Takaのエンタメ街道

一生を映画に捧ぐと決めたTakaが主に映画・テレビ・音楽について書くブログです。

<週刊興行批評>2020年夏休み映画を考える

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今週は2020年の夏休み映画の展開を考えていきます。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「千と千尋の神隠し」。累計興収は3億1330万円となっている。

2位は「もののけ姫」。累計興収は3億120万円となっている。

3位は「風の谷のナウシカ」。

4位は「ランボー ラスト・ブラッド累計興収は2億9840万円を突破。

5位は「ドクター・ドリトル」。累計興収は4億2520万円を突破。

6位は初登場MOTHER マザー」。初日から3日間の累計は動員3万4630人、興収4740万円となっている。

7位は「ソニック・ザ・ムービー」。累計興収は1億1210万円を突破。

8位は「ゲド戦記」。累計興収は5130万円を突破。

9位は「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」。累計興収は2億5510万円を突破。

10位は「水曜日が消えた」。累計興収は1億4950万円を突破。

 

2.2020年夏休み映画を考える

さて、今週は夏休み映画について考えていこうと思うわけだが、何せこのご時世、例年のような盛り上がりとはいかない状況だ。だが、今年の春休みやGWと違い、映画館の灯りを消さないように作品は用意されてる状況である。現時点で予定されているヒットしそうな作品をピックアップしていこう。

まず、7月17日に公開されるのが「今日から俺は!! 劇場版」。

2018年10月期に日テレで放送された西森博之の代表作を福田雄一監督、賀来賢人伊藤健太郎といった豪華キャストで実写化されたドラマの劇場版だ。最終回での視聴率が12.3%を獲得し、反響も大きかった作品なだけにヒットが予想される。

7月23日に公開されるのが「コンフィデンスマンJP プリンセス編」。

昨年、「ロマンス編」が公開され29.7億円というヒットを記録した長澤まさみ小日向文世東出昌大主演のドラマの劇場版第2弾。前作ほどとまではいかないかもしれないが、十分にヒットする見込みはある。

8月7日に公開されるのが「ドラえもん のび太の新恐竜」。

ドラえもん」連載50周年、映画シリーズ40作記念作品。シリーズ最大のヒットとなった2018年の「のび太の宝島」チーム(監督・今村一暁×脚本・川村元気)により、「のび太の恐竜」が新たなるストーリーとして登場する。春休みの定番となっていたドラえもんシリーズが「STAND BY ME ドラえもん2」が公開予定だった夏休みにスライドイン。ファミリー層がどれだけ来てくれるのだろうか?安定のブランド力が試される。

同じく、8月7日に公開されるのが「ぐらんぶる」。

キューバダイビングクラブを舞台にした青春コメディ漫画を実写映画化。竜星涼、犬飼貴丈らが原作通りの裸の熱演に公開前から注目されていた。5月の公開予定から「るろうに剣心 最終章」が公開予定だった8月のスライドインにより、さらに季節にあった映画となりそうだ。

8月14日に公開されるのが「思い、思われ、ふり、ふられ」。

アオハライド」、「ストロボ・エッジ」の咲坂伊緒のマンガを三木孝浩監督、浜辺美波×北村匠海×福本莉子×赤楚衛二で実写映画化。夏休みの青春映画としてヒットの可能性はある。

同じく、8月14日に公開されるのが「弱虫ペダル」。

アニメ版もヒットしているスポーツ青春マンガを永瀬廉、伊藤健太郎、橋本環奈主演で実写映画化。原作の力は発揮できるのか否か?

8月15日に公開されるのが「Fate/stay night [Heaven's Feel] III. spring song」。

同名PCゲームをアニメ映画化し、原作ゲームでヒロインのひとりである間桐桜を通して「聖杯戦争」の真実に迫るシナリオルート「Heaven's Feel」を描く3部作の最終章。前2作がどちらも10億円を超えるヒットを生み出し、固定ファン層が離れないことからほぼ同じようなヒットを生み出しそうだ。

8月21日に公開されるのが「2分の1の魔法」。

亡くなった父親にもう一度会いたいと願う兄弟が、魔法によって半分だけ復活した父親を完全によみがえらせるため奮闘する姿を描くピクサー最新作。ピクサー作品は安定してヒットを記録する作品が多いため、夏休み映画としても期待できる。

同じく、8月21日に公開されるのが「」。

中島みゆきの「糸」をベースに男女のラブストーリーを平成史を交えて描いていく。菅田将暉小松菜奈ら今の日本映画を代表するキャストが集結した作品なだけにヒットが期待される。

8月28日に公開されるのが「青くて痛くて脆い」。

「君の膵臓でたべたい」で知られる住野よる原作による青春サスペンスを吉沢亮杉咲花主演で映画化。キミスイがヒットしたが、こちらは果たして?

同じく、8月28日に公開されるのが「事故物件 恐い間取り」。

実際に9軒の事故物件に住んだ事故物件住みます芸人・松原タニシの実体験を記したノンフィクションを亀梨和也主演、中田秀夫監督で映画化。今年の夏休みのホラーはこれに任されたようなものだが、Jホラー、今度こそヒットなるか?

 

以上のようなラインアップとなっている。今後、さらに追加されるかもしれないが、メジャー作品がこれ以上の新作を今から発表するのも宣伝期間が短くなってしまうのでないだろう。ということで、この夏休みはやはりファミリー層とティーン層という今の映画館においては欠かせないお客さんをどこまで呼び戻せるかにかかっている。この夏休みで50〜100億の作品がすぐ出るところまでは無理かもしれないが、まずは10億円を突破する作品が生まれること、出来れば30億円クラスの作品が何本か出れば今回の夏休み映画商戦は成功といって良いのではないか?観客制限が敷かれた中での夏休みの映画館…どうかたまに観に来ていた人がふとしたきっかけで、1日の遊びの一つでも良いから、戻ってきますように。

 

3.今週の注目作

ダークナイト」(7月10日公開)

DCコミックスの人気ヒーロー、バットマンの誕生を、クリストファー・ノーラン監督&クリスチャン・ベール主演で描いた「バットマン ビギンズ」の続編。

ゴッサム・シティに現れた史上最悪の犯罪者ジョーカー。バットマンブルース・ウェインは、協力するゴードン警部補や新任地方検事ハービー・デントらとともにジョーカーに立ち向かうが……。

2008年に製作・公開され、全米で当時歴代2位となる5億ドルを超える興行収入を記録し、全世界興収も10億ドルの大ヒットを記録。重厚かつ圧倒的なリアリティで支持を集め、第81回アカデミー賞にも8部門にノミネートされるなどコミック原作映画の歴史を塗り替えた一作。なかでも「悪のカリスマ」と呼ばれるジョーカーを演じたヒース・レジャーは撮影直後に急逝するが、本作が公開されるとその演技が絶賛され、アカデミー助演男優賞を受賞した。

クリストファー・ノーラン監督の「TENET テネット」公開にあわせ、IMAX版と4D版でリバイバル公開。

WAVES ウェイブス」(7月10日公開) (PG12)

イット・カムズ・アット・ナイト」のトレイ・エドワード・シュルツが監督・脚本を手がけた青春ドラマ。

ある夜を境に幸せな日常を失った兄妹の姿を通し、青春の挫折、恋愛、親子問題、家族の絆といった普遍的なテーマを描く。フロリダで暮らす高校生タイラーは、成績優秀でレスリング部のスター選手、さらに美しい恋人もいる。厳格な父との間に距離を感じながらも、何不自由のない毎日を送っていた。しかし肩の負傷により大切な試合への出場を禁じられ、そこへ追い打ちをかけるように恋人の妊娠が判明。人生の歯車が狂い始めた彼は自分を見失い、やがて決定的な悲劇が起こる。1年後、心を閉ざした妹エミリーの前に、すべての事情を知りながらも彼女に好意を寄せるルークが現れる。

主人公タイラーを「イット・カムズ・アット・ナイト」のケルビン・ハリソン・Jr.、ルークを「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のルーカス・ヘッジズがそれぞれ演じる。

透明人間」(7月10日公開) (PG12)

「ソウ」シリーズの脚本家リー・ワネルが監督・脚本を手がけ、透明人間の恐怖をサスペンスフルに描いたサイコスリラー。

富豪の天才科学者エイドリアンに束縛される生活を送るセシリアは、ある夜、計画的に脱出を図る。悲しみに暮れるエイドリアンは手首を切って自殺し、莫大な財産の一部を彼女に残す。しかし、セシリアは彼の死を疑っていた。やがて彼女の周囲で不可解な出来事が次々と起こり、命まで脅かされるように。見えない何かに襲われていることを証明しようとするセシリアだったが……。

主演は、テレビドラマ「ハンドメイズ・テイル 侍女の物語」のエリザベス・モス。

エレファント・マン 4K修復版」(7月10日公開)

19世紀末のロンドンを舞台に実在した奇形の青年ジョン・メリックの悲劇の人生を、「イレーザーヘッド」のデヴィッド・リンチ監督が描き、鬼才リンチの名を世界にとどろかせた名作。

見世物小屋で「エレファント・マン」として暮らしていた青年メリックの前に、ある日、外科医のトリーヴスという男が現れる。メリックの特異な容姿に興味を持ったトリーヴスは、メリックを研究材料にするため、自分が勤める病院に連れ帰ることに。何も話さず怯え続けるメリックを、周囲は知能が低いと思っていた。しかしある時、メリックが知性にあふれた優しい性格であることが判明するが……。

本国公開から40年を迎えた今年、4K修復版でリバイバル公開される。

私がモテてどうすんだ」(7月10日公開)

第40回講談社漫画賞・少女部門を受賞し、2016年にテレビアニメ化もされた同名人気コミックを実写映画化。

アニメキャラやクラスのイケメン男子たちのBLを妄想するのが大好きな女子高生・芹沼花依は、大好きなアニメキャラが死んだショックで1週間寝込んだことで激ヤセし、誰もが振り向く美女に変身する。そんな彼女に、スーパーイケメン男子高生の六見遊馬、五十嵐祐輔、七島希、四ノ宮隼人が熱烈なアプローチを開始。彼らをBL目線で妄想してしまうのをこらえ、真剣に向き合おうとする花依だったが……。

「THE RAMPAGE from EXILE TRIBE」の吉野北人が遊馬役で初主演を果し、ヒロインの花依役は激ヤセ後を「E-girls」の山口乃々華、それ以前を「ブスの瞳に恋してる2019」「ソロモンの偽証」の富田望生が演じる。監督は「HiGH&LOW」シリーズの脚本を手がけた平沼紀久

‪オールド・ガード‬」(7月10日NETFLIXにて配信)

「スーパーマン」「ワンダーウーマン」「ウルヴァリン」などのアメリカンコミックライター、グレッグ・ルッカによる同名グラフィックノベルを、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」「アトミック・ブロンド」のシャーリーズ・セロン主演で実写化したアクション。

兵士アンディ率いる秘密の特殊部隊「オールド・ガード」。永遠の命を持つ不死身の傭兵たちで構成されるその部隊は、何世紀にもわたり、歴史の影で暗躍し、誰にも知られることなく人類を守り続けてきた。ある日、彼女たちの特別な能力が何者かによって暴かれてしまう。ある陰謀のためにその能力の複製を企む強大な謎の組織の手段を選ばない脅威がアンディたちを襲う。

アンディ役をシャーリーズ・セロンが演じるほか、キキ・レイン、マーワン・ケンザリ、ハリー・メリング、ベロニカ・グゥらが顔をそろえる。監督は「リリィ、はちみつ色の秘密」「ワン・オン・ワン ファイナル・ゲーム」のジーナ・プリンス=バイスウッド。

スパイ in デンジャー‬」(7月10日Disney+にて配信)

「メイ・イン・ブラック」「アラジン」のウィル・スミスと、「スパイダーマン」「アベンジャーズ」シリーズのトム・ホランドが声優を務め、「アイス・エイジ」「ブルー 初めての空へ」のブルースカイ・スタジオが手がけたスパイアクションアニメ。

どんな危険なミッションもクールにこなすスパイのランス・スターリングは、ある任務で押収した最新鋭の武器を横流ししたという濡れ衣を着せられ、追われる身になってしまう。事の真相を追求するうちに、世界の平和を脅かす恐ろしい陰謀を知ったランスは、同じく情報局をクビになったばかりの若き発明家ウォルター・ベケットを頼ることに。ウォルターの開発した「透明になる薬」を飲んでピンチを乗り切ろうとしたランスだったが、手違いでハトの姿に変身してしまい……。

監督はこれが長編初作品となるトロイ・クアネ&ニック・ブルーノ。

今日から俺は!!劇場版」(7月17日公開)

西森博之の人気漫画を賀来賢人伊藤健太郎の共演、福田雄一監督の演出・脚本で新たに実写化し、2018年に放送されて人気を博したテレビドラマの映画版。賀来、伊藤、清野菜名、橋本環奈らドラマ版キャストに加え、柳楽優弥山本舞香らが出演し、原作でも人気の高いエピソード「北根壊(ほくねい)編」が描かれる。

1980年代の軟葉高校。転校を機につっぱりデビューした2年生の三橋貴志と同じ日に転校してきたトゲトゲ頭の伊藤真司は、コンビを組んで次々とやってくる強敵を返り討ちにしていく毎日を送っていた。3年になったある日、かつて壮絶な戦いを繰り広げた不良の巣窟・開久高校の一角を隣町の北根壊高校が間借りすることになった。極悪高校で名の通った北根壊の番長・柳鋭次と大嶽重弘は、智司と相良という「頭」を失った開久の生徒たち相手に妙な商売を始める。一方その頃、怪しいスケバン・涼子が今井に近づこうとしていた。

劇場」(7月17日公開)

「火花」で芥川賞を受賞した又吉直樹の2作目となる同名小説を、主演・山崎賢人、ヒロイン・松岡茉優行定勲監督のメガホンで映画化。

中学からの友人と立ち上げた劇団で脚本家兼演出家を担う永田。しかし、永田の作り上げる前衛的な作風は酷評され、客足も伸びず、ついに劇団員たちも永田を見放し、劇団は解散状態となってしまう。厳しい現実と理想とする演劇のはざまで悩む永田は、言いようのない孤独と戦っていた。そんなある日、永田は自分と同じスニーカーを履いている沙希を見かけ、彼女に声をかける。沙希は女優になる夢を抱いて上京し、服飾の大学に通っている学生だった。こうして2人の恋ははじまり、お金のない永田が沙希の部屋に転がり込む形で2人の生活がスタートする。沙希は自分の夢を重ねるかのように永田を応援し、永田も自分を理解し支えてくれる沙希を大切に思いながら、理想と現実と間を埋めるかのようにますます演劇にのめりこんでいく。

ステップ」(7月17日公開)

妻に先立たれて男手ひとつで娘を育てるシングルファーザーと、母親を亡くし父と2人で人生を歩む娘の10年間の足跡を描いた重松清の同名小説を、山田孝之主演で映画化。

結婚3年目、30歳という若さで妻の朋子に先立たれた健一。妻の父母から1人娘の美紀を引き取ろうかと声をかけてもらったが、健一は妻と時間をともにした妻の気配が漂うこの家で、娘と天国にいる妻との新しい生活を始めることを決める。娘の美紀の保育園から小学校卒業までの10年間、さまざまな壁にぶつかりながらも、亡き妻を思いながら、健一はゆっくりと歩みを進めていく。

山田孝之が自身初のシングルファーザー役を演じるほか、國村隼余貴美子広末涼子伊藤沙莉川栄李奈らが顔をそろえる。監督は「虹色デイズ」「大人ドロップ」の飯塚健

悪人伝」(7月17日公開)

新感染 ファイナル・エクスプレス」で一躍トップスターとなり、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品「エターナルズ」でハリウッド進出を果たすマ・ドンソク主演のバイオレンスアクション。

凶悪なヤクザの組長チャン・ドンスが、ある夜何者かによってめった刺しにされた。奇跡的に一命をとりとめたドンスは、対立する組織の犯行を疑い、犯人捜しに動き出す。一方、警察サイドで捜査にあたるチョン刑事は暴力的な手段も辞さない荒くれ者として、署内でも問題刑事として知られていた。まだ世間の誰も気づいていない連続無差別殺人鬼がこの事件の犯人であると確信したチョン刑事は、その手がかりを求めてドンスにつきまとう。ドンスとチョン刑事は互いに敵意をむき出しにするが、狡猾な殺人鬼を突き止めるには互いの情報が必要であると悟り、共闘して犯人を追い詰めてゆく。

パブリック 図書館の奇跡」(7月17日公開)

「ブレックファスト・クラブ」「レポマン」などで知られる俳優で、「ボビー」「星の旅人たち」など映画監督としても活動するエミリオ・エステベスが製作、監督、脚本、主演を務めたヒューマンドラマ。

オハイオ州シンシナティ公共図書館のワンフロアが約70人のホームレスたちに占拠された。記録的な大寒波の影響により、市の緊急シェルターがいっぱいで彼らの行き場がなくなってしまったのだ。彼らの苦境を察した図書館員スチュアートは図書館の出入り口を封鎖するなどし、立てこもったホームレスたちと行動をともにする。スチュアートにとってそれは、避難場所を求める平和的なデモのつもりだった。しかし、政治的イメージアップをねらう検察官やメディアのセンセーショナルな報道により、スチュアートは心に問題を抱えた危険な容疑者に仕立てられてしまう。

エミリオ・エステベスが主人公のスチュアート役を演じるほか、アレック・ボールドウィンクリスチャン・スレイタージェフリー・ライトジェナ・マローン、テイラー・シリングらが顔をそろえる。

ブリット=マリーの幸せなひとりだち」(7月17日公開)

「幸せなひとりぼっち」の原作者フレドリック・バックマンによる小説「ブリット=マリーはここにいた」を映画化したスウェーデン発のヒューマンドラマ。

結婚して40年になる専業主婦ブリット=マリーは、仕事で忙しい夫のために毎日食事を作り、家の中を奇麗に整えておくことが自分の役割だと信じ続けてきた。そんなある日、ひょんなことから夫の長年の愛人の存在を知った彼女は、これまでの生活を変えるべくスーツケースひとつで家を出る。しかし働いた経験などほとんどない63歳の彼女にまともな職は見つからず、ようやくありついたのは、小さな田舎町ボリのユースセンターの管理人兼、地域の子どもたちのサッカーチームのコーチという仕事だった。

主演は「愛の風景」のペルニラ・アウグスト。「ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男」などの女優ツバ・ノボトニーが監督を務めた。

リトル・ジョー」(7月17日公開)

幸せになる香りを放つという新種の植物がもたらす不安を描き、主演のエミリー・ビーチャムが第72回カンヌ国際映画祭で主演女優賞を受賞した異色のスリラー。

幸せになる香りを放つ新種の植物「リトル・ジョー」を開発した研究者でシングルマザーのアリスは、ワーカホリックで息子のジョーときちんと向き合えていないことに罪悪感を抱きながら、日々の研究にいそしんでいた。息子のジョーへの贈り物として、彼女にとってもう1人の息子であるリトル・ジョーを自宅に持ち帰る。しかし、リトル・ジョーの香りを嗅いだジョーが奇妙な行動をとり、花粉を吸い込んだアリスの助手クリスもいつもとは違う様子を見せ始める。

監督はミヒャエル・ハネケの助手を務め、「ルルドの泉で」で注目された気鋭の女性監督ジェシカ・ハウスナー。

グレース・オブ・ゴッド 告発の時」(7月17日公開)

8人の女たち」「2重螺旋の恋人」のフランソワ・オゾン監督がフランスで実際に起こった神父による児童への性的虐待事件を描き、第69回ベルリン国際映画祭審査員グランプリ銀熊賞)を受賞した作品。

妻と子どもたちとともにリヨンに暮らすアレクサンドルは、幼少期にプレナ神父から性的虐待を受けた過去を抱えていた。アレクサンドルは、プレナ神父が現在も子どもたちに聖書を教えていることを知り、家族を守るために過去の出来事の告発を決意する。彼と同様に神父の被害に遭い、傷を抱えてきた男たちの輪が徐々に広がっていく中、教会側はプレナの罪を認めながらも、責任を巧みにかわそうとする。信仰と告発の狭間で葛藤するアレクサンドルたち。彼らは沈黙を破った代償として社会や家族との軋轢とも戦うこととなる。

「進撃の巨人」クロニクル」(7月17日公開)

諫山創の大ヒットコミック「進撃の巨人」のテレビアニメシリーズ第1~3期の再編集版。テレビシリーズの完結編となる「The Final Season」の放送を前に、2013年のSeason1、17年のSeason2、そして18年から19年にかけて放送されたSeason3の全3シーズン、59話で描かれた物語を振り返る構成で、巨人の侵攻によって人類を守る壁が壊された日から、すべての巨人を駆逐すると誓った少年エレン・イェーガーの戦いと成長の軌跡を追う。

主人公エレン役の梶裕貴、ミカサ・アッカーマン役の石川由依、アルミン・アルレルト役の井上麻里奈がナレーションも務める。

 

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>「劇場」と「TENET テネット」、ジブリ映画から見る映画館とストリーミングサービスとの距離

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今週は「劇場」と「TENET テネット」の上映展開にまつわるニュース、ジブリの再上映を見ながら、劇場とストリーミングサービスとの距離感を考えていきたいと思います。

 

 

1.先々週末のランキング

まずは、先々週末のランキングを見てみましょう。

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1位は初登場ドクター・ドリトル」。土日2日間で動員8万1500人、興収1億1300万円をあげ、初日から3日間の累計では動員10万7000人、興収1億4800万円となっている。

2位は「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」。累計では動員10万5000人、興収1億3800万円を突破した。

3位は初登場水曜日が消えた」。初日から3日間の累計興収は4041万6400円となっている。

4位は「心霊喫茶「エクストラ」の秘密-The Real Exorcist-累計興収は5億1400万円を突破。

5位は初登場エジソンズ・ゲーム」。初日から3日間の累計興収は2336万9860円となっている。

6位は「パラサイト 半地下の家族」。

7位は「天気の子」。

8位は「一度死んでみた」。累計興収は4億4770万円を突破。

9位は「デッド・ドント・ダイ」。累計興収は7700万円を突破。

10位は「AKIRA 4Kリマスター版」。累計興収は1億630万円を突破した。

2.先週末のランキング

つづいて、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は初登場千と千尋の神隠し」。初日から3日間の累計興収は1億1850万円となっている。

2位は初登場もののけ姫」。初日から3日間の累計興収は1億1020万円となっている。

3位は初登場風の谷のナウシカ」。初日から3日間の累計興収は1億960万円となっている。

4位は初登場ランボー ラスト・ブラッド初日から3日間の累計興収は1億4500万円となっている。

5位は「ドクター・ドリトル」。累計興収は3億2500万円を突破。

6位は初登場ソニック・ザ・ムービー」。初日から3日間の累計では動員4万7400人、興収6290万円となっている。

7位は「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」。累計興収は2億690万円を突破。

8位は「水曜日が消えた」。累計興収は9760万円を突破。

9位は初登場ゲド戦記」。

10位は「心霊喫茶「エクストラ」の秘密-The Real Exorcist-」。

 

3.「劇場」と「TENET テネット」から見る映画館とストリーミングサービスとの距離

ここ2週間で起きた映画トピックを振り返ると大きなトピックが2つあった。

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1つは又吉直樹原作、行定勲監督、山崎賢人松岡茉優主演の「劇場」が7/17に公開が決まった。しかし、この公開決定は他の公開延期からの公開決定とは一味違う。なんと、配給だった松竹とアニプレックスが降り、代わりに吉本興業が担当して、公開規模を縮小してミニシアターを中心に展開。さらには映画館との公開と同日にAmazon Prime Videoにて全世界同時配信を行うと発表したのだ。

これまで「Fukushima 50」がレンタル配信をするなどの形は取られていたが、全世界をターゲットとした見放題映像サービスに日本の新作の実写映画が劇場公開と同時に参入することは初めてと言えるくらいの衝撃なのだ。コロナ禍での決断とはいえ、これからの日本映画の新たなる公開形式になっていくかもしれない。

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もう一つは日本ではなく、アメリカから。全世界が待ち望んでいるクリストファー・ノーラン監督の新作「TENET テネット」の公開延期だ。もともとは7月17日に全米公開だったが、31日に延期し、さらには8月12日に再延期した。また、「ムーラン」に関しても7月24日に延期したものの、8月21日に再延期した。どちらもアメリカの映画館再開が難航したことで1ヶ月近くの延期となった。

しかし、「TENET」に関してはノーラン監督の映画館での体験を守りたいという思いをワーナー側が受け取り、業界の復活に一石投下するべく、先陣を切るといった話があるなど、映画館での公開にこだわっている。

以上の2つのトピックはコロナによって映画館とストリーミングサービスの距離感が近づきつつある中で起きたことに思える。映画館での体験はこれからも廃れることはないと思うが、ストリーミングのあるべき形とは何だろうか。劇場公開とのタイムラグはこれからどうなるのか。劇場公開されずにストリーミング送りされるものがどれだけ生まれるのか。まだまだ読めないところにいる。

 

4.スタジオジブリ映画の再上映はコロナ再開後の映画館を救うのか?

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そして、先週末(6月26日)からは「一生に一度は、映画館でジブリを。」と題して、「千と千尋の神隠し」、「もののけ姫」、「風の谷のナウシカ」、「ゲド戦記」が全国372館で再上映が開始された。

これまでも再上映がされたことはあるが、ここまで全国規模で再上映されるのはジブリとしては初めてのことになるだろう。

そして、さすがは日本一の興行成績を収めているだけある。新作もある中でトップ3を独占。旧作は本来ランクインしない形を取っているが、今回は異例の形となった。そして、3日間で1億円以上を稼ぎだす作品もあった。旧作であるにも関わらずだ。

3.11以降初めて100億円の大台を突破したのは2013年の宮崎駿監督の「風立ちぬ」だった。2016年の「レッドタートル」以降、新作の公開がないにも関わらず、ジブリのブランドが廃れることはなく、集客効果があることを改めて証明したことになる。コロナ再開後の映画館としてはジブリの再上映はありがたいと感じる面もあるだろう。ぜひとも、今後も第2弾と続いても良いのではないのだろうか。コロナ後の映画館を救うのはジブリかもしれない。

 

5.今週の注目作

MOTHER マザー」(7月3日公開) (PG12)

日日是好日」「光」の大森立嗣監督が長澤まさみ阿部サダヲという実力派キャストを迎え、実際に起きた「少年による祖父母殺害事件」に着想を得て描いたヒューマンドラマ。プロデューサーは、「新聞記者」「宮本から君へ」など現代社会のさまざまなテーマを問いかける作品を立て続けに送り出している河村光庸。

男たちと行きずりの関係をもち、その場しのぎで生きてきたシングルマザーの秋子は、息子の周平に異様に執着し、自分に忠実であることを強いてきた。そんな母からの歪んだ愛に翻弄されながらも、母以外に頼るものがない周平は、秋子の要求になんとか応えようともがく。身内からも絶縁され、社会から孤立した母子の間には絆が生まれ、その絆が、17歳に成長した周平をひとつの殺人事件へと向かわせる。

長澤まさみがシングルマザーの秋子、阿部サダヲが内縁の夫を演じる。息子・周平役はオーディションで抜てきされた新人の奥平大兼。

レイニーデイ・イン・ニューヨーク」(7月3日公開) (PG12)

 

巨匠ウディ・アレン監督が、ティモシー・シャラメエル・ファニング、セレーナ・ゴメスら人気若手俳優たちをキャストに迎えメガホンをとったロマンティックコメディ。

大学生のカップル、ギャツビーとアシュレーは、ニューヨークでロマンチックな週末を過ごそうとしていた。そのきっかけとなったのは、アシュレーが学校の課題で有名な映画監督ローランド・ポラードにマンハッタンでインタビューをするチャンスに恵まれたことだった。生粋のニューヨーカーのギャッツビーは、アリゾナ生まれのアシュレーにニューヨークの街を案内するためのさまざまなプランを詰め込む。しかし、その計画は狂い出し、思いもよらないさまざまな出来事が巻き起こってしまう。

カセットテープ・ダイアリーズ」(7月3日公開)

 

1980年代のイギリスを舞台に、パキスタン移民の少年がブルース・スプリングスティーンの音楽に影響を受けながら成長していく姿を描いた青春音楽ドラマ。

87年、イギリスの田舎町ルートン。音楽好きなパキスタン系の高校生ジャベドは、閉鎖的な町の中で受ける人種差別や、保守的な親から価値観を押し付けられることに鬱屈とした思いを抱えていた。しかしある日、ブルース・スプリングスティーンの音楽を知ったことをきっかけに、彼の人生は変わり始める。

出演は「キャプテン・アメリカ」シリーズのヘイリー・アトウェル、「1917 命をかけた伝令」のディーン=チャールズ・チャップマン。監督は「ベッカムに恋して」のグリンダ・チャーダ

イップ・マン 完結」(7月3日公開)

「ムーラン」「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」など、ハリウッドでも活躍するドニー・イェンが、ブルース・リーの師匠として知られる詠春拳の達人イップ・マン(葉問)を演じる伝記アクションシリーズ第4作。

1964年、サンフランシスコに渡ったイップ・マンは、弟子であるブルース・リーとの再会や太極拳の達人ワンとの対立などを経て、アメリカという異国の地で生きる同胞たちが直面している厳しい現実を身をもって知る。そんな中、中国武術を敵視する海兵隊軍曹バートンとの戦いでワンが敗北を喫してしまう。香港に残して来た息子にある思いを伝えたイップ・マンは、宣告された病を隠して、人びとの誇りのために最後の戦いへと挑む。

シリーズ最終作となる本作は、香港電影金像奨で監督賞をはじめとする9部門にノミネートされた。監督は「イップ・マン 序章」「イップ・マン 葉問」「イップ・マン 継承」と、シリーズ全作品を手がけたウィルソン・イップ。

アングスト 不安」(7月3日公開) (R15+)

 

1980年にオーストリアで実際に起こった殺人鬼ベルナー・クニーセクによる一家惨殺事件を映画化した実録スリラー。83年にオーストリアで製作され、日本では88年に「鮮血と絶叫のメロディ 引き裂かれた夜」のタイトルでレンタル用VHSとして発売された作品を2020年に劇場初公開。

刑務所出所後の殺人鬼が感じる不安、プレッシャーによる異様な行動や心理状態、それらを冷酷非情で凶暴なビジュアル、斬新なカメラワークで表現。陰惨な世界観を「U・ボート」「アンダーワールド」のアーウィンレダー演じる殺人鬼のモノローグでつづっていく。音楽を元「タンジェリン・ドリーム」のクラウス・シュルツ、撮影をアカデミー短編アニメ賞を獲得した「タンゴ」やジョン・レノンミック・ジャガーなどのMVを手がけたズビグニェフ・リプチンスキが担当。監督は本作が唯一の監督作品となるジェラルド・カーグル。

一度も撃ってません」(7月3日公開)

 

「半世界」「エルネスト」の阪本順治監督、「野獣死すべし」「探偵物語」の丸山昇一脚本によるハードボイルドコメディ。18年ぶりの映画主演となる石橋蓮司が、冴えない小説家と伝説の殺し屋という2つの顔をもつ主人公を演じる。

ハードボイルドを気取る小説家の市川進。まったく原稿が採用されない時代遅れの作家である市川には伝説の殺し屋・サイレントキラーというもう1つの顔があった。しかし、彼は一度も人を撃ったことがなく、旧友である石田から依頼を受け、標的の行動をリサーチするだけだった。しかし、石田が中国系のヒットマンから命を狙われたことから、市川にも身の危険が迫る。

石橋蓮司のほか、大楠道代岸部一徳桃井かおりと日本映画界を支えるベテラン俳優陣が顔をそろえる。

チア・アップ!」(7月3日公開)

平均年齢72歳のチアリーディングチームの奮闘を描いたダイアン・キートン主演のハートフルドラマ。

のんびりと余生を過ごすためにシニアタウンに越してきたマーサ。「昔、チアリーダーになりたかったの」と、口にしたことから、お節介焼きの隣人シェリルにたき付けられ、チアリーディングクラブを結成することに。オーディションを開催するが、参加したのはチア未経験者どころか、腕が上がらない、膝が痛い、坐骨神経痛持ちの8人。周囲からは絶対に無理とバカにされ、笑われながらも、互いに励ましあいながら練習に打ち込んでいった。特訓を重ねた結果、チア未経験の素人たちが全米チアリーディング大会へのエントリーと進んでいくが……。

主人公マーサ役をダイアン・キートンが演じるほか、「世界にひとつのプレイブック」のジャッキー・ウィーバー、「ジャッキー・ブラウン」のパム・グリアらベテラン女優たちが顔をそろえる。

のぼる小寺さん」(7月3日公開)

 

ボルダリングに夢中な女子高生を描いた珈琲原作の人気青春漫画を「ロボコン」「ホームレス中学生」の古厩智之監督が実写映画化。「けいおん!」「聲の形」「若おかみは小学生!」などのアニメ作品で知られる吉田玲子が脚本を手がけ、「ルパンレンジャーVSパトレンジャーVSキュウレンジャー」で活躍した元「モーニング娘。」の工藤遥が映画初主演を務めた。

ライミング部に所属する女子高生の小寺は壁を見るとウズウズしてしまうほどボルダリングのことばかり考えていた。卓球部に所属する近藤は、隣で練習する小寺からなぜか目が離せずにいた。小寺としゃべれることがうれしい近藤は、次第に彼女に惹かれていった。しかし、そんな小寺を見つめているのは近藤だけではなく……。

小寺役を工藤遥、近藤役を伊藤健太郎が演じるほか、鈴木仁、吉川愛小野花梨らが脇を固める。

‪Homemade/ホームメード‬」(6月30日NETFLIXにて配信)

新型コロナウイルスの感染拡大により多くの人が外出自粛を余儀なくされる中、各国の映画監督が自宅にある機材のみで撮影した短編集。

世界的なパンデミックにありながら持続する映像制作の巧みな技やクリエイティブの力を称揚する目的で、イタリアの映画製作者ロレンツォ・ミエリや「NO」で知られる映画監督のパブロ・ララインらが世界中のクリエイターに参加を呼びかけ。「レ・ミゼラブル」のラジ・リ、「グレート・ビューティー/追憶のローマ」のパオロ・ソレンティーノ、「パーフェクト・センス」のデヴィッド・マッケンジー、「存在のない子供たち」のナディーン・ラバキー、「ナチュラルウーマン」のセバスティアン・レリオ、「カセットテープ・ダイアリーズ」のグリンダ・チャーダ、女優のクリステン・スチュワートマギー・ギレンホール、日本からは河瀬直美ら18人17組が名を連ねた。

‪ハミルトン‬」(7月3日Disney+にて配信)

2015年にオフ・ブロードウェイで初演されるや絶大なる支持を受けてブロードウェイに進出し、「もっともチケットが取れない舞台」といわれる人気を誇り、2016年にはトニー賞の16部門にノミネートされ、最優秀ミュージカル賞を含む11部門を受賞したほか、ピュリッツァー賞の戯曲部門にも輝いたアメリカ合衆国建国の父ともいわれるアレクサンダー・ハミルトンの生涯を、ヒップホップやR&B、ソウルなど多彩な音楽によって綴るミュージカルが映画版として登場する。

映画版は、2016年6月、ブロードウェイのリチャード・ロジャース・シアターにて上演されたオリジナル・キャストによる舞台を撮影・編集した作品となる。出演者は生みの親であるリン=マニュエル・ミランダをはじめ、「ブラインドスポッティング」のダヴィード・ディグス、「オリエント急行殺人事件」のレスリー・オドム・Jr.、「ボクらを見る目」のクリストファー・ジャクソン、「アナと雪の女王」クリストフ役のジョナサン・グロフ、「ルイスと不思議の時計」のレネイ・エリース・ゴールズベリイら、その後の活躍めざましい顔ぶれだ。舞台を演出したトーマス・ケイルが監督を務め、映画のために上演3回分を撮影したほか、無観客での収録も行われている。

本来は2021年10月15日にアメリカで劇場公開の予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ブロードウェイの劇場は2020年3月から閉鎖されており、再開の目処は立っておらず、しばらく「ハミルトン」の実際の上演を観ることはできない状況となっており、公開を大幅に早めて、全世界での配信に踏み切った。なお世界同時配信を実現するため、配信開始のタイミングでは英語音声の映像のみが公開され、日本語字幕版の配信に後日となる。

 

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>徐々に火が灯される映画たち…公開延期作品が続々と公開へ

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2週ぶりの更新。この2週間で「デッド・ドント・ダイ」、「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」が公開され、3月から4月にかけて公開される予定だった映画作品が続々と公開される運びとなっている。今週はこの2週間の興行を振り返る。

 

 

1.先々週末のランキング

まずは、先々週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「心霊喫茶「エクストラ」の秘密-The Real Exorcist-」。

2位は初登場デッド・ドント・ダイ」。

3位は「パラサイト 半地下の家族」。6月5日から全国230館で「モノクロver.」の公開が始まり、累計では動員336万人、興収46億円を突破し、韓国映画の興収記録を更新し続けている。

4位は「AKIRA 4Kリマスター版4月から公開されたIMAX版に続き、6月5日より4Kリマスター版が劇場公開され、ランクインした。

5位は初登場ANNA/アナ」。

6位は「一度死んでみた」。

7位は「天気の子」。

8位は「アベンジャーズ」。

9位は「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」。

10位は「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」。8位から10位までは6月5日からリバイバル上映されているため、ランクインした。

 

2.先週末のランキング

続いて、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「心霊喫茶「エクストラ」の秘密-The Real Exorcist-」。累計興収は4億6682万4200円を突破。

2位は初登場ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」。全国300館で土日2日間で動員3万464人、興収4121万5140円をあげ、初日から3日間の累計では動員4万210人、興収5415万1340円を記録した。

3位は「パラサイト 半地下の家族」。6月12日から全国36館でIMAX版が公開され、先週と変わらず3位をキープ。

4位は「デッド・ドント・ダイ累計興収は5868万6680円を突破。

5位は「天気の子」。

6位は「一度死んでみた」。累計興収は4億3432万6150円を突破。

7位は「AKIRA 4Kリマスター版」。

8位は初登場ホーンテッド 世界一怖いお化け屋敷」。

9位は「ANNA/アナ」。累計興収は3331万3840円を突破した。

10位は初登場グッド・ボーイズ」。

 

3.徐々に新作映画の火が灯される

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前回の記事から全国の映画館の再開によって、新作映画の公開が徐々に始まっている。先々週からはジム・ジャームッシュ監督の新作「デッド・ドント・ダイ」、先週からはグレタ・ガーウィグ監督の新作で今年のアカデミー賞の作品賞などにノミネートされた「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」が公開され、それぞれ上位にランクインした。

元々、この2作品は3月から4月に向けて公開を予定していた作品だったが、公開延期を決めた。しかし、映画館の営業再開のタイミングで先陣を切って公開に乗り出した。特に「ストーリー・オブ・マイライフ」は当初は全国128館で上映予定だったが、今回の公開決定で倍以上の340館で公開されることとなった。このタイミングで公開することはお客さんがすぐに戻るということではない。しかし、こんなときだからこそ、公開することで映画という火を絶やさないで済む力を持ち合わせている。どちらも現在、興収5000万円とこのご時世を踏まえても健闘していると捉えていいだろう。

日本映画製作者連盟は映画配給大手12社の5月の興行収入総額が前年同月比98.9%減の1億9617万円であり、過去最低だった4月の興収6億8824万円をさらに下回ったことを報告した。

これ以上の下回りはないが、昨年のような勢いに戻すには、1年、2年以上という長期的なスパンを考えなければならない。夏休みの恒例となっているポケモンが冬、GWの恒例となっているコナンが来春と半年〜1年の延期を表明したほか、「コンフィデンスマンJP」が7/23公開となったり、「泣きたい私は猫をかぶる」がNETFLIXへの配信に移行するなど、公開延期作品も様々な対応をしている。

すぐには元に戻らないが、元に戻そうと努力している点は映画界も一緒。映画の灯りを絶やさないように今後も頑張るしかない。まずは夏休みに向けてどういった新作映画が公開されるのかを見つめていこう。

 

4.今週の注目作

泣きたい私は猫をかぶる」(6月18日NETFLIXにて配信)

 

ペンギン・ハイウェイ」を手がけた新進気鋭のアニメーション制作会社、スタジオコロリドの長編アニメーション映画第2作。猫に変身できる不思議なお面を手にした女子中学生の恋を描くオリジナルの青春ファンタジーストーリーで、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「さよならの朝に約束の花をかざろう」の岡田麿里が脚本を担当。「美少女戦士セーラームーン」や「ケロロ軍曹」シリーズなどを手がけてきたベテランの佐藤順一と、「ペンギン・ハイウェイ」で絵コンテなどを担当してきた柴山智隆が共同監督を務めた。

自由奔放でちょっと風変わりな笹木美代は、クラスメイトから「ムゲ(無限大謎人間)」というあだ名で呼ばれ、いつも明るく元気いっぱいな中学2年生。思いを寄せる日之出賢人には毎日のようにアタックするが、全く相手にされていない。それでもめげずにアピールを続ける彼女には、ある秘密があり……。

声の出演は「借りぐらしのアリエッティ」などで声優経験もある志田未来と、「鬼滅の刃」などに出演する人気声優の花江夏樹

ドクター・ドリトル」(6月19日公開)

100年以上にわたり世界中で愛読されているヒュー・ロフティングの児童文学作品で、過去にもエディ・マーフィ主演版などで映画化された「ドリトル先生」シリーズを、「アイアンマン」「シャーロック・ホームズ」のロバート・ダウニー・Jr.主演で新たに映画化したアクションアドベンチャー

名医ではあるが変わり者で、動物と話せるドリトル先生は、世間から遠ざかり、さまざまな動物たちとひっそり暮らしていた。しかし、若き女王が重い病に倒れたことを耳にしたドリトル先生は女王を救うことができる唯一の治療法を求めて、頑固なオウム、臆病なゴリラら個性的な仲間たちと伝説の島へと出発する。冒険を続ける中で、先生の過去、国を揺るがす陰謀など、さまざまな事実が明らかとなっていく。

ロバート・ダウニー・Jr.がドリトル先生を演じるほか、エマ・トンプソンラミ・マレックトム・ホランドら豪華俳優陣が動物たちのボイスキャストとして出演。監督は「トラフィック」でアカデミー脚色賞を受賞したスティーブン・ギャガン。

エジソンズ・ゲーム」(6月19日公開)

明王エジソンとライバルたちがアメリカ初の電力送電システムをめぐって繰り広げたビジネスバトル=電流戦争を映画化。「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」のベネディクト・カンバーバッチトーマス・エジソン、「シェイプ・オブ・ウォーター」のマイケル・シャノンがライバルのカリスマ実業家ジョージ・ウェスティングハウスを演じ、共演にも「女王陛下のお気に入り」のニコラス・ホルト、「スパイダーマン」シリーズのトム・ホランドら豪華キャストがそろった。

19世紀、アメリカは電気の誕生による新時代を迎えようとしていた。白熱電球の事業化を成功させた天才発明家エジソンは、大統領からの仕事も平然と断る傲慢な男だった。実業家ウェスティングハウスが交流式送電の実演会を成功させたというニュースに激怒したエジソンは、ネガティブキャンペーンで世論を誘導。事態は訴訟や駆け引き、裏工作が横行する世紀のビジネスバトルへと発展していく。

監督は「ぼくとアールと彼女のさよなら」のアルフォンソ・ゴメス=レホン。

水曜日が消えた」(6月19日公開)

 

中村倫也が、曜日ごとに入れ替わる7つの人格を持った男を演じた主演作。

幼い頃の交通事故により、曜日ごとに性格も個性も異なる7人が入れ替わる「僕」。彼らは各曜日の名前で呼び合っているが、中でも「火曜日」は一番地味で退屈な存在で、他の曜日から家の掃除など面倒なことを押し付けられる損な役回りだった。しかし、ある時、1日を終えてベッドに入った「火曜日」が、水曜日に目を覚ます。僕の中の「水曜日」が消え、「火曜日」は水曜日を謳歌するが、その日常は徐々に恐怖へと変わっていく。

中村倫也が7つの人格を持つ主人公を演じるほか、石橋菜津美、元「乃木坂46」の深川麻衣、きたろう、中島歩、「ゲスの極み乙女。」の休日課長などが顔をそろえる。MVやCM、短編作などで注目される吉野耕平の初の長編監督作。

ペイン・アンド・グローリー」(6月19日公開) (R15+)

スペインの名匠ペドロ・アルモドバルが長年にわたってタッグを組んできたアントニオ・バンデラスを主演に迎え、自伝的要素を織り交ぜつつ描いた人間ドラマ。

世界的な映画監督サルバドールは、脊椎の痛みから生きがいを見いだせなくなり、心身ともに疲れ果てていた。引退同然の生活を送る彼は、幼少時代と母親、その頃に移り住んだバレンシアの村での出来事、マドリッドでの恋と破局など、自身の過去を回想するように。そんな彼のもとに、32年前に手がけた作品の上映依頼が届く。思わぬ再会が、心を閉ざしていたサルバドールを過去へと翻らせていく。

アントニオ・バンデラスが主人公の映画監督を繊細に演じ、2019年・第72回カンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞。第92回アカデミー賞でも主演男優賞、国際長編映画賞にノミネートされた。アルモドバル作品のミューズ、ペネロペ・クルスが家族を明るく支える母親を演じる。

WASPネットワーク」(6月19日NETFLIXにて配信)

 

パーソナル・ショッパー」、「冬時間のパリ」のオリヴィエ・アサイヤス監督が作家フェルナンド・モライスが実話を題材に執筆した小説を基にしたポリティカル・スリラー。

1990年代のフィデル・カストロ政権下、妻と娘を置いてキューバからアメリカに亡命したパイロットの主人公レネ・ゴンザレスは、反カストロを掲げるテロ集団に立ち向かう組織「WASPネットワーク」に加入することに。そして、キューバで多発するテロ行為を阻止するべく苦闘するが……。

ペネロペ・クルス、アナ・デ・アルマスをはじめ、「ブライト」のエドガー・ラミレス、「ノー・エスケープ 自由への国境」のガエル・ガルシア・ベルナル、「人生スイッチ」のレオナルド・スバラグリア、「ナルコス:メキシコ編」のヴァグネル・モウラなどが名を連ねている。

はちどり」(6月20日公開) (PG12)

1990年代の韓国を舞台に、思春期の少女の揺れ動く思いや家族との関わりを繊細に描いた人間ドラマ。本作が初長編となるキム・ボラ監督が、自身の少女時代の体験をもとに描き、世界各地の映画祭で数々の賞を受賞した。

94年、空前の経済成長を迎えた韓国。14歳の少女ウニは、両親や姉兄とソウルの集合団地で暮らしている。学校になじめない彼女は、別の学校に通う親友と悪さをしたり、男子生徒や後輩の女子とデートをしたりして過ごしていた。小さな餅屋を切り盛りする両親は、子どもたちの心の動きと向き合う余裕がなく、兄はそんな両親の目を盗んでウニに暴力を振るう。ウニは自分に無関心な大人たちに囲まれ、孤独な思いを抱えていた。ある日、ウニが通う漢文塾に、不思議な雰囲気の女性教師ヨンジがやって来る。自分の話に耳を傾けてくれる彼女に、ウニは心を開いていくが……。

一生に一度は、映画館でジブリを。」(6月26日公開)

スタジオジブリ作品「風の谷のナウシカ」(1984)、「もののけ姫」(1997)、「千と千尋の神隠し」(2001)、「ゲド戦記」(2006)が全国372館の劇場で「一生に一度は、映画館でジブリを」という思いが込め、再上映される。

ソニック・ザ・ムービー」(6月26日公開)

世界的人気を誇るセガの人気ゲーム「ソニック」シリーズをハリウッドで実写映画化。

宇宙最速で走るパワーを持つ青いハリネズミソニックが、故郷を離れて遠い地球へとやって来る。ひょんなことから出会った保安官トムとバディを組んだソニックは、マッドサイエンティストのドクター・ロボトニックが企てる陰謀を阻止するべく大冒険を繰り広げる。

主人公ソニックの声を「スター・ウォーズ フォースの覚醒」でBB-8の声を担当したベン・シュワルツが務め、宿敵ドクター・ロボトニックを「マスク」のジム・キャリー、相棒トムを「X-MEN」シリーズのジェームズ・マースデンがそれぞれ演じる。アカデミー賞短編アニメーション部門ノミネートの実績を持つジェフ・ファウラーがメガホンをとった。

ランボー ラスト・ブラッド」(6月26日公開) (R15+)

シルベスター・スタローンの「ロッキー」に並ぶ代表作で、1982年に1作目が製作された人気アクション「ランボー」のシリーズ第5弾。グリーンベレーの戦闘エリートとして活躍していたジョン・ランボーは、いまだベトナム戦争の悪夢にさいなまれていた。ランボーは祖国アメリカへと戻り、故郷のアリゾナの牧場で古い友人のマリア、その孫娘ガブリエラとともに平穏な日々を送っていた。しかし、ガブリエラがメキシコの人身売買カルテルに拉致されたことで、ランボーの穏やかだった日常が急転する。娘のように愛していたガブリエラ救出のため、ランボーグリーンベレーで会得したさまざまなスキルを総動員し、戦闘準備をスタートさせる。監督はメル・ギブソン主演作「キック・オーバー」を手がけたエイドリアン・グランバーグ。

SKIN スキン」(6月26日公開) (R15+)

 

2003年にアメリカで発足したスキンヘッド集団「ヴィンランダーズ」の共同創設者ブライオン・ワイドナーの実話をもとに製作され、第91回アカデミー賞を受賞した短編映画を長編化した社会派ドラマ。

白人至上主義者に育てられ、スキンヘッドに差別主義者の象徴ともいえる無数のタトゥーを入れたブライオン。シングルマザーのジュリーと出会ったブライオンは、これまでの憎悪と暴力に満ちた自身の悪行の数々を悔い、新たな人生を始めようと決意する。しかし、かつての同志たちは脱会を許さず、ブライオンに執拗な脅迫や暴力を浴びせてくる。そして彼らの暴力の矛先はジュリーたちにも向き始める。

ブライオン役を「リトル・ダンサー」「ロケットマン」のジェイミー・ベル、ジュリー役を短編版「SKIN」にも出演したダニエル・マクドナルドがそれぞれ演じる。イスラエル出身のユダヤ人監督ガイ・ナティーブが、短編に続きメガホンをとった。劇場公開時には一部劇場で基になった短編版も上映。

ワイルド・ローズ」(6月26日公開) (PG12)

 

「ジュディ 虹の彼方に」「ドクター・ドリトル」のジェシー・バックリーがカントリー歌手を目指す主人公を演じる音楽ドラマ。

カントリー歌手になることを夢見ているローズ=リン・ハーラン。しかし、2人の子どもを抱えるシングルマザーで、刑務所から出所したばかりの彼女にとっては、夢の舞台は憧れの場所でしかなかった。家政婦としてローズが働き出した資産家のスザンナは、彼女の歌を聞き、その才能に感動し、彼女をサポートしていく。卓越した歌唱力とカリスマ性で夢へと一歩ずつ近付いていくローズ。しかし、彼女は家族とスターへの階段との間で選択を迫られる。

バックリーが見事な歌声で主人公ローズを演じて英国アカデミー賞の主演女優賞にノミネートされるなど、高い評価を獲得。「リトル・ダンサー」のジュリー・ウォルターズ、「ホテル・ルワンダ」のソフィー・オコネドーらが脇を固める。監督は「イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり」のトム・ハーパー。

悪の偶像」(6月26日公開)

 

「シュリ」「ベルリンファイル」のハン・ソッキュ、「オアシス」「殺人者の記憶法」のソル・ギョングという韓国映画界を代表する2人の実力派俳優が共演し、ひき逃げ事件の加害者の父と被害者の父の運命が交錯するさまを描いたサスペンスノワール

息子のヨハンが飲酒運転で人をひき殺してしまったことを知った市議会議員のミョンヒは、事件をもみ消そうとする。しかし、現場に居合わせた被害者の新妻リョナの行方がわからなくなっていることが判明。事実が明るみに出ることを恐れるミョンヒは、リョナの行方を追う。一方、被害者の父親であるジュンシクは、リョナが妊娠していることを知り、なんとかして彼女を捜し出そうとする。それぞれのルートでリョナを追うミョンヒとジュンシクだったが……。

監督・脚本は「ハン・ゴンジュ 17歳の涙」のイ・スジン

ハニーランド 永遠の谷」(6月26日公開)

北マケドニアに暮らす自然養蜂家の女性を追ったドキュメンタリー。第92回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞とあわせて国際映画賞(旧・外国語映画賞)にもノミネートされ、長編ドキュメンタリー賞と国際映画賞(外国語映画賞)に同時にノミネートされた初の作品となった。

北マケドニアの首都スコピエから20キロほど離れた、電気も水道もない谷で、目が不自由で寝たきりの老母と暮らす自然養蜂家の女性は、持続可能な生活と自然を守るため「半分は自分に、半分は蜂に」を信条に、養蜂を続けていた。そんな彼女が暮らす谷に突然やってきた見知らぬ家族や子どもたちとの交流、病気や自然破壊など、3年の歳月をかけた撮影を通して、人間と自然の存在の美しさや希望を描き出していく。

キラーソファ」(6月26日公開)

殺人鬼と化したソファが巻き起こす恐怖を描いたニュージーランド発のB級ホラー。

フランチェスカは行方不明になった知人の1人掛けソファを譲り受けることに。しかしそのソファは呪われており、男たちを魅了するフランチェスカに恋をしてしまう。ソファは彼女の身も心も独占するべく、家を訪れる人間たちを次々と襲撃。ボタンで出来たつぶらな瞳や快適な座り心地からは想像できない残忍な手口と意外な機動性で惨劇を引き起こしていく。

ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜」(6月26日NETFLIXにて配信)

歌手セリーヌ・ディオンを輩出したとされる世界最大級の音楽コンテスト「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」を題材に「俺たちニュースキャスター」シリーズのウィル・フェレル、「ドクター・ストレンジ」のレイチェル・マクアダムスが共演したコメディ。

凸凹ミュージシャンコンビ「ファイア・サーガ」のラーズ・エリックスソンとシグリット・エリックスドッティルは、ユーロビジョン歌合戦での優勝を子どもの頃から夢見てきた。そんな2人は、アイスランド代表としてユーロビジョンに出場する一世一代のチャンスを掴み、無謀とも思える野望に挑むが…。

ラーズをウィル・フェレル、シグリットをレイチェル・マクアダムス、ラーズの父親エリックを『007』シリーズ5代目ジェームズ・ボンドとして知られるピアース・ブロスナンが演じる。監督はウィル・フェレルレイチェル・マクアダムスも出演した「ウェディング・クラッシャーズ」のデヴィッド・ドブキン。

 

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>いよいよ全国の映画館再開…公開延期作品の公開日も続々と決定へ

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2週ぶりの更新です。今週は全国の映画館の営業再開と公開延期作の公開日が続々と決定していることを中心に見ていきたいと思います。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「心霊喫茶「エクストラ」の秘密-The Real Exorcist-」。

2位は「天気の子」。

3位は「一度死んでみた」。

4位は「パラサイト 半地下の家族

5位は初登場ブラッドショット」。配給がイオンエンターテインメントのため、全国のイオンシネマ86館で独占公開された。今月1日には再開された北海道と東京の6館でも上映がされる。

6位は「Fukushima 50」。

7位は「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」。

8位は「君の名は。」。

9位は「弥生、三月 -君を愛した30年-」。

10位は「犬鳴村」。一部劇場で「恐怖回避ばーじょん 劇場版」の上映が始まっており、圏外から再ランクインした。「恐怖回避ばーじょん 劇場版」は今月1日から全国18館で更に公開となり、その後も順次公開される予定だ。

 

2.映画館の再開、公開延期作品の公開日が続々と決定へ

いよいよ全国の映画館が再び灯りが灯される日が近づきつつある。まず、先月22日に愛知、京都、奈良、大阪、兵庫、福岡などの大都市圏で営業が再開され、さらに、先月29日から今月1日にかけて、東京や神奈川、千葉、埼玉、北海道の劇場も順次営業が再開された。

また、首都圏のTOHOシネマズも今週末には営業再開予定でいよいよ全国の映画館が戻ってくることになる。

3月下旬の外出自粛要請から始まった映画館の休業もここに来て落ち着いた形となる。しかし、まだ油断を許されない状況である。第2波を警戒しつつ、細心の注意を払って営業していく必要があるが、やはり映画館の灯りが灯されたまま営業して欲しいというのが映画ファンとしての願いだ。

ようやく全国の映画館の営業が再開されたことで公開を延期していた作品たちの公開日が続々と決定している。

まず、今週末6/5には「ハリエット」、「デッド・ドント・ダイ」、「ポップスター」、「ANNA/アナ」が公開。

6/12には「グッド・ボーイズ」、「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」が公開。

6/19には「ドクター・ドリトル」、「エジソンズ・ゲーム」、6/20には「はちどり」が公開。

6/26には「ソニック ザ・ムービー」の公開が決定した。

春休み映画は夏休みまでお預けかと思いきや、6月に主力作はほとんど公開されるということで楽しみではある。

また、夏休み映画も延期と公開日決定が続々と発表されている。

まず、延期となってしまったのが6/26公開予定だった「子供はわかってあげない」と7/3、8/7に公開予定だった「るろうに剣心 最終章」2部作だ。

るろ剣に関しては監督のコメントからも分かるとおり、コロナ禍の現状で編集作業がストップしてしまったという理由も含まれている。夏休み映画の筆頭になり得た作品もこの状況ではしょうがないとしか言えない…

また、夏休み映画として8/7に「ぐらんぶる」、8/21に「2分の1の魔法」が公開されることが決まった。

公開延期作も徐々に目処がついて来た状態にある作品もある。ぽっかりと空いた穴にどういった新作を加えていくのか。これからも動向を見守っていきたい。

 

映画館の再開と延期作の公開決定…まだまだ映画館が元どおりになったわけではないが、映画館が戻ってきた…そんなあたりまえにまずは喜びたい。

 

3.今週の注目作

 

今週から注目作をピックアップするこのコーナーも再開。新作紹介のお役に立てればと思います。

 

許された子どもたち」(6月1日公開) (PG12)

「先生を流産させる会」「ライチ☆光クラブ」の内藤瑛亮監督が、実際に起きた複数の少年事件をモチーフに、構想に8年の歳月をかけて自主制作映画として完成させたドラマ。

とある地方都市。不良グループのリーダーである中学1年生の市川絆星は、同級生の倉持樹に対するいじめをエスカレートさせ、ついには彼を殺してしまう。警察に犯行を自供する絆星だったが、息子の無罪を信じる母親・真理の説得により否認に転じる。少年審判は無罪に相当する「不処分」の決定を下し絆星は自由を得るが、世間では激しいバッシングが巻き起こる。そんな中、樹の家族は絆星ら不良グループの罪を問う民事訴訟を起こすことを決意する。

デッド・ドント・ダイ」(6月5日公開) (R15+)

鬼才ジム・ジャームッシュビル・マーレイアダム・ドライバーを主演にメガホンをとったゾンビコメディ。

アメリカの田舎町センターヴィルにある警察署に勤務するロバートソン署長とピーターソン巡査、モリソン巡査は、他愛のない住人のトラブルの対応に日々追われていた。しかし、ダイナーで起こった変死事件から事態は一変。墓場から死者が次々とよみがえり、ゾンビが町にあふれかえってしまう。3人は日本刀を片手に救世主のごとく現れた葬儀屋のゼルダとともにゾンビたちと対峙していくが……。

ジャームッシュ作品常連のビル・マーレイ、「パターソン」に続きジャームッシュ組参加となるアダム・ドライバーのほか、ティルダ・スウィントン、クロエ・セビニー、スティーブ・ブシェーミトム・ウェイツ、セレーナ・ゴメス、ダニー・クローバー、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズイギー・ポップらが顔をそろえる。第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。

ハリエット」(6月5日公開)

 

アフリカ系アメリカ人女性として初めて新20ドル紙幣に採用された奴隷解放運動家ハリエット・タブマンの激動の人生を映画化。「プレイヤー 死の祈り」の女性監督ケイシー・レモンズがメガホンをとり、「ホテル・エルロワイヤル」など映画でも活躍するミュージカル女優シンシア・エリボが主演を務め、主題歌も担当。第92回アカデミー賞では主演女優賞と主題歌賞にノミネートされた。

1849年、メリーランド州。ブローダス家が所有する農園の奴隷として幼い頃から過酷な生活を強いられてきたミンティは、いつか自由の身となって家族と一緒に人間らしい生活を送ることを願っていた。ある日、奴隷主エドワードが急死し、借金の返済に迫られたブローダス家はミンティを売ることに。家族との永遠の別れを察知したミンティは脱走を決意し、奴隷制が廃止されたペンシルベニア州を目指して旅立つが……。

共演は「女王陛下のお気に入り」のジョー・アルウィン、「ドリーム」のジャネール・モネイ

ポップスター」(6月5日公開)

ブラック・スワン」のナタリー・ポートマンが主演と製作総指揮を務め、カリスマポップスターの壮絶な生きざまを描いたドラマ。

クラスメイトによる銃乱射事件に巻き込まれ、生死の境をさまよいながらも一命を取り留めた14歳の少女セレステ。皮肉にも姉エレノアと作った追悼曲が大ヒットし、敏腕マネージャーに見初められてスターダムへと駆け上がる。18年後、度重なるスキャンダルでトップスターの座から転落した彼女のカムバックツアー初日を前に、ある事件が起こる。それは、かつて彼女が被害に遭った事件を模倣するものだった。トラウマがよみがえる中、再起をかけてステージへと向かうセレステだったが……。

敏腕マネージャー役をジュード・ロウ、幼少期のセレステと彼女の娘の2役を「トゥモローランド」のラフィー・キャシディが演じる。監督・脚本は「シークレット・オブ・モンスター」のブラディ・コーベット。世界的トップ歌手のシーアが主題歌・劇中歌を担当。第75回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門出品。

ANNA/アナ」(6月5日公開) (PG12)

ニキータ」「レオン」「LUCY ルーシー」など、戦うヒロインを主人公にした作品を数多く手がけてきたリュック・ベッソン監督がロシア出身のスーパーモデル、サッシャ・ルスを主演に迎えてメガホンを取ったアクション。

1990年、ソ連諜報機関KGBによって造り上げられた最強の殺し屋アナ。ファッションモデルやコールガールなどさまざまな顔を持つ彼女の最大の使命は、国家にとって危険な人物を消し去ることだった。アナは明晰な頭脳と身体能力を駆使し、国家間の争いをも左右する一流の暗殺者へと成長していく。そんな中、アメリカCIAの巧妙なワナにはめられ危機に陥ったアナは、さらに覚醒。KGBとCIAがともに脅威する究極の存在へと変貌していく。

アナ役のサッシャ・ルスのほか、オスカー女優のヘレン・ミレン、「ワイルド・スピード」シリーズのルーク・エバンス、「ダークナイト」のキリアン・マーフィらが脇を固める。

ルース・エドガー」(6月5日公開) (PG12)

17歳の高校生ルース・エドガーの知られざる内面に迫り、人間の謎めいた本質とアメリカの現実に鋭く切り込んだサスペンスフルなヒューマンドラマ。

バージニア州アーリントンで白人の養父母と暮らす黒人の少年ルース。アフリカの戦火の国で生まれた過酷なハンデを克服した彼は、文武両道に秀で、様々なルーツを持つ生徒たちの誰からも慕われている。模範的な若者として称賛されるルースだったが、ある課題のレポートをきっかけに、同じアフリカ系の女性教師ウィルソンと対立するように。ルースが危険な思想に染まっているのではというウィルソンの疑惑は、ルースの養父母にも疑念を生じさせていく。

イット・カムズ・アット・ナイト」のケルビン・ハリソン・Jr.が主演を務め、教師ウィルソンを「ドリーム」のオクタヴィア・スペンサー、養父母をティム・ロスナオミ・ワッツがそれぞれ演じる。監督は「クローバーフィールドパラドックス」のジュリアス・オナー。

パラサイト 半地下の家族 モノクロVer.」(6月5日公開) (PG12)

第72回カンヌ国際映画祭韓国映画初となるパルムドールを受賞したほか、第92回アカデミー賞でもアジア映画で初めて作品賞を受賞するという歴史的快挙を成し遂げた「パラサイト 半地下の家族」のモノクロ版。

第72回カンヌ国際映画祭で通常のカラー版がお披露目されるより前に作られたバージョンで、映画がまだモノクロだった時代のクラシック映画にあこがれるポン・ジュノ監督の夢をかなえるために作成された。

「パラサイト 半地下の家族」がアカデミー賞をはじめさまざまな映画賞を席巻し、日本でも2020年1月に劇場公開されると韓国映画史上ナンバーワンとなる大ヒットを記録するなど大きな話題を呼んだことから、モノクロバージョンも劇場公開される。

凱里ブルース」(6月6日公開)

 

「ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ」での3Dのワンシークエンスショットという演出で注目を浴びた中国の新世代監督ビー・ガンが、2015年にメガホンをとった初長編監督作品。監督自身の故郷である凱里で撮影され、出演者の大半が監督の家族や親戚、友人などがキャスティングされている低予算の作品ながら、スイス・ロカルノ国際映画祭の新進監督賞と特別賞、フランス・ナント三大陸映画祭グランプリ、台湾の金馬奨で最優秀新人監督賞など各国の映画祭で多数受賞した。

凱里にある霧に包まれた小さな診療所に勤務し、幽霊のように毎日を送るシェン。刑期を終えて、凱里に帰った時には妻はすでにこの世になく、かわいがっていた甥も何者かによって連れ去られてしまった。シェンは甥と同じ診療所で働く年老いた女医のかつての恋人を捜す旅に出る。その途上で立ち寄ったダンマイという名の村は、過去の記憶、現実、そして夢が混在する不思議な村だった。

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」(6月12日公開)

レディ・バード」のグレタ・ガーウィグ監督とシアーシャ・ローナンが再タッグを組み、ルイザ・メイ・オルコットの名作小説「若草物語」を新たな視点で映画化。

南北戦争時代に力強く生きるマーチ家の4姉妹が織りなす物語を、作家志望の次女ジョーを主人公にみずみずしいタッチで描く。しっかり者の長女メグ、活発で信念を曲げない次女ジョー、内気で繊細な三女ベス、人懐っこく頑固な末っ子エイミー。女性が表現者として成功することが難しい時代に、ジョーは作家になる夢を一途に追い続けていた。性別によって決められてしまう人生を乗り越えようと、思いを寄せる幼なじみローリーからのプロポーズにも応じず、自分が信じる道を突き進むジョーだったが……。

幼なじみローリーを「君の名前で僕を呼んで」のティモシー・シャラメ、長女メグを「美女と野獣」のエマ・ワトソン、末っ子エイミーを「ミッドサマー」のフローレンス・ピュー、ジョーの人生に大きな影響を与えるマーチ叔母をメリル・ストリープがそれぞれ演じる。第92回アカデミー賞では作品賞はじめ計6部門でノミネートされ、衣装デザイン賞を受賞した。

グッド・ボーイズ」(6月12日公開) (PG12)

初めてのキスのため奮闘する小学生たちが思わぬ騒動を巻き起こしてしまうさまを描いたコメディ。主演は「ルーム」のジェイコブ・トレンブレイ。監督は、これが長編デビュー作のジーン・スタプニツキー。製作に「ソーセージ・パーティー」「ネイバーズ」などのコメディ作品を手がける俳優のセス・ローゲン

小学6年生のマックス、ルーカス、ソーの3人組は女子たちから「初キス・パーティ」に誘われるが、キスの仕方が分からないので早速リサーチを開始。オトナの世界に好奇心が止まらない3人だったが、そんな中、マックスの父親の大事なドローンが壊れてしまう事件が発生。父親が仕事から戻る前に、遠く離れた隣町のショッピングモールまで行って新品のドローンを手に入れなければならなくなってしまい……。

その手に触れるまで」(6月12日公開)

「ある子供」「ロルナの祈り」「少年と自転車」などカンヌ国際映画祭で受賞を重ねてきたベルギーのダルデンヌ兄弟が、過激な宗教思想にのめりこみ教師を殺害しようと試みた少年の姿を描き、2019年の同映画祭で監督賞を受賞した人間ドラマ。

13歳のアメッドはどこにでもいるゲーム好きな普通の少年だったが、尊敬するイスラム指導者に感化され、次第に過激な思想にのめりこんでいく。やがて学校の先生をイスラムの敵だと考えはじめたアメッドは、先生を抹殺しようと企むが……。

これまでにカンヌ国際映画祭で2度のパルムドール(「ロゼッタ」「ある子供」)と脚本賞(「ロルナの祈り」)、グランプリ(「少年と自転車」)を受賞してきたダルデンヌ兄弟にとって、初のカンヌ監督賞受賞作となった。

ホドロフスキーのサイコマジック」(6月12日公開) (PG12)

「エル・トポ」「ホーリー・マウンテン」の鬼才アレハンドロ・ホドロフスキー監督がこれまで作り上げた映像表現を自ら解き明かす集大成的作品。

ドイツの精神分析学者エーリッヒ・フロムとともに精神分析を学んだホドロフスキーは、自身が考案したが考案した心理療法「サイコマジック」を「科学を基礎とする精神分析的なセラピーではなく、アートとしてのアプローチから生まれたセラピーである」と語る。ホドロフスキーのもとに悩み相談に訪れた10組の人びとが出演し、「サイコマジック」がどのように実践され、作用しているのかが描かれる。そして、自身の映像表現に「サイコマジック」がどう作用しているかを過去作やさまざまな実験的な映像を用いて実証していく。

コリーニ事件」(6月12日公開)

ドイツの現役弁護士作家フェルディナント・フォン・シーラッハの世界的ベストセラー小説を映画化した社会派サスペンス。

新米弁護士カスパー・ライネンは、ある殺人事件の国選弁護人を担当することに。それは、ドイツで30年以上にわたり模範的市民として働いてきた67歳のイタリア人コリーニが、ベルリンのホテルで経済界の大物実業家を殺害した事件で、被害者はライネンの少年時代の恩人だった。調査を続ける中で、ライネンは自身の過去やドイツ史上最大の司法スキャンダル、そして驚くべき真実と向き合うことになる。

主人公ライネンを「ピエロがお前を嘲笑う」のエリアス・ムバレク、被告人コリーニを「続・荒野の用心棒」の名優フランコ・ネロが演じる。監督は「クラバート 闇の魔法学校」のマルコ・クロイツパイントナー。

15年後のラブソング」(6月12日公開)

アバウト・ア・ボーイ」「ハイ・フィデリティ」などで知られるイギリスの人気作家ニック・ホーンビィの同名小説を実写映画化したラブストーリー。

イギリスの港町サンドクリフ。博物館で働く30代後半の女性アニーは、長年一緒に暮らす腐れ縁の恋人ダンカンと平穏な毎日を送っていた。そんなある日、彼女のもとに1通のメールが届く。送り主はダンカンが心酔するミュージシャンで、90年代に表舞台から姿を消した伝説のロックスター、タッカー・クロウだった。

伝説のミュージシャンを「恋人までの距離」のイーサン・ホーク、ヒロインのアニーを「ピーターラビット」シリーズのローズ・バーン、アニーの恋人ダンカンを「ソウルガールズ」のクリス・オダウドがそれぞれ演じる。

なぜ君は総理大臣になれないのか」(6月13日公開)

 

2019年の国会で不正会計疑惑を質す姿が注目を集めた政治家の小川淳也を17年にわたり追いかけたドキュメンタリー。

2003年、当時32歳で民主党から衆議院選挙に初出馬した小川は、その時は落選するも、05年の衆議院選挙において比例復活で初当選。09年に政権交代が起こると「日本の政治は変わる」と目を輝かせる。しかし、いかに気高い政治思想があろうとも、党利党益に貢献しないと出世はできないのが現実で、敗者復活の比例当選を繰り返していたことからも発言権が弱く、権力への欲望が足りない小川は、家族からも「政治家に向いていないのでは」と言われてしまう。17年の総選挙では希望の党に合流した前原誠司の側近として翻弄され、小池百合子代表への不信感から無所属での出馬も考えた小川だったが、前原や地元の盟友・玉木雄一郎への仁義というジレンマに悩まされ、背水の陣で総選挙にのぞむ。

映画では「シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録」「園子温という生きもの」、テレビでは「情熱大陸」「ザ・ノンフィクション」など、数多くのドキュメンタリーを手がけてきた大島新監督が、17年間追い続けた小川の姿を通して、日本政治の未来を問いかけていく。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>1ヶ月の映画館の休業と新作公開のない日々…そして、再開。コロナ禍による映画興行の振り返りと未来

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お久しぶりです…1ヶ月以上週刊興行批評を更新してませんでした。理由は単純で取り扱うことがなくなったことと書く意欲が失ってたことです。まあ、別にこれを仕事にはせずに趣味の範囲でやってるんでこれくらいの気まぐれはまあ、許していただきたい。そして、映画館で映画を観ない日々が2ヶ月近く続いていて、早く日常が戻って欲しいと思う日々です。そんな今回はこの1ヶ月の振り返り、今週末のランキングからこれからの映画興行をまた、考えていきたいと思います。

 

 

1.この1ヶ月の映画興行の振り返り

まずは前回のブログからの1ヶ月に起きたことをおさらいしておきましょう。

そもそも、前回のブログ時には東京などの首都圏に外出自粛要請が出ている段階でのことでした。それからは皆さんもお分かりのとおり、まず、東京や大阪での緊急事態宣言、そして翌週に緊急事態宣言は全国に広がりました。そうしたことで何が起きたのか。映画館の休業です。

TOHOシネマズを始めとするシネコンはもちろんのこと、ミニシアターも休館に追い込まれてしまいました。そうなると映画を公開しても映画館がやってないのでお客さんは来ません。そもそもこの状況下で映画を封切りしてもリスクは高まります。ですので、多くの映画は延期となり、ついには4月17日の週からは新作映画が一切公開されない事態となりました。このような状況は史上初と言っても良いと思います。

以上のような状況がコロナ禍で起きた日本の映画興行の影響です。ざっくりではありますが。では、このままで良いのか。といえばそうもいかないと声を挙げたところがたくさんありました。それはミニシアターです。ニュースでも大きく取り上げられたりとコロナによって危機的な状況と呼ばれてる一つとなっていました。

そこでミニシアター自らがクラウドファンディングやグッズの通信販売に乗り出しました。

また、著名人らが呼びかけて、署名運動やクラウドファンディングを設立しました。

結果的には署名運動「Save the CINEMA」には87000人以上、クラウドファンディング「ミニシアター・エイド基金」は3億3000万円以上を集めることに成功しました。

今の時代は一人一人が気軽に声を挙げれる時代でもあり、映画ファンの思いがこうした結果を生んだこともあるでしょう。ミニシアターはなくてはならない存在です。「カメラを止めるな!」も「この世界の片隅に」がここまでのヒットを歩んだのにはミニシアターの支えがあったからこそでもあるのです。こうした活動で集まった想いが一つでも多くのミニシアターへの救済、そして閉館を免れることを祈ります。

 

2.いよいよ再開!映画館の再開と未来

さて、映画館の休館が続いてはいましたが、先週から流れが変わってきました。5月14日に39県での緊急事態宣言解除を皮切りに映画館が再開され始めました。

先週末には5週ぶりにランキングも再開。そのランキングを見ながら、これからの興行を考えていくことにしよう。

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1位は初登場心霊喫茶「エクストラ」の秘密-The Real Exorcist-」。先週末唯一公開された新作映画で、幸福の科学映画である。

2位は「天気の子」。

3位は「パラサイト 半地下の家族」。

4位は「一度死んでみた

5位は「君の名は。」。

6位は「シン・ゴジラ」。

7位は「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」。

8位は「弥生、三月 -君を愛した30年-」。

9位は「AKIRA IMAX」。

10位は「ミッドサマー」。

以上のような結果となった。1位となった「心霊喫茶「エクストラ」の秘密」以外は「パラサイト」や「一度死んでみた。」、「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」、「弥生、三月」、「AKIRA IMAX版」、「ミッドサマー」といった休業前に上映されていた映画がロングランでランクインしているが、「天気の子」、「君の名は。」、「シン・ゴジラ」といったリバイバル上映(この3作品ってのが今の状況らしい作品)がランクインするこの状況は今だからこそ見れるランキングとなった。

 

さて、このようにランキングに旧作がランクインしている今の状況はあと1ヶ月は最低続くことになるだろう。6月までは「シン・エヴァ」などの主力作は軒並み延期になってしまい、最短で大作に出会うのは7月3日の「るろうに剣心 最終章」に現段階ではなっている。以降、7月17日に「今日から俺は!! 劇場版」、8月7日に「ドラえもん のび太の新恐竜」へと続いていく。

現段階で夏休み作品が無事に公開できるかはコロナの第2波次第となってきそうだが、無事であって欲しいと祈るばかりだ。そして、個人的には春休みに公開予定だった映画に関しては夏休みのうちに解消しておいたほうが良いように思える。どちらにせよ公開はするべきなので踏み切れるかも夏休みがポイントになる。秋以降に関しても延期作品をどのタイミングで放てるかがポイントとなりそうだ。特に東宝とワーナーの動きが左右しそうな気がすると思うし、どの配給会社もどのタイミングで作品を放つかに頭を抱えてることだろう。

また、日本映画製作者連盟は、3月の主要12社の興行収入の合計が前年同月比で7割減の56億円*1、4月は2000年以降で最低の6億8824万円となった。過去最高の2611億円を記録した昨年があるだけにこの数字に戻るのも長い道のりになるかもしれない。

まだまだ先行きが見えないコロナウイルス、そして映画興行…だが、今言えることは映画館は再会の一途を辿っている。コロナの感染予防のために細心の取り組みに努めているだろう。

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映画館は作品を待っている。これからどういったタイミングでどう作品を投下するか。そこに映画の未来が見えてくるかもしれない。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

*1:これは東日本大震災の影響があった2011年3月の半分ほどの水準。

<週刊興行批評>コロナウイルス状況下の日本の映画配給とストリーミングについて考えること

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先週末は東京都を中心に新型コロナウイルスによる外出自粛要請を受け、東京、神奈川、埼玉を中心に、約100もの劇場が営業を中止。新作の上映もほぼなくなり、映画ランキングも上位の興収データが発表できない状態に。その状態は今週以降も続くことになりそうだ。そこで今週もコロナウイルスの影響を受けた映画界について書いていきます。今週は配給会社とストリーミングについて自分が思うことを中心に書いていきます。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「一度死んでみた」。映画.comによると週末2日間の成績は前週比55%近くの減ということで、動員が3万6850人、興収が4730万円あたりとなる。累計で動員24万8000人、興収3億500万円を突破した。

2位は「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」。映画.comによると週末2日間の成績は前週比66%近くの減ということで、興収が8100万円あたりとなる。興収は「一度死んでみた」を上回ってるという。累計で動員26万4900人&興収3億8900万円を突破した。

3位は「仮面病棟」。累計では動員52万7400人、興収6億6500万円を突破した。

4位は「パラサイト 半地下の家族

5位は「Fukushima 50」。累計で動員55万8000人、興収7億2800万円を突破。

6位は「弥生、三月 -君を愛した30年-」。累計で動員11万6700人、興収1億5000万円を突破。

7位は「犬鳴村」。累計で動員106万人、興収13億円を突破。

8位は初登場PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR」。

9位は「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」。累計で動員86万人、興収11億円を突破。

10位は「ミッドサマー」。

2.コロナウイルス状況下の日本の映画配給とストリーミングについて考えること

先週末から始まった都を中心とした週末の自粛要請。その効果は映画界にも及び、東京、神奈川、埼玉の劇場が相次いで営業を中止。それに伴い、先週末は「fate」などか急遽公開延期に。今週末以降も注目作が続々と延期する事態となった。

この状況はしばらく続くことになることは明白だが、ハリウッドの公開延期作もある程度目処がついてる様子だ。今現在は「ワンダーウーマン 1984」や「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」、「クワイエット・プレイス PARTll」、「トップガン マーベリック」は延期はするものの年内公開の予定だが、「ワイルド・スピード ジェットブレイク」や「ミニオンズ フィーバー」、「ゴーストバスターズ アフターライフ」、「モービウス」、「ピーターラビット2」は年を越して1年単位での延期が発表されている。恐らく他の作品も2020年の秋or冬〜2021年に向けて延期がされていくことが予想される。

つまりはこの春だけでなく、夏もガラ空きな状態が今の映画界のスケジュール。つまり、一番の稼ぎ期であるアメリカなら4月下旬〜8月、日本だと7〜8月がこのままだとすっぽりと穴が開く、いわば主力作がない状態が出てくることになる。そう考えるとかなり深刻な事態となっている。ただでさえ、やりくりしている日本の映画館もこれではあまりにも先行き不透明ではある。

さあ、ここで本題となる。日本の配給会社とストリーミングだ。

配給会社

ここではまず、配給会社をメジャーと単館系と分けて考えていきたい。

まずはメジャー映画会社。ここでは東宝東映ワーナー・ブラザース、ディズニーなどを指すことにしよう。GWや夏休みの映画スケジュールを見直す必要性があるだろう。これは先週も書いたが、まずはGWの「名探偵コナン」をいかに延期するかで方向性は変わる。何ヶ月程度か、どのシーズンにぶつけるか。この方向性が見えてくると各映画会社も右向け右でそこに向けて進路が取れるだろう。「名探偵コナン」という今や90億円を稼ぎ出す映画の延期をしかも東宝という日本一の映画会社の判断によってどう動くか。

これが見えてくるだけでも見る目は大分変わるだろう。とりあえずは4月17日という公開日を一旦白紙には戻すべきだろう(4月に入った今の時点でCMが打ててないのは相当迷っているということではあると思う)。他にも「シン・エヴァ」や「るろうに剣心」あたりも見直す必要性がないとは言い切れない。こちらも動かし方には注視だ。

洋画に関しては本国の公開日が出ない限りはなんとも言えないが、出来る限り本国とのスパンは短くして欲しいというのが筆者の個人的な願いだが、こればかりは他国とのコロナウイルスの足並みを見ない限りは難しい。ただ、本国がそれらを呑み込んで1年近い延期を用意したのでまだ良いだろう。問題は他国で既に公開された「ドクター・ドリトル」や「ソニック  ザ・ムービー」などの対応だ。頭を悩ませるところだろう。これらについてはストリーミングの項目でまた書いていくことにしよう。

次は単館系だ。今回の公開延期はメジャー映画ばかりではない。ミニシアターで上映されているような映画も次々と延期している。これで一番最悪なパターンが配給会社が倒産してしまうこと。今現在はまだそうした状況に陥る可能性は多くはないが、長期化すると最悪な道もなくはない。そうならないことを願うしかないが、今でもシネコン、ミニシアター関係なしに映画館に客が来ない状態で映画館側が潰れて、契約が消えるということも考える。最悪な事態に陥らないためにもお金は落としたいところ…だが、難しいというのが現状だ。

ストリーミング

続いて、日本のストリーミングについて思うことを書いていく。ここでのストリーミングはNETFLIXAmazonプライム・ビデオ、huluなどのいわゆる定額制(SVOD方式)とiTunesなどでレンタルや購入をするTVOD方式について書いていく。思うことは2つだ。

1つ目は果たして、このようにコロナウイルスのような状況下になったとしても、日本にストリーミングサービスは普及するのかどうか?これに関して、今がチャンスなのではないか?と考える人もいるだろう。が、個人的にその考えには疑問が浮かぶ。確かにストリーミングサービスがもっと普及すれば、日本のエンタメも面白いことになるかもしれない。しかし、日本の社会構造とストリーミングサービスが肌に合っているのかどうかは正直疑問なのだ。金を払い、それなりに時間を設けてというハードルをどうも踏み越えれない人がたくさんいるように思える。日本のTwitterトレンド1位が「#再放送希望ドラマ」だったことからもオンデマンドで見るというよりもテレビで見たいのほうがまだ勝ってるように思える。

ただ、普及はしているので是非とも引き続きアピールはしていく気概は充分にあるとは思います。まだあたりまえになってないだけです。

2つ目は日本のストリーミングサービスが延期に陥った映画の救済に乗り出すのもありなんじゃないか?ということ。先ほど、メジャー映画に関しては既に他国で公開された映画の対応について、また、単館系でも最悪な事態が来る可能性は0ではないことを書いたのですが、そこにストリーミングサービスが手を差し伸べるというのは大いにありなのではないかと感じます。既にアメリカでは「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」などがダウンロード販売を前倒し、「2分の1の魔法」に関してはダウンロード販売だけでなく、既にディズニーが所有している定額制サービス「Disney+」で配信が開始されることが発表されていたりする対応が取られている。

日本でもこうした対応をストリーミングサービス側からやってみるのも良いかもしれない。個人的に今の日本のストリーミングサービスはオリジナルを作ろうと固めている印象が強くあるのでここで手を差し伸べたりしたら、業界自体もかなり活性化したりするんじゃないか?とも思ったりしますが、これに関しては前途多難。でも、やったらかなり面白いことだと思います。

 

というわけで、配給会社とストリーミングサービスについて思うことを書きました。上記に触れた以外にも配給会社は過去作を劇場やテレビ局に向けで販売を強化したりなんかするのもありだと思います。今回、書いたのは個人的に思ったことで恐らく書かなくても既に動いていることはたくさんあるでしょう。そして、それに頭を抱えていることでしょう。しかし、娯楽が未来を閉じ込めさせることはありません。これまでも困難がありながらも娯楽は未来を開いてきました。今だからこそ、未来を開くために今までやってないことをやるのもありじゃない?なんて思いながら、娯楽が再び、未来を切り開いてくれることを願い、今回の記事を締めさせていただきます。あとは補償を…というのはどこぞの話やらレベルになってきましたが、ボチボチはやってるみたいですね。他国に比べたらあれですけど……

 

(今週も「今週の注目作」の紹介をしたところで自粛要請への逆効果を生み出す観点から紹介はなしにしておきます。)

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>ハーレイ・クインの華麗にはいかない初登場とこれからの映画館興行について思うこと

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お久しぶりの更新です。3週ぶりになります。コロナウイルスによる公開延期の連続で特に興行を主に語る当記事のネタもなかったため更新が途絶えてしまったわけでありますが、先週末は「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」が初登場したのでそちらも語っていきますが、今週もコロナウイルスについて色々と話していきたいと思います。

 

 

1.先週末のランキング

3月7日〜8日(http://www.kogyotsushin.com/archives/weekend/202003/08000000.php)、3月14日〜15日(http://www.kogyotsushin.com/archives/weekend/202003/15000000.php)については割愛します。

それでは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は初登場ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」。土日2日間で動員8万1000人、興収1億2300万円をあげ、初日からの3日間の累計では動員13万6000人、興収2億300万円をあげた。

2位は初登場一度死んでみた」。土日2日間で動員6万7000人、興収8600万円をあげ、初日からの3日間の累計では動員10万9000人、興収1億3700万円のスタートとなっている。

3位は「Fukushima 50」。累計では動員49万人、興収6億4700万円を突破した。

4位は「パラサイト 半地下の家族累計では動員322万人、興収44億円を突破した。

5位は「仮面病棟」。累計で動員44万人、興収5億6600万円を突破。

6位は初登場弥生、三月 -君を愛した30年-」。初日からの3日間の累計では動員5万4900人、興収7200万円をあげた。

7位は初登場三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」。初日からの3日間の累計では動員3万3100人、興収4600万円をあげた。

8位は「ミッドサマー」。累計では動員39万人、興収5億8500万円を突破した。

9位は「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」。累計で動員82万人、興収10億円を突破。

10位は「犬鳴村」。累計で動員100万人を突破し、興収13億円目前となっている。

2.興行チェック!「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY

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今週初登場1位にランクインしたのは「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」。「スーサイド・スクワッド」に登場して世界的に人気を集めたマーゴット・ロビー演じるハーレイ・クインを主役にした映画だ。

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日本でも「スーサイド・スクワッド」が大ヒットし、DCのキャラクターとしても定着させることに成功した(邦題では原題の「バーズ・オブ・プレイ」よりも強調されている)ハーレイ・クインを主人公にした作品だけにヒットを期待した作品だったが、時期が本当に悪かったとしか言えない。「スーサイド・スクワッド」の動員比33%、興収比32%、「シャザム!」の動員比70%、興収比74%というスタートとなった。この勢いだと最終興収は10億円に届かず、5億円程度に落ち着きそうだ。本当に時期が惜しかった。作品自体は傑作なだけに余計に惜しく思う。

3.今後1ヶ月のコロナウイルスによる映画館への影響を考える 

さて、前回の記事でもコロナウイルスの影響を受ける映画興行について書きましたが、事態はさらに深刻になっています。

日本の公開作品に関しては前回の更新時に比べるとややトーンダウンしてきたように思いますが、世界的に公開される作品の公開延期が前回の更新から増加しました。「ムーラン」、「ピーターラビット2」、「ブラック・ウィドウ」、「ワイルド・スピード/ジェットブレイク」、「ワンダーウーマン 1984」、「ミニオンズ フィーバー」と大作が軒並み延期に。世界的にこの状況が長引くことを映画の公開延期でも感じることができます。

それにより、映画館側もかなり厳しい対応が迫られています。アメリカでは既に5000館以上が休業、先週末の興行収入が発表されないという異例の事態となっています。

日本でも東京都が25日に外出自粛要請を発表したことにより、今週末の東京都・神奈川県・埼玉県の映画館が休業する事態に。また、全国的にはレイトショーの休止による営業時間の短縮や公開延期による穴埋めによる過去作の再上映をしている劇場も増えてきました。

というわけでまずは前回更新以降の情報を羅列したわけでありますが、とりあえず、この数週間はさらに映画館興行は深刻化することは間違いなく、一つの書き入れ時とも言える春休み興行ももはや絶望的と言えます。

アメリカのようにデジタル配信での対応も日本ではそこまで整っていない状況で乗り出すのもビジネス的にも良い結果は得られないでしょう。

なかなか希望の光を見ることが難しい中で映画興行として次に考えなければならないのがGWです。昨年は10連休も相まって、コナン、アベンジャーズ、キングダムがそれぞれ50億円の大台を突破したことからもこちらも一つの書き入れ時だということが分かるだろう。

今年は前述したように「ムーラン」と「ブラック・ウィドウ」が延期したことにより、ハリウッドの大作はほぼなしの状態、現在のところ、「名探偵コナン」、「クレヨンしんちゃん」といった毎年恒例のシリーズ、菅田将暉×小松菜奈による「糸」、昨年も映画が公開され大ヒットした「コンフィデンスマンJP プリンセス編」がGWの主力作となるでしょう。

ただ、それまでに事態が軽く治ってる事はないと考えます。むしろ、今からがより制裁が加わると感じます。全国的に映画館の閉鎖があってもおかしくない状況です。

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特に「名探偵コナン」に関してはここ数年は日本映画を左右する立場になりつつあり、「緋色の弾丸」の対応が今年の日本映画の状況を大きく左右するのは間違いないでしょう。個人的意見としては今の状況では公開延期が妥当に思います。コナンは集客がかなり高いため、最悪のパターンとして感染する、ガチの"事件"が起きてしまいかねないですし、予定通り公開されたところでいつもどおりのヒットになることも難しいでしょう。

といったことからただでさえ雰囲気も暗くなりつつある映画興行はむしろこれからが本番ではないかと今の日本のコロナウイルスを取り巻く状況から個人的には感じます。

最後に。色々と今後は延期をするべきと書きましたが、娯楽が止まることがないようにはするべきで、政府や自治体から娯楽産業への補償が何も出ていないのは正直、この国の娯楽水準が高くはないことを改めて痛感しています。色々と難しいかもしれないが、目を向けて見て欲しい。俺たちのそばには映画や音楽といった娯楽がいることを。

 

(今週は「今週の注目作」の紹介をしたところで自粛要請への逆効果を生み出す観点から紹介はなしにしておきます。これを機会にNETFLIXやAmzaon プライム・ビデオにご加入してみるのもありじゃないですか?)

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。