Takaのエンタメ街道

一生を映画に捧ぐと決めたTakaが主に映画・テレビ・音楽について書くブログです。

<週刊興行批評>コロナウイルスの影響を受けた映画館興行について考えること

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こんにちは。連日のように報道されている新型コロナウイルス。感染拡大を抑制するべく、イベントの休止や延期、レジャー施設の休業や営業時間の短縮が行われているのは周知の事実だと思うのですが、映画館での興行もこの影響に直面し、休業、はたまた公開作品の延期が相次いでいます。今週はいつものように作品を取り上げるのではなく、コロナウイルスの影響による映画館興行の状況について、筆者自身が考えていることを書いてみたいと思います。

 

 

1.先週末のランキング

まずは先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「パラサイト 半地下の家族」。土日2日間で動員12万8000人、興収1億6600万円をあげ、累計では動員272万人、興収37億円を突破している。

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2位は「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」。土日2日間で動員9万人、興収1億1200万円をあげ、累計では動員48万人、興収6億3200万円を突破している。

3位は初登場劇場版 SHIROBAKO」。土日2日間で動員8万4000人、興収1億1500万円をあげ、興収ではスマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」を上回る好スタートを切った。

4位は「犬鳴村累計では動員78万人、興収10億円を突破。

5位は初登場野性の呼び声」。初日から3日間で動員6万3500人、興収7700万円をあげた。

6位は「ミッドサマー」。累計興収は2億4400万円を突破。

7位は「ヲタクに恋は難しい」。累計は動員86万人、興収は11億円を突破。

8位は「1917 命をかけた伝令」。累計興収は6億8800万円を突破。

9位は「デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆」。累計興収は1億9600万円を突破した。

10位は初登場スケアリーストーリーズ 怖い本」。

2.コロナウイルスの影響を受けた映画館興行について考えること

さて、連日のようにコロナウイルスのニュースがテレビやネット上を錯綜する日々を我々は過ごしており、他人事では済まない日常生活にも影響をきたすレベルにきております。 

コロナウイルスの影響は映画界にも及んでおります。↓のサイトでまとめられていますが、各劇場が対応を迫られています。劇場の休館、チケットの払い戻し、チケットの先行販売の中止、小中高生を対象とした入場制限、1席ずつ間隔を空けてのチケット販売(これに関しては市松模様や縦1ブロック丸ごと空ける対応を見せて欲しい)などを実施している。

また、「映画しまじろう しまじろうと そらとぶふね」、「映画ドラえもん のび太の新恐竜」、「劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス」、「2分の1の魔法」、「ドクター・ドリトル」、「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」、「ソニック・ザ・ムービー」、「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」、「ムーラン」が公開延期の決断をした。特に「007」は世界的に11月に延期と今後、日本だけでなく、海外でも公開延期の決断が増えるかもしれない。日本に限って言えば、このままの状況だと、春休みやGWの主力作が軒並み延期になったことで例年のようなムーブメントになることはないと思われます。

以上のような打撃を受けてしまった映画界。映画ではないが、ライブハウスでのクラスター感染が問題化するなど、これまでの震災のような自粛とは違い、密集する空間での安全性が問題視されてしまうのはもどかしいところではある。確かに映画館(だけでなく密集する娯楽空間)で感染はないと断言できることは無理だ。実際問題、既に下関市での映画館で感染者が映画を鑑賞していたという情報も出ている。

だが、だからといって娯楽を止めるというのは少し考えたほうがいいように思う。娯楽に限った話ではない。社会は回らなければならない。そして、それを潤す一つは娯楽であると感じる。命を守るために映画館を閉館することも一つの手であろう。だが、こんなときだからこそ映画館を開けるという決断もある。どんな決断を下そうとも明日への道を切り開くために頑張るのならば、自分はそれで良いと思う。

そう考えたところで今週以降は映画館がどういう動きを見せるのか。以上に挙げた対応を貫くことと公開作品の延期による穴埋めが必要になるだろう。その上で先週末のランキングは色々な意味を持ちそうだ。まず、3週連続を1位を記録した「パラサイト 半地下の家族」は春休みの競合作が軒並み延期になったことにより、さらなるロングランヒットになりそうだ。また、4週目現在もトップ5にランクインし続ける「犬鳴村」や今週ワンランクアップした「ミッドサマー」もサプライズとも言える好調を記録するだろう(「ミッドサマー」に関してはR18+指定のディレクターズ・カット版の全国公開が決定しておりさらなる上映館拡大が見込める)。この3作品はティーン層に徐々に広がっている(実際に友人のインスタを見るとパラサイトを観たという人が何人かいた)ことから期待できる。さらに、今週末から公開される「Fukushima 50」などもヒットするのではないかと思われる。また、ヒットに絡んでくるかは不明だが、「バーフバリ」の再上映など延期作品の代替にも注目だ。

とりあえず、今日までに出ている情報を基にコロナウイルス影響下の映画興行について考えていることについて話した。何度も言うが、密集する空間、映画館で感染しない保証はない。しかし、今日も映画館が開かれているのならば、映画を観れる環境があるのならば、自分はそうした場所も応援していきたい。

最後に。映画館に限った話というか、逸れた話になるのですが、今回の影響でイベントが中止になり、損害を被っているしかも多額の損額を被っている娯楽の人がいるかもしれません。先日、野田秀樹さんが声明を出したときに多少の批判が挙がりましたが、僕はこうした声が娯楽の人から出てくるのも無理はないと感じました。全面的な同意が出来なくとも、突如として決定したこの自粛によって娯楽を奪われた者の叫びは心の中へと沁み込むようでした。それでも、良き明日がくることを信じ、それぞれの対応を練り、動き出すエンターテイナーがいることは確かです。エンタメ団体が声明文を発表した今日この頃、損害を被った娯楽に携わる者がたくさん救われてる明日を願って、今週の当記事を締めたいと思う。

3.今週の注目作

Fukushima 50」(3月6日公開)

2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故で、未曾有の事態を防ごうと現場に留まり奮闘し続けた人々の知られざる姿を描いたヒューマンドラマ。

2011年3月11日午後2時46分、マグニチュード9.0、最大震度7という日本の観測史上最大となる地震が起こり、太平洋沿岸に押し寄せた巨大津波に飲み込まれた福島第一原発は全電源を喪失する。このままでは原子炉の冷却装置が動かず、炉心溶融メルトダウン)によって想像を絶する被害がもたらされることは明らかで、それを防ごうと、伊崎利夫をはじめとする現場作業員や所長の吉田昌郎らは奔走するが……。

現場の最前線で指揮をとる伊崎に佐藤浩市、吉田所長に渡辺謙という日本映画界を代表する2人の俳優を筆頭に、吉岡秀隆、安田成美ら豪華俳優陣が結集。「沈まぬ太陽」「空母いぶき」などの大作を手がけてきた若松節朗監督がメガホンをとった。

ジュディ 虹の彼方に」(3月6日公開)

オズの魔法使」で知られるハリウッド黄金期のミュージカル女優ジュディ・ガーランドが、47歳の若さで急逝する半年前の1968年冬に行ったロンドン公演の日々を鮮烈に描いた伝記ドラマ。

ブリジット・ジョーンズの日記」シリーズのレニー・ゼルウィガーが、ジュディの奔放で愛すべき女性像と、その圧倒的なカリスマ性で人々を惹きつける姿を見事に演じきり、第92回アカデミー賞をはじめ、ゴールデングローブ賞など数多くの映画賞で主演女優賞を受賞した。

1968年。かつてミュージカル映画の大スターとしてハリウッドに君臨したジュディは、度重なる遅刻や無断欠勤によって映画出演のオファーが途絶え、巡業ショーで生計を立てる日々を送っていた。住む家もなく借金も膨らむばかりの彼女は、幼い娘や息子との幸せな生活のため、起死回生をかけてロンドン公演へと旅立つ。

共演に「マネー・ショート 華麗なる大逆転」のフィン・ウィットロック、テレビドラマ「チェルノブイリ」のジェシー・バックリー、「ハリー・ポッター」シリーズのマイケル・ガンボン。「トゥルー・ストーリー」のルパート・グールド監督がメガホンをとった。

仮面病棟」(3月6日公開)

現役医師で作家の知念実希人によるベストセラー小説を、坂口健太郎永野芽郁の共演で映画化。

ピエロの仮面をかぶる凶悪犯に占拠され、鉄格子で閉ざされた空間となった病院を舞台に、残された医師らによる決死の脱出劇が繰り広げられる。先輩医師から頼まれて一夜限りの当直をすることになった速水だったが、その夜、ピエロの仮面をつけた凶悪犯が病院に立てこもり、速水らは病院に閉じ込められてしまう。犯人に銃で撃たれて傷を負った女子大生の瞳を治療した速水は、瞳とともに脱出を試みるが、かたくなに通報を拒む院長や、院長とともに何かを隠している様子の看護師、さらには身元不明の入院患者や隠された最新鋭の手術室など、次々と不可解な事態に直面する。

映画単独初主演となる坂口健太郎が速水に扮し、ヒロインとなる瞳を永野芽郁が演じる。監督は「任侠学園」「屍人荘の殺人」の木村ひさし。

星屑の町」(3月6日公開)

地方回りの売れないムード歌謡コーラスグループ「山田修とハローナイツ」の悲哀を描く人気舞台「星屑の町」シリーズを映画化。

大手レコード会社の元社員・山田修をリーダーに、歌好きの飲み仲間や売れない歌手が集まって結成された「山田修とハローナイツ」。結成から十数年が経つ彼らだったが、これといったヒット曲もなく、ベテラン女性歌手のキティ岩城らと地方を回りながら細々と活動を続けていた。ある日、彼らは修の生まれ故郷である東北の田舎町へ巡業に訪れる。そこには修との間に遺恨を抱える弟・英二が待っていた。一方、英二の息子の幼なじみである愛は、母が営むスナックを手伝いながら歌手になることを夢見ていた。そんな彼女がハローナイツに入りたいと言い出したことから、思わぬ騒動が巻き起こる。

メンバーには大平サブローラサール石井小宮孝泰ら舞台版でおなじみのキャストが集結。「この世界の片隅に」の声優も好評だったのんがヒロインの愛を演じ、「海月姫」以来約6年ぶりに実写映画に出演した。監督は「の・ようなもの のようなもの」の杉山泰一。

酔うと化け物になる父がつらい」(3月6日公開)

アルコールにおぼれる父を持った菊池真理子の実体験に基づいたコミックエッセイを松本穂香、渋川清彦主演で実写映画化。

毎日アルコールにおぼれる父、新興宗教信者の母という一風変わった家庭環境で育ったサキは、普段はおとなしいのに酔うと化け物のように豹変する父の行動に悩まされ、いつしか自分の心にフタをして過ごすようになっていた。そんな自分とは正反対に明るく活発な妹や、学生時代からの親友に支えられながら、サキは家族の崩壊を漫画として笑い話に昇華することでなんとか毎日を生きていた。そんなある日、父に病気が見つかってしまい……。

主人公のサキ役を松本穂香、父・トシフミ役を渋川清彦が演じるほか、ともさかりえ今泉佑唯恒松祐里濱正悟、浜野謙太らが脇を固める。監督は「ルームロンダリング」、ドラマ「きのう何食べた?」の片桐健滋

劇場版 おいしい給食 Final Battle」(3月6日公開)

市原隼人演じる給食マニアの中学教師が主人公のコメディドラマ「おいしい給食」の劇場版。

1984年のとある中学校。給食を愛しすぎるゆえに、給食を愛せないヤツを許せない「給食絶対主義者」である給食マニアの教師・甘利田幸男は、学校から給食がなくなるという信じがたい報せに衝撃を受ける。一方、甘利田最大のライバルで「どちらがよりおいしく給食を食べるか」という超絶給食バトルを繰り広げている生徒の神野ゴウは、「給食革命」を目指して生徒会選挙への出馬を宣言。愛する給食を守るため、甘利田は奮闘するが……。

甘利田役を市原隼人が演じるほか、ヒロインの女性教師・御園ひとみ役を武田玲奈、神野ゴウ役を佐藤大志がそれぞれ演じる。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>「ミッドサマー」の初登場から見る修正入りのR15+指定にする意義

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今週は7週目に突入した「パラサイト 半地下の家族」、初登場した「ミッドサマー」の興収を分析したいと思います。

 

 

1.先週末のランキング

それでは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「パラサイト 半地下の家族」。土日2日間で動員20万4000人、興収2億9400万円をあげ、累計では動員242万人、興収33億円となっており、韓国映画の歴代記録を「私の頭の中の消しゴム」以来15年ぶりに更新した。

2位は初登場スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」。土日2日間で動員14万3000人、興収1億9700万円をあげ、初日から4日間の累計では、動員26万9000人、興収3億6000万円をあげた。前作「スマホを落としただけなのに」(最終興収:19.6億円)とは動員比85%、興収比84%となっており、15億円程度の最終興収が予想される。

3位は「犬鳴村」。土日2日間で動員8万3000人、興収1億600万円をあげ、累計では動員67万5000人、興収8億6600万円を突破した。

4位は「ヲタクに恋は難しい累計では動員77万人、興収10億円を突破。

5位は「1917 命をかけた伝令」。累計興収は5億3000万円を突破。

6位は初登場デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆」。初日から4日間で動員7万8400人、興収1億2800万円をあげた。

7位は初登場ミッドサマー」。初日から4日間で動員7万7100人、興収1億1500万円をあげた。

8位は初登場チャーリーズ・エンジェル」。初日から4日間で動員7万6600人、興収9990万円をあげた。

9位は初登場スキャンダル」。初日から4日間で動員7万5200人、興収9870万円をあげた。

10位は「AI崩壊」。累計興収は8億8500万円を突破した。

2.興行チェック!「パラサイト 半地下の家族」

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今週も1位にランクインした「パラサイト 半地下の家族」。

先週末は公開館数を34館増やし、300館規模にまで拡大され、これまで韓国映画で最高成績だった「私の頭の中の消しゴム」の30億円を超えて、累計興収が33億円を突破するなど勢いが止まることはない。

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自分も先週末、再度映画館で鑑賞してきたが、規模が一番大きいスクリーンを充てても満席という盛況っぷりで、改めて評判の高さが拡まっていることを感じました。

また、ポン・ジュノ監督と主演のソン・ガンホが昨年末に引き続き、再来日したことも話題となりました。

日本でのパラサイト現象、まだまだ勢いが止まることを知らない…そういった状況となっています。

3.興行チェック!「ミッドサマー」

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今週、初登場7位にランクインしたのは「ミッドサマー」。

「ヘレディタリー/継承」がホラー映画としての完成度も高く、人々を恐怖の淵に追いやったアリ・アスター監督の新作ということもあって、日本公開が決まるや否や、公式のツイートが1万RT、トレンド入り(公開初日にもトレンド入りしている)、Twitter運営が公式でモーメント化し情報発信をするなど公開前から話題になっていた作品だ。

蓋を開けてみると100館規模での公開ながら7位と大健闘。24日までに動員7万7100人、興収1億1500万円を突破しており、「ヘレディタリー/継承」の最終興収1億3000万円に迫る結果を公開4日間で果たす快挙を成し遂げている。

そんな話題作「ミッドサマー」はR15+指定での公開となっているわけだが、これは"修正"つきのR15+指定での公開だ。残念なことにとあるシーンでボカシがかけられた上でな公開となった。

このことについては公開されるにあたり公式からも情報を発せられており、知っている方も多いと思うが、せっかくの映画を海外と同じ趣で見れないことに残念な声が挙がっているのも事実である。

では、なぜR18+指定ではなく、R15+指定での公開に踏み切ったのか。「ミッドサマー」と同じようなケースを踏み切った作品を取り上げて考えていくことにしよう。

それは2018年に日本公開されたギレルモ・デル・トロ監督作で第90回アカデミー賞で作品賞など4部門を受賞した「シェイプ・オブ・ウォーター」だ。

この作品は↓のような感じで一箇所モザイクをかけてR18+指定からR15+指定に引き下げて劇場公開に踏み切った経緯がある(DVD版ではモザイクは消されてR18+指定となっている)。

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つまり、どういうことか?R15+指定ではSEXシーンの際に腰を上下に動かすショットが明確に写ったり、全裸になっていたりすると引っかかってしまう。「ミッドサマー」もこのケースに引っかかっており、二箇所の修正を余儀なくされたのです。

特に本作においては終盤へ向けての重要シーンの一つだけにモザイクをかけるなという声は強いふうに感じます。

しかし、上述した公開前の期待の高まりやR18+指定になることにより宣伝や公開規模の縮小が余儀なくされることから修正してまでR15+指定の公開に踏み切るのはやむを得なかったように思えます。実際問題、現在公開されている劇場の半分がTOHOシネマズと単館でというよりはシネコンでかけていることが多いこと*1を考えるとR15+指定にしてまで公開する意義はあり、その結果が100館規模ながらも初登場7位に現れているように思います。

自分が観た回もかなり混雑していて、学生も多かったんです。確かにモザイクはないほうが良い。でも、たくさんの人に劇場で観て欲しいとなるとこの判断はしょうがないと自分は捉えています。R18+指定にして公開拡大が一向にメドが立たなくなる未来が出るよりかはマシだと思います。あの2箇所にモザイクがあっても(映倫の判断に頭抱えた配給会社の顔が思い浮かぶ…)。

そして、R18+指定で観たい方に朗報。3/6にTOHOシネマズ六本木とTOHOシネマズ梅田の2ヶ所で18:30からの1回限りのR18+指定版での公開が決定。しかも、本編が20分追加されたディレクターズ・カット版での上映だ。2/27よりリクエスト上映サービスの「ドリパス」を使ってのチケット販売が開始されるのでチェックしてみては?

まあ、そうなるといずれかBlu-rayでお目にかかる日も来るのかな?

あと、最後に。「ミッドサマー」に修正はかけられていますが、2箇所ともエロ関連でグロ描写は全く修正されていません。普通のR15+指定にあるようなグロ描写よりもグロいと感じる可能性があります。その点は注意して鑑賞を勧めたいと思います。とりあえず、「ミッドサマー」、想像以上に盛り上がりそうです。

4.今週の注目作

初恋」(2月28日公開) (PG12)

三池崇史監督が窪田正孝を主演にメガホンを取った自身初の恋愛映画。

天涯孤独の身で類まれな才能を持つ天才ボクサーの葛城レオは、試合でまさかのKO負けを喫し病院へとかつぎこまれた。医師から自分の余命がわずかであるという事実を突きつけられ、自暴自棄になりながら歌舞伎町の街を歩くレオの目に男に追われる少女モニカの姿が飛び込んでくる。ただごとではない様子からレオが反射的にパンチを食らわせた男は、ヤクザと裏で手を組む悪徳刑事・大伴だった。モニカは親の虐待から逃れるため歌舞伎町に流れ着き、ヤクザにとらわれていたという。レオは彼女を救うことを決意するが、その選択はレオがヤクザと大伴から追われる身となることを意味していた。

レオ役を窪田正孝、大伴役を大森南朋、モニカ役をオーディションで選ばれた新人の小西桜子がそれぞれ演じるほか、内野聖陽染谷将太ベッキー村上淳滝藤賢一ベンガル塩見三省らが顔をそろえる。

レ・ミゼラブル」(2月28日公開)

ビクトル・ユゴーの小説「レ・ミゼラブル」で知られ、現在は犯罪多発地区の一部となっているパリ郊外のモンフェルメイユを舞台に、現代社会が抱えている闇をリアルに描いたドラマ。

モンフェルメイユ出身で現在もその地に暮らすラジ・リの初長編監督作品で、2019年・第72回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞。第92回アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートもされた。

パリ郊外に位置するモンフェルメイユの警察署。地方出身のステファンが犯罪防止班に新しく加わることとなった。知的で自制心のあるステファンは、未成年に対して粗暴な言動をとる気性の荒いクリス、警官である自分の力を信じて疑わないグワダとともにパトロールを開始する。そんな中、ステファンたちは複数のグループが緊張関係にあることを察知するが、イッサという名の少年が引き起こした些細な出来事から、事態は取り返しのつかない大きな騒動へと発展してしまう。

黒い司法 0%からの奇跡」(2月28日公開)

冤罪の死刑囚たちのために奮闘する弁護士ブライアン・スティーブンソンの実話を、「クリード チャンプを継ぐ男」「ブラックパンサー」のマイケル・B・ジョーダン主演で映画化したヒューマンドラマ。

黒人への差別が根強い1980年代の米アラバマ州。犯してもいない罪で死刑宣告された黒人の被告人ウォルターを助けるため、新人弁護士のブライアンが立ち上がるが、仕組まれた証言や白人の陪審員たち、証人や弁護士たちへの脅迫など、数々の困難に直面する。

監督は「ショート・ターム」「ガラスの城の約束」のデスティン・ダニエル・クレットン。主人公の弁護士ブライアンをマイケル・B・ジョーダンが演じるほか、ブライアンが救おうとする被告人ウォルター役をオスカー俳優のジェイミー・フォックス、ブライアンとともに法律事務所で働くエバ役を、クレットン監督とは3度目のタッグとなるブリー・ラーソンが担当した。

スケアリーストーリーズ 怖い本」(2月28日公開)

シェイプ・オブ・ウォーター」でアカデミー賞を受賞したギレルモ・デル・トロが企画・製作を手がけ、恐ろしい内容や挿絵のために全米で学校図書館に置くことに対する論争が巻き起こった児童書シリーズを映画化。

ハロウィンの夜、町外れにある屋敷に忍び込んだ子どもたちが一冊の本を見つける。その本には数々の恐ろしい話がつづられており、本を持ち帰った次の日から、子どもがひとりまたひとりと消えていく。さらに、その「怖い本」には、毎夜ひとりでに新たな物語が追加されていき……。

原作は1981年に第1作が発表されたアルビン・シュワルツによるベストセラー児童書 「スケアリーストーリーズ 怖い本」 シリーズ。「ジェーン・ドウの解剖」「トロール・ハンター」のアンドレ・ウーブレダル監督がメガホンをとった。

野性の呼び声」(2月28日公開)

ハリソン・フォードが主演を務め、アメリカの文豪ジャック・ロンドン1903年に発表し、過去にも映画化されたことのある名作冒険小説を新たに映画化。

地上最後の秘境アラスカで地図にない土地を目指し、ひとり旅する男ソーントンが、犬ぞりの先導犬としてアラスカにやってきた犬のバックと出会う。やがてソーントンとバックの間には友情が生まれ、かけがえのない相棒となっていく。

スター・ウォーズ」シリーズなどで数々のカリスマ的ヒーローを演じてきたハリソン・フォードが、主人公ソーントンに扮した。監督は「リロ&スティッチ」「ヒックとドラゴン」といったアニメーション映画で言葉の壁を越えた友情を描いてきたクリス・サンダース。

架空OL日記」(2月28日公開)

 

お笑い芸人のバカリズムが主演や脚本を務め、2017年に放送された連続ドラマの劇場版。原作は、バカリズムが06年から3年間、銀行勤めのOLのフリをしてネット上につづり、働く女性の心理や日常がリアルに描かれていると話題を集めたブログを書籍化した「架空OL日記」。

憂鬱な月曜日の朝、銀行員OLの“私”は、眠気に耐えながらもメイクし、家を出る。満員電車に揺られ、職場の最寄り駅で仲良しの同期マキと合流。職場社に着つくと、後輩のサエや入社8年目の小峰、10年目の酒木も加わり、いつものように更衣室で就業前のおしゃべりに花を咲かせ……。

“私”をバカリズム自ら演じるほか、マキ役の夏帆をはじめ、同僚OL役の臼田あさ美佐藤玲山田真歩三浦透子がドラマ版から続投。「新聞記者」のシム・ウンギョンや坂井真紀、志田未来石橋菜津美が劇場版の新キャストとして加わった。

地獄の黙示録 ファイナル・カット」(2月28日公開) (PG12)

ゴッドファーザー」のフランシス・フォード・コッポラ監督が1979年に発表し、カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したほか、膨大な製作費や過酷な撮影環境、CGなしの壮大なスケールの映像など、数々の伝説を残した戦争映画の傑作「地獄の黙示録」を、コッポラ監督自身が望むかたちに再編集した最終版。79年のオリジナル版より30分長く、2001年に発表された特別完全版より20分短いバージョンとなり、新たにデジタル修復も施された。

ベトナム戦争が激化する1960年代末。アメリカ陸軍のウィラード大尉は、軍上層部から特殊な任務を与えられる。それは、カンボジア奥地のジャングルで軍規を無視して自らの王国を築いているという、カーツ大佐を暗殺するというものだった。ウィラードは部下を連れてヌン川をさかのぼり、カンボジアの奥地へと踏み込んでいくが、その過程で戦争がもたらす狂気と異様な光景を目の当たりにする。

出演はマーロン・ブランドマーティン・シーンロバート・デュバルローレンス・フィッシュバーンハリソン・フォードデニス・ホッパーほか。

エスケープ・ルーム」(2月28日公開)

体験型エンタテインメントとして人気を集めている「脱出ゲーム」を題材に描いたシチュエーションスリラー。

謎の送り主からの招待状に応じて賞金1万ドルの懸かった体験型脱出ゲームに参加することになった、内気な理系女子大生ゾーイ、冴えないフリーターのベン、元陸軍兵士のアマンダ、裕福な投資家ジェイソン、中年のトラック運転手マイケル、ゲーム愛好家のダニー。6人がシカゴの高層ビルに集まると、外界から隔絶された部屋に閉じ込められ、何の前触れもなく突然ゲームがスタートする。姿の見えないゲームマスターの仕かけた命懸けのゲームに翻弄される6人は、死に物狂いでゲームを進めていくうち、それぞれが過去に大惨事に遭い、その場で唯一の生存者だったという共通した過去を持っていることが明らかになる。

監督は「インシディアス」シリーズ第4作の「インシディアス 最後の鍵」を手がけたアダム・ロビテル。

ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ」(2月28日公開)

初監督作「凱里ブルース」で注目を集めた中国の新世代監督ビー・ガンの第2作。

自分の過去をめぐって迷宮のような世界をさまようことになる男の旅路を描いた。途中に3Dのワンシークエンスショットが入るという演出があり、物語の中盤で主人公が映画館に入り、現実と記憶と夢が交錯する世界に入り込むと同時に、観客も3Dメガネを装着し、その世界を追体験することができる。

父の死をきっかけに、何年も距離を置いていた故郷の凱里へ戻ったルオ・ホンウは、そこで幼なじみである白猫の死を思い起こす。そして同時に、ルオの心をずっと捉えて離れることのなった、ある女性のイメージが付きまとう。香港の有名女優と同じワン・チーウェンと名乗った彼女の面影を追い、ルオは現実と記憶と夢が交わるミステリアスな旅に出る。

劇場版 SHIROBAKO」(2月29日公開)

アニメーション業界の日常や実情、実態を描いて話題を集めたテレビアニメ「SHIROBAKO」の完全新作劇場版。監督は「ガールズ&パンツァー」などの人気作を手がける水島努

いつか必ず一緒にアニメーション作品を作ろうと約束した、上山高校アニメーション同好会の5人。卒業後、アニメ制作会社「武蔵野アニメーション」の制作進行として働く宮森あおいをはじめ、アニメーター、声優、3Dクリエイター、脚本家など、5人はそれぞれの場所や役割でアニメーション制作に携わり、「第三飛行少女隊」で夢に一歩近づくことができた。アニメーションの世界に自分たちの居場所を見つけ、少しだけ成長した5人の前に、新たな苦悩や試練が立ちはだかる。

娘は戦場で生まれた」(2月29日公開)

内戦の続くシリアでスマホで映像を撮り始めた女学生がやがて母となり、娘のために生きた証を残そうとカメラを回し続ける姿を捉え、カンヌ国際映画祭など各国の映画祭で高い評価を得たドキュメンタリー。

ジャーナリストに憧れる学生ワアドは、デモ運動への参加をきっかけにスマホで映像を撮り始める。やがて医師を目指す若者ハムザと出会い、夫婦となった2人の間に、新しい命が誕生する。多くの命が失われる中で生まれた娘に、平和への願いをこめて「空」を意味するサマと名づけたワアド。その願いとは裏腹に内戦は激化し、都市は破壊され、ハムザの病院は街で最後の医療機関となる。明日をも知れぬ身で母となったワアドは、家族や愛する人のために生きた証を映像として残そうと決意する。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

*1:最近のR18+指定で代表的だった「ハウス・ジャック・ビルト」は30館程度だった(こちらはTOHOシネマズなどの国内でも規模が大きいシネコンチェーンでは一切かけられていない)

<週刊興行批評>「パラサイト」の6週目での1位、「1917」の初登場から考える映画の"未来"

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今週は初登場した「1917 命をかけた伝令」、6週目に突入した「パラサイト 半地下の家族」という今年のアカデミー賞を席巻した作品の興収を分析したいと思います。

 

 

1.先週末のランキング

それでは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「パラサイト 半地下の家族」。土日2日間で動員25万9000人、興収3億7200万円をあげ、累計では動員が178万人を突破し、興収も25億円に迫っている。

2位は初登場1917 命をかけた伝令」。土日2日間で動員12万4000人、興収1億8100万円をあげ、初日から3日間の累計では動員17万8000人、興収2億5300万円を記録した。

3位は「犬鳴村」。累計で動員44万6000人、興収5億7800万円を突破した。

4位は「ヲタクに恋は難しい累計で動員55万8000人、興収7億3500万円を突破した。

5位は「AI崩壊」。累計で動員61万1000人、興収7億8600万円を突破。

6位は「アナと雪の女王2」。累計では動員103万人、興収132億円を突破し、歴代興収ランキング17位となった。

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7位は初登場グッドバイ〜嘘からはじまる人生喜劇〜」。初日から3日間の累計では動員4万7400人、興収6100万円をあげた。

8位は「キャッツ」。累計興収は12億円を突破。

9位は「劇場版 騎士竜戦隊リュウソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャー/魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO」。

10位は「カイジ ファイナルゲーム」。累計で動員138万人、興収19億円を突破した。

2.興行チェック!「1917 命をかけた伝令」

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今週、初登場2位にランクインしたのは「1917 命をかけた伝令」。「アメリカン・ビューティー」や「007 スカイフォール」などで知られるサム・メンデス監督最新作。第92回アカデミー賞で撮影賞、視覚効果賞、録音賞の3部門を獲得したことや全編をワンカット風の映像で見せることでも話題の一作だ。

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近年の主な戦争映画との興収比較だが、「ダンケルク」の動員比53%、興収比48%のオープニングとなった。最終興収は7〜10億円あたりに落ち着くだろう。

宣伝では「全編ワンカット」と宣伝はしているものの、正しくはワンカット"風"。だとしても、ワンカットに見せるのは編集技術が進歩し、観客の目も肥えた現代においては至難の技とも言える。しかし、本作でアカデミー賞の撮影賞や視覚効果賞を受賞したことからもワンカットに見せる業がしっかりと評価されたのも納得だ。これからワンカットに見せる映画も増えてくるのかもしれない。編集の技術が進歩したということは裏を返せば、そうしたワンカットに見せる業ができる可能性を拡げてるとも言えるわけでもあるのだから。

3.興行チェック!「パラサイト 半地下の家族」

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今週、ついに1位に輝いた「パラサイト 半地下の家族」。第92回アカデミー賞で外国語映画としては初の作品賞、ポン・ジュノの監督賞と脚本賞、国際長編映画賞(旧名:外国語映画賞)の4部門を受賞したことは日本でも大きくニュースとして報じられた。

ちなみに日本で韓国映画が1位を獲得したのは韓国映画最大のヒットを記録した2005年の「私の頭の中の消しゴム」(累計興収:30.0億円)以来の快挙。「パラサイト」の累計興収も25億円に迫っており、韓国映画の最大のヒットを記録するのは時間の問題だろう。

また、アカデミー賞で作品賞を受賞した作品が1位に輝いたのは2007年の「ディパーテッド」以来。昨年の同時期に指摘したとおりアカデミー賞を受賞した作品が必ずしもヒットするわけではない。だが、昨年の「グリーンブック」の21.5億円につづき、「パラサイト」も20億円超えの大ヒットを記録した。何よりも「グリーンブック」は作品賞受賞直後の週末というタイミングと日本でもしっかりと評判が良かったからというのがあるが、「パラサイト」は6週目での1位。評判が徐々に広がっていったSNS、クチコミ時代のヒットの仕方を如実に表した結果となった。

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評判は聞いても近くでやってないというのもあったかもしれない。しかし、週を追うごとに公開館数を増やしていった。それがアカデミー賞受賞直後となった先週末、一気に86館増やした。それに呼応するようにこの一週間の興収の伸びも跳ね上がった。

公開初週のブログでも書いたが、今観て欲しい作品である。それが見事にアカデミー賞の作品賞受賞、受賞直後の週末ランキング1位に現れたことは今後の日本映画界に良い効果が現れることを願っている。

受賞直後のTwitterには「日本映画」というワードがトレンド入りした。そこには日本映画に対する不満などが多く書かれていた。

「AI崩壊」について語ったときに話したことが自分が思う今の日本映画に対する不満になるのですが、

それに加えていろんな映画を観客が観る環境をもっと整備しなきゃいけないのかなとも思います。

 

「1917」のようなワンカットのように見せる編集や撮影の高さ、「パラサイト」のような話やセットの作り込みの上手さ…そのような技術を今からすぐに日本映画に求めるなんてことはしないし、今すぐにアカデミー賞を狙えるような作品を作れとも言いません。日本映画にも素晴らしい才能を持つクリエイターはいるし、そういう人がちゃんと評価され伸び伸びとする世界であれば、きっと"未来"は開かれるはずです。

色々と書いていきましたが、最後にこれだけ言わせてください。ネット上では吸血鬼に噛まれた高校生が同性を好きになるという設定の映画が「差別的だ」と炎上しています。これについては個人的に色々な思いがありますが、それを含めて今、取り巻く日本の娯楽の様々な問題について自分は「娯楽は商品を作る前に社会を作り、取り込むことを自覚するべきである」と思います。日本の娯楽が"未来"を切り開いてくれることを強く願って締めさせていただきます。

4.今週の注目作

スキャンダル」(2月21日公開)

2016年にアメリカで実際に起こった女性キャスターへのセクハラ騒動をシャーリーズ・セロンニコール・キッドマンマーゴット・ロビーの豪華共演で映画化。

アメリカで視聴率ナンバーワンを誇るテレビ局FOXニュースの元・人気キャスターのグレッチェン・カールソンが、CEOのロジャー・エイルズを提訴した。人気キャスターによるテレビ界の帝王へのスキャンダラスなニュースに、全世界のメディア界に激震が走った。FOXニュースの看板番組を担当するキャスターのメーガン・ケリーは、自身がその地位に上り詰めるまでの過去を思い返し、平静ではいられなくなっていた。そんな中、メインキャスターの座のチャンスを虎視眈々と狙う若手のケイラに、ロジャーと直接対面するチャンスがめぐってくるが……。

ケリー役をシャーリーズ・セロン、カールソン役をニコール・キッドマン、ケイラ役をマーゴット・ロビーが、ロジャー・エイルズ役をジョン・リスゴーが演じる。監督は「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」のジェイ・ローチ、脚本は「マネー・ショート 華麗なる大逆転」でアカデミー賞を受賞したチャールズ・ランドルフシャーリーズ・セロンの特殊メイクを、「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」でアカデミー賞を受賞したカズ・ヒロ(辻一弘)が担当し、今作でもアカデミー賞のメイクアップ&スタイリング賞を受賞した。

ミッドサマー」(2月21日公開) (R15+)

長編デビュー作「ヘレディタリー 継承」が高い評価を集めたアリ・アスター監督の第2作。

不慮の事故により家族を失ったダニーは、大学で民俗学を研究する恋人や友人たち5人でスウェーデンを訪れた。彼らの目的は奥地の村で開催される「90年に一度の祝祭」への参加だった。太陽が沈むことがないその村は、美しい花々が咲き誇り、やさしい住人たちが陽気に歌い踊る、楽園としか形容できない幸福な場のように思えた。しかし、そんな幸せな雰囲気に満ちた村に不穏な空気が漂い始め、妄想やトラウマ、不安、そして恐怖により、ダニーの心は次第にかき乱されていく。

ダニー役を「ファイティング・ファミリー」のフローレンス・ピューが演じるほか、「トランスフォーマー ロストエイジ」のジャック・レイナー、「パターソン」のウィリアム・ジャクソン・ハーパー、「レヴェナント 蘇えりし者」のウィル・ポールターらが顔をそろえる。

スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」(2月21日公開)

志賀晃の同名ミステリー小説を映画化し、北川景子主演でヒットしたサスペンス「スマホを落としただけなのに」の続編。中田秀夫監督が再びメガホンを取り、前作に登場した千葉雄大演じるトラウマを抱えた刑事・加賀谷を主人公に、あの連続殺人事件から数カ月後の新たな事件が描かれる。

長い黒髪の女性ばかりが狙われた連続殺人事件の解決から数カ月後。同じ現場から新たな身元不明の死体が発見された。捜査にあたる刑事・加賀谷は、かつて自分が逮捕した連続殺人鬼・浦野のもとへと向かう。獄中にいる浦野が口にしたのは、浦野が師と仰ぐ「M」というダークウェブ上に存在する謎の人物だった。一方その頃、加賀谷の恋人である美乃里に謎の男の影が迫っていた。

前作に引き続き浦野役を成田凌が演じ、「乃木坂46」の白石麻衣が新たなヒロインの美乃里に扮するほか、鈴木拡樹、井浦新らが共演。前作の主役カップルを演じた北川景子田中圭も特別出演。

チャーリーズ・エンジェル」(2月21日公開)

1976~81年にテレビドラマとして人気を博し、2000年にはキャメロン・ディアスドリュー・バリモアルーシー・リューという人気女優が集結した映画版も大ヒットを記録した「チャーリーズ・エンジェル」をスタッフ&キャストを一新して再映画化。「トワイライト」シリーズなどで人気のクリステン・スチュワート、「アラジン」のジャスミン役でブレイクしたナオミ・スコット、イギリスの新星エラ・バリンスカが新たなエンジェルたちを演じる。

国際機密企業チャーリー・タウンゼント社の女性エージェント組織=通称「チャーリーズ・エンジェル」のサビーナ、エレーナ、ジェーンのもとに、「新開発のエネルギーが兵器化される」という情報がもたらされ、それを阻止すべく3人は命を懸けた戦いに挑む。

ピッチ・パーフェクト」のエリザベス・バンクスが監督を務め、自らも出演。姿を見せないチャーリーに代わり、エンジェルたちに指令を出すボスレー役を務める。

Red」(2月21日公開) (R15+)

直木賞作家の島田理生による、センセーショナルな内容が話題を呼んだ小説「Red」を、夏帆妻夫木聡の共演、「幼な子われらに生まれ」「繕い裁つ人」の三島有紀子監督のメガホンで映画化。

誰もがうらやむ夫とかわいい娘を持ち、恵まれた日々を送っているはずの村主塔子だったが、どこか行き場のない思いも抱えていた。そんなある日、塔子は10年ぶりにかつて愛した男・鞍田秋彦と再会。塔子の気持ちを少しずつほどいていく鞍田だったが、彼にはある秘密があった。

主人公の塔子を夏帆、塔子がかつて愛した男・鞍田を妻夫木聡が演じるほか、塔子に好意を抱く職場の同僚・小鷹淳役で柄本佑、塔子の夫・村主真役で間宮祥太朗が共演する。

デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆」(2月21日公開)

人気アニメ「デジモン」シリーズの20周年を記念して製作された劇場版。

1999年放送のテレビシリーズから始まった、八神太一&アグモンら“選ばれし子どもたち”とパートナーデジモンたちの成長と絆を描いた「デジモンアドベンチャー」シリーズの劇場版で、大学生になった太一たちが、再び起こった世界の異変に立ち向かう。また、2000年放送のテレビシリーズ第2作「デジモンアドベンチャー02」の“選ばれし子どもたち”である本宮大輔らも成長した姿で登場する。太一とアグモンたちが出会い、デジタルワールドを冒険した夏から10年以上がたった2010年。世界中の“選ばれし子どもたち”の周囲で、ある事件が起こり始める。その原因が「エオスモン」と呼ばれるデジモンにあることを知った太一たちは、エオスモンとの戦いに身を投じるが、その中でアグモンたちの“進化”に異変が起こる。

名もなき生涯」(2月21日公開)

ツリー・オブ・ライフ」「シン・レッド・ライン」の巨匠テレンス・マリックが、第2次世界大戦時のオーストリアで、ヒトラーへの忠誠を拒み信念に殉じた実在の農夫の物語を映画化したヒューマンドラマ。

第2次世界大戦下のオーストリア。山と谷に囲まれた美しい村で、妻フランチスカと3人の娘と暮らしていたフランツは、激化する戦争へと狩り出されるが、ヒトラーへの忠誠を拒んだことで収監される。裁判を待つフランツをフランチスカは手紙で励ますが、彼女自身もまた、裏切り者の妻として村人たちから酷い仕打ちを受けていた。

ナチスに加担するよりも自らの信念に殉じ、後に列福されたフランツを「イングロリアス・バスターズ」「マルクス・エンゲルス」のアウグスト・ディール、妻フランチスカを「エゴン・シーレ 死と乙女」のバレリー・パフナーが演じた。また、2019年2月に他界した名優ブルーノ・ガンツが判事役を務めている。

スウィング・キッズ」(2月21日公開) (PG12)

K-POPグループ「EXO」のD.O.が主演を務め、タップダンスチームが人種やイデオロギーを超えてダンスで絆を深めていく姿を描いた韓国映画。日本でもリメイクされた大ヒット作「サニー 永遠の仲間たち」のカン・ヒョンチョル監督作で、ビートルズデビッド・ボウイ、スウィングジャズのスタンダードナンバーであるベニー・グッドマンの「シング・シング・シング」など名曲の数々が物語を彩る。

1951年、巨済島捕虜収容所に新しく赴任してきた所長は、対外的イメージアップのために戦争捕虜でダンスチームを結成するプロジェクトを計画する。収容所一番のトラブルメイカーであるロ・ギス、4カ国語を駆使する通訳者ヤン・パンネ、行方不明になった妻を捜す民間人捕虜のカン・ビョンサム、ダンスの実力を持ちながら栄養失調の中国人捕虜シャオパン、前職はブロードウェイタップダンサーの黒人下士官ジャクソンが集まり「スウィング・キッズ」が結成された。そんな寄せ集めダンスチームにある公演の話が舞い込む。

D.O.がロ・ギス役を演じるほか、ブロードウェイミュージカルの最優秀ダンサーに授与される「アステア賞」の受賞者であるジャレッド・グライムスがジャクソン役を演じる。

ダンサー そして私たちは踊った」(2月21日公開) (PG12)

ジョージアの国立舞踏団を舞台に若きダンサーたちが織り成すドラマを描き、第92回アカデミー賞国際長編映画(外国語映画)部門のスウェーデン代表に選出された作品。

ジョージアの国立舞踊団で、ダンスパートナーのマリとともに幼少期からトレーニングを積んできたメラブ。カリスマ的な魅力を持つ新星イラクリの登場により、彼の世界は大きく動き出す。メラブの中に芽生えたライバル心は、やがて抗えない欲望へと変化していく。

ジョージアスウェーデン人の新鋭レバン・アキンがメガホンをとった。

COMPLY+-ANCE コンプライアンス」(2月21日公開)

俳優のほか「齊藤工」名義で映画監督としても活動している斎藤工が、企画・原案・撮影・脚本・監督ほかを務めた映画。

加速する自主規制の波に対する忖度やコンプライアンス問題に一石を投じようと製作された一作で、日本における表現の限界に挑戦。規制もないのに少しでも問題が起こらないよう、あらゆる表現が控えめになってしまう日本の今のコンプライアンスにアンチテーゼを投げかける。

カメラを止めるな!」のヒロイン役で注目された秋山ゆずきを主演に、お笑いコンビ「アルコ&ピース」の平子祐希、「ラバーガール」の大水洋介、齊藤監督の前作「blank13」にも出演した曇天三男坊らが脇を固める。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評> 福田雄一監督の「ヲタクに恋は難しい」が初登場No.1!

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今週は初登場した「ヲタクに恋は難しい」の興収を分析したいと思います。

 

 

1.先週末のランキング

それでは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は初登場ヲタクに恋は難しい」。土日2日間で動員16万9000人、興収2億2900万円をあげ、初日から3日間の累計では動員22万人、興収3億円を超える好スタートとなっている。

2位は初登場犬鳴村」。土日2日間で動員11万6000人、興収1億5500万円をあげ、初日からの3日間の累計では動員15万人、興収2億円を超えた。昨年公開された「貞子」と比較して動員比98%、興収比95%とほぼ変わらないスタートとなった。

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3位は「AI崩壊」。土日2日間で動員8万8000人、興収1億1800万円をあげ、累計興収は5億5500万円を突破した。

4位は「パラサイト 半地下の家族累計では動員113万人を突破し、興収は16億円が目前となっている。

5位は初登場劇場版 騎士竜戦隊リュウソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャー/魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO」。

6位は「キャッツ」。累計で興収10億円を突破。

7位は「アナと雪の女王2」。累計興収は130億7900万円を突破。歴代興収ランキング18位のままだ。

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8位は「カイジ ファイナルゲーム」。累計で動員130万人、興収18億円を突破。

9位は「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」。累計興収が70.6億円となり、歴代興収ランキング91位にランクインしている。

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10位は「バッドボーイズ フォー・ライフ」。累計で動員18万4700人、興収2億3800万円を突破した。

 

2.興行チェック!「ヲタクに恋は難しい

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今週1位に初登場したのは「ヲタクに恋は難しい」。隠れ腐女子のOLと重度のゲームオタク(ヲタク)の幼なじみが繰り広げる不器用な恋模様を描いたコミックを高畑充希山崎賢人が主演、「勇者ヨシヒコ」「銀魂」シリーズの福田雄一監督が実写映画化。

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ここ最近の福田雄一監督作品のオープニングを比較すると次のとおり。「斉木楠雄のΨ難」との動員比108%、興収比118%というスタートを切り、最終興収も10〜15億円となりそうだ。

福田雄一監督は映画では「HK 変態仮面」、「銀魂」、「斉木楠雄のΨ難」、ドラマでは「アオイホノオ」、「スーパーサラリーマン左江内氏」、「今日から俺は!!」、「聖☆おにいさん」と数々の漫画の実写化をしてきた監督の一人。ムロツヨシ佐藤二朗を毎回起用し、今作でも山崎賢人菜々緒賀来賢人若月佑美といった福田雄一監督作品でも見かけるキャストで固めている。これに対して疑問の声が上がることもなくはないが、ここまでのキャストを集めて、毎度ヒットを飛ばすことをハイペースでしているのは改めてすごいと思わせてくれる。

今年は福田雄一監督の作品が今作を含めて3作品ある。7月にはドラマとしても大ヒットした「今日から俺は!! 劇場版」、12月には大泉洋を主演に迎えた「新解釈・三國志」が控えている。今年はより福田雄一監督作品について語る日も増えそうだ。

 

3.今週の注目作

1917 命をかけた伝令」(2月14日公開)

「007 スペクター」「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」などで知られる名匠サム・メンデスが、第1次世界大戦を舞台に描く戦争ドラマ。

若きイギリス兵のスコフィールドとブレイクの2人が、兄を含めた最前線にいる仲間1600人の命を救うべく、重要な命令を一刻も早く伝達するため、さまざまな危険が待ち受ける敵陣に身を投じて駆け抜けていく姿を、全編ワンカット撮影で描いた。1917年4月、フランスの西部戦線では防衛線を挟んでドイツ軍と連合国軍のにらみ合いが続き、消耗戦を繰り返していた。そんな中、若きイギリス兵のスコフィールドとブレイクは、撤退したドイツ軍を追撃中のマッケンジー大佐の部隊に重要なメッセージを届ける任務を与えられる。

戦場を駆け抜ける2人の英国兵をジョージ・マッケイ、ディーン・チャールズ=チャップマンという若手俳優が演じ、その周囲をベネディクト・カンバーバッチコリン・ファースマーク・ストロングらイギリスを代表する実力派が固めた。撮影は「007 スペクター」でもメンデス監督とタッグを組み、「ブレードランナー 2049」でアカデミー賞を受賞した名手ロジャー・ディーキンス。第92回アカデミー賞では作品賞、監督賞を含む10部門でノミネートされ撮影賞、録音賞、視覚効果賞を受賞した。

影裏」(2月14日公開)

第157回芥川賞を受賞した沼田真佑の小説「影裏(えいり)」を、綾野剛松田龍平の共演で映画化したヒューマンミステリー。「るろうに剣心」「3月のライオン」の大友啓史監督がメガホンを取り、自身の出身地である岩手県を舞台に描いた。

転勤で岩手に移り住んだ今野は、慣れない土地で出会った同僚の日浅に心を許し、次第に距離を縮めていく。2人で酒を酌み交わし、釣りをし、遅れてやってきたかのような成熟した青春の日々に、今野は心地よさを感じていた。しかし、ある日突然、日浅は何も言わずに会社を辞めてしまう。しばらくして再会を果たした2人だったが、一度開いた距離が再び縮まることはなく、その後は顔をあわせることなく時が流れていく。そしてある時、日浅が行方不明になっていることを知った今野は、日浅を捜すが、その過程で日浅の数々の影の顔、裏の顔を知ってしまう。

グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇」(2月14日公開)

太宰治の未完の遺作「グッド・バイ」をケラリーノ・サンドロヴィッチが独自の視点を交えたスクリューボールコメディとして「グッドバイ」のタイトルで戯曲化、演出した舞台を大泉洋小池栄子主演で映画化。

戦後の復興期、文芸雑誌の編集長・田島周二は何人もの愛人を抱えていた。さすがにこのままではまずいと思った田島は彼女たちと別れる決心を固めるが、愛人たちを前にすると優柔不断な性格が災いし、別れを切り出すことが出来ずにいた。困り果てた田島は、ガサツで金に金にがめつい担ぎ屋・キヌ子に女房を演じてくれと頼み込む。しかし、泥だらけの顔を洗ったキヌ子は誰もが振り返る美しい女性だった。

大泉洋が田島役を、小池栄子が舞台版でも演じたキヌ子役をそれぞれ演じるほか、水川あさみ橋本愛緒川たまき木村多江濱田岳松重豊らが顔をそろえる。監督は「八日目の蝉」「ソロモンの偽証」の成島出

屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ」(2月14日公開) (R15+)

ソウル・キッチン」「女は二度決断する」のファティ・アキン監督が、1970年代のドイツ・ハンブルクに実在した5年間で4人の娼婦を殺害した連続殺人犯の日常を淡々と描いたサスペンスホラー。

第2次世界大戦前に生まれ、敗戦後のドイツで幼少期を過ごしたフリッツ・ホンカ。彼はハンブルクにある安アパートの屋根裏部屋に暮らし、夜になると寂しい男と女が集まるバー「ゴールデン・グローブ」に足繁く通い、カウンターで酒をあおっていた。フリッツがカウンターに座る女に声をかけても、鼻が曲がり、歯がボロボロな容姿のフリッツを相手にする女はいなかった。フリッツは誰の目から見ても無害そうに見える男だった。そんなフリッツだったが、彼が店で出会った娼婦を次々と家に招き入れ、「ある行為」に及んでいたことに、常連客の誰ひとりも気づいておらず……。

ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏」(2月14日公開) (PG12)

美少年作家としてアメリカの文壇に登場し、またたく間に時代の寵児となったものの、実は2人の女性が作り上げた架空の作家だったことから一大スキャンダルとなったJ・T・リロイにまつわる事件を、クリステン・スチュワート主演で映画化。

娼婦として生きる母と息子を描いた映画「サラ、いつわりの祈り」の原作者として知られ、その才能と美貌から多くのセレブを魅了したリロイ。しかし、後にローラという女性が50ドルで雇った女性サヴァンナにリロイを演じさせていたことが明らかになり、リロイが架空の人物であることが判明。サヴァンナはなぜ、ローラの言われるままに数年もの間リロイを演じ続けたのか。この事件のてん末をサヴァンナの視点から描いていく。

サヴァンナ役をクリステン・スチュワート、ローラ役をローラ・ダーンがそれぞれ演じ、ダイアン・クルーガージム・スタージェスコートニー・ラブらが脇を固める。

ACCA13区監察課 Regards」(2月14日公開)

オノ・ナツメによる人気コミックをアニメ化した「ACCA13区監察課」のOVA。13の自治区に分かれた王国で、国民の生活を守るため、政治と切り離された民間組織として組成された「ACCA(アッカ)」に所属する主人公ジーン・オータスを中心に描かれる群像劇で、2017年1~3月に放送されたテレビアニメから1年後を、テレビアニメ版のスタッフ&キャストが再結集し、オリジナルストーリーで描く。

クーデター騒ぎから1年がたった、ドーワー王国の首都バードン。新体制となったACCAでは、その1周年を祝う祭事を間近に控ていた。ジーンたち監察課も準備に追われ、それぞれの思いが交錯する中で、止めていた時間が再び動き出す。

性の劇薬」(2月14日公開) (R18+)

男同士の過激な監禁・SM・調教を描き、累計100万ダウンロードを突破した電子BLコミックを、R18+指定で実写映画化。

一度は命を捨てようとした男が監禁・SM・調教を通して再生していく姿を、男同士でひかれ合っていく心情や濃厚で過激なベッドシーン、SMシーンを交えながら描いていく。それまで歩んできた完璧な人生から滑り落ちたエリートサラリーマンの桂木は絶望し、酔った勢いで飛び降り自殺をはかる。そこへ現れた謎の男・余田に「捨てるならば、その命を俺に寄こせ」と言われて助けられた桂木だったが、それが恐ろしい監禁調教生活の始まりとなる。

「悦楽交差点」や「私の奴隷になりなさい」(第2章&第3章)ほか、数々の劇場映画やVシネマを手がける城定秀夫がメガホンをとった。

囀る鳥は羽ばたかない The clouds gather」(2月15日公開) (R18+)

累計発行部数140万部を超えるヨネダコウの人気BLコミック「囀る鳥は羽ばたかない」をアニメ映画化。

被虐趣味で好色な一面を持つ真誠会若頭の矢代。そんな彼のもとに、傷害事件を起こし服役していた元警察官の百目鬼が、付き人兼用心棒として雇われる。自己矛盾を抱えて生きる矢代と、愚直なまでに矢代に従う百目鬼。互いの欠落を補いながら、次第にひかれ合っていく2人だったが……。

ドラマCDに続き、矢代の声を新垣樽助、百目⻤の声を羽多野渉がそれぞれ担当。テレビアニメ「BANANA FISH」の演出を手がけた牧田佳織が監督を務める。フジテレビによるBLに特化したアニメレーベル「BLUE LYNX」の第1作。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

 

<週刊興行批評>「AI崩壊」初登場1位から考えるメジャー邦画の現状

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今週は初登場した「AI崩壊」の興収を分析したいと思います。

 

 

1.先週末のランキング

それでは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は初登場AI崩壊」。土日2日間で動員16万5000人、興収2億300万円をあげ、初日からの3日間では動員21万3600人、興収2億6700万円をあげている。

2位は「キャッツ」。土日2日間で動員13万6000人、興収1億7200万円をあげ、累計では、まもなく動員60万人、興収8億円に達する。

3位は「パラサイト 半地下の家族」。週末2日間で動員11万2000人、興収1億4700万円をあげ、累計で動員93万人、興収13億円を突破した。

4位は「カイジ ファイナルゲーム累計で動員120万人、興収16億円を突破。

5位は「アナと雪の女王2」。累計で動員1016万人、興収129億7000万円を突破し、歴代興収ランキング18位に順位をあげた。

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6位は初登場バッドボーイズ フォー・ライフ」。初日からの3日間で動員9万4700人、興収1億1900万円をあげた。

7位は「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」。累計で動員463万人、興収69億円を突破。

8位は初登場ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」。初日からの3日間で動員7万人、興収8955万円をあげた。

9位は初登場嘘八百 京町ロワイヤル」。初日からの3日間で動員6万5500人、興収8030万円をあげた。

10位は「ラストレター」。累計で動員45万4700人、興収5億9000万円を突破した。

前田建設ファンタジー営業部」は初日からの3日間で動員4万4450人、興収5330万円をあげたが、惜しくも11位のスタートとなった。

2.興行チェック!「AI崩壊」

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今週1位に初登場したのは「AI崩壊」。10年後の日本を舞台にし、AIを題材に描いた近未来サスペンス。「22年目の告白 -私が殺人犯です-」の入江悠監督が自らオリジナル脚本をしたことでも話題の一作だ。

初週末の土日2日間で動員16万5000人、興収2億300万円をあげた。これは「22年目の告白」(累計興収:24.1億円)のオープニング成績(動員23万3500人、興収3億2100万円)に比べ、動員比71%、興収比63%となった。最終興収も15億円あたりとなりそうだ。

ちなみに邦画が1位に輝いたのは2019年9月の「記憶にございません!」以来4ヶ月ぶり。久々なのだが、邦画が不発だったわけでは決してない。これは2019年の興収10億円を突破した作品を掲載した日本映画製作者連盟のリストだ。洋画が25本に対して、邦画は40本と上回っている状況だ。

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この邦高洋低の状況は2000年代後半から続いている状況なので別に不思議ではないのだが、問題は邦画の40本の中にオリジナル企画がいくつ入っているかだ。ドラマや漫画、小説などを原作にしたもの、アニメを抜くと9位に入っている「記憶にございません!」以外に入ってないのだ。しかも、三谷幸喜監督という誰もが知っているネームバリューがある。それだけ、邦画でオリジナル企画をしかもメジャーな会社で通すのが難しいのが現状だ。決して、原作ものが悪いわけではなく、やはりメジャー映画会社がオリジナル企画を通す土壌も必要だと感じる。

先日、発表された日本アカデミー賞の優秀賞でもそうだが、果たしてこのまま邦画がこの体制で良いのかは些か疑問だ。純粋にもっと邦画でも評価されなければならない作品や人材はたくさんいるのにこの作品を優秀賞として受賞させた上で最優秀賞として評価されて良いのか。もっとこうした賞から評価を与えられる人や作品があるのではないかと感じる。そうした評価や土壌が邦画の成長に繋がると強く感じる。

少々脱線したが、「AI崩壊」が評価がどうであれ、ワーナーがオリジナル企画を通した力、そして初登場1位というスタートはこれからの邦画に何か引っかかっても良いのではないかと考える。

今週以降「ヲタクに恋は難しい」、「犬鳴村」、「スマホを落としただけなのに」の続編、三池崇史監督の「初恋」が公開され、しばらく邦画作品が映画界を賑わせることになるだろう。

ワーナーも2020年は「仮面病棟」や「太陽は動かない」、「ぐらんぶる」や「とんかつDJアゲ太郎」、そして「るろうに剣心 最終章」といった漫画原作の実写映画が公開待機している。2020年、邦画はどんな道を見せてくるのだろうか。

3.今週の注目作

ヲタクに恋は難しい」(2月7日公開)

隠れ腐女子のOLと重度のゲームオタク(ヲタク)の幼なじみが繰り広げる不器用な恋模様を描き、2018年にはテレビアニメ化もされた人気コミックを実写映画化。高畑充希山崎賢人を主演に、「勇者ヨシヒコ」「銀魂」シリーズの福田雄一監督がメガホンをとった。

26歳OLの桃瀬成海は、転職先の会社で幼なじみの二藤宏嵩と再会する。ルックスが良く仕事もできる宏嵩は、実は重度のゲームヲタク。そして成海もまた、マンガやゲーム、コスプレ、そして何よりBLを愛する腐女子だった。周囲にヲタクだとバレる「ヲタバレ」を恐れている成海は、普段は本性を隠している「隠れ腐女子」だったが、ヲタク仲間の宏嵩の前では本当の自分をさらけ出すことができた。やがて、ヲタク同士ならば快適に付き合えるのではないかという宏嵩の提案もあり、2人は付き合うことになるのだが……。

ハスラーズ」(2月7日公開) (PG12)

リーマンショック後のニューヨークを舞台に、ストリップクラブで働く女性たちがウォール街の裕福なサラリーマンたちから大金を奪う計画を立てたという実話を、ジェニファー・ロペスと「クレイジー・リッチ!」のコンスタンス・ウーのダブル主演で映画化。

年老いた祖母を養うためストリップクラブで働き始めたデスティニーは、そこでひときわ輝くストリッパーのラモーナと出会う。ストリッパーとしての稼ぎ方を学び、ようやく安定した生活が送れるようになってきたデスティニーだったが、2008年に起こったリーマンショックによって経済は冷え込み、不況の波はストリップクラブで働く彼女たちにも押し寄せる。いくら働いても自分たちの生活は向上しない一方、経済危機を起こした張本人であるウォール街のエリートたちの裕福な暮らしは変わらず、その現実に不満を募らせたラモーナが、デスティニーやクラブの仲間を誘い、ウォール街の裕福なクライアントから大金をだましとる計画を企てる。

犬鳴村」(2月7日公開)

呪怨」シリーズなどで知られるホラー映画の名手・清水崇監督が、福岡県に実在する心霊スポットを舞台に描くホラー。主演は「ダンスウィズミー」の三吉彩花

臨床心理士の森田奏の周辺で奇妙な出来事が次々と起こりだし、その全てに共通するキーワードとして、心霊スポットとして知られる「犬鳴トンネル」が浮上する。突然死したある女性は、最後に「トンネルを抜けた先に村があって、そこで○○を見た……」という言葉を残していたが、女性が村で目撃したものとは一体なんだったのか。連続する不可解な出来事の真相を突き止めるため、奏は犬鳴トンネルへと向かうが……。

主人公の奏役を三吉彩花が演じ、坂東龍汰、大谷凛香、古川毅、奥菜恵寺田農石橋蓮司高嶋政伸高島礼子らが脇を固める。

グッドライアー 偽りのゲーム」(2月7日公開)

「クィーン」でアカデミー主演女優賞を受賞したヘレン・ミレンと、2度のオスカーノミネートを誇る「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのイアン・マッケランという、ともにイギリスを代表する2人の名優が共演したクライムミステリー。ニコラス・サールの小説「老いたる詐欺師」を原作に、夫を亡くした資産家と冷酷な詐欺師が繰り広げるだまし合いを、「美女と野獣」「ドリームガールズ」のビル・コンドン監督のメガホンで描く。

インターネットの出会い系サイトを通じて知り合った老紳士のロイと未亡人のベティ。実はベテラン詐欺師のロイは、夫を亡くしてまもない資産家ベティから全財産をだまし取ろうと策略をめぐらせていた。世間知らずのベティは徐々にロイのことを信頼するようになるのだが、単純な詐欺のはずだった計画は徐々に思いがけない方向へと進んでいき……。

グリンゴ 最強の悪運男」(2月7日公開) (PG12)

正直者でお人よしな性格から貧乏くじばかり引いている男の逆転劇を痛快に描いた、シャーリーズ・セロン製作&出演のエンタテインメントドラマ。

朝から晩までまじめに働いていたハロルド。会社からクビを言い渡され、友人だと思っていた経営者にだまされ、最愛の妻まで横取りされてしまう。人生のどん底に突き落とされたハロルドは上司のリチャードと性悪女のエレーンへの復讐のため、出張先のメキシコで偽装誘拐を企て身代金5億円を奪う作戦を実行する。しかし、ハロルドが死ねば会社に保険金が入ることに気づいたリチャードは殺し屋を雇い、ハロルド殺害をもくろむが……。

「グローリー 明日への行進」でゴールデングローブ賞にノミネートされたデビッド・オイェロウォが主人公ハロルド役を演じるほか、リチャード役をジョエル・エドガートン、エレーン役をセロンがそれぞれ演じる。

ロニートとエスティ 彼女たちの選択」(2月7日公開) (PG12)

ナチュラルウーマン」で第90回アカデミー外国語映画賞を受賞したチリのセバスティアン・レリオ監督が、「ナイロビの蜂」のレイチェル・ワイズ&「きみに読む物語」のレイチェル・マクアダムスをダブル主演に描く恋愛映画。イギリスの女性作家ナオミ・オルダーマンの自伝的デビュー作をもとに、厳格なユダヤ・コミュニティで育った女性2人の赦されざる愛を描く。

超正統派ユダヤ・コミュニティで生まれ育ったロニートエスティは互いにひかれ合うが、コミュニティの掟は2人の関係を許さなかった。やがてロニートユダヤ教指導者の父と信仰を捨てて故郷を去り、残されたエスティは幼なじみと結婚してユダヤ社会で生きることに。時が経ち、父の死をきっかけにロニートが帰郷し、2人は再会を果たす。心の奥に封印してきた熱い思いが溢れ、信仰と愛の間で葛藤する2人は、本当の自分を取り戻すため、ある決断をする。

ザ・ピーナッツバター・ファルコン」(2月7日公開)

ツキに見放された漁師と施設から脱走したダウン症の青年、施設の看護師の3人による青年の夢をかなえるための冒険の旅を描いたヒューマンドラマ。

養護施設で暮らすダウン症のザックは、子どもの頃からの夢だったプロレスラーの養成学校に入るため施設を脱走する。兄を亡くして孤独な日々を送る漁師のタイラーは、他人の獲物を盗んでいたことがバレたことから、ボートでの逃亡を図る。そんなタイラーと偶然に出会ったザック、そしてザックを捜すためにやってきた施設の看護師エレノアも加わり、3人はザックのためにある目的地へと向かう。

タイラー役をシャイア・ラブーフ、エレノア役をダコタ・ジョンソン、ザック役を作品製作のきっかけとなったザック・ゴッツァーゲンが演じ、ジョン・ホークストーマス・ヘイデン・チャーチらが脇を固める。監督は本作が長編初監督作となるタイラー・ニルソン&マイケル・シュワルツ。

37セカンズ」(2月7日公開) (PG12)

出生時に37秒間呼吸ができなかったために、手足が自由に動かない身体になってしまった女性の自己発見と成長を描き、第69回ベルリン国際映画祭パノラマ部門で観客賞とCICAEアートシネマ賞を受賞した人間ドラマ。

脳性麻痺の貴田夢馬(ユマ)は、異常なほどに過保護な母親のもとで車椅子生活を送りながら、漫画家のゴーストライターとして空想の世界を描き続けていた。自立するためアダルト漫画の執筆を望むユマだったが、リアルな性体験がないと良い漫画は描けないと言われてしまう。ユマの新しい友人で障がい者専門の娼婦である舞は、ユマに外の世界を見せる。しかし、それを知ったユマの母親が激怒してしまい……。

主人公のユマと同じく出生時に数秒間呼吸が止まったことによる脳性麻痺を抱えながらも社会福祉士として活動していた佳山明が、オーディションで見いだされ主演に抜てき。母親役を神野三鈴、主人公の挑戦を支えるヘルパー・俊哉役を大東駿介、友人・舞役を渡辺真起子がそれぞれ演じる。ロサンゼルスを拠点に活動するHIKARI監督の長編デビュー作。

静かな雨」(2月7日公開)

映画化もされた本屋大賞受賞作「羊と鋼の森」で知られる宮下奈都が2004年に発表した小説デビュー作を、「ポンチョに夜明けの風はらませて」「町田くんの世界」の仲野太賀と、「乃木坂46」を卒業し、これが映画初出演となる衛藤美彩のダブル主演で映画化。

大学で生物考古学研究助手をしている行助は、こよみという女性が1人で経営するたい焼き屋に通うようになり、2人は徐々に親しくなっていく。しかしある朝、こよみは交通事故に遭い、意識不明となってしまう。こよみは奇跡的に意識を取り戻すが、事故の後遺症で記憶に障害があることが判明する。事故以前の記憶は残っているが、意識を取り戻してからの記憶は1日経つと消えてしまう。行助は新たな記憶が刻まれることのないこよみと、以前と変わらずに接していこうとするが……。

監督は「四月の永い夢」の中川龍太郎。2019年・第20回東京フィルメックス観客賞受賞。

アントラム 史上最も呪われた映画」(2月7日公開)

「映画史上最も呪われた映画」として40年近く封印されてきた映画「アントラム」に関するドキュメンタリー。

1970年代にアメリカで製作された映画「アントラム」は、「見た者に不幸をもたらす」「恐すぎる」と噂され、公開されることなく葬り去られるはずだった。しかし88年、ハンガリーのブタペストで世界初上映が行われると、上映中に火災が発生し、56人の犠牲者を出す大惨事となる。その後もいくつかの映画祭で上映が企画されたものの関係者が次々と謎の死を遂げ、「アントラム」は「呪われた映画」として誰も触れようとしない作品となる。そんないわくつきの映画を長年にわたり調査していたドキュメンタリー映画作家のマイケル・ライシーニとデビッド・アミトが、行方知れずになっていた「アントラム」の35ミリフィルムを発見。新たに撮影された関係者や研究者たちの証言を交え、同作の封印を解く。

スーパー戦隊MOVIEパーティー」(2月8日公開)

「劇場版 騎士竜戦隊リュウソウジャーVSルパンレンジャーVSパトレンジャー」

2019年3月から放送のスーパー戦隊43作目「騎士竜戦隊リュウソウジャー」と、前年に放送された「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」から戦隊が集結する劇場版。

ギャングラーの残党「ガニマ」により、ティラミーゴたち騎士竜が金庫に閉じ込められてしまい、リュウソウジャーたちは騎士竜を助け出すために戦う。ガニマを追うバンバとトワの前には国際警察の圭一郎が現れ、戦いで傷ついたコウには魁利が快盗として協力する。捕らわれた騎士竜たちに危機が迫る中、リュウソウジャー、ルパンレンジャー、パトレンジャーという3つの戦隊が期せずして出会う。

「魔進戦隊キラメイジャー エピソードZERO」

東映スーパー戦隊シリーズ44作目「魔進戦隊キラメイジャー」の劇場版。

宝石と乗り物をモチーフに、不思議なパワーと意志を秘めた美しい宝石「キラメイストーン」に戦士として選ばれた5人が、人々から希望や輝きを奪おうとする闇の軍団との戦いを繰り広げる。キラメイストーンは戦士の個性と共鳴して巨大な乗り物=「魔進(マシン)」に変形し、戦士と魔進のタッグも見どころになる。スーパー戦隊シリーズ史上初の試みとして、2020年3月のテレビ放送開始を前に、劇場用映画となる本作が公開。

スーパー戦隊MOVIEパーティー」と題して2本立て上映。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

 

<週刊興行批評>「キャッツ」、日本ではヒットするのか?

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今週は「パラサイト 半地下の家族」と初登場した「キャッツ」の興収を分析したいと思います。

 

 

1.先週末のランキング

それでは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は初登場キャッツ」。土日2日間で動員19万人、興収2億6200万円をあげ、初日から3日間の累計では動員26万人、興収3億5000万円に達する好スタートを切った。

2位は「カイジ ファイナルゲーム」。土日2日間で動員13万9000人、興収1億9800万円をあげ、累計では動員100万人、興収14億円を突破した。

3位は「アナと雪の女王2」。土日2日間で動員12万9000人、興収1億6700万円をあげ、累計では、動員1000万人、興収127億円を突破し、歴代興収ランキングで「スター・ウォーズ/エピソード1 ファントム・メナス」を抜き19位となっている。

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4位は「パラサイト 半地下の家族累計で動員68万人、興収9億6700万円を突破。

5位は「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」。累計で動員450万人、興収67億円を突破。

6位は「ラストレター」。累計で動員33万4000人、興収4億3700万円を突破。

7位は「記憶屋 あなたを忘れない」。累計で動員23万2000人、興収2億9000万円を突破。

8位は「フォードvsフェラーリ」。累計興収は7億3200万円を突破。

9位は「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジン」。4D RISING(4D版)上映を開始したことによりランクアップ。累計は動員121万人、興収15億円を突破。

10位は「劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明」。累計興収は2億3500万円を突破した。

 

2.興行チェック!「パラサイト 半地下の家族」

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今週は4位にランクインした「パラサイト 半地下の家族」。1月27日時点で興収が10億円を突破。韓国映画で10億円を突破したのは2010年の「サヨナライツカ」以来となるが、「サヨナライツカ」が中山美穂が久々の主演で話題となっただけあって、ここまで純粋に韓国映画というカテゴリーでヒットしたのは十数年ぶりの快挙となる。

再来週に迫ったアカデミー賞授賞式までにどこまでヒットするだろうか。まだまだ目が離せない。

3.興行チェック!「キャッツ」

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今週1位に初登場したのは「キャッツ」。日本公演も行われており、知名度の高いミュージカルを「レ・ミゼラブル」のトム・フーパー監督により映画化。

日本公開1ヶ月前から世界中でも公開されていたが、トマトメーターの低さや失敗作といった酷評の声が溢れたことは日本のネットでも話題になったくらいだった。

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製作費が9500万ドルなのに対し、現在、全世界でも6500万ドルしか稼ぎ出せておらず、70〜80億円もの赤字を計上するのではないか?とも言われている状況で日本でも影響があるのかとも考えましたが、

ミュージカル映画では珍しい(キャストもかなり気合を入れてる)吹替版が話題になったのか、ネットでの酷評が足を運ばせたのか、そもそも名の知れたミュージカル作品でもあるのか、土日2日間で動員19万人、興収2億6200万円をあげるヒットスタートとなった。

過去のミュージカル映画と比較すると「レ・ミゼラブル」の興収比88%、「ラ・ラ・ランド」の興収比63%、「グレイテスト・ショーマン」の興収比67%とそこまで悪くないスタートになったと考えていいだろう。

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日本でもミュージカル映画として上々なスタートとなったが、問題は今後だ。レミゼなどはクチコミで息の長い40〜50億円というヒットを記録したが、「キャッツ」にそうした側面があるのかは疑問(filmarksでも3.1とそこまで高くはない)ではある。だとしても、15〜30億円近くの大ヒットを記録し、ミュージカル映画としては御の字になるのではないのでしょうか。だとしても、日本で今作の赤字を埋め尽くすことは難しいでしょうが…

4.今週の注目作

ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」(1月31日公開)

スター・ウォーズ/最後のジェダイ」のライアン・ジョンソン監督が、アガサ・クリスティーに捧げて脚本を執筆したオリジナルの密室殺人ミステリー。「007」シリーズのダニエル・クレイグ、「キャプテン・アメリカ」「アベンジャーズ」シリーズのクリス・エヴァンスら豪華キャストが顔をそろえる。

世界的ミステリー作家ハーラン・スロンビーの85歳の誕生日パーティーが彼の豪邸で開かれた。その翌朝、ハーランが遺体となって発見される。依頼を受けた名探偵ブノワ・ブランは、事件の調査を進めていく。莫大な資産を抱えるハーランの子どもたちとその家族、家政婦、専属看護師と、屋敷にいた全員が事件の第一容疑者となったことから、裕福な家族の裏側に隠れたさまざまな人間関係があぶりだされていく。

名探偵ブラン役をダニエル・クレイグ、一族の異端児ランサム役をクリス・エヴァンスが演じるほか、クリストファー・プラマー、アナ・デ・アルマス、ジェイミー・リー・カーティスらが出演。

AI崩壊」(1月31日公開)

22年目の告白 私が殺人犯です」の入江悠監督が自身のオリジナル脚本で、AIを題材に描いた近未来サスペンス。

2030年、天才科学者の桐生浩介が亡き妻のために開発した医療AI「のぞみ」は、年齢、年収、家族構成、病歴、犯罪歴といった全国民の個人情報と健康を管理していた。いまや社会インフラとして欠かせない存在となった「のぞみ」だったが、ある時突然、暴走を開始。AIが生きる価値のない人間を選別して殺戮するという、恐るべき事態が巻き起こる。警察庁の天才捜査官・桜庭は、AIを暴走させたのは開発者である桐生と断定。身に覚えのない桐生は逃亡を開始する。桐生は「のぞみ」を管理するHOPE社の代表で、義弟でもある西村悟とひそかに連絡を取りながら、なんとか事態の収拾を目指すが……。

大沢たかおが主人公・桐生を演じるほか、賀来賢人広瀬アリス、岩田剛典、松嶋菜々子三浦友和らが共演する。

バッドボーイズ フォー・ライフ」(1月31日公開) (R15+)

ウィル・スミス&マーティン・ローレンス主演による大ヒットアクション映画「バッドボーイズ」の17年ぶり新作となるシリーズ第3弾。

マイアミ市警の敏腕刑事コンビ、マイク・ローリーとマーカス・バーネット。ブランド物のスーツをスタイリッシュに着こなし、得意のドライビングテクニックでポルシェを飛ばすマイクに対し、マーカスは家族こそが守るべき大切なものと考え、そろそろ引退を考えている。若いエリートたちと組むことになった2人は、自分たちが年寄り扱いされることに我慢できない。そんな中、マイクが何者かに命を狙われ、バッドボーイズ最大にして最後の危機が訪れる。

ギャングスタ」で注目を集め、18年米バラエティ誌による「見るべき10人の監督たち」に選出された新鋭アディル・エル・アルビ&ビラル・ファラーがメガホンをとる。

前田建設ファンタジー営業部」(1月31日公開)

ダム、トンネルなど数々の大プロジェクトに携わってきた前田建設工業株式会社が、「アニメやゲームに登場する建造物を実際に作ったらどうなるか?」を本格的に検証するWEBコンテンツ「前田建設ファンタジー営業部」を実写映画化。

2003年、バブル崩壊後の建設業界。前田建設の広報グループ長は、「アニメ『マジンガーZ』の出撃シーンに登場する地下格納庫を現状の技術と材料で建設したらどうなるのか?」を検証するWEB連載を提案する。広報グループの若手社員・土井は嫌々ながらもプロジェクトに携わるうち、架空のものに対してどこまでも真剣に向き合う社内外の技術者たちの姿を目の当たりにし、意味のないことだと思っていた業務に本気で取り組むようになっていく。

高杉真宙が主演を務め、上地雄輔岸井ゆきのが共演。「サマータイムマシン・ブルース」などで知られる劇団ヨーロッパ企画上田誠が脚本を手がけ、「あさひなぐ」「賭ケグルイ」の英勉監督がメガホンをとった。

嘘八百 京町ロワイヤル」(1月31日公開)

幻のお宝をめぐり、中井貴一佐々木蔵之介扮する古物商と陶芸家がだまし合いの大騒動を繰り広げるコメディのシリーズ第2作。

大阪・堺で幻の利休の茶器をめぐって大勝負を仕掛けた古物商の則夫と陶芸家の佐輔が、ひょんなことから京都で再会を果たす。そこで出会った着物美人の志野にほだされた2人は、利休の茶の湯を継承し、天下一と称された武将茶人・古田織部の幻の茶器にまつわる人助けに乗り出すが……。

古物商の則夫役を中井貴一、陶芸家の佐輔役を佐々木蔵之介がそれぞれ演じ、志野役で新たに広末涼子が参加。友近森川葵ら前作からのキャスト陣に加え、加藤雅也竜雷太山田裕貴らも新キャストとして顔をそろえる。監督の武正晴、脚本の足立紳と「百円の恋」コンビが前作から続投。

男と女 人生最良の日々」(1月31日公開)

フランスの名匠クロード・ルルーシュ監督が1966年に手がけ、第19回カンヌ国際映画祭パルムドールアカデミー外国語映画賞脚本賞を受賞した名作恋愛映画「男と女」のスタッフ&キャストが再結集した続編。前作の主演アヌーク・エーメとジャン=ルイ・トランティニャンが同じ役柄を演じ、53年後の2人の物語を過去の映像を散りばめつつ描いた。

レーシングドライバージャン・ルイは、現在は老人ホームで暮らし、かつての記憶を失いかけている。ジャン・ルイの息子はそんな父のため、父がずっと追い求めている女性アンヌを捜し出すことを決意。その思いを知ったアンヌはジャン・ルイのもとを訪ね、別々の道を歩んできた2人はついに再会を果たす。

ゴブリンスレイヤー GOBLIN'S CROWN」(2月1日公開)

シリーズ累計500万部を突破した蝸牛くもの人気ライトノベルゴブリンスレイヤー」を原作とするテレビアニメの新作エピソードを描く劇場版。

ゴブリン討伐だけで序列三位の銀等級にまで上り詰めた冒険者の男。「ゴブリンスレイヤー」と呼ばれる彼は、手段を選ばず、手間を惜しまず、ゴブリンだけを退治していく。ある日、彼は行方不明になったある冒険者を救うため、極寒の山岳地帯へと足を踏み入れるが……。

キャストは梅原裕一郎小倉唯東山奈央井口裕香内田真礼中村悠一らテレビシリーズから続投の人気声優陣に加え、新キャラクターである令嬢剣士の声を上坂すみれが担当。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

 

<週刊興行批評>「ラストレター」、ヒットと見るか?不発と見るか?

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今週は初登場した「ラストレター」の興収を分析したいと思います。

 

 

1.先週末のランキング

それでは、先週末のランキングを見てみましょう。

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1位は「アナと雪の女王2」。土日2日間で動員15万9000人、興収2億600万円をあげ、累計では動員980万人、興収125億円を突破し、歴代興収ランキングTOP20入りを果たしている。

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2位は「カイジ ファイナルゲーム」。土日2日間で動員15万4000人、興収2億2500万円をあげ、先週同様、興収では「アナ雪」を上回った。累計では早くも興収10億円を突破している。

3位は「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」。土日2日間で動員11万6000人、興収1億8000万円をあげ、累計では動員431万人、興収64億円を突破した。

4位は初登場ラストレター土日2日間で動員10万1000人、興収1億3600万円をあげ、初日からの3日間で動員13万6100人、興収1億8200万円をあげた。

5位は「パラサイト 半地下の家族」。累計で動員41万人、興収5億9730万円を突破。

6位は初登場記憶屋 あなたを忘れない」。初日からの3日間で動員10万8000人、興収1億3600万円をあげた。

7位は「フォードvsフェラーリ」。累計で動員39万人、興収5億6600万円を突破した。

8位は初登場リチャード・ジュエル」。初日からの3日間で動員6万6600人、興収8630万円をあげた。

9位は初登場劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明」。初日からの3日間で動員6万5700人、興収1億230万円をあげた。

10位は初登場劇場版 ハイスクール・フリート」。土日2日間で動員4万1200人、興収6600万円をあげた。

ジョジョ・ラビット」は初日からの3日間で動員4万9000人、興収6780万円をあげたが、惜しくも11位のスタートとなった。

 

2.興行チェック!「アナと雪の女王2」「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」

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今週も先週に引き続き、「アナと雪の女王2」が1位、「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」が3位にそれぞれランクインした。

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アナと雪の女王2」は累計は動員980万人、興収125億円を突破した。未だに1位を死守しているが、かなり落ち着いてきた。「天気の子」(140.4億円)超えなるか?

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そして、「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」は累計では動員431万人、興収64億円を突破した。ペースは「最後のジェダイ」とほぼ同じペースだが、「最後のジェダイ」並みで収まるか?

3.興行チェック!「ラストレター」

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今週4位に初登場したのは「ラストレター」。岩井俊二監督の新作で松たか子福山雅治広瀬すず、森七菜、神木隆之介中山美穂豊川悦司庵野秀明といった豪華キャストの共演でも話題の一作だ。

岩井俊二監督の前作「リップヴァンウィンクルの花嫁」の累計興収が1億1500万円。既に初日からの公開3日間でこの興収を超えたが、そもそも公開規模もかなり違うため、比較対象にはしにくい。岩井俊二監督はこれまでも数多くの作品を生み出し、ファンも多いが、ヒットという目線では見出せない監督でもある。監督作として数字に出ているのは1996年の「スワロウテイル」の配給収入6億円だけ。配給収入を55%計算とすると興行収入は10.9億円といったところだ。岩井俊二監督をヒットという目線で見ることは難しい。

では、松たか子福山雅治広瀬すず神木隆之介の近年の出演作と比較しながら見ていくことにしよう。

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こうして考えると最終興収は10億いくかどうかというところ。岩井俊二監督作品としても豪華キャスト出演のアンサンブル作品としても健闘したという解釈が個人的には妥当である。

アナ雪2、カイジ、SWといった正月映画に対しては勝利することが出来ないのが惜しいくらいに面白い作品ではあるのだが、2004年の「花とアリス」以来の東宝配給下での岩井監督作品。これからもそれがつづくのかどうかも個人的には気になるところだ。

4.今週の注目作

キャッツ」(1月24日公開)

1981年にロンドンで初演されて以来、観客動員数は世界累計8100万人に達し、日本公演も通算1万回を記録するなど、世界中で愛され続けるミュージカルの金字塔「キャッツ」を映画化。

レ・ミゼラブル」「英国王のスピーチ」のトム・フーパーが監督、スティーブン・スピルバーグが製作総指揮を務め、英国ロイヤルバレエ団プリンシパルフランチェスカ・ヘイワードのほか、ジェームズ・コーデン、ジェニファー・ハドソンテイラー・スウィフトジュディ・デンチイアン・マッケランら豪華キャストが共演した。

人間に飼いならされることを拒み、逆境の中でもしたたかに生きる個性豊かな「ジェリクルキャッツ」と呼ばれる猫たち。満月が輝くある夜、年に一度開かれる「ジェリクル舞踏会」に参加するため、街の片隅のゴミ捨て場にジェリクルキャッツたちが集まってくる。その日は、新しい人生を生きることを許される、たった一匹の猫が選ばれる特別な夜であり、猫たちは夜を徹して歌い踊るが……。

テリー・ギリアムのドン・キホーテ」(1月24日公開)

未来世紀ブラジル」の鬼才テリー・ギリアムが映画化を試みるも、そのたびに製作中止などの憂き目に遭い、幾度も頓挫してきた企画で、構想から30年を経て完成にこぎつけた、ギリアム念願の一作。

自らをドン・キホーテと信じる老人と若手映画監督の奇妙な旅路を描く。仕事への情熱を失っていた若手CM監督のトビーはスペインの田舎での撮影中、謎めいた男からDVDを渡される。それはトビーが10年前の学生時代に監督し、賞にも輝いた「ドン・キホーテを殺した男」だった。映画の舞台となった村が近くにあることを知ったトビーは、現地を訪れるが、ドン・キホーテを演じた靴職人の老人ハビエルが自分を本物の騎士だと信じ込むなど、村の人々はトビーの映画のせいですっかり変わり果てていた。トビーをドン・キホーテの忠実な従者サンチョだと思い込んだハビエルは、トビーを無理やり連れ出し、冒険の旅へ出るが……。

自らをドン・キホーテと思い込む老人ハビエルを「2人のローマ教皇」のジョナサン・プライス、トビー役を「スター・ウォーズ」シリーズのカイロ・レン役で知られるアダム・ドライバーが演じた。

ロマンスドール」(1月24日公開) (PG12)

百万円と苦虫女」のタナダユキ監督が、自身初のオリジナル小説を自ら監督・脚本を手がけて実写映画化した大人のラブストーリー。

美大卒業後、ひょんなことからラブドール製作工場で働き始めた北村哲雄。やがて彼は美人で気立ての良い園子に一目ぼれして結婚するが、自分がラブドール職人であることを園子に隠し続けていた。毎日が平穏に過ぎていく中、哲雄は仕事にのめり込み、園子とは次第にセックスレスになっていく。そんなある日、園子はずっと胸の中に抱えてきた秘密を哲雄に打ち明ける。

不器用さと複雑さをあわせ持つ主人公・哲雄を高橋一生、優しさの中に強さを持つ妻・園子を蒼井優が演じる。

サヨナラまでの30分」(1月24日公開)

ちはやふる」の新田真剣佑と、バンド「DISH//」でミュージシャンとしても活躍する「君の膵臓をたべたい」の北村匠海のダブル主演による、オリジナルの音楽青春映画。

バンド「ECHOLL」がメジャーデビューを目前に解散してから1年後、メンバーたちの前に突然見知らぬ大学生の颯太が現れた。バンド再結成をメンバーに迫る颯太の中身は、なんと1年前に死んだボーカルのアキだった。颯太が偶然拾ったカセットテープを再生する30分だけ、アキは颯太の体を借りて入れ替わり、1つの体を共有していく。人づきあいが苦手な颯太もアキや仲間たちと音楽を奏でる楽しさを知り、次第に打ち解けていくがアキの恋人カナだけはバンドに戻ってくることはなかった。カナに再び音楽を始めてもらうため、最高の1曲を作り上げようとするが、アキと颯太の入れ替われる時間はだんだん短くなっていく。

アキ役を新田真剣佑、颯太役を北村匠海がそれぞれ演じる。監督は「東京喰種 トーキョーグール」の萩原健太郎

シグナル100」(1月24日公開) (R15+)

原作・宮月新、作画・近藤しぐれによる同名コミックを橋本環奈主演で実写映画化し、教師に「自殺催眠」をかけられた36人の高校生が繰り広げるデスゲームを描いたスリラー。

担任教師・下部が仕かけた恐怖のゲームにより、特定の行動を取ると自ら命を絶ってしまう「自殺催眠」をかけられた36人の生徒たち。「スマホを使う」「泣く」「あくびをする」といった何気ない日常の行動に潜む催眠発動のシグナルは、全部で100あるという。催眠を解く方法は、クラスメイトの死のみ。生徒たちが次々と自殺に追い込まれていく中、死への恐怖に直面した人間の本性が徐々に暴かれていき……。

主人公・樫村怜奈を橋本環奈、担任教師・下部を中村獅童がそれぞれ演じる。共演に小関裕太瀬戸利樹をはじめ注目の若手キャストが多数出演。「春子超常現象研究所」の竹葉リサがメガホンをとり、「GANTZ」の渡辺雄介が脚本を手がけた。

9人の翻訳家 囚われたベストセラー」(1月24日公開)

世界的ベストセラー「ダ・ヴィンチ・コード」をはじめとするダン・ブラウンの小説「ロバート・ラングドン」シリーズの出版秘話をもとにしたミステリー映画。

シリーズ4作目「インフェルノ」出版時、違法流出防止のため各国の翻訳家たちを秘密の地下室に隔離して翻訳を行ったという前代未聞のエピソードを題材に描く。フランスの人里離れた村にある洋館。全世界待望のミステリー小説「デダリュス」完結編の各国同時発売に向けて、9人の翻訳家が集められた。翻訳家たちは外部との接触を一切禁止され、毎日20ページずつ渡される原稿を翻訳していく。しかしある夜、出版社社長のもとに「冒頭10ページをネットに公開した。24時間以内に500万ユーロを支払わなければ、次の100ページも公開する。要求を拒めば全ページを流出させる」という脅迫メールが届く。

社長役に「神々と男たち」のランベール・ウィルソン、翻訳家役に「007 慰めの報酬」のオルガ・キュリレンコ、「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」のアレックス・ロウザー。「タイピスト!」のレジス・ロワンサルが監督・脚本を手がけた。

his」(1月24日公開)

「愛がなんだ」の今泉力哉監督が、男性同士のカップルが親権獲得や周囲の人々への理解を求めて奮闘する姿を描いたドラマ。

春休みに江ノ島を訪れた男子高校生・井川迅は、湘南の高校に通う日比野渚と出会う。2人の間に芽生えた友情はやがて愛へと発展するが、迅の大学卒業を控えた頃、渚は「一緒にいても将来が見えない」と別れを告げる。出会いから13年後、ゲイであることを周囲に知られるのを恐れ、田舎で孤独な生活を送る迅の前に、6歳の娘・空を連れた渚が現れる。居候させてほしいという渚に戸惑う迅だったが、いつしか空も懐き、周囲の人々も3人を受け入れていく。そんな中、渚は妻と娘の親権を争っていることを明かし、ずっと抑えてきた迅への思いを告白する。

迅を「映画 賭ケグルイ」の宮沢氷魚、渚を「沈黙 サイレンス」の藤原季節が演じる。

風の電話」(1月24日公開)

ライオンは今夜死ぬ」の諏訪敦彦監督が、震災で家族を失った少女の再生の旅を描いた人間ドラマ。今は亡き大切な人と思いを繋ぐ電話として、岩手県大槌町に実在する「風の電話」をモチーフに映画化した。

8年前の東日本大震災で家族を失い、広島の叔母のもとで暮らす17歳の少女ハル。ある日、叔母が突然倒れ、自分の周りの人が誰もいなくなってしまう不安にかられた彼女は、震災以来一度も帰っていなかった故郷・大槌町へ向かう。豪雨被害にあった広島で年老いた母と暮らす公平や、かつての福島の景色に思いを馳せる今田ら様々な人たちとの交流を通し、ハルは次第に光を取り戻していく。道中で出会った福島の元原発作業員・森尾とともに旅を続けるハルは、「もう一度、話したい」という強い思いに導かれ、故郷にある「風の電話」にたどり着く。

主人公ハルを「少女邂逅」のモトーラ世理奈、森尾を西島秀俊が演じる。

映おかあさんといっしょ すりかえかめんをつかまえろ!」(1月24日公開)

1959年から放送され60周年を迎えたNHKの長寿子ども向け番組「おかあさんといっしょ」の映画化第2弾。

ゆういちろうお兄さん、あつこお姉さん、誠お兄さん、杏月お姉さんが、久しぶりによしお兄さんと再会し、「ブンバ・ボーン!」で遊んでいたところ、よしお兄さんが突然ある動物になってしまう。それは、すりかえかめんとすりかえお嬢のしわざだった。2人のイタズラはどんどんスケールアップし、チョロミー、ムームー、ガラピコもすりかえられてしまい……。

2019年3月をもって番組を卒業したよしお兄さん(小林よしひさ)、りさお姉さん(上原りさ)が出演し、2人が番組内で扮していたキャラクター「すりかえ仮面」と「すりかえお嬢」が登場。さらに、先代のうたのお兄さんである横山だいすけも出演。俳優の賀来賢人が謎のキャラクターでゲスト出演する。

彼らは生きていた」(1月25日公開) (R15+)

ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督が、第1次世界大戦の記録映像を再構築して製作したドキュメンタリー。

第1次世界大戦の終戦から100年を迎えた2018年に、イギリスで行われた芸術プログラム「14-18NOW」と帝国戦争博物館の共同制作により、帝国戦争博物館に保存されていた記録映像を再構築して1本のドキュメンタリー映画として完成。2200時間以上あるモノクロ、無音、経年劣化が激しく不鮮明だった100年前の記録映像にを修復・着色するなどし、BBC保有していた退役軍人たちのインタビューなどから、音声や効果音も追加した。

過酷な戦場風景のほか、食事や休息などを取る日常の兵士たちの姿も写し出し、死と隣り合わせの戦場の中で生きた人々の人間性を浮かび上がらせていく。

プリズン・サークル」(1月25日公開)

取材許可に6年をかけ、2年にわたり日本国内の刑務所に初めてカメラを入れて完成となったドキュメンタリー。

官民協働による新しい刑務所であり、受刑者同士の対話をベースに犯罪の原因を探り、更生を促す「TC(Therapeutic Community=回復共同体)」というプログラムを導入している日本で唯一の刑務所でもある「島根あさひ社会復帰促進センター」。受刑者たちはプログラムを通じて、窃盗や詐欺、強盗傷人、傷害致死など、自身が犯してしまった罪はもちろんのこと、貧困、いじめ、虐待、差別といった幼い頃に経験した苦い記憶とも向き合わなければならない。カメラは服役中の4人の若者を追い、彼らがTCを通じて新たな価値観や生き方を身につけていく姿が描かれる。

監督は「Lifers ライファーズ 終身刑を超えて」「トークバック 沈黙を破る女たち」などアメリカの受刑者をテーマにした作品を手がけてきた坂上香。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。