島。そこに暮らす人々の支えとなっていたのが、島での読書会とその創設者であるエリザベスという女性の存在だった。人と人の心を本がつないだ事実に強く興味を抱いた作家のジュリエットは、読書会に関する記事を書こうと島を訪ねるが、島にはエリザベスの姿はなかった。読書会のメンバーと交流をしていく中で、ジュリエットは彼らが重大な秘密を隠していることに気づいてしまう。

ジュリエット役を「シンデレラ」のリリー・ジェームズが演じるほか、ミキール・ハースマン、トム・コートネイらが顔をそろえる。監督は「フォー・ウェディング」「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」のマイク・ニューウェル

やっぱり契約破棄していいですか!?」(8月30日公開)

死にたい小説家とクビ寸前の殺し屋が繰り広げる追走劇を描いたイギリス製コメディ。

小説家を目指すも全く芽の出ない青年ウィリアムは、人生に絶望して7回も自殺を試みたが、いずれも失敗していた。一方、ベテラン殺し屋のレスリーは、英国暗殺者組合の暗殺件数のノルマを達成できず引退寸前に追い込まれていた。ある日、ひょんなことからレスリーと知り合ったウィリアムは、1週間以内に自分を暗殺するよう依頼する。そんな矢先、出版社で働くエミリーから、ウィリアムの小説を出版したいという電話が掛かってくる。出版へ向けて話し合ううちに急速にひかれ合うウィリアムとエミリー。ようやく生きる希望を見いだしたウィリアムは、レスリーとの契約破棄を希望するが……。

小説家ウィリアムを「ダンケルク」のアナイリン・バーナード、殺し屋レスリーを「フル・モンティ」のトム・ウィルキンソン、ウィリアムに希望をもたらすエミリーを「モダンライフ・イズ・ラビッシュ ロンドンの泣き虫ギタリスト」のフレイア・メーバーがそれぞれ演じる。

ブラインドスポッティング」(8月30日公開)

オークランドで生まれ育った親友同士の2人の青年の姿を通し、人種の違う者や貧富の差がある者が混在することによって起こる問題を描いたドラマ。

保護観察期間の残り3日間を無事に乗り切らなければならない黒人青年コリンと、幼なじみで問題児の白人青年マイルズ。ある日、コリンは黒人男性が白人警官に追われ、背後から撃たれる場面を目撃する。この事件をきっかけに、コリンとマイルズは互いのアイデンティティや急激に高級化していく地元の変化といった現実を突きつけられる。あと3日を切り抜ければ晴れて自由の身となるコリンだったが、マイルズの予期せぬ行動がそのチャンスを脅かし、2人の間にあった見えない壁が浮き彫りになっていく。

スポークン・ワード・アーティスト、教育者、舞台脚本家と幅広く活躍するラファエル・カザルと、ラッパーとしても活躍する俳優ダビード・ディグスが脚本・主演を務めた。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>「ONE PIECE STAMPEDE」と「ライオン・キング」が初登場で1,2フィニッシュ!

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今週は初登場した「ONE PIECE STAMPEDE」、「ライオン・キング」の興行を見ていきます。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は初登場ONE PIECE STAMPEDE」。 土日2日間で動員59万8000人、興収8億600万円をあげ、初日から12日までの4日間の累計では、動員125万人、興収16億円を突破している。

2位は初登場ライオン・キング」。土日2日間で動員49万7000人、興収7億2800万円をあげ、初日からの累計では動員98万4000人、興収14億500万円をあげるヒットスタートを切った。

3位は「天気の子」。土日2日間で動員46万8000人、興収6億4500万円をあげ、累計では動員584万人、興収78億円を超え、歴代興収72位を記録。

4位は「トイ・ストーリー4」。土日2日間で動員25万6000人、興収3億3300万円をあげ、累計で動員604万人、興収78億円を突破し、歴代興収は「天気の子」に次ぐ73位となっている。

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5位は「ワイルド・スピード/スーパーコンボ」。土日2日間で動員19万8000人、興収2億9200万円をあげ、累計では間もなく動員140万人、興収17億円に達する。

6位は「ペット2」。累計で動員100万人、興収12億円を突破。

7位は「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」。累計で動員65万人、興収9億400万円を突破。

8位は「アルキメデスの大戦」。 累計で動員99万人、興収12億円を突破。

9位は「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」。累計で動員194万人、興収23億円を突破。

10位は「仮面ライダージオウ Over Quartzer/騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック!!」。

 

2.「トイ・ストーリー4」と「天気の子」の行方は?

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今週の初登場作品を見ていく前に今年の夏休み映画で最も引っ張っている「トイ・ストーリー4」と「天気の子」について分析したい。

今週末までに「トイ・ストーリー4」が78.6億円に対して、「天気の子」が78.9億円と僅かに上回っている。

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まずはこの2つの作品のこれまでの興行を見ていこう。1週早く公開された「トイ・ストーリー4」がオープニング成績が上だが、2週目以降の週末成績では「天気の子」が上回っている。今後、この差がどこまで開いていくのだろうか。
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つづいて、「天気の子」と新海誠監督の前作「君の名は。」の成績を比較してみよう。「君の名は。」は2週目でピークを迎え、高稼働をしているため、4週目の時点で100億直前のところを迎えている。「天気の子」が夏休みの最初に公開されたのに対し、「君の名は。」が夏休みの最後に公開されてこのような成績を叩き出してることを考えると改めて凄い作品だ。
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トイ・ストーリー4」は最近メガヒットした同じディズニー映画の「アラジン」と比較してみよう。

こちらもオープニング成績は「トイ・ストーリー4」が上だが、2週目以降の週末では「アラジン」のほうが上回っており、累計興収も5週目時点で「アラジン」が上回っているという結果となった。

トイ・ストーリー4」、「天気の子」ともに100億を上回ることは確実だが、そこからどこまでヒットするかは非常に興味深い内容なので、来週以降もやっていこうと思う。

 

3.興行チェック!「ONE PIECE STAMPEDE」

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今週初登場1位になったのは「ONE PIECE STAMPEDE」。アニメ化20周年を記念して、原作者の尾田栄一郎監修による世界中の海賊が集う「海賊万博」を舞台にしたオリジナルストーリーが展開される。

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ここ10年のワンピース映画で比べてみたが、前作「ONE PIECE FILM GOLD」を下回るスタートとなった。

同じくジャンプ原作のアニメ映画で昨年冬に公開された「ドラゴンボール超 ブロリー」(63万9000人・8億1300万円、最終興収:38.9億円)とほぼ同じスタートダッシュを切ったことから最終興収は30〜40億あたりで落ち着きそうだ。

 

4.興行チェック!「ライオン・キング

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初登場2位となったのは実写版「ライオン・キング」。賀来賢人らが務めた吹替版やCGで描かれた動物たちの描写から日本では"超実写版"と宣伝されている一作だ。

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何より今年はディズニーが例年以上に大ヒットを連発しており、「ライオン・キング」も50万人近くを動員し、7億円を超える稼ぎを記録した。

ちなみに同じチームで作られた2016年の「ジャングル・ブック」(20万人、3億214万円)は最終興収が22.1億円となっており、「ライオン・キング」は30〜40億近い稼ぎが予想される。

今年、ディズニーは「マレフィセント」やアナ雪、SWの続編とまだまだ稼ぎ頭が控えており、日本でどれだけ稼ぐのかにも注目したいところだ。

 

5.今週の注目作

永遠に僕のもの」(8月16日公開) (R15+)

1971年のアルゼンチンで12人以上を殺害した連続殺人事件の犯人である少年をモデルに、スペインの名匠ペドロ・アルモドバルが製作を務めて描いたクライムドラマ。

1971年のブエノスアイレス。思春期を迎えたカルリートスは、子どもの頃から他人が持っている物を無性に欲しがる性格だった自分の天職が、窃盗であることに気づいてしまう。新しく入った学校で出会ったラモンという青年にたちまち魅了されたカルリートスは、ラモンの気をひくためにこれ見よがしな対応を取り、2人はいとも簡単に殺人を犯してしまう。次第にカルリートスとラモンの蛮行はエスカレートし、事態は連続殺人へと発展していく。

本作が映画デビューとなる俳優ロレンソ・フェロが主人公カルリートスを演じる。

ダンスウィズミー」(8月16日公開)

スウィングガールズ」「ハッピーフライト」の矢口史靖が監督・脚本を手がけたミュージカルコメディ。

一流商社で働く勝ち組OLで、幼いころの苦い思い出からミュージカルを毛嫌いする鈴木静香は、ある日、姪っ子と訪れた遊園地で怪しげな催眠術師のショーを見学し、そこで「曲が流れると歌って踊らずにいられない」という“ミュージカルスターの催眠術”にかかってしまう。その日から、静香は街中に流れるちょっとしたメロディや携帯の着信音など、あらゆる音楽に反応するように。術を解いてもらおうと再び催眠術師のもとを訪れた静香だったが、そこは既にもぬけの殻。困り果てた彼女は、催眠術師の助手をしていた千絵とともに、催眠術師の行方を捜すが……。

グッモーエビアン!」の三吉彩花が主演を務め、ミュージカルシーンの全ての歌とダンスを吹き替えなしで演じる。共演には、お笑い芸人のやしろ優、シンガーソングライターでモデルのchay、「怒り」の三浦貴大、「銀魂」のムロツヨシ、ベテラン俳優の宝田明ら個性豊かなキャストが集結。

HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ」(8月16日公開) (PG12)

君の名前で僕を呼んで」や「ビューティフル・ボーイ」で一躍世界から注目を集めるティモシー・シャラメが主演を務めた青春映画。

1991年、最愛の父を亡くしたショックから立ち直ることができないダニエル・ミドルトンは、夏を叔母の家で過ごすため、美しい海辺の小さな町ケープコッドにやって来る。周囲の人たちとなじむことができないダニエルは、複雑な家庭の事情を抱え、地元ではワルで有名なハンター・ストロベリーとつるむようになる。町で1番の美女と称される妹のマッケイラを守ることには命をかけていたハンターからの「妹には近寄るな」との言葉に怯えながらも、ダニエルはマッケイラと秘密のデートを重ねていく。マッケイラと過ごすひとときはダニエルが自分を解放できるかけがえのない時間だった。

シャラメのほか、「イット・フォローズ」のマイカ・モンロー、「ザ・リング リバース」アレックス・ロー若手俳優陣が顔をそろえる。監督は本作が長編デビュー作となるイライジャ・バイナム。

イソップの思うツボ」(8月16日公開)

カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督を中心とした製作スタッフが再結集し、再び予測不能な物語を紡ぎだしたオリジナル作品。上田監督と「カメ止め」助監督の中泉裕矢、スチール担当の浅沼直也が3人で共同監督・脚本を務めた。

カメだけが友達の内気な女子大生・亀田美羽、大人気タレント家族の娘である恋愛体質の兎草早織、父と2人で復讐代行業を営む戌井小柚。ウサギとカメ、イヌの名前を持つ3人は、有名童話さながらの奇想天外な騙し合いを繰り広げるが……。

舞台やテレビ、ミュージックビデオで活躍する石川瑠華が美羽、「4月の君、スピカ。」の井桁弘恵が早織、「光」「アイスと雨音」の紅甘が小柚をそれぞれ演じ、「恋に至る病」の斉藤陽一郎、「愛のむきだし」の渡辺真起子、「らせん」の佐伯日菜子らが脇を固める。

命みじかし、恋せよ乙女」(8月16日公開)

2018年9月に他界した樹木希林が初めて出演した海外製作作品で、女優として最後の出演作となったドイツ映画。桃井かおり出演の「フクシナ・モナムール」など、これまでにも日本を舞台にした作品を手がけてきたドイツ出身のドーリス・デリエ監督が、孤独なドイツ人男性と、男の父親と親交のあった日本人女性が、人生を取り戻すためにともに旅する姿を描いた。

ミュンヘンに暮らすカールは、酒に溺れて仕事を失い、妻は子を連れて家を出てしまう。孤独に苦しむ彼のもとに、ある日、ユウという日本人女性が訪れてくる。ユウは10年前に東京を訪れていたカールの父ルディと親交があり、ルディの墓と生前の家を見に来たのだという。最初はしぶしぶユウに付き合っていたカールだったが、次第に彼女に惹かれていき、今度はユウの祖母に会うため日本へ向かうが……。

2人が訪れる茅ヶ崎の老舗旅館「茅ヶ崎館」の女将を樹木が演じている。

感染家族」(8月16日公開)

崖っぷちに立たされた一家がゾンビを使って金儲けを始めたことから、田舎町でパンデミックが巻き起こるさまを描いた新感覚のサバイバルパニック。

田舎の寂れたガソリンスタンドで、定職もなく、その日暮らしを送っているパク一家。そんな彼らの前にある日、ゾンビが現れる。そして、そのゾンビに噛まれた父親マンドクが若返ったのを見た一家は、そのゾンビを利用して金儲けに乗り出す。若返りを求めてやってくる人々は日に日に増え、稼いだお金でガソリンスタンドを再建することにも成功した一家だったが、ゾンビに噛まれて若返りを果たした人々に思わぬ副作用が表れはじめ……。

殺人者の記憶法」のキム・ナムギルをはじめ、「さまよう刃」のチョン・ジェヨン、「ソウォン 願い」のオム・ジウォンら豪華キャストが集った。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>「ワイスピ」スピンオフ&山崎貴監督作「アルキメデス」、「ドラクエ」が2週連続で初登場!

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今週は初登場した「ワイルド・スピード/スーパーコンボ」、「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」と先週から公開されている「アルキメデスの大戦」の興行を見ていきます。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「天気の子」。 動員50万5000人、興収7億1800万円をあげ、累計では動員433万人、興収59億円を突破した。

2位は初登場ワイルド・スピード/スーパーコンボ」。土日2日間で動員33万1000人、興収5億400万円をあげ、初日から3日間の累計では動員47万6000人、興収7億1200万円をあげるヒットスタートを切った。

3位は「トイ・ストーリー4」。土日2日間で動員30万5000人、興収4億1000万円をあげ、累計では動員512万人、興収67億円を突破し、歴代興収98位に。

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4位は初登場ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」。土日2日間で動員21万5000人、興収3億900万円をあげ、初日から3日間で動員31万4700人、興収4億4400万円を突破した。

5位は「アルキメデスの大戦」。累計で動員68万人、興収8億6700万円を突破した。

6位は「ペット2」。累計興収は7億7600万円を突破した。

7位は「仮面ライダージオウ Over Quartzer/騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック!!」。累計興収は5億8900万円を突破した。

8位は「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」。累計で動員166万人、興収20億円を突破した。

9位は「アラジン」。累計興収113億円を突破し、歴代興収23位に。

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10位は「劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEキングダム」。公開8週目ながら累計興収12億円を突破とファンの根強い足運びにより大ヒットを果たしている。

 

2.興行チェック!「ワイルド・スピード/スーパーコンボ

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今週初登場2位は「ワイルド・スピード/スーパーコンボ」。ルーク・ホブス(ドウェイン・ジョンソン)とデッカード・ショウ(ジェイソン・ステイサム)を主人公にしたスピンオフ作品だ。

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上は過去シリーズの興収を比較したものだ。「SKY MISSION」や「ICE BREAK」を下回るオープニング成績となったが、30億近くの興行収入を稼ぎ出しそうで、夏休み映画としても充分な売り上げとも言えるだろう。

にしても、日本では初期は10億円にも満たなかったが、今では30億は当たり前になり、洋画のドル箱シリーズにもなっている。継続は力なりとはこのことか?

3.興行チェック!「アルキメデスの大戦」、「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」


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今週、4位には人気RPGゲームを3DCGアニメ化した「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」が初登場。そして、5位には菅田将暉主演で同名マンガを実写化した「アルキメデスの大戦」が2週目のランクインを果たした。どちらも山崎貴監督作品であり、2週連続で同じ監督の新作が公開されることは滅多にないだろう。

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上は近年の山崎貴監督の興収を比較したもの。アルキメデス」については15〜20億あたり、「ドラクエ」も20〜30億程度のヒットは見込めるが、ネット上の評価がドラクエに関しては良いとは言えずネタ状態と化しているため、2週目以降の動向次第では変わってくるかもしれない。

永遠の0」に続き戦争を描いた「アルキメデスの大戦」、「STAND BY ME ドラえもん」のチームで作られた「ドラクエ」や12月に公開される「ルパン三世 THE FIRST」と今年だけで3本も作品が公開される山崎貴監督。来年の東京オリンピックパラリンピックの開閉会式の演出を任されるなど評価はあるにしても、日本映画のヒットメーカーの一人であるということは確かだろう。

 

4.今週の注目作

BRING THE SOUL: THE MOVIE」(8月7日公開)

グローバルに活躍している韓国の7人組ヒップホップグループ「BTS防弾少年団)」のドキュメンタリー第2弾。

2018年、ソウルを皮切りにヨーロッパなどの各都市を巡った「BTS WORLD TOUR“LOVE YOURSELF”」のツアー最終日翌日にパリで開かれた、ささやかな打ち上げの席でのメンバーの会話から、ツアーを振り返っていく。スポットライトが消えた後のメンバーの素顔や、数多くのステージを経験し、さまざまな都市を巡るなかで培われていった彼らの思いなどが明らかにされる。

ライオン・キング」(8月9日公開)

アフリカの雄大な自然を背景にライオンの王子シンバの成長と冒険を描いたディズニー・アニメの名作「ライオン・キング」を、「ジャングル・ブック」のジョン・ファブロー監督が、フルCGで新たに映画化。

アフリカの広大なサバンナで、動物たちの王であるライオンのムファサの子として生まれたシンバは、いつか父のような偉大な王になることを夢見ながら成長していく。しかし、ある時、王位を狙う叔父スカーの策略によって父の命を奪われ、シンバ自身もサバンナを追われてしまう。やがてたどりついた緑豊かなジャングルで、イボイノシシのプンバァとミーアキャットのティモンといった新たな仲間との出会いを得たシンバは、過去を忘れて穏やかに時を過ごしていく。一方、スカーが支配するサバンナは次第に荒れ果て、存続の危機が迫っていた。

シンバの声を、グラミー賞を受賞したラッパーとしても活躍するドナルド・グローバーが担当し、ジンバの幼なじみナラ役をビヨンセが担当。2人が新たに歌唱に参加した、エルトン・ジョンによる「愛を感じて」ほか、「サークル・オブ・ライフ」「ハクナ・マタタ」など名曲の数々がスクリーンを彩る。

ONE PIECE STAMPEDE」(8月9日公開)

原作コミック、アニメともに絶大な人気を誇る「ONE PIECE」の3年ぶりとなる劇場版。アニメ化20周年を記念して製作され、原作者の尾田栄一郎監修の下、世界中から海賊が集う「海賊万博」を舞台にしたオリジナルストーリーが展開する。

海賊の海賊による海賊のための祭典「海賊万博」に招待されたルフィたち麦わら一味。会場には世界中から海賊が群がり、万博の目玉である「海賊王(ロジャー)の遺した宝探し」で、お宝争奪戦が繰り広げられる。しかし、その盛り上がりの裏には、万博の主催者であり別名「最悪の戦争仕掛け人」と呼ばれるブエナ・フェスタの企みがあった。そして、お宝争奪戦が熱を帯びる中、元ロジャー海賊団「“鬼”の跡目」と呼ばれた男ダグラス・バレットが乱入し、ルフィたちの前に立ちふさがる。

ゲスト声優はユースケ・サンタマリア指原莉乃山里亮太南海キャンディーズ)。

カーライル ニューヨークが恋したホテル」(8月9日公開)

米ニューヨークにある伝説の5つ星ホテルの魅力に迫るドキュメンタリー。

マンハッタンで1930年に創業し、1泊200万円もするスイートルームを擁する超高級ホテル「ザ・カーライル ア ローズウッド ホテル」。世界中のセレブたちに愛され、スターたちがさまざまな逸話を残してきたことから、ニューヨーク・タイムズはこのホテルを「秘密の宮殿」と呼んだ。数ある上等なホテルの中、英国王室や歴代米大統領、映画スター、ミュージシャン、アスリートといったセレブたちはなぜカーライルを選ぶのか。本作ではジョージ・クルーニーソフィア・コッポラらカーライルを愛する総勢38人のスター、そしておもてなしの心意気を忘れない個性的なホテルスタッフの証言から、「まるで我が家のよう」とセレブたちが絶賛するカーライルの魅力をひも解いていく。

監督は「ニューヨーク・バーグドルフ 魔法のデパート」などでセレブの素顔を見事に引き出してきたマシュー・ミーレー

ゴーストランドの惨劇」(8月9日公開) (R15+)

マーターズ」の鬼才パスカル・ロジェが6年ぶりにメガホンをとり、絶望的な惨劇に巻き込まれた姉妹の運命を、全編に伏線と罠を張り巡らせながら描いたホラー。

人里離れた叔母の家を相続し、そこへ移り住むことになったシングルマザーのポリーンと双子の娘。奔放で現代的な姉ベラとラブクラフトを崇拝する内向的な妹ベスは、双子でありながら正反対の性格だった。新居へ越してきた日の夜、2人の暴漢が家に押し入ってくる。母は娘たちを守るため必死に反撃し、姉妹の目の前で暴漢たちをメッタ刺しにしてしまう。事件から16年後、ベスは小説家として成功したが、ベラは精神を病んで現在もあの家で母と暮らしていた。久々に実家に帰って来たベスに対し、地下室に閉じこもるベラは衝撃の言葉をつぶやく。

出演はテレビドラマ「ティーン・ウルフ」のクリスタル・リード、「ブリムストーン」のエミリア・ジョーンズ。

ピータールー マンチェスターの悲劇」(8月9日公開)

「秘密と嘘」「ヴェラ・ドレイク」などで知られるイギリスの名匠マイク・リーが、19世紀初頭のイギリスで起きた事件「ピータールーの虐殺」を映画化。

1819年、ナポレオン戦争後で困窮のさなかにあるマンチェスター。深刻化する貧困問題の改善を訴え、政治的改革を求める民衆6万人がセント・ピーターズ・フィールド広場に集まった。鎮圧のため派遣された政府の騎馬隊は、非武装の群衆の中へ突入していく。多くの死傷者を出し、イギリスの民主主義において大きな転機となったこの事件の全貌を、リー監督が自ら執筆した脚本をもとにリアルに描き出す。

出演は「007 スペクター」のロリー・キニア、「博士と彼女のセオリー」のマキシン・ピーク。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。