Takaのエンタメ街道

一生を映画に捧ぐと決めたTakaが主に映画・テレビ・音楽について書くブログです。

<週刊興行批評>「鬼滅の刃」が3日で46億というオープニング成績の日本新記録達成!

f:id:ot20503:20201020141500j:image

とうとうとてつもない記録が出てしまいましたね…今回は「鬼滅の刃 無限列車編」について考えていきたいと思います。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

f:id:ot20503:20201020141546j:image

1位は初登場劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」。土日2日間で動員251万人、興収33億5400万円というこれまでの土日2日間の動員・興収歴代記録のおよそ2倍という歴史的記録を打ち立てた。初日から3日間の累計では動員342万人、興収46億円を突破した。

2位は初登場夜明けを信じて。」。初日からの3日間で動員14万8600人、興収1億8600万円をあげた。

3位は「TENET テネット」。累計では動員140万人、興収22億円を突破した。

4位は「浅田家!」。累計では動員60万5400人、興収8億円を突破。

5位は「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。累計興収は14億5400万円を突破。

6位は初登場スパイの妻」。初日からの3日間で動員3万6300人、興収4740万円をあげた。

7位は「映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」。累計で動員88万8300人、興収10億8000万円を突破。

8位は初登場みをつくし料理帖」。

9位は「望み」。累計興収は2億円を突破。

10位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。累計で動員269万人、興収32億5000万円を突破した。

 

2.興行チェック!「鬼滅の刃 無限列車編」

f:id:ot20503:20201016104029j:image

先週末、初登場1位にランクインしたのは「劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」。もはや説明することもないだろう。公開3日間で観客動員約342万人、興行収入約46億2300万円を突破するメガヒットスタートとなった。

映画の公開前後で鬼滅の刃に関する話題もたくさん出ており、映画が動員、興収が日本新記録を出して以降は新聞やワイドショー、はたまた公共放送・NHKでも話題になるなど今、この社会現象は最高潮に到達してるのは間違いないだろう。自分が購読している中日新聞の朝刊にも2回一面に掲載されてましたね。映画が一面を飾るなんていつぶりだろう…「万引き家族」がカンヌでパルムドール獲って以来じゃないですかね。スゴいことです。

f:id:ot20503:20201023020654j:image

(中日新聞・2020年10月20日朝刊より)
f:id:ot20503:20201023020650j:image

(中日新聞・2020年10月22日朝刊より)

今回はそんな「鬼滅の刃」の特大ヒットスタートを考えていきたいと思います。

・「鬼滅の刃」のオープニング成績はどれだけスゴいのか?

改めて、本作のオープニング成績を振り返ろう。初日16日は動員91万507人、興収12億6872万4700円。17日は動員127万234人、興収17億172万3350円。18日は動員123万9752人、興収16億5266万9400円である。土日2日間では動員250万9986人、興収33億5439万2750円、金曜日からの3日間では動員342万493人、興収46億2311万7450円を記録した。

この興収46億円はどれくらいスゴいのか。まず今年大ヒットした「パラサイト 半地下の家族」の最終興収が47億円であるし、「今日から俺は!! 劇場版」でも46億円には7週間かかった。それをわずか3日で突破したのだからスゴいとしか言いようがない。

f:id:ot20503:20201023023318p:plain 

ちなみに歴代オープニング成績をランキングしてみた。なお、備考に書いたとおり、条件は平等ではない。だが、これまで日本記録とされてきたオープニング成績でも20億円いくのがやっとだった。本作はその倍をいくという圧倒的なオープニング成績を叩き出した。これを打ち破るのはもはや永久に来ないのではないかと思えてくる。

また、この成績は日本国内だけでなく、海外でも大きく報道されており、「ニューヨーク・タイムズ」ではその週で日本以外の全世界の国々の興行収入の合計よりも本作の46億円のほうが稼いでいるという報道も出ている。

これはアメリカなどがまだまだ映画を本格的に上映できない環境にあるという故の現象ではあるが、それだけ本作の歴史的オープニング成績を出した日本は世界的に見れば、コロナの中でも映画業界の復興は早く、且つ羨ましいという見方なのだろう。

・「鬼滅の刃」が大ヒットすれば日本の映画界自体は良いのか?

さて、本作のオープニング成績のすごさは分かったと思うが、なぜここまでヒットしたのか。炭治郎や禰豆子、善逸、伊之助といったキャラ描写やジャンプマンガとしては良くできた戦闘描写とギャグの緩急の上手さという作品そのものの良さ(往年のジャンプらしさへの打破も要因としては否定できない)、マンガの完結が潔かったことやアニメがまだ26話しか出ていないこと(マンガなら8巻まで読めば本作に追いつく)から予習する環境としてはとても取っ付きやすかった点、「進撃の巨人」との類似点もある(ここではパクリとかではなく、キャラ配置、ストーリーの組み立て方がこの2作品は現代人にとてもウケるアルゴリズムを持っているということである*1。)といった様々な理由を挙げることが出来るが、こうした分析は他でたくさんやってるだろうからこれ以上書かなくて良いだろう。

ここではこのヒットを受けて日本の映画界として良いのか?を書いていきたい。良いのか?と疑問符を書いているということは全面的に良いとは言い切れないということでもある。まず、良い点を挙げるとするならば、映画館としては救いになる点だ。特に今、この状況はハリウッドの大作もほぼないに等しい状態であるということも加えてだ。前回のブログでは「コロナ禍でいかに観客を密にせずに分散させるかという理由から劇場としての安全・衛生確保のために複数のスクリーンに跨って、並行上映させる」という考えを書きました。確かにそれもあると思いますが、もう一つあるのではないか?と公開した後に思いました。

「大作にはそれくらいのスクリーンが割かれるべき」ということです。むしろ、そっちの理由のほうが大きいと今回の混雑具合、オープニング成績を見て感じました。本作に対する需要、コロナ禍で大作が延期や配信へのシフトで少なかった映画館による供給が合致したからこそあそこまでヒットしたのはあります。しかも、コロナ禍の2020年でそれを達成してしまったし、むしろ2020年のこの状況だからこそ実現したヒットでもあると思います。これからこうした大作が複数のスクリーンを占拠する形がスタンダードになってくる可能性もあるでしょう。ただ、これはリスキーなことでもあるので、需要を見極められるかがより重要になってきそうです。まあ、そんなことは映画館、配給側が一番分かってるだろうし、やるとしても一年に一回あるかないかぐらいでしょうけど。

この形が成功した暁には大きな恵みが与えられることは今回のヒットからも分かりますが、では、1作品がメガヒットしたからといって、映画界が元気づくかというと思ってるよりかはないのではないかと思います。むしろ、大事なのはその1作品を観にきた観客を次に繋げていけるかどうかだと思います。それは次のメガヒット作品を生み出すこともそうだし、日本の鑑賞頻度、鑑賞態度の向上にも関わってくることだと思うのです。先週末のランキング、1位の「鬼滅の刃」につづく2位がどんな映画だったか、分かるだろうか?「夜明けを信じて。」。幸福の科学映画である。唯一のハリウッド大作「TENET テネット」(3位)やヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞した「スパイの妻」(6位)を上回ったのが宗教映画であるということ。むしろ、そっちのほうが個人的に問題であると思うのだ。日本ではもっと儲からなければいけない作品は山とあると自分は思う。だからこそ、一本の作品を観にきた観客を次に観たい作品に繋げていかなければならない。その作品以上の感動と興奮に出会わせる予感を味わわせるきっかけを与えなければならない。これは当ブログで再三書いていることではあるが、コロナ禍で想像以上に復興のペースが早い今だからこそ改めて書きたかったのである。

せっかく、「鬼滅の刃」がここまでヒットしてるのだからこのチャンス、映画界全体、いや、日本の娯楽全体で逃したくないじゃないですか。本作の公開を前後して「鬼滅の刃」の実写化や「タレントなんかつけなくても映画はヒットするんだぜ?」みたいな話題が昇りましたけど(テレビアニメと地続きで製作してる劇場版であり、むしろ鬼滅レベルのコンテンツでないとそれが無理だと考えると絶望的に感じないか?)、そんなことでとやかく言ってる暇なんてないのです。このチャンスを逃さないためにも業界は大きな鉈を振るわなければならないのです。

鬼滅の刃」1作品で経済的には大きな潤いを与え、活気はつくでしょう。でも、本当に業界として元気を出すのならば、次にどう繋げていくのかだし、それはこれまでのメガヒット作品から日本は何を学んだのかがハッキリしていないというふうに自分は思うということです。

・「鬼滅の刃」の大ヒットは今後の映画に繋がってゆくのか?

さて、そこまで書いてきて、今後の映画にどう繋がっていくか。近作で見ると、まず、11月20日に「STAND BY ME ドラえもん2」が公開され、12月には冬休みシーズンでポケモンが公開される。新年、2021年には1月に「シン・エヴァ」、春に今年公開できなかったコナンが控えている。もし、このままのスケジュールでいけば、ハリウッドの大作も再び公開され、夏にはあの活気が戻る可能性もあるだろうし、この中から鬼滅のような複数スクリーン展開が生まれてくる可能性もある。また、長期的な目で見れば、鬼滅のヒットにより、様々な企画が浮上するだろう。多種多様な作品に出会えることを期待しよう。

日本映画界で年間興収が最高記録を叩き出した2019年。なぜ、そこまでの多種多様なヒット作を出せたか。それは新海誠やコナンといったアニメの劇場版の増加、ディズニー、アメコミ映画の量産、そして、ネットのクチコミが多くの人に浸透したからに他ならない。

その地盤があったからこそ、復興が想像以上に早いペースで進んでいるとも言える。今、多種多様な映画をヒットさせる基盤は十分にあるのだ。ぜひ、そのヒットをヒットのまま走り去ってはほしくないところだ。

・「鬼滅の刃」は最終興収でどこまで行く?

さて、ここまでヒットして最終的に興収はどこまでいくのだろうかと考える人も少なからずいるはずですが、この勢いなら100億円を超えるのは間違いないでしょう。むしろ、そこからです。歴代興収の上位にいる作品はどれも息長くロングランした作品です。本作もいかにリピーターを作るかにかかっています。4D上映であったり、新たなる入場者特典を仕掛けてくる可能性は十分にあるでしょう。このご時世、応援上映といったイベント性の上映会は難しいでしょうけど、本作の熱気をきっかけに観てみようかなという人もたくさんいるでしょうから、そうした人を取り込むためにも年内、年越しを見越して稼働をできる限り抑えなければ自ずと150億〜200億も見えてくるはずです。今週末の数字もかなり気になるところであります。

 

3.今週末の注目作

更新できなかった分、こちらで注目作を毎週更新しております。近日中に新作記事を出しますのでご了承ください。
 

きみの瞳が問いかけている」(10月23日公開)

吉高由里子横浜流星がダブル主演を務めた純愛映画。チャールズ・チャップリンの名作「街の灯」にインスパイアされて製作された2011年の韓国映画「ただ君だけ」を、「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」「僕等がいた」の三木孝浩監督のメガホンでリメイクした。

不慮の事故で視力と家族を失った明香里は、小さな楽しみを糧に毎日を明るく生きていた。ある日、明香里は管理人の男性と間違えて塁という青年に話しかけてしまう。彼はかつてキックボクサーとして将来を有望視されていたが、ある事件をきっかけに心を閉ざし、現在は日雇いのアルバイトで食いつなぐ日々を送っていた。その後も時々やって来ては屈託なく話しかけてくる明香里に、塁は次第に心を開いていく。やがて塁は自分の過去が明香里の失明した事件と接点があったことを知り、彼女の目の手術代を稼ぐため、不法な賭博試合のリングに立つことを決意する。

朝が来る」(10月23日公開)

直木賞本屋大賞受賞作家・辻村深月のヒューマンミステリー小説で、テレビドラマ化もされた「朝が来る」を、「あん」「光」の河瀬直美監督のメガホンで映画化。

栗原清和と佐都子の夫婦は一度は子どもを持つことを諦めるが、特別養子縁組により男の子を迎え入れる。朝斗と名付けられた男の子との幸せな生活がスタートしてから6年後、朝斗の産みの母親「片倉ひかり」を名乗る女性から「子どもを返してほしいんです。それが駄目ならお金をください」という電話が突然かかってくる。当時14歳で出産した子を、清和と佐都子のもとへ養子に出すことになったひかりは、生まれた子どもへの手紙を佐都子に託す、心やさしい少女だった。しかし、訪ねて来たその若い女からは、6年前のひかりの面影をまったく感じることができず……。

栗原佐都子役を永作博美、栗原清和役を井浦新、片倉ひかり役を蒔田彩珠、栗原夫婦とひかりを引き合わせる浅見静恵役を浅田美代子がそれぞれ演じる。第73回カンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクション「カンヌレーベル」に選出されている。

空に住む」(10月23日公開)

EUREKA ユリイカ」の青山真治監督が7年ぶりに長編映画のメガホンをとり、多部未華子と初タッグを組んだ人間ドラマ。作詞家・小竹正人の同名小説と、原作とともに誕生した「三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE」の楽曲「空に住む Living in your sky」の世界観を基に、現実と夢の間で葛藤しながらも新たな人生を見いだしていく女性たちを描く。

郊外の小さな出版社に勤める直実は、両親の急死を受け止めきれないまま、叔父夫婦の計らいでタワーマンションの高層階で暮らし始める。長年の相棒である黒猫ハルや、気心の知れた職場の仲間に囲まれながらも、喪失感を抱え浮遊するように生きる毎日。そんなある日、彼女は同じマンションに住む人気俳優・時戸森則と出会う。彼との夢のような逢瀬に溺れていく直実は、仕事と人生、そして愛の狭間で揺れ動き、葛藤の末にある決断を下す。

直実の後輩・愛子を「愛がなんだ」の岸井ゆきの、直実の叔母・明日子を「彼らが本気で編むときは、」の美村里江、人気俳優・時戸を「EXILE」「三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE」の岩田剛典がそれぞれ演じる。

キーパー ある兵士の奇跡」(10月23日公開)

イギリスの国民的英雄となった元ナチス兵のサッカー選手バート・トラウトマンの実話を基に描いたヒューマンドラマ。

1945年、イギリスの捕虜となったナチス兵トラウトマンは、収容所でサッカーをしていた折に地元チームの監督にスカウトされる。その後、名門サッカークラブのマンチェスター・シティFCゴールキーパーとして入団するが、元ナチス兵という経歴から想像を絶する誹謗中傷を浴びせられてしまう。それでもトラウトマンはゴールを守り抜き、やがてイギリスの国民的英雄として敬愛されるように。そんな彼には、誰にも打ち明けられない、秘密の過去があった。

主人公トラウトマンを「愛を読むひと」のデビッド・クロス、妻マーガレットを「サンシャイン 歌声が響く街」のフレイア・メーバーがそれぞれ演じた。

どうにかなる日々」(10月23日公開) (PG12)

放浪息子」「青い花」などの青春漫画の名手・志村貴子が、さまざまな恋模様を淡く繊細に描いたオムニバス漫画をアニメーション映画化。

同性からモテモテだった女性・百合の高校時代の彼女えっちゃんと短大時代の彼女あやさんがひかれ合う「えっちゃんとあやさん」をはじめ、教え子の突然の告白に翻弄される男子校教師を描いた「澤先生と矢ヶ崎くん」、思春期を迎える幼なじみ2人の距離感ともどかしさを連作で描いた「しんちゃんと小夜子」「みかちゃんとしんちゃん」という4つのエピソードで構成される。

監督は「あさがおと加瀬さん。」「フラグタイム」や「STEINS;GATE」で知られる佐藤卓哉。キャストには花澤香菜小松未可子櫻井孝宏ら人気声優陣が集う。

ストレイ・ドッグ」(10月23日公開) (PG12)

オスカー女優のニコール・キッドマンが刑事役に初挑戦し、過去の出来事で心をむしばまれた女性刑事が忌まわし過去と向き合う姿を描いたサスペンスノワール

ロサンゼルス市警の女性刑事エリン・ベルは、酒におぼれ、同僚や別れた夫、16歳の娘からも疎まれる人生を送っている。17年前、FBI捜査官クリスとともに犯罪組織に潜入捜査をしていたエリンは、そこで取り返しのつかない過ちを犯して捜査に失敗し、その罪悪感にいまも彼女は苛まれていた。そんな彼女のもとに、ある日、差出人不明の封筒が届く。中には紫色に染まった1ドル紙幣が入っており、それは行方をくらませた17年前の事件の主犯からの挑戦状だった。

ニコール・キッドマンが酒浸りの中年女性刑事という荒んだ役どころを熱演し、ゴールデングローブ賞の主演女優賞にノミネート。監督は「ガール・ファイト」「ジェニファーズ・ボディ」のカリン・クサマ

スタートアップ!」(10月23日公開) (PG12)

新感染 ファイナル・エクスプレス」「悪人伝」のマ・ドンソクが、おかっぱ頭の料理人という強烈なビジュアルのキャラクターを演じたコメディドラマ。

学校も勉強も家も嫌いで、親に反抗しては毎日ビンタを食らっている少年テギル。ある日、親友のサンピルが早く自分でお金を稼ぎたいと社会に飛び込んでいく。そんな親友の姿を見たテギルもあてもなく家を飛び出し、偶然入った飯店でただならぬオーラを放つ厨房長のコソクと出会う。初対面時の激しいやりとりでコソクとは人生最大の敵同士になったテギルだったが、コソクをはじめとする飯店の奇想天外な人々との出会いを通じ、テギルも社会を学んでいく。

コソク役をマ・ドンソクが演じ、テギル役は「それだけが、僕の世界」のパク・ジョンミン、サンピル役はドラマ「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」のチョン・ヘイン。監督は「グローリーデイ」のチェ・ジョンヨル。

リトル・サブカル・ウォーズ ヴィレヴァン!の逆襲」(10月23日公開)

書店でありながら、雑貨やCD、食品などさまざまなカルチャーを縦横無尽に取り扱う「ヴィレッジヴァンガード」。実在するこの書店を舞台に岡山天音演じるバイトの大学生・杉下と仲間たちの青春の日々を描いた、メ〜テレで放送された深夜ドラマ「ヴィレヴァン!」の劇場版。

「空っぽ」を自称する大学生の杉下啓三は、変わり者のバイト仲間とともにヴィレッジヴァンガードのバイトとして刺激的な毎日を送っていた。バイトをスタートしてから1年、杉下は日常に何かが決定的に足りていないことに気づく。なんと、この世から「サブカル」がなくなっていたのだ。仲間の店員やお客さんたちの生気はなくなり、すべてが監視され、コントロールされた世界。あのバカバカしくも楽しい日々、そしてカルチャーそのものを取り戻すため、杉下の想像を絶するバトルが幕を開ける。

岡山天音森川葵平田満滝藤賢一らドラマ版のレギュラー陣に加え、萩原聖人安達祐実らが顔をそろえる。

オレたち応援屋!!」(10月23日公開)

人気アイドルグループ「A.B.C-Z」の5人が映画初主演を果たした青春コメディ。彼らが座長を務める舞台「ABC座」の第5作「ABC座 2016 株式会社応援屋!! OH&YEAH!!」を原案に、キャラクター設定などを一新し、新たな物語として描く。

人々を応援することを生業とする「応援屋」の5人は、日々の依頼をこなしながらも、単なる便利屋となってしまっていることに悩んでいた。そんな彼らのもとに、東京の離島・雷神島にある雷神高校の教師から依頼が届く。その内容は、廃校が決定した同校の生徒たちのために、島の伝統行事である「雷神祭り」の復活を手伝って欲しいというものだった。島民たちが恐れる呪いの存在や、復活反対派の生徒たちとの対立など様々な困難に直面しながらも、祭りの復活を目指して奮闘する彼らだったが……。

テレビドラマ「おっさんずラブ」の徳尾浩司が脚本を手がけ、「ホーンテッド・キャンパス」の竹本聡志が監督を務めた。

罪の声」(10月30日公開)

実際にあった昭和最大の未解決事件をモチーフに過去の事件に翻弄される2人の男の姿を描き、第7回山田風太郎賞を受賞するなど高い評価を得た塩田武士のミステリー小説「罪の声」を、小栗旬星野源の初共演で映画化。

平成が終わろうとしている頃、新聞記者の阿久津英士は、昭和最大の未解決事件を追う特別企画班に選ばれ、30年以上前の事件の真相を求めて、残された証拠をもとに取材を重ねる日々を送っていた。その事件では犯行グループが脅迫テープに3人の子どもの声を使用しており、阿久津はそのことがどうしても気になっていた。一方、京都でテーラーを営む曽根俊也は、父の遺品の中にカセットテープを見つける。なんとなく気になりテープを再生してみると、幼いころの自分の声が聞こえてくる。そしてその声は、30年以上前に複数の企業を脅迫して日本中を震撼させた、昭和最大の未解決人で犯行グループが使用した脅迫テープの声と同じものだった。

新聞記者の阿久津を小栗旬、もう1人の主人公となる曽根を星野源が演じる。監督は「麒麟の翼 劇場版・新参者」「映画 ビリギャル」の土井裕泰、脚本はドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」「アンナチュラル」などで知られる野木亜紀子

とんかつDJアゲ太郎」(10月30日公開)

テレビアニメ化もされたイーピャオ、小山ゆうじろうの人気ギャグ漫画を北村匠海主演で実写映画化。

渋谷の老舗とんかつ屋の3代目・アゲ太郎は、弁当の配達で初めて足を運んだクラブで憧れていた苑子に出会う。キャベツの千切りばかりの日々を送っていたアゲ太郎は、音楽でフロアを盛り上げるDJたちのプレイに刺激を受け、これまで味わったことのない高揚感に心を動かされる。苑子のハートを射止めるため、アゲ太郎は、とんかつ屋の仕事もDJも精進し、豚肉もフロアもアゲられる「とんかつDJ」 になることを決意する。

アゲ太郎役の北村匠海のほか、山本舞香伊藤健太郎伊勢谷友介らが顔をそろえる。監督は自主映画「SLUM-POLIS」などで注目された「チワワちゃん」の二宮健。

ザ・ハント」(10月30日公開) (R15+)

富裕層が娯楽として「人間狩り」を行うという過激な設定が全米公開時に物議をかもしたサバイバルアクション。「ゲット・アウト」や「パージ」シリーズなど、数々のホラー、サスペンス作品をヒットさせてきたジェイソン・ブラムが製作。「コンプライアンス 服従の心理」のクレイグ・ゾベルがメガホンをとり、上流階級と庶民階級との格差対立やネット上での陰謀論といった現代的なテーマを盛り込みながら描いた。

広大な森の中で目を覚ました12人の男女。そこがどこなのか、どうやってそこに来たのか、誰にもわからない。目の前には巨大な木箱があり、中には1匹のブタと多数の武器が収められている。すると突然、周囲に銃声が鳴り響く。何者かに命を狙われることがわかった彼らは、目の前の武器を手に取り、逃げ惑う。やがて彼らは、ネット上の噂に過ぎないと思われていた、セレブが娯楽目的で一般市民を狩る「マナーゲート」と呼ばれる“人間狩り計画”が実在することを知る。絶望的な状況の中、狩られる側の人間であるクリステルが思わぬ反撃に出たことで、事態は予想外の方向へと動き始める。そして次第にマナーゲートの全容が明らかになり……。

クリステル役にTVシリーズ「GLOW ゴージャス・レディ・オブ・レスリング」などで活躍するベティ・ギルピン。彼女らを狩る残酷なセレブの女にオスカー女優のヒラリー・スワンク

パピチャ 未来へのランウェイ」(10月30日公開)

1990年代のアルジェリア内戦(暗黒の10年)を背景に、ファッションデザイナーを志す少女の視点を通して、イスラム原理主義による女性弾圧の実態を描いた人間ドラマ。アルジェリアで17歳まで過ごし、これが長編映画監督デビュー作となるムニア・メドゥールが、自身の経験から生み出した。2019年・第72回カンヌ国際映画祭ある視点部門で上映されて称賛を集めるも、本国アルジェリアでは当局によって上映禁止となった。

90年代、アルジェリア。ファッションデザイナーを夢みる大学生のネジャマは、ナイトクラブで自作のドレスを販売していたが、イスラム原理主義の台頭により、首都アルジェでは女性にヒジャブの着用を強要するポスターがいたるところに貼りだされていた。そんな現実に抗うネジュマは、ある悲劇的な出来事をきっかけに、自分たちの自由と未来をつかみ取るため、命がけともいえるファッションショーの開催を決意する。

ザ・グラッジ 死霊の棲む屋敷」(10月30日公開) (R15+)

清水崇監督が生み出したJホラー「呪怨」シリーズを、アメリカで新たに映画化。「死霊のはらわた」「スパイダーマン」のサム・ライミが製作。村上龍の小説を映画化した「ピアッシング」のニコラス・ペッシェ監督がメガホンをとった。

森の中に停まっていた車の中で変死体が発見され、報せを受けた刑事のマルドゥーンとグッドマンが現場に駆け付ける。道路が閉鎖されていたこともあり、死体は何カ月も放置されて腐敗していたが、残された所持品から死体の生前の住所が「レイバーン通り44番地」だったと判明。そこはグッドマン刑事が2年前に担当し、強烈な印象を残している「ランダース事件」の現場だった。過去の事件と今回の死体の関連性を疑ったマルドゥーンは、単身でランダース事件の舞台となった屋敷を訪れるが……。

出演は「オブリビオン」「ナンシー」のアンドレア・ライスボロー、「死霊館のシスター」のデミアン・ビチル

ウルフウォーカー」(10月30日公開)

アイルランドの歴史や神話を題材にした「ブレンダンとケルズの秘密」「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」で連続してアカデミー長編アニメーション部門にノミネートされたトム・ムーア監督とアニメーションスタジオ「カートゥーンサルーン」が、前2作に続くケルト3部作の3作目として手がけた長編アニメーション。

アイルランドのキルケニーで伝えられてきた、眠ると魂が抜けだしオオカミになるという「ウルフウォーカー」を題材に描いた。中世アイルランドの町キルケニー。イングランドからオオカミ退治のためにやって来たハンターを父に持つ少女ロビンは、森の中で出会った少女メーヴと友だちになるが、メーヴは人間とオオカミがひとつの体に共存した「ウルフウォーカー」だった。魔法の力で傷を癒すヒーラーでもあるメーヴと、ある約束を交わしたロビン。それが図らずも父を窮地に陥れることになってしまうが、それでもロビンは勇気を持って自らの信じる道を進もうとする。

映画プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日」(10月31日公開)

人気アニメ「プリキュア」劇場版シリーズの通算28作目。2020年2月放送開始のシリーズ17作目「ヒーリングっど♡プリキュア!」と、前作の「スター☆トゥインクルプリキュア」、前々作の「HUGっと!プリキュア」の3作品から総勢13人のプリキュアが集結し、繰り返される不思議な1日からの脱出しようと奮闘する姿が描かれる。

ある春の土曜日、宿題を済ませて友人のちゆ、ひなたとお花見に行くはずだった花寺のどかだったが、そんな彼女の前に、謎の敵リフレインに追われてきた精霊ミラクルンが現れる。ミラクルンを助けたいと思ったのどかのもとに、「スター☆トゥインクルプリキュア」と「HUGっと!プリキュア」のプリキュアたちも駆けつけるが、「永遠に明日がこない世界」を築こうともくろむリフレインが時間を巻き戻し、同じ毎日を繰り返すことになってしまう。

おらおらでひとりいぐも」(11月6日公開)

第158回芥川賞と第54回文藝賞をダブル受賞した若竹千佐子のベストセラー小説を「横道世之介」「モリのいる場所」の沖田修一監督が映画化し、昭和・平成・令和を生きるひとりの女性を田中裕子と蒼井優が2人1役で演じた人間ドラマ。

75歳の桃子さんは、突然夫に先立たれ、ひとり孤独な日々を送ることに。しかし、毎日本を読みあさり46億年の歴史に関するノートを作るうちに、万事に対してその意味を探求するようになる。すると、彼女の“心の声=寂しさたち”が音楽に乗せて内から外へと沸き上がり、桃子さんの孤独な生活は賑やかな毎日へと変わっていく。

75歳現在の桃子さんを田中裕子、若き日の桃子さんを蒼井優、夫の周造を東出昌大が演じるほか、濱田岳青木崇高宮藤官九郎という個性的なキャストが桃子さんの“心の声”たちに扮する。

461個のおべんとう」(11月6日公開)

TOKYO No.1 SOUL SET」の渡辺俊美によるエッセイ「461個の弁当は、親父と息子の男の約束。」を、「V6」の井ノ原快彦、関西ジャニーズJr.のユニット「なにわ男子」の道枝駿佑の共演で映画化。

長年連れ添った妻との別れを決意した鈴本一樹。息子の虹輝は父と暮らすことを選んでくれたが、15歳という多感な時期を迎える虹輝に対し、一樹は罪悪感を抱いていた。高校受験に失敗した虹輝に、これまで自由に生きてきた一樹は「学校だけがすべてではない。自由に好きに育ってくれたらそれでいい」と思っていたが、虹輝は高校進学の道を選び、翌春に高校合格を果たす。学校の昼食は「父さんのお弁当がいい」と虹輝が言ったことから、一樹はミュージシャンでありながら息子のためにお弁当を作り続けることを決意する。

一樹役を井ノ原快彦、虹輝役を道枝駿佑がそれぞれ演じる。また原作者の渡辺が、一樹のバンドがライブを行うライブハウスのオーナー役でカメオ出演。監督は「キセキ あの日のソビト」の兼重淳。

ストックホルム・ケース」(11月6日公開)

誘拐・監禁事件の被害者が犯人と長い時間をともにすることで、犯人に対し連帯感や好意的な感情を抱いてしまう状態を示す心理学用語「ストックホルム症候群」の語源になった事件を題材に、イーサン・ホーク主演で描くクライムドラマ。

何をやっても上手くいかない悪党のラースは、自由の国アメリカに逃れるためストックホルムの銀行に強盗に入る。ビアンカという女性を含む3人を人質に取り、刑務所に収監されていた仲間のグンナーを釈放させることに成功したラースは、続けて人質と交換に金と逃走車を要求。しかし、警察が彼らを銀行の中に封じ込める作戦に出たことで事態は長期化。次第に犯人と人質の関係だったラースとビアンカたちの間に、不思議な共感が芽生え始めていく。映画の題材となったのは、1973年にスウェーデンストックホルムで起こったノルマルム広場強盗事件。

監督は、イーサン・ホークが伝説のトランペット奏者チェット・ベイカーを演じた「ブルーに生まれついて」のロバート・バドロー。犯罪仲間のグンナー役に「キングスマン」シリーズのマーク・ストロング、人質となるビアンカに「ミレニアム」シリーズのノオミ・ラパス

十二単衣を着た悪魔」(11月6日公開)

女優・黒木瞳の監督第2作で、内館牧子の長編小説「十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞」を映画化。源氏物語の世界に紛れ込んだ現代の青年が、奔放で強い女性に翻弄されながらも成長していく姿を描く。

就職試験に落ちてばかりのフリーター・雷は、京大に合格した弟に対し劣等感を抱いていた。ある日、アルバイトで「源氏物語」の世界を模したイベントの設営をした彼は、帰宅途中に激しい雷雨に襲われて意識を失ってしまう。目を覚ますと、そこは「源氏物語」の世界だった。アルバイト先で配られたあらすじ本のおかげで陰陽師として弘徽殿女御に見いだされた雷は、息子を異母弟・光源氏との帝位争いに勝たせるべく闘う彼女に振り回されながらも次第に触発されていく。自身の境遇と重ねつつ、悪名高い弘徽殿女御に仕えていくことを決意する雷だったが……。

今日から俺は!!」「弱虫ペダル」など話題作が続く伊藤健太郎が主演を務め、「ダンスウィズミー」の三吉彩花が弘徽殿女御を演じる。

ジオラマボーイ・パノラマガール」(11月6日公開) (PG12)

リバーズ・エッジ」などで知られる人気漫画家の岡崎京子が1989年に刊行した同名コミックを実写映画化。

現代の東京を舞台に、未来への不安を抱えながらも「今」を生きる若者たちを描いた。16歳の平凡な高校生・渋谷ハルコは、ある夜、橋の上で倒れていた神奈川ケンイチに一目ぼれする。ハルコは世紀の恋だとはしゃぐが、真面目でおとなしいケンイチは、受験を目前にして衝動的に学校を辞めてしまい、それどころではない。さらにケンイチは、勢いでナンパした危険な香りのする女の子マユミに夢中になっていき、ハルコとケンイチの恋は平行線をたどるが……。

渋谷ハルコ役は映画「小さな恋のうた」などで注目される山田杏奈。神奈川ケンイチ役は、山田とは「小さな恋のうた」でも共演している鈴木仁。監督・脚本は「PARKS パークス」「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」の瀬田なつき

PLAY 25年分のラストシーン」(11月6日公開) (PG12)

ある男性が仲間たちと過ごした25年間を、1990年代から2010年代まで撮り続けたホームビデオの映像をつないで描いた青春ドラマ。

1993年、パリ。13歳の少年マックスは両親から贈られたビデオカメラで家族や友人たちとの日常を撮り始め、それは彼のライフワークとも言える趣味になった。38歳になったマックスは、それまで撮りためた25年分の映像を振り返り、編集する。そこにはいつも一緒にいた4人の仲間たちとの、かけがえのない日々が全て記録されていた。素直になれず大切なものを手放してしまったマックスは、新たに“映画”のラストシーンを準備する。

人気コメディアンのマックス・ブーブリルが主演を務め、盟友アントニーマルシアーノ監督と共同で脚本も手がけた。

モンスターストライク THE MOVIE ルシファー 絶望の夜明け」(11月6日公開)

世界累計利用者数が5300万を超えるスマホアプリ「モンスターストライク」のキャラクターを主人公にオムニバス形式のアニメとしてYouTubeで配信し、累計再生数が4億回を突破している通称「モンストアニメ」を映画化。

オラゴンと5人のヒーロー5が天聖イェソドを倒したことで平和を取り戻した「ストライク・ワールド」が、再び戦場となってしまう。そして、駆けつけたオラゴンたちの前に現れたのは、ともに世界を救った仲間のはずのルシファーだった。滅亡を願うルシファーの企みは、オラゴンたちに絶望をもたらすが……。

監督は「名探偵コナン」劇場版シリーズや「シドニアの騎士」、アニメ版「GODZILLA」3部作などを手がけた静野孔文。ルシファー役の日笠陽子をはじめ、高山みなみ水樹奈々内田真礼小倉唯斉藤壮馬福島潤ら人気声優たちが声の出演。

羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来」(11月7日公開)

妖精と人間が共存する世界を舞台に、猫の妖精・羅小黒(ロシャオヘイ)が旅をしながら人間社会を理解していく姿を描いた中国製の劇場アニメ。

この世には妖精が実在し、彼らの中には人間の格好をして社会に溶け込んでいるものもいれば、山の奥で隠れて暮らすものもいた。森で楽しい日々送っていた猫の妖精・羅小黒(ロシャオヘイ)は、人間たちによって森が切り開かれてしまったことから、暮らす場所を探して各地を放浪する。その旅の途中で妖精のフーシー(風息)、人間のムゲン(無限)と出会ったシャオヘイは、彼らとの交流を通じてさまざまなことを学び、成長していきながら、再び安心して暮らせる場所を求めて旅を続ける。

「羅小黒戦記」は、中国で2011年から配信がスタートしたWEBアニメシリーズ。国産アニメとして中国で徐々に人気を博し、2019年に劇場版として本作が製作されると大ヒットを記録。日本でも同年、字幕版が小規模公開され(チームジョイ配給)、映画ファンやアニメファンの間で口コミで評判が広がり、アニプレックスが共同配給につき、花澤香菜宮野真守櫻井孝宏という人気声優陣による日本語吹き替え版として全国公開される。

ドクター・デスの遺産 BLACK FILE」(11月13日公開)

人気作家・中山七里の小説「ドクター・デスの遺産」を映画化したクライムサスペンス。安楽死を手口にする連続殺人犯に挑む刑事役で綾野剛北川景子が共演し、「神様のカルテ」「サグラダリセット」などを手がけてきた深川栄洋監督がメガホンをとった。

終末期の患者ばかりが次々と不審な死を遂げる事件が相次ぎ、捜査に乗り出した刑事の犬養と高千穂は、依頼を受けて患者を安楽死させる「ドクター・デス」と呼ばれる医者の存在にたどり着く。しかし、そんな矢先、重度の腎臓病に苦しんでいる犬養の一人娘の沙耶香が、ドクター・デスに安楽死を依頼してしまい……。

さくら」(11月13日公開)

直木賞作家・西加奈子が家族をテーマにつづった同名ベストセラーを、「三月のライオン」の矢崎仁司監督が映画化。

長谷川家の次男・薫は、年末に実家へと向かう。兄の一(ハジメ)は彼にとって幼い頃から憧れの存在だったが、2年前に事故で他界した。ハジメの死をきっかけにバラバラになってしまった家族をつなぎ止めるかのように、薫は幼い頃の記憶を思い起こしていく。妹・美貴の誕生、愛犬サクラとの出会い、引っ越し、初めての恋と失恋など、長谷川家の5人とサクラが過ごしたかけがえのない日々。そして大みそか、壊れかけた家族をもう1度つなぐ奇跡のような出来事が起こる。

平凡な次男・薫を「君の膵臓をたべたい」の北村匠海、破天荒な長女・美貴を「渇き。」の小松菜奈、人気者の長男・一を「キングダム」の吉沢亮、彼らの両親を寺島しのぶ永瀬正敏がそれぞれ演じる。

魔女見習いをさがして」(11月13日公開)

1999年から4年間にわたって放送され人気を博した魔法少女アニメ「おジャ魔女どれみ」シリーズの20周年を記念し、3人の新たなヒロインが織り成す大人のための魔法の物語を描いた劇場版アニメ。

教員志望の大学生ソラ、帰国子女の会社員ミレ、フリーターのレイカ。年齢も住む場所も悩みも全てが違う3人だったが、不思議な巡り合わせで一緒に旅に出ることに。3人は「どれみ」にゆかりのある様々な土地を巡る旅を通し、大人になって忘れてしまっていたそれぞれの大切なものを見いだしていく。

制作陣には監督の佐藤順一、脚本の栗山緑、キャラクターデザイン・総作画監督馬越嘉彦ら、テレビアニメ版のオリジナルスタッフが再結集。3人のヒロインの声を担当したのは、森川葵松井玲奈百田夏菜子

ホテルローヤル」(11月13日公開) (PG12)

直木賞を受賞した桜木紫乃の自伝的小説を、「百円の恋」「全裸監督」の武正晴監督が映画化。

北海道の釧路湿原を背に建つ小さなラブホテル、ホテルローヤル。経営者家族の一人娘・雅代は美大受験に失敗し、ホテルの仕事を手伝うことに。アダルトグッズ会社の営業・宮川に淡い恋心を抱きながらも何も言い出せず、黙々と仕事をこなすだけの日々。そんな中、ホテルにはひとときの非日常を求めて様々な客が訪れる。ある日、ホテルの一室で心中事件が起こり、雅代たちはマスコミの標的となってしまう。さらに父が病に倒れ家業を継ぐことになった雅代は、初めて自分の人生に向き合うことを決意する。

波瑠が主演を務め、松山ケンイチ安田顕が共演。脚本は「手紙」「イエスタデイズ」の清水友佳子

タイトル、拒絶」(11月13日公開) (R15+)

それぞれ事情を抱えながらも力強く生きるセックスワーカーの女たちを描いた群像劇。劇団「□字ック」主宰の山田佳奈が、2013年初演の同名舞台を自らのメガホンで映画化した。

雑居ビルにあるデリヘルの事務所で、華美な化粧と香水の匂いをさせながらしゃべる女たち。デリヘル嬢たちの世話係をするカノウは、様々な文句を突きつけてくる彼女たちへの対応に右往左往している。やがて、店で一番人気のマヒルが仕事を終えて戻って来る。何があっても楽しそうに笑う彼女がいると、部屋の空気は一変する。ある日、モデルのような体型の若い女が入店したことをきっかけに、店内での人間関係やそれぞれの人生背景が崩れはじめる。

2019年・第32回東京国際映画祭「日本映画スプラッシュ」部門に出品され、主演の伊藤沙莉が東京ジェムストーン賞を受賞した。

ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」(11月13日公開)

KUBO クボ 二本の弦の秘密」や「コララインとボタンの魔女」などで知られるアメーションスタジオのライカが手がけたストップモーションアニメ。

「神話と怪獣研究の第一人者」を自称するライオネル卿は、伝説の生き物を発見して自らの才能を世に示そうと旅に出る。その途上で、人類の遠い祖先である生きた化石ミッシング・リンクと遭遇したライオネル卿は、種族で唯一の生き残りだというミッシング・リンクの親族を探すため、伝説のシャングリラを目指すことになるが……。

ライオネル卿の声をヒュー・ジャックマンが担当したほか、ザック・ガリフィアナキスゾーイ・サルダナエマ・トンプソンらが声優を務めた。監督はライカの「パラノーマン ブライス・ホローの謎」を手がけたクリス・バトラー。第77回ゴールデングローブ賞で最優秀長編アニメーション映画賞を受賞。第92回アカデミー賞の長編アニメーション部門にノミネート。

水上のフライト」(11月13日公開)

不慮の事故で走り高跳び選手としての夢を絶たれた女性が、パラカヌーとの出会いを通して希望を取り戻していく姿を、中条あやみ主演で描いたヒューマンドラマ。

走り高跳びで世界を目指す遥は、事故に遭い歩くことができなくなってしまう。心を閉ざし自暴自棄に陥っていたある日、パラカヌーと出会った彼女は、周囲の人々に支えられながら新たな夢を見いだしていく。

超高速!参勤交代」シリーズの脚本家・土橋章宏が、実在のパラカヌー日本代表選手・瀬立モニカとの交流に着想を得て、オリジナルストーリーとして脚本を執筆。「キセキ あの日のソビト」の兼重淳監督がメガホンをとった。遥を支える仲間・颯太を「居眠り磐音」の杉野遥亮、母・郁子を大塚寧々、コーチ・宮本を小澤征悦がそれぞれ演じる。

日本沈没2020 劇場編集版 シズマヌキボウ」(11月13日公開)

小松左京が1973年に発表し、映画化やドラマ化もされてきた名作SF小説日本沈没」を、「夜明け告げるルーのうた」「DEVILMAN crybaby」の湯浅政明監督が大胆なオリジナル解釈を加えてアニメ化した「日本沈没2020」の劇場版。2020年7月にNetflixで配信開始し、反響を呼んだこのアニメシリーズを湯浅監督自身の手で再編集、再構築した。

2020年、突然の大地震が日本を襲った。東京が壊滅的な状況になる中、武藤家の歩と剛の姉弟は一家4人で東京からの脱出を始める。しかし、行く先々でも巨大な地震が断続的に発生し、彼らを追い詰めていく。生きるために迫られる数々の選択、出会いと別れ、そして残酷にも降りかかる生と死。けっして未来を信じることを忘れない歩と剛は、極限状態でさまざまな局面に立ち向かいながら、懸命に生き抜く強さを身につけていく。

ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌」(11月13日公開) (PG12)

ビューティフル・マインド」「ラッシュ プライドと友情」の名匠ロン・ハワードが手がけたNetflixオリジナル映画のヒューマンドラマ。「アメリカン・ハッスル」のエイミー・アダムスと「天才作家の妻 40年目の真実」のグレン・クローズをキャストに迎えたヒューマンドラマ。J・D・バンスの回顧録ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち」を原作に、3世代にわたる家族の愛と再生の物語を描く。

名門イェール大学に通うバンスは理想の職に就こうとしていたが、家族の問題により、苦い思い出のある故郷へ戻ることに。そこで彼を待ち受けていたのは、薬物依存症に苦しむ母ベブだった。バンスは育ての親である祖母マモーウとの思い出に支えられながら、夢を実現するためには自身のルーツを受け入れなくてはならないと気づく。

共演は「キングス・オブ・サマー」のガブリエル・バッソ、「マグニフィセント・セブン」のヘイリー・ベネット、「スラムドッグ$ミリオネア」のフリーダ・ピントNetflixで2020年11月24日からの配信に先立ち、一部の映画館で劇場公開。

STAND BY ME ドラえもん2」(11月20日公開)

国民的アニメ「ドラえもん」初の3DCGアニメーション映画として2014年に公開され、大ヒットを記録した「STAND BY ME ドラえもん」の続編。前作から引き続き監督を八木竜一、脚本・共同監督を山崎貴が担当し、原作漫画の名エピソード「おばあちゃんのおもいで」にオリジナル要素を加えてストーリーを再構築。前作で描かれた「のび太結婚前夜」の翌日である結婚式当日を舞台に、のび太としずかの結婚式を描く。

ある日、優しかったおばあちゃんとの思い出のつまった古いクマのぬいぐるみを見つけたのび太は、おばあちゃんに会いたいと思い立ち、ドラえもんの反対を押し切りタイムマシンで過去へ向かう。未来から突然やってきたのび太を信じて受け入れてくれたおばあちゃんの「あんたのお嫁さんをひと目見たくなっちゃった」という一言で、のび太はおばあちゃんに未来の結婚式を見せようと決意する。しかし、未来の結婚式当日、新郎のび太はしずかの前から逃げ出してしまい……。

大人になったのび太の声を前作から続いて妻夫木聡が担当し、おばあちゃん役は宮本信子が務めた。

ばるぼら」(11月20日公開) (R15+)

手塚治虫が1970年代に発表した大人向け漫画「ばるぼら」を、稲垣吾郎二階堂ふみのダブル主演で初映像化した実写作品。手塚治虫の実子である手塚眞監督とウォン・カーウァイ作品で知られる撮影監督クリストファー・ドイルがタッグを組み、愛と狂気の寓話を美しい映像で描き出す。

異常性欲に悩まされている耽美派の人気小説家・美倉洋介は、新宿駅の片隅で、酔っ払ったホームレスのような少女ばるぼらと出会い、自宅に連れて帰る。大酒飲みで自堕落なばるぼらだが、美倉は彼女に奇妙な魅力を感じ追い出すことができない。彼女を近くに置いておくと不思議と美倉の手は動き出し、新たな小説を創造する意欲が沸き起こるのだ。あたかも芸術家を守るミューズのような存在のばるぼらだったが……。

泣く子はいねぇが」(11月20日公開)

「ガンバレとかうるせぇ」「歩けない僕らは」などの短編で高い評価を受けてきた佐藤快磨監督の長編劇場デビュー作。是枝裕和監督率いる映像制作者集団「分福」が企画協力し、佐藤監督の地元・秋田の伝統行事「ナマハゲ」を盛り込みながら、大人になっていく20代の若者たちの姿を描く。

秋田県男鹿半島で暮らす、たすくに娘が誕生した。たすくが喜ぶ中、妻のことねは子どもじみていて父になる覚悟が定まらない夫に苛立ちを募らせていた。大みそかの夜、たすくは妻と「酒を飲まずに早く帰る」と約束を交わし、地元の伝統行事「ナマハゲ」に参加する。しかし、酒を断ることができずに泥酔したたすくは、溜め込んだ日頃の鬱憤を晴らすかのように「ナマハゲ」の面を付けたまま全裸で街へと走り出し、その姿がテレビで全国に放送されてしまう。ことねに愛想を尽かされ、地元にもいられなくなったたすくは逃げるように東京へと向かう。それから2年、東京にたすくの居場所はなく、たすくの中に「ことねと娘に会いたい」という思いが強くなっていく。

たすく役を仲野太賀、ことね役を吉岡里帆が演じるほか、寛一郎山中崇余貴美子柳葉敏郎らが顔をそろえる。

エイブのキッチンストーリー」(11月20日公開) (PG12)

異なる文化を背景にもつため対立しがちな家族の絆を、手作り料理でつなげようと奮闘する少年の成長を描いたヒューマンドラマ。

ニューヨーク・ブリックリンに暮らし、イスラエル人の母とパレスチナ人の父を持つ12歳のエイブは、文化や宗教の違いから対立する家族に悩まされるなか、料理を作ることを唯一の心の拠りどころにしていた。そんな自分のことは誰にも理解してもらえないと思っていたエイブは、ある日、世界各地の味を掛け合わせた「フュージョン料理」を作るブラジル人シェフのチコと出会う。フュージョン料理を自身の複雑な背景と重ね合わせたエイブは、自分にしか作れない料理で家族をひとつにしようと決意する。

Netflixの大ヒットシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のウィル役で知られるノア・シュナップが映画初主演を務め、等身大の少年エイブを好演。ブラジル人の映画監督で、YouTuberや雑誌記者などの顔ももつフェルナンド・グロスタイン・アンドラーデが、自身の半生をベースに描いた。

ホモ・サピエンスの涙」(11月20日公開)

「さよなら、人類」などで知られるスウェーデンの奇才ロイ・アンダーソンが、時代も性別も年齢も異なる人々が織りなす悲喜劇を圧倒的映像美で描き、2019年・第76回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した作品。

この世に絶望し信じるものを失った牧師、戦禍に見舞われた街を上空から眺めるカップル、これから愛に出会う青年、陽気な音楽にあわせて踊る若者……。アンダーソン監督が構図・色彩・美術など細部に至るまで徹底的にこだわり抜き、全33シーンをワンシーンワンカットで撮影。「千夜一夜物語」の語り手シェヘラザードを思わせるナレーションに乗せ、悲しみと喜びを繰り返してきた不器用で愛おしい人類の姿を万華鏡のように映し出す。

Mank マンク」(11月20日公開)

ソーシャル・ネットワーク」「ゴーン・ガール」の鬼才デヴィッド・フィンチャーがメガホンをとり、「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」のオスカー俳優ゲイリー・オールドマンが、不朽の名作「市民ケーン」の脚本家ハーマン・J・マンキーウィッツを演じたNetflixオリジナル映画。

1930年代のハリウッド。脚本家マンクはアルコール依存症に苦しみながら、新たな脚本「市民ケーン」の仕上げに追われていた。同作へのオマージュも散りばめつつ、機知と風刺に富んだマンクの視点から、名作誕生の壮絶な舞台裏と、ハリウッド黄金期の光と影を描き出す。

マンマ・ミーア!」のアマンダ・セイフライド、「白雪姫と鏡の女王」のリリー・コリンズ、テレビドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のチャールズ・ダンスら豪華キャストが個性豊かな登場人物たちを演じる。

Netflixで2020年12月4日から配信。それに先立ち一部の映画館で劇場公開。

滑走路」(11月20日公開) (PG12)

32歳で命を絶った夭折の歌人・萩原慎一郎のデビュー作にして遺作となった歌集を原作に、現代をもがき生きる人々の苦悩と希望をオリジナルストーリーで描いた人間ドラマ。

厚生労働省の若手官僚・鷹野は、激務の中で仕事への理想を失い、無力な自分に思い悩んでいた。そんなある日、非正規雇用が原因で自死したとされる人々のリストが、NPO団体によって持ち込まれる。追及を受けた鷹野は、リストの中から自分と同じ25歳で自死した青年に関心を抱き、彼が死を選んだ理由を調べ始める。一方、将来への不安を抱える30代後半の切り絵作家・翠は、子どもを欲する自身の思いを自覚しながらも、夫との関係に違和感を抱いていた。また、幼なじみを助けたためにイジメの標的となった中学2年生の学級委員長は、シングルマザーの母に心配をかけまいと1人で問題を抱え込む。それぞれ悩みを抱える3人の人生は、やがてひとつの道へと繋がっていく。

若手官僚・鷹野を浅香航大、切り絵作家・翠を水川あさみが演じる。

フード・ラック!食運」(11月20日公開)

芸能界屈指の食通として知られる「ダチョウ倶楽部」寺門ジモンの初映画監督作。

下町の人気焼肉店を舞台に、「食」を通じて親子の愛情や人生の悲喜こもごもを描く。下町に店を構える人気焼肉店「根岸苑」を切り盛りする安江。ひとり息子は良人は、母の手料理を食べることが毎日の楽しみだった。しかし、ある事件がきっかけで根岸苑は閉店し、成長した良人も家を飛び出してしまう。うだつがあがらないライターとして自堕落な生活を送っていた良人は、ある日、グルメ情報サイトの立ち上げを任されることに。そして、そんな良人のもとに、家を飛び出して以来、疎遠になっていた母が倒れたとの報せが入る。

主人公・良人役で「EXILE」「三代目J Soul BrothersパフォーマーEXILE NAOTOが主演。物語のキーパーソンとなる新人編集者・静香役で土屋太鳳が共演する。良人の母で「根岸苑」店主の安江をりょうが演じるほか、石黒賢松尾諭寺脇康文、白竜、東ちづる矢柴俊博筧美和子大泉洋大和田伸也竜雷太ら実力派やベテラン俳優が多数出演。

THE CROSSING 香港と大陸をまたぐ少女」(11月20日公開) (PG12)

香港と中国・深圳という隣接する2つの地域を行き来し、それぞれにアイデンティティを持つ少女を主人公に、香港と中国大陸の越境問題や経済、社会情勢、現地の青少年の裏事情など、さまざまな実情をリアルに重ねながら、青春のみずみずしさを描いた中国映画。

香港人の父と中国人の母を持つ16歳の高校生ペイは、深センから香港へ越境通学している。母は家で友達と麻雀に興じてばかりで、父は香港で別の家族を持ち、国境付近でトラック運転手をしている。孤独なペイにとって一番楽しいのは、学校で親友ジョーと過ごす時間だった。2人は日本の北海道へ旅行に行くことを夢見て小遣い稼ぎしているが、ある日、船上パーティでハオという青年に出会う。クールなハオにジョーが好意を抱くなか、ペイはハオからスマートフォンを香港から深センへ持ち出す密輸の仕事を持ち掛けられる。ペイは旅費欲しさに、その裏仕事を引き受けてしまうが……。

ルクス・エテルナ 永遠の光」(11月20日公開)

「CLIMAX クライマックス」「アレックス」などで知られるフランスの鬼才ギャスパー・ノエが、映画への愛と狂気を独特の映像で描いた異色作。

魔女狩りを題材にした映画の撮影現場。女優、監督、プロデューサー、それぞれの思惑や執着が入り乱れ、現場は収拾のつかないカオスな状態に陥っていく。

出演は「アンチクライスト」のシャルロット・ゲンズブール、「ベティ・ブルー」のベアトリス・ダル、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のアビー・リー・カーショウ。

トータル・リコール 4Kデジタルリマスター」(11月27日公開) (R15+)

フィリップ・K・ディックの短編小説「追憶売ります」をもとに、ポール・バーホーベン監督、アーノルド・シュワルツェネッガー主演で描いたSFアクション大作。

西暦2084年、地球の植民地となっていた火星では、エネルギー鉱山の採掘を仕切るコーヘイゲンとそれに対抗する反乱分子の小競り合いが続いていた。一方、地球に暮らす肉体労働者のダニエル・クエイドは、毎晩行ったこともない火星の夢を見てうなされていた。夢が気になるクエイドは「火星旅行の記憶を売る」というリコール社のサービスを受けることに。しかし、それをきっかけに今の自分の記憶が植えつけられた偽物であり、本当の自分はコーヘイゲンの片腕の諜報員ハウザーだったと知る。クエイドは真相を知るため火星に旅立つが、真実を隠匿するコーヘイゲンに命を狙われ……。

公開から30年を経て、4Kデジタルリマスター版でリバイバル公開。

アンダードッグ」(11月27日公開) (R15+)

「百円の恋」の武正晴監督が、「百円の恋」の武正晴監督が、森山未來北村匠海勝地涼をキャストに迎えて描いたボクシング映画。「百円の恋」の足立紳が原作・脚本を手がけ、三者三様の生き様を抱える男たちが人生の再起をかけて戦う姿を描く。

プロボクサーの末永晃はかつて掴みかけたチャンピオンの夢を諦めきれず、現在も“咬ませ犬”としてリングに上がり、ボクシングにしがみつく日々を送っていた。一方、児童養護施設出身で秘密の過去を持つ大村龍太は、ボクシングの才能を認められ将来を期待されている。大物俳優の2世タレントで芸人としても鳴かず飛ばずの宮木瞬は、テレビ番組の企画でボクシングの試合に挑むことに。それぞれの生き様を抱える3人の男たちは、人生の再起をかけて拳を交えるが……。

スターダムに駆け上がる選手たちの陰で“咬ませ犬”として踏み台にされながらも這い上がろうともがく崖っぷちボクサー・末永晃を森山未來児童養護施設で育った経歴を持つ才気あふれる若手ボクサー・大村龍太を北村拓海、テレビ番組の企画でボクシングに挑む売れない芸人ボクサー・宮木瞬を勝地涼がそれぞれ演じる。

3人の男たちを中心に描いた「劇場版」は前後編の2部構成で同日公開。また、3人と彼らを取り巻く人々の群像劇として全8話のシリーズで描く「配信版」もABEMAプレミアムで配信される。

10万分の1」(11月27日公開)

GENERATIONS from EXILE TRIBE」「EXILE」の白濱亜嵐と「ReLIFE リライフ」の平祐奈がダブル主演を務め、宮坂香帆の人気少女漫画を実写映画化。10万分の1の確率でしか起こらない難病という運命が降りかかりながらも、手を取り合って未来に向かっていく高校生の2人の恋愛を描いた。

高校剣道部のマネージャーを務める桜木莉乃は、中学時代からの友人である剣道部の人気者・桐谷蓮に思いを寄せていた。しかし自分に自信が持てない莉乃は、学校中の生徒たちの憧れの的である蓮に気後れしてばかりで、告白して気まずくなるくらいなら友達のままでいようと思っていた。そんなある日、思いがけず蓮の方から告白され、2人は付き合うことに。誰もがうらやむ幸せな日々を送る莉乃と蓮だったが、やがて「10万分の1」の確率でしか起こらない残酷な運命が2人に降りかかる。

旅猫リポート」の三木康一郎監督がメガホンをとり、「きょうのキラ君」の中川千英子が脚本を担当。

佐々木、イン、マイマイン」(11月27日公開)

初監督作品「ヴァニタス」がPFFアワード2016観客賞を受賞し、人気バンド「King Gnu」や平井堅のMVなどを手がける内山拓也監督の青春映画。

俳優になるために上京したものの鳴かず飛ばずで、同棲中のユキとの生活もうまくいかない日々を送って悠二は、高校の同級生の多田と再会をする。悠二は多田との再会で、在学当時にヒーロー的存在だった佐々木との日々を思い起こす。悠二はある舞台出演のため稽古に参加するが、稽古が進むにつれ、舞台の内容が過去と現在にリンクし、悠二の日常が加速していく。そんな矢先、悠二の電話に佐々木から数年ぶりの電話がかかってくる。

主人公・悠二役を「his」の藤原季節が演じるほか、細川岳、萩原みのり、遊屋慎太郎、森優作、小西桜子、河合優実、「King Gnu」の井口理、鈴木卓爾村上虹郎らが脇を固める。

アーニャは、きっと来る」(11月27日公開)

イギリスの児童文学作家マイケル・モーパーゴの同名小説を映画化し、ナチス占領下のフランスを舞台にユダヤ人救出作戦の行方を描いたヒューマンドラマ。

1942年、ピレネー山脈の麓にある小さな村。生活の大半を羊飼いとして過ごす13歳の少年ジョーは、ユダヤ人の男性ベンジャミンと出会う。彼はユダヤ人の子どもたちを安全なスペインへ逃がす計画を企てており、ジョーも手伝うことに。その一方で、ジョーは個人的な悲しみの感情を共有することで、ドイツ軍の下士官と親しくなる。ドイツの労働収容所から帰国したジョーの父親は荒れていたが、ジョーのユダヤ人救出作戦への関与を知ると協力を約束。村人たちが一致団結して子どもたちを逃がす日が迫る中、ベンジャミンが待つ娘アーニャは一向に現れず……。

Netflixドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のノア・シュナップが主演を務め、祖父アンリをジャン・レノ、救出作戦の主導者オルカーダをアンジェリカ・ヒューストンが演じる。

ガメラ 大怪獣空中決戦 4K HDR」(11月27日公開)

大映が手がけた特撮映画「大怪獣ガメラ」を復活させた「平成ガメラ」3部作の第1作で、宇宙の守護神ガメラと超遺伝子獣ギャオスの戦いを描いた特撮怪獣映画。

太平洋上で巨大漂流環礁が発見された。同じ頃、九州の姫神島で住民が消失する事件が発生。住民は消える直前の無線で、鳥の存在を訴えていた。調査のため島を訪れた鳥類学者・長峰の前に、巨大な怪鳥が姿を現す。一方、海上保安庁の米森と保険会社の草薙は、環礁上で発見された石版の碑文を解読。その結果、環礁はガメラ、怪鳥はギャオスという古代怪獣であることが判明する。全国民が震撼する中、2大怪獣の戦いは九州から東京へと舞台を移し、壮絶な空中バトルが幕を開ける。

出演は伊原剛志、「フィスト・オブ・レジェンド」の中山忍、本作が映画初出演の藤谷文子金子修介監督がメガホンをとり、樋口真嗣特技監督を務めた。

「大怪獣ガメラ」の55周年を記念したプロジェクトの一環で平成ガメラシリーズの4Kデジタル修復版のブルーレイが2021年1月29日に発売。これを記念して全国7館のドルビーシネマにて期間限定上映。

ヒトラーに盗られたうさぎ」(11月27日公開)

ドイツの絵本作家ジュディス・カーが少女時代の体験を基につづった自伝的小説「ヒトラーにぬすまれたももいろうさぎ」を、「名もなきアフリカの地で」のカロリーヌ・リンク監督が映画化。

1933年2月。ベルリンで両親や兄と暮らす9歳のアンナは、ある朝突然、「家族でスイスに逃げる」と母から告げられる。新聞やラジオでヒトラーへの痛烈な批判を展開していた演劇批評家でユダヤ人でもある父は、次の選挙でのヒトラーの勝利が現実味を帯びてきたことに身の危険を感じ、密かに亡命の準備を進めていたのだ。持ち物は1つだけと言われたアンナは大好きなピンクのうさぎのぬいぐるみに別れを告げ、過酷な逃亡生活へと踏み出していく。

アンナの父を「帰ってきたヒトラー」のオリバー・マスッチ、母を「ブレードランナー 2049」のカーラ・ジュリ、心優しいユリウスおじさんを「お名前はアドルフ?」のユストゥス・フォン・ドーナニーが演じた。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

*1:この理由はあくまでも個人的な考えではあるが、エヴァ進撃の巨人鬼滅の刃は現象化していく熱気や人々を盛り上げさせるキャラと物語配置があると思う。ぜひ、いろんな人に研究していただきたいところだ。

<週刊興行批評>いよいよ「鬼滅の刃」が公開!オープニング興収20億円の壁は超えられるか?

f:id:ot20503:20201015012451j:image

今回はいよいよ昨日より公開される「鬼滅の刃 無限列車編」について書いていきます。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

f:id:ot20503:20201015012612j:image

1位は「TENET テネット」。土日2日間で動員10万1000人、興収1億7000万円をあげ、累計では動員124万人、興収20億円を突破している。

2位は「浅田家!」。土日2日間で動員8万6000人、興収1億1500万円をあげ、累計では動員100万人、興収16億円を突破している。

3位は「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。累計で動員89万人、興収12億円を突破した。

4位は初登場望み」。初日からの3日間で動員6万9300人、興収8900万円をあげた。

5位は「映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者累計で動員84万人、興収10億円を突破。

6位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。累計で動員267万人、興収32億円を突破。

7位は「事故物件 恐い間取り」。累計で動員169万人、興収22億円を突破。

8位は「ミッドナイトスワン」。累計興収は3億7900万円を突破。

9位は「トロールズ ミュージック★パワー」。累計で動員7万8600人、興収9700万円を突破。

10位は初登場星の子」。初日からの3日間で動員2万9000人、興収3800万円をあげた。

82年生まれ、キム・ジヨン」は、初日からの3日間で動員2万9400人、興収4000万円をあげ、11位スタートとなった。

 

2.いよいよ「鬼滅の刃 無限列車編」が公開!

f:id:ot20503:20201016104029j:imageいよいよ昨日より「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」が公開。累計発行部数は1億部を突破、今年5月に人気絶頂の最中で完結を迎えた吾峠呼世晴週刊少年ジャンプで連載された「鬼滅の刃」。2019年4月〜9月にかけて放送されたテレビアニメのその後の話が描かれている。

今や子供から大人まで「鬼滅の刃」を知らない人のほうが少ないと抱かせるほどの社会現象ぶりで、先日映画を記念して放送された総集編「兄妹の絆」が視聴率16.7%と高視聴率を記録(なお、今週土曜日にも「那田蜘蛛山編」が放送されるため、こちらにも期待したい)。

この社会現象の熱が頂点になりつつある今、劇場版の公開が始まるわけだから、それ相応の興行収入が出る期待もある。今回は本作の公開体制について見ていき、初週末でどこまで稼ぐことが出来るのかを考えていきます。

・この3日間でどれだけ上映される?

まず、そもそも金曜日から日曜日までどれだけ上映されるのか。東宝の上映劇場一覧に載せられてる劇場すべての上映スケジュールを調べてみました。

f:id:ot20503:20201016211243p:plain

上映館数は365館。これはTVアニメ放送前に上映された「兄妹の絆」の33倍(11館)、同じくアニプレックス配給、ufotable制作の「劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」の2.3倍(156館)であり、近作だと「今日から俺は!!劇場版」(359館)、「TENET テネット」(362館)に匹敵する館数だ。

また、上映回数だと、金曜日に7960回、土曜日に7860回、日曜日に7700回で3日間で合計で23500回以上も上映される。これだけ聞いてもピンと来ないだろうが、1館あたり平均で3日間で64.4回、1日あたり21.5回も上映されるという計算だ。もちろん、1スクリーンあたりで1日に21回も上映ができるわけがないので(頑張っても6〜7回である)、ほとんどの劇場では複数のスクリーンで鬼滅の刃が上映されるという展開を図っている。ちなみに初日の朝7時の朝一の最速上映を行っている劇場が83館、土曜日の朝8時40分より行われる舞台挨拶のライブビューイングが含まれた回を上映する劇場は202館に及ぶ。どちらもイベント性が含まれたこうした上映回は特にチケットの完売率は都市・田舎関係なく高かった印象だ。

合計回数が100回以上を超えている映画館はTOHOシネマズ新宿*1、TOHOシネマズららぽーと横浜*2横浜ブルク13*3イオンシネマ港北ニュータウン*4、TOHOシネマズ流山おおたかの森*5、TOHOシネマズ柏*6、中川コロナシネマワールド*7、小牧コロナシネマワールド*8、TOHOシネマズモレラ岐阜*9、TOHOシネマズ岡南*10、T・ジョイ博多*11、TOHOシネマズ熊本サクラマチ*12、TOHOシネマズ与次郎*13の13館にも及び、特にTOHOシネマズ新宿の初日の42回を12スクリーン中11スクリーンで、初回の朝7時上映を9スクリーンで上映されることはネットメディアでも大きな話題となった。

f:id:ot20503:20201016215406j:plain
f:id:ot20503:20201016215414j:plain
f:id:ot20503:20201016215433j:plain

ここまで上映回数が多いとまるで時刻表みたいだと…Twitter上でも話題になっていましたが、確かにそれは言えてます(笑)。

・ここまで大規模で上映できる理由

では、なぜここまでの大規模の上映が可能になったのか。また、なぜそこまでして多くのスクリーンで上映するのかを考えていきます。まず、本作は製作にソニー・ミュージック・エンタテインメントのアニプレックスが関わっていました。劇場版自体もアニメの評判の高さから決定し、放送の中盤までにはキャスト陣にも周知されていたという。しかし、ここまでの現象化をしてしまうとアニプレックス単体で配給をしてもどこまで規模を確保できるのか。先ほど書いた「Fate/stay night」でも150館規模であります。これでは需要に応えることは可能だろうか。そこで本作に共同配給で名を連ねているのは東宝です。東宝は今や日本一の配給会社、製作会社として有名でもありますし、シネコンチェーンであるTOHOシネマズも展開しているので配給としてこの上ない最高のパートナーです。結果として、ここまでの規模を展開できたわけでありますが、東宝としてもこの話は非常に美味しいところであります。これまで週刊少年ジャンプのアニメ映画の配給としては「ドラゴンボール」、「ワンピース」の東映がドル箱化しているイメージが強かったです。もちろん、東宝もこれまでNARUTOやヒロアカを配給してきましたが、興収としては10〜20億円とドル箱とまではいかなかったところではあります。そんな中で舞い込んできた「鬼滅の刃」の劇場版の配給。現時点ではアニプレックスさんとの繋がりを持つこと(来年2月には共同配給で「夏への扉」を公開予定済みである)や配給のお手伝いをした側面もありますが、大ヒットした暁には、東宝も潤い、今後のメディア展開にも関われるチャンスを掴んだも同然というわけです。東宝としても先日、行われた2021年2月期の第二四半期の決算資料の表紙に推すほど。それだけ、本作に対しての期待度は大きいと読んでいるのでしょう。

多いところでは1日40回以上と劇場のスクリーンをほぼフル活用して鬼滅の刃を上映する劇場もあるようですが、そこまでするのはなぜ?と感じる人も少なくはないでしょう。それだけ社会現象だからだと片付けることも可能ですが、だとしても、過去のメガヒット作品でもそこまでのスクリーンを確保してまでやるほどではありませんでした。

と考えると、それはコロナ禍でいかに観客を密にせずに分散させるかという理由もあるでしょう。これだけのメガヒットが期待される作品、多くの観客が入場し、その中には劇場に普段足を運ばない人もいるかもしれない。そうした中で劇場としての安全・衛生確保の観点からも複数のスクリーンに跨って、並行上映させてほうがいいというのは良いアイデアでもあるように思えます。コロナとこれから長く付き合うことを考えてもこの策がどう作用するのか。もしかしたら、今後、メガヒット作品にはこうした対応がスタンダードになるかもしれません。

・コロナ禍で大規模上映をする是非

さて、こうした大規模上映をすることは一概に良い!と言い切れないというのもあります。それは2つありまして、1つは競合作の勢いを弱らせてしまうこと。現在、公開されている「浅田家!」や「TENET」といった作品をはじめ、同週末に公開されるヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した「スパイの妻」、幸福の科学映画「夜明けを信じて。」などのパワーを弱らせ、それが翌週以降もしばらくつづくことは他作品からしたら辛い面でもあります。しかし、それはこれまでもメガヒット作品の最中で公開された作品のどれにも言えるので仕方がありません。むしろ、考えなきゃいけないのが2つ目です。

これは初日の劇場内のロビー、入場口。かなり混雑しているのが伺えます。劇場としてはここまで活気してくれるのはありがたい反面、これで感染者が出てしまったら、元も子もありません。検温、マスクをしていればコロナを完全に防げるわけでもないですし、座席緩和したことにより、感染リスクは高まる心配をするお客さんもいるでしょう。これまで映画館で感染者が出たという報道は出ていませんが、1人でも出てしまえば、全国的に大きく報道されることは間違いないでしょうし、風評被害も避けられない可能性があります。これは映画館スタッフが努力すれば済む話でもないし、入場口が一つしかない映画館ならではな問題でもあるような気がします。まずは観客自身と映画館それぞれの感染対策の徹底化をするしかないでしょう。回数を減らせば良いという問題でもないように需要の面から思います。

・「鬼滅の刃」の劇場版は映画館を救うのか?

さて、あれこれ考えていきましたが、このような規模からも「鬼滅の刃」の劇場版に対しての配給、映画館の期待と熱意が伺えますし、ここまで再開以降、順調に持ち直しつつある映画館にとってついに正念場とも言える場面ではないでしょうか。本作のヒットによって、映画館の熱気は正常に戻るのか、次のヒットに繋がっていくのか。現状の熱気から映画館を救ってくれると願うしかない。洋画の大作が少ない今こそ邦画のヒットする(ここでは良い意味で)ガラパゴスさを出してくれることに期待しよう。

・オープニング興収は20億円の壁を超えるのか?

最後に。 オープニング興収を予想していきます。参考データとしてジャンプアニメ映画と2010年代のオープニング成績のトップ10を出しておきます。

f:id:ot20503:20201017025829p:plain

f:id:ot20503:20201017025844p:plain

f:id:ot20503:20201017025857p:plain

まず、目指すべきは「ワンピース」や「ドラゴンボール」だ。どれも興収が10億円台を記録している。これらを超えてきたら、ジャンプの覇権を取ったという見解がアニメでも証明されたことになる。

つづいて、目指すべきはコナンや妖怪ウォッチだ。こちらは土日2日間で動員100万人、興収も10億円後半を超えてきたら、もはや最終興収が100億円も夢じゃないと考えて良い。こうして見ると「妖怪ウォッチ」ってとてつもない社会現象だったなと改めて感じる(そこからの減速が強すぎただけだが…)。今の鬼滅現象がそれだけすごいんだ!と言えるかが試されます。

今の状況なら、この2つの目標は軽く突破していきそうな勢いも感じるのだが、そこで考えたのが、オープニング興収で20億円の壁を超えることが出来るか?だ。そこで言いたいのが、土日2日間、ましてや初日3日間で興収20億円を超えた映画は日本に存在しないということ。

メディアではオープニング興収の日本記録は2003年に公開された「マトリックス リローテッド」で土日2日間で動員148万6743人、興収22億2285万4550円となっている。だが、これは先行上映を含めたした記録であることを加味しないといけない。今は世界同時公開が増えたが、一昔前は先行上映で溢れており、オープニング興収では先行上映の成績を含まれているのが当たり前だった。しかし、先行上映が減りつつある現代において、比較するときに先行上映を加えたデータを日本記録と表記することはよろしくはないと個人的には思う。

f:id:ot20503:20201017031328p:plain

オープニング成績の日本記録として挙げられる主な作品を先行上映の記録を抜いて計算をしてみた結果は上記のとおり。興収20億円超えでも先行の数日分があるとかなり減ったりする。この計算から現時点で日本記録として打ち出せるのは2007年の「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」の世界同時公開された初日からの3日間で19億3869万7200円である。あのパイレーツさえも20億円の壁は超えられなかったのだ。鬼滅が3日間で20億円の壁を打破できるのかは興行収入を追ってる身としてかなり注目しておきたいことなのだ。

とりあえず、まとめておくと…

・2日間で8〜10億円超えなら、ドラゴンボール、ワンピースレベル(ジャンプ覇権の仲間入り)

・2日間で10億〜15億円台なら、コナン、2014年の妖怪ウォッチレベル(149万人、16億2900万円を超えるとその時点で邦画のオープニング新記録)

・3日間で19億円なら、アナ雪2、パイレーツ・オブ・カリビアンレベル

・3日間で20億円を超えると正真正銘の日本新記録

 

この4つの壁に鬼滅の刃がどこまで立ち向かえるのか。まずは3日間の行方に自分は全集中しておきたいところだ。

 

3.今週末の注目作

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」(10月16日公開) (PG12)

吾峠呼世晴の大ヒット漫画を原作としたアニメ「鬼滅の刃」の劇場版。炭治郎らが無限列車に乗り込む場面で終了したテレビアニメ版「竈門炭治郎 立志編」最終話のその後の物語が描かれる。

大正時代の日本。鬼に家族を皆殺しにされ、生き残った妹の禰󠄀豆子も鬼に変貌してしまった炭治郎は、妹を人間に戻し、家族を殺した鬼を討つため、鬼狩りの道を進む決意をする。蝶屋敷での修業を終えた炭治郎たちは、短期間のうちに40人以上もの人が行方不明になっているという無限列車に到着する。炭治郎、禰󠄀豆子、善逸、伊之助は、鬼殺隊最強の剣士の1人、煉獄杏寿郎と合流し、無限列車の中で鬼と立ち向かう。

スパイの妻 劇場版」(10月16日公開)

2020年6月にNHK BS8Kで放送された黒沢清監督、蒼井優主演の同名ドラマをスクリーンサイズや色調を新たにした劇場版として劇場公開。

1940年の満州。恐ろしい国家機密を偶然知ってしまった優作は、正義のためにその顛末を世に知らしめようとする。夫が反逆者と疑われる中、妻の聡子はスパイの妻と罵られようとも、愛する夫を信じて、ともに生きることを心に誓う。そんな2人の運命を太平洋戦争開戦間近の日本という時代の大きな荒波が飲み込んでいく。

蒼井と高橋一生が「ロマンスドール」に続いて夫婦役を演じたほか、東出昌大笹野高史らが顔をそろえる。「ハッピーアワー」の濱口竜介と野原位が黒沢とともに脚本を担当。「ペトロールズ」「東京事変」で活躍するミュージシャンの長岡亮介が音楽を担当。第77回ヴェネツィア国際映画祭黒沢清監督が銀獅子賞を受賞した。

博士と狂人」(10月16日公開)

初版の発行まで70年を費やし、世界最高峰と称される「オックスフォード英語大辞典」の誕生秘話を、メル・ギブソンショーン・ペンの初共演で映画化。

貧しい家庭に生まれ、学士号を持たない異端の学者マレー。エリートでありながら、精神を病んだアメリカ人の元軍医で殺人犯のマイナー。2人の天才は、辞典作りという壮大なロマンを共有し、固い絆で結ばれていく。しかし、犯罪者が大英帝国の威信をかけた辞典作りに協力していることが明るみとなり、時の内務大臣ウィンストン・チャーチルや王室をも巻き込んだ事態へと発展してしまう。

マレー博士役をメル・ギブソン、マイナー役をショーン・ペンがそれぞれ演じるほか、ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のナタリー・ドーマー、「おみおくりの作法」のエディ・マーサンらが脇を固める。

みをつくし料理帖」(10月16日公開)

映画プロデューサーとして「犬神家の一族」「セーラー服と機関銃」など数々のヒット作を手がけ、「天と地と」「汚れた英雄」などでは自ら監督としてメガホンを取った角川春樹の8作目となる監督作品。ドラマ化もされた高田郁による同名人気時代小説を、テレビドラマ版「この世界の片隅に」の松本穂香主演で映画化。

享和二年の大坂、仲の良い幼なじみだった8歳の澪と野江を大洪水が襲う。数年後、大洪水で両親を亡くし、野江とも離れ離れになってしまった澪は江戸に暮らしていた。蕎麦処「つる家」の店主に助けられ、天性の料理の才能を見いだされた澪は女料理人として働き、さまざまな困難に立ち向かいながらも店の看板料理を生み出していった。その味が江戸中の評判になっていったある日、吉原・翁屋の又次がつる家にやってきた。又次の用件は、吉原で頂点を極めるあさひ太夫のために澪の看板料理を作ってほしいというものだった。

澪役を松本穂香、野江役を「ハルカの陶」の奈緒、又次役を中村獅童がそれぞれ演じる。

夜明けを信じて。」(10月16日公開)

宗教家の大川隆法による原作・製作総指揮で、2018年に公開された「さらば青春、されど青春。」をキャストやキャラクターを一新してリメイク。

幼いころから勉学に励み、東京の有名大学に進学した一条悟だったが、恋愛や就職活動など、思うようにいかないことが多かった。そんなある時、突然、霊的な存在とのコンタクトが可能になった悟は、大手商社に就職し、異例のスピード出世を果たす。恋愛も順調になり、公私ともに順風満帆の人生を歩む悟だったが、次第に「自分の思想を世の中に説く」という使命感に目覚めていく。しかし、そのためにはこれまで築いた社会的地位も大切な人と過ごす未来の生活も捨てなければならない。将来の幸せか、自身の使命に従うかで迷う悟は、ある決断を下す。

前作にも出演した千眼美子が再びヒロインを演じる。

ウィッカーマン final cut」(10月17日公開)

「ミッドサマー」のアリ・アスター監督もその影響を公言しているなど、一部で熱狂的に支持され、ニコラス・ケイジ主演でリメイクもされた「ウィッカーマン」のファイナルカット版。

公開された1973年当時、完成した作品を映画会社のトップが気に入らず、監督が編集した102分バージョンでなく88分の短縮版で公開された。ネガフィルムも紛失し、長らく行方不明の状態が続いていたが、製作40周年記念となる2013年にフィルムが見つかり、ロビン・ハーディ監督自らが再編集をした94分のファイナルカット版が日本初公開となる。

行方不明の少女捜索のためスコットランドの孤島に上陸したハウィー警部は捜査に取り掛かるのだが、島はサマーアイル卿が統治するケルト神話に支配された禁断の地だった。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

*1:金曜日42回、土曜日41回、日曜日35回の計118回

*2:金曜日42回、土曜日41回、日曜日41回の計124回

*3:金曜日42回、土曜日32回、日曜日32回の計106回

*4:金曜日40回、土曜日39回、日曜日40回の計119回

*5:金曜日39回、土曜日37回、日曜日36回の計112回

*6:金曜日36回、土曜日34回、日曜日31回の計101回

*7:金曜日36回、土曜日36回、日曜日33回の計105回

*8:金曜日38回、土曜日38回、日曜日28回の計104回

*9:金曜日39回、土曜日39回、日曜日39回の計117回

*10:金曜日34回、土曜日33回、日曜日34回の計101回

*11:金曜日37回、土曜日35回、日曜日29回の計101回

*12:金曜日35回、土曜日33回、日曜日33回の計101回

*13:金曜日37回、土曜日36回、日曜日35回の計108回

<週刊興行批評>007の延期、モンハンの前倒し、ピクサー新作の劇場スルー…メジャー洋画の波乱はつづく

f:id:ot20503:20201009141044j:image

今回は「浅田家!」についてと最近のニュースからメジャー洋画の行方を考えていきたいと思います。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

f:id:ot20503:20201010032705j:image

1位は初登場浅田家!」。土日2日間で動員12万6000人、興収1億7200万円をあげ、幅広い層の女性を集客し、初日から3日間の累計では動員20万人、興収2億8000万円をあげるヒットスタートを切った。

2位は「TENET テネット」。土日2日間で動員12万2000人、興収2億1000万円をあげ興収では「浅田家!」を上回った。累計では動員100万人、興収16億円を突破している。

10月10日からは入場者特典の配布も開始しており、リピーターの入場でさらなるヒットとなりそうだ。

3位は「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。土日2日間で動員8万7000人、興収1億2900万円をあげ、前週比-2.5%と落ちの少ない好調な興行を続けている。累計では動員78万人、興収11億円を突破した。

4位は「映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」。累計で動員78万4300人、興収9億5800万円を突破した。

5位は「事故物件 恐い間取り10月2日より4D上映も始まり、累計で動員163万人、興収21億円を突破。

6位は初登場トロールズ ミュージック★パワー」。初日から3日間で動員3万8900人、興収4900万円をあげた。

7位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。累計で動員263万人を突破し、興収は間もなく32億円に届く。

8位は「ミッドナイトスワン」。累計興収は2億7600万円を突破。

9位は「」。累計は動員158万人、興収20億円を突破している。

10位は「映像研には手をだすな!」。

 

2.興収チェック!「浅田家!」

f:id:ot20503:20201010032731j:image

先週末、初登場1位にランクインしたのは「浅田家!」。様々なシチュエーションでコスプレして撮影するユニークな家族写真で注目を集めた写真家・浅田政志の実話を「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太監督、二宮和也主演で描いた人間ドラマ。

f:id:ot20503:20201010040226p:plain

近年の二宮和也出演の映画作品と比較すると「検察側の罪人」の動員比40%、興収比41%、「ラストレシピ」の動員比118%、興収比125%とまずまずのオープニング成績。 最終興収は10億円に届くかどうかだが、平日の動員次第ではさらなる好成績も見込めそうだ。

 

3.メジャー洋画の波乱はつづく

先週末の洋画でトップ10にランクインしているのは「TENET」と「トロールズ」の2作品のみだ。本来なら、今週末には「ワンダーウーマン 1984」が公開予定だったが、12月25日に延期となった。日本ではコロナの感染者数も一時期に比べれば落ち着いてはきているが、欧米に目を向けるとまだまだ感染者数は収まる気配はない。アメリカでは今でも1日あたり4〜5万人の新規感染者を出し、スペインやフランス、イギリス、イタリアでもここ数日感染者数が急増している事態となっており、まだまだ油断が許されない状況だ。

そして、こうした状況からも欧米の劇場が平常に戻るのはまだ茨の道状態であり、それは作品にも見事に影響が出ている。

11月に公開を予定していた「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」は来年4月に公開を延期。その玉突きでワイスピの新作は来年4月から5月に延期。

ワーナーはドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「DUNE/デューン 砂の惑星」を12月から来年10月に大幅延期。その影響で「ザ・バットマン」は2021年10月から2022年3月に延期になるなど公開スケジュールの見直しが相次いだ。

そして、ディズニーは11月に公開予定だった「ブラック・ウィドウ」を来年4月に延期。今月23日に公開予定だった「ナイル殺人事件」は2ヶ月後の12月、12月に公開予定だったスピルバーグ監督の「ウエスト・サイド・ストーリー」は1年後に延期となった。

さらには、ディズニーはピクサーの新作として日本でも12月に公開予定だった「ソウルフル・ワールド」を自社の映像配信サービス「Disney+」で配信することを決めた。なお、「ムーラン」のように別途課金する形ではなく、配信とともに見放題として視聴可能となるようだ。

というように現時点で年内に公開できるメジャー洋画もほぼないに等しい状態になっている。この状況はいつまでつづくかも分からず、年を越えても延期が続く可能性もある。また、感染者が出て、撮影を中断するパターンもあり、1〜2年では留まらない状態になることも考慮しないといけない。

こうした状態から再び映画館を閉館する動きも出てきている。アメリカ・イギリスの大手映画館チェーン・Cineworld/Regal Cinemasは10月8日(米国時間)から再休業に突入した。アメリカ国内にあるRegal Cinemasの536館、イギリスにあるCineworld/Picturehouseの127館を一斉に休業し、4万5,000人の従業員に影響が生じるという。

「TENET」などが公開され、一時は開館することはできたが、大都市であるニューヨークとロサンゼルスの開館をするところまではいかず、「TENET」は全米興収だけ見ると4510万ドル(世界興収は3億7700万ドル)と苦戦を強いられている。「TENET」がコロナ禍の映画館を救ってくれるのではないかという声も次に繋がる作品の登場がない状態では叶わずじまいとなってしまった。

このまま、映画館が廃れていくのか、そんな危機感がまだ渦巻いているが、悲報だけではない。ここに来て、公開を前倒しする作品が登場している。「マトリックス」の新作は22年4月から21年12月に前倒し。

また、「バイオハザード」シリーズのポール・W・S・アンダーソン監督×ミラ・ジョヴォヴィッチ主演の「モンスターハンター」は来年4月公開から今年の12月公開に前倒した。年末のメジャー映画不足の中ではとてもありがたいところであるだろう。なお、製作には東宝も絡んでいるため、日本ではアメリカよりも早く観られる可能性もあり(国産ゲームの実写化なので最速公開の宣伝が出来たほうがいい)、正月映画の目玉となる期待はあるだろう。

延期に配信スルー、さらには前倒しという手も出てきたメジャー洋画であるが、今後、邦画の話題作公開や単館系での洋画上映で凌げている日本においてもじわじわと影響を感じることになる可能性は否定できない。まずは年末に向けての欧米の映画館の開館、メジャー洋画の公開に向けて動き出し、映画館も雇用も作品たちも死なないことを願うばかりだ。

 

4.今週末の注目作

望み」(10月9日公開)

堤幸彦監督と堤真一が初タッグを組み、雫井脩介の同名ベストセラー小説を映画化したサスペンスドラマ。

一級建築士の石川一登と校正者の妻・貴代美は、高校生の息子・規士や中学生の娘・雅とともに、スタイリッシュな高級邸宅で平和に暮らしていた。規士は怪我でサッカー部を辞めて以来、遊び仲間が増え無断外泊することが多くなっていた。ある日、規士が家を出たきり帰ってこなくなり、連絡すら途絶えてしまう。やがて、規士の同級生が殺害されたニュースが流れる。警察によると、規士が事件に関与している可能性が高いという。行方不明となっているのは3人で、そのうち犯人と見られる逃走中の少年は2人。規士が犯人なのか被害者なのかわからない中、犯人であっても息子に生きていてほしい貴代美と、被害者であっても彼の無実を信じたい一登だったが……。

貴代美役に「マチネの終わりに」の石田ゆり子。「八日目の蝉」の奥寺佐渡子が脚本を手がけた。

82年生まれ、キム・ジヨン」(10月9日公開)

平凡な女性の人生を通して韓国の現代女性が担う重圧と生きづらさを描き、日本でも話題を集めたチョ・ナムジュのベストセラー小説を、「トガニ 幼き瞳の告発」「新感染 ファイナル・エクスプレス」のチョン・ユミとコン・ユの共演で映画化。

結婚を機に仕事を辞め、育児と家事に追われるジヨンは、母として妻として生活を続ける中で、時に閉じ込められているような感覚におそわれるようになる。単に疲れているだけと自分に言い聞かせてきたジヨンだったが、ある日から、まるで他人が乗り移ったような言動をするようになってしまう。そして、ジヨンにはその時の記憶はすっぽりと抜け落ちていた。そんな心が壊れてしまった妻を前に、夫のデヒョンは真実を告げられずに精神科医に相談に行くが、医師からは本人が来ないことには何も改善することはできないと言われてしまう。

監督は短編映画で注目され、本作が長編デビュー作となるキム・ドヨン。

星の子」(10月9日公開)

子役から成長した芦田愛菜が2014年公開の「円卓 こっこ、ひと夏のイマジン」以来の実写映画主演を果たし、第157回芥川賞候補にもなった今村夏子の同名小説を映画化。

大好きなお父さんとお母さんから愛情たっぷりに育てられたちひろだが、その両親は、病弱だった幼少期のちひろを治したという、あやしい宗教に深い信仰を抱いていた。中学3年になったちひろは、一目ぼれした新任の先生に、夜の公園で奇妙な儀式をする両親を見られてしまう。そして、そんな彼女の心を大きく揺さぶる事件が起き、ちひろは家族とともに過ごす自分の世界を疑いはじめる。

監督は、「さよなら渓谷」「日日是好日」の大森立嗣。

異端の鳥」(10月9日公開) (R15+)

ナチスホロコーストから逃れるために田舎に疎開した少年が差別に抗いながら強く生き抜く姿と、ごく普通の人々が異物である少年を徹底的に攻撃する姿を描き、第76回ベネチア国際映画祭ユニセフ賞を受賞した作品。ポーランドの作家イェジー・コシンスキが1965年に発表した同名小説を原作に、チェコ出身のバーツラフ・マルホウル監督が11年の歳月をかけて映像化した。

東欧のどこか。ホロコーストを逃れて疎開した少年は、預かり先である1人暮らしの叔母が病死して行き場を失い、たった1人で旅に出ることに。行く先々で彼を異物とみなす人間たちからひどい仕打ちを受けながらも、なんとか生き延びようと必死でもがき続けるが……。

新人俳優ペトル・コラールが主演を務め、ステラン・スカルスガルド、ハーベイ・カイテルらベテラン俳優陣が脇を固める。 

ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ」(10月9日公開) (PG12)

サンフランシスコを舞台に、都市開発により取り残されてしまった人たちのリアルな姿を描いたドラマ。主人公を実名で演じた主演のジミー・フェイルズが10代の頃に体験した自伝的物語で、フェイルズの幼なじみでもあるジョー・タルボット監督が長編初メガホンをとり映画化。サンダンス映画祭の監督賞、審査員特別賞を受賞した。

IT関連企業とベンチャー企業の発展により、多くの富裕層が暮らす街となったサンフランシスコ。この街で生まれ育ったジミーは、祖父が建て、家族との思い出が詰まったビクトリアン様式の美しい家を愛していた。しかし、地区の景観とともに観光名所にもなっていたその家を現在の家主が手放すことになり、家は売りに出されてしまう。ジミーは再びこの家を手に入れるために奔走し、そんなジミーの切実な思いを友人であるモントは静かに支えていた。

本気のしるし 劇場版」(10月9日公開)

「淵に立つ」「よこがお」の深田晃司監督が星里もちるの同名コミックを連続ドラマ化し、2019年放送された作品を劇場作品として再編集したサスペンス。

退屈な日常を送っていた会社員の辻一路。ある夜、辻は踏み切りで立ち往生していた葉山浮世の命を救う。不思議な雰囲気を持ち、分別のない行動をとる浮世。そんな彼女を放っておけない辻は、浮世を追ってさらなる深みへとはまっていく。

辻役を「レディ・プレイヤー1」「蜜蜂と遠雷」の森崎ウィン、浮世役をドラマ「3年A組 今から皆さんは、人質です」「連続テレビ小説 べっぴんさん」の土村芳がそれぞれ演じ、宇野祥平石橋けい、福永朱梨、忍成修吾北村有起哉らが脇を固める。2020年・第73回カンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクション「カンヌレーベル」に選出。

シカゴ7裁判」(10月9日公開)

ソーシャル・ネットワーク」でアカデミー脚色賞を受賞し、「マネーボール」や自身の監督作「モリーズ・ゲーム」でも同賞にノミネートされたアーロン・ソーキンがメガホンをとったNetflixオリジナル映画で、ベトナム戦争の抗議運動から逮捕・起訴された7人の男の裁判の行方を描いた実録ドラマ。キャストには、「ファンタスティック・ビースト」シリーズのエディ・レッドメインをはじめ、ジョセフ・ゴードン=レビット、サシャ・バロン・コーエンマイケル・キートンマーク・ライランス、ジェレミー・ストロングら豪華俳優陣が集結した。

1968年、シカゴで開かれた民主党全国大会の会場近くに、ベトナム戦争に反対する市民や活動家たちが抗議デモのために集まった。当初は平和的に実施されるはずだったデモは徐々に激化し、警察との間で激しい衝突が起こる。デモの首謀者とされたアビー・ホフマン、トム・ヘイデンら7人の男(シカゴ・セブン)は、暴動をあおった罪で起訴され、裁判にかけられる。その裁判は陪審員の買収や盗聴などが相次ぎ、後に歴史に悪名を残す裁判となるが、男たちは信念を曲げずに立ち向かっていく。

NETFLIXで10月16日から配信に先立ち、一部の映画館で劇場公開。

わたしは金正男を殺してない」(10月10日公開)

2017年にマレーシアのクアラルンプール国際空港で起こった、北朝鮮朝鮮労働党委員長・金正恩の実兄・金正男暗殺事件。この事件の闇と真相に迫ったドキュメンタリー。

白昼のマレーシアの空港で、金正男が神経猛毒剤「VX」を顔に塗られ、殺害された。彼を殺したのはベトナム人インドネシア人の2人のごく普通の若い女性だった。彼女たちはなぜ金正男を暗殺したのか。事件を追う中で、それぞれの明るい人生を夢見る貧しい彼女たちにつけ込んだ、北朝鮮工作員たちの姿が明らかとなっていく。

監督は「おしえて!ドクター・ルース」「ジェンダー・マリアージュ 全米を揺るがした同性婚裁判」などのドキュメンタリーを手がけたライアン・ホワイト。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>「ミッドナイトスワン」のランクインは日本でどういう道を作るのか?

f:id:ot20503:20201004051258j:image

今回は「ミッドナイトスワン」について書いております。興行的視点と作品の内容にも触れた長い文章になってしまいましたが、よろしければご覧ください。

 

 

1.先週末のランキング

まずは、先週末のランキングを見てみましょう。

f:id:ot20503:20201006164005j:image

1位は「TENET テネット」。土日2日間で動員14万5000人、興収2億4600万円をあげ、累計では動員74万人、興収12億円を突破している。

2位は「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。土日2日間で動員8万8000人、興収1億3200万円をあげ、累計では動員56万人、興収8億円を突破した。

3位は「映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」。土日2日間で動員8万2000人、興収1億200万円をあげ、累計で動員69万人、興収8億4000万円を突破した。

4位は「事故物件 恐い間取り」。累計で動員154万人、興収20億円を突破した。

5位は初登場映像研には手をだすな!」。

6位は初登場ミッドナイトスワン」。初日から3日間で動員8万3500人、興収1億2000万円をあげた。

7位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。累計で動員258万人、興収31億円を突破。

8位は「」。累計で動員150万人を突破し、興収は間もなく20億円に届く。

9位は「劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」。累計興収は18億円を突破した。

10位は初登場アダムス・ファミリー」。

 

2.興収チェック!「ミッドナイトスワン」

f:id:ot20503:20201004051312j:image

初登場6位にランクインしたのは「ミッドナイトスワン」。草彅剛演じるトランスジェンダーの主人公と親の愛情を知らない少女の擬似親子的な愛の姿を描いたドラマで、草彅剛がトランスジェンダーを演じる点が大きな話題を呼んでいた作品だ。

ジャニーズ事務所を退所して、新しい地図としての活動も既に3年が経過してる中で、草彅をはじめ、香取慎吾稲垣吾郎が挑んできたフィールドは音楽活動やCMはもちろんのこと、SNSやブログ、動画配信といったソーシャルメディア活動とともに"映画"があったことは間違いないだろう。

彼らが独立してから半年となる2018年4月、3人が主演したオムニバス映画「クソ野郎と美しき世界」を公開。その後、稲垣吾郎主演の「半世界」(2019年2月)、香取慎吾主演の「凪待ち」(2019年6月)、草彅剛主演の「台風家族」(2019年9月)がそれぞれ公開され(以上に挙げた4作品は配給に「ミッドナイトスワン」と同じく木下グループのキノフィルムズが関わっている)、キネマ旬報ベスト・テンなどでも高い評価を得てきた。着実に演技力に磨きを続けてきたのもこの3年の大きなトピックだろう。

さて、本作だ。2020年は個人的に3年間、彼らが積み上げた物事が世間により見える形で実を結んでいるように思える年に思えるが、映画という観点でおそらくこれからターニングポイントとなる作品であることは間違いない。本作の公開規模は「クソ野郎と美しき世界」の77館、「半世界」の69館、「凪待ち」の72館、「台風家族」の81館に対して、本作は127館*1と最大規模だ。国内最大級のシネコンチェーンのイオンシネマが全体の3分の1に当たる30館、TOHOシネマズに至っては全72館中の67館が上映しているのだ。TOHOシネマズは公開を記念して、先ほど挙げた「クソ野郎〜」以外の3作品の特集上映や一夜限りの先行上映を開催したりとプロモーションに積極的だった。配給会社が違うとはいえ、東宝グループのシネコンがここまでの対応を見せてくれたことにも驚きだ。

本作の評判に加え、以上のような歩みがあり、本作は100館規模の公開ながら、6位にランクインする快挙を成し遂げた。

さて、作品自体にもここで触れていこうと思う。自分は先週の水曜日、すなわちレディースデイで女性の観客が多かった回で観てきた(その効果があってか、デイリーランキングで3位の快挙を成し遂げている)。感想自体はfilmarksにも投稿しているのでそちらを読んでいただきたいが、話の構造自体はよく出来ている作品で、草彅剛と服部樹咲の演技力の高さ、邦画にしてはよく出来た画作りと悪くない一作ではあったが、作品のオチへの収束の歯切れがよくなく、それはネット上でも賛否渦巻いている。それはトランスジェンダーの扱い方自体にも抵触することでもあるし、個人的には様々な映画を観ている身として、こうした結末を作るのが今の日本映画で精一杯なのだろうかと鑑賞後に思った次第ではあった。

なぜそんなことを書いたかといえば、この作品がヒットし、評価をされるのならば、それはこれからの日本映画、娯楽にしっかりと結びついて欲しいと願うからだ。自分は昨年、同じコーナーで「新聞記者」について扱った際にも「メッセージを汲み取るのみに完結をしたりするようではこの映画の姿勢は果たせても、意義を果たしているのかは疑問です。」と書きました。

「ミッドナイト〜」の監督を務めた内田英治監督は「自分の映画を社会的にはしない。これは娯楽。娯楽映画で問題の第一歩を感じれればいい。社会問題は誰も見ない。」とツイートしたように単に社会問題を取り扱うだけでは映画として成立しない場合もあります(その後のインテリ気取りという言葉は言い過ぎだとは思いますが)。自分は映画に社会背景をいかに混ぜ込むかを楽しみにしている側面があります。その当時に都市の背景、社会がどう動き、人々の会話に何が生まれるか。映画はそれを残す素晴らしい発明だと思うんです。では、「ミッドナイトスワン」を観終わった後、観客は何を思い、社会をどう見つめるのだろうか。僕はこの映画が数年後改めて観たときに「草彅剛さんがこんな役をやってくれたからこそこうした問題に触れる人が増えて、社会は少し変わったよね」とか「こうした映画が2020年に出来たけど、あれからLGBTの役者が当事者として演じることができたり、普通の愛し愛されふりふられるラブストーリーや日常生活を描けて、幸せな結末を迎える映画が増えたよね」そう日本にいても思えるように結びつけていきたいと今、書きながら強く思います(現に海外に目を向けるとこうした動きが始まっているわけだからこそ余計にということはありますが)。

こうした結末を作るのが今の日本映画で精一杯なのだろうかと書きましたが、言い換えればこれが次へと繋がるのであれば、それは意味が少しあるのかなとも思うのです。この映画がどれだけヒットし、どれだけ作品やキャストの演技力が評価され、どれだけ社会を次へと進めていくのか。様々なことが試されている作品だと自分は思うし、それだけの力がある作品だと思います(だからここまで長い文章を書いているわけですが)。数年後、この作品がターニングポイントになったとき、その地図に良い道が出来たなと思えることを祈って。

 

3.今週末の注目作

「今週末の注目作」と書きながら、もう今週末終わってるやないか!となりますが、そこは大目に見てください。以後気をつけます…

浅田家!」(10月2日公開)

様々なシチュエーションでコスプレして撮影するユニークな家族写真で注目を集めた写真家・浅田政志の実話をもとに、二宮和也妻夫木聡の共演、「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太監督のメガホンで描いた人間ドラマ。4人家族の次男坊として育ち写真家になった主人公・政志を二宮和也、やんちゃな弟をあたたかく見守る兄・幸宏を妻夫木聡が演じ、家族の“愛の絆”や“過去と今”をオリジナル要素を加えつつ描き出す。

浅田家の次男・政志は、幼い頃から写真を撮ることが好きだった。写真専門学校に進学した政志は、卒業制作の被写体に家族を選び、浅田家の思い出のシーンを本人たちがコスプレして再現する写真を撮影。その作品は見事、学校長賞を受賞する。卒業後、地元でパチスロ三昧の3年間を送った後、再び写真と向き合うことを決意した政志が被写体に選んだのは、やはり家族だった。様々なシチュエーションを設定しては家族でコスプレして撮影した写真で個展を開催したところ、気に入った出版社が写真集を出版。プロの写真家として歩み始める政志だったが、全国の家族写真の撮影を引き受けるようになり、その家族ならではの写真を模索・撮影するうちに、戸惑いを感じ始める。そんなある日、東日本大震災が起こり……。

フェアウェル」(10月2日公開)

中国で生まれアメリカで育ったルル・ワン監督が自身の体験に基づき描いた物語で、祖国を離れて海外で暮らしていた親戚一同が、余命わずかな祖母のために帰郷し、それぞれが祖母のためを思い、時にぶつかり、励まし合うながら過ごす日々を描いたハートウォーミングドラマ。

ニューヨークに暮らすビリーは、中国にいる祖母が末期がんで余命数週間と知らされる。この事態に、アメリカや日本など世界各国で暮らしていた家族が帰郷し、親戚一同が久しぶりに顔をそろえる。アメリカ育ちのビリーは、大好きなおばあちゃんが残り少ない人生を後悔なく過ごせるよう、病状を本人に打ち明けるべきだと主張するが、中国に住む大叔母がビリーの意見に反対する。中国では助からない病は本人に告げないという伝統があり、ほかの親戚も大叔母に賛同。ビリーと意見が分かれてしまうが……。

オーシャンズ8」「クレイジー・リッチ!」のオークワフィナが祖母思いの孫娘ビリーを演じる。

小説の神様 君としか描けない物語」(10月2日公開)

 相沢沙呼による小説「小説の神様」を、佐藤大樹EXILE/FANTASTICS)と橋本環奈のダブル主演で映画化。

中学生で作家デビューしたものの、発表した作品を酷評され売上も伸びないナイーブな高校生作家・千谷一也。一方、同じクラスの人気者であるドSな性格の小余綾詩凪は、高校生作家としてヒット作を連発していた。性格もクラスでの立ち位置も作家としての注目度も正反対の彼らだったが、編集者に勧められ、小説を共作してベストセラーを目指すことに。反発しあいながらも物語を一緒に生み出していくうちに、一也は詩凪が抱える意外な秘密を知る。

監督は「HiGH&LOW」シリーズの久保茂昭

BURN THE WITCH」(10月2日公開)

BLEACH」の久保帯人によるファンタジーアクション漫画「BURN THE WITCH」を劇場中編アニメーションとして映像化。

普通の人は見ることのできない異形の存在・ドラゴン。ロンドンでは遥か昔から、全死因の72%にドラゴンが関わっていた。その姿を見ることができるのは、ロンドンの裏側に広がる「リバース・ロンドン」の住人だけ。その中でも選ばれし者たちがウィッチ(魔女)やウィザード(魔法使い)となり、ドラゴンに直接接触する資格を与えられている。自然ドラゴン保護管理機関「ウイング・バインド」に所属する魔女コンビ・新橋のえるとニニー・スパンコールは、ドラゴンに接触できない人々に代わってドラゴンたちを保護・管理するべく、任務に励む日々を送っていたが……。

監督は「PSYCHO-PASS サイコパス 2」の作画監督や「甲鉄城のカバネリ」のアクショ ン作画監督を務めた川野達朗。

オン・ザ・ロック」(10月2日公開)

ソフィア・コッポラが監督・脚本を手がけ、「ロスト・イン・トランスレーション」のビル・マーレイと「セレステジェシー」のラシダ・ジョーンズが父娘役で共演。

ニューヨークで暮らすローラは順風満帆な人生を送っていると思っていたが、夫ディーンが新しい同僚と残業を繰り返すようになり、結婚生活に疑いを抱き始める。そこでローラは、プレイボーイで男女の問題に精通している父フェリックスに相談を持ち掛ける。フェリックスはこの事態を調査するべきだとアドバイスし、父娘2人でディーンを尾行することに。アップタウンのパーティやダウンタウンホットスポットを一緒に巡る内に2人は距離を近づけていき、自分たち父娘の関係についてある発見をする。

ある画家の数奇な運命」(10月2日公開) (R15+)

長編監督デビュー作「善き人のためのソナタ」でアカデミー外国語映画賞を受賞したフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督が、現代美術界の巨匠ゲルハルト・リヒターをモデルに、ドイツの激動の時代を生きた芸術家の半生を描いた人間ドラマ。

ナチ党政権下のドイツ。叔母の影響で幼い頃から芸術に親しむ日々を送っていたクルトは、終戦後に東ドイツの美術学校に進学し、エリーと恋に落ちる。エリーの父親は、精神のバランスを崩して強制入院し、安楽死政策によって命を奪われた叔母を死に追いやったナチ党の元高官だった。しかし、誰もそのことに気づかぬまま、2人は結婚する。やがて、東のアート界に疑問を抱いたクルトは、エリーと⻄ドイツへ逃亡し、創作に没頭するが……。

主人公クルト役を「コーヒーをめぐる冒険」のトム・シリングが演じた。第91回アカデミー賞では外国語映画賞と撮影賞にノミネートされた。

ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ」(10月2日公開)

質素な暮らしぶりで「世界で最も貧しい大統領」とも言われた第40代ウルグアイ大統領ホセ・ムヒカと日本の知られざる関係を描いたドキュメンタリー。

2012年にブラジルのリオデジャネイロで開かれた国連会議で、先進国の大量消費社会を優しい口調ながら痛烈に批判したムヒカ大統領。その感動的なスピーチ映像は世界中に広まり、日本でも大きな話題を呼んだ。当時ディレクターを務めていたテレビ番組でムヒカ大統領を取材した田部井一真監督は、ムヒカ大統領が日本の歴史や文化にとても詳しく、尊敬していることに驚かされる。その後も田部井監督は大統領退任後のムヒカに取材を重ね、多くの日本人に彼の言葉を聞いて欲しいと願うように。ムヒカも訪日を熱望し、16年に初来日を果たす。

トロールズ ミュージック★パワー」(10月2日公開)

ボス・ベイビー」「ヒックとドラゴン」のドリームワークス・アニメーションによるミュージカルアドベンチャーアニメ「トロールズ」のシリーズ第2弾。

歌と踊りとハグが大好きな妖精トロールズが暮らすポップ村で、元気いっぱいなみんなの女王として日々を過ごすポピー。実はトロールズの村はかつて王国として繁栄していたが、音楽のジャンルごとに6つに分裂した過去があった。自分たちとは違うジャンルの歌や踊るをするトロールズがいることに興味を抱いたポピーだったが、ロック村の女王バーブが、ほかの村を乗っ取ろうとしていることを知る。ポピーは世界を守るために仲間とともに旅に出るが……。

監督は前作「トロールズ」で共同監督を務めたウォルト・ドーン。ポピー役は「ピッチ・パーフェクト」シリーズなどで歌声を披露してきたアナ・ケンドリック。ブランチ役を務めるジャスティン・ティンバーレイクが、音楽プロデューサーも担当している。日本語吹き替えキャストは上白石萌音ウエンツ瑛士のほか、仲里依紗、兄弟お笑いコンビ「ミキ」の昴生亜生らが務める。

生きちゃった」(10月3日公開) (R15+)

舟を編む」「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」「町田くんの世界」の石井裕也監督が自身のオリジナル脚本を仲野太賀、若葉竜也大島優子のキャストで映画化。

高校時代から仲のよい幼なじみの山田厚久と山田奈津美、そして武田。厚久と奈津美は結婚し、5歳になる娘がいる。なにげない日常を送っていたある日、厚久が奈津美の浮気を知ってしまう。突然のことに、厚久は奈津美に怒ることもできず、悲しむこともできずにいた。感情に蓋をすることしかできない厚久、そして奈津美、武田の3人の関係はこの日を境に次第にゆがんでいく。

厚久役を仲野太賀、武田役を若葉竜也、奈津美役を大島優子がそれぞれ演じる。

 

4.今回の更新

今週は3週分の記事を同時更新しました。ひとつは「クレヨンしんちゃん」、もうひとつは「TENET テネット」「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」について書いております。よろしければご覧ください。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

*1:館数はすべて興行収入を見守りたい!さんのそれぞれの公開初日の(独立系を含む)デイリー合算ランキングから参照。

<週刊興行批評>4連休と座席緩和で「TENET テネット」、「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」が幸先良い初登場!

f:id:ot20503:20200926052917j:image

今回は「TENET テネット」、「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」について考えたいくわけだが、ひとつの朗報がもたらされた。それは9月19日から飲食なしという条件つきではあるのだが、全席での販売が可能になった。何よりその週は4連休のシルバーウィークの効果もあり2作品のオープニング成績にも大きな弾みとなった。今回はそんな2作品について書いていきます。

 

 

1.ランキング

まずは、ランキングを見てみましょう。

f:id:ot20503:20201006163941j:image

1位は初登場TENET テネット」。土日2日間で動員20万人、興収3億2700万円をあげ、初日から22日までの5日間の累計では動員46万8000人、興収7億5000万円を超えるヒットスタートとなっている。

2位は初登場劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。土日2日間で動員17万5000人、興収2億5200万円をあげ、累計では動員39万2000人、興収5億6000万円をあげる好スタート。さらにスクリーンアベレージは160万円を超える圧倒的な強さとなっている。

3位は「映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」。土日2日間で動員14万人、興収1億7000万円をあげ、累計で動員59万人、興収7億2000万円を突破した。

4位は「事故物件 恐い間取り」。累計で動員143万人を突破、興収は間もなく19億円を超える。

5位は「」。累計で動員141万人、興収18億円を突破。

6位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。累計で動員253万人、興収30億円を突破。

7位は「窮鼠はチーズの夢を見る」。累計興収は3億6500万円を突破。

8位は「劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」。累計で動員106万人、興収17億円を突破。

9位は「BREAK THE SILENCE:THE MOVIE」。

10位は「今日から俺は!!劇場版」。累計で動員412万人、興収52億円を突破した

 

2.興収チェック!「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン

f:id:ot20503:20200926045546j:image

初登場2位にランクインしたのは「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。2018年に放送された京都アニメーションによる人気アニメの完全新作劇場版だ。本作は元々1月10日に世界同時公開が予定されていたが、昨年7月に発生した京都アニメーションの放火事件により、公開は延期。そして、4月24日に日を改めるも新型コロナウイルス感染症の影響で再び延期。ファンとしてはようやくの公開となった。

蓋を開ければ、土日2日間で動員17万5000人、興収2億5200万円をあげた。これは同じく京都アニメーション作品「映画 聲の形」(初週末の動員20万人、興収2億8300万円、最終興収23.0億円)の動員比88%、興収比89%のオープニング成績となった。なお、昨年9月に公開された「外伝 -永遠と自動手記人形-」(最終興収8.31億円)の初週末3日間の興行収入対比では176.4%となっており、最終興収10〜20億円を見込めるだろう。

3.興収チェック!「TENET テネット」

f:id:ot20503:20200926045550j:plain

初登場1位にランクインしたのは「TENET テネット」。「ダークナイト」や「インセプション」、「インターステラー」などで全世界の映画ファンを驚かせてきたクリストファー・ノーラン監督の最新作だ。時間の逆行を描いたショットが公開前から話題となっていた。

本作はノーラン監督の最新作となるだけに2020年最大の注目作とも言われていたが、コロナウイルスの影響でハリウッド映画が軒並みの延期、配信スルーを余儀なくされており、本作もその危機に瀕していた。しかし、本コーナーでも追ってきたとおり、ノーラン監督とワーナーは製作費回収の名目ではあるものの、劇場での公開を確約。元々、7月17日のアメリカでの劇場公開を1ヶ月近くの延期で済まし、コロナ禍でのハリウッド大作第一号として大きな注目を集めることとなった。 

日本においては元々の公開日を9月18日に決めており(夏休みはるろ剣が入っている関係上、9月公開となったのだろう)、2ヶ月遅れが数週間の遅れで済んだのはこんな時期に映画ファンとしてはちょっとした幸いではあった。公開まではコロナの公開延期により空きが生じたIMAXや4D上映館にて「ダークナイト」(7/10〜)、「ダンケルク」(7/31〜)、「インセプション」(8/14〜)、「インターステラー」(9/4〜)の4作品を「ノーラン夏祭り」と銘打ちリバイバル上映。公開までの熱を上げてきた。

 

f:id:ot20503:20200926063947j:image

蓋を開ければ、土日2日間で動員20万人、興収3億2700万円をあげ、ノーラン監督の前作「ダンケルク」の動員比91%、興収比101%とほぼ変わらない成績を叩き出した。日本でもノーラン監督のネームバリューが浸透している証拠でもあるだろう。

そして、この成績は日本、世界的に見ても朗報で、洋画自体が週末のNo.1を記録したのは6月に公開された「ドクター・ドリトル」以来3ヶ月ぶり、さらには国内最大のスクリーンを持つ東京のグランドシネマサンシャインでは、IMAXの上映成績が全世界で1位になった。ノーラン監督はIMAXカメラでの撮影をしており、通常のスクリーンでは黒帯でトリミングされてる画面サイズもIMAXではフルサイズで観れる。しかも、このフルサイズで観れるのは日本では大阪の109シネマズ大阪エキスポシティと本劇場のみ。ともなれば、お客さんが詰めかけるのも納得だ。なお、日本においてはIMAX版が全体の興行の24%を占めているなどノーラン監督の意図を汲み取りたいファンも大勢詰め掛けたと考えていいだろう。

コロナ禍において、洋画大作が公開され、お客さんが足を運ぶこと自体、とても大きな意味があるように思える。そして、想定より早いペースで戻りつつある日本の映画興行において、ノーラン監督の近作とさほど変わらない成績を本作が出せたことも大きい。本作はぜひ、20億円を超える最終興収を叩き出して欲しい。

しかし、油断は禁物だ。「TENET」が世界の興行に真っ向から立ち向かってるのに対し、ハリウッド大作の公開延期は続いている。ディズニーは「キングスマン」や「ブラック・ウィドウ」を来年に延期をした。

まだまだアメリカの映画館の復興は鈍いといったところだろうか?だが、「TENET」の公開は映画に大きな風穴を開けたことは確かだと今回の成績を見て自分は思った。

3.今回の更新

今週は3週分の記事を同時更新しました。ひとつは「クレヨンしんちゃん」、もうひとつは「ミッドナイトスワン」について書いております。よろしければご覧ください。 

 

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>クレヨンしんちゃんが公開延期にも関わらず健闘し、初登場1位!

f:id:ot20503:20200920052344j:image

3〜4週ぶりの更新です。今回は「映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」を考えたいと思います。

 

 

1.ランキング

まずは、ランキングを見てみましょう。

f:id:ot20503:20200920052510j:image

1位は初登場映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」。土日2日間で動員21万2000人、興収2億6200万円をあげ、子供たちとその家族のファミリー層を中心に集客し、初日から3日間の累計では、動員23万4000人、興収2億8900万円をあげるヒットスタートを切った。

2位は「事故物件 恐い間取り」。土日2日間で動員15万4000人、興収2億500万円をあげ、累計では、動員109万人、興収14億円を突破するヒットとなっている。

3位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。累計で動員236万人、興収28億円を突破した。

4位は「」。累計で動員116万人、興収15億円を突破している。

5位は初登場窮鼠はチーズの夢を見る」。初日からの3日間で動員10万6500人、興収1億5300万円をあげた。

6位は初登場ミッドウェイ」。初日からの3日間で動員8万6300人、興収1億1400万円をあげた。

7位は初登場BREAK THE SILENCE:THE MOVIE」。

8位は「今日から俺は!!劇場版」。累計で動員401万人、興収50億円を突破。

9位は「劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」。累計興収は15億円を突破。

10位は「2分の1の魔法」。累計で動員51万人、興収7億円を突破した

 

2.興収チェック!「クレヨンしんちゃん 激突! ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」

f:id:ot20503:20200920052358j:image

初登場1位にランクインしたのは「映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」。人気アニメ「クレヨンしんちゃん」の劇場版28作目。劇場版では21年ぶりとなるぶりぶりざえもんの声付きでの本格的な登場も話題となっている一作だ。本作は元々は4月24日に公開予定だったが、感染予防のために公開を5ヶ月延期していた。

f:id:ot20503:20200920055853j:image

初週末の土日2日間で動員21万2000人、興収2億6200万円をあげた。これは昨年の「新婚ハリケーン〜失われたひろし〜」に比べて、動員比88%、興収比91%とそこまで変わらないオープニングを記録。コロナ禍、公開延期という状況にも関わらず、ここまでのオープニングを記録したのはかなり健闘したと言って良い。

ただ、今回はGWでの公開ではないので、そこまでの累計興収が見込めないというのも確かだ。累計興収は10億円を突破すれば良いところだ。

 

3.今回の更新

今週は3週分の記事を同時更新しました。ひとつは「TENET テネット」と「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」、もうひとつは「ミッドナイトスワン」について書いております。よろしければご覧ください。 

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。

<週刊興行批評>「事故物件」が大ヒット!ホラー映画のコンテンツ力が光る

f:id:ot20503:20200910054321j:image

2週ぶりの更新です。今回は「事故物件 恐い物件」を考えたいと思います。

 

 

1.先々週末のランキング

まずは、先々週末のランキングを見てみましょう。

f:id:ot20503:20200910054529j:image

1位は初登場事故物件 恐い間取り」。土日2日間で動員26万3000人、興収3億5800万円をあげた。10代、20代の若者を中心に集客し、初日から3日間の累計では動員34万3000人、興収4億6500万円を超えるヒットスタートを切った。

2位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。土日2日間で動員15万1000人、興収1億8600万円をあげ、累計では動員207万人を突破し、興収25億円突破が目前となっている。

3位は「」。土日2日間で動員13万9000人、興収1億9000万円をあげ、興収では「ドラえもん〜」を上回る2位となっている。累計では動員63万7700人、興収8億4900万円を突破。

4位は「今日から俺は!!劇場版」。土日2日間で動員9万8000人、興収1億2700万円をあげ、累計では、間もなく動員380万人、興収48億円に届く。

5位は「2分の1の魔法」。土日2日間で動員9万3000人、興収1億2700万円をあげ、累計では動員34万人、興収4億6100万円を突破。

6位は「劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」。累計興収は12億1200万円を突破。

7位は「コンフィデンスマンJP プリンセス編」。累計では動員233万人、興収31億円を突破。

8位は初登場青くて痛くて脆い」。初日から3日間で動員7万6300人、興収1億550万円をあげた。

9位は「思い、思われ、ふり、ふられ」。累計では動員46万7800人、興収5億8600万円を突破。

10位は「弱虫ペダル」。累計では動員41万人、興収5億2400万円を突破。

宗教家・大川隆法の企画によるドキュメンタリー作品「奇跡との出会い。-心に寄り添う。3-」は初日から3日間で動員3万4400人、興収4100万円をあげ、11位スタートとなった。

 

2.先週末のランキング

つづいて、先週末のランキングを見てみましょう。

f:id:ot20503:20200910054547j:image

1位は「事故物件 恐い間取り」。土日2日間で動員19万人、興収2億5500万円をあげ、累計では動員78万3000人、興収10億4000万円となっている。

2位は「ドラえもん のび太の新恐竜」。土日2日間で動員11万1000人、興収1億3900万円をあげ、累計では動員224万人を突破し、興収は間もなく27億円に届く。

3位は「」。土日2日間で動員10万人、興収1億3800万円をあげ、累計では動員95万人、興収12億円を突破した。

4位は「今日から俺は!!劇場版」。土日2日間で動員9万8000人、興収1億2700万円をあげ、累計では、間もなく動員380万人、興収48億円に届く。

5位は「劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III. spring song」。累計興収は14億2000万円を突破。

6位は初登場僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46」。初日からの3日間で動員8万7100人、興収1億2700万円をあげた。

7位は「2分の1の魔法」。累計興収は6億800万円を突破。

8位は「コンフィデンスマンJP プリンセス編」。累計では動員247万人、興収33億円を突破。

9位は「青くて痛くて脆い」。累計では動員18万人、興収2億4400万円を突破。

10位は初登場特別上映版「はたらく細胞!!」最強の敵、再び。体の中は“腸”大騒ぎ!」。土日2日間で動員3万3500人、興収4820万円をあげた。

 

3.興収チェック!「事故物件 恐い間取り」

f:id:ot20503:20200910054354j:image

先々週、先週と2週連続で1位にランクインしたのは「事故物件 恐い間取り」。「事故物件住みます芸人」として、実際に9軒の事故物件に住んだ芸人・松原タニシの実体験を記したノンフィクションを「リング」シリーズの中田秀夫監督、亀梨和也主演で映画化。

f:id:ot20503:20200910042944p:plain

初週末の土日2日間で土日2日間で動員26万3000人、興収3億5800万円をあげた。これは昨年公開された「貞子」の動員比223%、興収比218%、今年スマッシュヒットした「犬鳴村」の動員比227%、興収比231%と近年のJホラーの中でも突出するヒットを記録することが出来た。

ここまでヒットしたのは主演が亀梨和也である点やテーマが「事故物件」と明確であったこともあるだろうが、近年、着実に「IT」2部作や「クワイエット・プレイス」、「ヘレディタリー」と着実にホラー映画がヒットする、評判になる下地が整ってきていたこともあるだろう。そして、2020年、コロナ禍の映画館において「犬鳴村」と「ミッドサマー」がスマッシュヒットを記録し、本作に繋がった。

「事故物件」は10〜20代を中心に集客しているようにホラー映画はティーン層の集客が高いコンテンツ。今年の夏休み映画を見てもティーン層が想像よりも早く映画館に戻ってきている印象だ。「事故物件」は9月いっぱいまではパワーを維持してヒットを記録する可能性があり、最終興収も30億円近いヒットとなりそうだ。

 

4.今週の注目作

BREAK THE SILENCE: THE MOVIE」(9月10日公開)

グローバルに活躍する韓国の7人組男性グループ「BTS」のワールドスタジアムツアー「LOVE YOURSELF: SPEAK YOURSELF」に密着したドキュメンタリー。

韓国アーティストで初となるロンドン・ウェンブリースタジアムでの単独公演をはじめ、ロサンゼルス、シカゴ、ニューヨーク、サンパウロ、パリ、大阪、静岡、リヤド、そしてソウルまで、世界の全10都市をめぐったツアーに密着。パワフルで華麗なパフォーマンスを繰り広げるステージ上での姿はもちろんのこと、公演を終えた舞台裏で秘めた思いを語るメンバーの姿などが収められる。

窮鼠はチーズの夢を見る」(9月11日公開) (R15+)

恋に溺れていく2人の男性を描いた水城せとなの人気漫画「窮鼠はチーズの夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」を、行定勲監督のメガホンにより実写映画化。主人公の大伴恭一役を「関ジャニ∞」の大倉忠義、恭一に思いを寄せる今ヶ瀬渉役を成田凌が演じる。

優柔不断な性格から不倫を重ねてきた広告代理店勤務の大伴恭一の前に、卒業以来会う機会のなかった大学の後輩・今ヶ瀬渉が現れる。今ヶ瀬は妻から派遣された浮気調査員として、恭一の不倫を追っていた。不倫の事実を恭一に突きつけた今ヶ瀬は、その事実を隠す条件を提示する。それは「カラダと引き換えに」という耳を疑うものだった。恭一は当然のように拒絶するが、7年間一途に恭一を思い続けてきたという今ヶ瀬のペースに乗せられてしまう。そして、恭一は今ヶ瀬との2人の時間が次第に心地よくなっていく。

ミッドウェイ」(9月11日公開)

インデペンデンス・デイ」「ホワイトハウス・ダウン」のローランド・エメリッヒ監督が、第2次世界大戦(太平洋戦争)のターニングポイントとなったミッドウェイ海戦を描いた戦争ドラマ。

1941年12月7日、日本軍は戦争の早期終結を狙う連合艦隊司令官・山本五十六の命により、真珠湾アメリカ艦隊に攻撃を仕掛ける。大打撃を受けたアメリカ海軍は、兵士の士気高揚に長けたチェスター・ニミッツを新たな太平洋艦隊司令長官に任命。日米の攻防が激化する中、本土攻撃の脅威に焦る日本軍は、大戦力を投入した次なる戦いを計画する。真珠湾の反省から情報戦に注力するアメリカ軍は、その目的地をハワイ諸島北西のミッドウェイ島と分析し、全戦力を集中した逆襲に勝負をかける。そしてついに、空中・海上・海中のすべてが戦場となる3日間の壮絶な戦いが幕を開ける。

キャストにはエド・スクレイン、ウッディ・ハレルソン、デニス・クエイド豊川悦司浅野忠信國村隼ら実力派が海を越えて集結。

喜劇 愛妻物語」(9月11日公開) (PG12)

「百円の恋」の脚本家・足立紳が2016年に発表した自伝的小説「乳房に蚊」を、自ら脚本・監督を務めて映画化。

売れない脚本家・豪太は、妻チカや娘アキと3人で暮らしている。倦怠期でセックスレスに悩む豪太はチカの機嫌を取ろうとするが、チカはろくな稼ぎのない夫に冷たい。そんなある日、豪太のもとに「ものすごい速さでうどんを打つ女子高生」の物語を脚本にするという話が舞い込む。豪太はこの企画を実現させるため、そしてあわよくば夫婦仲を取り戻すため、チカを説得して家族で香川県へ取材旅行に行くことに。しかし、取材対象の女子高生はすでに映画化が決まっていることが判明。出発早々、旅の目的を失ってしまう3人だったが……。

夫・豪太を「決算!忠臣蔵」の濱田岳、妻・チカを「後妻業の女」の水川あさみ、娘・アキを「駅までの道をおしえて」の新津ちせがそれぞれ演じる。第32回東京国際映画祭コンペティション部門で最優秀脚本賞を受賞した。

映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」(9月11日公開)

人気アニメ「クレヨンしんちゃん」の劇場版28作目。「ラブライブ!」「宝石の国」などの話題のアニメを送り出してきた京極尚彦が監督を務め、脚本を「婚前特急」「そこのみにて光輝く」などの実写映画を手がけてきた高田亮が担当する。

地上の落書きをエネルギーに浮かぶ王国「ラクガキングダム」は、時代の流れで地上から落書きがめっきり減ったことで崩壊の危機に直面。人間たちに無理やり落書きをさせる「ウキウキカキカキ作戦」を決行し、地上への進撃を開始する。一方、ラクガキキングダムのお姫様は、描いたものが動き出すという王国の秘宝「ミラクルクレヨン」を持ち出し、決死の覚悟で地上に託す。ミラクルクレヨンを手にしたしんのすけは、実体化した落書きたちと力をあわせて平和のために立ち上がるが……。

海辺のエトランゼ」(9月11日公開)

紀伊カンナの同名BLコミックを原作に、沖縄の離島で出会った小説家の卵と少年の初々しい恋を描いた劇場アニメ。

小説家の卵・橋本駿は、ある事情で実家を飛び出し、離島の民宿に身を寄せている。ある日、海辺で物憂げに佇む少年・知花実央のことが気になった彼は、軽い気持ちで声をかける。若くして両親を亡くし親戚の家に預けられていた実央は、ひとりの人間としての自分を見つめてくれる駿に好意を抱いていく。

2016年発売のドラマCD版に続き、駿役を村田太志、実央役を松岡禎丞が担当。原作者の紀伊カンナが自ら監修とキャラクターデザインを手がける。BLアニメレーベル「BLUE LYNX」の1作。

スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話」(9月11日公開)

最強のふたり」のエリック・トレダノオリビエ・ナカシュ監督がケア施設に働く2人の男たちの実話を、ユーモアを交えて描いたヒューマンドラマ。

自閉症児をケアする施設「正義の声」を経営するブリュノ。他の施設などで見放された子どもたちも断らずに受け入れる彼の施設には、さまざまな問題を抱えた子どもたちであふれていた。この施設では、ブリュノの友人のマリクに教育されたドロップアウトした若者たちが働いている。社会からはじかれた子どもたちをまとめて救おうとしていたブリュノとマリクだったが、無認可で赤字経営の「正義の声」に監査が入ることになり、施設閉鎖の危機に迫られる。

ブリュノ役を「ブラック・スワン」「ジェイソン・ボーン」のヴァンサン・カッセル、マリク役を「アランフエスの麗しき日々」「世界の涯ての鼓動」のレダ・カティブがそれぞれ演じるほか、本物の介護者と自閉症の若者、その家族たちが多数キャスティングされている。

チィファの手紙」(9月11日公開)

岩井俊二監督が松たか子福山雅治らを迎えて手がけた「ラストレター」の前に、同じ自身の小説を原作に中国で製作した、もうひとつの「ラストレター」。岩井監督にとっては初の中国映画で、「ラストレター」同様の過去と現在の2つの世代を通してつむがれるラブストーリーが描れる。

亡くなった姉のチーナン宛に同窓会の招待状が届き、妹のチィファは姉の死を知らせるために同窓会に参加するが、姉の同級生たちに姉本人と勘違いされてしまう。さらに、そこで初恋相手の先輩チャンと再会したチィファは、姉ではないことを言い出せないまま、チャンと文通することになる。姉のふりをして始めた文通が、やがて初恋の思い出を浮かび上がらせていき……。

出演は中国4大女優に数えられるジョウ・シュン、「空海 KU-KAI 美しき王妃の謎」にも出演したチョウ・シュンら。

れいわ一揆」(9月11日公開)

ゆきゆきて、神軍」「全身小説家」などで知られるドキュメンタリーの鬼才・原一男監督が、2019年の参議院選挙で注目を集めた「れいわ新選組」の候補者を追ったドキュメンタリー。

令和元年夏、参議院選挙でさまざまな候補者を擁立したことも話題となったれいわ新選組から、女性装の東大教授として知られる安冨歩比例代表候補として参院選に出馬した。「子どもを守り未来を守る」のスローガンを掲げて、全国遊説の旅に出た安冨を中心に10人の個性豊かな候補者たちの姿に原監督のカメラが鋭く迫っていく。

TENET テネット」(9月18日公開)

ダークナイト」3部作や「インセプション」「インターステラー」など数々の話題作を送り出してきた鬼才クリストファー・ノーラン監督によるオリジナル脚本のアクションサスペンス超大作。

「現在から未来に進む“時間のルール”から脱出する」というミッションを課せられた主人公が、第3次世界大戦に伴う人類滅亡の危機に立ち向かう姿を描く。

主演は名優デンゼル・ワシントンの息子で、スパイク・リー監督がアカデミー脚色賞を受賞した「ブラック・クランズマン」で映画初主演を務めたジョン・デヴィッド・ワシントン。共演はロバート・パティンソンエリザベス・デビッキアーロン・テイラー=ジョンソンのほか、「ダンケルク」に続いてノーラン作品に参加となったケネス・ブラナー、そしてノーラン作品に欠かせないマイケル・ケインら。撮影のホイテ・ヴァン・ホイテマ、美術のネイサン・クローリーなど、スタッフも過去にノーラン作品に参加してきた実力派が集い、音楽は「ブラックパンサー」でアカデミー賞を受賞したルドウィグ・ゴランソンがノーラン作品に初参加。

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」(9月18日公開)

2018年にテレビ放送された京都アニメーションによる人気アニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の完全新作劇場版。

戦時中に兵士として育てられ、愛を知らずにいた少女ヴァイオレット・エヴァーガーデンが、「自動手記人形」と呼ばれる手紙の代筆業を通じて、さまざまな愛のかたちを知っていく姿を描く。人々に深い傷を残した戦争が終結して数年、世界は少しずつ平穏を取り戻していた。新しい技術の開発によって生活も変わり、人々は前を向いて歩み始めた。ヴァイオレットも大切な人への思いを抱え、その人がいない世界を生きていこうとしいてた。しかし、そんなある日、一通の手紙が届く。

監督は、テレビシリーズに引き続き石立太一が務めた。

思い、思われ、ふり、ふられ」(9月18日公開)

ストロボ・エッジ」「アオハライド」で人気の漫画家・咲坂伊緒による青春恋愛コミックをアニメーション映画化。

偶然出会ったタイプの全く違う朱里と由奈。朱里の義理の弟の理央と由奈の幼なじみの和臣。4人は同じマンションに住み、同じ学校に通う高校1年生だ。由奈は理央に憧れ、理央は朱里に言えない思いを抱き、朱里は秘密を抱え、和臣はある秘密を目撃してしまう。それぞれの思いが複雑に絡み合い、相手を思えば思うほどにすれ違っていき……。

監督はテレビアニメ「舟を編む」を手がけた黒柳トシマサ。脚本に「ヒロイン失格」の吉田恵里香。アニメーション制作はA-1 Picturesが担当。声の出演は潘めぐみ島崎信長斉藤壮馬という人気声優陣と、新人の鈴木毬花。実写映画版「思い、思われ、ふり、ふられ」キャストの浜辺美波北村匠海福本莉子赤楚衛二も文化祭に来ている男女生徒役などで声優としてカメオ出演している。

プリズン・エスケープ 脱出への10の鍵」(9月18日公開)

ハリー・ポッター」シリーズ、「スイス・アーミー・マン」のダニエル・ラドクリフ主演による、実際にあった脱獄劇をもとに描くスリラー。

南アフリカ人のティム・ジェンキンは、白人でありながら反アパルトヘイト組織「アフリカ民族会議」の隠密作戦をおこなった罪のより、同胞のスティーブン・リーとともにプレトリア刑務所に投獄される。ティム、スティーブンたちは、自由と平等を手にするため、最高警備を誇る刑務所からの脱獄を決意する。さまざまな脱獄方法を模索した結果、ティムたちが最後に選んだ手段は木片を集めた鍵を使った脱獄だった。鍵を作っては解錠を繰り返し、徐々に出口までの鍵が完成していった。投獄から18カ月、彼らは木鍵による鉄製扉の突破を試みる。

メイキング・オブ・モータウン」(9月18日公開)

スティービー・ワンダーマービン・ゲイジャクソン5などを輩出し、2019年に創設60周年を迎えた音楽レーベル「モータウン」の正史を描いたドキュメンタリー。

創設者ベリー・ゴーディにより1959年にその歴史をスタートさせたモータウン・レーベルは、ソウルやR&Bの数多くのヒットを連発し、数多くのスターを世界に送り出した。本作では創設者ベリー・ゴーディが初めて密着を許可した取材映像、関係者や所属アーティストの回想や証言など貴重な映像群から構成。ゴーディの親友で戦友でもあるスモーキー・ロビンソンと旧交を温めながら、コーディの一代記とともにモータウンの60年にわたる歴史、そしてレーベルの魅力を解き明かしていく。

マーティン・エデン」(9月18日公開)

ハリソン・フォード主演で映画化された冒険小説「野性の呼び声」などで知られるアメリカの作家ジャック・ロンドンの自伝的小説を、イタリアを舞台に映画化。

イタリア・ナポリの労働者地区に生まれた貧しい船乗りの青年マーティンは、上流階級の娘エレナと出会って恋に落ちたことをきっかけに、文学の世界に目覚める。独学で作家を志すようになったマーティンは、夢に向かい一心不乱に文学にのめり込むが、生活は困窮し、エレナの理解も得られることはなかった。それでも、さまざまな障壁と挫折を乗り越え、マーティンは名声と富を手にするまでになるが……。

2019年ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に出品され、主人公マーティンを演じたルカ・マリネッリが男優賞を受賞。そのほか、イタリアのアカデミー賞と言われるダビッド・デ・ドナテッロ賞で脚色賞を受賞するなど高い評価を獲得した。

ブリング・ミー・ホーム 尋ね人」(9月18日公開) (PG12)

大ヒットドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」のイ・ヨンエが、「親切なクムジャさん」以来14年ぶりの映画出演を果たしたサスペンス。

看護師として働くジョンヨンと夫のミョングクは、6年前に行方不明となった息子のユンスを探し続けていた。捜索途中に悲劇的な事故に遭い、憔悴しきった彼女の元に「ユンスに似た子を、郊外の漁村で見た」という情報が寄せられる。その情報をもとにジョンヨンは漁村へと向かうが、彼女の前に立ちはだかったのは、釣り場を営む怪しげな一家だった。

主人公ジョンヨン役をイ・ヨンエが演じるほか、「風水師 王の運命を決めた男」、ドラマ「梨泰院クラス」のユ・ジェミョン、「The NET 網に囚われた男」のイ・ウォングン、「毒戦 BELIEVER」のパク・ヘジュンらが脇を固める。監督は本作が長編劇映画デビュー作となるキム・スンウ

Daughters」(9月18日公開)

ルームシェア生活を送る2人の女性が、妊娠、シングルマザーという人生の選択を経て、現実と向き合いながら生きていく10カ月を描いたヒューマンドラマ。「ダンスウィズミー」「犬鳴村」の三吉彩花と「ソローキンの見た桜」「海を駆ける」の阿部純子が主人公の2人の女性を演じる。

中目黒の桜が並ぶ川沿いのマンションの1室で暮らす小春と彩乃。ライフスタイルの似ている27歳の2人は、仕事に遊びに充実したルームシェア生活を送っていた。しかし、彩乃からの突然の妊娠の告白から、2人の生活に変化が訪れる。そして彩乃は父親のわからない子どもを産む決意をする。

小春役を三吉彩花、彩乃役を阿部純子がそれぞれ演じる。監督・脚本は、同作が初⻑編作品となるファッションイベント演出家、映像作家の津田肇。

悪魔はいつもそこに」(9月16日NETFLIXにて配信)

ドナルド・レイ・ポロックの同名小説を基に、「スパイダーマン」シリーズのトム・ホランド、「TENET テネット」や「ザ・バットマン」のロバート・パティンソン、「キャプテン・アメリカ」シリーズのウィンター・ソルジャー役のセバスチャン・スタン主演で第二次世界大戦からベトナム戦争までを時代背景として“正と悪の相克”を描くサスペンス。

オハイオ州の田舎町ノッケンスティフ。妻の死が間近に迫ったウィラード・ラッセルは、日々祈りつづけ、ついには自らの身体をも捧げてしまった。学校でいじめを受けていた息子のアーヴィンは、父の形見である銃を受け取り、やがて行動を起こし始める。愛する人々を守ろうともがくアーヴィンの周囲には、罪深い牧師、謎を抱えた夫婦、悪徳保安官ら邪悪な者たちの思惑が渦を巻いていた。そして、20年にわたるノッケンスティフの物語が明らかになっていく。

主人公アーヴィンをトム・ホランド、父ウィラードを「IT/イット」のペニーワイズ役のビル・スカルスガルド、神父プレストン・ティーガーディンにロバート・パティンソン、保安官役にセバスチャン・スタン、謎の夫婦に「アンダー・ザ・シルバーレイク」のライリー・キーオと「ファースト・マンジェイソン・クラークが演じているほかに「マグニフィセント・セブン」のヘイリー・ベネット、「アリス・イン・ワンダーランド」シリーズのミア・ワシコウスカ、「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」のエリザ・スカンレンらが豪華競演する。

脚本・監督は新鋭アントニオ・カンポス。プロデューサーとしてジェイク・ギレンホールも参加している。

映像研には手を出すな!」(9月25日公開)

アニメ制作を志す女子高生3人組の青春を描き、2020年1月からは湯浅政明監督によるテレビアニメ版もNHKで放送された大童澄瞳の同名コミックを、人気アイドルグループ「乃木坂46」の齋藤飛鳥山下美月梅澤美波の共演で実写映画化。

湖に面した芝浜高校。人見知りだが監督としてすぐれた素質をもつ浅草みどり、カリスマ読者モデルでアニメーターの水崎ツバメ、金もうけが好きなプロデューサー気質の金森さやかは、「映像研究同好会」を結成し、自分たちが思い描く“最強の世界”を描くためアニメーション制作を開始する。

「アニメは設定が命!」が信条の主人公・浅草みどりを齋藤飛鳥、俳優である両親に反対されながらもアニメーターを目指すお嬢様・水崎ツバメを山下美月、2人の才能をまとめ、管理し、金もうけをしようとするプロデューサータイプの金森さやか梅澤美波が演じる。そのほか、小西桜子、福本莉子桜田ひより浜辺美波ら人気の若手女優も共演する。監督は「乃木坂46」とは映画「あさひなぐ」でもタッグを組んだ英勉

ミッドナイトスワン」(9月25日公開)

草彅剛演じるトランスジェンダーの主人公と親の愛情を知らない少女の擬似親子的な愛の姿を描いた、「下衆の愛」の内田英治監督オリジナル脚本によるドラマ。

故郷を離れ、新宿のニューハーフショークラブのステージに立つ、トランスジェンダーの凪沙。ある日、凪沙は養育費目当てで、少女・一果を預かることになる。常に社会の片隅に追いやられてきた凪沙、実の親の育児放棄によって孤独の中で生きてきた一果。そんな2人にかつてなかった感情が芽生え始める。

草彅剛が主人公・凪沙役を、オーディションで抜擢された新人の服部樹咲が一果役を演じるほか、水川あさみ真飛聖田口トモロヲらが脇を固める。

アダムス・ファミリー」(9月25日公開)

アメリカの漫画家チャールズ・アダムスが生んだ名作コミックで、1990年代には映画化され世界的ヒットを記録した「アダムス・ファミリー」をアニメ化。

人里離れた山奥で結婚式を挙げたモンスターのゴメズとモーティシアは人間たちに故郷を追われ、丘の上の荒れ果てた屋敷にたどり着く。時は流れ、夫婦は長女ウエンズデーと長男パグズリー、執事ラーチとともに平穏な日々を過ごしていた。そんな中、パグズリーが一族にとって重要な儀式である「セイバー・マズルカ」を親戚たちの前で披露する日が近づいてきて……。

字幕版ではオスカー・アイザックシャーリーズ・セロンクロエ・グレース・モレッツ、フィン・ウルフハードら、吹替版では生瀬勝久、杏、二階堂ふみ秋山竜次(ロバート)、LiLiCoら豪華キャストが一家の声を演じる。

マティアス&マキシム」(9月25日公開) (PG12)

たかが世界の終わり」などで高く評価されるカナダの若き俊英グザヴィエ・ドランが、友情と恋心の狭間で揺れる青年2人の葛藤を描いた青春ラブストーリー。

幼なじみである30歳のマティアスとマキシムは、友人の短編映画で男性同士のキスシーンを演じたことをきっかけに、心の底に眠っていた互いへの気持ちに気づき始める。婚約者のいるマティアスは、親友に芽生えた感情に戸惑いを隠しきれない。一方、マキシムは友情の崩壊を恐れ、思いを告げぬままオーストラリアへ旅立つ準備をしていた。別れが目前に迫る中、本当の思いを確かめようとするマティアスとマキシムだったが……。

グザヴィエ・ドラン監督が「トム・アット・ザ・ファーム」以来6年ぶりに自身の監督作に出演し、主人公の1人マキシムを演じた。共演に「Mommy マミー」のアンヌ・ドルバル、「キングスマン ファースト・エージェント」のハリス・ディキンソン。

甘いお酒でうがい」(9月25日公開)

お笑いコンビ「シソンヌ」のじろうが長年コントで演じてきたキャラクター、中年OLの川嶋佳子を主人公に、平凡な40代女性の日常や悲哀を日記風につづった、じろうによる小説を映画化。じろう自身が脚本を執筆し、「美人が婚活してみたら」でもじろう脚本作品を手がけた大九明子監督が、今作でもメガホンをとった。

とある会社で派遣社員として働く40代独身の川嶋佳子は、毎日日記をつけている。そこには、撤去された自転車との再会したことなど、日々の小さな喜びがつづられていた。そんな佳子にとって、会社の同僚である年下の若林ちゃんと過ごす時間が何よりの幸せだったが、ある時、ふた周り年下の岡本くんとの恋が訪れ……。

松雪泰子が主人公の佳子に扮し、若林ちゃんを黒木華、佳子が好意を寄せる岡本くんを清水尋也が演じる。

鵞鳥湖の夜」(9月25日公開) (PG12)

「薄氷の殺人」で第64回ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞した中国の気鋭ディアオ・イーナン監督が、中国社会の底辺で生きる人間たちの現実を鮮烈な映像で描いたノワールサスペンス。

2012年、中国南部。再開発から取り残された鵞鳥湖(がちょうこ)周辺の地区で、ギャングたちの縄張り争いが激化していた。刑務所を出て古巣のバイク窃盗団に戻った男チョウは、対立組織との争いに巻き込まれ、逃走中に誤って警官を射殺してしまう。全国に指名手配された彼は、自身にかけられた報奨金30万元を妻子に残すべく画策。そんな彼の前に、見知らぬ女アイアイが妻の代理としてやって来る。鵞鳥湖の水辺で娼婦として生きる彼女と行動をともにするチョウだったが、警察や報奨金強奪を狙う窃盗団に追われ、後戻りのできない袋小路へと追い詰められていく。

「1911」のフー・ゴーが主演を務め、「薄氷の殺人」のグイ・ルンメイ、リャオ・ファンが共演。

リアム・ギャラガー アズ・イット・ワズ」(9月25日公開)

イギリスの伝説的ロックバンド「オアシス」の元メンバー、リアム・ギャラガーの成功と挫折、ソロアーティストとしての復活までを描いたドキュメンタリー。

1991年に結成されたオアシスのフロントマンとしてスターダムにのしあがったリアムは、その一方で破天荒な言動を繰り返し、メディアからたびたびバッシングを受けていた。やがてバンドメンバーの兄ノエルとの確執が表面化し、2009年には解散状態に。新たに結成したバンド「ビーディ・アイ」も軌道に乗らず解散。失意の中、自らの力だけで音楽の世界を生き抜くことを決意したリアムは、再起をかけてソロデビューアルバム「アズ・ユー・ワー」をリリースする。

コナー・マクレガー:ノートリアス」のギャビン・フィッツジェラルドと、本作のために10年以上にわたってリアムを撮影してきたチャーリー・ライトニングが共同監督を務めた。

エノーラ・ホームズの事件簿」(9月23日NETFLIXにて配信)

名探偵シャーロック・ホームズに妹がいたという設定で描かれ人気を集める、アメリカの作家ナンシー・スプリンガーの小説シリーズを、Netflixが映画化したミステリーアドベンチャーNetflixドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のイレブン役でブレイクしたミリー・ボビー・ブラウンが主演・製作。兄シャーロックとマイクロフトを「マン・オブ・スティール」のヘンリー・カヴィルと「世界一キライなあなたに」のサム・クラフリン、母を「アリス・イン・ワンダーランド」のヘレナ・ボナム・カーターが演じる。

1884年、イギリス。16歳の誕生日を迎えたエノーラが目を覚ますと、母が謎めいた暗号を残して行方不明になっていた。母を探しに単身ロンドンへ向かったエノーラは、思いがけず青年貴族の失踪事件に関わったことをきっかけに、恐ろしい陰謀と巨大な謎に巻き込まれていく。

 

というわけで、今週は以上。閲覧ありがとうございました。